インタビュー

#8 今考えるべきデジタル民主化 〜THE BRIDGE CEO × ACV唐澤〜

本稿はアクセンチュア・ベンチャーズが配信するポッドキャストからの転載。音声内容の一部をテキストとして掲載いたします アクセンチュア・ベンチャーズ がスタートアップと手を組み、これまでにないオープンイノベーションのヒントを探るポッドキャスト。グローバル・テックシーンを見つめてきたITジャーナリストの松村太郎をナビゲーターに迎え、旬のスタートアップをゲストにお招きし、カジュアルなトークから未来を一緒に…

本稿はアクセンチュア・ベンチャーズが配信するポッドキャストからの転載。音声内容の一部をテキストとして掲載いたします

アクセンチュア・ベンチャーズ がスタートアップと手を組み、これまでにないオープンイノベーションのヒントを探るポッドキャスト。グローバル・テックシーンを見つめてきたITジャーナリストの松村太郎をナビゲーターに迎え、旬のスタートアップをゲストにお招きし、カジュアルなトークから未来を一緒に発見する場を創っていきます。

岸田政権は2022年を「スタートアップ創出元年」として、官民をあげてスタートアップ支援を強化することを表明しました。ひと頃前は新興企業とか、ベンチャーとか呼ばれることが多かったスタートアップですが、この呼称も一般名詞として世の中に随分と定着しました。

スタートアップはいつ頃から生まれて、どのような変遷をたどって今日に至るのか。10年以上に 日本のスタートアップシーンを取り上げるメディアを運営する THE BRIDGE の CEO 平野武士氏をゲストに迎え、アクセンチュアの ビジネス コンサルティング本部 ストラテジーグループ マネジング・ディレクターの唐澤鵬翔が語ります。(ポッドキャストの一部をテキストにしてお届けしています。太字の質問はすべてナビゲーターの松村太郎さん)

ポッドキャストで語られたこと

  • メタバースやトークンエコノミーは、日本のスタートアップが世界に打って出るチャンス。人口の少なさはディスアドバンテージではなくなる。
  • DeepL の登場で言葉の壁もなくなりつつある。トヨタやソニーといった以前からの日本の成功体験に依存せず、新たな価値観で世界で勝負できるようになる可能性がある。

唐澤:現在、アクセンチュアの中でエンタメ業界を担当していますが、エンタメ業界が最近元気になってきていると感じています。一億総クリエイターみたいな話は確かにあると思っています。以前 Snapchat の創業者が「 Snapchat はコミュニケーションツールで、Instagramはステータス。TikTok がなぜ流行ったかというとクリエイティブの価値をうまく射抜いたから」と面白い話をしていました。。

TikTokは元々中国が出自なこともあって、自分のクリエイティビティを発揮しサービスの一部になりながら、ただ搾取されるのではなく、自分がオーナーシップを持って作っていく流れは間違いなくあります。最近は、そういうことを前提としたサービス設計も増えてきていると思います。既存プラットフォーマーに対して脅威になっていることが、幾つかの業界では起こっています。

日本の企業をメインに支援してる中で思うのは、日本は、実は凄くクリエイティビティーのある国なんですよね。単純なエンタメコンテンツの話だけではなく、日本企業も含めて元来クリエイティビティーがあるにもかかわらず、うまく外に見せられてないと感じます。先日、中国の36krグローバルCEOの馬成氏とBRIDGE Tokyoでも対談させていただいたのですが、面白いことを言っていました。、最近は、「モバイルゲーム」というと大体中国じゃないですか。モバイルゲームのTop 10のうち4割か5割が中国ですし最近エンタメ系のベストプラクティスも結構中国が多いです。「それはすごいじゃないか」と話したら「全然だ」と言っていました。中国から見ても日本のエンタメコンテンツや、日本企業がゼロから作り出したものはとてもクリエイティブだと捉えられていて、中国が今当たっているのはたまたまだって言うんですよ。要はお金が沢山あり、可処分所得の変動幅が凄い。

なので、クリエイティビティがそんなになくても突っ込めちゃう。外からだとそういう見方しないじゃないですか。今、中国は締め付けがあったり、もっと落ち着いてくる中で、今後は品質が低くてはもうさすがにやっていけない。だから日本企業のコンテンツやクリエイティビティをもってうまく中国企業とコラボするチャンスがすごくあると話していました。

平野:今もう別に国という概念がないかもしれないですが、OpenSeaのGMV(流通取引総額)を見ると爆発的に上がっていってるので、中にいる人達は正直誰がどこの国の人なのか全く分からないですよね。ブロックチェーンの可能性は、権利の移動みたいな部分が国とか大きい単位じゃなくて個人になった時に、何かシステムで回そうとし、人手をかけると当然処理しきれなくなるので、これを完全にトラストレスな状態で自動化させたところがエポックメーキングな出来事じゃないですか。

個人の可能性をマーケットプレイスに乗せて、国とかあまり関係なくインターネットで全部繋いで取引させていると。最近NFTのプロジェクトで日本のアニメのようなものがいくつか出てきてるんですよね。作ったのは、もしかしたら日本人かもしれないし、全然違う国の人かもしれない。それぞれの国の規制の問題とか最終的に法定通貨に換える時のKYC(本人確認)があるかもしれないですが、出口だけのプロトコルになるんじゃないかと思っています。

唐澤:大企業のクライアントと話していると「メタバース」が流行っています。メタバースについて議論したいと週に2〜3件予定が入るのですが、お伝えしているのはメタバースはレゾリューションの議論じゃないと。つまりどうやってきれいな3D空間作ってやるかではない。僕はまさに「国造り」だと思っています。自分たち独自の経済圏を作る。メーカー思想からの脱却なんですよね。モノづくりの発想ではなく、場を作って国を造って、そこで商売する人たちを呼んできて、治安維持して、最後税金としていただくという発想でやらないとうまくいかない。

国として捉えた時に、国土が広ければ広いほどいいですよね。なので初めからグローバルが前提になります。自動翻訳の精度は閾値まで来ていると思っています。そういうものを活用し、最初からグローバルのユーザーをターゲットすべきだと話します。これは日本企業にとってはチャンスです。リアルな世界だけなら一番のディスアドバンテージは人口なんですよね。中国で、日本のスタートアップのビジネスモデルを変えずにそのまま中国に持っていったら企業価値評価が10倍になる。なぜならユーザーが10倍いるから。そのディスアドバンテージが、実はメタバースとかトークンエコノミーではなくなります。

平野:海外に出ていくスタートアップの話は昔からありますよね。ウォークマンの話があったりとか、車を持って行ってフォードを打ち負かしたみたいな話とか。2010年ぐらいに、2000年代に起業したテクノロジー企業がビックテックにどうやっても勝てない要因は人口だとみんな分かっていたので、最初からグローバルだと言ってデラウェア登記組が出たんですね。アクセラレーションプログラムを使って最初に登記するのはデラウェアだと。

その国の文化を全く分からない人たちが進出して、「これどうですか」と言っても車みたいに物がないサービスは絶対にカルチャーフィットしないと受け入れられない。それが2010年の教訓だったかなと。ここから10年経った今、何が起こってるかというと、DeepLの登場により言葉が綺麗に通じるようになった。ギャップは多少はあるかもしれないけれど、読むに関しては全然問題ない。

カルチャーの部分に関して、最近教えてもらった面白い話があります。私が今使用しているツイッターのアカウントには「kigoyama」というペンネームが付いているのですが、それは本当にあなたですかと。もし法定通貨でギャラを取らずにトークンでギャラをもらって、Discordで仕事したら僕が誰かは絶対分からないまま仕事ができてしまいます。それが成り立つ世界が来ています。こうなったときに、「カルチャーって何ですか」とか、「誰に何を売りますか」みたいな話は全然違ったアイディアが必要になってくると思います。ここに今チャレンジできるのは凄くチャンスです。昔の人達がこう言ってたからなど考えずに解放された状態でチャレンジすると全く違うスタートアップが出てくるんじゃないかなと思います。

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【Web3起業家シリーズインタビュー】Proved/和組DAO で注目の連続起業家・小林清剛氏が見るWeb3

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本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」に掲載された記事からの転載 MUGENLABO Magazine では、ブロックチェーン技術をもとにした NFT や 仮想通貨をはじめとする、いわゆる Web3 ビジネスの起業家にシリーズで話を伺います。Web3 についてはまだバズワードな要素も含んでいるため、人によってはその定義や理解も微妙に異なりますが、敢えていろいろな方々…

Image credit: THE BRIDGE (2014年の B Dash Camp in 福岡で撮影)

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

MUGENLABO Magazine では、ブロックチェーン技術をもとにした NFT や 仮想通貨をはじめとする、いわゆる Web3 ビジネスの起業家にシリーズで話を伺います。Web3 についてはまだバズワードな要素も含んでいるため、人によってはその定義や理解も微妙に異なりますが、敢えていろいろな方々の話を伺うことで、その輪郭を明らかにしていこうと考えました。3回目は、サンフランシスコを拠点に Web3 事業や DAO を運営・展開している小林清剛さんです。小林氏が設立した「和組 DAO」には日本人ユーザも多く、Web3 エコノミーに興味を持った人たちが、この DAO への参加を通じて、仮想通貨ウォレットを使った、DAO のガバナンスに投票した、など、初めての経験をする人が増えているといいます。

アメリカから見た Web3 の最新動向と、今後、小林さんが目指す方向性などについてお聞きしました。

Web3 の現在地

ガス代が非常に低いことで人気を集める「Solana」。Solana Summer と呼ばれるきっかけとなった2021年夏には、1年前の約100倍の価値を持つこととなった。Image credit: Coinbase

小林さんから見て、Web3 の現在地はどのように見えますか?

小林:どういうものが世の中の動きになってるんだろうと思って見た時に、去年の夏ぐらいからWeb3がアメリカですごく注目され始めていて、ちょうど「Solana Summer」と言われ、Solana がすごく伸びはじめました。その少し前から急激にWeb3のことを調べ始め、まだ1年ぐらいなんですけども、非常に変化も早いし、もう不可逆な流れが来ていると思っています。

なるほど。今サンフランシスコで生活なさってて、Web3のコミュニティというのはいわゆるリアルよりはオンラインの方がにぎやかですか?

小林:そうですね。すごく面白いなと思うのはやっぱりWeb3のコミュニティのメンバー同士が出会う場所はオンラインにあるんですよね。僕は例えば、Orange DAOというYCの卒業生がやっているクリプトのファンドや、Web3の ビルダーズ・コミュニティのJericho、Webのグロース・コミュニティのSafari、Social DAO の Friends with Benefits など複数のコミュニティに参加してるんですけども、その多くは別に日本からでも参加できるんですよね。それに関しては敷居がすごく低くなってきている。

一方で、彼らがどこで実際にメンバー同士強く結びつくのかと言うと、それはやっぱりETHDenverとか対面で会う場所なんですよ。そういうコミュニティに行くとETHDenver行く人誰?みたいになって、じゃ現地で会おうね、コーヒーしようねみたいなのがあって、クリプトのイベントって世界中であって、みんな世界中移動してるんですよね。IRL(in real life:現実の世界での意)で会って仲を深めるみたいなのがある。サンフランシスコのいいところは、結構そういう人たちがETHDenverに行った帰りに寄るみたいな話があって、その時にキャッチアップしようよという話もあったりとか。

あと、そういうイベントがなくてもそういうメンバーが結構たくさんいて、例えば、僕が最近参加したSafaryはまだすごく小規模で、まだ始まったばかりの100人か200人ぐらいのコミュニティなんですけども、そのうち4分の1ぐらいはサンフランシスコにいる感じ。Web3でコミュニティがオンラインに移動したと言いつつも、実際対面で会うとという点で見るとベイエリアはすごく強い。あとはマイアミとかニューヨークとかもありますけど、マイアミとかニューヨークの人たちもやはりベイエリアに定期的に来るんですよね。だからここはすごく強いなと思っています。

ETHDenver Official 2022 Album から  ©2022 ETHDenver

なるほど。Web3のコミュニティに集まっている人々は、やはりIT系の方が多いですか?そうじゃない人も多い?

小林:テーマごとにいろいろありまして、例えば女性やノンバイナリーの方たちの活動を支援しようといったコミュニティですと、そういうテーマを持った活動を後押ししたい方がいる。初めてツイッターのアカウント作ったみたいな人もいますし、いろんな方がいます。アーティストを支援しようというものだったらアーティストとか。例えば写真のNFTだったらフォトグラファーがいたりとか。いろんなテーマごとにあり、そこはすごく面白いところかなと思っています。

今までも、多様なテーマに対してコミュニティがオンラインに存在していましたが、これだけそれぞれのコミュニティがアクティブに動き、またそれが実際これだけ目に見える形であるっていうところが面白いなと思っています。DAOはコミュニティがバランスシートを持っているみたいなイメージなんですよね。それぞれのコミュニティがバランスシートを持っていて、ちゃんと収益を上げてビジネスをするみたいなこともみんな考え始めるところがすごく面白いと思います。

Web3 スタートアップ、DAO の冷めやらぬ人気

アジアでは、クリプト(仮想通貨)系のファンドが DAO に出資するケースがよく見られるようになりました。アメリカでもどうでしょうか?

小林:アメリカでもすごく増えてます。2月には、Sequoia Capital が700億円ぐらいのファンドのローンチを発表したりとかして。もうWeb3はめちゃくちゃ盛り上がってますね。Orange DAOにも1,000人以上のYC卒業生が参加していて、こんなに参加してるのかとびっくりしました。

各国に規制があって日本は特に厳しいですけど、アメリカもやっぱりトークンがどこまで証券として扱われるかというと、実はかなり難しい。とは言え、アメリカが今後そういう事業となるものを見捨てる可能性はすごく低いと思っていて、すでにエクイティ・クラウドファンディングの法律とか、「Regulation A」というIPO前に株式を一般の人たちに販売するものとか、いろんな法律ができてるんで、そういうところに近いところで制御されるんじゃないかなと思っているので、アメリカに関しては僕は結構ポジティブに考えています。

投資の契約書の形は、例えばある国では「SAFT」で、アメリカだったら「SAFE」というYC(Y Combinator)がつくった契約書のテンプレートに加えて、トークンのワラントが使われています。

【用語解説】

Regulation A・・・米国の証券取引法では、有価証券の募集や販売は、米証券取引委員会(SEC)に登録するか、免除を受ける必要があります。Regulation A は1933年に証券法によって制定された登録義務の免除制度で、2015年に更新されました。

SAFT(Simple Agreement for Future Tokens)・・・アメリカのスタートアップアクセラレータ Y Combinator が開発・公開している、シードスタートアップのための投資契約書雛形「SAFE(Simple Agreement for Future Equity)」のトークン版。

Image credit: Orange DAO

Proved 開発の背景、Web3 時代の働き方とは?

Provedの話にも少し触れたいと思います。Discordの中での個人の貢献度合いを評価して、貢献すればするほどNFTがもらえるわけですよね。実際、中では何をしてるんですか?

小林:もちろんコミュニティとかDAOの形にもよるんですけど、例えばプロダクトを運営しているDAOだとほとんど会社と一緒で、今の流行りの形としては Bounty Board というのを各DAOが作って、例えば、ソーシャルメディアの運用をしてくれる人、この機能を作ってくれる人、デザインをしてくれる人みたいなのを募集していて、それに対してみんなが手を挙げてやるみたいなのが主流になってきている方法です。Discordのロールがその時にメンバーに割り振られるんですけども、Provedではそのロール情報をNFTとして発行して、そのメンバーが所有できるようにしています。

「Proved」Image credit: Knot

共同プロジェクトみたいなものが立ち上がるということでしょうか?

小林:そうですね。例えば、コミュニティの中で、プロダクトに関心のあるメンバーが集まってきて、その中からデザインやる、エンジニアリングするとか募ってやるというもので、あるコミュニティのメンバーが、プロダクトのユーザーであると同時にコントリビューターでもあるという形が増えてきていますね。

あと同じようなコミュニティの概念というのが投資にも言えて、最近は投資DAOといったものが増えてきています。今まではLPがいて、GPがいてという感じでしたけど、投資DAOではメンバーが皆で案件も集めてきて、皆で投資の意思決定をしてリターンを分け合うといった形で、コミュニティで投資をするという雰囲気に変わってきています。コミュニティというテーマがすごく重要になってきているというのがWeb3の特徴の一つかなと思っています。

というのも、Web3の中心となる概念は、NFTも含むトークンによってユーザーがオーナーシップを持つようになったことがすごく大きいです。Provedでも、例えばDiscordのロールは、本当はオフチェーンと言われるブロックチェーン上にないものですけど、NFTにすることによってそれをオンチェーンに移行するので、彼らがそのデータを他のところで使えるようになる。これはやはり、そのデータに対するオーナーシップを持ってるんですよね。

組織に関しても、トークンは株式みたいなものなので、トークンを持つことによってその組織に対してオーナーシップを持つ。そういう意味で、オーナーシップが移行したというのがWeb3の一番大きなところかなと思います。

「和組」Image credit: Knot

既存の、例えば会社などにとらわれない新しい働き方みたいなところがこれだけ世界中を夢中にさせてるということでしょうか?

小林:そうですね。人によってはもうDAOで働いて、5個とか10個とか参加する人とかもいますし、フルタイムで一つのところにコミットする人もいます。ちょうど今が過渡期で、本当にWeb3はみんなで実験を繰り返してる感じなんですよね。

企業がどう取り組むかというところは結構面白いテーマだなと思っています。ちょっと僕には日本の法律は分からないですけど、もし法律がクリアできるんであれば、海外法人を作ってトークンを活用したプロダクトを作ってみるのも発展形としてはすごくありうるかなと思います。

または、日本の企業が自分たちが関心のある領域に取り組んでいるプロダクト対して出資をしてみて、それはどういう風に動くのかを見るのもいいかもしれません。大企業で資金があればいろんなことを同時に試せるので面白いかなと思います。

Web3 と大企業

スマートフォンの波が来た時に、波に乗る動きをせず乗り遅れた方もいます。当然個人よりも企業の方がどうしても動きが遅くなる。後になって、波に乗っかっていればチャンスが取れたのにという人達がいっぱいいると思います。今で言うと、企業がこの Web3 の波に乗っかるとしたらどんなパターンがあると思いますか?

小林:昔、KDDIがMUGENLABOを作ったのもちょうどスマートフォンの時とかですよね。そういう風に自身のところにインキュベーションの仕組みを作って、Web3に関する事業、NFTの事業を作ってみるのもすごくいいと思いますし、そういった企業に対して出資をするのももちろんいいと思います。

例えばETHDenverに行くのはそんなに難しいことじゃないと思うんですよ。そういうところに行ってみて実際の雰囲気を見てみるとか。あとはDAOに参加してみるとか、Discordのコミュニティに参加してみるとか。

結構やれることは無限にあるんじゃないかなと思っていて、会社で何千人とか何百人とか考えると大変ですが、まずは何十人から会社のメンバーでウォレットをセットアップすることを始めてみるとか。その後に、みんなでここまでやってみるみたいな、会社全体でWeb3のオンボーディングをしてみて、例えば「こんなニュースあったよ」って、試せることは沢山あると思うんですよ。それが例えば、NFTでもいいしDeFiでもいいし。あとDecentralandみたいなメタバースもいいですし。それぞれの人がそれぞれ面白いテーマを持ち寄って話せるのはWeb3の面白いところだと思う。大企業も一つのコミュニティというか、人の集団なので、そこの中で○○部を作るのと同じような感じで、Web3で遊んでみてもいいんじゃないかなと思います。

企業では、社内にWeb3事業部みたいなものが勝ち上がっていって、そこが中心になって Web3 関連のビジネスを牽引していくのが現実的なんですかね?

小林:僕はそうだと思います。組織は大きくなればなるほど権限も分かれてくる。ただ、これだけ変化が早いところで毎回毎回稟議通してるとそれだけで遅れちゃうんで、Web3とかそういう新しいものが好きな人に対してある一定の予算と適切な権限を渡して、その人が実験できる環境をどれだけ多くの会社が作れるかというのが勝負の鍵になるかなと思います。

Web3にすごい関心がある人がいて、その人が予算を持って意思決定ができれば、例えばその人がETHDenverに行ってセッションに出てレポーティングするだけでも多くの刺激になるかもしれないですし、それで社内の事業ができればそれで新しくWeb3の人が入ってくると循環ができる。企業が最初にやることは、Web3に関心がある人に対して予算とか権限を与えて自由に育てるところからスタートすることがいいかなと思います。

アメリカで有名な会社がそういう動きをしている事例はありますか?

小林:例えばバドワイザーが 「Beer.eth」というドメインをENS(Ethereum Name Service)でけっこう高く買っていたと思います。他の会社とかも、すごく高額でブルーチップ (優良)NFT の CryptoPunks や Bored Apes を買っていたりします。彼らがそれを買うことによって株価が上昇してて、宣伝効果もものすごくあったんですよね。

ファッションブランドでは、グッチとかはメタバース上のチャレンジはやっていますけど、宣伝効果がすごくあると思います。アディダスがApeと提携したり、ナイキもRTFHTを買ったじゃないですか。ああいうのとかもすごく面白いなと思います。

会社を買うのもカルチャーを変えるという意味ではすごくいいかなと思いますし、僕が以前取り組んでいたノボットという会社を KDDI に買収していただいたことによって、その後KDDIグループがスケールアウトという会社を買い、それが今のSupershipの原型に繋がったという経験もあります。

今、Supershipはものすごい売り上げを出しているんですが、辿っていくと、たぶんノボットという会社を買っていただいたことからスタートしていると思うので、最初はいろんな失敗がありつつも、Web3の会社を買ってみてそういうカルチャーを植え付けて、短期的に見るといろんなことがあるかもしれないですけど、5年、10年で見るとものすごいリターンが出てくるという感じになるんじゃないかなと思います。
(終わり)

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Web3の流れで押さえたい金融知識の重要性 / GB 一宮・Knot 小林対談(後編)

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本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載 前半からのつづき。ここ数年で急速に立ち上がりつつある「Web3」トレンドをスタートアップ・シーンはどう捉えるべきでしょうか。トークンエコノミーにより、これまでと異なる資金の流れが生まれつつある中、スタートアップ、VC共に新しい知識と経験を積み上げる必要が出てきています。引き続…

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載

前半からのつづき。ここ数年で急速に立ち上がりつつある「Web3」トレンドをスタートアップ・シーンはどう捉えるべきでしょうか。トークンエコノミーにより、これまでと異なる資金の流れが生まれつつある中、スタートアップ、VC共に新しい知識と経験を積み上げる必要が出てきています。引き続きお二人の話をお届けいたします。

小林清剛:1981年生まれ。大学在学中にコーヒー通販の事業を手がけ、2009年に創業したモバイル広告「ノボット」は2011年にKDDIグループへ売却するなど、国内のテクノロジー系スタートアップシーンを牽引してきた。2013年に渡米してからは、数社の事業を創業しつつ、2015年に友人らと設立したファンド「TokyoFoundersFund」などを通じて数十社に投資をするエンジェルとしての顔も持つ。

一宮翔平:1991年生まれ。Sonyにてゲーム&ネットワークサービスのシステム構築・ 運用業務及びM&Aやスタートアップへの投資実行推進業務に従事。 グローバル・ ブレインのPartnerとしてシリコンバレー拠点からグローバルのFinTech/Crypto投資を担当。 カリフォルニア大学バークレー校修辞学部卒。

スタートアップ経営に金融知識が必要になる?

小林:まさに今言われていることにすごい共感する部分があって、インベストメントDAOみたいなのもやっぱり規模を大きくしていくと、どっかで非効率性が発生してくるんだろうなっていうことは思っています。

今「和組DAO」というものを運営していてDAOの運営の難しさも感じていますし、一方で「TOKYO FOUNDERS FUND」っていう友達8人とやっている小さい投資クラブみたいなものだと、多数決で決めているのですが、みんなそれぞれ経験がある人間が集まってるんで、その意思決定の精度も高くて、半分ぐらいシリーズAに行ってるんですよね。

インベストメントDAOで多数決で決めたものが本当にいい意思決定になるとか、そこでディールソーシングの効率性がちゃんと高まっていくのかみたいなところは、確かに興味深いです。

あとは、DAOが今までのスタートアップと大きく違うところのひとつが「トレジャリー」、つまり今までのスタートアップで言うと銀行口座に預けてた資金や株といった資産がDAOだと運用できるという点なんですよね。

よりスタートアップの経営自体にもDeFi要素というか、金融の要素が入っていくんじゃないかなと思っています。この点はいかがでしょうか?

一宮:資金調達のモデルが少し異なりますよね。VCの投資モデルって段階を踏んでいくじゃないですか。シードラウンドで数ミリオンを集めて、18か月から24か月頑張って、その間に実証するべきファクトも全部出す。それが認められたら次の10ミリオンから20ミリオンの投資を受けて、トラクションが大きくなればまた集めていく。

一方、変わりつつある部分はあるかもしれないですけど、クリプトだと大体最初に一気に集めるっていうのが多かった。最初に100ミリオン単位で資金が集まって、今すぐ使わないお金がある状態が生まれてしまったのが、伝統的なVCの資金調達とは大きく違うところだと思います。

やっぱりプロトコルが何をやってるかと、運用するスキルってイコールじゃないんです。プロトコルの会社って株式会社じゃなくてファウンデーションだったりするじゃないですか。ファウンデーションが発行体だったり、法人格がないこともあったりして、今の株式会社の形とはちょっと違うんですよね。

プロトコルと運用、その2つの機能を持っているもので言うと、大学のような財団的なところは似てると思います。例えばスタンフォード大学って、優秀な人が勉強する場所というイメージがあると思うんですけど、裏でプロの投資家が財団の資産運用してるんですよね。

有名なアメリカの大学だと2桁ビリオンを運用してます。VCファンドに出資していたり、上場株の運用をやっていたり、不動産買ったり、絵画を買ったり。いろんなことやってるんです。でも運用してる人たちは大学の教授のように何か教えることはできません。同じようにプロトコルを作ってる起業家がDeFiを運用するっていうのは、徐々になくなっていく気もします。

評価額を決めるもの

小林:最近Web3の高まりのせいもあってかバリエーションが結構高騰してるなと思ってます。

クリプトのVC何社かと話してて、最初のシードで少し実績があるところが大体20〜40ミリオンの評価額で大体2〜4ミリオンぐらいを集めるケースが増えてきてるね、みたいな話があったんです。

ただ国によるかもしれませんが、トークンが将来的に規制される可能性もあるんじゃないのかなと。また、SAFEやSAFT、トークンで資金調達をするときのスタンダードなど、まだまだ決まっていないところもあります。今度どのようなトレンドになっていくと思われますか?

一宮:そうですね・・・僕もそれ知りたいなっていうところなんですけど(笑

小林:みんな知りたい(笑

一宮:思うのはほとんどの資産の「価値」って市場参加者がある程度合意している価値評価方法があって、資産が生む将来キャッシュフローを現在価値へ割引いたものや利益などに対する倍率を資産の「価値」としているのが一般的だと思います。一般論として株式の価値は株主に帰属する将来キャッシュフローを、現在価値へ割引いたものですけど、トークンも本来似たような価値評価があるべきだと思うんですよね。

トークンは市場参加者が合意している価値評価方法の合意形成が既存の金融と比べて未熟で、その状態がずっと続いてるっていうのがクリプトだと思います。

多くの市場参加者はビットコイン、イーサリアム、ソラナなどの暗号資産の価格モデルを一応作ってはいると思います。でも市場参加者がみんなである程度同意してるモデルはまだ存在していないですよね。モーメンタムやセンチメントによって動く需給で価格を形成してるっていう世界。ただ、だんだん資産クラスとして大きくなってくるとやはり理由が必要になってくるはずです。ビットコインの5万ドルは高いの?安いの?っていう説明責任。

そうなった時、トークン価値の算定方法にある程度コンセンサスが出てきて、投資しているプロジェクトの株式がトークンを一部持ってるから、大体将来的にはこのくらいの価値になるよねみたいに、ロジカルに考えられるようになると考えています。

ほとんどトークンで価値が生まれているのであれば、株の部分は不要になるかもしれないし、トークンの部分に価値はなくて、オペレーティングビジネスの部分に実は価値があるっていう見方になれば、そのトークンの部分が減るかもしれません。完全に個人的な妄想ですが。

小林:いや、完全に同意です。今はもう需給で決まっている実感があります。でも将来的にはそういう理論がちゃんと付いて標準化されてくるっていうのはとても賛成です。

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Web3で変わる? スタートアップ支援の構造 / GB 一宮・Knot 小林対談(前編)

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本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載 CryptoPunksなどを発端とする、ここ数年のNFT・クリプト(暗号資産)マーケット加熱によって顕在化したのがWeb3と呼ばれるトレンドです。 透明性高く改ざんが困難なブロックチェーン技術を基礎に、DAOと呼ばれるガバナンスを伴ったコミュニティ、発行されるトークンによる経…

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載

CryptoPunksなどを発端とする、ここ数年のNFT・クリプト(暗号資産)マーケット加熱によって顕在化したのがWeb3と呼ばれるトレンドです。

透明性高く改ざんが困難なブロックチェーン技術を基礎に、DAOと呼ばれるガバナンスを伴ったコミュニティ、発行されるトークンによる経済圏、そして小さな活動のスケーリングを実現するトラストレスな仕組み。こういった新しいコンセプトによって、国境や人種、名前さえも問わない新たなエコシステムが生み出されようとしています。

急速に立ち上がり、各方面に影響を与えつつあるこのWeb3トレンドをどのように捉えればよいのでしょうか。本稿では前後編にわたって、グローバル・ブレイン Partnerの一宮翔平と、現在、米国にてブロックチェーン・スタートアップ「Knot」をスタートアップさせた連続起業家、小林清剛さんの対談でそのキーワードを探ることにしました。

小林清剛:1981年生まれ。大学在学中にコーヒー通販の事業を手がけ、2009年に創業したモバイル広告「ノボット」は2011年にKDDIグループへ売却するなど、国内のテクノロジー系スタートアップシーンを牽引してきた。2013年に渡米してからは、数社の事業を創業しつつ、2015年に友人らと設立した「TokyoFoundersFund」などを通じて数十社に投資をするエンジェルとしての顔も持つ。

一宮翔平:1991年生まれ。Sonyにてゲーム&ネットワークサービスのシステム構築・ 運用業務及びM&Aやスタートアップへの投資実行推進業務に従事。 グローバル・ ブレインのPartnerとしてシリコンバレー拠点からグローバルのFinTech/Crypto投資を担当。 カリフォルニア大学バークレー校修辞学部卒。

Web3スタートアップと課題

小林:さて、最初はこの話題からいきましょうか。例えば会社がトークンを保有していると税金がかかるみたいな話もあり、日本の起業家が海外に行ってしまう。たとえばドバイ、シンガポール、アメリカ、ヨーロッパとか。今後日本で税制がよくなっていくというのはもちろんあると思うんですけど、Web3っていう最新のトレンドで日本人の起業家が日本から出てしまうことに関してどう思われますか?

一宮:やはり起業家が一番成功確率の高い手段を選ぶのは当たり前だと思うんですよね。日本で起業しようがクリプトで起業しようが、成功確率を上げるのが一番合理的なので、起業家はやらなきゃいけないことをやる。起業家側からすると理解できます。

ただ、残念だなという気持ちも正直あります。日本から海外へ出て、有名なクリプトファンドから調達する事例が普通に出てきてますが、日本の資本が入っても全然おかしくないと思うんです。資金調達としてそういうファンドを用意していれば、可能だったはずです。なので、国や税制だけじゃないと思うんですよね。我々が足りてない部分もあるかもしれません。

小林:グローバル・ブレインのように世界中に拠点があると有利ではないかと思っていて、世界各地でスタートアップとかVCとかエンジェルなどに繋がりがあることがすごく大事になってきてると思っています。

最近、僕はいろいろとWeb3のクローズドコミュニティに入ってるのですが、やっぱりヨーロッパ、アメリカ、アジアがそれぞれ3分の1くらいずつ参加してる感じで、Web3の世界地図ってそうなってるんだなと思っていて。世界中のステークホルダーを最初から集めるという視点も結構大事だなと思っています。そういった世界中の繋がりといった面では、結構グローバル・ブレインとしても相性がいいんじゃないかなという風に思ってるんですけど。

一宮:そうですね。これまでのテックって、特にアーリー・ステージの会社だとローカルビジネスの側面があったと思います。シリコンバレーでYCに応募して、サンフランシスコのアパートでガリガリとコードを書いて、シリコンバレーで大きく伸びていくと、いろんなところにオフィスが増えていくといった具合です。

ヨーロッパだったらロンドン、ドイツだとベルリンなどの場所があると思うんですね。そういう場所でまずチームを作って伸ばしていくみたいな。オフィスを大きくしながら拡大していくっていう考え方が強かったと思うんです。ただ、クリプトだとプロダクト出したらグローバルにいきなり出すっていう前提なので、チームもグローバルでみんな分散してやるっていうスタイル。

我々のように大手でジェネラリストのファンドだと、グローバルで大きいラウンドに投資してきているので、いろんな国に拠点があります。そういうプレーヤーが、ローカルに特化したファンドや組織よりはエッジがある気もしますね。

投資ストラクチャの何が変わる?

小林:最近Web3では特に顕著なのがインフルエンサーというか、影響力のある起業家とか投資を巻き込むっていうことがすごく大事で、彼らを起点にプロダクトが広まっていると思うんです。最近の資金調達でよく見かける、数千ドルという少額でたとえば30人、40人、50人っていう投資家を集めたうえで、それに加えてVC数社が入る場合もあるし、入んない場合もあるみたいなところもあって。

今までのようにVC数社で決めちゃうみたいなところから、多くのエンジェルやファウンダーが投資して、それに加えてVCが入るといった資金調達の変化に関してはどう思われますか?

一宮:一部のトップティアVCはシェアしないことで有名です。全部自分たちで投資するか、そうでなくてもファウンダーと仲のいい2〜3人を加えるだけ、みたいな状態が一般的だったと思うんですけど、だんだんそういうやり方が嫌われる傾向が出てきている気がします。

クリプトのような分散型の世界でグローバルファーストなプロダクトを作ってると、それを嫌うっていうのはすごく合理的だと思います。できるだけいろんな人にモノを使ってもらうためには、ステークホルダーになってもらうのが手っ取り早いですから。

テックのコミュニティで知人の多いVCが全部牛耳るような世界から、日本もヨーロッパもブラジルもアフリカも世界中のファンドが参加している世界への変化というか。

世界中から参加した人たちがプロダクトをそれぞれのローカルで売ってくれるし、マーケしてくれるし、お金を拠出したからこそコミットも強い。今後はそういう流れになっていくかもしれません。

クリプトの世界観は、トップティアのVCがB2Bのソフトウェアの会社に投資して、自分たちのポートフォリオで成功した企業のCEOに売っていくみたいなスタイルじゃないと思うんですよね。やっぱりファウンダーがよりパーティラウンド、ないしはグローバルなオファリングみたいなのをもっと取り入れていくのかなっていうのは個人的に思ってるところです。

小林:そういう状況の中でやっぱり日本の起業家って世界中に対してコネクションがない。そこは世界中に拠点があるVCがかなり貢献できるところじゃないかなという風に思っていて、是非GBさんにも日本の起業家にそこのコネクションを提供して欲しいなと僕も含めて思ってます(笑

一宮:頑張ります(笑

VCに与える影響

小林:一宮さんと言えば「DeFiに精通している」というイメージが強いですけども、インベストメントDAOとか、今後、投資の情報がオンチェーンになっていくといった流れをどう思われてるのかっていうのを聞きたいなと思ってます。

たとえば少し前にSyndicateというプロトコルが「Web3 Investment Clubs」っていう簡単に投資クラブを作れる仕組みを作っていていました。それによって誰でも株式でもトークンでも両方で出資できるインベストメントDAOを、少額のコストですぐに作ることができます。

例えば、インベストメントDAOではメンバーが協力して一緒にソーシングをするといったように、投資家のディールソーシングの方法から、USドルとか円、さらにトークンという投資の形態も大きく変わってきてます。今後スタートアップの投資がどう変化していくのか、また、それを見てVCの視点からはどう思うのかというところは是非ご意見を伺ってみたいです。

一宮:そうですね。恐ろしいと思います。

ベンチャーキャピタルっていろんな案件を数多く見ていて、マーケットのトレンドに精通しているし、ネットワークもあるから案件をソーシングできて精査ができる。

この前提を真っ向から否定するような仕組みなので、そういう世界になっていくと特定の数人で意思決定をして回してる投資の人たちのエッジがだんだんなくなっていく可能性はあると思います。そうすると、VCって自分たちがセントライズドな仕組みだけど、それによってメリットがあるっていうのを何かしら証明しなきゃいけない。

ただ、一気に変わるものではないとも思います。結局今の仕組みってこれまでの背景があって作られてるんですよね。LPがファンドマネージャーとリレーションシップを持ってて、数百億、数千億というお金を預けている。契約もVCファンドだったら10年、ないしはもっと長いものもありますけど、一気にその価値がなくなって、その人たちのお金はいらなくなるとは考えにくいと思います。

小林:あとは最近だとYCの卒業生が集まってつくったWeb3企業に投資をする「Orange DAO」ってありますけど、YCの卒業生のネットワークを活用して多くのWeb3の案件が集まるみたいなところとか、投資もコミュニティの力を活用するように移行して行く流れがあると思っています。

一宮:重要ですよね。一方で、投資って複雑な意思決定を求められるので、必ずしもみんなが集まって民主主義で決めたものが正しいとは限りません。みんなが「いいと思います」と言うものが果たして一番いいリターンを生むかどうかは分からない。

VCっていわゆる工場だと思うんですよね。1人が全部やってる訳じゃないんです。投資をソースする人がいて、それを精査することが得意な、経験があるGPがいて、バリューアップする仕組みがある。それが分散化された時に同じようなものが作れるかどうか、同じようなクオリティのものができるかっていうところが肝になってくるかなと思っています。

ディスラプトされる側にもこれまで存在してきた理由がやっぱりあるんですよね。1年後に全部崩れるようなことはない。徐々に徐々に進化していってディスラプトするっていうのが基本的な流れだと思うんです。なので分散化された投資プロセスをどうやって今のものより良くするのかが肝になってくるのかなと思います。

後半に続く)

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【Web3起業家シリーズインタビュー】Gaudiy 代表・石川裕也氏に聞いた Web3 の現在地と、日本での社会実装のゆくえ(後編)

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本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」に掲載された記事からの転載 MUGENLABO MAGAZINE では、ブロックチェーン技術をもとにした NFT や 仮想通貨をはじめとする、いわゆるWeb3ビジネスの起業家にシリーズで話を伺います。Web3についてはまだバズワードな要素も含んでいるため、人によってはその定義や理解も微妙に異なりますが、敢えていろいろな方々の話を…

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

MUGENLABO MAGAZINE では、ブロックチェーン技術をもとにした NFT や 仮想通貨をはじめとする、いわゆるWeb3ビジネスの起業家にシリーズで話を伺います。Web3についてはまだバズワードな要素も含んでいるため、人によってはその定義や理解も微妙に異なりますが、敢えていろいろな方々の話を伺うことで、その輪郭を明らかにしていこうと考えました。

2回目は、NFTをはじめブロックチェーンでエンターテインメント業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む Gaudiy の創業者兼代表取締役の石川裕也さんです。業界を代表する企業と手を組んだサービスの提供を通じて、テクノロジーに明るくないユーザにも、Web3を日常の身近なものにする取り組みをしておられます。


前編からの続き)

今なぜ、Web3か?

Web3 に携わる一つのモチベーションとして、Web3 だからこそできる社会実装というのがあると思います。現実の社会は必ずしも理想形ではない。しかし、理想形を Web3 で実現していくようなことも可能だと思いますか?

石川:坂井先生(慶應大学経済学部教授の坂井豊貴氏。Gaudiy の経済設計顧問。)ともよく話すんですが、経済学者は国の制度が実験対象なので、生物学とか物理学とかみたいな実験ができないわけです。だから、実験できていない理論があふれちゃってるんですよね。でも、ここで面白いのは、ブロックチェーンというのはめちゃくちゃ試せるじゃないですか。

Web3 ではいろんな国家みたいな制度(=DAO)が存在していて、今の間接民主主義みたいな日本の政治体制が正しいか正しくないかとか、もっと言えば、現実的には試せないベーシックインカムとかも導入したらどうなるかとか、世界中で同時多発的にいろんなやり方で試すことができるので、こういった学問は進むだろうと思います。

確実に言えることとしては、DAO や Web3 におけるガバナンスは絶対にいっぱい失敗します。だけどそこから何回も失敗することによって学んで、なんとなくこれが一番のスタンダードだよねっていうことを編み出す。そこから生まれたものは Web3 だけではなく、根本的な政治哲学や、政治のあり方にも適用できるような、理論が生み出されるのではないかと思います。

ユーザからすれば、そうやって、数多くの試行錯誤を経て生まれた理論が適用された国の方が安心な国ということになるので、そこを一つの自分の国としてのアイデンティティに近い所属を作っていくような時代の流れになるんじゃないかな思います。イノベーターの人が入ってきて、制度が整ってきてマス化されていくという、これまでとそんなに変わらないでしょう。

Gaudiy のオフィス
Image credit: Gaudiy

Web3 は、どのような人たちが参加しているとお考えですか? 数年前の仮想通貨ブームの時には、いわゆるテック系ではない、デイトレーダーや投資家の人たちもたくさん参入してきたのが見受けられました。Web3 のメインプレーヤーやターゲットは誰なのでしょうか?

石川:興味深いのは、Web3 の世界には、投資家じゃない人たちもめちゃくちゃ入ってるということなんですよ。仮想通貨をやっている人たち(投資家)と、Web3 と言われる DeFi、NFTFi、GamiFi みたいなものをやっている層は全然違う。みんなこれを理解していなくて、まるっとブロックチェーンとひとまとめにしてしまってますよね。

さらに面白いことに、世界で最大の仮想通貨取引所は Binance でした。Binance には、仮想通貨を発行している会社や、チェーンを運営している層が入っていました。この人たちは、金融をはじめ、結構 Web リテラシーが高い人たちでした。でも、今は Binance Chainで扱われているものの多くが NFT なんですよ。

この流れを分析してみたら、すごく面白いんです。東南アジアやブラジルで GameiFi が盛り上がってますが、彼らはあまり文字を読まないんですよ。読んでないので、こういう企業がこういうプロトコルをやっているなんてのはよくわからない。ただ、イラスト見て流行りそうとか、ゲームを見てうまく行きそう、音楽を聞いて当たりそうとか、わかりやすいじゃないですか。

現代において、海外の人たちが Twitter じゃなくて Instagrarm や TikTok を見るのは、画像という非言語のインターフェースなので、マス層に行きやすいんだと思います。日本人も英語を読めないんで、この画像いいんじゃないとか、この アカウントはフォロワーが多いからいいんじゃないとか。でも、投資って結局、流行りそうか流行らなさそうか、なわけですよ。

特定の会社の株価がどうなるかはわからないけど、このゲームが流行りそうかどうかなら、みんな楽しみながら投資できる。そうやってめちゃくちゃ層が増えたんですよ。株の UX をよくしてライト層でもわかるようにした「Robinhood」は時価総額200億米ドルになりました。でも、UX だけじゃなくて層の拡大を促したのが NFT や DeFi と見ることができるわけです。

Creative Commons License: CC BY 2.0
Binance-Logo betrachtet durch eine Lupe by Marco Verch

証券会社などが投資家を増やそうと、いろいろハードルを下げるための手立てを行ってきたのとは比べ物にならないインパクトですね。

石川:これまで投資家と言えば人口全体の数割程度しかいなかったのが(※)、一般的な人々、エンタメが好きな人々が金融的なリテラシーを身につけて、金融的な動き方をするようになれば、どれくらいの市場規模になりますか。どれくらいのインパクト、DAO、投資家が生まれますか。そういう話で言えば、株式市場がひっくり返るほどの規模ではないかと思います。

※野村総合研究所の調べによれば、25~69歳の全人口のうち、投資を行っている人は21.1%。

「俺、このアーティストを昔から応援してたんだよ」とか、「この漫画家、応援してたんだよね」とか、そういう層が投資家になり始めた。彼らは応援の仕方もしっかりしているので周りにも勧めるし、何かを拡張していったり、何かに投資したりするところが、「自分ごと化」しやすいし、分かりやすい UX になったのが NFT なわけです。

だから、「NFT って投資だよね」という人たちがいるんですけど、それは金融から来ているから。金融的な投資からエンタメに向かっているので、当然のことなんです。徐々に投資的ではなくなり、ゲーミフィケーションを大事にしたアクティブステーキング(ゲームに積極的に参加した人に報酬を還元できるようにした仕組み)というのが今後の流れになっていきます。

そうなってくると、次に何をしなきゃいけないかが普通に計算できる。Gaudiy はそこをやっていこうというわけです。

「どの仮想通貨が上がるか」というのを人に聞かなきゃわからないのは、その人が理解できてないからなわけですが、「このアーティスト・漫画家、行きそう」「このゲーム行きそう」というのはユーザでもわかる。NFT を買う人はお勧めされたものを買うのではなく、自分の信じたものを買うので、この分野には、そもそも詐欺師とかも出てこないです。

2020年に BTS の事務所(Big Entertainment、現在の HYBE)が上場した時に、女性で初めて株式投資する人たちがめちゃくちゃ増えた。彼女たちに、HYBE の株をなぜ買っているのかって聞くと、BTS の一部を持つことができるグッズなんです。株自体が、彼女たちにとってはグッズの感覚なんですね。自分が好きなものを買っているので騙されることもない。

ソウル市内にある、HYBE のファン向け複合施設「HYBE INSIGHT」
Image credit: HYBE

Web3 の社会実装に向けて

投資の観点から見た時に NFT の可能性はどうでしょうか。評判が価値の高い低いを決めるがゆえに、実体価値と離れた評価がされてしまったり、ボラティリティが高くなってしまったりするリスクはありませんか?

石川:株式や仮想通貨と同じく、どの NFT が上がる下がる、といった予測や知見を与えてくれるサービスも確かに出てきています。確かに、今の NFT がめちゃくちゃマーケティング勝負になってるのは事実です。しかし、だからダメって話ではなくて、そうじゃない方向にみんな向いているので、時代と共に変わっていくだろうなと思います。

むしろ、今の課題で言うと、今のブロックチェーンの上場ですね。何千億とか時価総額ついたりするじゃないですか。あれって、金融の歴史をガン無視してるんですよね。何が言いたいかと言うと、創業一年目の会社が、ブロックチェーンだと上場できてしまうスキームなわけじゃないですか。

なぜ創業一年目の会社が東証に上場できないのかというと、条件が厳しいとか既得権とかではなくて、ボラティリティが高過ぎると投資家が傷つくからです。だから、3年以上監査法人が見て、主幹事証券会社が「あなたたちは相場的にこれくらい」とバリュエーションを提示して上場させ、ボラティリティを抑えることで、投資家を保護しようというのが金融の歴史ですね。

こういう歴史は正しい UX だなと思っていまして、ブロックチェーン上場する人たちが、以前からある株式市場の仕組みをレガシーなシステムだからと一蹴して、創業まもないスタートアップを上場させてしまうのはそもそも違うよね、と思います。ボラティリティが高いと、今は上場してお金が集まるかもしれないけど、結局、そういうものを皆は買わなくなる。

だからこそ、重要になってくるのはボラティリティを下げる方法が超重要になってきます。それには3つのアプローチが考えられます。

  1. エコシステムが回り始めてからでないと、上場できないようにする。
    IDO・プレセール後にゲームを出すような、マーケティング先行型の上場をなくし、会社として利益が上がっているブロックチェーンからのみパブリックチェーンに上げられるようにする。東証や監査法人のような審査機関が必要で、Gaudiy もそれをやろうとしている。
  2. 安定的な株主を作る。
    株を投資する人だけではなく、自律的に株というものが買われ、売上も安定的なものを作れるようにする。Gaudiy では、インフラ的な収益も入るように設計している。
  3. 投資的な人をできるだけ排除する。
    上の 2. にも関連するが、例えば、BTS が上がりそうだよね、ではなくて、BTS が好きだから、という人たちを増やす。

ですから、2019年に書いた「Trust Economy Bonding Curves(※)」というのは、そういう施策になっていて、計算式も書いているんですけれど、ファンであればあるほど高く売れて安く買えるという設計にしています。ファンでなかったり、その分野に全然詳しくなかったりする投資的な人は損しやすくすることで、ある程度、投資的な人を排除できるわけです。

Web3 の知識が全く無い人が身につけなければならないことは何でしょうか。知識がないとお金をぼられたり、損したりすることはあるでしょうか?

石川:最初は、めっちゃぼられると思います。でも、ぼられて学ぶんです(笑)。

リスクとリターンは必ず相関するので、損したくないけど儲けたいみたいなものは存在しません。ぼられるかもしれないけどワンチャンあるよね、って飛び込んだ人たちが、イノベータやアーリーアダプターになります。一般人にも受け入れられるように、サービスをわかりやすく、使いやすくする努力は必要ですが、それは企業側の力量でしかない。社会がどう思うかは放っておいていいと思うんですよ。

株式も全部そうだったじゃないですか。何百年の歴史を経て、今のようなルールになっているのですが、ブロックチェーンなんてまだ生まれて十年しか経っておらず、NFT などに関しては生まれてまだ2〜3年の話なので、そりゃミスるよね、と。人間で例えるとなんか赤ちゃんみたいなもんで、これはみんなで育てていって、凄い迷惑を掛けられる人も出てくるでしょう。

企業は、Web3 について今何をすべきなのでしょうか。時代に乗っていかなければ、と考える企業の方々から意見を求められませんか?

石川:まぁ置いていかれますよね。だから、頑張んなきゃいけない。僕は、でもまだギリギリ日本にはチャンスがあると思うんですよ。世界を代表するWeb3企業に、日本企業が一社もいない状態だと、今後30年日本はきついよなって、本当に思っています。だから、自分達に近いステークホルダは勝たせなきゃいけないというミッションがあります。

しかし、Web3 という領域はものすごく大きいので、僕たちのステークホルダ以外の人たちについてまで、どう行動すべきかを言及することは難しい。一度、なんらかの破壊(ディスラプト)が必要でしょうね。

そういう点では、コロナはいいきっかけになったと思います。コロナがなかったらリモートとか無かったわけですから。こういうインタビューも移動の時間が無くなった分、生産効率は3倍に上がった。これは破壊なわけですよ。もう一つは選択と集中ですね。日本で伸ばす産業をちゃんと絞ること。Web3 という大きな括りではなく、そこから絞る必要があります。

ゲームプレイでお金が稼げることで(Play-to-Earn)、 アジアを一世風靡するメタバース「Axie Infinity」

一回壊れた後に選択と集中となると、国が力を発揮するのは歴史が証明しています。日本の自動車産業が強くなったのは、終戦後 GHQ が航空関連の企業を全部解体した時に、優秀なエンジニアの多くが自動車産業に流れたから。これが全てですね。エリートは通常分散しますが、これが選択と集中されると、他にどれだけ強い国や会社があっても勝てない。

ちなみに、これが完全に行われると思うのは東南アジアです。東南アジアは Axie Infinity が出たじゃないですか。東南アジアから創業たった3年で時価総額8,000億円、世界で一位のプロダクトを作れたと言っている。今まで先進国のオフショアや受託ばかりやってきた金融やエリートの人たちが転職してきて一箇所に集まった状態になっている。

Web3 を国家戦略にするみたいな選択をする国も出てきてます。僕がエンタメをやっているのも、日本の〝地の利〟を生かしているんです。カラオケ、コスプレ、二次創作、切り抜き動画、つまり、日本はエンタメ拡張 UX 大先進国なんですよ。これらを生かしてやりたいなと考えて、Gaudiyでは、その〝地の利〟を生かした、Web3時代のファンコミュニティでブロックチェーンをやっているんです。

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#6 デジタルシフトで価値観はどう変化したーーレシカ・クリスCEO × ACV飯澤

本稿はアクセンチュア・ベンチャーズが配信するポッドキャストからの転載。音声内容の一部をテキストとして掲載いたします アクセンチュア・ベンチャーズ がスタートアップと手を組み、これまでにないオープンイノベーションのヒントを探るポッドキャスト。グローバル・テックシーンを見つめてきたITジャーナリストの松村太郎をナビゲーターに迎え、旬のスタートアップをゲストにお招きし、カジュアルなトークから未来を一緒に…

本稿はアクセンチュア・ベンチャーズが配信するポッドキャストからの転載。音声内容の一部をテキストとして掲載いたします

アクセンチュア・ベンチャーズ がスタートアップと手を組み、これまでにないオープンイノベーションのヒントを探るポッドキャスト。グローバル・テックシーンを見つめてきたITジャーナリストの松村太郎をナビゲーターに迎え、旬のスタートアップをゲストにお招きし、カジュアルなトークから未来を一緒に発見する場を創っていきます。

昨年のマーケット加熱によりテック業界を賑わせるNFT。「次のパラダイムシフト」としてこの巨大なトレンドに注目していない人はいないかもしれません。

NFTとは何か。この問いに対して蒸留酒樽をNFTと紐づけた「UniCask」プロジェクトを共同で手掛けたレシカ代表取締役、クリス・ダイ氏とアクセンチュアのビジネスコンサルティング本部AIグループ、プリンシパル・ディレクターの飯澤拓が語ります。(ポッドキャストの一部をテキストにしてお届けしています。太字の質問はすべてナビゲーターの松村太郎さん)

ポッドキャストで語られたこと

  • オフライン店舗の新たな価値
  • コロナがもたらしたデジタル価値の共通認識

クリス:コロナがもしなかったらデジタルのディバイドがもっと加速したと思います。今社会的な現象としてGAFAの4社がアメリカ市場のマーケットキャップを占めちゃうわけじゃないですか。今まではアメリカ社会でお金とリソースを持ってる人間は金融とか銀行とか金融機関の人達やエリートの人達で、一転変わってエンジニアとかIT関係の人達が大きなリソースと資源を持ち始めるようになり、その人たちの発信が現実になっていくわけですよね。好きでも嫌いでも彼らはリソースを持ってるわけですから。

FacebookがMetaをやると言って10兆円入れたときにはその産業にお金が入る訳ですし、携わる人も増える訳ですよね。もしコロナがなかったら残された人たちはまだ物理世界がいいんじゃない?みたいになって、そこにデジタルディバイドが生まれて社会的に矛盾も生まれてくるんじゃないかなと心配は心配でした。

飯澤:多分行政なんかは特にそうだと思うんですよね。マイナンバーカードの普及が進まないとかって言ってたけど、お金をいただけるとなれば作りますみたいな。確定申告やら何やらするにしても実際確定申告会場行って物理の紙書いて並んでた人たちがみんなオンラインになってくるわけですよね。副作用として良かったことですよね。

サプライチェーンは効率化としてのデジタル化ありますけど、完全デジタル化はまだ物がフィジカルなだけに残っています。私が面白いなと思っているのが、これまで早く欲しかったらお店で買うよりもネットで注文した方がいいと思ってたんですよ。でもそれってもう逆転しちゃっていて、明日でいいんだったらネットで頼むけど今日欲しいだったら自分が行くしかないみたいになってるのは面白い逆転だなと思いますね。

クリス:私たちはNFTやブロックチェーンをデジタルの世界でデータっていう本当は無限にコピーできるものを有限化して経済価値を持たせるビジネスをやろうとしてるんですけど、その根元にあるのが一般の方たちの共通認識なんですよね。有用であって自分が生活するのに価値があると一般の方たちが認識をするのには少し時間がかかるとは思っていまして、デジタル化においてのチャレンジかなと思っています。

先ほどの話でもあったように、もしコロナがなかったら一部の人たちはもしかしたらデジタルのメリットを発見できてなかったかもしれないし、共通認識がないとユーザーの母体もなく、本当にメリットも出ないかもしれないです。今色んな企業がデジタル化を考えてらっしゃると思うんですけど、デジタル化は単なる情報を円滑に効率よく伝達するのではなく、本当に新しいデジタルの存在、デジタルの価値をどうやって作るかというところに社会全体、そして世界全体が考え始めてるのでそろそろやんなきゃいけないんじゃないかなと思ってます。

飯澤:認識の変化っていうのは本当に大事だと思ってて、お金が当たり前に価値があると思っているのは元々金本位制だったからで、皆さん当たり前のように紙幣と硬貨を使っていますが、それですらなくなって電子マネーになったり、そもそも銀行の数字のやり取りになってることを今すでに受け入れているわけですよね。こういう変化は徐々にやってきてそれを信じる人のキャズムを超える瞬間がきっと来るんだろうと思います。

それにはみんなが体験することが非常に大事だと思ってて、ちょっとだけ視点を変えて言うとハードウェアが出てくるのを私個人的には楽しみにしてますね。Oculusもそうだったかもしれないですし、ARのNianticがこれからやろうとしてることとか自分の生活の中に普通に、デジタルとすら多分言わなくなるかもしれないですけど、体験がフィジカルとデジタルが混じっていって意識が変わった時にもっと新しいことがきっと出てくるっていうのがすごく楽しみだなと思ってます。

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#5 ウィスキー樽をNFTで販売ーーレシカ・クリスCEO × ACV飯澤

本稿はアクセンチュア・ベンチャーズが配信するポッドキャストからの転載。音声内容の一部をテキストとして掲載いたします アクセンチュア・ベンチャーズ がスタートアップと手を組み、これまでにないオープンイノベーションのヒントを探るポッドキャスト。グローバル・テックシーンを見つめてきたITジャーナリストの松村太郎をナビゲーターに迎え、旬のスタートアップをゲストにお招きし、カジュアルなトークから未来を一緒に…

本稿はアクセンチュア・ベンチャーズが配信するポッドキャストからの転載。音声内容の一部をテキストとして掲載いたします

アクセンチュア・ベンチャーズ がスタートアップと手を組み、これまでにないオープンイノベーションのヒントを探るポッドキャスト。グローバル・テックシーンを見つめてきたITジャーナリストの松村太郎をナビゲーターに迎え、旬のスタートアップをゲストにお招きし、カジュアルなトークから未来を一緒に発見する場を創っていきます。

昨年のマーケット加熱によりテック業界を賑わせるNFT。「次のパラダイムシフト」としてこの巨大なトレンドに注目していない人はいないかもしれません。

NFTとは何か。この問いに対して蒸留酒樽をNFTと紐づけた「UniCask」プロジェクトを共同で手掛けたレシカ代表取締役、クリス・ダイ氏とアクセンチュアのビジネスコンサルティング本部AIグループ、プリンシパル・ディレクターの飯澤拓が語ります。(ポッドキャストの一部をテキストにしてお届けしています。太字の質問はすべてナビゲーターの松村太郎さん)

ポッドキャストで語られたこと

  • メタバースはIP、データAIは広く注目
  • デジタル世界で生活する時代
  • トレードでデジタル価値が上がるデジタルネイティブ

クリス:ブロックチェーンが今、大きくなってる背景にはデジタルの世界で私たちが生活をしなければならない時代になってきた、という点があります。単なる情報ツールとして使うんじゃなく、情報そのものが世界になるという大きなトレンドが世の中で起きているんです。

例えば、僕なんかはスマホからの毎日のレポートを見ると、6、7時間ぐらい使用しています。睡眠時間を除くと1日の半分近くの時間をデジタルの世界で過ごしてる訳ですよね。自分のプライベート時間とか考えてしまうと、もしかしたらパブリックにコミュニケーションする時間の大半がデジタルの世界にいるわけですよ。物理的な世界ではなくなった時に、物理世界よりもデジタルの世界の方が重要になってくるんじゃないか、かつ経済活動もそっちにシフトしはじめてるっていうのを実感として持っています。

例えば仮想通貨だったり、モノの売買だったり、デジタルコンテンツの配信だったりとか経済圏がどんどん大きくなっていく。将来的にはデジタルの世界で何を持ち、買うのかという方が大事になってきて、アバターに金を払ったりしますし、デジタル世界の洋服を買うことになるかもしれない。そのビジョンに基づいて私たちは今、頑張ろうとしてるところです。

飯澤:いずれクリスさんが今、おっしゃっていただいた世界が来ると思うんですけど、まだその過渡期に当たるわけですよね。だからデジタルにあるものって現実にあるものの劣化版だったりとか単なるマークみたいなものに捉えられていて、コピー可能というところが今のデジタルの大きな特徴だと思うんです。

そこからNFTの登場で、デジタルの中に一個一個ユニークなアイテムとして識別されていった時にどういう体験になるのか、それは私もまだ未知数だと思います。今でもユーザーからのお問い合わせは結局、チャットみたいなチャンネルも用意しても最終的には電話のチャンネルにどうしても落ちてくるし、手元に困っていることがあったら実際に会いに行って話したいというのは、どういう風に変わっていくのかすごく興味がありますね。

物の価値は、基本的には目の前にある机みたいなフィジカルなものをデジタルに持っていった価値というのが今、言われているところで、クリスさんがおっしゃってるのはデジタルネイティブな価値に置き換わっていくんだっていうことだと思うんですけど、その世界を早く見てみたいなと思います。

クリス:いきなりデジタルのグッズが価値を持ち始めるというのではなく、これには時間がかかると思います。少しずつ、一般社会で生活している人たちが受け入れられるようにしなければなりません。例えばインターネットの時代もそういう過程を経て今になっていると思います。最初にインターネットを使い始めたのは、ファックスの代わりとしてのメールでした。

NFTには実は二種類ありまして、まずはピュアにデジタルだけ、例えばデジタルアート。今年の二月ぐらいにBeeple(ビープル)の作品が6,900万ドルで落札されたのが有名になっていますが、ピュアにデジタルにしか存在しない、リアルなものってない。私たちがやってるのがもう一種類の方で、実物とデジタルを紐づけるもので「UniCask」がやっているのはウィスキーの樽なんですね。ウィスキーの樽は存在するので買ったらそれはちゃんと物理的なものとして私たちの所で保管していますよと。物が存在するので分かりやすい。

(中略)

私たちの樽は10年後とか、20年後に実物をNFTを持っている方に渡すんです。その時にNFTを返してもらいます。ここが一つ面白いクエスチョンなんですけれども、全員が引き換えるかっていうところが僕たちの興味深い社会テストなんですよ。

というのも10年後にNFT自体がすごくレアになってきます。これを引き換えたらなくなるわけですよ、デジタルの世界から。自分のメタバースに今まで飾ってたものがなくなる、でも代わりに実物を渡すとしたら、それを引き渡さないっていう人たちも出てきます。だって樽を実物でもらって家にあっても誰も知らない訳で、それはメタの世界では存在しないのとイコール。ソーシャル的な価値はないですね。

これがデジタルの考え方じゃないですか。最初の入り口は実物があるから安心だよねと言ってデジタルのものを見せつけるんですけど、それがある程度慣れてくるとデジタルでいいじゃんみたいな。

そこがトランジションだと思ってます。

次回につづく

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Nature CEO 塩出氏に聞いた、電力スマート化・分散化への道のり 〜ヨットの上で感じた風をきっかけに、ESGスタートアップを起業〜

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本稿はベンチャーキャピタル、サイバーエージェント・キャピタルが運営するサイトに掲載された記事からの転載 塩出晴海(Nature 創業者 兼 代表取締役 CEO) 北尾崇(サイバーエージェント・キャピタル シニア・ヴァイス・プレジデント) ESG ビジネスの中でも、環境への配慮や現状改善をテーマとしたスタートアップたちをクリーンテック、クライメートテックなどと呼び、一つの注目を集めるカテゴリを形成し…

本稿はベンチャーキャピタル、サイバーエージェント・キャピタルが運営するサイトに掲載された記事からの転載


塩出晴海(Nature 創業者 兼 代表取締役 CEO)
北尾崇(サイバーエージェント・キャピタル シニア・ヴァイス・プレジデント)

ESG ビジネスの中でも、環境への配慮や現状改善をテーマとしたスタートアップたちをクリーンテック、クライメートテックなどと呼び、一つの注目を集めるカテゴリを形成しています。我々の社会は今も化石燃料由来のエネルギーに依存していますが、需給双方のバランスが取れる仕組みができてきたことも追い風となって、よりサステイナブルな方向に向かっています。

Nature は2014年、三井物産出身でハーバード MBA を取得した塩出晴海氏(現 CEO)らがボストンで起業しました。電力消費をスマートなものにするというアプローチを、2016年に発表したエアコンをスマート化する IoT「Nature Remo」でスタートしました。Nature Remo は30万台以上を販売を達成、2021年には電力小売事業にも参入しました。

多くの起業家にとって、スタートアップを始める目的は自己実現の方法であり、投資を受けて企業を経営するかぎり利潤も追求する必要があります。そして、数多くある選択肢の中で、起業家がそのテーマをなぜ選んだのかは非常に興味があります。塩出氏がこのテーマを選んだ背景、エネルギー課題に一般消費者向けの IoT から挑んだ理由につい語っていただきました。

以下は、ディスカッションの要旨です。ディスカッションの全編は動画をご覧ください。

北尾:まず最初に、自己紹介と、どんな会社でどんな事業をされているのか伺えますか?

塩出:初めまして。Natureの塩出と申します。父親がハードやソフトウェアを自分の会社で作ってプロダクトを出すようなことをしていたので、僕は小さい頃からそういうのを見ながら興味を持って、プログラムを書き始めて、大学・大学院のうち3年間は海外でコンピュータサイエンスの勉強をして、その後事業開発を経験したくて三井物産に入りました。

最初は情報系のところにいたんですけど、結構キャリアの早いタイミングで、やっぱり自分の人生ベッドするのはピュアなITよりクリーンテックにかけたいなと思って、社内で手を挙げて電力の部署に異動させてもらいました。本当はクリーンテックがやりたかったんですけど、石炭火力とか結構重めの電力の世界に入っていきました。

そこでいろんな課題を感じる中で、やっぱりこれから必要なのは供給側をクリーンにするだけじゃなくて、再生可能エネルギーは、発電側は結構ブレるので、そのボラティリティを吸収するしくみを需要側で持つ必要があるということに気付いて、「Nature Remo」という家庭向けのスマートホームデバイスを作り始めました。

Nature Remo 3
Image credit: Nature

「Nature Remo」は便利なIoTデバイスとして今50万台弱ぐらい売れています。元々作った理由は、日本だと30%ぐらいが家庭の需要で、そのうちのピークの半分以上はエアコンなんですよね。なのでエアコンを制御できると結構大きな需要にアクセスできるというところがポイントで「Nature Remo」っていうスマートホームIoTデバイスを作り始めました。

これは家の外からエアコンをつけたり、スマートスピーカーと連携したりして声で家電を操作できます。ポイントは、普通に使ってるエアコンとかテレビとか照明が、「Nature Remo」がリモコンの代わりになってスマートスピーカーと連携できるので、その二つがあれば家の家電を普通に声で操作できるようになるのが特徴です。そういうスマートスピーカーのニーズ、波にも乗って今まで成長してきたところです。

スマートホームのアングルで言うと、家のスマートメーターとか蓄電池とか太陽光、最近、 EV ステーションとも連携できるエネルギーマネジメントのデバイスを発売しました。去年ぐらいから電力小売事業も始めて、IoTを切り口に電力のしくみを変えていこうとしている会社です。

北尾:特にクリーンテック、環境テックの方をしようと思われたきっかけは? 2〜3年ほど海外にもいらしたとのことですが、その時の経験などから、そういう価値観を持たれたのでしょうか?

塩出:まさにそうです。僕は父親ともうかれこれ20年ぐらいヨットをやってて、最近は横浜で乗ってるんですけど、僕、スウェーデンの大学院をみんなより3か月頑張って早く卒業して、その3か月、父親とヨットに乗って広島から沖縄へ行ったんですね。その時の原体験がきっかけになってるんです。

ヨットって本当に風だけで動くんですよ。で、本当に沖縄まで行けちゃうわけですよ。まぁ、エンジン回したりもしてたんですけど。一番印象に残っているのは、これはホームページとかにも書いてるんですけど、沖縄から奄美大島にオーバーナイトで行った時に、夕暮れ時で太陽が沈みかけてて、水面が赤くなって。父親は中で寝ていて僕一人、外でヨットを操船しながら風を感じてたんですね。そうすると風がフワーッと吹くじゃないですか。するとヨットがそれに呼応するようにヒュッと動いてくんです。

めちゃくちゃ気持ちよかったんですよ。たぶんそれが僕の人生の中で一番濃い自然の体験だったんです。そこで感じた高揚感の原因を自分なりに考えた時、人間って今は服着てこうやってビデオ会話してますけど、こんなのは最近やり始めただけで、人類の歴史を遡ってみると自然の中に生きてた訳です。人間ってDNAのレベルで自然の中にありたいっていう願望があるんだろうなというのが僕がその時感じたことなんです。

最近いろいろ勉強してて、エピジェネティクス(編注:DNA 配列変化によらない、遺伝子発現の研究分野のこと)という、遺伝子がそういう体験を継承するみたいなところも分かってきてて、「あの時の僕の感覚は間違ってなかったんだ」って気付いたんです。一方で今の世の中って、自然との共生とは真逆な方向に向かっちゃってるじゃないですか。

きっかけは産業革命だと僕は思うんですけど、そこで人類の大きな転換点が生まれて、大量にモノを作って大量に消費するっていう経済がどんどん膨らんで肥大化していってるのが今だと思うんですね。でもちょっと潮目が変わってるのが、UberとかAirbnbみたいに、モノをたくさん産むんじゃなくて、稼働率を上げることでビジネスにすると。

それって引いて見ると、産業革命以降の肥大化の経済のしくみをストップして反対側に動かすっていう意味ではすごく自然との共生になってると思うんです。そういうビジネスを立ち上げていきたいなっていう思いでNatureという会社を作り、自然との共生をドライブするっていうコーポレートミッションでやっています。

その中で、電力っていう課題感の大きい領域にターゲットを絞って、かつ、今再エネの流れがある中で、そこをIoTでちゃんとシームレスに導入をサポートしていくみたいなことをやろうとしています。

Nature スマート電気
Image credit: Nature

北尾:どういう起業家がESGの領域にチャレンジされるんだろうっていうのは、まだあまりまとまって表に出てない感じがしてたので、非常に貴重なお話をいただいたと思います。

最近、エネルギー事業(編注:電力供給事業の「Nature スマート電気」)に本格的に参入されました。しかし、事業はその前にホームデバイスIoTからスタートされましたが、ビジネス的な考慮から順番を決められたのでしょうか?

塩出:クリーンテックの領域って、今までに何度か波が来てたと思うんです。事業ってタイミングがすごく重要じゃないですか。僕はクリーンテックがやりたくて会社を作ったんだけど、いきなり一丁目一番地ど真ん中を攻めると、タイミング的にも恐らくうまくいかないだろうなって思ったんですよね。というのは、まだ2014年のタイミングでマーケットがそこまでレディじゃなかったと思うんです。今はだいぶ状況が変わってきてるなって感じてるんですけど。

これから再生可能エネルギーがどんどん増えた時に、世界において何が大事になってくるかってことを想像してみたんです。僕はデマンドをコントロールするしくみが必要になってくると思ったんですね。それって一朝一夕では作れないじゃないですか。電力の世界ってソフトウェアだけでは成立しないから。ハードウェアのところから整理していく必要がある訳です。

そう考えていくと、電力以外の価値で先にハードウェアをインストールして普及させる必要があると思ったんです。僕はスマートリモコン、つまりネットに繋がるリモコンに着目しました。外から制御できたりスマートスピーカーと連携できたりするっていうお客さんのベネフィットに繋がるから、まずはそこでデバイスを普及することを考えてやり始めたんです。

Image credit: Nature

北尾:なるほど。新たに参入されたスマート電気の事業は、どのような構想を持っておられるのでしょうか?

塩出:この業界の重要な流れって言うと、僕らはコンシューマ向けにフォーカスしてるんでその逆になるんですが、太陽光がデフォルトで戸建てに入ってくるというマクロなトレンドがあります。アメリカの一部の地域では既に新築は太陽光導入がマストみたいになってるし、国内でも最近ようやく小池都知事がそういう発言をされてたりとか、経産省が出している2030年までのエネルギーミックスで見ると、現状のほぼ倍の再エネ比率を目指してて、そこでも一番注目されているのが太陽光なんですね。

普通に太陽光を入れようとしても、設置場所とか、設置するとなれば地域住民の理解とかっていろいろ課題があることを考えると、屋根に乗っけるっていうのはめちゃくちゃ効率的な訳じゃないですか。屋根に乗っける上でさらにいいのは、需要と供給が同じ場所に存在するので、送配電がいらないんです。送配電コスト分のメリットが確実にある訳です。その流れが今どんどん来てる。だから太陽光はもうほぼ全ての住宅に入ってくっていうのがトレンドとしてあると思います。

加えてEVが鮮明になってきて、トヨタが2兆円投資するとか日産がガソリン車を作らないというように、日本でもようやくその流れが起きてきた。日本の大体半分ぐらいの世帯が戸建てに住んでるんですけど、戸建ての世界でいうと太陽光とEVがあって、昼間のうちに太陽光で発電してそれをEVに蓄えて時間をずらして使う。そういうライフスタイルが普通になってくる。僕らは実際に今、スマートエナジーラボっていう湯河原にあるラボでそれをやったりしてるんですね。そうなった時に重要なのは、エネルギーマネジメントを家単位でやるのもそうだし、もう一歩引き上げて地域で効率良くエネルギーリソースを使うっていうことも必要になってくると思うんです。

僕らはIoTっていうハードから入ってるけど、そういうエネルギーマネジメントのプラットフォームを形作ってくのが僕らの目指しているところで、それができれば、たとえば離島で化石燃料の価格が輸送コストとかで高くなるから、再エネの方が圧倒的にいいよねみたいな時に、個人間で電気を売買させたりみたいなことだって近い将来可能だと思うんですよね。最終的にはエネルギーマネジメントのプラットフォームで勝負していきたいなと思います。

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【Web3起業家シリーズ】ステーブルコイン「JPYC」の岡部氏に聞いた、日本のWeb3のゆくえ(後編)

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」に掲載された記事からの転載 MUGENLABO MAGAZINE では、ブロックチェーン技術をもとにした NFT や 仮想通貨をはじめとした、いわゆる Web3 ビジネスの起業家にシリーズで話を伺います。Web3 についてはまだバズワードな要素も含んでいるため、人によってはその定義や理解も微妙に異なりますが、敢えて、いろいろな方…

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

MUGENLABO MAGAZINE では、ブロックチェーン技術をもとにした NFT や 仮想通貨をはじめとした、いわゆる Web3 ビジネスの起業家にシリーズで話を伺います。Web3 についてはまだバズワードな要素も含んでいるため、人によってはその定義や理解も微妙に異なりますが、敢えて、いろいろな方々の話を伺うことで、その輪郭を明らかにしていこうと考えました。

1回目を飾るのは、日本円と連動する日本初のステーブルコイン「JPYC」を発行・運営する JPYC の岡部典孝さんです。法律の制約から、日常的に使える暗号資産が実現するまでにはまだ少し時間がかりそうですが、金融庁や日銀などとも密に連携しながら、法制度の観点からも社会に受けられる暗号資産の開発に日夜奮闘されています。


前編からの続き)

Web3 における JPYC の役割と位置付け

Web3 の世界の中で、JPYCさんはどの部分の役割を担おうとされていますか?

岡部:JPYCの特徴としてはオープンプロトコルで、日本円と大体近い価値をキープしているっていうところが一番の特徴です。このオープンプロトコルっていうのが結構大事で、たとえばメタバースが大きくなって、日本人がメタバースで商売しようって言った時に、結局ドル建てで取引するとなると、やっぱりさっき言った税金計算の問題が生じます。で、円で取引しようと思っても、銀行口座がメタバースで使えるかどうか定かじゃない訳ですよ。たぶん極めて難しい。プロトコルが違うわけですから。

そういう時に、日本人はJPYCで商売しましょう、外国の人はUSDCで商売しましょう、みたいな世界観の中でUSDCとJPYCが大体の(法定通貨の)為替と近いレートで動いているので商売が成り立つっていう、そういう世界観をイメージしているんですよね。

だからやっぱりJPYCがないと日本のメタバースもNFTもうまくいかないと思っているんですけど、逆に言うとJPYCがちゃんとオープンプロトコルで社会的にその拡大に応じた規模まで大きくなっていれば、そこを担うことができて、そうすると銀行の代わりみたいなところまで大きくなると思うので、最終的にはJPYC銀行みたいな形までなれると成功かなと思いますね。

JPYC の Web サイト

中国では、暗号資産ではなく、中国人民銀行がデジタル通貨として「デジタル人民元(CBDC)を出していますね。日本の場合、日銀はまだデジタル日本円を出していませんが、JPYCはそれに近しいものを目指すのでしょうか?

岡部:基本的には別だと思ってます。CBDCということになるとより厳しいAML(マネーロンダリング対策)とかいろいろ求められて、たぶんパブリックチェーンでは出せないと思ってるんですよね。

一方やっぱりさっき言ったパーミッションレスの性質が強力なので、民間はどんどんUSDCみたいなパーミッションレス型のコインで商売をするっていう流れが出てくるんで、そうするとメタバースでもいいしスマートコントラクトでも何でもいいんですけど、パーミッションレスの進化の早い領域に関しては、全てCBDCではなくて、CBDCを一回JPYCのようなオープンプロトコルのコインに換えてそこで使うと。そうしないと自動販売機に入りませんし規格が違いますと。そういうことが起こると思ってるんで、別規格になると思います。

ただ唯一可能性があるとしたら、うちがあまりにうまくいっているので、日銀がM&Aしました、っていう(笑、それはもう笑い話で言ってるぐらいなのでそんな話は当然ないですね。日銀も結構しっかりやられてます、研究開発を。ただ、当然まだ実証実験をこの後でやっていこうという段階なので、中国よりはだいぶ遅れてますね。

第三者型のライセンスを取得された後には、JPYC で第三者間の取引ができるようになりますね。会計 SaaS などで、日本円の売上と JPYC の売上を並べて管理し、税金の計算まで一括してできるような時代がやってくるのでしょうか?

岡部:1JPYCの売上と、1円の売上を同じように売上として計算し、1JPYCをうちに送って1円入ってくればいいんですよ。それで処理できるんで、すごく楽になりますよね。だからそこをやっぱり実現しないとスタートラインに立てないと思ってます。

本当にここ2〜3年が勝負だと思っていて、まず今年資金決済法の改正が予定されているので、ここ1〜2年でたぶん概要の規制が出来上がってくるんですよね。そこで躓いてしまうともうスタートラインに立てないってことになるんで、それをまずしっかり整備した上で、あとはうちが高速でその決済のインフラ的な機能を担えるところまで成長するっていう、この二つが両方とも実現した時に日本はスタートラインに立てると思ってます。

※自家型、第三者型・・・自家型は、資金決済法3条4項で定められた「自家型前払式支払手段」によるプリペイド決済のこと。発行体以外でも使うプリペイド決済は、資金決済法3条5項で定められた「第三者型前払式支払手段」となる。

社会実装への課題

暗号資産には、リアル取引で使う日本円の決済を代替できる部分もあり、それが起きると既存の金融機関は当然売上を減らすことになりますよね?

岡部:盛者必衰の理というのはありつつも、日本は銀行業の規制が極めて厳格なので、KDDIさんもauじぶん銀行とか作られてたぶんお分かりだと思うんですけど、非常に大変なんですよね。そもそも銀行が他社の主要株主になること自体、認可が必要みたいになってますので、現実的なラインとしては既存の金融機関と組むことになるでしょう。

それがauじぶん銀行さんなのか、大きな銀行さんなのかは分かりませんけれども。こういう世界観に共感するような金融機関も必ずあるわけですから、そういうところと組んでJPYC銀行みたいなものを作って社会実装するまであと数年ってとこじゃないですかね。

日本には ATM が多くあるので、モバイル決済が普及するのに時間がかかった。一方でアフリカなどは ATM は普及していないため、モバイル決済がすごく発達した。同じようなことは暗号資産の世界でも言えるでしょうか?

岡部:実際にキャッシュレスの普及率で言うとかなり遅れていますし、やっぱり人と人が会ってるから現金っていうのが使えるんですよね。

コロナが進んだりとかして人と人が会わなくなる、あるいはもっと地方に分散したりとか。そういう世界観になった時はそもそも現金を送るっていうのはすごいコストだし、それを電子的にやるのも為替取引といって結局金融ライセンスの取得費用その他いろいろ乗っかってきちゃうんで、もう割高になっちゃうのは避けられないので、じゃあもう現金以外の価値をやりとりしようっていうのがコストを避けるためには避けられなくて、その中で一番有力なのがやっぱり規制が緩やかな前払式支払手段ということで、たぶん前払式支払手段の時代はもうしばらく続くかなと思ってます。

PayPayさんなんかがまさに今上向いている訳ですけれども、前払式支払手段の進化系が日銀さんの言葉を借りると「ネオマネー」といって、マネーより便利になってきてるっていうのは当局も分かっていて、いくら現金が便利だからといって、マネーロンダリングに使われやすさとかでいったら現金は非常に使われてる訳なんですね。

<参考文献>

ネオマネーの登場がもたらす マネー・決済システムの構造変化
(日本銀行FinTechセンター長 副島豊氏)

じゃ高額紙幣は廃止しなきゃみたいなのが今世界的な流れなので、それ廃止にしてそれでも現金使いますかって言うと、やっぱり使いたくない人が多いと思うんですよね。

(法定通貨よりも暗号資産のシェアが大きくなるのは)もう数年先だと思ってますね。もう世界的な流れで言うと、暗号資産の方が成長スピードが速いんですね。やっぱり中抜きがない分いろいろ効率的だし、USDCでいうと毎年20倍で成長してるんですよね。2年で400倍、500倍っていうスピードで成長しているんで、JPYCがまだ8億円ぐらいなんですけど、2年後で400倍っていったら3,200億円でまあまあ大きいし、3年後って言ったら小さい銀行ぐらいのスピード感なので、変な規制が入らなかったら、たぶんもう数年でガラッと変わります。ただ当然既存の人たちは商売が上がったりになるんで抵抗はあると思います。

3月14日現在、USDC の流通量は524億米ドル、送金量は1.9兆米ドルを超えた。
(USDC 発行元 Circle の Web サイトから)

法定通貨はその国の中央銀行が価値を担保しています。JPYCの場合は、御社が担保するわけですか?

岡部:そうですね。JPYCに関しては、今はプリペイドに過ぎないので、うちが潰れた場合は法務局に入れている、供託金からお金が戻されます。だからその分しかうちと隔離されている部分はないんですね。

だから今のままだと、たとえば1兆円発行しちゃったら法務局に5,000億円しか入ってないんで倒産したら誰かが5,000億円損するってことが起こり得る訳ですから、それはやっぱり大きくなる上では不安なので、銀行から保証を受けて、仮にうちが潰れても100%返ってくるように信用補完しましょうかみたいなそういう話をしていかないといけないですね。

価値の担保については、今電子決済手段という名前で、資金決済法上ステーブルコインを位置づけようという流れがあるので、銀行が発行体になる可能性があると思っています。銀行は基本的に潰れないように厳しく監督されているので、原則潰れないという元のところをやるか、もしくはその銀行から補償を受けたり、法務局に供託したりして倒産隔離を100%担保しなさいというのがありそうな未来ですね。それであればみんな安心して使えると思うんです。

Web3 で変化する社会

Web3 時代に突入していく中で、GAFAのような巨大テック企業はどのように変化していくでしょうか?

岡部:まさに今、独禁法上の問題が非常に大きくなってきています。GAFAのような非常に大きな会社がもう国家以上の権力を持ってしまって、国家以上の情報を持つということが起こっている。基本的に、財閥解体じゃないですけど力を持ちすぎた場合、国家権力によって解体されるっていうのが世の常なんですよね。

彼らも散り散りになってそのまま解散ではなくて、Web3に入り込んでくるんだと思うんですよ、GAFAで雇われていた人たちがノウハウを持ってWeb3コミュニティを、もしかしたら主導するかもしれない。なので、一個一個はそんなに大きくない、ただの集まりですよと。

なんだろう、町内会みたいなもんなんで、DAOとかっていうのは。町内会みたいなところだけど、なんかやたらお金があるなぁみたいなのがゴロゴロ出てくる気がします。そうなると、規制される恐れもあんまりない訳です。何も独占してない訳ですから。

そういうところの人がたぶんどんどんメタバースを作っていくようになるかもしれないし、その人たちと、じゃあ Web3 ネイティブみたいな今の若い起業家みたいな人たちが時々対立し、時々力を合わせて、政府の検閲に対抗するみたいな未来が予想されます。

岡部さんが考える理想的な Web3 の世界は、どのようなものですか?

岡部:Web3の中であれば自由に経済が行き来できるみたいな、楽市楽座的なメタバース、Web3みたいなものがあれば非常に強いと思います。生産性も高いので。もちろんそれはタックスヘイブンじゃないかとかなんかいろいろ言われるんでしょうけれども、そういうところがあればメタバース経済みたいなのが大きく発展して、そこから次の有力な組織や会社じゃないかもしれないけど有力なDAOとかがどんどん生まれてくると思うので、実験的な特区みたいなのができて、その中では結構自由にできるとか、そういうのができるとすごくいいなと思っています。

あとは、みんなが体力とか住んでるところとか年齢とかにあんまり関係なく、割と平等に世界と勝負できるっていう、そういう世界観をやっぱり実現できると、日本ってやっぱり日本語を喋ってる人が一億人ちょっとしかいないっていう時点でちょっとハンディなのでですね、その辺は全部技術で解決して生き残れるんじゃないかなということに一縷の望みをかけてます。

JPYCのユーザも今のところ大部分は日本人だと思いますが、もっと色々な国の人に使ってもらえるような存在を目指すのですか?

岡部:そうですね。メタバースとかあるいはスマートコントラクト上の標準通貨になった場合は日本人がUSDCを使っているような形でですね、たとえば東南アジアの方が日本円のJPYCを使ってるなんてことはあり得ると思います。

ただやっぱり、結局税務会計がネックになってるんで、Libra※じゃないですけれども世界統一通貨的なものがもしできればだいぶ楽になるとは思います。少なくともそれでの会計税務を認めるとかに各国なればすごくいいので、その中のバスケットの一つにJPYCが入ったりすると最高ですね。

※Libra:米メタ(旧フェイスブック)が2019年に構想を発表したデジタル通貨「ディエム(旧リブラ)」、金融当局などの懸念が強く今後も同意が得られないと判断し、2022年に発行を断念。

最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

岡部:今まさに資金決済法改正で今後どうなるか、特にパブリックチェーンを認めるのか認めないのかっていうのは、国会でも議論されるようなテーマになっています。この辺りの道を誤ると本当に鎖国してしまって世界から取り残されることになります。

その瀬戸際なんだっていうのはたぶんあんまり気づいてる人はいないんですけれども、Web3とかを考えてる人はそういうところのアンテナが立っていると思うので、是非自分なりに将来どういう風になればいいんだろうかっていうことを考えていただけるといいなと思います。

私は絶対、パブリックチェーンのオープンプロトコルの方が強いし、イノベーションが起こせると信じて今頑張ってますので応援よろしくお願いします。

そして、大企業の皆さんには、まさに今、本当にここ数年で全て決まっちゃうような大変革の時なので、我々はやはり将来的には大企業さんとかと一緒に、最終的には銀行みたいな形になっていくと思うので、その際に、銀行主要株主になれるような大企業さんもたぶん62社の中には多いと思うので、是非ご協力いただけると大変ありがたいです。

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#4 顧客体験価値を向上させるテクノロジートレンドーーアクセンチュア・加藤圭介

本稿はアクセンチュア・ベンチャーズが配信するポッドキャストからの転載。音声内容の一部をテキストとして掲載いたします アクセンチュア・ベンチャーズ がスタートアップと手を組み、これまでにないオープンイノベーションのヒントを探るポッドキャスト。グローバル・テックシーンを見つめてきたITジャーナリストの松村太郎をナビゲーターに迎え、旬のスタートアップをゲストにお招きし、カジュアルなトークから未来を一緒に…

本稿はアクセンチュア・ベンチャーズが配信するポッドキャストからの転載。音声内容の一部をテキストとして掲載いたします

アクセンチュア・ベンチャーズ がスタートアップと手を組み、これまでにないオープンイノベーションのヒントを探るポッドキャスト。グローバル・テックシーンを見つめてきたITジャーナリストの松村太郎をナビゲーターに迎え、旬のスタートアップをゲストにお招きし、カジュアルなトークから未来を一緒に発見する場を創っていきます。

企業はユーザー体験からどのような顧客体験そして顧客価値を作り出すのか。異なる世代のUX(ユーザー体験)づくりに必要な視点をアクセンチュア株式会社 インタラクティブ本部マネジング・ディレクター加藤圭介がお話させていただきました。(ポッドキャストの一部をテキストにしてお届けしています。太字の質問はすべてナビゲーターの松村太郎さん)

ポッドキャストで語られたこと

  • 加藤さんが思う面白い領域>メタバース、データAI
  • メタバースの中ではIPに注目
  • データAIは広く注目、パーソナライゼーションや最適化
  • 顧客体験を通して日本企業に世界的競争力を取り戻したい

今、加藤さんが面白いと思う領域はどの辺りでしょうか

加藤:元々注目されてましたけどもメタバースの世界はまだまだこれからなので注目しています。我々がクライアントにしている大企業がどう活用していくのか、検討の初期段階かなと思っていて、これから色んなPOCやトライ&エラーを繰り返しながら進んでいくのかなと思います。

facebookはコアを変えてメタバースにするという意気込みで社名変更した訳ですけれども、機運はじわじわと高まっている感じがありますよね

加藤:特にIPを持つ企業はすごく注目してます。デジタル上での収益化のエンジンになるという点で注目度が高いです。

実際に見られている領域では、メタバースが顧客体験自体を侵食していく、あるいは仮想店舗を構えてないと顧客体験のリングが繋がらないということが今後起きうる可能性がありますか?

加藤:対象にしている顧客がメタバース空間の中で過ごす時間はそれなりに増えてくると思うので、コンテンツを持ってる企業からするとビジネスチャンスになると思うんですよね。

クライアント企業の方々がメタバースに入っていく時にどうすのるか考えていかないといけないですね

加藤:この領域も幾つかスタートアップや新しいテクノロジーを考えている会社が結構あるので組んでいきたいと思います。

メタバースの他に注目されている領域はありますか

加藤:データAIの世界はまだまだあるなと思っています。まだまだ自分が消費者としてサービスを受けてても、本当の意味でできてるかっていうと違うかなと。まだ進化していくんじゃないかなと思ってます。

最近一番感動したパーソナライゼーションはspotifyだと思っていて、ただ流していても自分の好みの音楽が聴ける体験を幾つかしてると、AIで自動選曲する仕組みが顧客体験の価値になっているなと思うんです。各企業が取り組めるぐらいデータが貯められているか、またパーソナライズして出し分けられるぐらい商品があるかという部分が課題になるので、経営が持つリソース自体が変わってやっていきそうだなっていうイメージを持っていました

加藤:データ活用は多くの企業の中で全社的にできていなくて、やらなきゃいけない意識はあるんですけど、人材とか組織の課題が結構多かったり、データが縦割りになっていたりします。改善余地は凄く大きいと思っています。

データ同士の連結でサービスが広がったり、ユーザーに対してよりメリットが高まったりという点ににすごく期待しています

加藤:例えばコマースでいうと在庫の最適化や配送など、様々なところでデータ活用が進化してくると思うので、結果的に消費者の手元に商品が早く着くとなると体験としてはグッドじゃないですか。広い意味でデータ活用が更に進んでくるんじゃないかなと思います。

顧客体験に向き合うことは加藤さんのテーマだと思うんですけれども、特に日本の企業はもっと意識した方がいいと思うことが多いですか

加藤:平成元年と平成三十年の世界の時価総額ランキングを見ると、日本の企業が当時は多かったですが今はアメリカと中国の企業しかなくてトヨタが入ってるかどうかぐらい。世界的な競争力が日本企業の中になくなってきてると時価総額だけからは見えてしまっていて、一方でAppleもAmazonも顧客体験を軸にビジネスを展開されている会社が大きく業績を伸ばしているので相関があると考えています。

日本企業、特にメーカーは機能視点になるのは仕方がないことだと思います。そこを改善し、日本企業が世界で活躍できるように我々が貢献したい想いが強いです。大企業だけでなく良い物を持っているけどうまく生かせてないような企業に、我々のアセットが生かせるのであれば是非取り組みを一緒にさせていただきたいです。

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