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Interview

もう一つの世界「Facebook Horizon」:メタバースをつくる数々のテスト(3/6)

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※編集部注:本稿はGamesBeat編集部によるメタバース「Facebook Horizon」特別インタビューのつづき(前回はこちらから)。 GamesBeat: 映画鑑賞のようなものを用意する予定はありますか?それともユーザーが作ることを期待していますか? Grant: 今のところ、Horizonには動画を再生する手段がありません。ベータ版の良いところは、人々が求めているものを知ることができると…

Facebook Horizonで撮ったセルフィー/Image Credit: Facebook

※編集部注:本稿はGamesBeat編集部によるメタバース「Facebook Horizon」特別インタビューのつづき(前回はこちらから)。

GamesBeat: 映画鑑賞のようなものを用意する予定はありますか?それともユーザーが作ることを期待していますか?

Grant: 今のところ、Horizonには動画を再生する手段がありません。ベータ版の良いところは、人々が求めているものを知ることができるところです。最も要望の多いものを最優先にすることができます。

このバーチャルな世界では何でも自分でやることができますーー私たちがユーザーを刺激し、アクティビティを提供する一方で、クリエイター自身がコミュニティを築くこともできます。テンプレートも用意しています。Horizonを始めたら、まずはパズルテンプレートを使うとよいでしょう。このテンプレートには脱出部屋で使うダイアル錠が用意されています。将来的には映画館テンプレートも用意するかもしれません。

ユーザーはテンプレートを使ったり修正したりしてカスタマイズできるのです。初心者も簡単に作れる環境を提供する一方で、映画館のようなスペースに隠しプログラムを埋め込みたいユーザーにはアクセスしやすいクリエイションツールを提供し、容易にカスタマイズできるようにしたいと考えています。

GamesBeat: 最大で何名が一カ所に集まれますか?

Grant: 現段階では4〜8名です。人数はクリエイターがワールドを作るときに決められます。それ以上の人数がワールドに入ろうとすると、リアルタイムに複製が作成されます。ワールドが複製され設定人数よりも多くの人々が入ることができる、という仕組みです。どんな種類のアクティビティが最も求められているかを調べ、いずれは人数を増やしていきたいと考えています。

GamesBeat: スペースを追加購入したり、より大きなグループを購入したりすることはできますか?

Grant: 今は売買機能はありません。目下、技術的な限界もありますが、プロダクトとしてそうしています。前にも触れたように、私たちは友情やつながりを築く手助けをしたいのです。作り上げたワールドの中で、さまざまなものをやりとりしたり生き生きと動かしたりすることができます。多くの人々をワールドに呼び込んでいくと、ワールドそのものは静的になっていきます。非常に多くのものが同時に動くからです。

私たちは数多くのテストも行っています。先週(9月第2週)、ステージに立ったり、それを人々が観覧したりできるオープンマイクナイトのテストをしました。参加者は15人ほどで、彼らのサイズ感について調べました。人が集まれば集まるほど、課題にぶつかります。たとえば、マイクを持っている人の声だけ大きくしたい、とか。

私たちは、時間をかけて、そうした要望を叶える機能がどのようなものかを調査したいと考えています。ミートアップで人々の手助けをすることは、私たちが楽しみにしている活動の1つです。ユーザーがスペース内でより大きなグループを作れるようにするため、適切な手立てを見つけたいと思っています。(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

もう一つの世界「Facebook Horizon」:少人数で体験するソーシャルネットワーク(2/6)

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※編集部注:本稿はGamesBeat編集部によるメタバース「Facebook Horizon」特別インタビューのつづき(前回はこちらから)。 GamesBeat: コミュニティ空間はかなり広くなりそうですね。ただ、実際のクリエイターにとっては狭く感じる可能性があります。どのような判断基準でスペース規模は決定されたのでしょうか Ari Grant:クリエーションスペースは広大ですが、決して私たちは大…

Facebook Horizonの異次元空間/Image Credit: Facebook

※編集部注:本稿はGamesBeat編集部によるメタバース「Facebook Horizon」特別インタビューのつづき(前回はこちらから)。

GamesBeat: コミュニティ空間はかなり広くなりそうですね。ただ、実際のクリエイターにとっては狭く感じる可能性があります。どのような判断基準でスペース規模は決定されたのでしょうか

Ari Grant:クリエーションスペースは広大ですが、決して私たちは大きければよいとは考えていません。むしろ、クリエイターが好みに応じて自由に使える環境を整えることを考慮しています。仮にHorizonの世界で4つの壁だけ設置して小さな空間を作りたいと思えば、もちろん可能な設計となっています。あるいは、参加者が冒険に出かけられるような広大なエリアを設計したい場合でも、容易に作ることができます。

もう一つ、私たちがよく目にするのはサウンドステージのセットのようなものです。これはユーザーが違う空間へテレポートできる、小さく異なるエリアを作ることができます。

現在は、あるスペースに参加できる人数には制限があります。そのため、クリエイターが一つの世界を作るときは4人、8人のオプションから選択します。私たちが少人数からスタートしたのには、一つ一つの繋がりや関係性を構築しやすくさせる意図があります。VRの世界には、まだ友達がいないユーザーも多いので、まずはだれか新しい人と触れ合う機会になればいいと思います。今後は、少人数のユーザーからのフィードバックを通して、より多くの人が一度に参加できる体験空間を目指していきます。

GamesBeat:ローンチ時に最低限求めている体験はどういったものでしょうか?また、いくつほどの体験を想定しているのでしょうか

Meagan Fitzgerald:招待制ベータ版の現在でも、あらゆるクリエイターが新しい世界を作り上げていることをとても嬉しく感じています。数値的な目標値を持つことは未だ悩んでいますが、ローンチ時には強固な安全性を確保した経験を必ず提供することは絶対条件です。たくさんの経験を用意するというよりも、一つ一つの経験の質を確実なものとしていく狙いがあるため、β版も招待制としています。

また、ローンチ時にはデモでもあったように、ミュートロックをしたり休憩をするためのスリーブモードは備え付けます。加えて、状況に応じて事案に対処する担当者を用意し、安全性の向上に努めていきます。

その他には、ユーザーがレポートを提出しやすいように音声のローリングバッファを利用した施策を取っています。これにより、ユーザーが送信したい時のみデータを送信でき、何もタイピングする必要もありません。安全性は私たちの優先事項ですし、ユーザーが選択肢を持っている状況を大切と考えています。それを基に人々が協力し、あらゆる世界を旅する経験を得ていただきたいと思います。

GamesBeat:Horizonは、何か別のものに例えることはできますか?例えば、「MinecraftのVR版」といったものです

Ari Grant:私はFacebook Groupsの中でアクティビティを通じて交流することに似ていると感じています。Facebook Groupsは、興味を基にメンバーが構成されて、自由に入ったり退出したりすることが可能です。また、ほかの表現ではHorizonを「実際に体験する」ソーシャルネットワークと捉えています。FacebookやInstagramは、「シェアする」ソーシャルネットワークと言えるでしょう。(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

 

もう一つの世界「Facebook Horizon」:世界初のメタバース誕生へ(1/6)

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メタバース(metaverse)をめぐる興奮が高まっているのは、それがもはやSFの単なるアイデアではないからだ。クローズドベータテスト中の「Facebook Horizon」は、ユーザーが生成したバーチャルリアリティの世界を作るための第一歩になるかもしれない。 メタバースとは「Snow Crash」や「レディ・プレイヤー・ワン」などの小説に登場する、すべてが相互につながっている仮想世界のことだ。F…

Facebook Horizonの「The Plaza」/Image Credit: Facebook

メタバース(metaverse)をめぐる興奮が高まっているのは、それがもはやSFの単なるアイデアではないからだ。クローズドベータテスト中の「Facebook Horizon」は、ユーザーが生成したバーチャルリアリティの世界を作るための第一歩になるかもしれない。

メタバースとは「Snow Crash」や「レディ・プレイヤー・ワン」などの小説に登場する、すべてが相互につながっている仮想世界のことだ。Facebookは、仮想現実の中でHorizonを構築しており、人々は他の友人と一緒に仮想空間に没入し、ゲームのように自分の社会空間を作ることができる。

本誌・GamesBeatでは、来年の1月27日にメタバースに関する独自のカンファレンスを開催する予定だ。それを控えて私はFacebook Horizonの45分間のデモをプレイしてみたのだが非常に興味深い内容だった。Facebookは先日開催されたFacebook Connectイベントで300ドルのOculus Quest 2 VRヘッドセットをデビューさせ、それと共に基調講演としてHorizonの新たなデモを披露した。

私はまたFacebook Reality Labs Experiencesのプロダクトマーケティング責任者であるMeaghan Fitzgerald氏とプロダクトマネジメントディレクターのAri Grant氏にも話を聞いた。 インタビューの中でFitzgerald氏は、人によって様々な意味を持つ「メタバース」の共通の定義がないことを的確に指摘した。

「私たちはVRにおけるソーシャルインタラクションをより促進する機会と捉えています。これによりVRにおけるソーシャルエンゲージメントをより深く豊かなものにし、人々がつながりを持つための友人ネットワーク構築を助けるものになると考えているのです。FacebookはVRプラットフォームのトップゲームに対抗しようとしているわけでもなく、VR映画館のようなものになろうとしているわけでもありません。Facebook Horizonは、恐らく4~8人のグループで集まって楽しむ場所になると思います」。

一方、Grant氏はメタバースについてこう語る。

「メタバースをロールシャッハテストに例えて言うのが好きです。Horizonにやって来て自分の趣味や活動に興味を持っている人を見つけることができるでしょうか?自分に関係のある人や活動のバーチャル空間をナビゲートできる場所を作ることが私たちの目的であり、一人一人にとって意味のある体験を構築したいと考えています」。

ということで、こちらにインタビューの全編をお送りしたい。

Facebook Connectに出演中のFacebook Horizon、Meaghan Fitzgeraldさん/Image Credit: Facebook

GamesBeat:Horizonの現状について教えてください

Ari Grant: Horizonにはすでに脱出部屋のパズルワールドや障害物コースのアドベンチャーワールドのような見せられるものが多数存在しています。ハングアウトスペースもありますし、昨日は、低重力の巨大なボールピットに入って、あちこちでボールをぶつけていました。いろんな体験ができますよ。

Horizonは、究極的にはコミュニティのためのプロダクトだと考えています。アクティビティを利用して、共通の関心事や体験したいこと、一緒にやりたいことを持った人たちを集めることができます。例えばレーザータグを使って大勢の人が集まったり、礼拝所に大勢の人が集まったりすることができます。私たちはこれをFacebookのグループのように見ていますが、その中に入って興味あることができるイメージですね。私たちは「新しい思い出を作るソーシャルネットワーク」だと考えています。既存のソーシャルネットワークではなかなかできないことですよね。

私たちはこれをベータ版としてより多くの人に参加してもらおうとしているところです。参加した方々が何を作りたいのかを学び、 人々が作りたいと思っている様々なタイプの没入型コミュニティを可能にする機能や拡張を始められることにワクワクしています。

GamesBeat:どういった類の範囲があるのでしょうか?また、Horizonの話が出てからしばらく経ちますが、どのくらいの規模のプロジェクトになるのか、Oculus Venuesのようなものと比較していただけますか?もっと規模が大きくなりそうですね。

Meaghan Fitzgerald: 去年のConnectで発表したのですが、ユーザーからのフィードバックを得るために、特に世界構築ツールを中心に作業を始めました。Ariが話していたようなコミュニティスペースを作りたいと思っている人たちからのフィードバックを得ることに重点を置いていたんです。

その規模の大きさや範囲について言えば、ソーシャルのエコシステム全体で多くの成長の可能性があると考えています。私たちはVenuesのベータ版を運営していてここも成長しています。しかし、Horizonの範囲という点では、ワールドビルダーを使って自分たちのたまり場やミニゲーム、パズルを作成して、自分たちで世界を広げていくことができるのが特徴です。私たちが作るものに制限されているわけではありません。コミュニティが形成され、みんなで集まって、一緒に空間を探索することができるのです。(次につづく

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

米国で本格ラーメンEC「Ramen Hero」ーー売上は昨年比3倍、新体験「Zoomen」とは(後編)

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Zoom + Ramen = Zoomen !? (前回からの続き)長谷川氏曰く、ラーメンを楽しく層は大きく分けて2種類いるのだそうだ。一人で楽しむ層と、誰かと一緒に食べるグループ顧客層である。 長谷川氏:米国では日本のように一人でふらっとラーメン屋に立ち寄ることはハードルが高い印象です。たとえば、会社帰りにラーメンを食べるという習慣が文化的に合いません。誰かと一緒に楽しむことがラーメンを外食とし…

画像提供:Ramen Hero

Zoom + Ramen = Zoomen !?

(前回からの続き)長谷川氏曰く、ラーメンを楽しく層は大きく分けて2種類いるのだそうだ。一人で楽しむ層と、誰かと一緒に食べるグループ顧客層である。

長谷川氏:米国では日本のように一人でふらっとラーメン屋に立ち寄ることはハードルが高い印象です。たとえば、会社帰りにラーメンを食べるという習慣が文化的に合いません。誰かと一緒に楽しむことがラーメンを外食として楽しむ前提にあります。ボッチメシということに対しての抵抗が高いのです。

そこにコロナが直撃し、在宅で食事をする生活習慣が一般化したんです。Ramen Heroが一人でラーメンを楽しみたい層に刺さり、これまで在宅でラーメン体験をしたことがなかった人との接点が生まれ、顧客数が伸びています。

なにより、家族やカップル、友達との共有体験での共有体験としてのラーメンを楽しむ提供価値が、過去半年ほどの売上分析から認識されたという。一人で食べるのではなく、誰かと一緒に食べることで体験が強化される。誰かと一緒に食べた結果、「予想以上に美味しかった」といった体験が実現される。こうした体験ニーズが如実に数値で出てきたとのこと。

一例として「Zoomen」を挙げてくれた。Instagramのハッシュタグに投稿されたらしいが、遠隔に住む恋人同士が、Zoom越しにRamen Heroを楽しむ共有体験が発信されたとのこと。

美味しいと感じる要素の2〜3割は食品そのものの味であるという。残りは視覚や聴覚が占める。これまでRamen Heroはハイクオリティを重視して、2〜3割の味を極めてきた。残りを強化するフェーズで鍵となるのが「共有体験」なのだ。長谷川氏は次のように総括する。

長谷川氏:UberやAirbnbが登場した際、誰もそんなモノは使わないだろうと言われました。しかし、今となっては誰もそれらがなかった頃には戻れないほどに生活に定着しています。同じくグルメフードも、以前は外で食べるものという認識が大半だったと思いますが、今後は自宅でも食べるものという認識に変わってくるはずです。

コロナの影響で外食産業がひどく落ち込んでいますが、レストランでの食事体験は確実に人々が求めるもので、いずれは戻ってくるでしょう。同時に、コロナ禍で浸透した自宅でグルメを楽しむという体験も、今後当たり前の消費行動として定着していくと踏んでいます。Specialty Foodの自宅体験は不可逆的なものとして市場に浸透し、成長市場になるはずです。

米国No.1の「日本食EC」を目指して

画像提供:Ramen Hero

最後にRamen Heroが目指すビジョンについて尋ねたところ、その答えとして「日本食のプラットフォーム」という回答を得た。真意はなんなのだろうか。

長谷川氏:基本的に食に関する事業は、多額の初期投資が必要となります。受注から配送までの一連の業務プロセス、フルフィルメントを0から立ち上げるのは至難です。特に食となれば、特別な知識や倉庫管理能力が問われます。専門家と協業する目利きをする必要も出てきます。

この点、Ramen Heroはハワイとアラスカ州を除いた全米48州への販路を開拓済みです。その上で、私たちが持つ食の販路に相乗りしたい事業者が多くいることを確認しました。すでに何社かのラーメンブランド商品を卸したいというお話があり、計画を動かそうと思っています。

高品質な日本食を届けたい事業者と一緒に市場を盛り上げるため、私たちの持つ販路を共有し、インフラとして使ってもらう「日本食のプラットフォーム」を戦略ビジョンとして掲げています。まさに日本食版のAmazonマーケットプレイスのように、Ramen Heroの販路に相乗りして食品展開できる考えです。

確かに多くの日系食品企業が北米に参入しているが、彼らはクローズドに販路を開拓していて他社が乗り込む余地はない。そこでRamen Heroは日本企業が独自に開拓してきた食販路をあえてオープンにし、掲げる「ハイクオリティな日本食」を提供する事業者が参加できるようにしようというのだ。

この考えに至ったきっかけはRamen Heroが運営するFacebook Groupであったという。新作ラーメンの写真を載せてフィードバックを求めた際、ラーメンではなく赤い有田焼の日本製丼に対して、「その丼かっこいいね、欲しい!」というコメントがあったそうだ。ただ、教えたECサイトは日本語仕様であり、米国まで国際輸送で購入するのは難しい。

そこで彼は自社ラーメンでなく、関連グッズ、広くは美味しい他店のラーメンに対しても同じく高いニーズがあると仮説を立てた。もちろんRamen Heroのコアファンであるため、自社ラーメンへの要望が著しく高いのは言うまでもないが、元々日本食全般を好む人が多くいるため、顧客のニーズ全般を取り込めば面白いのではないかとアイデアに至ったのだ。今後は食器や調味料などの周辺商材も売る予定という話だった。

画像提供:Ramen Hero

社名に「Ramen」とあることから、ラーメンECの専門業社に思えるがそこだけで終わらない。ラーメンからはじめて、高品質な日本食ブランドのプラットフォームにまでサービス昇華を狙っていく戦略を描いている。

一時、シリコンバレーでは「Distruption – 破壊」の言葉が踊り、大手企業等が寡占する市場構造を変えることが正義であるとされていた。しかし、昨今では「Empowerment – 自信・力を与えること」がトレンドワードとして意識されている。

あらゆる業界でSaaS化が進み、サービスがありふれてきた既存市場では競合優位性を磨き上げるのではなく、業者同士を束ねて協力して盛り上げていく志向が求められるようになった。Ramen Heroもこの流れに乗り、米国市場に興味のある食ブランドを誘致し、自らのフルフィルメントを自社だけで抱えるだけでなく、共有することで一緒に市場開拓する路線を採ろうとしている。

それもこれも、長谷川氏が掲げるミッション「顧客にとってのDestination(行き先)になる」に帰結する。全米への販路を拓き、オーダーも十分にさばけるようになった。全ては顧客のために、ラーメンだけでは終わらない一大戦略が動き出す算段だ。

最後に余談を話そう。サンフランシスコの一緒のシェアハウスに筆者が長谷川氏と住んでいた時(Anyplaceの内藤氏もいた)、同氏が日本の香川県へ急に飛んだのがたしか5年ほど前だった。お客として住み込んでいた筆者が、主人不在のハウスを付きっきりで面倒を見ており、帰ってきてから突然ラーメン学校へ行っていた真相を聞いて驚いたのを昨日のことのように憶えている。

その時は何をしたいのかわからなった。

当時はハウスメンバー誰もが起業を志していたが、ラーメンというドオフライン事業はリスクが大きすぎる印象で、まず嫌厭するテーマだった。シリコンバレー界隈にいた周りの人たちも同じ感想だっただろう。

月日は経ち、厳しい海外市場で生き残り、そして成長しているRamen Heroの記事を書いているのは感慨深い。大きな課題が明確にあるのが米国のラーメン市場であるが、なにより自分が心底熱心に、そして好きが続くモノであれば結果が形となることを学んだ。たとえ起業の教科書に反するようなテーマでも、愚直に続ければ形となる好例がRamen Heroだ。これこそが起業の本質なのかもしれない、と。

5年・10年後には日本食ブランドはどうなっているのか。想像するだけで心が躍る。

米国で本格ラーメンEC「Ramen Hero」ーー 日本人起業家が目指す「世界的ブランド」確立への道(前編)

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鳴り物入りで登場したラーメン屋が、今やラーメンの域を超えてまでの成長を見せようとしている。 日本人起業家の長谷川 浩之氏が立ち上げた「Ramen Hero」は誰でも10分で本格ラーメンを作って楽しめる料理キットを販売するEコマース企業。2017年から米国カリフォルニア州で販売を開始し、現在は48州展開。2019年の注文数は6,000件超、売上は前年度比283%成長した。 いわゆる「ラーメン・スター…

Ramen Hero創業者、長谷川浩之氏

鳴り物入りで登場したラーメン屋が、今やラーメンの域を超えてまでの成長を見せようとしている。

日本人起業家の長谷川 浩之氏が立ち上げた「Ramen Hero」は誰でも10分で本格ラーメンを作って楽しめる料理キットを販売するEコマース企業。2017年から米国カリフォルニア州で販売を開始し、現在は48州展開。2019年の注文数は6,000件超、売上は前年度比283%成長した。

いわゆる「ラーメン・スタートアップ」がRamen Heroだ。誰もが一見すると、スタートアップが避けるべきオフラインコストのかかる事業だと感じる。ただ、市場機会は明るい。近年は毎年17%前後でラーメン店舗数が増えているという米国。

市場規模は42億ドルほどだが、同市場は未だ旧態依然としている。多くの店が業務用のスープを薄めて提供するスタイルを採用しており、どの店も同じ味になっていたり、見様見真似でラーメンとは呼べないようなものを出していて、クオリティの高い店鋪は全米の中でもごくわずかだ。日本のラーメンチェーンがニューヨークやロサンゼルスなど一部の大都市で店舗展開をし、本格ラーメンを提供するケースもあるが、提供地域は限定的で、EC化も進んでいない。

スタートアップの成長志向の考えが行き渡っていないため、イノベーションが起こっていないのが現状と言える。そのため十分に市場寡占できる可能性を秘めるのがラーメン市場であり、ここに目をつけたのが長谷川氏である。

本記事では長谷川氏への取材をもとに、Ramen Heroのビジネスを紐解いていきたい。

Ramen Heroの提供価値は「ハイクオリティ + 手軽さ」

画像提供:Ramen Hero

元々Ramen Heroは、真の日本ラーメン店へアクセスできない、「アクセシビリティ」の課題解決を目指し立ち上がった。アクセシビリティには2種類存在する。1つは文字通り、店舗へアクセスできない問題だ。

長谷川氏:米国市場では、味千ラーメンや一風堂といった大規模チェーン、最近ではAFURIや凪といった東京で人気を博し、海外にも出店を進めているグループが展開しつつあります。また、都内でラーメンファンに人気の個人店が国内展開もほどほどに、米国に出店するケースなども少しずつ出てきました。

しかしラーメン店のほとんどが都市部にあります。特にニューヨークが激戦区です。ただ、店舗数は限られ、行列が長くあり、時間をかけないとラーメンを楽しめません。そもそも、米国人口50%超の1.75億人が住む郊外では本格ラーメンを楽しめる機会はほとんどありません。また、仮に店舗が近くにあっても、忙しかったり、小さい子供がいる家族層はなかなか足を運べません。

もう1つのアクセシビリティはスキルだ。続けて同氏は次のように語る。

長谷川氏:米国のラーメン店では専門店はごく一部。日本食やアジア系のレストランを中心にラーメンが提供されているのが大半です。ですが多くの場合、ラーメン作りの経験がある人が厨房にはいません。往々にしてベンダーが作っている濃縮スープなどのラーメン商材を使って提供されています。

家賃や回転率など、様々な事情から構造的にそうせざるを得なくなっているのですが、種類が限られているためどの店舗へ行ってもだいたい似たような味が提供されます。色々と食べ歩いてみましたが、日本で食べられるような本格的なラーメンを楽しめる場所がほとんどありませんでした。

そこでRamen Heroはソリューションとして、高品質、かつ手軽に調理できるラーメンをEC販売することにした。ラーメンの調理経験がなくとも全米のどこに住んでいても本格ラーメンを気軽に楽める機会を提供し、新たなアクセシビリティを生み出しているのだ。

画像提供:Ramen Hero

長谷川氏がRamen Heroを説明する際、すぐに理解してもらうために「ラーメン・ミールキット」のフレーズを用いていた。しかし本質はそこにはない。確かに業態はミールキットであるが、提供価値は違うところにある。まず、従来のミールキットに関して次のように語る。

長谷川氏:米国で展開されるミールキットサービスは一通り試しました。BlueApronのように食材とレシピが一緒に届くもの。Freshlyのようにパッケージ化されてレンジに入れればすぐに出来上がるものまであります。どちらも大きく成長しています。ただ、味は特別美味しいというわけではありません。

そもそもミールキットの配達が大変である問題もあるため、完成度はまだまだこれだと感じたのが正直なところです。まだ発展途上であり、これからに期待といったところなので逆に言えば、味のレベルがそこそこのものであっても事業として成立し、上場できるほど寛容で巨大な市場があります。

それではなぜ市場は寛容性を保っているのかと考えました。答えとして、ミールキットの本質的な提供価値に行き着きました。それは「面倒さの代行」です。買い物に行く面倒や、レシピを考える面倒を解決するのが従来のミールキットであるため、味は二の次。そのため、例え食品自体の完成度がそこまで高くなくても支持されているのです。

従来のミールキット事業者は、様々な競合を迎える必要がある。生鮮食材配達の「Instacart」や「GoodEggs」のようなプレイヤーや、食品配達の「UberEats」「DoorDash」、在宅が増えて自炊する機会が増えれば、自前の料理とも競合することになる。「面倒さの代行」の代わりの手段はいくらでも出てくるレッドオーシャン市場だ。

一方、Ramen Heroの「高品質な食品へのアクセシビリティ」の代替手段はほとんど存在しない。日本のラーメン学校で学んだ日本人起業家が立ち上げた、在宅で楽しめるラーメンブランドは皆無、つまりブルーオーシャン市場を選んだのだ。自炊しようが食材配達サービスを使っても穴埋めできない価値だ。

それゆえ、一見してミールキットサービスに見えるRamen Heroは、全く違う領域で市場を攻略しようとしている。ニッチに見えて北米のラーメン市場は4,000-5,000億円規模。これを寡占できる巨大な商機を独り占めできる非常に理に沿った、賢い戦略を採用しているのだ。

画像提供:Ramen Hero

また、ターゲット領域として「Speciality Food」のポジションを狙っていくのだという。日本で言えば、成城石井のような高級スーパーで扱われている食品がまさに該当するだろう。現在はフローズンフードが伸びている同市場は1,500億ドルほどの規模があるという。小売市場全体で見れば「Luxury Commerce」と呼ばれる領域だ。

Speciality FoodのEC化は2.5%程度で、市場規模は30億ドルほど。長谷川氏はEC化が10-15%まで伸びると踏んでいるとのこと。このEC領域を狙う。

少し値段は張るが、満足度の高いEC食品プロバイダーとしての認知をこれからも目指すという。近くの中途半端なラーメンしか出さない、中途半端に高い日本食レストランに行くのと同じ予算間であるならば、冷凍で長期保存ができ、食べたい時にさっと取り出して10分ほどで高品質なラーメンを作れるRamen Heroを楽しもう、といった選ばれ方を目指す。(後半に続く)

KDDIは「事業共創」をどう積み上げた

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政権がひとつの区切りを迎えようとしている。 超低金利・株高という経済政策は、日本のスタートアップ・エコシステムにとっても大きな影響を与えることとなった。2012年末の発足時期に660億円程度だった国内投資額は2018年に1360億円と倍増しており、同時期のベンチャーキャピタルの資金調達額も500億円未満から3300億円と大きくジャンプアップしている。 同時にこの10年で変化したのが協業のスタイルだ…

写真:KDDI 経営戦略本部 ビジネスインキュベーション推進部 部長 中馬和彦氏

政権がひとつの区切りを迎えようとしている。

超低金利・株高という経済政策は、日本のスタートアップ・エコシステムにとっても大きな影響を与えることとなった。2012年末の発足時期に660億円程度だった国内投資額は2018年に1360億円と倍増しており、同時期のベンチャーキャピタルの資金調達額も500億円未満から3300億円と大きくジャンプアップしている。

同時にこの10年で変化したのが協業のスタイルだ。

オープンイノベーションと呼ばれる手法は従来のシナジー投資とはまた異なり、単なる「足し算」ではなく、大企業のアセットと新興サイドのテクノロジーを掛け合わせ、新しい市場を生み出す試みとして度々話題になった。

この手法における牽引役がKDDIだ。2011年からスタートアップのインキュベーションプログラム「KDDI ∞ Labo」を開始し、2017年にはIoTプラットフォームのソラコムを買収。そのテクノロジーを大きく躍進させ、KDDIの「共創」を次のステージに押し上げることに成功した。

9月4日には経済産業省などが主催する「イノベーティブ大企業ランキング2020」の投票でも3年連続1位を獲得するなど、国内企業連携の橋渡し役としての存在感を積み上げている。そこで本稿では、同社で共創事業「KDDI ∞ Labo」などをリードするKDDI 経営戦略本部 ビジネスインキュベーション推進部の中馬和彦部長にそのノウハウと裏側を伺うことにした。(太字の質問は全て筆者、回答は中馬氏)

失敗のない共創なんてない

KDDI ∞ Laboはスタートアップだけでなく大企業との連携も深めた/画像:KDDIプレスリリースより

中馬氏はINFOBARなどの端末をはじめ、J:COM(ジュピターテレコム)ではMVNO事業を立ち上げるなど所謂「0→1」の新規事業立ち上げを経験してきた人物だ。私はまず、共創における「すべからず」から聞いてみることにした。

ーー協業検討には何かフォーマットがあるわけではないが、特にこれはしない方がよい、という「すべからず」があれば教えて欲しい

中馬:とあるカンファレンスでお題に「失敗しないオープンイノベーション」について語って欲しいというものがありました。私はそれを「失敗を恐れない」に書き換えて臨んだんですね。失敗しないメソッドは教えられません。私は数多くの失敗を重ねてきました。なのでその分の成功体験の数も多いわけです。大企業では一度の失敗をもって「ほらみたことか」と言われることが多くみられる。成功の果実を得るためには、最低でも10回程度のチャレンジが必要なのです。

ーー経営サイドとして上手い失敗のさせ方は

中馬:やはり権限移譲でしょうね。私たちは時間をかけてしつつあります。社内コンセンサスも最低限にとどめ如何に報告しなくて済むか?のスキームを構築することが重要です。多くの企業を見た結果、個が「立った」担当者がいる会社は総じて上手くいっているようです。恐らく個人が責任をもって発言できているということは、権限移譲が進んでいると捉えてよいと考えます。

ーースタートアップも打席に何回立てるかが重要とよく言われる。大企業視点での失敗の質の違いは

中馬:国内企業は優秀な方々が多いので、似たようなことは大体やり切っています。なので、新しいことをやる際、必ずカニバリズムが発生します。こういったケースでは全く関係ない飛び地で失敗してくるのがコツですね。

共創の推進と撤退

失敗が前提になるのであれば、考えなければならないのが「撤退基準」だ。だらだらと続けては打席が減るし、かといって見誤れば投資が無駄に終わる。絶妙なタイミングはどこにあるのか。

ーー失敗を重ねる際に判断が難しいのが成果や撤退をどう考えるかだ。どういう基準を設ければよいか

中馬:やはり1年ぐらいで判断するのが大事でしょうね。というのも今、2〜3年変わらないマーケットってないんですよ。「昨日の自分を否定しろ」と表現することがあるのですが、従来「悪」とされてきた朝令暮改は今や勝利のための重要な戦略です。要求を常に捉え、マーケットが変われば計画は常にアップデートする。

ーー共創事業の場合、社内外含めステークホルダーは多岐に渡る。チームをある方向に導くためには分かりやすい計画がないと難しいが

中馬:フェーズフェーズでKPIは変えるべきです。確かに結果がでないとプロジェクトは沈みます。企画は一本足打法ではなく、2発・3発と用意する。そこから熱量の高い場所を探すんです。だからマイルストーン的なものも実は置きたくないんです。

信頼できるパートナーが共創を加速させる

少なくとも株式を公開している企業にとって、成長は社会的な義務だ。一方、あるドメインで10年・20年の成長を単独で続けるのはやはり困難が伴う。投資や協業・共創の考え方はある意味で当たり前であり、だからこそのユニークさ、難しさがある。中馬氏は共創のきっかけに、ある一つの共通点があることを教えてくれた。

ーー失敗についてお聞きしてきたが、それも全て成功のための過程だ。これはという要諦はどこにある

中馬:共創相手に、この人だけは信頼できる、というパートナーを見出すこと。私もそのようなパートナーに出会えた時は、一気に距離を詰めて勝負に出るようにしています。

企業はそもそもどこも新規事業、成長へのチャレンジをやっているのです。周辺領域は当然調べているし、温度感はそれぞれあったとして、ドメインを跨いだ飛地への投資も手掛けています。つまり、再現性はほぼないに等しい。そういった中で、プロジェクトに対して予算や評価、リソースの配分をやるわけです。確かに難しいので、各方面から相談を受けることはありますね。

ーー確かに各企業の経営陣がしっかりとした経験者に投資をし、権限移譲した上で、その人たち同氏が繋がって波長が合えば、それは十分に新しい事業を生み出す可能性が見えてくる

中馬:かつてガラケーからスマホにパラダイムが変わった時は、インターネット上で新しいサービスが定義されるブルーオーシャンで、スタートアップの成長支援はシンプルでした。ただし、現在は違います。リアル社会がデジタル化されるトレンドのため、イニシアティブはリアルアセットを抱える大企業側です。要は大企業がアセットを開放することが成長には不可欠なのです。

ーー産業構造自体変えようとするには、より大きな舞台装置が必要になる

中馬:例えば「まちづくり」がテーマの場合、特定のゼネコンが特定のスタートアップを支援するだけでは十分ではなく、複数の大企業が業界を越えてアライアンスを組むことで、新事業でなく「新産業」と呼べるレベルまで昇華させることができるようになります。また複数の業界が混ざり合うことでこれまでになかった産業の隙間が生まれ、そこがスタートアップの新たなビジネスチャンスとなるわけです。

共創の課題

ということで中馬氏に話を伺いながら、新事業・新産業創造における共創のあり方や落とし穴について辿ってみた。複数の企業が手を取り合って大きなステージを作り、その上でスタートアップが新たなテクノロジーやアイデアで生まれたスペースを埋めることができれば理想的だ。実際、KDDIが取り組む事業共創プログラム「∞の翼」はその思想でプロジェクトが組まれている。

一方、国内で毎月のようにスタートアップとの協業は報道されるも、大きなインパクトを残すものは数少ない。この課題について中馬氏はプレーヤーの少なさを指摘をしていた。実は先月に開始された「MUGENLABO支援プログラム 2020」はその課題解決を考える過程から生まれている。

前述した理屈で言えば、このプログラムは大企業とスタートアップが対になったケースで、穿った見方をすればやや受託のマッチングのように見えなくもない。しかし、実際はこのような機会を提供することで、熱量の高い企業や人が可視化されれば、全体としてはプラスだ。

この10年で事業共創に関わる環境は大きく変化した。何もなかった時期と異なり、ノウハウや失敗の情報は手に入りやすくなっている。つまり、成功の確率は上がっている、ということだ。KDDIや連携する企業群が向こう5年でどのような成果を出してくるのか、国内のオープンイノベーション環境は次のステージに入った印象がある。

二人三脚でやればどんな問題でもなんとかなるーー隠れたキーマンを調べるお・グッドパッチ松岡氏

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編集部注:「隠れたキーマンを調べるお」は、国内スタートアップ界隈を影で支える「知る人ぞ知る」人物をインタビューする不定期連載。毎回おひとりずつ、East Venturesフェローの大柴貴紀氏がみつけた「影の立役者」の素顔に迫ります。シーズン2として2020年に再開 先日(6月30日)東証マザーズに上場を果たしたUI/UXデザイン領域の事業を手がけるグッドパッチ(Goodpatch)。創業から粛々と…

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グッドパッチ執行役員の松岡毅氏

編集部注:「隠れたキーマンを調べるお」は、国内スタートアップ界隈を影で支える「知る人ぞ知る」人物をインタビューする不定期連載。毎回おひとりずつ、East Venturesフェローの大柴貴紀氏がみつけた「影の立役者」の素顔に迫ります。シーズン2として2020年に再開

先日(6月30日)東証マザーズに上場を果たしたUI/UXデザイン領域の事業を手がけるグッドパッチ(Goodpatch)。創業から粛々と事業を拡大し、組織も大きくなっていきましたが、その過程で「組織崩壊」を経験し、そこから立て直しての上場ストーリーは多くの人の共感を生んだことでしょう。

今回は同社主力事業の執行役員である松岡毅氏をインタビューしました。松岡氏がグッドパッチに参画したのは「組織崩壊」真っ只中の2017年2月。松岡氏のこれまでのキャリアとともに、 グッドパッチの組織にどう向き合い、どのようにして立て直していったのか等のお話も伺いましたので、ぜひお読みいただければと思います!

「人と違うことがやりたい」、銀行内定を蹴って外資系コンサルへ

大柴:今日はよろしくお願いします。早速ですが、先日は上場、おめでとうございました!

松岡:ありがとうございます。

大柴:春くらいに土屋さん(グッドパッチ代表取締役社長の土屋尚史氏)に「御社の“隠れたキーマン”だれですか?良い人いませんか?」と聞いてたんですよ。「考えてみます!」って言われて数カ月経ちまして(笑。上場直前って知らなくて…それで、ようやく落ち着いたようで連絡もらいました

松岡:ありがとうございます。よろしくお願いします。

大柴:というわけで早速始めたいと思います。松岡さんは1973年生まれですかね?

松岡:そうです。土屋とちょうど10歳違います。

大柴:松岡さんのキャリアとしては、新卒で外資系コンサル企業に入られていますが、当時って「就職氷河期」と呼ばれるくらい就職が難しい時代、そして外資コンサルというのも就職先としてはあまり一般的ではなかったように思いますが

松岡:そうですね、一般的には就職は厳しかったと思います。ただ、自分は体育会で陸上ホッケーをやってまして、陸上ホッケー部のある某銀行の内定をもらっていたんです。でも「このまま就職するのは普通で嫌だな」という迷いもありました。

大柴:「普通」は嫌

松岡:そうです(笑。それで銀行の内定を蹴ってしまって、そこから再度就職活動したんですが、たまたまそこに外資系のコンサルティング会社があったという感じです。当時「コンサル会社」ってあまり知られていなくて、自分もあまり知らなかった。一般的じゃないし、面白そうかもと就職することに決めました。

大柴:「人と一緒は嫌」みたいな気質って小さい頃からだったんですか?

松岡:そうですね、成績は悪くなかったんですが、いわゆる優等生タイプとは違っていたと思います。レールの上を行くのが好きじゃないというか。父親がとても堅い人で「変わったことをやるようなのはダメなやつ」と言っていました。そういう父への反発もあったかもしれません。

大柴:なるほど。それでコンサルに入ったわけですが、どうでしたか?

松岡:それまでの甘い自分を叩き直されたような感じでした(笑。「人と違う」「レールに乗りたくない」なんて考えはどうしようもなく小さいことだったんだなと実感しました。世の中の厳しさを痛感しました。

大柴:一気に学生気分が抜けて、厳しいひとりの社会人になったわけですね

松岡:そうですね。研修も厳しくて。「段階制」なんですよ。研修のカリキュラムが段階制になっていて、一つずつクリアしないと先に進めない。一緒に入社した同期たちがどんどんクリアして先に進んでるのに、自分は全く進めない。国内研修をクリアすると今度はフロリダでの研修があるんですが、自分が渡米したのは9月でした。一番遅かった。

大柴:みんな一緒に研修して、みんな一緒に終わるという日本的なものではなく、いきなり個人の成果主義というか…。ちなみにどんな研修なんですか?

松岡:ロジカルシンキングを徹底的に身につける研修が多かったです。その他にはプログラミング。自分はコンピューターに触ったこともなかったので、それこそタイピングから(笑。あとは企業研究(リサーチ)ももちろんやりましたね。

大柴:それらの国内研修を終えてフロリダですか?英語って話せたんですか?

松岡:いやいや、全然話せません。辞書を片手に必死でした。そこでも3〜4カ月研修して、何とか終了したんですが、そこでなぜか「(ここに残って研修の)講師をやれ」って言われて、そのままアメリカに残ることになったんです。

大柴:え、なんでですかね?

松岡:いや、わからないですけど、世界中からやってくる新入社員の研修講師をやることになって。英語はヒアリングはまぁなんとなくできるようになってきたんですが、話せなくて、受講者とは筆談で会話しました。なんで講師に抜擢されたのかわからないんですよね…。

NAVER創業者から感じた経営者としての凄味

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大柴:その後、帰国してコンサル業務に

松岡:帰国後は情報システム部に配属されまして。社内のネットワーク構築とかそういう。「あれ、なんかやりたかったことと違うけど」と思ってしばらく過ごしてたんですが、他の部署の全く面識のない先輩から声がかかって、とあるプロジェクトにアサインされることになりました。今でも覚えてて、木曜日だったんですけど「来週から京都行ける?」って聞かれて、即答で「行けます!」って。

大柴:急なアサインですね(笑。京都ではどんな業務を?

松岡:データベースエンジニアのような業務を任されました。そのうち上流の、今で言う KPI を決めるような業務も行いました。数年がむしゃらに働いて出世もしていったんですが、会社を出ることにしました。「自分のやりたいこと」を考えたときに、ゲームなどのエンタメ業界で働きたいなって思ったんです。ファミコン世代なので、ゲーム業界への憧れがあった気がします。

大柴:僕ら世代、一度はゲーム会社で働きたいと思ったものです

松岡:それでゲーム会社に片っ端から履歴書を送ったんですけど、ことごとくダメで。全く取り合ってくれない。そんな折に唯一、孫泰蔵さんがやっていたゲーム会社の選考に通りまして、そこで働くことになったんです。給料は前職の半分、なんなら新卒の時の給料よりも安かった(笑。

大柴:外資コンサル、給料高そうですからね(笑。そのゲーム会社ではどんなことされてたんですか?

松岡:主に韓国のオンラインゲームを輸入して、日本向けにリリースするような仕事です。当時ウルティマが流行っていて、自分もプレイしてたんですけど、とにかく衝撃がすごかった。これは新しく生まれる産業だぞと。そして「もしかしたらオンラインゲームならば自分もゲームクリエイターになれるんじゃないか」と思ったんです。やはりゲームクリエイターは憧れですからね。

大柴:わかります

松岡:さらにステップアップしてみようと思い、NHN JAPANに転職しました。

大柴:松岡さんが入社されて数年後「LINE」が登場します

松岡:はい。LINEがリリースされてしばらくして森川さん(当時のNHN JAPAN代表取締役社長、現・C Channel代表取締役社長の森川亮氏)に呼ばれて「LINE 向けにゲーム作って」と指示を受けました。社内のクリエイターは長年オンラインゲームを扱ってきたんで、スマホ向けゲームはやりたがらなかったんです。それでやむをえず最近入社した中途採用のクリエイター3人と一緒に作りました。自分としてはスマホゲームやブラウザゲームをやりたかったんで良かったんですけどね。

大柴:一気にスマホ時代に突入する頃ですもんね

松岡:そうなんです。でもこれまで長年に渡ってPCメインのゲームをやってきた会社なんで、メンバーはやはりスマホゲームなどには抵抗感があったんですよ。NHN PlayArtとして再出発するに当たって執行役員になり「スタジオ」の一つを任されることになりました。作りたいゲームを自分の権限で作れるというのは夢でしたので嬉しかったんですが、一方で責任の重さも感じました。

大柴:執行役員になり、自分の「スタジオ」も持ちました。責任もそれに比例して大きく重くなります

松岡:そうですね。「新しいアプリゲームを作れ」というミッションがあったのですが、当時はPCやブラウザゲームしかやってなくて、収益もそこから得ていたんです。チームを存続させるには収益が絶対的に必要。でも会社からは「アプリだけやれ。他はやるな」と指示があって…。収支を保ちながら新規のアプリゲームに専念するというのは難しいオーダーだったんですけど、なんとか知恵を絞って成し遂げました。

大柴:すごい!

松岡:あの状況でアプリだけに絞るってのは、事業を任されてる身としては難しい判断だったんですが、会社として見た場合、その判断は正しかったなと思います。目の前のことより、将来の会社の利益を会社としては考えていて。「新しいことで成し遂げるには、古いものを捨てて、優先度が高い事業に集中しろ」「人と同じ考え方、同じスピードでは成し遂げられない」と教わりました。

大柴:確かに、その通りですね。その他に学んだことで思い出すことはありますか?

松岡:「人が見たこと、経験のないものを好き勝手作るのは簡単にできる。でも事業としてやるには収益が必要。事業として成り立たないものは意味がない」ということも学びましたね。今でも教訓として活かされています。

人生を賭けるものを模索していた時に出会った「デザイン思考」

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大柴:自分のチームを率いて、やりたかった仕事もできて、充実してたんじゃないですか?でもその後、NHNを離れますよね?そのあたりのいきさつを教えてください

松岡:チームの中では「自分が一番すごいゲームが作れる」という独りよがりな部分がありました。コンサル時代に叩き込まれた「ロジカルシンキング」はゲーム作りにも活かされていて、ロジックや数字からゲームを作っていました。それで一定の成功をおさめていた。自分のやり方に自信もあったし、正しいと思っていたんです。

大柴:なるほど

松岡:そんな時、チームにいた凄腕のエンジニア、イラストレーターたち数人がゲームの企画を作って持ってきたんです。正直すごく良くて、衝撃を受けました。それで彼らに「この部分をこれにした理由は?」みたいなことを聞いたんですが、「いや、それが良いかなと思って」という返答で。彼らはロジカルに理由を説明できなかった。でもすごい良いゲームに思えた。もしかしたら昔、自分が憧れていたゲームクリエイターもこうやって感覚で作っていたのかもなと思ったんですよ。これからはクリエイターを大事に、中心に据えたゲーム作りの時代になっていくのかもなと。

大柴:時代の変化を感じた?

松岡:そういう変化も起こるかもな、くらいですかね。でも転職の一つのきっかけにはなったかもしれません。これまで培ってきたゲーム作りの考え方、方程式を別の領域でも試せないのかな?と思って離れることにしました。1年半くらい模索をしてたんですが、そんな時に土屋と出会いました。土屋からグッドパッチが実践している「デザイン思考」についてプレゼンされた時「これだ!」と思ったんです。考え方が欧米のゲームスタジオの考え方と同じだったんです。ずっと探していた「これまでの経験を活かせる別の事業」が見つかった瞬間でした。

大柴:運命の出会い!

松岡:土屋と話しをして、デザインという事業を大きくしたいと思いました。一大産業にしたいと。ゲーム産業も昔は小さなものでした。でも今はとても大きい産業になってる。デザインという領域も同じように大きくなれるんじゃないかと思ったんです。自分はそれに40代を賭けよう、人生を賭けようと決めました。

二人三脚でやればどんな問題でもなんとかなる

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大柴:松岡さんがグッドパッチに入社されたのが2017年2月。その頃って「組織崩壊」の時期ですよね

松岡:そうですね。入社前に土屋から「組織が崩壊している」といった話をされました。とても正直に事実を教えてくれました。

大柴:それを聞いてどうでしたか?

松岡:特に何も思わないというか、なんとでもなるなと感じました。入社前に土屋と何度も話をして、とても信頼できる人だなって感じましたし、彼と二人三脚でやればどんな問題でもなんとかなるって自信がありました。

大柴:当時の土屋さんってどんな印象でしたか?難しい問題に直面してたと思うんですが

松岡:そうですね、かなり辛そうに見えました。でも彼は逃げないって決めてたんです。逃げないって決めたので、あとはどういう手をどういう優先順位で打っていこうか。そういう状況だったと思います。辛そうではありましたが、真摯に向き合って、前進していこうという気持ちが見えました。

大柴:なるほど

松岡:入社前に土屋とミーティングした時に、メンバー一人一人の説明を受けたんです。一般的には定量的な評価で伝えると思うんですけど、その時土屋はメンバー一人一人を愛情溢れる言葉で紹介したんです。それぞれのバックグラウンドや「こういう夢を彼は持っている」といったことなどを丁寧に説明してくれました。とても素朴で優しく、正直な人だなって改めて感じました。それに、作り手に寄り添ってくれる人だなって。この説明で会社のことやチームメンバーのことをより深く理解することができました。

大柴:実際に入社した後のお話を聞かせてください。そうは言っても組織は崩壊してたと思うんですが、松岡さんはどうやって立ち直していったのでしょうか?

松岡:特に変わったことをしたわけじゃなく、「なるべく一緒に現場仕事をする」というのをしました。自分のチームだけでなく、隣のチームなどにも関わったりもしました。関わる人を増やし、一緒に働き、汗を流し、みんなのことを理解する。そこから始めました。一緒に現場仕事をするにしても、上から物を言うのではなく、聞かれたら答えるくらい。でも問題が起きてしまった案件は率先して自分が後の対応をしましたし、何があっても責任は自分が取る。そういう行動がチームの状況を上向かせたような気がしています。

大柴:なるほどです。ちょっと話が変わってしまうかもしれませんが、 Goodpatch Blog で「Design Div. ではマネージャーのみが予算達成の責任を負っている。デザイナーは売上や稼働率で評価しない」と書かれているのを読んだのですが

松岡:そうですね、はい。

大柴:僕もかつてデザイナーの評価に苦慮したことがあって、どうしても定量評価したいので、なんらかの数値(売上やユーザー数など)から定量目標を決めて評価してたんです。でもあまり上手くいかなかった思い出があって。グッドパッチではデザイナーにそういった定量目標を置いてないということなので、では何を軸に評価してるのか気になったんです

松岡:定量化できないものを定量化するのはナンセンスだなと昔から考えていて、普段からコミュニケーションが正しく行われていたら定量目標がなくても適切な評価はできると思っています。評価者と被評価者の 1 on 1で評価者は適切なフィードバックをする。 1 on 1で二人が信頼関係を築き、正しいコミュニケーションが取れていれば、最終的な評価の段階でもお互いに納得ある評価を出せると思います。普段から被評価者には「伝える力をつけろ」と、評価者には「見る力を養え」と伝えています。

大柴:なるほど。では、理想的な状態というのは、例えば評価が4だったとしたら、評価面談の際にお互いが何も言わなくても「4だよね」ってなる感じですかね

松岡:そうです。でもまだ理想には遠いので今後精度を上げていければと思っています。

上場、偉大なチーム

大柴:すみません、長くなってしまいました…。最後にバラバラと質問したいと思います。「偉大なプロダクトは偉大なチームから生まれる」とWebサイトにもありますが「ここが偉大なチームだな」って思うとこはどこですか?

松岡:そうですね、ビジョン、ミッションへの共感の高さですかね。すごいと思います。一人一人が語れると思います。

大柴:チームの課題ってありますか?

松岡:自分のチーム( Design Div. )であげると、このままいくと成功体験に固執して抜け出せない危険性があるなと強く感じています。やはり常に我々は変化し続けなければいけないので、過去の成功に固執しててはダメです。その辺が課題だと思います。

大柴:土屋さんについてもお聞きしたいと思います。最初に会った頃は「素朴、正直、素直」という印象だったと思いますが、上場に向けて、また上場して変化した部分ありますか?

松岡:基本的な部分は全く変わらず、昔も今も愛を持ってみんなと接し、苦しいことにも向き合い続ける人です。経営者としてはやっぱり成長してるなと感じます。自分が言うのもアレですが(笑。

大柴:ありがとうございます(笑。最後に、松岡さんにとって上場をどのように捉えていますか?

松岡:デザインを一大産業にしたい、メジャーな産業にしたいと思っているので、上場はマストであり、通過点だと考えています。この領域のトップランナーであり続けるためには上場して社会的責任を持っていかないといけないと思っています。誰もがデザイン、UI / UX と言えば真っ先にグッドパッチを想起するような存在になりたいですし、グッドパッチがいるからこそデザイン産業というのもがメジャーなものになった。そういう存在になりたいです。デザインの力を証明するために今後も突き進んでいきたいですね。

ライフネット共同創業者の岩瀬大輔氏、Spiral Capitalに参画

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Spiral Capital は13日、ライフネット生命保険(東証:7157)の共同創業者として知られる岩瀬大輔氏が同ファンドに参画すると発表する。岩瀬氏はマネージングパートナーとして、グループ全体(ファンドを運用する Spiral Capital や、オープンイノベーションに特化した子会社 Spiral Innovation Partners)の経営に携わる。Spiral Capital の経営…

左から:Spiral Capital 代表パートナーの奥野友和氏、マネージングパートナーとして参画する岩瀬大輔氏、会長の平野正雄氏
Image credit: Spiral Capital

Spiral Capital は13日、ライフネット生命保険(東証:7157)の共同創業者として知られる岩瀬大輔氏が同ファンドに参画すると発表する。岩瀬氏はマネージングパートナーとして、グループ全体(ファンドを運用する Spiral Capital や、オープンイノベーションに特化した子会社 Spiral Innovation Partners)の経営に携わる。Spiral Capital の経営は、代表パートナーの奥野友和氏、会長の平野正雄氏、岩瀬氏の3人体制となる。

岩瀬氏らが2006年に共同創業(開業は2008年)したライフネット生命保険は、2012年に東証マザーズに上場。副社長を経て2013年に代表取締役社長に就任した。2018年に同社社長退任後は、AIG グループ傘下で香港に拠点を置く保険大手 AIA グループ(香港証取:1299)に招聘され、本社経営会議メンバー兼グループ最高デジタル責任者(CDO)を務めていた。AIA 退任後は、香港を拠点にフィンテックやヘルステック特化にした Tiger Gate Capital を設立。また、ベネッセホールディングス(東証:9783)や YCP Holdings 社外取締役等も務めている。

BRIDGE は、岩瀬氏に今回 Spiral Capital 参画した背景や今後の展望について話を聞くことができた。


岩瀬氏は自らベンチャーを立ち上げ、イグジット後は、海外に拠点を移し大企業のデジタル改革に身を置いた。その背景には、仕事を通じて、日本の産業変革を促したいという思いがあったという。ライフネット生命保険もまさに、日本の生命保険を産業変革にチャレンジするという試みだった。

以前のインタビューで代表パートナーの奥野氏も語っているように、Spiral Capital もまた、X-Tech やリアルテックとスタートアップの協業支援にも注力してきた。昨年には、伝統的かつ〝渋め〟の大手企業を巻き込む取り組みの一環として、GCA Technovation と「Innovation Alliance Hub」を立ち上げている

スタートアップへの投資活動を通じて、日本の産業改革をなし得たいというのが、岩瀬氏と Spiral Capital を繋いだ共通の思いだったと言える。

いくつかエンジェル投資も行っているが、(VC に参画することを決めたのは)日本が大きく変わる産業変革には、大企業や大きな資本との連携が必要と考えたから。(岩瀬氏)

Spiral Capital には経験豊富なメンバーが揃っていて、大企業のマネジメント層につながるパスを持っているのは強み。そこに岩瀬氏が加わることになる。ベンチャーと大企業をつないで産業構造の変革を促していこうというのは、Spiral Capital を立ち上げた理由の一つでもある。(奥野氏)

奥野氏と岩瀬氏は、同じレストラン(ワインバー)が行きつけだったり、通っているジムが同じだったりしたことから、以前から交流はあったのだそうだ。仕事での接点はほぼ無かったものの、機会があれば一緒に仕事したいとの思いから、奥野氏が岩瀬氏にアプローチを続けていた。岩瀬氏が8月8日に AIA グループの CDO 退任したのを受け、念願かなって、偶然にも同じ歳の二人は肩を並べ仕事をすることになる。

Spiral Capital での活動は日本においてが中心になるが、香港にもフィンテック・ヘルステックのスタートアップを支援する拠点を置いているので、東京と香港を往来することになるだろう。(中略)

新しい仕事を選ぶ時には、1. いい仲間と時間を過ごしたい、2. 自分にしかできない仕事にチャレンジしたい、3. 社会に足跡を残せる仕事をしたい、という視点で考えてきた。Spiral Capital には素晴らしい仲間がいて、また、大企業とベンチャー、日本と海外を橋渡しできる自分の強みを生かせると考えた。(岩瀬氏)

ハーバード大学経営大学院を Baker Scholar で修了(成績上位5%の生徒に与えられるタイトル、日本人で4人目)し、2010年には世界経済フォーラム(ダボス会議)の「Young Global Leader」に選出されるなど、以前から世界の経済界ともパイプが太い岩瀬氏。今のところ、Spiral Capital に2つあるファンドはいずれも国内スタートアップへの投資を想定したものだが、岩瀬氏が持つ幅広なネットワークを活用して、Spiral Capital が日本のスタートアップのグローバル展開やグローバルな投資活動に積極的に関わっていく可能性に期待したいところだ。

IVS、今日から初のオンライン開催——名実ともに運営責任者となった島川氏に聞いた舞台裏と意気込み

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本稿は、Infinity Ventures Summit 2020 の取材の一部である。 Infinity Ventures Summit(IVS)は7月30日と31日、新型コロナウイルス感染対策として、同イベントをオンラインで開催する。2004年に始まった ILS の前身とされる New Industry Leaders Summit(NILS、当時は CNET Japan などの主催)からカウ…

島川敏明氏
Image credit: Infinity Ventures Summit

本稿は、Infinity Ventures Summit 2020 の取材の一部である。

Infinity Ventures Summit(IVS)は7月30日と31日、新型コロナウイルス感染対策として、同イベントをオンラインで開催する。2004年に始まった ILS の前身とされる New Industry Leaders Summit(NILS、当時は CNET Japan などの主催)からカウントすると、同イベント16年に及ぶ歴史上、初のオンライン開催だ。

IVS はその名の通り、長きにわたりベンチャーキャピタルである Infinity Venture Partners(IVP)が主催する年2回のイベントとして運営されてきたが、昨年7月に神戸で開催された Infinity Ventures Summit 2019 Summer から運営が IVP の若手チームにバトンタッチされ、今年2月には新会社インフィニティベンチャーズサミットが設立され運営が引き継がれた。

今回開催される IVS は、運営チームにとって名実共に IVP から独立して初めての回となるが、図らずして新型コロナウイルスの影響からオンライン開催を余儀なくされ、準備を進める上で、以前のリアル開催の頃の体験、または、それ以上の体験を参加者にどのように届けるかは、新チームにとって大きな苦悩と挑戦の連続となった。

新会社の代表取締役であり、イベントの運営責任者を務める島川敏明氏に、今回の IVS の舞台裏と意気込みを聞いた。

テックカンファレンスの変遷と代替わり

2017年冬、金沢県立音楽堂で開催された IVS。冒頭のパイプオルガンの演奏が幻想的だった。
Image credit: Masaru Ikeda

世界中のテックカンファレンスに目をやると、その多くは TechCrunch Disrupt のようなメディアが運営するものや、WebSummit のような独立系のカンファレンス運営会社によるものが多い。IVS や B Dash Camp のように VC がカンファレンスを運営しているケースは稀だと、海外のスタートアップ関係者から言われたのを思い出す。

もっとも海外でも、VC が自社のプレゼンス向上や投資先スタートアップ(ポートフォリオ)の露出を意図してプロモーションイベントやデモデイを開くことはよくあるが、前出の IVS や B Dash Camp などは、それぞれ IVP や B Dash Ventures 以外の VC や投資先以外のスタートアップも登壇したり、ピッチへの参加を招聘されたりする点で、もはや VC イベントという領域を超えたと言える。

そういう点で IVS が新会社による運営に移行したことにも大きな意味がある。もはや VC 一社のイベントではなく、スタートアップエコシステムを構成する一要素として独立した存在となったからだ。それと同時に、イベント運営にも完全なる独立採算が求められる。新体制の IVS は、新型コロナという痛手を伴う船出を余儀なくされた。

昨年の夏の神戸の回では、Infinity Venture Partners のプリンシパルの立場で運営に参加した。登壇者も、若手の起業家に話してもらうことにフォーカスした。「新しい風が吹いて良かった」という反響を多くもらえたのはありがたい。

しかし、運営を任されたのが開催の直前だったこともあり、チームメンバーも足りておらず、正直なところ、やりきれなかったこともいろいろあった。それらを改善し、いろいろ整えて次へ繋げようと準備を進めている矢先だった。(島川氏)

今夏の IVS はもともと京都市内のホテルで開催される予定で、メイン会場やパーティー会場などの準備も着々と進められていた。しかし、今年3月くらいになって、新型コロナ感染拡大で大規模イベントの開催が難しくなり、IVS にも決断が迫られた。会場との延期交渉やキャンセルフィーの発生、イベントの演出スタッフへの補償など、新会社にとっては初回開始前から財務面だけでもマイナスを強いられたわけだ。

しかし、悪いことばかりではない。新しくなった IVS にはメリットも多く期待できると島川氏は言う。

まず、IVS を新会社運営にしたのは、(赤字にならずに)ケツを持って回していけるほど、いいコンテンツを作っていきますよ、という我々の決意の表れ。そして、独立して法人化した組織でやった方が自由度が高いこともわかった。これは会社を登記した時に意図していたことではないが、実際に新体制で動いてみて感じられるようになったことだ。(島川氏)

改めて見直される IVS の価値と意義

昨年7月に神戸で開催された Infinity Ventures Summit 2019 Summer の「LAUNCHPAD」
Image credit: Masaru Ikeda

IVS がオンライン開催となるのは今回だけでなく、新型コロナが収束しなければ、次回以降もリアルでの開催は難しいかもしれない。IVS が完全にオンライン化してしまう可能性も考えられる。島川氏はこの状況に際し、IVS が提供できる価値と意義とは何かを改めて見直す好機となったという。

IVS とは、質の担保された発見、質の担保された出会い、質の担保された学びを提供する場。こういった価値や意義は、オンラインでも届けられるのではないか。オンラインに振り切るとすれば、IVS はイベントというよりもオンラインサロンに近い存在になるだろう。そのコミュニティを作っていくことにも注力していきたい。

大きなカンファレンスでは、ある回が開催されて、次の回が開催されるまでは参加者同士が疎遠になってしまいがち。でも、オンラインサロンを中・小規模で開き続ければ、そこで常に皆が繋がりディスカッションが生まれる状態を作り出せる。そうして学んだ結果を持ち寄って、年に2回大きめのカンファレンスをオンライン開催する、という形も考えられる。(島川氏)

リアルカンファレンスのオンラインサロン化が吉と出るか凶と出るかは、世界の事例を見てもまだ参考になる答えが無い。カンファレンスのコンテンツの一形態であるパネルディスカッションやスピーチ、スタートアップイベント特有のピッチセッションなどはオンラインでの代替は比較的容易だが、他方、筆者も拙稿で頻繁に述べている「偶然の出会い」、いわゆるセレンディピティを創出するのがオンラインでは難しい。

島川氏によれば、IVS ではこの課題を解決するために3つの方法を準備しているという。

  1. 部屋ごとにファシリテータとテーマを設定。「○○の部屋」のような名前で、複数の Zoom 飲み会を複数(しかも数多く)用意する。
  2. ビデオ会議ツール「Remo」を使ったオープンネットワーキングを実施。Remo のファウンダーが IVS に協力してくれているそう。Remo では最大800人まで同時に入室できるが、その場合、参加者の混乱を防ぐために部屋のもう一つ上層に「フロア」という概念が必要になる。フロア毎に意味を持たせることを検討中。例えば、あるフロアは投資家や VC が集まる資金調達の話を聞くフロアとし、テーブル毎に VC に集まってもらい、資金調達中のスタートアップが訪れるイメージ。また、自身のセッションが終わった登壇者が Remo のテーブルに移動し、聴衆とフランクに話ができるような体験も提供する(30日には、Remo の CEO Ho Yin Cheung 氏が登壇するセッションもある)。
  3. Slack を導入し、IVS 専用のワークスペースを設定。Slack の全面サポートのもと、各セッション毎に語り会える部屋を設定する(30日には、Slack Japan 事業開発ディレクター水嶋ディノ氏が登壇するセッションもある)。

スタートアップがピッチ登壇する「LAUNCHPAD」も IVS の見所の一つだが、評価の高かったチームだけが登壇を許されるため狭き門でもある。今回はオンライン開催であるため、より多くのスタートアップを応援するスキームを用意するという観点から、IVS に協力する VC 各社から推薦を受けたスタートアップも多数 IVS に無料招待しているとのこと。例えば、AI スタートアップ5社に、AI のビジネスでイグジットを果たした先輩経営者からメンタリングを受けられるような機会を計画しているそうだ。

オンラインならではの同時多発セッション開催

参加者宅に届けられた「IVS ケアパッケージ」。オンラインでもリアルの体験ができるよう、ネットワーキングの際に使えるビールやおつまみなどもセットされている。快適な体験を届けるため、登壇者にはリングライトも進呈されるらしい。
Image credit: Masaru Ikeda

リアルのカンファレンスであれば、会場のキャパシティの制約から同時に開催できるセッションの数は限られる。IVS がこれまでに開催してきたセッション数は、昨年の神戸で開催された Infinity Ventures Summit 2019 Summer での28セッションが最大だったが、オンラインでは物理的な制約が無くなるため、これを60セッションまで拡大する。登壇者も総勢250人以上に達した。参加者は会場の移動に伴う煩わしさが無いので、気になるセッションをハシゴすることもできるし、端末環境次第で複数セッションに同時参加することも可能だろう。

現在、日本では新型コロナ感染抑止の観点から外国人の入国は制限されているが、オンラインであればそういった制約も受けないため、海外からの参加者も普段より多く集まることが期待できる。リアルの場合、遠方すぎて参加を断念していた人、他のイベントとスケジュールが重なり参加を断念していた人にもハードルが下がることになる。

事実上おそらく初めてに近い、日本での大型カンファレンスのオンライン開催。何かと不便を強いられる「ニューノーマル(新常態)」を味方につけようとする島川氏らの挑戦は、スタートアップコミュニティにとって吉と出るか凶と出るか。今日から始まるスタートアップカンファレンスの新たなスタンダード体験を楽しみにしている。

井口尊仁氏インタビュー:オーディオソーシャル参入から4年、さらに進化を遂げた「Dabel」はユーザ10万人達成を目指し爆走中

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井口尊仁氏が手掛けてきたプロダクトやサービスは、すでに終了したものも含めるとかなりの数になるため、それらを最初から遡ることはしないが、この4年間、彼は声を使ったサービス、オーディオソーシャルという領域にフォーカスしてきた。2016年の「baby(ベイビー)」を皮切りに、翌年にはそれの進化系「Ball(ボール)」が誕生。さらにピボットを重ね、アメリカで「Dabel(ダベル)」をローンチしたのは昨年1…

井口尊仁氏。井口氏自宅近くの京都・法然院にて。
Image credit: Masaru Ikeda

井口尊仁氏が手掛けてきたプロダクトやサービスは、すでに終了したものも含めるとかなりの数になるため、それらを最初から遡ることはしないが、この4年間、彼は声を使ったサービス、オーディオソーシャルという領域にフォーカスしてきた。2016年の「baby(ベイビー)」を皮切りに、翌年にはそれの進化系「Ball(ボール)」が誕生。さらにピボットを重ね、アメリカで「Dabel(ダベル)」をローンチしたのは昨年1月末のことだ(当初の名前は「ear.ly(イアーリー)」。

以前からサンフランシスコと京都の2つの都市を拠点に活動するデュアラーである井口氏だが、新型コロナウイルスの拡大以降は海外渡航の手段が閉ざされ、ほぼ京都に留まっての活動を余儀なくされている。ただ、それが Dabel にとって向かい風かと思いきや、むしろ成長は堅調の様子。ローンチから1年半を経て、現在、100日以内にユーザ数10万人達成キャンペーンの真っ最中だ。Dabel の何がそんなに人を惹きつけるのか。先週、大阪に帰省していた筆者は、井口氏を京都に訪ね話を聞いた。

新しい友人(ニューフレンド)を発見するツールとしてのオーディオソーシャル

「Dabel」
Image credit: Doki Doki

Dabel を形容するのに最適な言葉を見つけるのは難しい。言うまでもなく、そのアプリ名は日本語の「駄弁る」という言葉に由来するが、井口氏自身は「井戸端会議のためのアプリ」と紹介していて、筆者にとっては誰もが「DJ になって、AM ラジオのトーク番組ができるアプリ」といった印象を受ける。「Voicy」や「Radiotalk」や「stand.fm」に一見似ているが、番組ホストが承認すればリスナーがトークに参加し掛け合いができる。

アメリカで人気に火がつき始めたのは、昨年5月くらいから。視覚障害者用コミュニティサイト「AppleVis」が取り上げてくれたのがきっかけだ。そこで6月くらいからボイスオーバー機能(視覚障害者用のアシスト機能で、iOS アプリ内のメニューやボタン、画面上のテキストなどをタップすると読み上げてくれる機能)に力を入れたところ、彼らがニューフレンドを見つけるためのツールとして積極的に使ってくれるようになった。

日本では今年3月に入り、MIKKE の井上拓美氏が始めた「オ茶(お茶に誘う感覚で実際お茶しながら語り合うオンラインミートアップ)」や、アパレルメーカー「オールユアーズ」の木村昌史氏といった人たちが使い始めてくれて、そこから流行り始めた。日本人ユーザに特徴的なのは、多動的でとんがった人が多いこと。エネルギーがあって発散する場所を求めてきた人たちなので、コンテンツが面白い。タイムシフトでも聴けるが、リスナーの9割はライブで参加している。(井口氏)

そして、これこそがオーディオソーシャルの最大のメリットだろうが、Dabel は話すホスト側も、聴くリスナー側も AirPods を使うことが推奨されているが、そうすることで、ほぼ場所を選ばずに番組を配信・聴取することができる。YouTuber のように映像を撮るためにスマホを三脚にセットしたり、自撮り棒を構えたりする必要も無い。実際に筆者の友人は、Dabel を使って物理的に異なる場所から女友達3人で午後のティートークを繰り広げ、別の機会には寿司屋のカウンターから握りを食べながら番組を放送していた。

個人的な意見ではあるが、音質がよく臨場感に富んでいるのは Dabel の特徴の一つだと思う。前出の彼女が板前とやりとりしている音声は、あたかもリスナーである自分も寿司屋のカウンターに同席しているような錯覚さえ覚えた。さほど大きな声を出さなくていいので周囲に迷惑もかけにくいし、音声のディレイが最小化されていることから、ホストがリスナーの参加を許可した際の音声による掛け合いもストレスなく楽しむことができる。

新型コロナウイルスが明らかにした残酷な真実

筆者が最近好んで話すことの一つに、「新型コロナウイルスで失われたものは、セレンディピティかもしれない」というくだりがある。テックカンファレンスの多くがオンライン化されるなか、話したい相手を特定してコミュニケーションするのとは対照的に、たまたまパーティーで出会った誰かと親密な関係を築くことになるかもしれない「偶然の出会い」はオンラインでの再現が難しい。我々の現在の人間関係の多くは偶然の賜物であり、テックコミュニティの醸成にそうした不確実さが不可欠であることは、Paul Graham 氏も説いている。

しかし、ここで新たな気付きが得られる。Dabel はそんな現在の世の中に一筋の光明を与えてくれるかもしれない。

Dabel をやっていて、世界中でパンデミックが起きて、そうして明らかになった残酷な真実がある。

パンデミック以前、我々は知り合い、家族、友人、パートナーとよく雑談していた。でも、パンデミックで会えなくなった。そして、人々は Dabel を使ってニューフレンドを見つけるようになった。ここでわかったことは「結局、雑談の相手は誰でもよかった」ということ。(井口氏)

元来、コミュニティは人が自分が身を置く物理的環境に依存していることが多かった。インターネットやモバイルの出現により、この物理的制約はある程度取り除かれていたが、新型コロナの感染拡大により移動の自由が奪われたことが拍車をかけ、人々は自分が話したいと思う相手と話をし始めたのだ。その相手は会ったことがない人かもしれないし、地球の真裏に住んでいる人かもしれない。物理的環境や既存の人間関係に依存せず、共通の関心事を頼りに語りあう体験は、5月にβローンチした「Talkstand」にも似ている。

世界が追いついてきた「オーディオソーシャル」のトレンドと課題

今年2月、京都 MTRL で開催された「Ten Thousand Eight Hundred Forty One」ローンチイベントで話す井口氏
Image credit: Masahiro Noguchi

今年5月、シリコンバレーに本拠を置きオーディオソーシャルアプリを開発するスタートアップ Clubhouse は、創業から2ヶ月にして1億米ドルのバリュエーションをつけ、シリーズ A ラウンドで Andreesen Horowitz から1,000万米ドルを調達した。Clubhouse は今、シリコンバレーで最も勢いのあるスタートアップと言える。この出来事はオーディオソーシャルが一定の評価を市場から得た快挙と言え、おそらく遠くない将来、資金調達を実施する Doki Doki(Dabel を運営する井口氏のスタートアップ)にとっても追い風になるだろう(ちなみに、Doki Doki は2016年初め、Skyland Ventures、サイバーエージェント・ベンチャーズ、梅田スタートアップファンドから4,000万円、2017年2月、プレシードラウンドで京都大学イノベーションキャピタルから5,000万円を調達)。

もっとも、オーディオソーシャルは新しい分野だけに良いことづくめではない。先頃アメリカでは、ベンチャーキャピタリストらが Clubhouse 上で交わしたクローズドな議論で「シリコンバレーのジャーナリストらが力を持ち過ぎている」と批判した内容が外部流出し波紋を呼んでいる。部屋の隅っこでのヒソヒソ話が、テクノロジーを介したことで公衆の面前に晒されるリスクは常に付きまとう。くだんの応酬は女性差別や人種問題などにも及んでおり、先行きは不透明だ。井口氏もまた、Clubhouse での一件を〝他山の石〟と捉えている。

オーディオソーシャルは、intimate な(親密性の高い)メディア形態。エモーションとかパッションとかを載せやすい反面、俗人的な情報など共有するとセンシティブな内容を含みやすいことも事実。これは諸刃の刃で、Clubhouse の今回のケースは、悪い方のパターンが出てしまったケースだ。

Dabel では、ban console(規約違反を冒したユーザの排除管理)なども機能改善しているが、それでも今後、炎上案件は出てくる可能性はある。でも、一概に悪いことばかりではない。新しいメディアだから炎上するリスクは常にあるけれど、Dabel は安全安心なプラットフォームを目指して攻めに転じ、ここからスケールアウトしたい。(井口氏)

現在4万人いる Dabel ユーザのうち女性は約3割、また全体の67%をアメリカ人、10%を日本人が占めているなど、日本のスタートアップが作り上げたサービスとしてはダイバーシティに富んだデモグラフィックを誇る。アプリ上で会話に参加した人ののべ参加回数は55万回、また、アプリでの1回あたりの平均滞留時間も57分程度と Facebook のそれよりもはるかに長い。

ユーザエンゲージメント力の高さから注目を集めるオーディオソーシャル。井口氏は、この新しい分野をグローバルに席巻したいと意気込みに力を込めた。

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