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登山者コミュニティ「YAMAP」、シリーズBラウンドで約12億円を調達——アウトドア小売最大手の石井スポーツと提携し、コミュニティ拡大へ

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福岡を拠点に、登山者向けのコミュニティ・プラットフォーム「YAMAP(ヤマップ)」を運営するヤマップは13日、都内で記者会見を開き、シリーズ B ラウンドで約12億円を調達したことを発表した。 このラウンドに参加したのは、以下14の企業またはファンド。 ICI 石井スポーツ 九州広域復興支援ファンド(主幹事は、REVIC キャピタル) FFG ベンチャービジネスパートナーズ(福岡銀行の投資部門) …

ヤマップ代表取締役の春山慶彦氏と、今回のラウンドに参加した投資家の皆さん
Image credit: Masaru Ikeda

福岡を拠点に、登山者向けのコミュニティ・プラットフォーム「YAMAP(ヤマップ)」を運営するヤマップは13日、都内で記者会見を開き、シリーズ B ラウンドで約12億円を調達したことを発表した。

このラウンドに参加したのは、以下14の企業またはファンド。

  • ICI 石井スポーツ
  • 九州広域復興支援ファンド(主幹事は、REVIC キャピタル)
  • FFG ベンチャービジネスパートナーズ(福岡銀行の投資部門)
  • 山口キャピタル(山口銀行の投資部門)
  • アイ・マーキュリーキャピタル
  • SMBC ベンチャーキャピタル
  • せとうち観光活性化ファンド(せとうち DMO)
  • 日本アジアグループ
  • SRL
  • 大分ベンチャーキャピタル(大分銀行の投資部門)
  • 佐銀キャピタル & コンサルティング(佐賀銀行の投資部門)
  • 広島ベンチャーキャピタル(広島銀行の投資部門)
  • 森永製菓
  • ゼロワンブースター

地銀系のファンドが多数含まれる背景には、YAMAP が地域観光の活性化に寄与したいとの意図が読み取れる。なお、各社・ファンド個別の出資額は非公表だが、14社の中ではアウトドア小売最大手の ICI 石井スポーツ(以下、石井スポーツと略す)からの出資額が最大であることが明らかにされた。

このラウンドは、ヤマップにとって、サムライインキュベートから500万円を調達したシードラウンド、コロプラ(東証:3668)、大和企業投資、ドーガンから1.7億円を調達したシリーズ A ラウンド(2016年3月)に続くものだ。今回の調達を受けて、ヤマップの通算調達金額は約14億円となる。

今回の資金調達や事業提携の意図について説明する、ヤマップの創業者で代表取締役の春山慶彦氏
Image credit: Masaru Ikeda

またヤマップは今回の調達とあわせて、今回の投資家の一社でもある、石井スポーツと提携したことを明らかにした。この提携を通じて両社は、YAMAP と石井スポーツの会員連携、YAMAP と石井スポーツ店舗(全国33店舗)の連携、両社共同でのイベント拡充などの施策を実施する。石井スポーツの今秋の E コマースプラットフォームのリニューアルに伴い、YAMAP との一部システム連携なども想定しているようだ。

ヤマップは登山愛好家の春山慶彦氏(現・代表取締役)が2013年に設立(設立当初の社名は SEFURI)。携帯電話の電波が届かない山においても、ユーザは位置衛星からの GPS 電波だけで現在地を知ることができる登山者向けの地図アプリ「YAMAP」を開発した。

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2014年には日本 IBM のインキュベーションプログラム「IBM BlueHub」の第1期に採択され、2015年には福岡で開催された B Dash Camp 2018 Spring のピッチアリーナで優勝している。

2015年7月には、アウトドア用品のレビューアプリ「YAMAP Gears(ヤマップ ギアーズ)」、独自保険商品、アウトドア特化型メディアの「.Hyakkei(ドット・ヒャッケイ)」を公開したほか、カメラやスマートフォン、スマートウォッチメーカーとの提携などにより、売上の多角化を図ってきた。

オリンパスのオープンプラットフォームカメラ「AIR A01」と YAMAP のユーザコミュニティがアウトドア向けのカメラアクセサリーを共同開発したのに加え、京セラのアウトドア向けスマートフォン「TORQUE」や、国内メーカーとしては初のスマートウォッチとなるカシオの「WSD−F10」に YAMAP アプリがプリインストールされた。

YAMAP のユーザ規模の参考となる数値は、最新のもので、アプリダウンロード数が82万件、月間アクセス数が1億PV弱(最新のユーザ数は開示されていない)。登山者人口860万人(日本生産性本部発行「レジャー白書2016」による)の1割弱が YAMAP を利用していると推測される。石井スポーツとの提携を通じて、ヤマップでは会員数100万人超を持つ石井スポーツの会員コミュニティとのシナジーを目指すとしている。

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登山者コミュニティアプリ「YAMAP」が、ダウンロード数45万件を突破——社名を変更し、2017年は観光防災分野にも注力

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登山者コミュニティアプリ「YAMAP」は先ごろ、モバイルアプリのダウンロード件数が45万件を突破したことを発表した。2013年7月のローンチ以降、順調にユーザ数を増やし続け、登山者人口740万人(日本生産性本部発行「レジャー白書2016」による)の約6%を占めるまでになった。ユーザの継続利用率が高いことを考慮すれば、実際の登山者のうち YAMAP をスマホにインストールしている人の割合は、統計から…

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登山者コミュニティアプリ「YAMAP」は先ごろ、モバイルアプリのダウンロード件数が45万件を突破したことを発表した。2013年7月のローンチ以降、順調にユーザ数を増やし続け、登山者人口740万人(日本生産性本部発行「レジャー白書2016」による)の約6%を占めるまでになった。ユーザの継続利用率が高いことを考慮すれば、実際の登山者のうち YAMAP をスマホにインストールしている人の割合は、統計から算出される平均的な値よりも高いかもしれない。

また、YAMAP の開発元のセフリは10月、社名をアプリ名と同じヤマップに変更している。同社が拠点を置く福岡市の母なる山「脊振山」を社名に冠していて、筆者にとっても旧社名は愛着のある名前だったが、社名変更は次なる一歩への布石と考えて良いだろう。

ヤマップでは今年3月のシリーズAラウンドでの1.7億円の調達以降、京セラのアウトドア向けスマートフォン「TORQUE」やカシオのスマートウォッチ「WSD−F10」への YAMAP アプリのプリインストール、自動車メーカー富士重工が運営するウェブコミュニティ「スバコミ」との山登りイベントの開催など、大企業との協業活動を加速させている。

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YAMAP 上に表示した、福岡市の防災マップ

大晦日に改めて振り返ってみると、熊本での大地震、北海道への台風上陸など、2016年の日本は甚大な被害をもたらす大規模自然災害に見舞われた。日本列島が造山帯の上にあったり、台風の通り道になったりすることを考えれば、今後も自然災害が完全になくなることはない。注力されるべきは、被害の影響を最小限にとどめる努力と、災害が通り過ぎた後のできるだけ早い日常生活の回復である。

同社は今年5月から、福岡市の協力により、アプリ上での防災マップの公式配信を開始している。地震などの災害時、たとえ通信が途絶えた状態であっても防災マップが表示し、現在位置を確認できる。出張者や旅行者など地理に不案内な人でも、付近の屋内避難所や屋外避難地域、病院・交番・消防署などの施設情報が得られるしくみだ。

観光誘引効果のある YAMAP に防災マップを追加するコンセプトは、2014年に34年ぶりの火山噴火が起きた口永良部島でも取り入れられることになった。ひとたび自然災害が発生すると、実際の被害状況は限定的であるのに、人々はその地域に旅したいという心理から遠のく。いわゆる風評被害だが、観光産業にとっては、災害が直接的にもたらす物損的被害よりも往々にして大きな経済的打撃となる。

そこで、口永良部島を管轄する屋久島町では、ヤマップに YAMAP 上で口永良部島の防災マップ追加を依頼。口永良部島を訪れる観光客には YAMAP を名所を巡る際の案内アプリとして利用してもらい、万が一のときには、防災マップとして身を守るための情報源に活用してもらうことを想定している。口永良部島の防災マップが追加されるのは来年のことだが、自然がもたらす絶景は災害と常に隣り合わせだけに、国内各所の観光地を中心に、このようなユースケースは増えてくるだろう。

YAMAP メインのコミュニティアプリ以外の活動も活発だ。ヤマップは9月、ユーザ同士がトレッキング・ハイキング・登山などのグループイベントをスケジュールできるアプリ「YAMAP Events」をローンチ( iOS 版 / Android 版 )。さらに、今月半ばには、同じく姉妹アプリで登山・アウトドア用品の比較評価ができる「YAMAP Gears」( iOS 版 / Android 版 )が大幅リニューアルし、タイムライン上に登山・アウトドア時に実際に使った道具の写真を併せて投稿できるようになった。ユーザは他ユーザの実際の利用シーンを見て商品を評価できるようになり、YAMAP Gears から商品購入に至るコンバージョン向上にも寄与することが期待される。

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10月にローンチした「YAMAP Events」(左) と、今月大幅リニューアルした「YAMAP Gears」(右)

これから初日の出を見るべく、旅支度を始めている人も多いだろう。幸い、新年3が日の空は全国的に快晴のようなので、YAMAP の3つのアプリで情報を得て、安全安心な山登りとご来光を楽しんでみるとしよう。

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東京都内で開催された、YAMAP ファンによる関東オフ会の様子。ヤマップ代表の春山慶彦氏(左下の写真)は、ユーザから「はるさん」の愛称で親しまれている。
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登山者コミュニティ「YAMAP」がシリーズAで1.7億円を調達——各社と協業でゲーミフィケーションにも意欲

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福岡を拠点に、登山者向けのコミュニティ・プラットフォーム「YAMAP(ヤマップ)」を運営するセフリは14日、シリーズAラウンドで1.7億円を調達したことを発表した。このラウンドはゲーム・パブリッシャーのコロプラ(東証:3668)がリードインベスターを務め、大和企業投資と福岡拠点の VC であるドーガンが参加した。セフリでは今後1年間以上にわたり、利益を上げるよりもサービス改善に注力するとしており、…

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福岡を拠点に、登山者向けのコミュニティ・プラットフォーム「YAMAP(ヤマップ)」を運営するセフリは14日、シリーズAラウンドで1.7億円を調達したことを発表した。このラウンドはゲーム・パブリッシャーのコロプラ(東証:3668)がリードインベスターを務め、大和企業投資と福岡拠点の VC であるドーガンが参加した。セフリでは今後1年間以上にわたり、利益を上げるよりもサービス改善に注力するとしており、今回調達する資金はその間の運転資金に充当する見込みだ。

YAMAP は、電波が届かないところでも現在地が確認できる地図アプリ、山に関する情報の投稿や共有サービスを提供している。2013年3月にリリースし、今年2月末現在のアプリダウンロード数26万件、会員数16万人、写真投稿数220万件、月間のアクセス数900万PVを誇る。昨年7月には、アウトドア用品のレビューアプリ「YAMAP Gears(ヤマップ ギアーズ)」、独自保険商品、アウトドア特化型メディアの「.Hyakkei(ドット・ヒャッケイ)」を公開したほか、最近ではカメラやスマートフォン、スマートウォッチメーカーとの提携などにより、売上の多角化を図っている。

昨年オリンパスのオープンプラットフォームカメラ「AIR A01」と YAMAP のユーザコミュニティがアウトドア向けのカメラアクセサリーを共同開発したのに加え、京セラのアウトドア向けスマートフォン「TORQUE」や、国内メーカーとしては初のスマートウォッチとなるカシオの「WSD−F10」(3月下旬に発売予定)に YAMAP アプリがプリインストールされる。

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セフリ代表取締役の春山慶彦氏は、YAMAP の進捗フェーズを フェーズ1:簡単・便利の提供、フェーズ2:わくわく・発見の提供、フェーズ3:ユーザのパートナーになる、の3つに分類しており、今後はフェーズ2に特化して、山頂に到達したらスタンプがもらえたり、YAMAP ユーザ同士が FireChat のようなすれ違い通信ができたりする機能を追加したいとのこと。今回、株主にコロプラが加わったことで、位置情報系のゲーミフィケーションにも期待が持てるだろう。

また、昨年末から今年3月末までは、北海道の倶知安観光協会と提携し、YAMAP でニセコのスキー場のオフライン地図を提供し、パウダースノーを求めて来訪するスキー客がコースから外れるのを防止したり、スキー客がどのようなルートで観光を楽しんでいるのかビッグデータ解析したりする実証実験を行っている。情報は英語でも提供されているため、これまでにインバウンド観光客も含めて400件以上の投稿情報が集まってきている。

今回の調達を受けて、春山氏にセフリのイグジットプランについて尋ねたところ、2020年夏までの IPO を念頭に置くが、ユーザやサービスにとって親和性の高い組み方を重視しており、それ次第では M&A を含む他のイグジットの選択肢についてもオープンとのこと。白馬、屋久島など世界的に有名な観光地の、インバウンド需要の掘り起こしにも積極的に関わっていきたいとしている。

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共創ものづくりプラットフォームWemakeがアウトドアコミュニティYAMAPとアウトドア向けカメラアクセサリーの開発を開始

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ものづくりのオープンイノベーションプラットフォーム「Wemake」を運営するA(エイス)が、アウトドア地図アプリ「YAMAP」を運営するセフリと共に、オリンパスのオープンプラットフォームカメラ「AIR A01」のアウトドア向けカメラアクセサリーの開発プロジェクトを開始した。 「Wemake」は、サイト上でユーザからのアイデアを募り、商品開発を行っていくプラットフォーム。今回の共同プロジェクトでは、…

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ものづくりのオープンイノベーションプラットフォーム「Wemake」を運営するA(エイス)が、アウトドア地図アプリ「YAMAP」を運営するセフリと共に、オリンパスのオープンプラットフォームカメラ「AIR A01」のアウトドア向けカメラアクセサリーの開発プロジェクトを開始した

「Wemake」は、サイト上でユーザからのアイデアを募り、商品開発を行っていくプラットフォーム。今回の共同プロジェクトでは、アウトドアコミュニティ「YAMAP」の中でも、人気の高いユーザである「YAMAPマイスター」が参加することで、アウトドアユーザの声を反映してカメラアクセサリーの開発を行う狙いだ。

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サイト上でのアイデア募集に加えて、投稿者とアウトドアユーザが関東近郊の山にて、実際に登山を行いながらアイデア出しを行う「山アイデアソン」等のイベントの開催も予定されている。商品化が決定したコンセプトに関しては、開発したアクセサリの売上からのロイヤリティが還元されるなどのインセンティブが投稿者に与えられる。

コミュニティの力を活かしながらものづくりを行う「Wemake」ようなサービスと、特定の領域においてコアなユーザを抱える「YAMAP」のようなサービスが共同するのは相性が良さそうだ。「Wemake」は先日、富士ゼロックスともプロジェクトをスタートしている。

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登山者コミュニティの「YAMAP」が、アウトドア用品のレビューアプリ「YAMAP Gears」と独自保険商品をリリース

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福岡に本拠を置くセフリが提供する、登山者向けのオンライン・コミュニティ「YAMAP」は23日、登山者やアウトドアに出かける人を対象にした保険「YAMAP アウトドア保険」を発売開始した。 警察庁の発表によれば、平成26年(2014年)の山岳遭難の状況は、発生件数2,293件で遭難者数2,794人と統計史上最多。捜索費用にかかるコストは地元の地方自治体が負担するケースも多いことから、東京からの登山客…

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福岡に本拠を置くセフリが提供する、登山者向けのオンライン・コミュニティ「YAMAP」は23日、登山者やアウトドアに出かける人を対象にした保険「YAMAP アウトドア保険」を発売開始した。

警察庁の発表によれば、平成26年(2014年)の山岳遭難の状況は、発生件数2,293件で遭難者数2,794人と統計史上最多。捜索費用にかかるコストは地元の地方自治体が負担するケースも多いことから、東京からの登山客が多い、日本アルプスのお膝元などでは、、万一の場合の捜索費用を登山者に負担させる条例の制定を始めているという。海外渡航時の保険加入や、クレジットカード付帯保険の自動適用が一般化しつつあるのとは対照的に、海外旅行よりもリスクのある登山で保険に加入するケースは、まだまだ少ないのだという。

「YAMAPアウトドア保険」は、YAMAP とまごころ少額短期保険が共同開発した保険商品で、再保険をフランスの国営企業であるフランス再保険公庫が引き受けている。生命保険のリスク細分化商品であるため、山登りやアウトドアに出かけているとき以外の、日常のケガや地震、津波、災害などの被害にも適用される。日本国内の事故に適用され、この種の保険にありがちな、登山ガイドが加入できない、雪山登山には適用されない、などの例外条件が無く、ウェブで申込をした次の日の深夜0時から保険が適用される手軽さが最大の売りだ。補償内容によって、保険はメニューが3タイプ、月契約と年契約が提供されている。

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また、これに先立ち、7月17日には、以前からセフリの春山慶彦氏が公言していた、アウトドア用品のレビューアプリ「YAMAP Gears(ヤマップ ギアーズ)」が iOS 向けにリリースされた。アプリからはアウトドア用品販売サイトへの誘導がなされているほか、アウトドア用品それぞれが、YAMAP 上で各ユーザが記録している過去の登山時の装備データとも紐づくようになっている。今後は、登山道具を使ってみてのユーザの感想や、各社のメディアの記事などとも連携させていく予定だ。

「YAMAP Gears」は iOS で利用でき、現在 Android 版を開発中。SEO の観点から、モバイル向けのウェブ ・インタフェースもあわせて開発を進めるとしている。

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登山×位置情報×ビッグデータで、世界随一の登山者向けオンライン・コミュニティを目指す「YAMAP」

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先日、日本IBMが初めて手がけるインキュベーション・プログラム「IBM BlueHub」の第1期バッチに選出されたスタートアップ5チームが明らかになった。IBM という技術ドリブンな会社が手がけるプログラムだけあって、5チームのサービスは技術に特化したものが多い。 スタートアップ・シーンには UI/UX にフォーカスしたサービスが多い昨今だが、筆者は副業がシステムエンジニアということもあってか、優…

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先日、日本IBMが初めて手がけるインキュベーション・プログラム「IBM BlueHub」の第1期バッチに選出されたスタートアップ5チームが明らかになった。IBM という技術ドリブンな会社が手がけるプログラムだけあって、5チームのサービスは技術に特化したものが多い。

スタートアップ・シーンには UI/UX にフォーカスしたサービスが多い昨今だが、筆者は副業がシステムエンジニアということもあってか、優れた技術を兼ね備えたサービスを見ると身震いを禁じ得ない。今回は5チームに選ばれたうちの一つ、YAMAP を開発する SEFURI を紹介しよう。

YAMAP が目指すユーザ体験

YAMAP は登山者向けの地図アプリで、携帯電話の電波が届かない山においても、ユーザは位置衛星からの GPS 電波だけで現在地を知ることができる。従来の登山者は専用の GPS デバイスを携帯することが多かったが、常日頃から持っているスマートフォンでほぼ同等の機能を提供できるようになった。インターネットがつながる環境に戻ったら、登山/下山のロギングデータを YAMAP 上に公開できるほか、どのような装備で登ったか、その山にどのようなアトラクションがあったかなどを他のユーザと共有することができる。つまり、地図アプリの領域を越えて、登山者のためのソーシャル・ネットワークへと進化したわけだ。

YAMAP が目指すユーザ体験とは何だろうか。かつて個人旅行系の旅行会社で旅行誌の編集を手がけていた、SEFURI の創業者で代表の春山慶彦氏に話を聞いてみた。

例えば、湯布院に旅行したとしましょう。我々は旅行者に、町の中心部(温泉街)だけでなく、まわりの山も含めて、その地域全体の体験を楽しんでほしいんです。そういう滞在型観光を支援したい。

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SEFURI 代表 春山慶彦氏

旅程を記録してシェアするのなら、韓国の Travelog のようなアプリもあるし、予め滞在先の地図をダウンロードしておき、国際旅行者が 3G や 4G のローミング・サービスを使わなくても現在地がわかる地図アプリ(韓国のスタートアップ。名前を忘れてしまったので、追って追記予定)などは存在する。

春山氏は、技術的にはこのようなスタートアップが開発しているものと同じであることを認めつつも、YAMAP はあくまで登山を中心としたコミュニティ作りにフォーカスしていることを強調した。登山者の体験談が、利用した装備の写真などと共に山ごとに掲載・共有されているので、初めての山を攻略する上で何が必要か、どのようなアトラクションがあるか、登山初心者にとって非常に心強い情報源になっている。

地図とGPS、そこから得られる登山の軌跡データを組み合わせた Trip Advisor のようなサービスにしていきたいと考えている。登山者に広く使ってもらえるサービスを目指しているので、地図アプリの機能の部分で、マネタイズは考えていない。(春山氏)

コミュニティ運営とマネタイゼーション

昨年のローンチから約1年が経過し、YAMAP の現在の会員数7.5万人。月間ページビューは211万件、11月のMAUは2万人に上る。春山氏は、会員数が50万人とか100万人とかのレンジに至るまではマネタイズは考えていないとしながらも、可能性のあるビジネスモデルについて、アイデアを共有してくれた。

登山/アウトドア製品に特化した、価格比較サイト/アプリを作りたい。登山やアウトドア製品というのは、生命に関わるので、誰しもいいものを安く買いたいという思いが強い。一方で、パタゴニア・ノースフェイス・モンベルといったアウトドア製品は、もはやニッチな存在ではない。そのような製品販売サイトへの送客で得られるアフィリエイトが一つの収入源になるだろう。

もう一つは企業広告。登山やアウトドア好きのユーザが集まるオンライン・コミュニティは数が少なく、YAMAPはこの分野に関して規模の大きなプラットフォームになりつつある。今後、観光に関わる事業展開ができたら、そういう広告も集められるだろう。ただ、観光事業に関しては単独ではなく、自治体や他の企業と協業した方がよいと考えている。(春山氏)

SEFURI は春山氏に加え、3人のエンジニアからなるチーム。モバイルアプリのダウンロード件数は9万件だが、IBM BlueHub のプログラムではデザイナーの深津貴之氏らによるメンタリングを通じてUI/UXを改善し、プログラム修了時にはダウンロード件数15万件の達成を目指している。

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資金調達と海外展開

同社はこれまでに、シードラウンドでサムライ・インキュベートから500万円を調達、日本政策金融公庫から1,500万円の融資を受けているが、来春に向けてシリーズAラウンドでの資金調達に動いている。Android アプリの開発を推し進めるため、SEFURI の福岡オフィスで勤務してくれる、Android アプリの開発エンジニアを絶賛募集しているとのことだ。

登山の需要は世界中にあるので、海外展開も積極的に行っていきたい。来春までにサービスを英語に対応。韓国語、中国語対応もやりたい。当初は海外から日本に来る登山旅行者向け(インバウンド)、その後は日本から海外に行く登山旅行者向け(アウトバウンド)のサービスを強化していきたい。

地図会社の地図データを使うと、ユーザに課金しなくてはいけなくなってしまうので、国内は国土地理院のデータを使っている。海外展開時には、Open Street Map を利用することになるだろう。アメリカなどにも登山者向けのアプリを開発しているところはあるが、今ひとつアプリの質がよくない。したがって、大きなチャンスがあると思っている。(春山氏)

YAMAP は、先ごろ福岡市内で開催された「全国Startup Day」でサムライ賞を受賞、2014年のグッドデザイン賞・ベスト100に選出され、ものづくりデザイン賞(中小企業庁長官賞)を受賞した。

普段山登りをしない人が、ガイドをつけずに登山するのはいささか不安を伴うが、YAMAP があれば、初めての山でも怖くない。今年は、日本国内からも、そして海外からも多くの登山観光客が訪れる、空前の登山ブームということなので、このようなトレンドが後押しして、YAMAP が世界の登山者の必携アプリになることを期待したい。

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