THE BRIDGE

タグ トルコ

インディーズモバイルゲームの夢を追い求めるトルコ人夫妻——2人の作品「Hocus」は、まるでエッシャーの〝だまし絵〟

SHARE:

私は昔からおとぎ話が好きだった。誰でもどこでもゲームを作ることができることを教えてくれた。Casual Connect Europe 開催後のベルリンの通りを歩いていると、ある夫婦に出会った。その夫妻のおかげで、そのゲームに対する考え方はさらに強固なものになった。 それは偶然の巡り合わせだった。私はベルリン市内をまわるツアーに参加するために、二階建てバスのチケットを買った。ちょうど私の前には、同じ…

gamebrain-930x698
(上)GameBra.in の Yunus Ayyildiz 氏と妻の Kubra Sezer Ayyildiz 氏
Image Credit: Dean Takahashi

私は昔からおとぎ話が好きだった。誰でもどこでもゲームを作ることができることを教えてくれた。Casual Connect Europe 開催後のベルリンの通りを歩いていると、ある夫婦に出会った。その夫妻のおかげで、そのゲームに対する考え方はさらに強固なものになった。

それは偶然の巡り合わせだった。私はベルリン市内をまわるツアーに参加するために、二階建てバスのチケットを買った。ちょうど私の前には、同じく観光をしていた夫妻が並んでいた。しかし、私たちがツアーバスに乗り込もうとすると、運転手は私たちに向かって「もう受付は終わったよ」と言い、それでその日のツアー受付は終了してしまった。

夫の方が、私のつけていた Casual Connect のバッジに気付き、そのバッジについて質問してきた。そして、彼は自分の名前が Yunus Ayyildiz であること、妻であり同僚でもある Kubra Sezer Ayyildiz 氏と共にベルリンを訪れていることを教えてくれた。彼らは GameBra.in という名前のインディーズモバイルゲームスタジオを立ち上げ、彼らのゲーム「Hocus」がベストモバイルゲームの一つとして Casual Connect にノミネートされたらしく、そのためにベルリンに来たのだという。このタイトルは Android 版iOS 版両方でダウンロード可能だ。彼らのタイトルには他にも、「Rop」と「Voi」というものがある。いずれもシンプルなパズルゲームだ。

checkpoint-charlie
(上)ベルリンのチェックポイント・チャーリー
Image Credit: Dean Takahashi

冷戦時に東西ベルリンが交わる場所にあった交差点、チェックポイント・チャーリーまで一緒に歩いた。かつて、アメリカの警備員とロシアの警備員が対峙していた場所で、そこから戦争の火種がいつ生まれてもおかしくない状況だった。冷戦を象徴するような場所だ。私は、ベルリンの壁の残骸と思われる落書きだらけの石を指差した。 1961年のベルリン危機の際には、ここでアメリカの戦車が反対側にいるロシアの戦車に照準を合わせていた。

寒かったので、スターバックスに入り、コーヒーを飲んだ。夫妻はトルコのアンカラ出身で、Hocus はアプリストアにある彼らのゲームのうちの1つだと話してくれた。Hocus は550万ダウンロードを超える大ヒットとなった。

このゲームは Adobe Flash で構築されており、白黒の画面上の幾何学的な図形の上で赤いキューブを転がしていくというシンプルなものだ。Yunus Ayyildiz 氏は、芸術家 M.C.エッシャー氏からインスピレーションを受けてそのパズルゲームを制作したのだ、とブロークンイングリッシュで話してくれた。私にはそれが素敵に思えた。英語をほとんど話すことのできない夫妻でも、ゲームという普遍的な言語を通してコミュニケーションをとることができるのだ。

relativity
(上)M.C.エッシャー「相対性」
Image Credit: The M.C. Escher Company

カリフォルニア大学バークレー校の寮で過ごした何十年も前のことを思い返した。当時、エッシャーの「相対性」のポスターを壁に飾っていた。Yunis 氏はスマートフォンで Hocus を私に見せ、そのゲームが人々の間で広まっているのがどれほど嬉しいか語ってくれた。

Ayyildiz 夫妻は長年一緒にゲームを作ってきた。Yunus Ayyildiz 氏は、アンカラにある Orta Dogu Teknik Universitesi(中東工科大学)でゲームデザインを学んだ。2人はアンカラで出会って結婚し、現在はコワーキングスペースで多くのゲーム開発者と共に新しいゲームの制作を行っている。彼らの会社「Gamebra.in」の活動は昨年の7月に始まった。

casual-connect
(上)Gamebra.in Yunus Ayyildiz氏(Casual Connect Europeにて)
Image Credit: Casual Connect

Hocus は iOS 版で330万回、Android 版で220万回ダウンロードされており、米国とインドで特に人気だ。

Sezer Ayyildiz 氏は、ゲーム制作を仕事にすることについて「これが私たちの夢だったんです」と語った。

会社を大企業にしたいと考えているのか Yunus 氏に尋ねてみたが、彼はそんなことは考えていないらしい。彼はアーティストでいることを望んでおり、自分の独創性を阻害しない環境でゲーム制作をしたいと考えているという。

Hocus の考案にかかった期間は4〜5ヶ月ほどだが、開発にやり直しはつきもので、正しく機能するまでにさらに8ヶ月ほどかかった。

casual-connect-2
(上)Gamebra.in Kubra Sezer Ayyildiz 氏(Casual Connect Europe にて)
Image Credit: Gamebra.in

夫妻は、Game Developers Conference に参加するため、2月後半にはサンフランシスコに行くつもりだったと話していた。しかし、彼らはその予定をキャンセルしなければならなかった。

Sezer Ayyildiz 氏はビザの申請が2回却下されたと話す。ベルリンを訪れるときには何の問題もなく、自分たちのゲームを携えて独立系ゲームコンテストに参加することができたのにだ。 私たちがチェックポイント・チャーリーのすぐ近くでベルリンの壁について話していると、「トランプは壁を作ろうとしている」と言って Sezer Ayyildiz 氏は頭を横に振った。

私は彼らの幸運を願った。そして、すべてのアメリカ人がトランプと同じ考え方ではないことを彼らに伝えた。それから彼らと別れ、自分のホテルに戻った。きっと彼らはベルリンでの旅行を楽しんだはずだ。 Yunus Ayyildiz 氏は「Pocus」という新しいゲームがあると言っていた。おそらくそのうちアメリカでもお目にかかれるだろう。

開示情報:ベルリンまでの旅費は Casual Connect が負担してくれたが、当社の取材内容は客観性が保たれている。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

----------[AD]----------

楽天やサウジテレコムなど、中東47都市で配車サービスを展開するCareemに3.5億ドルを出資

SHARE:

ドバイを拠点に、中東地域で配車サービスを展開するスタートアップ Careem は本日(原文掲載日:12月19日)、シリーズDラウンドで3.5億ドルを調達したと発表した。このラウンドのリードインベスターは、日本のEコマース事業者である楽天とサウジテレコムが務めた。 今回の調達資金は、Careem が目下調達中の5億ドルの一部となるが、Careem はこのラウンドでの調達がいつ完了するかについてはコメ…

careem_featuredimage

ドバイを拠点に、中東地域で配車サービスを展開するスタートアップ Careem は本日(原文掲載日:12月19日)、シリーズDラウンドで3.5億ドルを調達したと発表した。このラウンドのリードインベスターは、日本のEコマース事業者である楽天とサウジテレコムが務めた。

今回の調達資金は、Careem が目下調達中の5億ドルの一部となるが、Careem はこのラウンドでの調達がいつ完了するかについてはコメントしていない。

Careem は、中東、パキスタン、トルコで同業競合の Uber より優位にあり、これは東南アジアで Grab がそうであるのと似ている。現在47都市でサービスを展開しており、前回の調達は2015年11月の6,000万ドルだった。

サウジテレコムは、同社傘下の VC である STC Ventures を通じて、Careem の既存投資家となっている。他の投資家には、プライベートエクイティの Abraaj Capital やサウジアラビアの Al-Tayyer Travel Group などがいる。

Careem は2012年、両者ともにマッキンゼーの経営コンサルタントだった Mudassir Sheikha 氏と Magnus Olsson 氏によって設立された。

8月に SimilarWeb が収集したデータによれば、Careem はサウジアラビア、パキスタン、アラブ首長国連邦で Uber よりも人気を得ている。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

----------[AD]----------

2015年の中東を賑わせるスタートアップ17選〜「Startup Istanbul 2015」ファイナリストの顔ぶれ

SHARE:

本稿は Startup Istanbul 2015 の取材の一部である。 先週、トルコ・イスタンブールで開催された、中東・北アフリカ地域最大のスタートアップ・カンファレンス「Startup Istanbul 2015」から、ピッチ・コンペティション「Startup Challenge」の模様をお伝えしたい。Startup Challenge では、世界各国から応募が寄せられ、その中から68カ国の1…

startup-istanbul-2015-startup-challenge-finalists

本稿は Startup Istanbul 2015 の取材の一部である。

先週、トルコ・イスタンブールで開催された、中東・北アフリカ地域最大のスタートアップ・カンファレンス「Startup Istanbul 2015」から、ピッチ・コンペティション「Startup Challenge」の模様をお伝えしたい。Startup Challenge では、世界各国から応募が寄せられ、その中から68カ国の100チームが予選を通過した。

メンタリングの結果50チームに絞られ、さらにそこから Startup Istanbul 2015 前日に開催された投資家による審査を経て、17チームがファイナリストに残った。昨年の結果と比べてみると、パキスタン勢がファイナリストに3チームも食い込んでおり、圧倒的に優勢を誇っているのがわかる。

Startup Challenge 決勝の審査員を務めたのは次の方々だ。

  • Steve Blank 氏(起業家 兼 起業家精神に関する教育者、著述家)
  • Andrea Barrica 氏(500 Startups ベンチャーパートナー)
  • 佐藤輝英氏(BEENEXT 創業者)

なお、ピッチの MC は、オジェギン大学教授の Erhan Erkut 氏が務めた。当初、500 Startups からは Dave McClure が審査員を務める予定だったが、Dave は時差ボケによる疲れとのことから Andrea が代打を務めることとなった。

優勝:NIMS(ケニア)

startup-istanbul-2015-startup-challenge-nims-winning

ケニアにおいては、人口の約半数は銀行口座を持っていない。したがって、多くの企業においては社員に給料を現金で支払っているが、このため給料支払の業務が煩雑になる。NIMS は、銀行口座よりも普及率の高いモバイルを金銭授受の窓口にすることで、給料支払に関わる手間を省くことができる。モバイルで給料を受け取った社員は、そのままモバイル決済で商品を購入したり、現金化したりすることができる。

startup-istanbul-2015-nims-screenshot

2位:iGrow(インドネシア)

startup-istanbul-2015-startup-challenge-igrow-winning

iGrow はインターネット越しに農作物を育てることができるプラットフォームだ。都会では農業を営むことができないユーザが、iGrow を介して資金をスポンサードし、遠く離れた農園で農作物の栽培を依頼することができる。投資した資金によって、農作物からは収穫売上が得られる。ユーザはその収穫売上の40%を手にすることができ、残りの60%はその後の農作物の育成のために使われる。Startup Asia Jakarta 2014 では優勝している

startup-istanbul-2015-startup-challenge-igrow

3位:Taskulu(イラン)

startup-istanbul-2015-startup-challenge-taskulu-winning

Taskulu は、タスク管理ツールの Trello と ビジネスグループ内情報共有ツール Slack の連携機能の提供に特化したサービス。もともとは共有情報の、グループ内のアクセス制限を管理する機能を提供していたが、ユーザからの声を受けて、現在の形にピボットした。Taskulu を使うことで、ユーザはプロジェクトの作成や担当者のロール付与が容易になる。ユーザの多くはイラン国外にいて、これまでに80万ドルの資金調達をクローズしている。

startup-istanbul-2015-startup-challenge-taskulu

Mytoddlr(ナイジェリア)

startup-istanbul-2015-startup-challenge-mytoddlr

Mytoddlr は、小学校入学前の子育てに関する、保護者のためのモバイルコミュニケーション/コラボレーション・プラットフォーム。これまでに2,000人の保護者が利用している。子供の成長、日常の活動、記憶に留めるべき瞬間をシェアして、保護者の子育てを支援する。子供の睡眠時間、トイレの時間などもアプリのアナリティクス画面で分析・管理できる。

Pockee(ギリシア)

startup-istanbul-2015-pockee-screenshot

Pockee は、スーパーマーケットへ顧客を誘導する O2O アプリ。人気ブランドのディスカウント・クーポンを入手することができ、スーパーで利用することができる。連日、200以上の日用品のクーポンが提供され、ギリシア国内で、最寄りのスーパーでの買い物時に利用が可能。割引が適用された購入については、買い物から1〜7日以内にユーザの銀行口座または PayPal の口座に割引金額がキャッシュバックされる。

Melissa Climate(ブルガリア)

startup-istanbul-2015-startup-challenge-melissaclimate

Melissa Climate はエアコンにつながる IoT。スマートフォンを使って、エアコンが備え付けられている場所以外から遠隔制御できるほか、現場の気候条件、ユーザの習慣などを学習し、利用する電力を最大25%カットすることができる。先ごろ、香港で開催されたスタートアップ・カンファレンス RISE のピッチ・コンペティションで優勝した、香港のスタートアップ Ambi Climate にもコンセプトが似ている。

Picturesqe(ハンガリー)

startup-istanbul-2015-startup-challenge-picturesqe

Picturesqe は人工知能により、数多くの写真の中から必要な写真を即座に探し出すことができるソリューション。深層学習によりユーザの好みを理解して、ある対象物を撮影した複数の写真の中から、ユーザが最も欲する写真をヒットすることができる。同じ人物が写っている写真をグルーピングできるほか、トリミングしても写真をぼかさずにズームインできる IntelliZoom 機能、ビジネスやプライベートで多くの写真を扱う人に便利な機能が満載。

Expensya(フランス)

startup-istanbul-2015-startup-challenge-expensya

Expensya は、中小企業向けの社員の経費精算を効率化するモバイルアプリ+クラウドソリューション。社員はアプリを使って、手入力またはレシートの写真を撮ることで経費入力が可能。多くの経理アプリケーション向けにデータをエクスポートできるほか、ダッシュボードを通じて会計士がデータにアクセスすることもできる。日本の Staple とコンセプトは似ている。アプリは、iOS、Android、Windows Phone でダウンロード可能。1ユーザあたり月額6.99ユーロ。

WebHR(パキスタン)

startup-istanbul-2015-startup-challenge-webhr

WebHR はクラウドベースの人材管理サービス。フリーミアムサービスで、社員10人までのスタートアップや中小企業は無料で利用することができる。社員数10人を超えた起業には、ユーザ一人あたり60セントの月額費用がかかる。これまでに12,000社のサインアップがあり、うち、190カ国の400社は既に有料ユーザとのこと。今後は、欧米を中心に Fortune 500 など有名企業を顧客に獲得したいとしている。

Hajj Guider(パキスタン)

startup-istanbul-2015-startup-challenge-hajj-guider

Hajj Guider は、イスラム教徒にとって欠かすことのできないメッカ巡礼(Hajj)や小巡礼(Umrah)を、問題なくやり遂げることをサポートするアプリ。巡礼者同士の情報共有が可能で、メッカ巡礼者向け特別便(ハッジ・フライト)、宿泊情報、ナビゲーションや混雑していない場所の情報などを得ることができる。近年、メッカ巡礼においては、巡礼者混雑による将棋倒し死亡事故などが相次いでおり、情報共有によって、それらの問題を未然に防ぐ意図もある。2016年初頭にアプリをリリース予定。

SecurityWall(パキスタン)

startup-istanbul-2015-startup-challenge-securitywall

SecurityWall は、Startup Istanbul 史上最年少となるパキスタンの17歳の少年によるスタートアップ。サーバ、ソフトウェア、ウェブアプリなどの脆弱性診断やマルウェアの防御や除去を定期的に実施してくれるサービスを提供。近年、サイバーアタックやマルウェアなどによる被害が増加する一方、企業の中にはセキュリティに関する専門家が置けないのが実情。これらの企業に、SecurityWall はクラウド的にセキュリティ・サービスを提供する。2015年4月に開催された Cyber Secure Pakistan で優勝している。

Transterra Media(レバノン)

Transterra Media は、ニュース、ジャーナリズム、広告用のテキスト、写真、ビデオなどを販売できるマーケットプレイス。4,000人のコンテンツ供給者がいて、コンテンツを購入するニュース・パブリッシャーには、Al Jazeera や NBC など中東や欧米の放送局など。販売できたコンテンツについては、売上の70%をコンテンツ供給者、30%を Transterra Media で分配する。コンテンツ供給者は、ソーシャルメディアを使って集めている。来年には、年間200万ドル程度の売上を見込んでいるとのこと。

WePress(トルコ、アラブ首長国連邦)

startup-istanbul-2015-startup-challenge-wepress

WePress は、記事を書くジャーナリスト、ニュースを映像で伝えるビデオジャーナリストを、テーマに応じて該当する分野の出版物、オンラインニュースサイトの編集者とつなぐマーケットプレイス。出版放送分野の企業や編集者のディレクトリ・データベースが用意されており、ジャーナリストは自身の過去作品を提示し、売り込みをすることができる。編集者とのやりとりができるメッセージ機能も搭載。

Waveit(イスラエル)

startup-istanbul-2015-startup-challenge-waveit

Waveit は、写真やビデオを投稿し、Tinder ライクなインターフェイスにより、好きなら右へ、嫌いなら左へ、お気に入りなら下へ、シェアするなら上へスワイプすることで、関心の近い人々とつながることができるソーシャルアプリ。自分が写真を撮った位置情報が地図上に表示されるほか、その写真投稿を気に入った(wave)したユーザの情報も地図上に表示され、自分の投稿がどこまで影響を及ぼしているかを可視化することができる。

Uplift(アメリカ)

startup-istanbul-2015-startup-challenge-uplift

Uplift は、スタンフォード大学発の無人航空機(UAV)スタートアップ。社会起業(ソーシャル・アントレナーシップ)を念頭においており、地理的または政治的に人道救助が必要な人たちに救援物資を届けることを目的としている。近年、特にトルコからヨーロッパに広がるシリア難民の問題解決の一助として、国境を越えて難民に物資を届けることが一つの想定ユースケースとして披露された。

Welcome(ギリシア)

startup-istanbul-2015-welcome-screenshot

Welcome は、初めて行った旅先で、まるで友人が迎えてくれるかのようなサービスを提供。空港に降り立ち右も左もわからない中で、空港での車によるピックアップ、データ通信用の SIM カードの提供、宿泊先の提供などを実現する。Airbnb や Uber など、複数のシェアリングエコノミーサービスとの連携により、これらのサービスをワンストップで提供できるのが特徴。訪問先に関する Q&A もアプリを通じて受け付ける。アメリカでは出張の多い人のために、衣料品を預かり、出張の都度ホテルまで洗濯した衣料品をスーツケースにパックして送ってくれる Dufl が存在するが、このようなサービスと連携しても面白いかもしれない。

Gaming Battle Ground(クロアチア)

Gaming Battle Ground (GBG) は、ユーザがオンラインゲーム対戦を作成し、参加することで収入を得ることができるプラットフォーム。ゲームを選び、参加人数と対戦日をセットするだけで対戦を作成できる。eスポーツのゲームを提供するプロバイダー複数社と提携しており、これらのゲームのトーナメントを簡単に作成できる。今年3月にセルビアのベオグラードで開催された Startup Sauna 地域大会で優勝。

----------[AD]----------

500 Startups、トルコのスタートアップ向けに1500万米ドルのファンドを設立

SHARE:

<ピックアップ> 500 Startups creates a $15M microfund to invest in Turkish startups 世界各地のスタートアップへの投資に力を入れている 500 Startupsだが、今回新たに1500万米ドルのファンドをトルコのスタートアップ向けに設立する。ここ最近、中東やイスラエル、日本など米国外での投資に力を入れている 500 Startup…

via Flickr by “A Health Blog“. Licensed under CC BY-SA 2.0.
via Flickr by “Joseph Kranak“. Licensed under CC BY-SA 2.0.

<ピックアップ> 500 Startups creates a $15M microfund to invest in Turkish startups

世界各地のスタートアップへの投資に力を入れている 500 Startupsだが、今回新たに1500万米ドルのファンドをトルコのスタートアップ向けに設立する。ここ最近、中東やイスラエル、日本など米国外での投資に力を入れている 500 Startups だが、新たに注力を入れるマーケットにトルコが含まれることが明らかになった。

ちなみに500 Startupsはトルコのスタートアップへの投資という点ではすでに実績があり、これまでの投資先にはオンラインコースプラットフォーム Udemy、匿名チャットアプリConnected2.me、マーケットプレイスへの販売者向け広告サービスBoostable、アプリストア最適化ツール Mobile Action、開発者コミュニティ Kodingなどが含まれる。

VentureBeatの記事によれば、500 Startupsは今後トルコの100のスタートアップに投資をする意欲があるという。投資の具体的なタイムラインは得に決まっておらず「数年かかるかもしれない」ともいうが、それだけ長期的な成長を視野に入れた上での決断といえる。

以前、「活気づくトルコのスタートアップシーン【2015年前半のレポート】」でもお伝えしたが、トルコのスタートアップはここ最近大きな成長を見せている。2015年前半の投資ラウンドの数は昨年と比較すると50パーセント増加、またアーリーステージのスタートアップに対する投資総額の増加率は200パーセントとのこと。今年に入ってから、最大の資金調達は決済サービス「Iyzico」の620万ドルであり、イスラム圏のファッションEコマース「Modanisa」の550万ドルの調達が後に続く。

今回新たに500 Startupsによるファンドが設立されるというニュースで、さらに世界の投資家の注目が集まりトルコのスタートアップシーンが活気づくことが期待される。

via. VentureBeat

----------[AD]----------

中東最大のスタートアップ・カンファレンス「Startup Istanbul 2015」が開催、Steve Blankほか世界の著名人が一挙集結

SHARE:

本稿は Startup Istanbul 2015 の取材の一部である。 5日(現地時間)、トルコ・イスタンブールで年次のスタートアップ・カンファレンス「Startup Istanbul 2015」が開催され、中東・西アジア、東ヨーロッパ・北アフリカの国々の起業家、欧米の投資家らが一堂に会した。このイベントには世界68カ国から100社のスタートアップが集められ、トップの座を争うピッチ・コンペティシ…

startup-istanbul-2015-speed-dating

本稿は Startup Istanbul 2015 の取材の一部である。

5日(現地時間)、トルコ・イスタンブールで年次のスタートアップ・カンファレンス「Startup Istanbul 2015」が開催され、中東・西アジア、東ヨーロッパ・北アフリカの国々の起業家、欧米の投資家らが一堂に会した。このイベントには世界68カ国から100社のスタートアップが集められ、トップの座を争うピッチ・コンペティションが実施された。ピッチの模様については改めて書くことにするが、Startup Istanbul の中で興味深かったセッションについて取り上げてみたい。

startup-istanbul-2015-steve-blank-2

Startup Istanbul 2015 の冒頭には、自身も起業家であり起業家教育に力を注ぐ Steve Blank 氏が登場し会場を沸かせた。

Blank 氏は近年、さまざまな形式のスタートアップが姿を現し始めていることを指摘し、corporate startup(企業内スタートアップ、いわゆる intrapreneur に近いと考えられる)も、social startup(金銭的な見返りよりも、社会的な意義を尊重するスタートアップ)も、いずれもスタートアップだと説明した。

その上で、Blank 氏はスタートアップを「再現可能(or ピボット可能)かつスケールする可能性のあるビジネスモデルを探求し続ける上での一時的な組織体系(temporary organization in search of repeatable (or pivotable) and scalable business model)」と定義づけた。

スタートアップに求められるのは、ディストリビューション・モデルを見出し、ビジネスモデルを見出し、誰が客を考え、 MVP(Minimal Viable Product、実用最小限プロダクト)を作り上げること。企業の90%以上は失敗する。しかし、その失敗におめでとうといいたい。

スタートアップとは、アメーバのように形を変え続けるものだ。増えては消え、時には分裂し、中には消滅することもある。一般企業の四季報と違って、スタートアップのデータベースをメンテナンスするのは、それゆえ大変だったりするわけだが、仮に IPO したとしても、変化し続けることを忘れたり、恐れるようになったら、もはやスタートアップではないのかもしれない。

startup-istanbul-2015-steve-blank-1

起業家とは仕事ではない。それは、衝動に駆られるもの(calling)だ。スタートアップの世界では皆、ローカル vs. グローバルみたいな話をする。しかし、どんな国にだって地域市場は存在する。トルコには6,500万人もの人口がいるでしょ。トルコのスタートアップの人たちには、ぜひ、自分たちの地域の情報やアドバイスを、ブログや Wiki を作ってシェアしてほしい。(Blank 氏)

また、政府には助成金などの形でスタートアップにお金をばらまくのではなく、スタートアップの自発的なエコシステム形成を支援してほしいと付け加えた。

startup-istanbul-2015-dave-mcclure-2

続いて、500 Startups からは Dave McClure 氏が登場、世界中の人々がシリコンバレーを目指す中で、むしろ、自分のいる国や地域でスタートアップすることの意義を訴えた。

シリコンバレーなんて、みんな、シリコンバレー以外の地域から来た人たちの集まりに過ぎない。シリコンバレーとは、(場所ではなくて)精神の状態(state of mind)のことを言うんだ。世界中、どこに居たってスタートアップはできる。

startup-istanbul-2015-dave-mcclure-1
左から:Erhan Erdogan 氏、Dave McClure 氏、Erbil Karaman 氏

500 Durians、500 Tuktuks、500 Kimchi、500 Startups Japan など、世界各地で地域特化型マイクロファンドを続々と発表している 500 Startups だが、この日、500 Startup Turkey の設立と、同マイクロファンドを担当するトルコ現地のベンチャーパートナーとして Erhan Erdogan 氏と、ファンドマネージャーとして Erbil Karaman 氏が就任することを発表した。500 Startups では同社が出資したスタートアップが一定のイグジットを経た後も、その元創業者や関係者を Entrepreneur-in-Residence (EIR) などとして関係を維持し、状況にあわせて、マイクロファンドの運用責任者に抜擢したりしているようだ。

startup-istanbul-2015-teru-sato-1

日本からは、先ごろ新ファンド「BEENEXT」のローンチを発表した佐藤輝英氏がファイヤーサイドチャットに登壇した。Beenos の頃から、佐藤氏はトルコのスタートアップに積極的に投資を行っており、この地域の起業家にとっては憧れの存在だ。

佐藤氏はモデレータからの、投資先のスタートアップをどのようにコーチしているか、との問いに次のように答えた。

トルコでもインドでも、私は外国人であり、当地の市場のことは当地の起業家が一番よく知っている。何かをアドバイスすることはできない。

我々ができるのは、起業家と話し、その起業家を信じること。そして、その起業家に情報を与えること。投資先のスタートアップ同士で、自分たちの秘訣をシェアし合えるような環境を作ること。それだけだ。

佐藤氏は以前にも言っていたインドやトルコのEコマース関連のスタートアップに投資を続ける理由、BEENEXT がインドへの投資を活発化させている理由を披露し、聴衆の関心を引いていた。

startup-istanbul-2015-teru-sato-2


この記事にもあるように、MENA では総じて起業意欲が高まっており、筆者が会場や周辺イベントで話を聞いた限りでは、特にイランにおけるスタートアップ・コミュニティの隆盛が著しいようだ。クレジットカードやオンラインバンキングなど先進国的なインフラが未整備な市場ながらも、各種インターネット・サービスへのニーズが高まっている、イランの起業家の話によれば、この一年間でイランだけでスタートアップ・アクセラレータが6つ新たに生まれており、TechlyItIran などといった IT やスタートアップに特化したメディアも立ち上がってきている。

西アジアや中東のスタートアップの多くは、自国でローンチした後、次の活路をイスタンブールやドバイといった地域のハブ都市に求め、欧米をはじめとする全世界向けのサービスを開発して資金調達に成功した後、ニーズに応じて、よりアクセスのよい世界の都市へと飛び立って行く、というシナリオが形成されつつあるようだ。

Startup Istanbul のクロージングの折、司会者にステージ上に呼び出された Startup Istanbul のプロデューサーで、トルコのインキュベータ eToham の創業者 Burak Buyukdemir は「来年は、Startup Istanbul ではなく Startup MENA になるかもね」と語っていた。

左から MC を務めた Erhan Erkut 氏、eToham 創業者で Startup Istanbul プロデューサーの Burak Buyukdemir、最右はスタートアップのメンタリングを担当したオゾン氏
左から:MC を務めたオジェギン大学教授の Erhan Erkut 氏、eToham 創業者で Startup Istanbul プロデューサーの Burak Buyukdemir 氏、最右はスタートアップのメンタリングを担当した Ozan Sonmez 氏
----------[AD]----------

活気づくトルコのスタートアップシーン【2015年前半のレポート】

SHARE:

<ピックアップ>Facts and figures: the Turkish startup ecosystem in H1 2015 THE BRIDGEでもトルコのスタートアップシーンについて何度か取り上げ、現地のトレンドを伝えてきたが、確実にトルコのスタートアップシーンは成長しているようだ。tech.euで紹介されていた「2015年前半のトルコのスタートアップエコシステムの結果」…

via Flickr by “A Health Blog“. Licensed under CC BY-SA 2.0.
via Flickr by “Moyan Brenn“. Licensed under CC BY-SA 2.0.

<ピックアップ>Facts and figures: the Turkish startup ecosystem in H1 2015

THE BRIDGEでもトルコのスタートアップシーンについて何度か取り上げ、現地のトレンドを伝えてきたが、確実にトルコのスタートアップシーンは成長しているようだ。tech.euで紹介されていた「2015年前半のトルコのスタートアップエコシステムの結果」によると、2015年前半の投資ラウンドの数は昨年と比較すると50パーセント増加、またアーリーステージのスタートアップに対する投資総額の増加率は200パーセントと、大きな成長を示している。

エグジット例はまだ少ないものの、今年前半にはドイツのデリバリーサービス「Delivery Hero」がトルコの競合である「Yemeksepeti」を5億8900万ドルで買収するというビッグニュースもあった。これは、デジタルフード注文業界においては最大額の買収だった。こうした大きなエグジットを含めて数ケースのエグジット例も出てきており、こうした動きは確実にトルコのスタートアップ、投資家のやる気を掻き立てているようだ。

トルコのアーリーステージスタートアップ向けVC 「212」のファウンダー Ali Karabey氏がtech.euにコメントした内容によれば、数年前の第一世代のスタートアップは資金調達に苦労していたが、現在では資金調達環境も大幅に向上し、また国内のデジタルマーケットの成長もスタートアップを後押ししているようだ。また、人口8000万、そのうち24歳以下が42パーセントを占めるという、若さ溢れる大きな国内マーケットは大きな強みといえるだろう。

同記事によると、今年に入ってから最大の資金調達は決済サービス「Iyzico」の620万ドルであり、イスラム圏のファッションEコマース「Modanisa」の550万ドルの調達が後に続く。

こうした投資状況の向上は、2013年に開始されたエンジェル投資家に対する税制優遇制度など、政府による支援策も要因になっているようだ。また、Karabey氏によれば、特にSaaS、マーケットプレイス、IoT、フィンテックは堅調に伸びているとのことだ。

via. tech.eu

----------[AD]----------

Facebookレポート:インド政府とトルコ政府、ソーシャルネットワーキングの取り締まりを強化

SHARE:

政府からのデータ要求が全体的に横ばいになっているというレポートを公表したFacebookは、トルコとインドの政府からの要求が劇的に増加したと述べた。 その要求内容は、特定のコンテンツを遮断するか、ユーザアカウントへのアクセスを求めるものであった。 このソーシャルメディア企業による最新の政府請求レポートの中で、Facebookは2014年の下半期にユーザアカウントデータに関する35,051件の要求を…

screen-shot-2015-03-13-at-1-14-33-pm

政府からのデータ要求が全体的に横ばいになっているというレポートを公表したFacebookは、トルコとインドの政府からの要求が劇的に増加したと述べた。 その要求内容は、特定のコンテンツを遮断するか、ユーザアカウントへのアクセスを求めるものであった。

このソーシャルメディア企業による最新の政府請求レポートの中で、Facebookは2014年の下半期にユーザアカウントデータに関する35,051件の要求を受けたという(同年上半期は34,946件)。Facebookによると、現地の法規違反で制限もしくは遮断されたコンテンツ数は9,707件で、これも同年上半期の8,774件から増加したという。

Facebookによると、この35,051件の要求のうちインドは5,473件で、同年上半期の4,559件から増加した。

Facebookはこのほか、インドで5,832件のコンテンツを遮断した(同年上半期は4,960件)。この数字は、Facebookが遮断した全件数の半数には満たない。

「当社が要求を受けたのは、主としてインド法執行当局のほか、通信情報技術省に属するインドコンピュータ緊急対応チームからのもので、これらの機関から提供されたコンテンツの制限をインドで行いました。これには、社会的な不安や非調和を引き起こしかねない反宗教的な内容やヘイトスピーチがありました」とFacebookはコメントしている。

トルコ政府が2014年下半期にユーザアカウントの情報を要求した件数は165回にすぎない。しかし、トルコで遮断されたコンテンツ数は同年上半期の1,893件から3,624件に増加した。

「当社は、主としてトルコ裁判所(およびAccess Providers Union)、現地法5651を管轄しているテレコム当局から提供された内容にアクセス制限を加えました。これにはアタテュルク(編集部注:トルコの初代大統領)への誹謗中傷、人権侵害、個人プライバシーなど様々な攻撃的な内容が含まれていました」とFacebookはコメントしている。

Facebookの報告によると、米国でのユーザアカウントデータに関する要求は2014年上半期の15,433件から下半期には14,274件に減少した。ただ、全般的なことを言えば、Facebookは政府からのこうした要求に抵抗しており、今でもおよそ要求されてもその8割程度は米当局に押し返しているという。

「当社では政府からのそれぞれの要求内容を吟味し、不備があれば押し返すようにしています。また、世界各国の政府に対し、国民の権利と自由を保護しつつ国民が安心、安全であるように監視する慣行を見直してほしいと訴えています」と、Facebookグローバルポリシーマネジメントの部門ヘッドであるMonika Bickert氏はブログ記事で綴った

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

----------[AD]----------

2015年の中東を賑わせるスタートアップ4選〜トルコ最大のスタートアップイベント「Startup Istanbul」から

SHARE:

世界を旅する人にとって、訪問先のリストの中から外すことができない街があるとすれば、その一つはイスタンブールだろう。そこはヨーロッパとアジアをつなぐ街であり、シルクロードの終点であり、地中海や中東の国々の人々が行き交う。トルコの人口は約7,500万人と比較的大きいため、トルコのスタートアップはトルコ市場をターゲットにしたものが多い一方、近隣諸国のスタートアップがこの地に集い、独特のメルティングポット…

istanbul-birdview

世界を旅する人にとって、訪問先のリストの中から外すことができない街があるとすれば、その一つはイスタンブールだろう。そこはヨーロッパとアジアをつなぐ街であり、シルクロードの終点であり、地中海や中東の国々の人々が行き交う。トルコの人口は約7,500万人と比較的大きいため、トルコのスタートアップはトルコ市場をターゲットにしたものが多い一方、近隣諸国のスタートアップがこの地に集い、独特のメルティングポット的なスタートアップ・コミュニティを作り上げているのも事実だ。

今年2月、筆者はトルコの保養都市アンタルヤで開かれた Startup Turkey というイベントを訪れた。このイベントを主催したのは、イスタンブールのインキュベータ eTohum(ちなみに、tohum とはトルコ語で「種やシード」の意味)で、ターキッシュエアラインズの機内エンターテイメントでスタートアップのピッチが見られるサービス「Invest on Board」なども展開している。


 
<関連記事>

Startup Turkey ではトルコの起業家が地元やヨーロッパの投資家から資金調達の機会を獲得することにフォーカスしているが、中東や西アジアの起業家が互いに知り合うために、eTohum がよりカジュアルな場を提供しようとして始めたのが Startup Istanbul だ。第一回が今年9月に開催され、日本のスタートアップ・シーンについての知見を披露してほしいとの依頼で、筆者も招かれることになった。

startup-istanbul1

パネルやピッチセッションには、500 Startups の Dave McClure、Justin.tv 創業者で Y Combinator のパートナーである Michael Seibel も招かれ、中東のスタートアップ・シーンにシリコンバレーの流儀を広く知ってもらおう、という意図も隠されていたようだ。

その地域のスタートアップ・イベントのピッチに登壇したスタートアップを知れば、その地域のスタートアップ・シーンやトレンドが見えて来るというのが筆者の信念なので、例によって、Startup Istanbul のピッチ・コンペティション「Startup Challenge」に登壇したスタートアップの中から、入賞表彰された4チームをビデオ付きでご紹介したい。

〈第1位〉 Connected2.me(トルコ)

connected2me-at-startup-istanbul
500 Startups の Dave McClure らから1位の表彰を受ける、Connected2.me のチームメンバー。

世の中に存在するチャットアプリは、ハンドルネームであれ、実名であれ、自分の素性を明らかにする必要のあるものがほとんどだ。対して、全く個人認証をしないしくみであれば、無責任のあまり相手のことを誹謗中傷するなど、ユーザが不愉快な思いをすることになってしまう。

Connected2.me は Facebook 認証しながらも、ユーザは互いのハンドルネームや実名を公開することなくチャットすることができる。タブーの多いイスラム圏においても、匿名性を担保することで自由闊達な意見交換やコミュニケーションが可能になる。

〈第2位〉 Lix Pen(イギリス)

lixpen

3Dデータを作成するのは手間のかかる作業だ。既に形のあるものであれば3Dスキャナで取り込めるが、そうでなければ、3D CAD を作ってデータを一から作り上げなければならない。メモ用紙とペンがあれば、簡単にアウトプットが製作したり複数が作れたりする 2D の世界とは大きく異なる。

Lix Pen は立体を描き上げながら、3Dデータを取り込むことができるペンだ。ペン先からは特殊なインクが出て立体が形成されてゆき、ペンからは USB 経由でその動きが3Dデータとしてパソコンに転送される。この3Dデータを補正して3Dプリンタに流し込めば、立体を簡単に複製することができる。3D CAD に不得意な人でも3Dデータを簡単に作成できるので、3Dプリンティングの可能性を飛躍的に高めることができるだろう。今年5月に行った Kickstarter での資金調達キャンペーンでは、3万ポンドの目標額に対し24倍以上の73.1万ポンドを集めた。

〈第3位〉 Silkroad Images(ヨルダン)

silkroad-images_screenshot

Silkroad Images はアラブ特化型の写真販売サイトだ。2011年にヨルダンでローンチし、400人の写真家が登録、85,000枚以上の写真が常時アップロードされている。最近、500 Startups のインキュベーション・バッチに参加、これまでにヨルダンのインキュベータ Oasis500 や 500 Startups などから累積総額45万ドルほどの資金を調達している。

CEO の Riham Mahafzah に聞いたところ、資金調達の関係などもあり、現在はヨルダンやトルコよりもサンフランシスコで活動していることが多いとのことだ。世界的な写真販売サイト Shutterstock などを見ていても、写真は欧米中心で中東やアラブ社会のものは少ないことから、このニッチに対するニーズは中東に限らず世界中に潜在していると考えられる。

〈特別賞〉 ZarinPal(イラン)

zarinpal

ZarinPal は、イラン国内向けのオンライン決済プラットフォームだ。欧米をはじめ西側諸国であれば、日常的に Visa や MasterCard が使える。送金においても Swift などの銀行間決済システムが使える。しかし、イランではそうはいかない。イランの人口は7,700万人、その約半数がインターネットにアクセスできるので、インターネット人口で言えば、東南アジア最大の市場とも言えるインドネシアをも凌ぐ。このようなポテンシャルの高い市場で栄えるのはEコマース。したがって、ZarinPal は、Eコマースとは切っても切れない関係にある決済ビジネスが大きく伸びるだろう、というシナリオに基づいたビジネスだ。

Visa や MasterCard、あるいは、海外のオンライン決済システム会社が本格的にイランに進出するときには、おそらく、ZarinPal は買収/統合されるという運命をたどるのだろう。近年、決済系事業を営むスタートアップはバリュエーションが高くなる傾向があるが、イランのようにインターネット人口が多い割に決済システムや物流サービスが未発達の国においては、この種のスタートアップの動向に要注目である。


本稿では入賞したスタートアップ4チームのみを紹介したが、それ以外にも11のチームがエジプト、インド、パキスタンなどから登壇していた。彼らのピッチの模様も収録してあるので、興味のある読者はチェックしてみてほしい。

なお、次回の Startup Turkey 2015(前述したように、Startup Istanbul ではない、スタートアップの資金調達を意図したイベントの方)は2月26〜28日にトルコのアンタルヤで開催される予定だ。シンガポールで開催される Incubate Camp Asia(2月25日)や Asia Leaders Summit 2015(2月27〜28日)とスケジュールが重なっているが、幸いシンガポールとトルコの間には、ターキッシュエアラインズがオーバーナイトの直行便を飛ばしており、時差も手伝って、これら全てのイベントを制覇するのも不可能ではなさそうだ。Startup Turkey からは、日本からも投資家や起業家を呼びたい、日本にフォーカスしたパネル・ディスカッションを企画したいと聞いているので、参加に興味のある読者がいたら教えてほしい。

startup-istanbul2

 

----------[AD]----------

トルコのスタートアップ・シーンは今(2/2)—イスタンブールのインキュベータと急進スタートアップを訪ねて

SHARE:

2月下旬、中東随一のスタートアップ・カンファレンス「Startup Turkey 2014」に参加するため、トルコ南部の保養地アンタルヤを訪問した。このイベントの様子については、本稿前編で紹介している。 3日間のカンファレンスを終えて、筆者はトルコのスタートアップ・ハブとなっている街イスタンブールに向かった。イスタンブールは、黒海とエーゲ海をつなぐ海峡都市で、よくヨーロッパとアジアをつなぐ交差点と…

istanbul-birdview

2月下旬、中東随一のスタートアップ・カンファレンス「Startup Turkey 2014」に参加するため、トルコ南部の保養地アンタルヤを訪問した。このイベントの様子については、本稿前編で紹介している。

istanbul-map3日間のカンファレンスを終えて、筆者はトルコのスタートアップ・ハブとなっている街イスタンブールに向かった。イスタンブールは、黒海とエーゲ海をつなぐ海峡都市で、よくヨーロッパとアジアをつなぐ交差点と形容される。イスタンブールのヨーロッパ側とアジア側は、車が走れる橋と海底を走る地下鉄でつながっており、この橋と地下鉄は、日本政府の協力で作られたものだ。下の写真は、地下鉄の完成を記念して駅に掲げられていたプレートだが、120年前のエルトゥールル号事件と共に、トルコに親日派が多い理由を物語っている。

marmaray-plate

大学の街にオフィスを構える、スタートアップ・インキュベータ「eTohum」

usukudar-porttown
イスタンブールのアジア側、ユスキュダル港周辺の繁華街

イスタンブールのアジア側「ユスキュダル」の波止場から20分ほど坂道を上ると、複数の私立大学がキャンパスを構える学生街が現われる。聞くところによれば、イスタンブールはヨーロッパ側よりアジア側の方が家賃や物価が安いらしく、商業地区の印象が強いヨーロッパ側とは対照的に、アジア側には庶民や学生が多く住んでいる。「Startup Turkey 2014」を主催した、トルコのスタートアップ・インキュベータ eTohum のオフィスは、そんな学生街の一角にある私立大学のビルの中にあった。オフィスを訪問すると、数日前にアンタルヤで会ったばかりの、eTohum の創業者 Burak Büyükdemir が迎えてくれた。

burak-portrait彼の説明によれば、これまでのところ、トルコのスタートアップ界からは、まだIPOのような大きなイグジット事例が生まれていない。比較的大きなものでも、前編に記したトルコ版〝出前館〟の Yemek Sepeti がニューヨークの投資会社 General Atlantic から資金調達したケースで4,400万ドル、南アフリカの Naspers が会員制プレミアムコマースサイト Markafoni の株式を70%取得したようなケースに留まる。Burak の夢は、IPOを目指せるようなクラスの有望スタートアップをトルコから多数輩出することだ。そのために、トルコ国内の複数大学と共同でインキュベーション・プログラムを展開し、Startup Turkey のような年次イベントや週次のミートアップを複数開催している。

数年前までは学生起業家が大半を占めていたトルコだが、近年では、ホワイトカラーのビジネスマンが起業するケースが増えている。典型的な起業家の姿は25〜35歳位の男性、インキュベーション・プログラムに集まる起業家の平均年齢も29歳とか30歳位が多くなってきているので、それだけ職業の選択肢として認識されつつあるのだろう。

eTohum のオフィスには日本を含め、世界中のインキュベータ、投資家、インターネット企業からの訪問が増加しており、これは今後、欧米や日本からのトルコのスタートアップへの投資が増えることを予見させる。おそらく、トルコのスタートアップの IPO 第一号が現われるときこそ、この市場が爆発的な成長を見せる転換期になるに違いない。

etohum-building
eTohum 本部が入居する、私立大学 Özyeğin Üniversitesi のビル。

etohum-office1

etohum-office2

etohum-university-building
eTohum のインキュベーション・オフィスが入居する、Şehir Üniversitesi のキャンパス。
etohum-office3
eTohum のインキュベーション・オフィス。

設立2年半で16社のスタートアップを輩出した「Fit Startup Factory」

fitstartupfactory-building
Fit Startup Factory が入居するビル。

イスタンブールのヨーロッパ側に戻り、オフィス街の大型ショッピングモールの近く、Groupon Turkey などが入る雑居ビルに Fit Startup Factory のオフィスを見つけた。イスタンブールの私立大学 Özyeğin Üniversitesi が、現地モバイルキャリアの Turkcellトルコ経済銀行(TEB)の協力で2011年に設立した新興スタートアップ・インキュベータだ。

特にアポを取らずに思いつきで立ち寄ったので、訪問当日はインキュベータの責任者は不在だったが、事務担当者が快くインキュベーション・オフィス内を案内してくれた。Fit Startup Factory では、5週間のブートキャンプを提供しており、これに加え、MasterCard や SAP などの大企業と組んで、決済系やビッグデータ系など分野別アクセラレーション・プログラムを提供している。

設立以来1,100件以上のプログラムへの参加の応募が寄せられ、これまでにここから輩出されたスタートアップは16社に上る。起業家や投資家を中心に約30人のメンターを擁し、イスタンブールのみならず、トルコ国内各地の大学を訪問し、ミートアップやブートキャンプなど、起業を啓蒙するイベントの出前開催に重点を置いて活動しているそうだ。投資ファンドや政府系企業、トルコ国外の起業プログラムとも密接に連携しており、eTohum と同じく、注目すべきスタートアップ・ハブの一つと考えてよいだろう。

fitstartupfactory-2

fitstartupfactory-1

トルコから欧米市場をターゲットに見据える音楽版 LinkedIn「Giggem」

giggem-1
Giggem の開発チーム。

Fit Startup Turkey から程近いオフィス街に拠点を置くスタートアップ Giggem を訪問した。創業者の Emir Turan をはじめとするチームメンバーが、センスのよい調度品が揃ったオフィスに筆者を迎え入れ、トルコティーをご馳走してくれた。

giggem-emir
Giggem founder/CEO Emir Turan

Giggem は、音楽を楽しむ人を互いにつなぐバーティカルSNSだ。歌手、バンド、音楽プロデューサー、録音技術者、作詞家、興行主など、半ば人々が趣味でやっている音楽活動のチームアップを助け、ビジネスにできる可能性を提供する。2013年10月のローンチ以来15,000人程のユーザがサインアップし、現在14,000件の(「バンドを一緒にやろう」のような)募集広告が掲載されているそうだ。

開発チームを含む本社機能はイスタンブールに置いているが、サービスへのアクセスは、音楽ビジネスが盛んなロンドンとロサンゼルスからが多い。オンライン・サービスとはいえ、つながった人々が実際に音楽活動をする際には、一カ所に集まることが多いからだ。Giggem は既にロンドンとロサンゼルスにスタッフを置いているが、今後、この2都市に現地オフィスを構え、マーケティングを強化する計画だ。

Emir は、トルコの起業家の中では、かなり希有な存在と言えるだろう。トルコの食品メーカー大手 ETI Group の創業家に生まれた彼は、生まれながらにして、この大企業を牽引する運命を背負っていた。大学卒業後は弁護士になり、欧米系の銀行で働いた後、ETI Group の経営部門に招かれた。しかし、彼は既に完成された大企業の経営の煩わしさを嫌い、自分の手で一から事業を興すことを決意。若い頃から慣れ親しんでいるギターやバンド活動にヒントを得て、Giggem をローンチさせた。

大きなビジネスを目標に掲げる起業家が多い中、それを投げ打ってまでスタートアップを始めた彼の選択は、凡人である筆者の眼には、少し贅沢な生き方のようにも映る。しかし、さまざまな志を持った起業家がいる多様性こそ、スタートアップ・コミュニティの成熟度を示すバロメーターであり、そういう点で、Emir との会話は、トルコのスタートアップ・シーンに対する筆者の期待をさらに高めてくれる機会となった。

giggem-4

giggem-3 giggem-2


トルコのインターネット産業の成長スピードはヨーロッパでも群を抜いており、その堅調な市場情勢に支えられて、多くのスタートアップが生まれて来ることだろう。今回、トルコを訪問するきっかけをくれた、BEENOS のベンチャーパートナー Bora Savas 氏に改めて謝意を表したい。

THE BRIDGE では、現地取材に加え、ワンダ(ومضة)Webrazzi などの現地テックニュース・メディアとの協力により、トルコやその周辺諸国のスタートアップ動向も今後お伝えしていきたい。

<参考文献>

istanbul-strait
ボスポラス海峡ごしにアジア側からヨーロッパ側を眺める。
----------[AD]----------

トルコのスタートアップ・シーンは今(1/2)—Startup Turkeyは、アジア・欧州・中東スタートアップの交差点

SHARE:

トルコのスタートアップ・シーンに興味を持ったのは、イスタンブール在住のコンサルタント Gülay Özkan から、THE BRIDGE に記事を寄稿してもらったのがきっかけだ。トルコのテックシーンやスタートアップ・シーンは中東地域の中でもひときわ賑やかで、Webrazzi Summit に代表されるスタートアップ・イベントが毎年開催されている。 そんなことから、日本在住のトルコ人起業家で、現在は…

startup-turkey-room-broader-view2
登壇しているのは、主催者の Burak Büyükdemir 氏。

トルコのスタートアップ・シーンに興味を持ったのは、イスタンブール在住のコンサルタント Gülay Özkan から、THE BRIDGE に記事を寄稿してもらったのがきっかけだ。トルコのテックシーンやスタートアップ・シーンは中東地域の中でもひときわ賑やかで、Webrazzi Summit に代表されるスタートアップ・イベントが毎年開催されている。

そんなことから、日本在住のトルコ人起業家で、現在はネットプライスドットコム(以下、ネットプライスと略す)のインキュベータ BEENOS でベンチャーパートナーを務める Bora Savas 氏に、面白いイベントがあったら誘ってくれるようお願いしていた。Savas 氏から Startup Turkey 2014 の連絡を受けたのは昨年末のことだ。「これは、現地のスタートアップ・シーンを見るには絶好の機会」と確信した筆者は、HackOsaka 2014 の取材を終えたその夜、トルコへと飛んだ。

トルコ随一のリゾート都市アンタルヤで開催された、Startup Turkey

antalya-seashore

アンタルヤはトルコ南部、地中海に面した風光明媚なリゾート都市だ。海岸線に沿って、ドイツのニュルンベルクから寄贈されたというトラムが走り、日本で例えるなら、熱海のイメージに近いかもしれない。Startup Turkey 2014 は、その海岸に立つホテル Rixos Downtown Antalya で3日間にわたり開催された。

6年前から Startup Turkey を開催しているのは、インスタンブールに本拠を置くインキュベータ eTohum だ。eTohum の創業者 Burak Büyükdemir によれば、スタートアップのハブというわけでもないアンタルヤでイベントを開くのは、トルコや周辺国から投資家や起業家を集中的に集め、彼らに本業を一時的に離れ、資金調達・投資機会の開拓・ネットワーキングに没頭してもらうため。Infinity Ventures Summit などが東京ではなく、札幌京都で開催されるのと理由は同じだ。

startup-turkey-rixos

Startup Turkey 2014 には、起業家はトルコ国内はもとより、周辺のエジプト、ヨルダン、アゼルバイジャン、ブルガリアなどから、投資家はイギリスやアメリカなどから、総勢700名が一堂に集まった。ちょうどシンガポールが東南アジア諸国のスタートアップ・ハブとしての地位を確立しつつあるように、トルコもまた中東や西アジア、地中海周辺諸国のスタートアップを引き寄せる場になりつつあるようだ。トルコの人口は7,400万人いるので、インターネット界にとっても国内に相応の市場規模を期待できるが、資金調達の土壌が整っていないため、スタートアップの多くは国内で一定の手応えを感じると、ロンドンに活路を求めるケースが多いようだ。したがって、会場となったホテルのバーやラウンジでは、トルコ人起業家が投資家と思わしき英国紳士にピッチしている様子が随所で見受けられた。

Eコマースが急伸を見せる、トルコのスタートアップ・シーン

近年、トルコのスタートアップ・シーンは著しい成長を見せている。おそらく、消費者の間にインターネットが一定の割合で普及を見せると、まずはビジネスとして成立しやすいのがEコマースだろう。Eコマースの運営に必要となるバックエンド機能が、決済システムでありロジスティクスなのだが、急成長する市場においてはバックエンド機能の供給が需要に追いつかなくなる。ネットプライスはこの点に目をつけ、Iyzi PaymentsAkakce のようなEコマース周辺のビジネスを担うスタートアップに積極的に投資を行っている。(先の Asia Leaders Summit のパネルで、CEOの佐藤輝英氏がネットプライスの海外投資戦略を披露している)

startup-turkey-japan-panel
左から:Bora Savas氏(BEENOS)、諸藤周平氏(エス・エム・エス)、
Koray Karatas氏(Akakce)、佐藤輝英氏(ネットプライスドットコム)

Startup Turkey 2014 のイベント2日目には、日本のスタートアップ・シーンを紹介したり、日本からトルコのスタートアップへの投資をテーマにしたパネル・ディスカッションが設けられ、ネットプライスの佐藤氏や Savas 氏に加え、日本の内外で介護・医療向けの情報サービスを提供するエス・エム・エスのCEO諸藤周平氏らが登壇、ステージ上で繰り広げられる議論に聴衆は真剣な眼差しで聞き入っていた。会場には日本の有名商社から来訪したビジネスマンもちらほら見受けられたので、トルコのスタートアップ市場について、大手日本企業の期待も日増しに高まっていることが伺える。

トルコで人気を博すスタートアップ9選

startup-turkey-networking

メイン会場横にはホテルのバーがあり、ビールやワインを片手にさまざまなスタートアップとネットワーキングすることができた。交換した名刺の枚数を数える限り100人を超える投資家や起業家と会ったので、ここですべてを網羅するのは難しいのだが、最近トルコで勢いがあると聞いたサービスや、筆者が独断と偏見で将来有望と感じたスタートアップを取り上げてみたいと思う。

ヒジャブ専門Eコマース「Modanisa

ある NPO の統計によれば、世界人口の約23%がイスラム教徒とされる。彼らをターゲットにすれば、言葉の違いや地理的な隔たりを超えて、世界の4人に1人を想定顧客にできるサービスを作れる可能性がある。Modanisa は、ムスリマ(イスラム教徒の女性)が羽織っているヒジャブ専門のファッションEコマースだ。イスラム国においてはまだしも、欧米などでは市中で購入できるヒジャブのバリエーションに限りがあり、彼女達は納得の行くオシャレを楽しむことができない。グローバルなロングテール・ニッチの需要を満たしてくれるサービスだ。

モバイル決済サービス「Pay2Phone

新興国においてはクレジットカードが普及しておらず、とかくEコマースやオンラインゲームでバーチャルアイテムを販売する際、どうやって決済を実行するかは課題となる。Pay2Phone は、数ヶ月前にスタートしたばかりの、モバイルを使った決済システムだ。市中のインターネット・カフェなどでポイントを購入、そのポイントを自分のアカウントに紐づけることで、オンライン決済が可能になる。現在はトルコを中心に展開しているが、同じようなサービス方は周辺国の市場でも需要があるだろう。

ビッグデータと映像を使って、危険を事前に察知できる「Infodif

商都のイスタンブールに対して、トルコの首都アンカラや、エーゲ海に面した西部の街イズミルは学問の街と言えるだろう。したがって、アンカラやイズミル出身のスタートアップの多くは大学母体のインキュベータから輩出され、技術系のサービスを提供しているのが特徴だ。Infodif はアンカラを拠点とするスタートアップで、ビッグデータと映像をもとに、現場で起こりそうな事象を分析、必要に応じて警戒を促すシステムだ。例えば、公共施設の監視カメラの映像を取り込み、テロや事件などを未然に防ぐような利用を想定している。その他にも、軍事警戒用、交通予測用、医療用など、アプリケーションはさまざま。

請求書発行と支払業務をアウトソーシングできる「Edefter

日本で言えば、MakeleapsMisoca にも似た、トルコのスタートアップや中小企業向けの請求書発行代行サービス。入金の突合の他、支払の管理もできるようになっている。既に Revo Capital や Ribbit Capital といったVCからシード資金の出資を受けているが、会場の投資家陣の間では将来有望として評価が高かった。

予算と日程を入れるだけで、目的地の選択と予約ができる「CaptainWise

旅のニーズは、人によってさまざまだろう。旅程を自分で事細かくアレンジしたい人も居れば、とにかく日常の喧噪から逃れたいという人も居る。CaptainWise は、予算と日程を入力するだけで、目的地の選択肢が表示され、フライトやホテルの予約が可能なサイトだ。TripSta、Booking.com、TravelPlanet 24 などの旅行予約サイトと提携してサービスを提供している。出発地はギリシアのアテネに限定されており、アテネに住む人が使う分には、おそらく、他のどの旅行サイトよりも少ないクリック数で、旅程をアレンジすることができる。とかく選択肢が多すぎて、操作に迷いを感じることが多い旅行サイトが多い中、シンプルさを追求すれば、このような形になるというわけだ。

startup-turkey-captainwise
CaptainWise

UBER/HAILOのトルコ版「BiTaksi

トルコの街を歩いていると、そこかしこに広告が出ていて、今おそらく、トルコで最も勢いのあるスタートアップの一つ「BiTaksi」。機能は、UBER や HAILO と大して変わらない。昨年スタートしたばかりの若いスタートアップだが、今年に入って、ロシア最大のサーチエンジン Yandex が BiTaksi へ出資するとの噂が出るなど、早くも投資家陣の注目を集めている。Groupon が世界展開時に各ローカル市場のスタートアップを買収して進出していったように、本家の UBER や HAILO が BiTaksi を買収する可能性も十分に考えられるだろう。

ファーストフードのデリバリをオンラインでオーダーできる「Yemek Sepeti

ドネルケバブ、ハンバーガー、ピタパンなど、ファーストフードをオンラインオーダーしてデリバリするサイト「Yemek Sepeti」。トルコ版の「出前館」と言ったところ。注文仲介時の手数料でマネタイズしている。サービスローンチから既に14年が経過しており、CEO 本人も「もはやスタートアップではない」と認めていたが、トルコのスタートアップ・シーンを語る上では外せない存在だ。

住まいの検索サイト「MetreKare

トルコの不動産検索サイトだ。分譲と賃貸の両方の物件を扱っており、探している地域を入力すると、該当する物件の詳細が取り扱っている不動産業者の情報と共に表示される。先日、フィリピンの ZipMatch やシンガポールの 99.co のことを書いたが、新興国を中心に不動産検索サイトのローンチが相次いでいるようだ。家探しという普遍的なニーズがある以上、おそらく、どの国においても不動産ビジネスは相応に歴史が長いはずで、各国において、スタートアップが既存の不動産ビジネスの何をディスラプトしようとしているかは興味がある。(残念ながら筆者が会話したのは、MetreKare に出資している投資家だったので、トルコの不動産業界の背景は聞くことができなかった。)

日常の不便を簡単に役所に報告できる「Enforce

CitySourced のトルコ版。イスタンブール、アンカラ、イズミルの三大都市で、道路の損壊や危険な放置物など、市民の安全を脅かしたり、高齢者や障害者の交通の妨げになったりするものを役所にレポートできるモバイルアプリ。iOS / Android / Windows Phone で利用可能だ。


前述した主催者の Burak Büyükdemir に話を聞いたところ、今後は Startup Turkey を2つのイベントに分ける計画だということだ。これまでの Startup Turkey は、スタートアップを披露するショーケース・イベントとしての要素と、起業家と投資家を引き合わせる機会提供の要素を併せもっていたが、二分することで、前者の目的に対しては門戸を広げ、より多くの起業家がアクセスしやすいものにし、後者の目的に対しては完全招待制にし、この地域の有望なスタートアップのみを世界の投資家に紹介してバリューを上げていきたい、と語ってくれた。

アンタルヤでの3日間のイベントを終えた筆者はイスタンブールに移動し、Burak が常駐する eTohum のインキュベーション・オフィスや、イスタンブール市内のインキュベータ、スタートアップなどを訪問した。その模様は、後編として改めて近日公開するつもりだ。乞うご期待。

antalya-kaleici
筆者が宿をとった、アンタルヤの旧市街カレイチの町並み。Savas 氏によれば、カレイチとは城内を表すトルコ語で、文字通り、オスマントルコ時代に築かれた城の中に街がある。

<参考文献>

----------[AD]----------