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男性がフェムテックを取材して気がついたこと:郵送ホルモン検査「canvas (キャンバス)」運営がジェネシアVなどから資金調達

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ニュースサマリ:郵送のホルモン検査サービス「canvas (キャンバス)」を展開するVitalogue Health(バイタログヘルス)は第三者割当増資の実施を公表している。増資を引き受けたのはジェネシア・ベンチャーズおよび個人投資家として赤坂優氏、森本 千賀子氏、石倉壱彦氏の3名。調達した資金や払込日、株価などの詳細は非公開。 Vitalogue Healthの創業は2020年4月。提供するca…

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ニュースサマリ:郵送のホルモン検査サービス「canvas (キャンバス)」を展開するVitalogue Health(バイタログヘルス)は第三者割当増資の実施を公表している。増資を引き受けたのはジェネシア・ベンチャーズおよび個人投資家として赤坂優氏、森本 千賀子氏、石倉壱彦氏の3名。調達した資金や払込日、株価などの詳細は非公開。

Vitalogue Healthの創業は2020年4月。提供するcanvasは女性のライフスタイルに合わせて発生するホルモンの変化をを知るためのケアサービス。病院や婦人科に足を運ばなくても自宅で自身のホルモン状態をチェックすることができ、医師に相談する適切なタイミングを知ることができる。妊娠に合わせた「Women’s Fertility Check」、更年期向けの「Menopause Check」の2種類の検査キットについては事前登録を今年1月27日から開始している。なお、キットのみで診断を行うことはない。

同社を創業した長谷川彩子氏は東京大学薬学部で神経科学・薬理学を学んだのち、アクセンチュアにて戦略コンサル、ゴールドマン・サックスにてヘルスケア関連のアドバイザリ業務に携わった人物。

話題のポイント:Clubhouseの公開インタビューで長谷川さんにお話を伺ってきました。いわゆるフェムテックと言われる領域なのですが、気付きの多い30分でした。今回、長谷川さんたちが提供する検査キットですが、大きく分けて妊孕性と更年期に関するセルフチェックができるものが開始されます。

「妊孕性(妊娠するために必要な能力)に関するプロダクトでは、排卵機能(排卵が正常に行われているか、また行われていない場合にどこに原因があるのか)、卵巣予備能(卵子の残り数がどれくらいか)、甲状腺機能(体調や妊娠に影響のある甲状腺が正常に機能しているのか)という観点でホルモンを検査します。また、更年期に関するプロダクトでは、気になる症状が排卵機能が止まったこと(閉経)/止まりつつあることによるのかの観点で検査します。甲状腺も体調に影響があるので念のためチェックします。いずれにおいても、弊社のサービスは診断を行うものではないので(診断行為は医師しかできません)、これらのキットを使ったセルフチェックで気になるところが出てきたら、弊社が連携しているクリニックをはじめとする医療機関の受診をお勧めしています」(長谷川さん)。

費用についてはまだ予価の状態ですが、妊孕性に関するものが2万円台、更年期に関するものが1万円台になるそうです。

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フェムテックという魔法の言葉

ここ数年、フェムテックというワードと共に女性のライフスタイルに合わせたテクノロジーやハードウェアが出てくるようになりました。女性には生理痛や妊娠、更年期といった特有の変化があり、かつ、これが例えばキャリアだったりライフスタイルに大きく影響を与えることがあります。妊娠して退職、家庭に入るという昭和な考え方がまだ残っている場所もあるかもしれませんが、ざっくり言うとフェムテックは、こういった女性の変化に起因したライフスタイルの「ギャップ」を埋めるためのソリューション群、と言えると思います。

長谷川さんが提供するホルモンのセルフチェックもそうですし、BRIDGE本誌で特集しているテクノロジにあるような避妊や不妊、生理用品、ヘルスケアトラッキング、マタニティケア、更年期障害など非常に幅広いテーマで研究・開発が進んでいます。

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一方、このテーマが生まれた背景には体の変化だけでなく、それに合わせて発生する社会理解の問題も大きいと思いました。実際、長谷川さんが歩んできたキャリアは男性でもなかなか激しいとされる「ザ・男性」な環境です。長谷川さんの説明ではまだまだ女性のホルモン変動は未解明な部分も多く、例えば体調が悪くてもそれがなぜなのか分からない。女性にはそういう状況が常につきまとうのだそうです。男性はその状況がさらに分からないわけですからもうお手上げです。

つまり、テクノロジーやソリューションで少なくとも体に起因する部分の苦痛は和らげられたとしても、この「認識」の部分はまた別です。男性女性、相互に理解できなくとも近づく努力が必要ですが、テーマが性や女性活躍なだけに、一歩間違えるとハラスメントやフェミニズムなどの主張と混同されてしまう危険性もあります。(※訂正文末)

そういう意味で長谷川さんが「フェムテックという言葉が生まれたことでオープンに言いやすくなった」と語っていたように、この言葉をきっかけに(バズワードにしたとしても)議論が進むことの方が社会にとって有益かもしれません。

分からないことを分からないという必要性

もう一点、これは取材での気付きなのですが、女性には「男性がどの部分が理解できないのか」が分からないという状況があるそうです。実は以前の別のフェムテック関連の取材では、私は「男性だ」という意識から質問者としての立場を離れ、女性のメンバーにお任せして傍聴しているだけに徹していたんですね。

でも今回の長谷川さんとの会話でそれがややズレた行為なんだなと認識しました。確かに理解はできないです。でもこの「分からない」がまさにギャップの正体ですから、これを素直に話することでそこは少しだけ埋まるはずです。フェムテックの周辺領域でママ友版Tinderの「Peanut」があったり、今回取材で使ったClubhouseでも関連するトピックスを何度か見かけましたが、男女共に「安心して話せる場所」というのも重要なソリューションになるかもと感じました。

SDGsに見られる世界的な流れもそうですし、政府方針で不妊治療の支援策が進むことも公表されています。フェムテックのプレーヤーが今後も増えて、男女共にスムーズな社会に変容することを願います。

補足訂正:一部の方から誤解を招く表現というご指摘ありました。意図としてフェムテックへの理解・解像度が低いと課題の切り分けができなくなる、という指摘のつもりでしたが、一部の考え方に対する批判のように取られる記述になっていましたのでこちらは削除させていただきました。

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