Ant Financialの推定評価額は1,500億ドル(Alibaba全体では約4,570億ドル)、フィンテック事業に限定したTencentの評価額は1,230億ドル(Tencent全体では約3,875億ドル)と拮抗しており、今後、ヤフーやLINE、東南アジアで勢力を伸ばすテックスタートアップ各社はこことのポジション争いをアジア圏で繰り広げることになりそうです。
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一般的なインドネシア人が株式市場に投資するのを手助けする新たなアプリが、大物投資家から支援を受けた
東南アジアの e コマースは過熱しているが、同地域の消費者はまだ e ウォレットよりも現金を好んでいる。
2017年のインドネシアのデジタルな買い物では代金引換が3分の2以上を占め、クレジットカードが使われたのは約20%だったと eMarketer は報告している。2016年の現金以外の支払いは、インドネシアとフィリピンでそれぞれ取引の30%と24%だけであったと Oliver Wyman の報告は示している。モバイル決済は両国ともに約0.1%かそれ以下であった。
Photo credit: Ant Financial(螞蟻金融)
近隣の中国がおそらく世界で最も強固なモバイル決済手段を持っていることを考えれば、東南アジアで e ウォレットの受け入れが遅いのは奇妙に思えるかもしれない。テック大手の Alibaba(阿里巴巴)と Tencent(騰訊)は Alipay(支付宝)と WeChat Pay(微信支付)でこの分野を支配している。
ある意味では、中国で e ウォレットが成功していることは、中国市場の状況が他では再現困難であることを浮き彫りにしていると言える。しかし東南アジアがキャッシュレスな世界へと顧客を向かわせたいのであれば、そこから学べることもある。
マレーシアでは、72%の人がモバイル決済に安全面の懸念を持っているが、見返りがあればもっと e ウォレットを使うようになると55%の人が答えていることを、2016年に Nielsen が見出した。フィリピンとシンガポールでもそれぞれ回答者の63%と58%が見返りについて同じように答えた。
モバイル決済を使う別の理由は会計時間の速さである。インドネシア、タイ、ベトナムのそれぞれ65%の回答者は、それがモバイル決済を使うためのより良い動機付けになると答えた。これはすでに中国中の飲食店で実施されており、たとえば、消費者は列に並んでいる間やテーブルに座っている間に QR コードを読み取り即座に注文することができる。
惹かれるものがなければ消費者は e ウォレットへと変える理由がほとんどないため、サービス提供者はサービスを魅力的にしようと努力している。WeChat、GrabPay、Go-Pay はピアツーピアの決済を提供し、ユーザ間の資金の移動を容易にしている。現在マレーシアで利用可能な Razer Pay はセブンイレブン店舗で購入できる暗証番号で e ウォレットに残高を追加できるようにしている。Go-Pay は人々がモバイル決済を試してみるよう、20%と50%のキャッシュバックの提供も11月に始めた。
だが新たなユーザを得ることは難しい。クレジットカードやデビットカードはもっとシンプルで、しばしば e ウォレットよりも信頼度が高い。多くの場合、e ウォレットはそういったカードの中間的なものとしても使われる。
3.Alibaba と Tencent は店舗を巻き込んでいる
当然ながら、e ウォレットは店舗を巻き込まないとユーザを集めることはできない。これは e ウォレットが実店舗で競争を始めてから Alibaba と Tencent が非常に上手くやったことである。
両社は早くから、未発達な市場の店舗経営者は設備の更新に大きな投資が必要となるモバイル決済という選択肢をあまり受け入れたがらないだろうということを分かっていた。アメリカでは多くの決済端末が Apple Pay や Google Pay を受け入れるために NFC(近距離無線通信)に対応するようアップグレードしなければならなかった。
中国では誰でも QR コードをプリントアウトし、それをスキャンして支払うということができる。消費者が携帯電話上で QR コードをスキャンし支払いを行えるよう、多くの決済端末がアップグレードし、この動きを加速させてきた。これは中国ではどこにでもある決済の方法となり、QR コードリーダーでキオスクやマクドナルドでの決済を自動化させている。シンプルだが効果的なモバイル決済の実施方法だ。
店舗にとっては取引ごとに一定の割合でクレジットカード会社に取られるインターチェンジフィーが、常に障害となる。Apple Pay と Google Pay はクレジットカードの情報を保存しアプリ内に蓄えられたカードに直接請求する仕組みであり、インターチェンジフィーは変わらずある。このプロセスは e ウォレットを現状に比べてあまり画期的なものとはせず、店舗が新技術採用のために今までのやり方を変える理由にはならない。
東南アジアにおける決済の未来は、その未来が中国と似たものになるかどうかに関わらず、モバイルである。Euromonitor International のデータによれば、東南アジアのモバイル決済はタイとインドネシアが先頭に立ち、2016年の100億米ドル以下から2021年までに310億米ドルへと成長すると見られている。
このシステムは、Alibaba(阿里巴巴)関連会社の Ant Financial(螞蟻金融)が運営する「 Sesame Credit(芝麻信用)」を思い起こさせる。こちらはユーザを350~950のスコアにレート付けするものだ。このプラットフォームではユーザのスコアリングに購買履歴、資産、契約の履行状況などを活用している。
巨大なユーザーベースと中国のユニークなテックエコシステムが起爆剤となり、最も神聖な伝統的エンターテイメントの一つ、テレビ番組の再始動が進んでいる。 中国の長寿番組で、最も成功したリアリティテレビオーディション番組の一つである Super Girl(超級女声)はそのメインステージをオンラインに移行し、クロスメディア番組として刷新する。世界中のテレビ番組がオンライン投票やモバイルソーシャル機能を提供す…
中国の長寿番組で、最も成功したリアリティテレビオーディション番組の一つである Super Girl(超級女声)はそのメインステージをオンラインに移行し、クロスメディア番組として刷新する。世界中のテレビ番組がオンライン投票やモバイルソーシャル機能を提供する傍ら、Super Girl はインターネットとテレビの垣根を完全に取り除き、番組の大半は課金制ソーシャルネットワークに類似したものとなる。
運営するテレビ局は、Super Girl のファーストシーズン優勝者 Chris Lee(李宇春)がプロの審査員にはあまり受けなかったにもかかわらず、オーディエンスの心をとらえ、今なお中国を代表するポップスターであることを誇りに思っている。Super Girl と Happy Boy(快楽男声)の2つの代表的オーディション番組はいずれも視聴者投票を実施し、過去11年間で多くのトップポップスターを輩出している。
10年前は SMS が唯一の投票テクノロジーであったのに比べ、放送局は番組をさらに視聴者参加型にするため、現在は最新最強のオンライン手法を取り揃えている。オンライン投票により、リアルタイムランキングが可能となった。Mango Live アプリは視聴者から獲得したバーチャルポイントをもとに、参加者のランキングを決定するのだ。
革命的アーティスト開発プロセス
2016 Super Girl のもう一つの特徴は、参加者が Mango Live アプリやその他のソーシャルプラットフォームを使って最初からフォロワーを獲得できることだ。
以前は、オーディション番組の優勝者は Super Girl ファーストシーズンの年に設立されたアーティスト管理会社 Tianyu と契約(マネージメントを委託)していた。現在では、放送局のオンラインプラットフォームとその他のソーシャルメディアにおけるインタラクティブ機能により、アーティストのプロモーションは様変わりしている。
ウェブが視聴者の中心的存在となり、番組が増えるとともに、次の中国スーパースターは通常のテレビ番組ではなく Super Girl のような新しいインターネットフォーマットから生まれると期待されている。
最新の CNNIC(中国互連網絡信息中心)年間報告書によると、中国のオンライン動画視聴者数は中国全体のインターネットユーザの73%ほどを占める5億400万人に達し、モバイル動画視聴者数は2015年の時点で4億500万人であった。その他多くの市場と同様、中国の典型的なオンライン動画視聴者は若年層だ。2016 Super Girl 制作チームによると、参加者の50%以上は1995年以降に生まれているという。
動画ストリーミングサービス iQiyi.com(愛奇芸)によるディベート番組 Qi Pa Shuo(奇葩説)は、2シーズンですでに十数人のスターを生み出した。前 iQiyi チーフコンテンツオフィサー、ベテランテレビ番組プロデューサーであり同番組制作チームの一員であった Ma Dong(馬東)氏は、昨年 iQiyi を退職してさまざまな動画サイトのオンライン専門番組制作ビジネスを開始した。設立からわずか半年で、Ma 氏のスタートアップ Me We Media(米未伝媒)は最新の資金ラウンドにおいて20億元(約3億米ドル)の評価を得た。
Hunan Broacasting System は独自のオンラインストリーミングサイト Hunantv.com を2011年にローンチした。昨年後半からオリジナル番組の制作を開始し、今年に入ってからサードパーティーコンテンツのストリーミングを始めた。2016 Super Girl の直前にローンチした Mango Live アプリもその他イベントのライブストリーミングを始めている。同社が管理する2つのオンラインサービスは2015年に外部資金調達で5億元を獲得し、本格的なオンライン動画ビジネスを確立するため再ラウンドを行うと報じられている。