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サブサハラアフリカで注目のスタートアップ13選〜ルワンダ・キガリで開催された「Transform Africa Summit 2018」から

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本稿は、Transform Africa Summit 2018 の取材の一部である。 先ごろ訪問したルワンダ・キガリの Transform Africa Summit 2018 では、いくつかのピッチイベントが開催されていた。この地域を象徴する、選ばれたスタートアップのいくつかを紹介したい。 JICA 「ICTイノベーションエコシステム強化プロジェクト」の 250 Startups キックオフイ…

Image credit: Smart Africa

本稿は、Transform Africa Summit 2018 の取材の一部である。

先ごろ訪問したルワンダ・キガリの Transform Africa Summit 2018 では、いくつかのピッチイベントが開催されていた。この地域を象徴する、選ばれたスタートアップのいくつかを紹介したい。

JICA 「ICTイノベーションエコシステム強化プロジェクト」の 250 Startups キックオフイベントから

Image credit: Masaru Ikeda

JICA(国際協力機構)は、ルワンダで「ICTイノベーションエコシステム強化プロジェクト」を実施しており、その中の象徴的な活動の一つとして、この力から250のスタートアップを生み出そうという目標を掲げている。ルワンダでの活動がよい結果を出せれば、それを将来的に他のアフリカ諸国に横展開する計画もあるらしい。

このプロジェクトには今年後半ルワンダで選ばれた優秀スタートアップ10社がイスラエルに派遣され、彼らはイスラエルのインキュベータでトレーニングを受ける予定だ(ここで、なぜイスラエルなのか、という疑問が脳裏をかすめるが、サブサハラ地域のアフリカには、歴史的にイギリスやイスラエルからの投資が行われていることに関係しているようだ。そして、イスラエルはいうまでもなくスタートアップ大国である)。

このイスラエルへの派遣ミッションに参加するスタートアップのうち4社が、TAS 内で JICA とルワンダの ICT 商工会議所が共催したピッチイベントに登壇した8社の中からで選ばれた。ミッションに参加する残りの6社については、後日改めて公募がなされる予定。ピッチイベントに登壇したスタートアップの顔ぶれを見てみよう。

IV Drip Alert by Tech Inn(イスラエル派遣ミッション採択)

Image credit: Masaru Ikeda

IV Drip Alert は、死の危険性が生じる点滴の漏れを自動的にモニタするシステム。点滴漏れが生じたときには、ナースセンターに自動通報され、看護婦は最短時間で事態に気づき、措置を施すことができる。現在、プロトタイプを提携病院で実験中。

Smart Egg Incubator by Hatch Tech Solutions(イスラエル派遣ミッション採択)

Image credit: Masaru Ikeda

多くの鶏肉を輸入に頼っているルワンダにおいて、効率の良い卵孵化器を作ることで国内で鶏を育てられるようにしようというもの。一般的な卵孵化器が同時に育てられるのはせいぜい卵16個までだが、Smart Egg Incubator では、遠隔制御できたり状況を SMS 通知できたりすることにより、同時に1万個以上の卵を同時に孵化できるとしている。

Climate Mobile iHewa app by Severe Weather Consult(イスラエル派遣ミッション採択)

Image credit: Masaru Ikeda

Climate Mobile iHewa app は、一般的な天気予報ではカバーしきれない、地域に特化した定量的な天気情報を農家に対して提供。各地に設置した観測機器からのデータをもとにして天気を独自分析し、その情報を農家に SMS で通知する。情報サービスの契約定額料のほか、農家に対するトレーニング費用やプロジェクト提携先との連携によりマネタイズ。

AKOKANYA by Raisin Ltd.(イスラエル派遣ミッション採択)

Image credit: Masaru Ikeda

AKOKANYA は、QR コードを使ったオンラインチケットシステムを開発。支払には、現地ケータイ会社が提供する モバイル決済サービス MTN Mobile Money、TIGO Cash のほか、VISA や MasterCard が使える。

Raingun Solar Irrigation by Iwacu Technology

Image credit: Masaru Ikeda

Raingun Solar Irrigation は、太陽電池を使った自動灌漑システムだ。農地に設置されたセンサーにより土中の湿度を自動計測、その結果は SMS でオーナーに伝えられるとともに、自動的に水の散布が行われる太陽電池を使っているため、商用電源の確保が不要。

Smart Switching System by Energy Saver Efficiency

Image credit: Masaru Ikeda

Smart Switching System は、部屋の中に何人いるかを認識し、その人数に応じて、必要数の照明を自動点灯するシステム。人の数を認識するセンサー、照明を制御するスイッチなど複数機能をチップ1枚の中に実装したことで、導入コストの削減を実現している。

LearnersHub

Image credit: Masaru Ikeda

LearnersHub は、複数の人々が協調しながら学習できるプラットフォーム。プラットフォーム上には講座提供者が学習コンテンツを公開しており、ユーザが講座を購読するとプラットフォームは5%を販売手数料として獲得する。また、講座のプロモーション費用を講座提供者にチャージすることでもマネタイズする。来月から大学でプロトタイプを稼働開始。

Smart Water Meter

Image credit: Masaru Ikeda

Smart Water Meter は、水道システムにとっての大きな問題となる水漏れや、水道料金の支払を簡便化できるシステム。旧来のアナログメータに変えて、スマートメータを配置し LoRa 経由でデータをクラウドにアップロードすることで、水の流れをリアルタイムでモニタできるようになり、水漏れ箇所の特定や利用水量の計測から支払までの一連プロセスをスムーズにする。

<関連記事>

Image credit: Smart Africa

一方、Transform Africa Summit 2018 の最終日には、リアリティショー風のピッチ披露イベント「Face the Gorillas」が開催された。これは、アメリカで言えば SharkTank、イギリスで言えば Dragons’ Den、シンガポールで言えば Angels’ Gate、日本で言えばマネーの虎のような、起業家が投資家を前にアイデアをピッチし、投資家からその場で投資してもらえるかどうかコメントをもらえる試み。

ルワンダにインパクト投資を行う投資家 Yariv Cohen 氏と彼の妻 Angela Homsi 氏とが、ルワンダの ICT 商工会議所や日本の JICA なども支援するコワーキングスペース kLab とがタグを組んで、2013年から展開している。いわゆるピッチコンペティションと異なり、どのチームが1位かを決めるものではないが、その場で投資の如何が決まるとあって、ピッチする投資家の熱量も並大抵のものではない。

<参考文献>

Tupuka(アンゴラ)

Image credit: Masaru Ikeda

Tupuka は、アンゴラの首都ルアンダ(ルワンダではありません)で展開される、レストランのフード、スーパーの食料品、薬局から薬などを届けてくれるデリバリサービス。2017年に Seedstars World アンゴラ予選で優勝、4月までに25万食8.6万件のオーダーを届けている。現在、ルアンダ市内で70人のドライバーを確保し、特にアッパーミドル層を顧客として成長を続けている。

Mossosouk(チャド)

Image credit: Masaru Ikeda

街で実店舗を経営する事業者向けに、E コマースサービスの取扱を実現するエネイブラー。事業者は、Mossosouk のウェブサイト上にオンライン販売可能な商品を陳列し、オーダーが入れば、Mossosouk の配達人がバイクで商品をピックアップし顧客に届ける。

事業者にとっては、店舗立地にかかわらず商圏を拡大できるメリットがある。Mossosouk は、受注・決済・配達の手数料として、店舗から販売価格の10%を受け取る。女性向けのファッションが販売商品の多くを占め、1オーダーあたりの平均購入金額は100米ドル程度。今後、ルワンダやコドジボアールに進出予定。

Academic Bridge(ルワンダ)

Image credit: Masaru Ikeda

Academic Bridge は、学校向けの情報管理 SaaS を提供。18歳未満人口が5億人いるというアフリカにおいて、出席管理、授業の進捗管理、学校運営に必要な情報共有、データ管理や分析などが Web および Android 端末から行える。

JokkoSanté(セネガル)

Image credit: Masaru Ikeda

JokkoSanté は、オンラインの医薬品共有コミュニティだ。中間層の家庭で未使用・未開封の医薬品(置き薬)をオンライン登録することで、その医薬品を必要とする人に届ける。医薬品を提供した人には、その対価としてポイントが付与され、その人が処方箋を手に自分の医薬品が必要なときに、ポイントを使って医薬品を手に入れることができる。現在、50万米ドルを資金調達中。

ImaginelWR(ルワンダ)

Image credit: Masaru Ikeda

ImaginelWR は、本の出版を通じて、世界の人々のアフリカに対するイメージをポジティブなものに変化させ、アフリカの尊厳を取り戻すことをビジョンに掲げるスタートアップ。出版した本は学校や図書館に寄贈され、また、本を書いたり異言語で執筆したりするライターの養成も行なっている。

Image credit: Smart Africa
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スタートアップエコシステムに見るルワンダと日本の関係——ルワンダの首都キガリで開催中の「Transform Africa Summit 2018」から

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本稿は、Transform Africa Summit 2018 の取材の一部である。 【更新:日本時間10日13時更新】イギリスはルワンダの旧宗主国ではないため、当該表現を削除。 5月7日〜8日の2日間、東アフリカ・ルワンダの首都キガリで、4回目を迎える Transform Africa Summit 2018 が開催されている。このイベントを主催する Smart Africa には、IT 立国…

Transform Africa Summit 2018 が開催されている、キガリ・コンベンションセンター
Image credit: Masaru Ikeda

本稿は、Transform Africa Summit 2018 の取材の一部である。

【更新:日本時間10日13時更新】イギリスはルワンダの旧宗主国ではないため、当該表現を削除。

5月7日〜8日の2日間、東アフリカ・ルワンダの首都キガリで、4回目を迎える Transform Africa Summit 2018 が開催されている。このイベントを主催する Smart Africa には、IT 立国を目指すルワンダが音頭をとるアフリカ地域のスマート化を推進する組織で、サブサハラアフリカ(サハラ以南のアフリカ)を中心に21カ国が参加している。

ルワンダでは JICA(国際協力機構)が ICT イノベーションエコシステム強化プロジェクトを展開しているほか、神戸市とキガリ市が協力関係にあることも後押しとなって、日本からは20組織ほどの大企業やスタートアップが参加し「Japan Pavilion」を飾った。

TAS 2018 に設置された Japan Pavilion
Image credit: Masaru Ikeda

ルワンダ以外の地域からパビリオンを出していたのは、日本とエストニアの2カ国だけ。総勢80人ほどの日本人が参加していたので、ここでは日本は目立った存在だ。アフリカのあらゆる国で中国企業の名前を見かけるようになる中、イノベーションとかスタートアップという文脈においては、中国企業の存在は見受けられない。日本や旧宗主国のイギリスのほか(ルワンダはイギリス連邦に参加している)、イスラエルもこの国のスタートアップエコシステム牽引に一役買っているようだ。

スタートアップ・エコシステムにおける、日本とルワンダの関係

締結した日本=ルワンダの協力関係に関する覚書を披露する、ルワンダ ITC 省大臣の Jean de Dieu Rurangirwa 氏(中央)、総務省総務審議官の富永昌彦氏(右)、駐ルワンダ特命全権大使の宮下孝之氏(左)

7日には、日本政府を代表して総務省総務審議官の富永昌彦氏と、ルワンダ政府を代表してICT 大臣の Jean de Dieu Rurangirwa 氏が、両政府の ICT 分野における協力関係を確認する覚書に署名した。

JICA はこれまでに、キガリ市内にの kLab(ケーラボ、2012年設立)や FABLAB(ファブラボ、2016年設立)といったテクノロジーハブの設立に資金支援をしている。これらのテクノロジーハブには100名程度の起業家や投資家が拠点を置き、その結果として、これまでに数十社程度のスタートアップを輩出している。また、ルワンダからは日本政府の奨学金制度を利用する形で、40人以上の若者が神戸情報大学院大学に留学しているそうだ。

Japan Pavilion への参加者に、アクセルスペースやインフォステラといった宇宙/衛星系のスタートアップが参加していたのは興味深い。これらのスタートアップと深く関係のある、東京大学の Intelligent Space Systems Laboratory も Smart Africa と協力関係を締結した。
Image credit: Masaru Ikeda

8日には、神戸情報大学院大学とアメリカのドローン開発大手 Swift Engineering が、ルワンダでジョイントベンチャー(JV)を創立することも明らかにされた。神戸情報大学院大学は kLab を拠点にプログラミング講座の提供をはじめ ICT エンジニアの養成を行っているが、今回の JV 設立を受けて、ドローンエンジニアの養成やドローンビジネスの推進まで、支援の幅を広げるようだ。

神戸情報大学院大学と Swift Engineering による、ルワンダでのドローン人材養成に関する JV 設立の発表
Image credit: Masaru Ikeda

ルワンダは高地に位置しており(今この記事を書いているキガリも標高1,500mくらい)、雨季の影響や首都を離れると道路の整備状況が思わしくないなどの理由から、ドローンの日常活用には高い関心が集まっている。日本のスタートアップスタジオであるミスルトウが2016年、ドローンを使った医療物流スタートアップ Zipline に出資したこともまた、この国がドローンビジネスと相性がいいことをエコシステムの関係者に再認識させた。

筆者は今週と来週、ルワンダ、ウガンダ、ケニアと、サブサハラアフリカの3カ国を巡る予定なので、この機会に各国のスタートアップシーンの現状をお伝えしたいと思う。

Japan Pavilion の前で、日本から参加した企業やスタートアップ関係者、総務省・JICA・駐ルワンダ大使館関係者との記念撮影に応じる、ルワンダ ITC 省大臣の Jean de Dieu Rurangirwa 氏
Image credit: Masaru Ikeda
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