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「拡張家族」の藤代氏、元Voyaginの高橋氏らが立ち上げたウェルビーイング・コミュニティ「Nesto(ネスト)」とは何か?

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人は一人では生きられない。社会的動物である以上、これは物理的にも精神的にもそうなのだろう。物心がついた時に最も身近にいる自分以外の誰かは両親であり、兄弟・姉妹であり、家族である。そこから次第に地域コミュニティ、国といった単位で、相手と持つ関係性がより緊密なものから緩慢なものへと変化していく。人間関係の緊密性は長きにわたり、遺伝的・地理的近接性に比例してきた。 「向こう三軒両隣」とか「遠くの親戚より…

左から:Nesto CEO の藤代健介氏、CFO の高橋理志氏、CXO の 横山詩歩氏
Image credit: Masaru Ikeda

人は一人では生きられない。社会的動物である以上、これは物理的にも精神的にもそうなのだろう。物心がついた時に最も身近にいる自分以外の誰かは両親であり、兄弟・姉妹であり、家族である。そこから次第に地域コミュニティ、国といった単位で、相手と持つ関係性がより緊密なものから緩慢なものへと変化していく。人間関係の緊密性は長きにわたり、遺伝的・地理的近接性に比例してきた。

「向こう三軒両隣」とか「遠くの親戚より近くの他人」といった表現は、まさに心理的近接性が地理的近接性に由来していることを物語ったものと言えるだろうが、ソーシャルネットワーク、テレカンファレンス、VR/AR などといったサービスの浸透によって、今までのそうした常識は覆えされようとしている。

「拡張家族」から「Distant Neighborhood」へ——壮大な社会実験をスタートアップの手で

アーティストで起業家の藤代健介氏は2017年、渋谷や京都などを拠点にクリエイターらが共同生活を送るプロジェクト「Cift」を立ち上げた。藤代氏自身もシェアハウスの住人でありながら、価値観を共有可能な「拡張家族」というコンセプトのもと、0歳から62歳まで約100人ぐらいのメンバーが同じ屋根の下(実際には数カ所の拠点)で暮らしを共にした。かくして、価値観を共有したり、助け合ったりする上で、必ずしも遺伝的近接性を頼りにしなくてもいいことが証明された。

そして、藤代氏が Cift の次に手がけることにしたのが昨年スタートした「Nesto」だ。Nesto を知るには、拡張家族をさらに発展させたコンセプト「Distant Neighborhood(物理的には離れているけれど、精神的には近所の人)」について理解しておく必要があるだろう。この新たな社会実験で証明できるのは、人は地理的近接性だけを頼りにしなくてもいいという仮説である。

以前インタビューした Dabel の井口尊仁氏もまた、人々がコロナで家族や友人に会えなくなり、アプリでニューフレンドを見つけるようになり、「結局、雑談の相手は誰でもよかった」ということが明らかになったのは、残酷な真実だったと語っていた。残酷かどうかは別として、寂しさを紛らわしたり、自分を理解してもらったりする相手は、もはや(地理的)近くの誰かである必要はないのだ。

コロナの感染拡大は、人々のマインドセットの変化に拍車をかけた。多くの企業でテレワークが許されるようになり、人々の通勤の手間は減ったが、自宅では頭が仕事モードに切り替わらず十分に集中できないとか、生産性が上がらないといった悩みも数多く報告されている。人間とは贅沢な生き物で、自由になればなった分、また何らかの拘束や規則性を求めてしまうのかもしれない。

世の中には自由だから逆効果、合理的すぎるから逆効果だということもあるだろう。これからパラダイムが変わるだろうと予想しており、そのパラダイムシフトが起きた世界を自分の手で表現しようとしているのが Nesto だ。(中略)

Cift から発展して、経済というレイヤー、市場というレイヤーに受け入れられるプラットフォームにしたい思いから、近代経済主義のフォーマットの一つである、スタートアップという形を取ることにした。(藤代氏)

<参考文献>

コロナ禍で世界一周は取りやめ、出資先に自らプレイヤーとして参画

Image credit: Nesto

アクティビティ予約サービス「Voyagin」について、BRIDGE では創業まもない2012年から買収を迎えた2015年まで追いかけてきた(当初のサービス名は「FindJPN」、社名はエンターテイメントキック)。昨年6月、創業者の高橋理志氏は買収から5年に及んだキーマンクローズ期間を経て Voyagin を卒業。次の事業構想を練るべく、世界一周の旅に出ようとしていた。

ちなみに、高橋氏は以前からエンジェル投資家として活動しており、これまでに近藤麻理恵氏関連コンテンツ事業を営む KonMari Media(2019年に楽天が買収)や、外国人向け求人一括検索サイト運営の JapanWork(2019年にエン・ジャパンが買収)へ出資し、起業家としても投資家としてもイグジットを経験している。未来を創る事業に関わるべく Nesto へも同様に出資していた。

Voyagin の PMI をやり切り、パスした感はある。そして、次に何をするか。誰でもそうだと思うが、長年スタートアップをやると、少し疲れてバーンアウトしてしまう部分があるので、心と身体を回復させたいと思っていた。働く量ではなく質でパフォーマンスを上げたい。マインドフルネスで、量でカバーしてきたのと同じくらいのパフォーマンスを出せるようになるんじゃないかなと。(中略)

(Voyagin で事業を一回やりきり)もう一回何か新たな事業をやるとき、とにかく儲かりそうなビジネスを探して、それをやるのは自分である必要はないかな、と考えるようになった。むしろ、世の中に必要とされるもの、共感されるものを世に出すところで貢献できればいいかな、と思った。(高橋氏)

当初は出資者としてのみ関わり、自らプレーヤーとして参画する予定はなかった髙橋氏だが、コロナの感染拡大で世界一周の旅に出る計画は延期を余儀なくされ、他方、藤代氏から上がってきた事業計画書には、創業メンバーの役割担当の欄に「高橋さんのような人を抜擢したい」と書かれてあったことから、それならと CFO を引き受けることを決心したという。

怠惰と孤独というのが、コロナ禍で生まれた新しい生活様式から 特に Nesto で言及したい文脈だ。メリハリがつかなくなったり、寂しさを感じるようになったりした人は多い。自分も含めて、ガツガツ仕事をやってきた人たちを癒してあげたい、健康にしてあげたい、という思いから Nesto に関わることを決めた。(高橋氏)

スピリチュアル、でも、社会からかけ離れたものにしないために

Image credit: Nesto

Nesto とは、同じ価値観を共有可能な会員同士が時間を合わせて集う共同体だ。オンラインで行われるため場所は選ばないが、他の人々と時間と意識を合わせることで、ユーザはバーチャルに空間を共有している体験が得られる。ホストと呼ばれるリーダーを中心に、骨逆立ち禅、TANDEN 瞑想、チベット体操など、7つのプログラム(Nesto では「リズム」と呼んでいる)が定期開催されている。

空間は共有していないものの集合時間を固定することで、会ったことのない人同士でも仲良くなれる。決まった時間に決まったことをすることで(=リズム)、自分が整うサービスだよ、みんなと会えるサービスだよ、という位置付け。ホストは集まった人々をリードする存在だが、講師と生徒という関係性ではない。同じ体験を共有する人同士が相互補完しあっている。(CXO=Chief Experience Officer 横山詩歩氏)

すべてのリズムには、瞑想や体操などのメイン活動以外に全体の25%の時間が雑談タイムとして組み込まれている。サービス開始から4ヶ月で会員は約100名に達したが、急拡大がコミュニティを崩壊させるとの懸念から、月に最大1.25倍ずつしか増やしていない(原則的に会員からの紹介でしか入会できないが、以前から無料提供されてきた外部コミュニティを、Nesto が運営を請け負う形で引き継いだものもある)。

ホストは Nesto から各リズムに参加した会員からの会費(総売上)の30%を受け取れる。それだけで生計が立つわけではないが、講師としてコンテンツを用意し教えるのは面倒だが、持っているナレッジや日常をシェアしたい、と考える人たちによって支えられている。講義であれば参加回が進むごとに内容がレベルアップしていくことが重要だが、Nesto ではいつ参加しても毎回変わらない内容が提供されていることが重要で、ホストに対しては「マントラのように毎回同じことを唱えてほしい」と促しているという。

マントラという言葉まで聞いてしまうと、宗教ではないかと思われる読者もいるかもしれない。確かにそうかもしれない、と藤代氏は続ける。

宗教自体は悪いものでないし、みんなで時間を守って同じ何かをするという、Nesto ある意味でプチ出家サービスみたいなもの。自分で決めた時間だけ、みんなと30分間(編注:一部のリズムは45分間提供)何かをやるということで、見えない価値観でつながることができる。それを気持ち悪い、というと、少し言い過ぎかもしれない。(藤代氏)

この価値観の共有を宗教ではなく、プラットフォームビジネスにしようという発想は、ひょっとすると、高橋氏が出資していた KonMari Media からヒントを得たのかもしれない。近藤麻理恵氏を慕い「Joy Spark」を声高らかに唱えていた主婦たちは「こんまり信者」と呼ばれるが、彼女が成功したのは宗教家としてではなくビジネスパーソンとしてだ。Martha Stewart 氏も然り。

藤代氏が Nesto を NPO でもなければ、ましてや宗教団体でもなく、スタートアップとして立ち上げたのには、この辺りに理由があるのだろう。

スピリチュアル系の友達が多くいるが、彼らは彼らで閉じていて社会に影響を与えていないし、ビジネスの人はビジネスの人で独立してしまっている。そこを分断したくない。投資のリターンもあるけれど、世の中にとっていい影響を与える「鎌倉投信」みたいな会社もあるように。自分達も金銭的なリターンを担保しつつ、スピリチュアルとビジネスを分断されないようにやりたい。(藤代氏)

Nesto では、書き物、犬の散歩、楽器演奏、常備菜づくりなど、さまざまなリズムを今後増やしていく計画だ。ただ、ホストが一方的にレシピを作って料理方法を伝授するような体験ではなく、あくまで同じ日常的価値観を共有できる共同体の形を死守するという。分断された世の中で、人々は IT を駆使して心で繋がり続けられるか? これはアフターコロナ時代の新業態の幕開けかもしれない。

<参考文献>

課題は首都圏での認知、Backlogの福岡・ヌーラボがTVCM開始のワケ

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ニュースサマリ:「Backlog (バックログ)」などのビジネス向けSaaSを展開するヌーラボは2月、テレビCMの展開を伝えている。同社がテレビCMを使ったキャンペーンを展開するのは創業17年目で初めて。Backlogを中心に競争が激しくなるプロジェクト管理ツールでの認知度獲得を目指す。放送期間は2月8日からで、関東、関西、中京、福岡で放映される。キャストにはドラマや映画で活躍する志田彩良さんを起…

ニュースサマリ:「Backlog (バックログ)」などのビジネス向けSaaSを展開するヌーラボは2月、テレビCMの展開を伝えている。同社がテレビCMを使ったキャンペーンを展開するのは創業17年目で初めて。Backlogを中心に競争が激しくなるプロジェクト管理ツールでの認知度獲得を目指す。放送期間は2月8日からで、関東、関西、中京、福岡で放映される。キャストにはドラマや映画で活躍する志田彩良さんを起用した。

Backlogの開始は2005年。社内の開発プロジェクトを管理する目的で作られたチケットシステムを外部でも利用できるようにしたのがはじまり。その後、タスク管理やWiki、カンバンなどの機能を追加して全社的なプロジェクト管理ツールに進化した。利用ユーザー数は170万人。スタータープランを除いて料金体系は導入単位となっており、ユーザー数が無制限なのが特徴。

話題のポイント:SaaS系スタートアップのテレビCM利用は随分と一般的になってきました。代表の橋本正徳さんとお話しましたが、プロジェクト管理ツールは海外勢含めて数も多く、機能的な差別化がどんどん難しくなっているそうです。競合含めて相当に広告費を積み上げているようで、認知の取り合いになっているのが実情だとか。

ちなみに「リモートワークに必要なクラウドサービス」という意思決定の現場でどのようなサービスと競合するのかお聞きすると、現時点ではやはりZoomやSlackといったコミュニケーション系のツールが第一想起に出てくることが多いというお話でした。多くの企業にとってはまだまだ対面がオンライン化した程度で、その先のプロジェクト管理・業務効率化についてはややタイムラグがあるようですね。

さておきヌーラボは福岡を拠点にこれまで頑張ってきた企業なのですが、橋本さん曰くどうしても関東での認知に苦戦しているようです。これは結構驚きなのですが、Backlogは知っていても、ヌーラボは知らないという層がいるという説明を聞いて確かに、と。Backlogは開発者を中心にチケットシステムとして広がった経緯があるので、エンジニアなどのコミュニティについては認知がある程度取れている印象があります。

一方、それを開発している企業という点では、ヌーラボはそもそも創業から13年目まで外部資本(特に私たちがよく言う『スタートアップ資本』)を積極的に入れることのないファミリー企業の形を長らく取ってきました。2017年にEast Venturesから初めての資金調達を実施し、昨年3月にNOW、XTech Ventures、新生企業投資から約5億円を調達していますが、逆に言えばこういった増資の話題は13年間皆無だったわけです。

スタートアップエコシステムとは面白いもので、同じようにテックサービスを作っていても、この種類株レースに参加していない企業というのは自然と注目から外れていきます。もちろん、創業者株のみで上場する「さわやかケース」もありますが稀です。

今回のテレビCMは初めてということもあり、リサーチ的な側面もあるという話でしたが、この後、ヌーラボがどのように認知を取っていくのか、これは同様にプライベート企業から上場を目指すパターンを考えている企業経営者にとっては参考になるかもしれません。

※本稿はClubhouseでの取材内容をご本人に同意いただいて記事化しています

パッションエコノミー時代の動画プラットフォーム「Your school」、学生起業家に投資家たちが期待する理由

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ニュースサマリ:動画関連事業を展開するTranSe(トランス)は2月15日、第三者割当増資の実施を公表している。引受先になったのはPKSHA SPARX(PKSHA SPARXアルゴリズム1号ファンド)、W ventures、Skyland Ventures、個人投資家として岩崎翔太氏、大島礼頌氏。投資ラウンドはプレシリーズAで、調達した金額は1億円。払込日や株価などの詳細は非公開。資金は新たに展…

TranSeメンバー(YouTubeから)

ニュースサマリ:動画関連事業を展開するTranSe(トランス)は2月15日、第三者割当増資の実施を公表している。引受先になったのはPKSHA SPARX(PKSHA SPARXアルゴリズム1号ファンド)、W ventures、Skyland Ventures、個人投資家として岩崎翔太氏、大島礼頌氏。投資ラウンドはプレシリーズAで、調達した金額は1億円。払込日や株価などの詳細は非公開。資金は新たに展開する動画プラットフォーム「YourSchool」の事業投資に使われる。

TranSeの創業は2018年4月。学生起業家で動画クリエイターの大川優介氏を中心に、YouTubeなどの動画コンテンツを作りたい人向けのコミュニティ「TranSe Salon」やマンツーマンの動画制作「OneSe Personal」を展開してきた。コミュニティの累計登録者数は1,600名を数える。昨年10月には一芸に秀でた個人のノウハウを動画で教える「Your school」を開始している。

話題のポイント:フレッシュなスタートアップです。テーマもやや一周まわった感のあるネット動画ですが、実際にお話をお聞きするとなるほど、これだけの数のキャピタリストたちが彼らに期待するのもよくわかる内容でした。ということで、例の如くClubhouseで公開取材の形を取りながら、代表の安藤伊織さんとSkyland Venturesの木下慶彦さんにお話伺いました。

パッションエコノミー時代の到来

本件のキーワードは「パッションエコノミー」です。こういったキャッチーなトレンドはa16zが発信することが多くなった印象ですが、平たく言うとイケてる個人によるスキル経済、といった感じでしょうか。国内ではヨガや料理など個人のスキルを販売するプラットフォーム「MOSH」がここ最近勢いを付けている分野です。

国内でも以前からこういう流れはありました。個人間送金的な使い方を、一時的な購買と見做して実現する決済プラットフォームが2017年前後に出てきた時期があったのを覚えていますでしょうか。いわゆる「サービスEC」という考え方で、モノではなく自分のスキルを販売しましょうというモデルです。ただ、4、5年前の市場はココナラのようなスキルシェアのプラットフォームはあるものの、個人が自分でカートを用意してまでビジネス展開するまでのトレンドには至りませんでした。

では、なぜ今なのか。安藤さんが注目していたのはYouTubeにおけるマイクロインフルエンサーの増加です。YouTubeのみならず、数十万人単位でフォロワーを獲得するインフルエンサーの存在はみなさんご存知の通りですが、それ以外にも注目されているのが「マイクロインフルエンサー」の存在です。安藤さん曰く、YouTubeにおけるチャンネル登録者数が1万人程度の方々の数が、2年前に比較して1.3万人と4倍近く拡大しているという試算があるのだそうです。

また、彼らの展開する動画スクールにやってくる人たちの顔ぶれについても、動画専業の方というよりは、自分で飲食店をやっていてYouTubeに載せるからちょっとしたものを作りたい、外注に頼りたくないという人たちの存在感が大きいそうです。確かにiPhoneなどのスマートフォンを見ても、十分に閲覧に耐えられる撮影ができるようになっていますので、その辺りも影響あるのではと思いました。ちなみに彼らのマンツーマンの動画スクールは20万円で、何を作りたいのか個別にヒアリングしてカリキュラムを作るそうです。

Your schoolをスキルのD2Cと捉える

Your schoolではスキルのあるインフルエンサーを集め、彼らのスキルコンテンツを販売する動画シリーズをTranSe側で制作します。ユーザーはコンテンツを購入するとオンデマンドに動画を視聴してそのスキルを学べる、という具合です。オンライン学習は多数ありますが、前述のように「誰が作ったコンテンツか」が重要なので、自然と差別化が図れるようになるというのが彼らの主張です。

Skylandの木下さんは彼らに2年前から注目をして投資してきたそうです。SkylandはこれまでにもにじさんじやVAZZなどのインフルエンサーモデルに投資しており、動画に対する市場の資金流入をファクトとして持っています。そもそもインフルエンサービジネスは広告や販売、投げ銭にコミュニティ課金と複雑です。当然ですが、KPIがクライアントワークモデルのように安定しないとスタートアップ投資の対象としてはやや不安が残ります。

その点、今回のYour schoolのようにスキルある人を集めることができれば、コンテンツは積み上げなので勝ち筋が見えやすいモデルになります。この辺りが多くの投資家たちを集めた要因なのだろうなと理解しつつ、木下さんはスキルコンテンツのD2Cモデルと説明していましたが、こういう整理ができるかどうかは結構重要です。

まだコンテンツは少なく、テーマについてもクリエイティブやハンドメイドなど、自分の時間・タイミングで実施できるものの方が合ってるだろうなという仮説でコンテンツを集めているというお話です。逆にフィットネスなどは引き続きライブの方が相性は良さそうです。

※本稿はClubhouseでの取材内容をご本人に同意いただいて記事化しています

クラフトビール業界に風穴を開ける「Best Beer Japan」、醸造所の業務効率化狙いERP事業に参入——追加で資金調達も

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都市部は依然として緊急事態宣言下にあり、飲食業とその関連業種への経済的打撃は大きい。大手ブランドビールと違って中間流通が整備されていないクラフトビール業界に、ビール樽レンタルサービス「レン樽」で乗り込んだ Best Beer Japan(以下、BBJ)への影響も計り知れない。ブランドビールの売上には家飲み需要が貢献するが、クラフトビールの多くは飲食店で消費されるからだ。 クラフトビール専門店と醸造…

Best Beer Japan のオンライン飲み会に参加した醸造所の皆さん。左下が Best Beer Japan CEO の Peter Rothenberg 氏。
Image credit: Best Beer Japan

都市部は依然として緊急事態宣言下にあり、飲食業とその関連業種への経済的打撃は大きい。大手ブランドビールと違って中間流通が整備されていないクラフトビール業界に、ビール樽レンタルサービス「レン樽」で乗り込んだ Best Beer Japan(以下、BBJ)への影響も計り知れない。ブランドビールの売上には家飲み需要が貢献するが、クラフトビールの多くは飲食店で消費されるからだ。

クラフトビール専門店と醸造所の両方と間近で付き合ってきた BBJ 創業者兼 CEO Peter Rothenberg 氏は、コロナ禍のクラフトビール業界の状況を次のように語る。

醸造所は、昨年に比べると売上が3〜4割になっているところも少なくない。コロナになって売上を補填しようと、7割くらいが D2C に変わってきている。しかし、主に業務用の卸で売っていた醸造所が小売を始めるのも簡単ではない。これまで樽で売っていたのに、コストの高い瓶や王冠を用意する必要があるし、煩雑な作業がさらに増えることになる。

クラフトビールの醸造所の経営規模は決して大きくない。日本の醸造所の約半数(48.1%)が年間売上1億円未満で72.2%が従業員10人未満(帝国データバンク2018年8月資料)と、現代版の「家内制手工業」と言ってもいいだろう。経営規模が小さいので売上が業務の効率化に再投資されるというポジティブなスパイラルが生まれにくく、業界全体に影響を与えられやすい中間流通から革新を起こそうと BBJ が考えたのが前述のレン樽だった。

しかし、コロナ禍でクラフトビールの流通は激減している。レン樽だけでは今、クラフトビール業界に大きな影響を与えることはできないし、それどころか業界存続の危機かもしれない。論より証拠、1996年に広島・呉でクラフトビール「海軍さんの麦酒(当初の商品名はクレール)」の生産・販売を始めた呉ビールは、コロナ禍の需要減・売上減を理由に先月解散を発表している

クラフトビール業界にとっても、そして、おそらく BBJ にとってもこの苦しい状況にあって、BBJ はどのように風穴を開けるのだろうか。BRIDGE の取材に対し、同社は醸造所向けの ERP の開発に着手することを明らかにした。レン樽で既に空樽を飲食店から回収するシステムは構築済だったが、今回は店舗〜醸造所でビール受発注をオンライン化することから始める。

ピボットなのかと聞かれるが、ピボットではない。ただ、やるべきことの順番を変えただけだ。(Rothernberg 氏)

EC サイトと BBJ アプリの連携(B2C 受注機能は開発中)
Image credit: Best Beer Japan

確かに創業時のインタビューでも、Rothenberg 氏は、クラフトビールの物流効率化スタートアップになろうというわけではない、と語っていた。クラフトビール業界全体を革新させ、より強いものにしていくには、さまざまなツールや仕組みづくりが必要になるので、それらを一つ一つ構築していくプロセスにあって、優先順位を入れ替えただけと言うわけだ。

これまでは、(クラフトビールを自動車に例え)自動車ばかり作っていて、道路がまだ無かった状態。いつかは自動車を作りたいけど、まずは道路を整備する。BBJ はスタートアップなので、使える資源は限られている中で、物流よりもシステム(=ERP)を構築する順番を先に持ってきた。(Rothernberg 氏)

醸造所はビールの醸造以外に樽詰や発送業務はもとより、納品書や請求書の作成、納めるべき酒税の計算といった煩雑な事務作業に忙しい。醸造所にもホリゾンタル SaaS を導入してはどうかと考えるが、業界特有のプロセス(特に酒税計算が重いらしい)やそもそも少人数経営であるため業務効率化に繋がりにくい。BBJ は受発注のオンライン化(B2B マーケットプレイス)を入口に、醸造所の作業全体の効率化を狙う。

醸造所がビールづくりに集中できるようにするのが我々のミッション。彼らがビールづくり以外で、一番時間や労力を費やしているところから着手することにした。飲食店やバーからは B2B マーケットプレイス、醸造所にとっては受注や業務を効率化できる ERP という見え方になる。(Rothenberg 氏)

BBJ は ERP 事業の参入に向け、追加で資金調達したことも明らかにした。2018年7月の調達に参加した個人投資家のうち7人がフォローオン参加し、and factory(東証:7035)創業者の小原崇幹氏が設立したファンド「BREW」からも出資を受けた(ビールのスタートアップが BREW という名のファンドから調達するのは、偶然にしては話が出来すぎている)。ちなみに BREW は今月、パーソナライズ入浴剤 D2C ブランド「DAY TWO」を開発する FLATBOYS にも出資したことが明らかになっている

この分野のスタートアップを見てみると、アメリカでは、醸造所管理ソフトウェアを開発する Ekos が2019年、シリーズ A ラウンドで800万米ドルを調達、昨年には e コマースや POS との連携を目的として Arryved や Square と提携した

B2B EC のミックスパック機能
Image credit: Best Beer Japan

コロナ禍ということを除けば、クラフトビール業界にとっては追い風もある。昨年9月からビールの酒税は段階的に下げられ、2026年10月にはビール・発泡酒・新ジャンルの酒税が統一される。税額に由来する価格差だけで飲む酒を選ぶ理由はなくなり、全体効率化で飲食店で供されるクラフトビールの提供価格は競争力を持ったものになるかもしれない。

イギリス・スコットランドのクラフトビールメーカー Brewdog は、ファンを株主にすることに成功し世界的に注目を集めている。同社は昨年9月から先月まで投資クラウドファンディングスキーム「Equity Punks for Tomorrow」で資金調達。先ごろ、バリュエーション1億米ドルを死守することを明らかにしている

今回の BBJ の動きは、コロナ禍の間に着々とできることを進め、アフターコロナの需要回復や酒税変更後の競争力強化に備える意図がある。需要が回復すれば、物流効率化のテコ入れや、醸造所〜飲食店の商流をさらに最適化する別の事業に参入するのかもしれない。Rothenberg 氏は次のように語り、話を締め括った。

自分たちはまだビールを作っていない。今はまず、クラフトビール業界が生き残れるよう道を作り続けていきたい。(Rothenberg 氏)

<参考文献>

<関連記事>

昼はテレワーク夜はホテル、TiNKが実現する「1.5回転ビジネス」への期待

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ニュースサマリ:コネクティッド・ロックと空室利用サービスを提供するtsumugは2月16日、1室1名利用とする完全個室の空間サービス「TiNK Desk Solo」の開始を伝えている。福岡地所グループのエフ・ジェイ ホテルズが運営するビジネスホテル「サンライフホテル 2・3(博多駅東)」の客室(開始時は3室から)を利用したもので、ユーザーは15分単位でホテルの一室を仕事などに利用できる。朝8時から…

ニュースサマリ:コネクティッド・ロックと空室利用サービスを提供するtsumugは2月16日、1室1名利用とする完全個室の空間サービス「TiNK Desk Solo」の開始を伝えている。福岡地所グループのエフ・ジェイ ホテルズが運営するビジネスホテル「サンライフホテル 2・3(博多駅東)」の客室(開始時は3室から)を利用したもので、ユーザーは15分単位でホテルの一室を仕事などに利用できる。朝8時から18時まで、最大10時間の利用が可能。料金は15分149円で1日利用は2,200円となる。通常の客室利用時にあるベットが取り払われており、代わりに4Kモニター、オフィスチェア、電源、インターネット、ホワイトボードが設置される。

TiNK Deskを利用したいユーザーはLINEでサービスを友だち登録することで、施設の検索、予約、扉の開錠、決済までをトーク画面から利用でき、完全非対面で使用できる。リモートワークを意識した設備になっており、ウェブカメラやマイクなども備品として用意されている。

話題のポイント:LTEで自律通信が可能な「コネクテッドロック」を開発するのが福岡拠点のtsumugです。クラウド経由で鍵の受け渡しができるスマートロックの利点はやはり非対面でしょう。今回、ホテルをリモートワークに使えるようにしたtsumugのサービスもこのロックを使い、ユーザーはホテルの受付などで手続きすることなく、LINEからそのまま部屋の利用が可能になっています。

「サンライフホテル 2・3(博多駅東)」で使えるお部屋

詳しいお話を同社取締役の小笠原治さんにお聞きしました。

ビジネスホテルがコロナ禍で受けた打撃は語るまでもありませんが、一方でリモートワークを告げられた人々すべてが自宅に書斎を持っているはずもなく、自宅・オフィスに次ぐ「第三の場所」の必要性は言われ続けてきました。最近ではコンビニの一角にブースを設置するケースも出てきていますが、個人的にはコンビニの中で果たして仕事ができるのか、興味深いところでもあります。

さておき、TiNKが今回提供を開始した「Solo」サービスはその名の通り、1人で個室を使えるサービスになっています。これまでの通常版は複数人での利用が前提でしたが、4Kモニターやチェアなどの設備がよかったことからクリエイターの方が気分転換に使ったり、家庭教師が自習室として利用するケースがあったそうです。

今回はわかりやすいビジネスホテルのリモートワーク転用ですが、興味深かったのがホテル側の施錠をTiNK側のロックに付け替えているという点でした。空室のこういった転用は珍しいものではありません。ただ、今回は部屋を完全にTiNK側の利用としてオペレーションを任せているのが面白いです。やはりホテル側との交渉でネックになるのがオペレーションで、小笠原さん曰く、清掃をどちらがやるかがポイントになるそうです。

TiNKはLINEで予約してそのまま現地が使える

一方のホテル側のメリットはやはり空室率の改善です。今回は夜を貸さない前提でスタートしていますが、夜も稼働させれば「1.5回転が可能」(小笠原さん)になります。元々福岡は空港から中心市街地が近いこともあって、観光やビジネスイベントなどでの利用が盛んな地域です。私もたまに行きますが、市内のビジネスホテルが満室というケースも結構ありましたので、コロナ禍が去った後も、サードプレイス的な使い方が浸透すれば、ホテル側としては新しいビジネスチャンスになります。

なお、今後こういったサードプレイスが普及するにあたっての課題は価格だそうです。1時間あたりの利用料がスターバックスのコーヒー以下でないとダメで、これについては確かに先日取材した神戸市の例でも1時間100円を設定していたので、もしかしたら事情を知っている事業者の共通認識になっているのかもしれません。

ワクチンの話もようやく見えてきましたが、元々、働き方やライフスタイルの分散化については社会課題として大きな問題でもありました。アフターコロナが近づきつつある今、完全に元に戻そうとするのか、こういったチャンスでビジネスを先に進めようとするのか、経営者の方々の判断に興味が湧きます。

※本稿はClubhouseでの取材内容をご本人に同意いただいて記事化しています

VCもスタートアップも、サステナビリティが求められるようになる——テック界に迫るインパクト革命とは【ゲスト寄稿】

本稿は Trista Bridges によるものだ。原文は BRIDGE 英語版に掲載した。 彼女は戦略とサステナブルビジネスの専門家であり、ビジネスを良い方向に変えることに情熱を注いでいる。サステナブルビジネス=スマートビジネスという強い信念のもと、サステナビリティを核としたビジネスモデルに向けて、マインドセット、ビジネス戦略、働き方をシフトさせるために「Read the Air」を共同設立した…

Trista Bridges
©Dan Taylor/Heisenberg Media

本稿は Trista Bridges によるものだ。原文は BRIDGE 英語版に掲載した。

彼女は戦略とサステナブルビジネスの専門家であり、ビジネスを良い方向に変えることに情熱を注いでいる。サステナブルビジネス=スマートビジネスという強い信念のもと、サステナビリティを核としたビジネスモデルに向けて、マインドセット、ビジネス戦略、働き方をシフトさせるために「Read the Air」を共同設立した。

デジタルメディア、ヘルスケア、消費財、金融サービスなど、さまざまな分野で活躍。最近発売された「Leading Sustainably: The Path to Sustainable Business and How the SDGs Changed Everything(仮訳:持続可能なビジネスへの道、いかに SDGs が全てを変えたか)」の共著者。

<これまでの Trista Bridge による記事>


日本では ESG 投資が飛躍的に拡大し、SDGs が政府、企業、個人を問わず受け入れられている。現在、「グリーンウォッシング」には事欠かないが、我々の社会観に根本的な変化が起きていることは否定できない。社会的平等から気候変動まで、そしてその間のすべての問題に至るまで、我々の世界はかなり大胆な問題を抱えていることが広く認識されている。これらの問題への取り組みの緊急性は高まっているが、どのように解決するのが最善か、またその責任は誰にあるのかについては、まだ結論が出ていない。

企業は今まで以上に行動を求められる

以前はこのような問題を解決するために、我々は本能的に国に頼っていた。しかし、政府だけでは対応できないことが分かってくる。マルチステークホルダーの世界へと移行し、世界の課題に対して様々な主体がより大きな役割を求められるようになってくる。企業以外では、現時点でさらなるステップアップを期待されているステークホルダーはほとんどいない。あらゆる規模の企業が、環境や社会へのマイナスの「影響」を最小限に抑え、プラスの「影響」を最大化するという、よりサステナブルなビジネスモデルの採用を求められている。例えば、最近の日本の「2050年カーボンニュートラル」宣言のような動きは、あらゆる規模の企業が二酸化炭素排出量を削減するための措置を講じる必要があることを意味している。すでに、Apple は2030年までにサプライチェーン全体で100%のカーボンニュートラルを達成するという約束をしているが、他の企業も同様の大胆な行動をとる必要があるだろう。

このようにインパクトの重要性が高まっていることは、我々がビジネスの価値を定義する方法を再検討する初期段階にあることを示している。財務力は常に重要だが、環境や社会への影響、そして自社のガバナンスに注意を払わない企業は、実際には成功を危険にさらしているという考えが広まっている。

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テック界に迫るインパクト革命

最近まで、これは大部分が上場企業の現象であり、テック系スタートアップのエコシステムは一般的にこの議論の外に置かれていた。しかし今では、テック業界にも本格的に導入されようとしている。ESG にスポットライトが当てられたのはビッグテックが最初だが、スタートアップや VC、その他のエコシステムのプレイヤーは、サステナビリティの要素について、これまでにないほど精査され始めている。しかし、イノベーターやその投資家は何に最も注意を払う必要があるのだろうか。 ここでは、このトレンドがテックエコシステムの2つのコアプレイヤーである VC とスタートアップのゲームをどのように変えているかについて、いくつかの考えを紹介しよう。

ベンチャーキャピタルへの影響

サステナビリティを重視した原則や慣行の採用は、控えめに言ってもベンチャーキャピタルの間ではほとんど行われていない。プライベートエクイティファームは近年 ESG の導入に向けて躍進し、場合によっては特定のインパクト投資ファンド(TPG の「Rise Fund」を参照)を開発したこともあるが、ベンチャーキャピタルファンドの参入は遅々として進まないのが現状だ。ヨーロッパのベンチャーキャピタルは現在のところ最も進んでおり、Idinvest/EurazeoAtomicoBalderton などのファンドが ESG やサステナビリティへの取り組みをいち早く進めている。最近になって、アメリカのベンチャーキャピタルでは、気候や多様性などのテーマに沿ったファンドが増加している。最後に、Sequoia のような有力ファンドが、サステナビリティ、特に気候技術(climate tech)に積極的に投資することを発表している。しかし、これはまだ始まりに過ぎず、ベンチャーキャピタルのコミュニティにはまだ道のりがあることは明らかである。とはいえ、今後数年でこの分野の投資が加速するであろう3つの重要な理由がある。

  1. リスクの軽減。金融とテクノロジーの両面で規制環境がますます厳しくなっており、消費者の意識が高まり、「良いビジネス」とは何かという基準が変化している中で、スタートアップがこれらの問題にどのように取り組んでいるかを考慮せずに投資を行うことは、ますますリスクが高くなっている。投資機会のスクリーニングに ESG 基準(最低でも)を使用することで、投資家はポートフォリオのリスクを軽減するための具体的な方法を得ることができる。
  2. リミテッドパートナー(LP)の利益。LP は、市場をリードするリターンをファンドに求めているが、サステナビリティの重要性も急速に高まってきている。場合によっては、ステークホルダー(株主、顧客、出資者)がサステナビリティを求めていることもある。また、ファミリーオフィスのように、個人が自分たちの価値観を投資方法に反映させたいと考えているケースもある。将来的には、VC がファンドの運営や投資活動に ESG の原則や実践を取り入れなければ、評判の良い LP から資金を調達することは困難になるかもしれない。
  3. 機会。これまでの技術の波は、接続性、効率性、情報の発見など、多くの第一階層の問題に取り組んできたが、次の波は、より根本的な社会的課題や環境的課題に取り組むことになるだろう。将来の価値は、これらの複雑な問題を解決するイノベーションによって牽引されることになるだろう。
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スタートアップへの影響

起業家が限られたリソースで会社を設立しようとするとき、一般的に言えば、彼らが最後に考えるのは自分たちの製品が環境や社会に与えるインパクトについてだ。そして、もっともなことだが、彼らが重視するのは、プロダクトマーケットフィットや顧客の獲得など、ビジネスの基本的なことに集中する傾向がある。しかし、スタートアップはバブルの中でビジネスを構築しているわけではない。本稿で述べた社会的・環境的ダイナミクスの多くは、今後のスタートアップの成功に影響を与えるだろう。現在では、スタートアップの規模拡大を支援する制度(資金調達やトレーニングなど)は以前よりも増えた一方で、スタートアップが事業を展開している環境は、ほんの10年前に同業他社が直面していた環境よりも、多くの点で複雑で競争の激しいものとなっている。そして、パンデミックによって、この状況はさらに複雑になっている。この新しいパラダイムに備え、成功するために、スタートアップは何ができるのだろうか?

  1. リスクを予測し、それに応じた準備をすること。今日のスタートアップは、過剰な規制や複雑さを恐れて、先代の人々が敬遠していた分野でイノベーションを起こしている。これは称賛に値することだが、一方で新たなリスクも抱えている。早期に社会や環境への影響を考慮したアプローチをとることで、将来的に起こりうる問題を回避することができる。例えば、AI を使ってイノベーションを起こしている起業家は、自分たちが開発したサービスのバイアスや悪質な利用の可能性について潜在的な問題を考慮しているだろうか。これらの潜在的な問題を回避するために、彼らはどのような行動をとることができるだろうか? あるいは、フードデリバリサービスは、公正な労働慣行やプラスチック包装廃棄物の山が環境に与える影響について考えているだろうか? これらの問題に早期に先手を打つことは、規制上、風評上、またはその他の理由で、将来起こりうる問題を回避するのに役立つ。
  2. 投資家の優先順位の変化に対応すること。当然のことながら、VC のサステナビリティへの関心は高まっているため、同じような取り組みをしているか、そうすることに意欲的なスタートアップに目を向けることになる。 VC がコミットメントを行う際には、LP やその他のステークホルダーに、ファンドと投資先が連携して動いていることを示す必要がある。これは、多くのスタートアップにとって大きな要求であることは言うまでもない。これを実現するためには、ベンチャーキャピタルはこれまでとは異なる方法で、多くの場合、これまで以上に積極的にスタートアップを支援する必要がある。
  3. サステナブルなイノベーションへの傾倒。心強いことに、気候技術(climate tech)、フードテック、サステナブルなファッション、フィンテック、ヘルスケアなどの分野では、スタートアップにとって無限のチャンスがある。効率的かつ低コストで炭素を効率的に捕捉・蓄積し、ヘルスケアへのアクセスにおける不平等を大幅に削減し、食糧システムの回復力を強化するような製品やサービスを構築するスタートアップは、次世代の勝者となるだろう。NorthvoltImpossible Foods、日本のユーグレナのような急成長中の成功事例は、すでにそれが実現しつつあることを証明している。今日ポジティブなインパクトを与える機会に取り組むことが、明日には配当につながるのだ。

民泊→マンスリー転換でコロナ禍対応加速、matsuri technologiesがシリーズB+で約5億円を調達

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民泊やマンスリーマンションのための宿泊運営管理システム「m2m Systems」などを展開する matsuri technologies は26日、シリーズ B ラウンドのエクステンションラウンドで約5億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加した投資家は、オールアバウト(東証:2454)、地域創生ソリューション(ALL-JAPAN 観光立国ファンド)、坂野敦氏(Aspex Manage…

Image credit: matsuri technologies

民泊やマンスリーマンションのための宿泊運営管理システム「m2m Systems」などを展開する matsuri technologies は26日、シリーズ B ラウンドのエクステンションラウンドで約5億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加した投資家は、オールアバウト(東証:2454)、地域創生ソリューション(ALL-JAPAN 観光立国ファンド)、坂野敦氏(Aspex Management のパートナー)、および既存投資家4社。なお調達額には金融機関からのデットファイナンスが含まれる。

今回の調達は、matsuri technologies が2019年10月に実施したシリーズ B ラウンド(5.8億円を調達)のエクステンションラウンドだ。matsuri technologies が創業した2016年以来の累積調達額は約14億円に達した。

民泊運営管理のシステムプロバイダとしてスタートした matsuri technologies だが、2017年4月に実施された Open Network Lab 第14期のデモデイでは、「民泊新法」に対応して民泊物件を民泊以外の用途に転用できる仕組みづくりに着手したことを明らかにしていた。これは新型コロナが感染拡大する前の話だったが、結果として、この時の動きが事業継続につながった可能性は高い。

コロナ禍でインバウンド需要が9割以上失われる中、民泊物件をマンスリーマンションに転換・運用支援する事業は吉と出た。テレワーク需要の拡大や、ワーケーション・ステイケーションという新たな住まいのあり方が求められるように、マンスリーマンションの需要も確実に伸びている。matsuri technologies では、都内を中心に「Sumyca」というブランドでサービスを提供している。

Sumyca は一言で言うと、OYO LIFE のようなサービス。スマホで契約が可能で、家具も備え付けなので、その日から入居し生活できる。入居者の与信チェック、反社チェックも当社で行い、一般的な賃貸で求められる重要事項説明の必要もない。(創業者で代表取締役の吉田圭汰氏)

Image credit: matsuri technologies

時代の変化への適応力という点で、matsuri technologies のそれは、サービスの見せ方も中身も目を見張るものがある。カップル向けの「おためし同棲」のほか、「一時帰国.com」や「自主隔離.com」というドメインを立ち上げた。これらはいずれも、Sumyca のサブドメインとして運用されている。

アフターコロナの社会を見据え、matsuri technologies はさらにサービスのラインアップを増やす。一つは、前述した民泊のマンスリーマンション転換で事業再構築を一貫して支援するプラン。もう一つは、ホテル民泊などの経営権売買、地方別荘を使った民泊事業の開業支援だ。

先日 BRIDGE では「NOT A HOTEL」を取り上げたが、matsuri technologies でも同様にコロナ禍の地方移転需要を見越し、普段使われていない別荘などを日本人向けの民泊として開発した「S villa」というブランドを運営している。

matsuri technologies では、インバウンド需要が消滅したことから流通件数は一時期1万件未満にまで激減したが、マンスリーマンションをはじめ利用形態の多様化が功を奏し、先月には7〜8万件にまで回復を見せているという。

一般的に考えると、旅系のスタートアップにとってはコロナ後の方が有利なバリュエーションを設定しやすいと思われるが、同社では資金繰りが一番厳しい時期に自らがクッションとなることで、外部の投資家含め、逆張りの新規参入の投資家を迎え、業界全体の軟着陸を促したいとしている。

スコアリングと可視化で不動産投資を最適化「StockFormer」運営、デジタルベースCとトグルHDから5,000万円を調達

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  不動産投資スコアリングサービス「StockFormer(ストックフォーマー)」を開発・運営する ZIRITZ(ジリッツ)は26日、シードラウンドで5,000万円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、PropTech 特化 ファンドのデジタルベースキャピタルとトグルホールディングス。トグルホールディングスは、イタンジ創業者の伊藤嘉盛氏率いるトグルなどを傘下に置く持株会社。 …

「StockFormer」
Image credit: Ziritz

 

不動産投資スコアリングサービス「StockFormer(ストックフォーマー)」を開発・運営する ZIRITZ(ジリッツ)は26日、シードラウンドで5,000万円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、PropTech 特化 ファンドのデジタルベースキャピタルとトグルホールディングス。トグルホールディングスは、イタンジ創業者の伊藤嘉盛氏率いるトグルなどを傘下に置く持株会社。

ZIRITZ は、大和総研、大和証券グループ本社、ベイカレント・コンサルティング出身の島﨑怜平氏により2019年設立。島崎氏は投資家の資産形成支援に携わる一方で自らも不動産の投資や運用を行ってきた経験から、投資家と不動産仲介業者の間の情報の非対称性という課題を認識するようになったという。そこで生まれたのが StockFormer だ。

StockFormer を使えば、ユーザである投資家は投資家同士で不動産の売買や融資の経験をシェアすることで(誰の取引かは匿名化されている)、資産レベルの近い投資家の経験を指標に、高度で正確な投資判断が可能になる。また、資産スコアで個人の信用度・信頼度が可視化されるため、不動産仲介業者から、より有益でパーソナライズされた物件提案を受けることができるようになる。

StockFormer ではハイクラス投資家向けのデータバンクを作っている。投資家は、自分と同じような投資家がどういった物件をどのように買っているか知る由もなかったが、似たスコアの投資家の情報が匿名化された状態でシェアされるため、取引の参考にすることができる。

また、公開されていない物件情報も多く、そのような物件に接するには、投資家は物件を紹介してくれる業者と知り合う必要がある。これまでそういった不動産事業者に知り合うのは完全クチコミベースだったが、それがデジタル化できるのも StockFormer の強み。(島﨑氏)

StockFormer「不動産事業者プロフィール」の画面
Image credit: Ziritz

不動産仲介業者の担当者も、どのような投資家から支持されているかも ZIRITZ 上で可視化されている。これらの徹底的な情報可視化というメリットに加え、投資家には StockFormer を通じて不動産を購入した場合に仲介手数料の10%をキャッシュバックし、中抜き取引されることを防いでいる。銀行や税理士などが顧客を紹介してくれたとき、不動産仲介業者が支払う紹介料の商慣習を応用したものだ。

StockFormer のマネタイズポイントは大きく2つ。StockFormer は投資家にフリーミアムでサービス提供されるが、有料会員にならないと前述の他の投資家との売買や融資の経験を共有できない。月額5,000円なので StockFormer 経由で契約が一件でも成約すれば、キャッシュバックで回収できてしまう。

もう一つは不動産業者からの成果報酬型手数料だ。ZIRITZ では商慣習にならってこの手数料を取引価格の3%と定めており、こうして受け取った手数料の10%を投資家へのキャッシュバックに充当している。すなわち、取引価格全体の2.7%が ZIRITZ の純利益となる計算だ。

StockFormer「ローン投資動向」の画面
Image credit: Ziritz

StockFormer には現在1,800人ほどのユーザがいて、彼らの平均年収は1,900万円、平均純資産は5,400万円。サラリーマンの税金対策をターゲットにしたワンルームマンションの投資などとは客層が異なり、一定以上の可処分所得があって、投資物件もワンルームなどではなく一棟ものを流通させている人が多いという。他方、不動産仲介業者は120〜130社ほどが利用しているそうだ。

この種のサービスを提供する競合を国内で見つけることは難しいが、今週ファンド組成を公にした DRG Fund の投資先である Propally は、オーナー向け投資用不動産管理プラットフォーム「Propally for Owners」を今春ローンチすることを明らかにしている。StockFormer も Propally も、不動産に投資してきた起業家自身が身近なところにサービスのニーズを見出している点は興味深い。

<参考文献>

世界的な「後払い(Buy Now, Pay Later)」ブーム、東南アジアが牽引するかもしれない理由【ゲスト寄稿】

本稿は、Golden Gate Ventures のマネージングパートナー Vinnie Lauria 氏による寄稿だ。「Entrepreneur アジア太平洋版(オンライン版)」に掲載された記事を、執筆者と発行者の了解のもと翻訳・転載する。 This article was first published in Entrepreneur APAC. <関連記事> Golden Gate Vent…

本稿は、Golden Gate Ventures のマネージングパートナー Vinnie Lauria 氏による寄稿だ。「Entrepreneur アジア太平洋版(オンライン版)」に掲載された記事を、執筆者と発行者の了解のもと翻訳・転載する。

This article was first published in Entrepreneur APAC.

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1958年、ソビエトとアメリカの宇宙開発計画が人工衛星を軌道に乗せるための競争を繰り広げていた時、Bank of America は、地球上に多大な影響を及ぼすであろう商品を発売した。BankAmericard は、後に Visa となり、リボ払いのクレジットカードの普及の先駆けとなった。これは宇宙時代の消費者に「現代の支払方法」として宣伝された。

今、新しい支払方法が飛び立とうとしている。BNPL(Buy Now, Pay Later=後払)モバイルアプリの世界での利用は、2018〜2019年の1年間から162%急増した。アメリカでは昨年、BNPL は240億米ドルの購入額を占めた。パンデミックが始まったとき、従来のクレジットカードの取引量は減少したが、BNPL は e コマースの成長と並んで上昇を続けた。BNPL は、今後数年間でデジタル購買の中で最も急速に成長する形態になると予想されており、2025年までに世界中で3,500億米ドル近くの取引に達すると予測されている。

これまでのところ、BNPL の成長は、それぞれスウェーデン、アメリカ、オーストラリアに拠点を置く Klarna、Affirm、Afterpay などの欧米系スタートアップが牽引してきた。これらの企業は、他のいくつかの企業と合わせて年間30億米ドルを超える収益を上げ、昨年の Mastercard の収益の約20%に達すると予想されている。 しかし、東南アジアでは、BNPL には3つの特長がある。第一に、クレジットカードの普及率が低いため、BNPL にとっては競争が少ないこと。第二に、銀行がクレジットカード発行のために必要とする信用格付け機関が実現するのは、ほとんどの ASEAN 諸国では10年も先のことであること。 そして最後に、負債を嫌うアジアの文化は、「現金と同じ」と感じる「ゼロ金利」の分割払いを温かく受け入れていること、だ。

そのため、当社の東南アジアのベンチャーキャピタルは、ASEAN 10カ国の BNPL 新規参入企業に注目している。インドネシア、ベトナム、マレーシアなどの発展途上国や、小さいながらも高度に発展したシンガポールでは、課題を抱えている市場がある一方で、BNPL モデルのメリットに対する強い受容性も見られる。

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バリュープロポジションと ASEAN の成長

「Klarna」
Image credit: Klarna

クレジットカードの借金を回避したい、または回避する必要がある消費者のために、BNPL は古い概念を現代風にアレンジした分割払いプランを提供している。あなたがミレニアル世代(主要な見込み客層)で、新しいアパートの家具を探しているとしよう。Web 上で素敵なソファを見つけたものの、それは数百米ドルとあなたの給料では高額だ。理想的にはコーヒーテーブルも欲しいところだが、それだとさらに高くなってしまう。「カートに入れる」ボタンの隣には、数ヶ月間の支払をゼロ金利で分散できるオプションがあり、すぐにこのクレジットの資格を得ることができる。「たった5つの情報でリアルタイム審査できる」と、ある BNPL 企業の売り文句には書かれている。だから、あなたもソファを購入し、カートにテーブルを入れる。

この典型的なシナリオは、BNPL 企業がクレジットカード会社よりも加盟店に高い取引手数料を請求できる理由を示している。BNPL は、クリックスルーのコンバージョン率を高め、BNPL が無ければ発生しないような販売を促進する。さらに良いことに、それは AOV(平均注文量)を押し上げる。一方、新規顧客にはアプリが提供され、加盟店の商品の定期的なプロモーションが表示され、リピートビジネスも増加させる。

BNPL のアカウントを持つ顧客は、もちろん過剰な支出をしたくなるかもしれない。クレジットカードと同じように、延滞料が発生したり、有利子ローンを組んだりすることになるかもしれない。しかし、簡単で無利息のエントリーポイントを提供し、ワンタッチで口座の状態を透明化できるアプリと組み合わせることで、新規ユーザを維持するのに十分なのだ。特に東南アジアでは、文化的にクレジットカードが敬遠されている一方、無利息の分割払いがスマートな支出方法のように感じられている。欧米では60~80%であるのに対し、ASEAN のクレジットカードの普及率は低く、ほとんどの国では数%ないし20~30%となっている。対照的に、人口2億7,500万人を持つ東南アジア最大の国であるインドネシアでは、BNPL 企業の Kredivo と Akulaku の2社が、Google Play 上で既に1,000万件以上アプリがインストールされている。シンガポールで設立・拠点を置く Hoolah は、2020年の一年間で取引量を1,500%増加させた。

この急速な成長は、BNPL 企業がクレジットカード会社とは根本的に異なる点にも起因している。クレジットカードは、銀行口座間のリンクとしての役割を果たす。例えば、Visa や Mastercard は、実際にクレジットカードを発行する銀行から、あなたが購入した加盟店口座に送金する。一方、独立した BNPL は、ネットワークリンカーとバンカーを一つにまとめたものだ。Hoolah は買い手にクレジット機能を提供し、売り手にお金を直接支払う。これにより、従来の銀行取引のような手間をかけずに、新しい加盟店を簡単にオンボードすることができる。

明らかなマイナス面は、BNPL がより多くのリスクを負うことだ。景気後退の局面で、Visa は収益を失うかもしれないが、デフォルトについて心配する必要はない。しかし、BNPL 事業を立ち上げるとき、あなたはその日から立ち往生する可能性がある。そして、アントレプレナーシップのすべての分野でそうであるように、チャレンジをチャンスに変えることで成功することができる。

ASEAN の BNPL はどう輝くか

ネットプロテクションズが2020年に発表した世界の BNPL カオスマップ
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おそらく一番厄介なのは、クレジットに申し込む人の審査だ。それは迅速に行われなければならない。クレジットカードを利用する資格が無いかもしれないが、それにもかかわらずリスクが高いユーザを対象にしなければならないため、スイートスポットが存在する。さらに、東南アジアのような比較的新分野の市場では、従来の審査は厳しくなる。前述の通り、ほとんどの国にはアメリカ型の FICO スコアを作成する信用情報機関がない。多くの人々は、いずれにしても信用情報が乏しく、多くの人々は銀行から融資を受けていないか、あるいは最近融資を受け始めたばかりだ。

プラス面としては、デジタルウォレットの利用率が高いことが挙げられる。大手の GrabPay と GoPay は、人気の高い配車サービスや宅配サービスを提供する企業によって誕生したもので、ASEAN 全体で巨大なユーザ基盤を持ち、成長を続けている。シンガポールに拠点を置く Grab とジャカルタに拠点を置く Gojek だ。このようなウォレットを利用することで、詳細な支出履歴を把握することができる。

すべての要素を考慮すると、BNPL は今後5年から10年で東南アジアで爆発的に成長すると私は見ている。主要なプレイヤーは、リスク評価のためのアルゴリズムやデータセットを開発しており、時間が経てば経つほど価値が高まるだろう。ユーザが利用を始めた後のリスクに積極的に対処するために、BNPL 企業は顧客エンゲージメントや支払スケジュールの調整などの分野でイノベーションを起こしている。

また、欧米の BNPL がよく扱う取引よりも小規模な取引でも利益を上げられるようになってきている。(例えば、アメリカの Affirm は、2,000米ドル以上の Peloton 社製エクササイズバイクの購入に多くの資金を供給している。消費力が低いながら成長している ASEAN 市場では、平均的な買い物は200米ドル以下だ。最も多く購入されているのは衣料品や身の回りのアクセサリーなどである。)

また、従来の銀行やグローバルなクレジットカード会社を利用したいと考えていても、今のところ利用できていない顧客を、この地域の BNPL 企業が獲得していることがわかる。注目すべき新進気鋭の企業としては、Hoolah、Pace、Atome、日本の Paidy などが挙げられるだろう。 さて、ここで最後のポイントだが、こういった企業は自国や近隣の市場の強みを活かして成長しているが、サイバースペースには国境が無い。ASEAN のトップ企業は、英語と地元言語の両方でサービスを提供している。新しい消費者金融の質問は「財布の中に何が入っているか」ではなく「スマートフォンに何が入っているか」だ。その答えが東南アジアの BNPL アプリになる日が来ても驚かないでほしい。

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SaaS管理プラットフォーム「NiceCloud」開発、シードラウンドで約1億円を調達——Coral、ANOBAKAなどから

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SaaS 管理プラットフォーム「NiceCloud」を運営する LBV は25日、シードラウンドで約1億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、Coral Capital、ANOBAKAと名前非開示の個人投資家。なお、調達額には、金融機関からのデットファイナンスが含まれる。 LBV は 「オートーク」開発の Regulus Technologies の創業者である伊藤翼氏が20…

「NiceCloud」
Image credit: LBV

SaaS 管理プラットフォーム「NiceCloud」を運営する LBV は25日、シードラウンドで約1億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、Coral Capital、ANOBAKAと名前非開示の個人投資家。なお、調達額には、金融機関からのデットファイナンスが含まれる。

LBV は 「オートーク」開発の Regulus Technologies の創業者である伊藤翼氏が2020年12月に創業。なお、Regulus Technologies は2018年10月、ツナグ・ソリューションズ(東証:6551)に買収されイグジットしている。伊藤氏はキーマンクローズ期間を経て、今回、新たな事業の設立に至ったとみられる。

NiceCloud は、企業の SaaS アカウントや請求情報を一元管理できる SaaS 管理プラットフォームだ。どの従業員がどの SaaSを利用しているかわからない、アカウントの発行や削除が面倒といった課題が発生する中で、状況をダッシュボード上で把握し、アカウントの発行や削除等の面倒な業務を自動化できる。先月のαローンチ以降、数十社から事前登録を獲得しており、今年夏のβ版をリリースを目指す。

一部機能において、NiceCloud はこれまでに BRIDGE でも紹介している「Anyflow」や「YESOD(イエソド)」 、そのほか「Hexalink」などにも似たものになるかもしれない。しかし、Anyflow はその名の通り、複数の SaaS を連携することでワークフローの効率化に力点を置いており、また、YESOD は情報ガバナンスを求められる会社がシステマティックにそれを実現することを狙っており、対して、NiceCloud は短期的には請求状況の可視化が強みになるだろう、というのが伊藤氏の説明だった。

LBV は当面、5〜10以上 SaaS を使い、50〜100人以上社員がいる企業をターゲットに置く。SaaS 管理の一元化・可視化によって効果を享受するには一定の規模が必要になるからだが、中長期的にはエンタープライズ利用も視野に入れる。また、さまざまな SaaS が乱立する中、将来は、それらを比較検討し SaaS プロバイダへ送客できるサービスを提供する可能性もあるとしている。