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トランプ氏当選のニュースに、登壇者・参加者一同心を打ちひしがれて始まった #WebSummit 2日目のまとめ

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本稿は、WebSummit 2016 の取材の一部である。 テクノロジーやスタートアップの業界というのは、アメリカ国民であるかどうかはともかく、伝統的に民主党支持者が多いのかもれしれない。トランプ氏のアメリカ大統領当確の報が出たのは、当地リスボンで、WebSummit 2日目の始まる前、水曜日の朝のことだ。この状況に直面して、WebSummit CEO Paddy Cosgrave 氏の呼びかけに…

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本稿は、WebSummit 2016 の取材の一部である。

テクノロジーやスタートアップの業界というのは、アメリカ国民であるかどうかはともかく、伝統的に民主党支持者が多いのかもれしれない。トランプ氏のアメリカ大統領当確の報が出たのは、当地リスボンで、WebSummit 2日目の始まる前、水曜日の朝のことだ。この状況に直面して、WebSummit CEO Paddy Cosgrave 氏の呼びかけにより、聴衆がスマートフォンのトーチを灯すことから2日目のイベントが始まった。

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500 Startups の Dave McClure 氏、Y Combinator の Justin Kan 氏、Passion Capital の Eileen Burbidge 氏のセッション。「エゴは失敗する最大の理由か?」というタイトルとは関係なく、McClure 氏は冒頭から大統領選の結果に怒りをぶちまけた。

自分はバージニア州出身だが、バージニア州というのは、多くの人がトランプ氏に票を入れた州だ。非常に腹立たしい。悲しい。そして恥だ。

結局、タイトルにある「エゴは…」の話が進まず、半分以上の時間にわたって、トランプ氏の当選がもたらすであろう悲劇に対する怒りで話が進んだが、モデレータ(CNN Money の Laurie Segall 氏)が困っている様子を察して、Kan 氏と Burbidge 氏が話を元に戻した。バックステージで McClure 氏と話した内容として、Kan 氏は次のように語った。

エゴは失敗の理由になることもあるが、また、ビジネスを前進させる上での原動力になることもある。自分が起業したとき(言うまでもなく、Justin Kan 氏は、Justin.tv の創業者である)もそうだった。

最後の最後まで、McClure 氏は選挙結果に打ちひしがれたような表情だったが、その結果に対しては半ば諦め気味に、次のように言葉を発すると、聴衆から大きな拍手が沸き起こった。

成功しているスタートアップというのは、多くの国に非常に多くのユーザを持っていることだろう。つまり、(大統領などの)世界的なリーダーと同じ基準で意見を持ち、そう見なされていると考えてもいいのではないだろうか?

いまどき、マーク・ザッカーバーグ氏やイーロン・マスク氏のような人物は、新しいアメリカの大統領よりも世界に対して大きなインパクトを与えられるのかもしれない。その分、ノブレス・オブリージュも大事ということか。

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WebSummit 2日目は、いくつかこれからのメディアの姿を占うセッションも用意されていた。「Upvote」という概念を持ち込んだ Reddit と Product Hunt。メインストリームのメディアは、多かれ少なかれ〝トランプ氏の言いなり〟になる可能性が高いので、新興メディアに求められる責任は、以前よりも大きなものになるだろうとの公算が多いようだ。

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BMW の完全自動運転技術担当 SVP の Elmar Frickenstein 氏が、BMW の自動運転に対する開発技術のプレゼンテーションを行なった。この中で特に面白かったのは、モバイルアプリで通勤に使う自動車を自由に選べるユーザ体験だ。ユーザは朝起きたら、スマホに表示された複数の選択肢から、その日に乗って行きたい車を選ぶ。朝食を食べ終わる頃には、さきほどオーダーした車種が自宅の玄関前まで自動運転で迎えにやってきている、というストーリー。車を所有するという概念は変化し、レンタカーも、客が店に出向くのではなく、自動車が自ら客の家の玄関先にやってくる時代が来るのかもしれない。

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宇宙飛行士でコロンビア大学教授の Mike Massimino 氏と、月への輸送ビジネスを標榜するスタートアップ Moon Express の創業者である Naveen Jain 氏のセッション。

以前よりかなりコストが安くなり、今は700万ドルで月まで行けるが、それが今後はもっと安くなる。そのうち、ここからシドニーまで行く飛行機代よりも安くなるかも。ハネムーンというのは、まさにハニー(新妻)とムーン(月)に行く旅行を意味するようになるだろう。(Jain 氏)

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Hanson Robotics のチーフサイエンティスト Ben Goertzel 氏が、同社の開発したロボット Sophia と登壇。人工知能で会話の受け答えができるのに加え、顔の表情が変化するのが面白い。聞き手は、TechCrunch Editor-at-Large の Michael Butcher 氏。

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NASDAQ の出前版オープニングベルも行われた。ベルのスイッチを押すのは、WebSummit の CEO Paddy Cosgrave 氏。ニューヨークの NASDAQ の取引開始時刻9:30が当地リスボンの14:30。時差の関係で、日本のイベントではマネしたくてもマネできない演出である。リスボンの模様はそのまま NASDAQ タイムズスクエアタワー壁面のインタラクティブスクリーンに中継され、ベルを合図にこの日の取引が始まった。皮肉にも、大統領選の結果を材料に、どの市場も株価は全面安である。

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リスボン初開催の #WebSummit 1日目のまとめ——Facebook Messengerの今後から、ロナウジーニョまで

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本稿は、WebSummit 2016 の取材の一部である。 リスボンで開催中の WebSummit 1日目。日産・ルノーのカルロス・ゴーン氏が自動運転を語るセッションや、出澤剛氏が LINE の世界戦略について語るセッションなど、日本関連のスピーカーが登壇するセッションもちらほら。 午後には、Facebook の Messaging Products 担当 VP David Marcus 氏が登壇…

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本稿は、WebSummit 2016 の取材の一部である。

リスボンで開催中の WebSummit 1日目。日産・ルノーのカルロス・ゴーン氏が自動運転を語るセッションや、出澤剛氏が LINE の世界戦略について語るセッションなど、日本関連のスピーカーが登壇するセッションもちらほら。

午後には、Facebook の Messaging Products 担当 VP David Marcus 氏が登壇。モデレータを務めたのは、元 LeWeb の運営者で、現在は Leade.rs というパリで開催されるテックイベントの創始者 Loic Le Meur 氏。Marcus 氏は、今後、Facebook Messenger 上で、新しいタイプの広告を、世界中すべての広告パートナーに提供すると話した。また、今春からテスト運用を開始しているチャットボットについても、ユーザをエンターテイメントへ誘導する手段としてうまく機能しており、チャットボットの性能レベルについても、この半年で格段に向上しているとのこと。

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Facebook の Messaging Products 担当 VP David Marcus 氏と、Leade.rs 創始者 Loic Le Meur 氏

また、短いリンクだけを入力するだけで、ユーザが商店や企業に簡単に Facebook Messenger を経由しコンタクトをとれる「m.me Links」も近日ワールドワイドに公開とのこと。ある種、QR コードで簡単にコンタクトがとれる LINE に対抗したサービスと言えるのかもしれない。

さらに、これまで、Facebook Messenger 上でユーザ単位で束ねる形でしかグルーピングできなかった機能を、話のトピック単位で束ねられるグルーピング機能「Rooms」として近日公開するとした。これで、トピックから外れた投稿について、ノーテフィケーションが飛んで来て、いちいちスマートフォンをチェックする必要が無くなる。今や、メッセンジャーは電話に代わる手段。「名前さえあれば私を見つけられるのに、どうして電話番号を渡す必要があるだろうか?」と Marcus 氏。

TechCrunch の Editor-at-Large(編集主幹)の Michael Butcher 氏のモデレートによるパネル(ちなみに、TechCrunch UK の Michael Butcher と紹介されると、「そもそも TechCrunch UK というものは存在しない」と言っていた)。「Europe – Second Best?」(つまり、暗に No.1 はシリコンバレーであることを示唆している)と題されたこのパネルには、Booking.com、Farfetch、BlaBlaCar、EU の研究科学イノベーション担当コミッショナーが登壇。

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2008年にポルトガルの実業家 Jose Neves 氏が始めたファッション通販の Farfetch。商品の販売需要はアメリカの方が大きいが、供給側(つまり、洋服をデザインしたり、調達したりする側)は圧倒的にヨーロッパからだとのこと。もし、Farfetch のビジネスを仮にアメリカからスタートしていたとすれば、今の Farfetch のビジネスは成り立たなかっただろうとした。また、Booking.com も BlaBlaCar もヨーロッパ以外の市場に進出しているが、ある市場を別の市場と比較することは、意味の無いことだと両社の経営者とも一蹴した。

EU コミッショナーの Carlos Moedas 氏は、自分たちがスタートアップの起業家に対して、何かを強いるということはなく、むしろ、最大の敵は古い考えしか持たない政治家なのだと語った。

政治家はルールを決めたがるが、それが実効されるのは5年後だ。5年後にそのルールで規制しようとしたところ、時は既に遅し。5年経ったときには(ビジネスモデルが変化していて)そのルールが適用できるようなビジネスは、存在しなくなっているだろう。(Carlos Moedas 氏)

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1日目のトリは、ポルトガル出身の元サッカー選手で、現在は、アプリを使ってプロサッカー選手を目指せるアプリ「Dream Football」を開発・運営する起業家 Luis Figo 氏と、ブラジルが生んだスーパースター、ロナウジーニョが登壇。ロナウジーニョは現役のサッカー選手でありながら投資家であり、さらに、今年初めには動画ベースのソーシャルネットワーク「Zoome」を立ち上げている。「サッカー選手はよき起業家になれるよねぇ?」「もちろん!」という話でした。セッション冒頭には、ボールを聴衆に向かってキックするサービスも。

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会場内に設営された、Dream Football を活用しサッカーが体験できるスペース。
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WebSummit 2016がリスボンで開幕——ポルトガル政府は2億ユーロ(230億円相当)のスタートアップファンド創設を表明

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本稿は、WebSummit 2016 の取材の一部である。 8日(現地時間7日)、ポルトガルのリスボンで世界最大級のスタートアップ・イベント WebSummit 2016 が開幕した。今年の WebSummit は来場者数が5.1万人に上る見込みだという。数年前まで、ヨーロッパの大きなスタートアップ・イベントと言えば、パリで毎年12月に開催される LeWeb だったのだが、売却した Reed MI…

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左から:WebSummit CEO Paddy Cosgrave 氏と、ポルトガル首相 António Costa 氏

本稿は、WebSummit 2016 の取材の一部である。

8日(現地時間7日)、ポルトガルのリスボンで世界最大級のスタートアップ・イベント WebSummit 2016 が開幕した。今年の WebSummit は来場者数が5.1万人に上る見込みだという。数年前まで、ヨーロッパの大きなスタートアップ・イベントと言えば、パリで毎年12月に開催される LeWeb だったのだが、売却した Reed MIDEM との契約オプションから買い戻しを余儀なくされ、その後、LeWeb は開催されなくなった。それ以降、世界最大のスタートアップ・イベントと言えば、WebSummit と SLUSH が接戦を繰り広げている状況だ。

WebSummit は昨年までアイルランドのダブリンで開催されていた。しかし、今年から開催地はポルトガルのリスボン。表向きの理由は2つ言われていて、ダブリン市内に WebSummit 参加者を収容できるほどの宿泊施設が無いということと、世界から参加者を集めたときにアイルランドへは入国ビザが必要になる人が多いから。そして、表向きではないけれど明らかになっている理由は、ポルトガル政府が毎年130万ユーロ(1.5億円相当)を WebSummit に支払うというものだ。

もっとも、シンガポール政府の動きなどを見ていても、MICE 政策やスタートアップ・ハブとしてのブランディングの観点から、欧米の有名カンファレンスのアジア招致の事例は増えている。WebSummit のケースで言えば、他のヨーロッパ諸国にスタートアップハブとして遅れをとりたくないポルトガル政府と、コンパクトな国ゆえ話を進めやすい WebSummit 運営側との思惑が一致した結果だろう。隣国に Mobile World Congress があるというのも作用しているかもしれない。

さて、そんな WebSummit だが、今日、ポルトガル首相の António Costa 氏は、2億ユーロ(230億円相当)のスタートアップ向けファンドの創設を表明した。基本的には他の民間投資家と共同出資する形で運用され、本社をポルトガルに設置する条件をクリアすれば、どこの国のスタートアップであっても応募できる。これと並行して、リスボン、ポルト、ブラガなどの都市にスタートアップ・エコシステムの形成も促進するとしている。今年の WebSummit では、200社以上のスタートアップが披露されるそうだ。

なお、筆者も8日(現地時間)に WebSummit Global Rising Startup Ecosystem Roundtable に登壇させていただく予定なので、読者の中に参加されている方がおられたら、乞うご期待。

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WebSummit 会場となる、現地大手モバイルキャリア MEO による MEO Arena。明日からのメインイベントに先立って開催された前夜オープニングイベントには1.5万人が集まった。
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