コロナ禍で需要が高まるオンラインピル処方

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Image Credit:PRNewsfoto/Nurx

ピックアップ:Nurx Launches in Maine, Leveraging Telemedicine to Provide Affordable and Convenient Access to Healthcare

ニュースサマリ:女性向けヘルスケアサービスをオンラインデリバリーで提供するNurxは5月19日に新たにメリーランド州へ進出することを発表している。Nurx社の創業は2015年。遠隔医療プラットフォームを提供しており、Crunchbaseによるとこれまでの調達額は約9300万ドル。

詳細:コロナ禍で医療が逼迫する中、遠隔医療のサービスはこれまで以上に必要とされている。そうした中、メリーランド州では、2020年4月に遠隔医療サービスを拡大する法律が可決。医療従事者が臨床的判断を用いて、遠隔医療環境で患者への治療を提供できるようになった背景もあり、Nurx社は同州への進出を発表した。

・Nurx社の広報担当者であるアリソン・ホフマン氏によると同社は3月以降、避妊のための新規患者数が50%増加し、同社の避妊患者数は現在25万人に達している。同社のすべてのサービスの需要が増加しているが、その中でも避妊薬が最も需要があるという。

・日本においても、オンラインでの女性向けヘルスケアの動きは盛んになりつつある。2020年3月、ITを活用したスマートクリニックをプロデュースするLinc’well(リンクウェル)は、「sai+」を立ち上げ、オンライン診療による低用量ピルの処方と、PMS症状にアプローチするサプリメントのサブスクリプションサービスを開始。

さらに、5月12日、ネクストイノベーション社が運営する、女性向けオンライン診察サービス「スマルナ」は、アプリ配信開始からおよそ9カ月で累計20万ダウンロードを突破したことを発表した。

・Nurx社は、ピルの他にも、メリーランド州で流行が急増していると言われるSTI(性感染症)の検査キットや、同州の診断率がアメリカで5番目に高いと言われるHIVを予防するためのPrEPが、自分に合うか確かめるための検査キットを自宅に届けるサービスを提供する。

・Nurxはユーザーがアプリを通じて健康に関するいくつかの質問に回答すれば、Nurxの医療スタッフがそれを元に適切な薬を処方し、ユーザーの自宅に届く仕組みとなっている。

・Nurx社は、2015年の創業以来、6回の資金調達ラウンドで合計9340万ドルを調達。さらに、2019年8月には、Kleiner Perkins Digital Growth FundとUnion Square Venturesが主導するシリーズCラウンドで約5200万ドルを調達した。

・現在、米国の90%の人口がNurxを利用できるという。利用可能な州は以下:アラバマ、カリフォルニア、コロラド、コロンビア特別区、フロリダ、ジョージア、イリノイ、インディアナ、アイオワ、ケンタッキー、メイン、マサチューセッツ、ミシガン、ミネソタ、ミズーリ、ネブラスカ、ニュージャージー、ニューヨーク、ノースカロライナ、オハイオ、オレゴン、ペンシルバニア、サウスカロライナ、テネシー、テキサス、ユタ、バージニア、ワシントン、ウィスコンシン、そして今回新たに進出した、メリーランド州。

背景:メリーランド州では、市販の緊急避妊にも保険が適用される法律(Maryland Contraceptive Equity Act)が2018年に可決されており、避妊のための自己負担金がほとんどない。

執筆:理沙子(Risako Taira)/編集:平野武士

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