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トヨタが脱・自前主義で創業以来の変革期に挑む、オープンイノベーション・プログラム「TOYOTA NEXT」の本気度

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トヨタ自動車(東証:7203、以下トヨタと略す)は20日、東京都内で同社が新たに開始するオープンイノベーション・プログラム「TOYOTA NEXT(トヨタネクスト)」の説明会を開催し、このプログラムへの参加を検討する大企業、中小企業、研究機関、スタートアップ、起業家など数百名が参加した。このプログラムはトヨタが持つアセットと、プログラム参加者が持つアイデアや技術を組み合わせることで、新たなモビリテ…

トヨタ自動車(東証:7203、以下トヨタと略す)は20日、東京都内で同社が新たに開始するオープンイノベーション・プログラム「TOYOTA NEXT(トヨタネクスト)」の説明会を開催し、このプログラムへの参加を検討する大企業、中小企業、研究機関、スタートアップ、起業家など数百名が参加した。このプログラムはトヨタが持つアセットと、プログラム参加者が持つアイデアや技術を組み合わせることで、新たなモビリティ社会を創造しようという取り組み。トヨタの社内カンパニーであるコネクティッドカンパニーが運営主体となっていて、日本国内からエントリを中心に募集する。参加企業の選考やプログラムの運営にあたっては、スタートアップ・アクセラレータの Open Network Lab が支援する。

カンバン方式という言葉に代表されるように、とかく完成されたサプライチェーンが評価される自動車業界だが、これが〝新しい血液〟を取り込むことを阻害し、イノベーションが起きる環境づくりを阻害しているという負の側面も否めない。トヨタのデジタルマーケティング部部付担当主査担当部長の垣迫和行氏は席上、「トヨタが80年間続けてきたビジネスモデルだけでは通用しない」と話し、創業以来の変革期を迎えていることを自認した上で、同社がオープンイノベーションに賭ける意気込みを語った。その上で脱・自前主義を標榜し、大手企業・中小企業・ベンチャー企業など、今までにトヨタが関係を持っていなかった幅広い方面からのソリューションを募集すると、プログラムの意義を強調した。

プログラム参加の応募者から募集するテーマは(同社資料からの引用)

  • 全ての人の移動の不安を払拭する安全・安心サービス
  • もっと快適で楽しい移動を提供するクルマの利用促進サービス
  • オーナーのロイヤルティを高める愛車化サービス
  • トヨタの保有するデータを活用した ONE to ONE サービス
  • 全国のトヨタ販売店を通じて提供するディーラーサービス

…の5つ。

「TOYOTA NEXT」を説明する、トヨタ デジタルマーケティング部部付担当主査担当部長 垣迫和行氏

また、トヨタからは、同社の自動車ユーザの位置情報などのビッグデータ、全国約5,200店舗のディーラーネットワークやレンタカーサービスを提供する約1,200店舗・月間1,000万UUのオウンドメディア・会員数15万人・友達数2,500万人の LINE 公式アカウントなどのタッチポイント、トヨタのクルマに備わっているスマートキーボックス・TransLog・T-Connect・TC スマホナビアプリなどの製品/サービスが利用可能なアセットとして提供される。中長期的には、トヨタとの資本提携や業務提携についても、参加者が前向きに検討してくれることを応募条件の一つに加えている。

ただ、組む内容や条件については柔軟なようだ。説明会では、会場に集まったプログラムへの参加を検討する人々との質疑応答にかなりの時間が割かれたが、アイデアがあって技術が無ければ、トヨタの各アセット担当者が技術を提供したり、開発資金が足りなければ、それをトヨタが援助したり、というような枠組みも検討可能とのこと。トヨタ、(スタートアップなどの)プログラム参加者、クルマのユーザの三方よし、「関係者全員がトリプル Win になることを目指したい(垣迫氏)」としている。

ところで、オープンイノベーションに関わるときに、スタートアップが懸念する内容の一つが、知財が確実に守られるのかという点だろう。大手企業との連携を試みて NDA を交わしたものの、スタートアップにはアイデアの提出が求められる一方で、オープンイノベーションに慣れていない大企業側からはアセットである技術や情報がなかなか開示されない、という事例を耳にするのは稀では無い。枠組みはあっても、長年にわたり知財を守る本能が身体に染み付いて来た R&D や特許管理部門の人々が簡単に技術を開示してくれないのは、感情的には理解できなくもない。

この点について、垣迫氏は「こうやって Open Network Lab と組んでいるのは、トヨタが本気やるんだという意気込みの現れで、アセットの拠出も含め、経営トップがコミットしていることは大きい」と語った。トップダウンで事が進んでいる以上、このプログラムに関して、現場で情報の出し惜しみのような状況は生まれないと信じてよいだろう。

第一回の TOYOTA NEXT の募集は2月20日が締切りで、一次選考・二次選考を経て、最終選考は7月中旬を予定。トヨタの現場のアセット担当者とプログラム参加者が十分に事前討議できる時間を確保するため、一般的なアクセラレータ・プログラムより選考期間が長めに設定されているのも特徴的である。7月下旬に選定プロジェクトが採択され、8月以降に可能なものから両者で開発に着手・リリースする。現時点で選定対象となる参加者の数は未定だが、協業の結果生み出される IP(知的財産権)については、原則的にトヨタとプログラム参加者の両方に帰属させるとのこと。また、採択に至らなかったアイデアについては、応募者の秘密や IP が守られる。

本プログラムにおけるデジタルガレージの役割を説明する、Open Network Lab シニア・インベストメント・マネージャー の松田崇義氏

選考委員は、トヨタの役員から友山茂樹氏、佐藤康彦氏、村上秀一氏の3名、また、クリエイティブディレクターのレイ イナモト氏、Open Network Lab の親会社であるデジタルガレージ(東証:4819)執行役員 SVP の佐々木智也氏、トヨタ担当社員と Open Network Lab メンバーで構成される TOYOTA NEXT 事務局が務める予定。

トヨタがこれまでに行ってきたオープンイノベーションは、パーソナルモビリティ「TOYOTA i-ROAD」の実用化に向けて取り組む「OPEN ROAD PROJECT」において、カブクと組み 3Dプリンターを利用して i-ROAD のボディパーツやインテリアの一部をカスタマイズできるサービスを提供している事例、「TCスマホナビ」と予約駐車場サービス akippa との連携など限定的だった。また、トヨタは三井住友銀行や資産運用会社のスパークス・グループ(東証:8739)とともに、135億円規模の未来創生ファンドを運用している。今回の TOYOTA NEXT を通じて、同社は「できる限りのアセットを使って」(垣迫氏)スタートアップとのコラボレーションを強力に推進していきたいとしている。

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トヨタが人工知能、ロボティクス、燃料電池技術を開発するスタートアップ向けに135億円のファンドを発表

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世界最大の自動車企業トヨタ自動車は昨夜(原文掲載日:11月5日)、自動車向けの高度技術を開発するスタートアップ向けに、135億円のファンドを発表した。このファンドは、トヨタと三井住友銀行、資産運用会社のスパークス・グループとの協業によるものだ。新ファンドは、10月21日に発売されたトヨタの水素燃料電池自動車「MIRAI(ミライ)」にちなんで「未来創生ファンド」と名付けられた。 共同通信の報道によれ…

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トヨタの水素燃料電池自動車「MIRAI(ミライ)」

世界最大の自動車企業トヨタ自動車は昨夜(原文掲載日:11月5日)、自動車向けの高度技術を開発するスタートアップ向けに、135億円のファンドを発表した。このファンドは、トヨタと三井住友銀行、資産運用会社のスパークス・グループとの協業によるものだ。新ファンドは、10月21日に発売されたトヨタの水素燃料電池自動車「MIRAI(ミライ)」にちなんで「未来創生ファンド」と名付けられた。

共同通信の報道によれば、トヨタは100億円、三井住友銀行は33億円、スパークス・グループは2億円を出資し、スパークス・グループがファンドのジェネラル・パートナーを務める。

トヨタのプレスリリースによれば、ターゲットとする投資領域は、人工知能、ロボティクス、および、生産・供給・水素利用に関わる技術となっている。同社は自走式自動車については言及していないが、人工知能やロボティクスは自走式自動車に関連が深いコア技術だ。

トヨタはプリウスでハイブリッド自動車の分野を開拓したが、完全電気自動車の分野においては、日本内外の競合に遅れをとっている。自走式運転技術の分野でも、遅れをとることになるかもしれない。

今年のモーターショーでは、トヨタは最新式のミライと、未来を予見させる水素燃料電池自動車 FCV Plus を展示した。同社が環境に優しい自動車を作る上でのネクスト・ビッグシングに燃料電池を考えているのは明らかであり、これまでに公言もしている。同社によれば、現在の電池技術では一回の充電で十分な距離は走れず、自社の素材で作った電池ではエネルギー密度に制約があることを明らかにしている。つまり、スタートアップは電池により多くのエネルギーを詰め込むか、車により多くのバッテリーを積めるようにすればいいわけだ。

トヨタは先月、半自動運転の Lexus をテストしたが、完全に運転者を置き換える技術にする計画はないと述べている(「ハイウェイチームメイト」と呼んでいる)。トヨタは今年のモーターショーで、自走運転技術については多くを展示しなかった。

<関連記事>

日産は今週、2016年末までに半自動運転車を市場に出すと発表した。現在、首都圏の行動やハイウェイで、完全電動自走式リーフを試験しているところだ。アメリカの Tesla は最近、従来からある半自動運転可能な電気式自動車のいくつかを更新した。

トヨタは、さらに投資パートナーを求めて今回のファンドを来年の3月までに500億円までに成長させたいとしている。このファンドには、自走運転技術に関して、トヨタが社内の動きの遅さを解決したい意図があるようだ。同社にとってさらに重要なのは、水素エネルギーにおける世界的な市場リーダーとしての立場を、より確固たるものにすることだろう。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

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サムライインキュベートとトヨタIT開発センター、10月にイスラエルでハッカソンを共同開催

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※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから サムライインキュベートと、トヨタ自動車のR&D部門であるトヨタIT開発センターは今日、両社が10月23日と24日のイスラエルのテルアビブでハッカソンを共同開催すると発表した。 サムライインキュベートは4月にイスラエルに現地法人を立ち上げ、日本企業とイスラエルのスタートアップの協業を支援するほか、中東のスタートア…

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※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから

サムライインキュベートと、トヨタ自動車のR&D部門であるトヨタIT開発センターは今日、両社が10月23日と24日のイスラエルのテルアビブでハッカソンを共同開催すると発表した。

サムライインキュベートは4月にイスラエルに現地法人を立ち上げ、日本企業とイスラエルのスタートアップの協業を支援するほか、中東のスタートアップハブである同国において、投資の対象となる卓越したスタートアップを探している。

トヨタIT開発センターは、トヨタの自動車10万台から集められたデータを使って、ビッグデータ・ソリューションを開発している。このハッカソンを通じて、同社はイスラエルのエンジニアと共に、ビッグデータを使ったモバイルアプリを開発したいとしている。

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テルアビブのサムライハウス

サムライインキュベートの創業者兼CEOである榊原健太郎氏は、今年はじめテルアビブに移住し、当地に日本、イスラエル、世界のさまざまな地域からスタートアップや起業家を招くため、サムライハウスというコワーキング・スペースを開設した。彼は、日本とイスラエルのスタートアップ・コミュニティをつなぐため、イスラエルの国営航空会社がテルアビブと東京を結ぶ直行便を開設してくれるよう、イスラエル政府に働きかけている。

会場やアジェンダなどハッカソンの詳細はまだ発表されていないので、彼らのウェブサイトを見て、今後の発表を確認してほしい。

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