chou a la creme Capri(シューアラクレームカプリ)は、水色がブランドカラーのシュークリーム専門店。コロンと丸いクッキーシューにチョコレートをあしらった独特なビジュアル、デザイン性があるオリジナル持ち帰りBOXなどから手土産にも人気です。
chou a la creme Capriの代表を務める角島瑞希(かどしまみずき)は、1号店を21歳で河内長野市にオープン。現在もオーナーパティシエとして現場に立ちながら、2店舗の経営、製菓専門学校の講師、カフェ商品開発などにも携わっています。本ストーリーでは、そんな現在の姿に至るまでの軌跡を伝えます。
◆思い描いていた進路が断たれた10代。しかし、好きだったお菓子を通じて新しい道が開ける。
角島は、子どものころから運動能力に優れた少女でした。志望校にスポーツ推薦で入学し、24時間365日を陸上に捧げる生活を過ごしていたと振り返ります。授業のカリキュラムや講義内容から、高校卒業後は栄養学について学べる大学への進学を考えていました。
順風満帆に走り始めた高校生活でしたが、特定の男子生徒のストーカー行為があり、それが原因で過呼吸を起こすように。学校側に相談しても納得できるような方向へ話は進まず、精神的なストレスから体調を崩し、ついには走れなくなり、高校を中退するほど追い込まれました。
進路を断たれ、絶望の縁にいた角島を救ったのは、お菓子づくりでした。お菓子づくりが好きだったことから製菓専門学校に進学。友達にも恵まれて充実した3年間を過ごします。
◆若干21歳で自分の店をオープン。大好きなシュークリームを多くのお客様へ。
そんな中、大阪で開かれたモバックショーを訪ね、会場に並んでいた様々な機械を見る中で、製菓業界では当然とされる、修行という考え方にも疑問を持ちました。また女性ならではの、結婚、出産、育児というライフスタイルの変化などの可能性も考えると、工夫してできるだけ早くお店を持った方がいいのではないか、と思い始めました。
開業することを決心すると、取り組まなければならないことがたくさんありました。当時20歳の若さで事業計画書を作成し、お金を借りるために奮闘しました。
専門店にすることで経験値の低さをカバーしようと考え、大好きなシュークリームを選び、何度も試作を重ねました。
店名は、「chou a la creme Capri」へ決定。シュークリームをかぷっと食べる音から付けました。響きのポップな感じや、一番うれしい食べる瞬間を感じて親しんでもらえることを想像してピッタリはまったと振り返ります。
◆オープン初日、店を開けると多くの人が集まっていた。もっと広くシュークリームを届けるために。
そうして迎えたオープン初日、2018年5月1日。お客様がくるか不安を抱えていたものの、お店を開けると行列ができているという盛況ぶり。瞬く間に完売となりました。
その勢いは止まらず、オープンから2ヶ月後に知人の「chou a la creme Capri」について触れたツイートが1日で5万リツイートを記録します。東京、愛知、愛媛など大阪府外のお客さんが多数来店してくれるようになりました。お昼過ぎには完売していることが多く、お客様にお詫びすることもありました。
「もっと多くのお客様に届けたい」との思いを込めて、2店舗目のオープンを計画し始めます。開業から1年半、2019年12月に藤井寺市に藤井寺店を立ち上げます。
◆未曾有の製菓業界の苦難の時期の到来
藤井寺店オープンから程なく、コロナがやってきました。まだ本来ならオープンした勢いでお客様もたくさん来られるタイミングでの緊急事態宣言。
その後も何度もコロナの大流行があり人々の生活が一変してしまいました。
「chou a la creme Capri」は人が集まる所への手土産に買っていくという需要が一番多かったので大きな痛手となります。
さらに原材料、光熱費、ガソリン代、などさまざまな物が高騰し、何度も壁にぶつかります。それでも角島はなんばマルイ店に3店舗目を出店したり、東京にイベント出店したり、止まることなく挑戦を続けました。
◆これから目指すこと
角島は、6月からはオンライン教育サービス「coloso」で講師を務め、10月には自身監修のシュークリームのレシピ本が発売予定とますます活躍の幅を広げています。
厳しい世界だからこそ、これからパティシエを目指す人に、明るい未来を感じさせてあげられるようなパティシエになりたい、と言う。
角島の挑戦はまだまだこれからも続く。
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