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Interview

3600社利用、オフィスとリモートを融合させるACALLが5億円調達ーーその手法を聞いた

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ニュースサマリ:ワークスペース管理サービスを提供するACALLは6月29日、第三者割当増資の実施を公表する。ラウンドはシリーズAで、引き受けたのはジャフコとDBJキャピタル。増資した資金は5億円で、これまでにジェネシア・ベンチャーズとみずほキャピタルが出資した2018年4月のラウンドでの調達額(1億円)と合わせ、累計で7億円を調達している。 同社の創業は2010年。オフィスへの来客対応を管理する「…

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Image Credit : ACALL

ュースサマリ:ワークスペース管理サービスを提供するACALLは6月29日、第三者割当増資の実施を公表する。ラウンドはシリーズAで、引き受けたのはジャフコとDBJキャピタル。増資した資金は5億円で、これまでにジェネシア・ベンチャーズとみずほキャピタルが出資した2018年4月のラウンドでの調達額(1億円)と合わせ、累計で7億円を調達している。

同社の創業は2010年。オフィスへの来客対応を管理する「ACALL」を2016年に公開し、2018年3末時点で630社が導入。その後に改良を続け、会議室や入退室のチェックインと連動した総合的なワークスペース・マネジメントサービスとして拡大し、現在、エンタープライズや不動産事業者など3600社が導入している。

また、同社では新たにリモートワークでのチェックインにも対応した「ACALL WORK(β版)」の提供開始も伝えている。在宅で働く人が業務開始と終了時にチェックイン・チェックアウトできるアプリで、業務に関する情報を集めた情報基盤「WorkstyleOS」と合わせることで在宅勤務を含めた従業員の業務管理ができる。また、感染症拡大の状況をふまえ、当面の間は同サービスについては無償提供とする。

話題のポイント:国内における企業のチェックイン(受付管理)クラウドサービスは「RECEPTIONIST」と「ACALL」がここ数年成長著しいものになっています。両社共に3000社を超える導入実績があり、サービス開始も2016年からと同時期です。

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ACALLが提供するワークスペース管理ソリューション

ACALL代表取締役の⻑沼⻫寿さんの話によると、グローバルでのこの領域はワークスペースのデータをカバーするソフトウェアとして、IWMS(Integrated Workplace Management System)という市場があるそうです。プレーヤーもIBM、Oracle、SAPなどの欧米のエンタープライズ巨人が中心で、2019年では2,400億円規模の市場が、2024年には5,000億円になると予測されているというお話(※)でした。※Markets and Markets社の調査レポートより

これらは「オフィス」が前提のサービスではあるのですが、ACALLでは早くからフルリモート・フルフレックスを推進するなど、働く場所についての概念を自ら実践して拡張してきた経緯があります。

感染症拡大に伴って需要が一気に顕在化してきた「在宅」の扱い方はどうすべきなのか、サービス提供者として、また、実践してきたチームとして⻑沼さんに課題や考え方などを伺いました(太字の質問は全て筆者、回答は長沼さん)。

感染症拡大対策として企業がリモートワーク推奨にするなどの施策を公表していますが、長沼さんが感じる課題は

オフィスワークとリモートワークそれぞれの有効性について客観的な視点で評価し、それぞれの企業、個人にとって最適なワークスタイルを合理的に見出しづらい状況にあることではないでしょうか。

Zoom等のおかげで、想定よりビデオ会議を円滑に運用できることがわかり、オフィスワーカーを中心にテクノロジーの価値を享受できています。企業によっては思い切ってオフィスを閉鎖し、完全フルリモートでフレキシブルな体制を構築しているところも出てきてますよね。

一方、個人の目線では「オフィスに行く意味が見いだせないが、会社から出社を要求されている」とか、「自宅に書斎がないので集中できない。以前のようにオフィス主体で仕事をしたい」、「近隣のシェアオフィスをオフィス代わりに利用したい」といったそれぞれの意見が出ています。また企業にも迷いがあって、オフィスを完全に閉鎖してもいいのか、オフィスはどの程度縮小するのが適切なのか、ソーシャルディスタンスのためにむしろオフィス増床が必要ではないのか、など頭を悩ませている状況を耳にしています。

確かにこういった議論するコストが高すぎる、という意見もあるようです

ワークスペースの多様化によって起こるこれらの不透明感は、場所に関連づけられたワークデータの蓄積が乏しいことが要因です。そのスペースではたらくことがワーカーにとっても企業にとっても最適なのかどうか客観的な評価が難しいのですね。

例えば場所に関連付けられた広範なデータを取得できれば「あの場所はこういう仕事をするときは向いている」といったチーム間でのシェアも可能となり、働くことをより積極的で楽しいものに体験価値として高めていくことも可能になります。

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ACALL代表取締役の⻑沼⻫寿さん(筆者撮影・2018年4月)

では企業は何から取り組むべきでしょうか

完全に新型コロナが終息するためには、ワクチンの普及期間を考慮すると18カ月程度のスパンを見ておく必要があると言われています。私たちはこの期間を社会全体にとって次の新しいワークスタイルに移行するための実証実験期間と捉えたいと考えていますが、実証実験のためには、その試みが有意であるかどうかを検証するためのデータが必要になります。

新しいワークスタイルを考える上で、まず検証すべきデータは生産性です。

生産性の定義は、「インプット量(人数×時間)に対するアウトプット成果」を指します。どこでも働ける場を実現するためには、その場がどのように貢献しているのか、場所×時間×成果の軸で測定していく必要があります。

これらの測定データをもとに、その時間はどの場所で働くことが最も合理的なのか判断することができれば、個人はより多様なワークスタイルを積極的にデザインするでしょうし、生産性という共通言語をもとに、企業としてもワーカーが自由にはたらく世界を後押しする立場として、ベクトルを合わせる動機になります。

確かにこの職種であれば在宅でも十分に生産性が上がる、ということが定量化されれば、経営者としては判断しやすいです。一方で変数が多すぎてどこから手を付けるべきか難しいポイントです。最近ではSlackのコミュニケーションを分析する人も増えていますがそれだけで全体像はわからないですよね

はい、既存のソフトウェアサービスを活用することで生産性の可視化に対応できればそれに越したことはありません。例えば、グループウェアならびに勤怠管理アプリケーションやビジネスコミュニケーションプラットフォームは新しいワークスタイルを支える情報基盤として確立されている重要なインフラです。ただ、これらは物理的なワークスペースを変数として保持することを目的に作られているわけではなく、リアルの空間とインターネット空間のデータがつながっていることが重要なポイントになると思います。

つまり、既存のオンラインインフラと物理的なオフィスを繋ぐことが必要

更に言えば、ワークスペース対象はオフィスに限らず、シェアオフィスやサテライトオフィスなどの中間オフィス、自宅などのプライベートスペースもあります。また、オフィスに焦点を当てると、執務室、会議室、空調、照明、デスク、チェア、コピー機などさまざまな要素がありますが、これらは基本的にデータ化されていません。こういった要素を横断的に共有していくことで、あたかも仮想的なオフィス空間が展開されているかのように考えることが必要なのです。

一方でこういった過度のデータ化、可視化は成果主義への偏りに繋がるという懸念もあります

私たちはこれらの取り組みを「ワークスペース体験価値を高めるための手段」として位置づけていて、監視や単なる管理目的で利用することに明確に反対の立場を取っています。ワーカー個人も企業も生産性を高めていくことを前提としながらも、ワーカーが自由にワークスタイルをデザインすることができる仕組みとして使うと生産性が高まり、企業にとっても大きなメリットをもたらすと信じています。

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ACALLは働き方の仕組みをOSに置き換えて考える

今回、リモートワークに対応するソリューションを公表しています。どこまでが実現できる範囲なのでしょうか

多様なワークスペースを横断的に共有する基盤として「WorkstyleOS」という概念を持っていて、ここで生産性のデータを分析し、効率的なワークスタイルをレコメンドすることを考えています。現時点のサービス対象は、場所と時間に限定したデータとなっていますが、今回リリースするリモートワークチェックインアプリによって、ワーカーの成果も蓄積し、2021年にはワーカーごとに最適なワークスタイルを提案する機能をリリースする予定です。

また、オフィスにあるものをIoT化し、WorkstyleOSでデータ化していくスマートオフィスの取り組みも引き続き進めていきます。これはオフィス内に限定しても、まだ生産性を高めるための伸びしろが十分にあるからです。この点については、オフィス最適化ソリューションを提供する多くの事業パートナー様とともに推進力を高めていく予定です。

ありがとうございました。

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マンガの自動翻訳が救う「経済損失」、海外市場に挑戦するMantraの可能性

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最近の自動翻訳への不満は一昔前と比べると格段に減ったように思います。私は海外記事の引用をすることが多いため自動翻訳を頻繁に使いますが、意味の理解にストレスを感じることはありません。テキストデータであればGoogle翻訳、DeepL。音声であればYoutubeの音声自動翻訳とネットを通した言語の壁はなくなりつつあります。 ただし、画像データは例外です。一般的な記事には多くありませんが、企業のリサーチ…

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『Mantra Engine』による高速なマンガ翻訳 ©︎朽鷹みつき

最近の自動翻訳への不満は一昔前と比べると格段に減ったように思います。私は海外記事の引用をすることが多いため自動翻訳を頻繁に使いますが、意味の理解にストレスを感じることはありません。テキストデータであればGoogle翻訳、DeepL。音声であればYoutubeの音声自動翻訳とネットを通した言語の壁はなくなりつつあります。

ただし、画像データは例外です。一般的な記事には多くありませんが、企業のリサーチをしていると構造化された図と文字がセットのJPEGがHPに張られているケースが少なくありません。英語であれば多少教養があるので読めますし、最悪Google翻訳に手で入力できるので問題はありませんが、中国語やスペイン語、フランス語で書かれていてはお手上げです。

紙であれば光学的文字認識(OCR)が広く活用されていますが、わざわざ印刷して読み取るのは手間であるのに加えて、リーズナブルに精度の良いOCRを利用することは難しいのが現状です。私が抱えるこの小さな課題は「画像データの自動翻訳」という視点で見えると、まさに大きな課題となっている業界が存在します。

それがマンガです。

日本文化の一つとして世界中に知られるようになったマンガ。私がホームステイした時も、所属していた研究室の留学生とも、最初のコミュニケーションはマンガ・アニメについてでした。文化的な橋渡しの役割を担うマンガが海外に出るときには当然のことながら翻訳されます。

紙に描く場合はもちろんですが、PCで描く場合でもエンコードせずにセリフ・効果音のレイヤーだけを別にして扱うのは不便であるため、自動翻訳するには画像データからテキストだけを読み取って翻訳することが求められます。しかし、これが難しい。

名刺や資料のようにある程度フォーマットが決まっていれば文字認識のルール作りは大変ではあるものの困難ではありません。フォント、場所、誰のセリフなのか、吹き出しの中の読む順番、マンガを正しく翻訳するために必要な情報は複雑です。

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右上:山中武氏、左上:CTO日並遼太氏、右下:関野遼平氏、左下:CEO石渡祥之佑氏
Image Credit:Mantra

そこで今回は、マンガ特化の自動翻訳を実現する「Mantra」創業者の石渡祥之佑氏に海外のマンガ市場と、マンガ特化の自動翻訳とは一体どんな技術なのかについてオンライン取材を実施しました(太字の質問はすべて筆者、回答は石渡氏)。

同社は6月8日にディープコア(DEEPCORE)、合同会社DMM.com(DMM VENTURES)、レジェンド・パートナーズ、およびエンジェル投資家らを引受先とする第三者割当増資により、合計約8,000万円の資金調達を実施しています。

マンガの海外市場について教えてください

アメリカの場合でいうと、漫画にお金を払っている人は日本の1/3程度です。人口が日本の約3倍いるので結構少ないですが、マンガファンが少ないわけではありません。海賊版で読んでいる人が多い状況です。

海外における日本マンガの売り上げは1380億円だと伺いました。かなり小さい印象です。

そうなんです。ただし海外の売り上げは伸び続けています。国内はシュリンクしてて、電子も合わせるとトントンといった感じなので、出ていかないといけない、という思いはあるにはある状況です。

海外ではマンガは紙と電子、どちらが売れているんですか

熱狂的なファンが紙で出ているものを買うケースが多いです。日本だと電子が増えきて半々くらいですが、海外での日本漫画の電子版の売り上げは少ないです。

日本の出版社が製本までのフローを開拓しているんですか、それともライセンスを運用する形ですか

今までは後者が多かったらしいです。日本の出版社の中に海外ランセンス部門があって、海外の出版社からの問い合わせに対して、契約を取り付ける。翻訳、印刷、出版は向こうの出版社がメインでやる形です。紙の場合、海外の出版社が版の開拓、在庫のコストなどリスクを負っている分、日本の出版社の取り分は8%だと言われています。

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Image Credit:Mantra

 

さらに取り分の8%から出版社と作家さんに分けるとなると、単価が安いマンガでは作家さんの海外に出るメリットが薄い状況と言えそうです

本当にそうだと思います。海外で出版された作家さん達にヒアリングしましたが、別に儲かったりしないと聞くことが多かったです。

この状況が変わりつつあると

全体的な流れとしては、電子版をきっかけに日本の出版社が主体となって出版するようになってきています。「MANGA+」が集英社が主体となって英語版を出しているのは良い例です。電子版だけしか出さないのならば販路の問題もなくなる。当然、ピンハネされていた部分がなくなるので、もし売れるんだったら作家さんも出版社も嬉しいですよね。最近その流れが始まりつつあると思っています。

それにMantraはどのように関わってくるのでしょうか

国内のプレイヤーが自分たちで出していきたいとなった時、今までやらなかった工数をやる必要が出てきます。例えば翻訳です。外注してクオリティーチェックするのは大変なので、それをサポートするのがMantraの技術です。

週刊連載を英語版を出そうと思うと、かなりの速度で作業をすることが求められます。翻訳会社とのデータのやり取り、スケジュール調整、修正箇所の訂正。Mantraは一週間以内にできるのを目指すワークツールも含んだプロダクトで、オペレーションが大変になるところをお手伝いしたいと考えています。

ここで気になることがあります。なぜ、Mantraは「一週間以内にできる」ことを明言するほど速度にこだわるのでしょうか?

これには海賊版サイトという大きな問題が絡んでいます。

2018年「漫画村」「Anitube」「Miomio」の3つの海賊版サイトが閉鎖されました。国の知的財産戦略本部・犯罪対策閣僚会議「インターネット上の海賊版サイトに対する緊急対策」で悪質サイトとして実名を挙げられ、サイトブロッキング政策の対象となった結果です。昨年「漫画村」の運営者が逮捕されたのも記憶に新しいと思います。

特に「漫画村」は大きなサイトで、2018年3月時点の月間ユニークユーザ662.1万人、出版物流通額ベースの被害額は約3,000億円と推計されていました。ほとんどが日本国内からのアクセスであったため、国主導のサイトブロッキングで被害の大部分を防げたのは喜ばしいことです。しかし言い変われば、日本国外の被害は全く防げていないということでもあります。

当然、日本のコンテンツを扱うオンライン海賊版は世界中に存在します。経産省の報告によると、特に被害の大きいアメリカでは1.3兆円、その内マネタイズ可能と期待できるのは40%の5,369億円になるとのこと。次いで中国、フランス、韓国と日本文化への関心に比例して被害額が大きくなるのは皮肉なものです。

ここで厄介のは、海外サーバと回線を伝って消費される海賊版サイトは日本の意向だけで動かせるものではないという点です。上記3サイトの閉鎖は、権利者からの申し立て、捜査当局の調査、国会および官僚関係者間での議論の末に法制化に向けて動き出し、NTTグループがこれに応じてアクセス遮断を実施したことで実現されました。

日本でサイト摘発を行う場合でもこれだけ大掛かりであることを踏まえると、各国で実施することの難しさは想像に容易いでしょう。日本の経済的機会損失を一意に解決できないところに海賊版問題の難しさがあります。

 

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Image Credit:Mantra

他方、海賊版サイト利用者の声には面白いヒントがあると石渡氏は言います。

海外のユーザに海賊版を使う理由をヒアリングしたところ、「自分が読みたいものが出版されない」「正規版の更新が遅い」が1、2番で、その次に「無料で読みたい 」という理由でした。他にも「進撃の巨人の最新話が自分の言語で読めるなら金は払うよ」と言われたことがあります。海賊版が強いのは事実ですが、海賊版がユーザの核心をついているのかと言われればそうではない。

特に重要なのが速度なんです。僕たちだって熱狂的に好きな作品なら100円で一日早く読めるなら出しますもんね。

Photonic System Solutionsが実施した調査によると、今の海賊版サイトは日本で出版される前よりも早く違法アップロードが確認されるとのことです。店舗に並ぶまでのどこかで流出している可能性が高いわけですが、更に電子版が普及すればそのリスクも減ります。正規版が最初に登場するのが保証されていて、かつ多言語ならば、正規版への誘導が叶って市場の正常化が達成される可能性は十分にあるでしょう。

ただし「漫画村」の事例を踏まえると、正規版の世界同時配給が海賊版を完全に撲滅することは難しいと言えます。オフェンスとディフェンスのように配給体制とサイトブロッキング体制の両輪が海賊版サイトによる被害を最小にするために必要になると石渡氏は語ってくれました。

さて、ここからは話少し変えて、マンガ特化の自動翻訳とは一体どんな技術なのかについて聞いていこうと思います。

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Image Credit:Mantra

マンガ特有の自動翻訳の難しさとは一体どこでしょうか

マンガは線で書かれた絵の上に、線で描かれた文字がランダムにあちこちに配置されています。読む順番もルール化できません。(同じ吹き出し内にも順番を把握して読まないといけないセリフがある)さらに、多種多様なフォントがあり、手書きで書かれているケースも多いです。マンガ専用の文字認識が必要なのはこれが理由です。

具体的にはどのようなものを作ったんですか

「文字認識」「機械翻訳」「自動写植」の3つです。読んで、翻訳して、書く。

読むことに関しては、マンガ特有のフォント変形に対応。翻訳に関しては、マンガの文脈を考慮しながら翻訳。自動写植に関しては、吹き出しにきれいに収まるようにフォントのサイズ、テキストに位置を認識しながら写植する技術です。

マンガの文字を正しく読む「文字認識」ではどこを作り込んだのでしょうか

文字認識エンジンが背景の上にある文字をたくさんみて学習すれば対応できるようになります。ただし、そのような学習データは存在しません。学習データには絵とテキストのペアが必要になるので、このペアを人工的に作りました。学習データを人工的に自動的に作る技術が肝になっています。

※上記内容は論文査読中。

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Image Credit:Mantra

「機械翻訳」では文脈を理解するのに自然言語処理を活用するんですか

画像処理と自然言語処理の両方を使用します。例えば自然言語処理でわかる文脈はテキストだけです。マンガの場合は、絵とテキストが両方混ざっています。このセリフを言っているのは誰なのか、吹き出しの順番はどうなっているのか、画像的な情報も考慮しながらじゃないと上手に翻訳できません。両方を組み合わせて初めて文脈を捉えることができます。

マンガでのセリフは言い回しが独特だったりします。そのようなものにも対応できるでしょうか

マンガの訓練データがないとマンガの翻訳が精度良くできません。マンガの英語版と日本語版を買ってきて、読み込ませると吹き出しを認識して自動で対訳テキストの集合を取り出してくる技術を作りました。これがマンガドメインの翻訳エンジンを作るためのベースとなっています。

※上記内容は国際特許出願中

日本語版と英語版を対応させること自体は複雑そうではなさそうですが、学習データ自体は参入障壁になりそうです

意外とだるいんですよね。2枚の画像を重ね合わせて取ってくるだけだと簡単なんですけど、変形されていたり、英語版だとページごと抜かれていることがあります。それをいい感じに抜き出してくる技術が翻訳エンジンを作る上では必要不可欠でした。

「自動写植」にも機械学習を活用しているのは意外でした

一般的な翻訳はテキストからテキストに変換する作業なので、普段フォントサイズは意識しません。しかしマンガでは絵から絵に変換することを求められます。フォントサイズ、どこに配置するのか、テキストボックスの縦横幅を考慮した写植する技術が必要です。そのため翻訳したテキストを組版するというのは機械学習を活用できるタスクの一つになります

AIの種を作るための技術作りから始まって、End-to-Endの翻訳エンジンを完成させたMantra。さらには人間によるクオリティーチェック体制を簡単に構築するためのウェブのインターフェイスも自社で持つため、「マンガの翻訳」というタスクが一箇所に収納される形を取れています。

もちろん、法人向けには一度導入したらなくてはならないツールになるでしょう。しかしこれからのマンガ市場を左右するのは今だ「素人」の人たちの爆発力なのではないかと感じます。SNSで話題となり単行本化、アニメ化。小説投稿サイトからデビューといった話は今では珍しくありません。

“ 世間 ”に自分の作品の良し悪しを問いかけることが自由になったのならば、” 世界 “に問いかけるのだって自由になった方が良い。Mantraの技術を見ていて一番に感じたのはSNSが登場したときに感じた感情に少し似ていました。

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Image Credit:Mantra

最後に、このことについて聞いてみると「新しいクリエーター支援という形で、いつかサポートしたい」と力強く語ってくれました。

本当にやりたいのは、マンガの流通から言語の壁を取り払うことです。我々が読めないだけで、韓国の面白い作品だってたくさんあるでしょう。

法人を通して出てくる作品だけではなく、Webマンガでも面白い作品はたくさんあります。いつか個人向け作品のサポートをやりたい気持ちは強いです。

石渡さん、お話聞かせていただきありがとうございました。

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人員整理にブリッジファイナンスーー緊急事態宣言、その時支援先はどう動いた【Podcast:YJC・堀新一郎さん】

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スタートアップメディア「BRIDGE」のPodcast、共同シニアエディターの平野です。私が担当する記念すべき第一回目のゲストとして、YJキャピタル代表取締役社長の堀新一郎さんにお越しいただきました。 新しいスタートアップ本を出版されるなど精力的に活動されていますが、今回は堀さんに気になる新型コロナウィルスの影響について、支援先との連携のお話をお伺いしました。本稿では配信する音声コンテンツで特に印…

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スタートアップメディア「BRIDGE」のPodcast、共同シニアエディターの平野です。私が担当する記念すべき第一回目のゲストとして、YJキャピタル代表取締役社長の堀新一郎さんにお越しいただきました。

新しいスタートアップ本を出版されるなど精力的に活動されていますが、今回は堀さんに気になる新型コロナウィルスの影響について、支援先との連携のお話をお伺いしました。本稿では配信する音声コンテンツで特に印象に残った言葉をまとめてみました。

緊急事態宣言、その時支援先はどう動いた

アクションがめちゃくちゃ早かった人と、なんか緊急事態宣言が出て2週間ぐらいの4月末から動き始めた人とではやっぱり明らかに違ってましたよね。オフィスの解約でもね、やっぱりパッと動いた人となんかまあちょっと来週ぐらいに不動産会社とやってみます、みたいな人では本当に分かれました。

厳しい経営判断

何十人もいる会社さんですけど、絶対に残って欲しい人、できれば残って欲しい人、またその次があって…ある(一定水準を下回る)ランクの人には休職してもらって、この状況が何月何日まで続いたら、という人事のリストラプランを本当に4月の上旬とかに持ってきた人がいましたね。基本的に支援先の企業の考えることは応援する立場で反対などはしなかったです。ぶっちゃけ、ここ数年は資金調達の額が二桁億円がものすごく増えたじゃないですか。

これで何が起きたかというと、採用に効くからということでかっこいいオフィス作ったりしたわけです。これに冷や水じゃないけど、よく考えたら別にこれって必要なんだったっけ?という。もちろんこの状況で苦しんでいる方もいらっしゃいますけど、ベンチャー企業の経営という観点で言えば、冷静に見返してみると(今回の件で)組織の見直しが健全に行われるようになったんじゃないかなと。

4月は「ブリッジファイナンス」で過去最多の投資件数に

4月はとにかく支援先の資金ショートがもう目の前に見えている会社に対するブリッジファイナンスばっかりやってましたね。次の資金調達がいつ正確に実施されるかわからないような状況だったので、本来であればコンパーチブルノート(※株式への転換が可能な社債方式)を発行して次のラウンドの15%や20%のディスカウントという形式なんですが、それすら読めないので、もう前回ラウンドのフラットバリュエーション、場合によってはダウンラウンドで投資を実施してました。

その他、堀さんとのエピソードはPodcast本編でぜひお聞きください。なお、現在堀さんは今月末に発売予定の書籍「STARTUP 優れた起業家は何を考え、どう行動したか」(著: 堀新一郎、琴坂将広、井上大智)に関するオンライントークイベントを開催予定です。書籍に登場する起業家や個人投資家のみなさんと対談される予定ですので、ご興味ある方はこちらをチェックしてみてください。

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技術至上主義の覇権争いが続く中、米中がAI分野で先手を狙う本当の理由〜英スローニュース団体主催「Tortoise Global AI Summit」から

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米中間で緊張と技術的な対立が激化する中、AI がその中心的な役割を果たしている。BBC の前ニュースディレクターらが立ち上げたスローニュース(調査報道)系ジャーナリズムネットワーク「Tortoise」は15日、「Tortoise Global AI Summit」をオンライン開催した。世界の超大国アメリカと中国の関係がますます険悪になっていることについて、トランプ大統領が貿易戦争を開始する前から、…

Image credit: Wallpaper Flare

米中間で緊張と技術的な対立が激化する中、AI がその中心的な役割を果たしている。BBC の前ニュースディレクターらが立ち上げたスローニュース(調査報道)系ジャーナリズムネットワーク「Tortoise」は15日、「Tortoise Global AI Summit」をオンライン開催した。世界の超大国アメリカと中国の関係がますます険悪になっていることについて、トランプ大統領が貿易戦争を開始する前から、両国の競合関係に苦言を呈してきたパネリストらが議論した。

二国間の競争は幅広い技術に及んでいるが、多くの人が今後数十年の間に AI が果たすであろう本質的な役割のおかげで、AI がますます注目されるようになってきていることについて、パネリストの3人は同意している。そして、AI の覇権争いが中国とアメリカだけでなく、他のすべての国がこの技術競争の中で自らの立ち位置を見直さざるを得なくなっている。

世界の二大国の関係が悪化している中で、技術競争を目の当たりにしている。この2つの国はほぼ同規模の経済規模を持ち、世界を支配するための影響力を誇示するための手段として、その経済基盤を利用している。技術競争が広範になる中で、AI は中心的な位置付けを占めている。(イギリスの諜報機関 MI6 の元トップ John Sawers 氏)

Sawers 氏と共にパネルディスカッションに参加したのは、イギリスの新興半導体メーカー Graphcore CEO の Nigel Toon 氏と、イギリス政府 AI 庁(Office for AI)長官の Sana Khareghani 氏。

中国とアメリカに関しては、彼らは非常に長い間、対立の中心に AI を置いてきたと思う。それはリーダーになるための経済競争であり、テクノロジーはそこに投げ込まれたようなものだった。(Khareghani 氏)

パネリストらは、アメリカでの AI の取り組みは企業が主導しているのに対し、中国では政府の政策によってイノベーションが推進されているという従来の常識について議論したが、Toon 氏はその見解に反論した。彼は中国政府がアメリカよりも大きな役割を果たしていることを認めながらも、中国での AI 開発の多くは Alibaba(阿里巴巴)や Huawei(華為)のようなテック大手が主導していて、彼らは Google や Facebook と同じモチベーションを持っている、と述べた。

そういった大手は、外から見れば無敵に見えるかもしれない、と同氏は言う。しかし、彼らは優れた AI プロダクトを作り出す競合への恐れに駆られている。

イギリスの新興半導体メーカー Graphcore CEO の Nigel Toon 氏

テック大手の立場から見てみれば、AI は彼ら自身の存亡に関わるテクノロジーだ。もし他の誰かが Google よりも早く最先端の AI を開発したら………Google はそれを心配している。だからこそ、彼らはこの分野に大金を投資している。Facebook が AI に大金を投資しているのもそのためだ。Google が DeepMind を買収した理由もまさにそれ。こうしたテック大手にとって、AI は自らの存亡に関わるものでしかない。Alibaba にとっても、Tencent(騰訊)にとっても。(Toon 氏)

中国が大きく違うのは、政府がテック企業とより緊密で協力的な関係を築いていることだと Toon 氏は付け加えた。さらに、中国のプライバシーやデータに関する政策や文化は、中国に優位性を与えている。

(中国では)データの収集や利用に何の制約も無い。欧米では、自由な社会の一部として個人のプライバシーに誇りを持っている……中国は大都市の内部に監視システムを設置しているが、これは非常に強力で、(秘密警察の支配を背景とした恐怖政治を行った)スターリンが死んでもおかしくないような制御メカニズムだ。これは中国政府にとって、この分野でアドンバンテージをもたらす。なぜなら、AI と機械学習はデータの大量収集に非常に大きく依存し、そのデータを咀嚼・操作することができるからだ。(Sawer 氏)

この二者択一の図式は、必然的にヨーロッパがその図式の中の、どこにどのように収まるのかという問題につながった。欧州連合(EU)は近年、AI の開発を政治的にも、経済的にも優先させている。この地域は研究やスタートアップに多額の投資を行っているが、米中よりも倫理的なアプローチで AI に取り組むことで、独自のアイデンティティを確立しようとしている。

Khareghani 氏は、大きなリードを持つ米中のベンチャーキャピタルが示す数字は、ヨーロッパの強さを過小評価する傾向があると述べた。

AI にどれだけの投資をしているかという点では、米中が特定の方法でリードしていることを考慮する価値があると思う。しかし、集中、貢献、思考のリーダーシップという点では、カナダ、ドイツ、フランスなどの国と並んで、イギリスが上位に位置している。つまり、判断材料には、資金をどれだけ調達しているかだけでなく、それ以上のものを考慮すべきだと思う。(Khareghani 氏)

イギリス政府 AI 庁(Office for AI)長官の Sana Khareghani 氏

しかし、ヨーロッパにはいくつかの深刻な限界がある。例えば、ヨーロッパはディープテック関連の多くの分野で目覚ましい進歩を遂げているが、高度なコンピューティングの開発に必要な基本コンポーネントの多くを他国に大きく依存していると Toon 氏は指摘している。

コアとなる基礎技術の一部については、供給量が非常に限られている。半導体を例に挙げてみよう。半導体の最先端で製造できる企業は地球上に3社しかない。我々は台湾に拠点を置く TSMC(台積電)と協力している。ヨーロッパの我々がこういった最先端の半導体技術を開発できるとは信じがたい、あるいは不可能だと思う。(Toon 氏)

では、ヨーロッパはどのように対応すべきなのだろうか。Toon 氏は、データや AI の利用に関する規制強化は、国民の信頼と信頼を促進することを目的としているものの、地域企業の活動を阻害することで裏目に出てしまうのではないかと懸念している。

こういった最先端技術へのアクセスができないために、ヨーロッパが競争に参加できなくなるような政策を実施しないよう注意する必要がある。(Toon 氏)

これまでヨーロッパは、米中と協力してその地位を利用しようとしてきた。しかし、最近の出来事はそれを難しくしている。米中が貿易障壁を作り、技術の独立性を主張するようになれば、ヨーロッパは両者との関係を見直さなければならなくなるだろう。

イギリスの諜報機関 MI6 の元トップ John Sawers 氏

長い間、ヨーロッパは、どうにかして両方の世界のベストを手に入れることができると感じていたと思う。そうすれば、アメリカとの政治的・防衛的な同盟関係を維持しつつ、中国を対等な経済パートナーとして扱うことができる。多くのヨーロッパ人にとっては、新型コロナウイルスをきっかけに、現在の中国政権の本質について目から鱗が落ちたと思う……中国ははるかに自己主張が強くなった。我々は、中国が香港で、そして、南シナ海で、何をしているかを見ている。サイバーセキュリティの分野で何をしているかを見ている。中国がどれだけ抑圧的であるかを見ている。(Sawers 氏)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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50のプロダクトを開発、たどり着いたのは「常時接続のRemotehour」ーーシリコンバレーのアクセラレータで1位を獲るまでの軌跡

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withコロナ時代になり、「オフィスワーク」に代わる考えとして「常時接続」という言葉が頻繁に使われるようになった。在宅ワークであっても会社のオフィスにいるかのように社員同士が話ができるオンライン環境を作るのが常時接続サービスの特徴。オンラインマークが表示されているユーザーに、その場で動画や音声を通じて話しかけられるのが一般的な仕様となっている。 ここ数カ月で急速に注目されるようになった常時接続サー…

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Remotehour創業者の山田俊輔氏

withコロナ時代になり、「オフィスワーク」に代わる考えとして「常時接続」という言葉が頻繁に使われるようになった。在宅ワークであっても会社のオフィスにいるかのように社員同士が話ができるオンライン環境を作るのが常時接続サービスの特徴。オンラインマークが表示されているユーザーに、その場で動画や音声を通じて話しかけられるのが一般的な仕様となっている。

ここ数カ月で急速に注目されるようになった常時接続サービス領域で頭角を現しつつあるのが、サンフランシスコ拠点の「Remotehour」である。今回は創業者の山田俊輔氏に自社サービスについてと、米国オンライン・ワークツール事情についてオンライン取材を実施した。

Remotehourは日本人起業家の山田俊輔氏によって2020年3月に創業されたスタートアップ。ホストユーザーは自分のルームを持つことができ、訪問ユーザーは発行されたURLをクリックするだけで、そのユーザーにライブ動画を通じて話しかけることができるサービスとなっている。

ホストが離席中や他の電話を受けている間などは、部屋のステータスを自由に変更可能。主な用途はコワーキング(常時接続)。Zoomと異なり、事前に話し相手とのスケジューリングをする必要がなく、相手が話したい時に、すぐ話しかけられるのが特徴となっており、リモートチームのスピーディなコミュニケーションを可能にする。

アクティブユーザーのリテンション率は80%程度を維持。主にフリーランスや大学教授のような複数のクライアントを抱えているユーザーが好んで利用していて、「Remotehourがなくなると困るか」という質問に対しては約30%が「とても困る」と回答しているそうだ。

開発は1月から始まり、3月にはリモートスタートアップ特化のオンライン・アクセラレータ「Pioneer」に採択されている。同アクセラレータはYCombinatorの元パートナー、Daniel Gross氏によって設立され、マーク・アンドリーセン氏やStripeから支援を受け、シリコンバレー以外では触れる機会がなかった資金調達の流れや人材ネットワークへのアクセスを提供するプログラムとなっている。ちなみにGross氏は、GitHub、Figma、Uber、Gusto、Notion、Opendoor、Cruise Automation、Coinbaseなどのエンジェル投資のポートフォリオを持っている。

Pionnerは参加スタートアップに1%のエクイティ提供を求める。対価として、現金は支給されないが、創業者の法人設立、専門家ネットワークを介したメンタリング支援を行う。RemotehourもPionner負担で登記プロセスを完了している。

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さて、Remotehourが参入するオンラインワークツール領域は競争が熾烈だ。なかでもAndreessen Horowitzが出資する750万ドル調達済みの「Tandem」や、日本でも認知されつつあるバーチャルワークステーション「Remo」など、名前を上げればきりがない。どの点を競合差別要素として置いているのだろうか。

Tandemのようにチームで利用されてる方もいるのですが、ここは私たちの得意としている領域ではありません。主なユースケースは、大学教授がその学生たちに向けてオフィスアワーを展開、フリーランスがそのクライアントたちに向けて常駐環境を提供するような場です。一人に対して子要素が複数あるようなケースを想定しています。

動画系オンラインワークツールは大きく2つに分けられる。ZoomやSkypeのように事前に予定を組んで決まった時間に電話をする「スケジュール型」と、TandemやRemotehourのようにいつでも気軽にコミュニケーションを取れる「常時接続型」だ。

Remotehourはそのサービス価値からいえば一見Tandemとは競合するが、ユースケースはチームではなく個人だ。個人間でやり取りする常時接続型サービスとして価値訴求している。スケジュール型にはない常時性と、Tandemが取りこぼしているプライベート通話の領域での成長を目指す。

また、カレンダーサービスの「Calendly」や「Meetingbird」を使っていたユーザー習慣を、オープンドア・ポリシーによって代替しようとしているのがRemotehourだという。これは個人間でスケジュールを決め、ZoomやSkypeで話すユーザーフローにも同じことが言えるはずだ。こうした従来のUXを最発明し、ショートカットするのが強みとなっているのだろう。

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それでは米国における常時接続事情は実際はどのようなものであるのか。次のようなユースケースを答えてくれた。

全米でもリモートワークが余儀なくされている状況です。現在、私はシェアハウスに住んでいるのですが、メンバーのうち一人はGAPに毎日出社していたのがフルリモートとなり、もう一人はパン屋で働いてたのですが失業してしまい国へ帰っていきました。身近なところで、リモートできる職種とそうでない職種が大きく分かれ、それが死活問題となっています。

GAPに働く知人は、ほぼ日中テレビ通話が繋ぎっぱなしになっており、元々リモートではなかった会社の方が常時接続が導入されやすいのかなとも感じました。おそらく、社内でのリモートワークに関するルールが定まっていないのと、全員同じエリアに住んでいて時差も関係ないため、常時接続の方がかえって楽なのかなと思います。

サービスユースケースが創業者の近くにあるのは成長するスタートアップの鉄則だ。この点、世界的な在宅ワーク事情はRemotehourの追い風になっていることが体験談から伺える。

回答ではGAPの事例が挙げられているが、前述した通り、チームでの利用はRemotehourのコアユースケースではない。そこで注目しているのが教育市場だという。大学教授が自身のオフィスアワーで利用しており、かつ同じ大学の先生にサービスを紹介するリファーラルによる成長が発生しているとのことだ。こうして同じ大学のメールアドレスを持ったユーザーが増えており、教育機関を丸ごと囲い込むシチュエーションが起きている。

学生ユーザー層はSnapchatの影響もあり、動画でのコミュニケーションに慣れているらしい。チャットの代わりに5〜10秒程度録画して友人に送って若い世代同士でコミュニケーションを取るのが米国では一般的。最近では「Houseparty」の影響もあり、動画を付けっ放しにする習慣も根付き始めている。こうした世代にとってはRemotehourの使い方は自然に受け入れられる可能性が高い。

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写真は山田氏が渡米約1年後に運営していたYouTubeチャンネル

筆者が山田氏と会ったのは2015年のサンフランシスコだったと記憶している。同じシェアハウスに同居していて、彼が初渡米したタイミングであり、3か月間の旅行で訪れていた。当時は開発の技術も全くなかったが、会わない間の5年で50のプロダクトを開発していると聞いた。元々ソフトバンクの営業をしており、プログラミングの知識0から始め、現在のRemotehourにたどり着いた挑戦心はものすごいものだ。

Remotehourは欧米の市場トレンドに乗っているが、山田氏自身の働き方もトレンドを体現している。

法人を立てずに個人事業主として新しいアイデアを小さなプロダクトに落とし込んでいく動きは、「Maker Movement」として米国で認知されている。いくつものプロダクトを作り、企業に気に入ってもらったものは小さく売却して次のプロダクト開発へ動く、フリーランスエンジニアが台頭したならではの働き方だ。同氏はこうした中で開発力と失敗・ローンチを繰り返しながらも先に進む忍耐力を培っている。

プロダクトを出したり閉じたりしているうちに、プロダクトは上手くいかないのが前提であり、何度でもローンチすればよいと開き直れました。ローンチ量が多いと、どれくらいのクオリティまで作り上げれば人が評価してくれるのかも何となく分かるようになりました。

Remotehourにプロダクトを絞ってからは、これと同じことを機能リリースで行なっています。ユーザーと話していて思いついたアイデアは、次週にはリリースしてみる。ダメなら機能を閉じる。すでに、閉じた機能もたくさんあります。中には、あんまり更新が多いとユーザーが去ってしまうという意見もありますが、私はユーザーに対してあまり怯えません。

機能が出来たなら週に何度でも更新メールを送るし、ダメだと思ったら勝手に閉じます。それくらいで去ってしまうユーザーであれば、おそらく使い続けてもらうのは難しいと分かったからです。本当に付いてきてくれるユーザーは、ある程度の失敗は配慮してくれるし、逆にリクエストも沢山してくれます。

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山田氏の開発力はPionner採択にも活きている。

Pioneerは他のアクセラレーターと異なる審査基準を設けている。YCombinatorのような一般的なアクセラレーターが面接採用であるならば、Pioneerはインターン採用である。その時の受け答えではなく、週次での進捗や成長率によって評価される。そのため、山田氏は2月にPioneerに登録して、実際に選ばれたのは3月後半。1か月以上審査に時間を費やしている。

英語が不得意な日本人で、チームも一人であったため、そこまでパッ見の印象は良くなかったという。だが、毎週機能を幾つも追加したり、とにかく改善しようという気持ちと実際に行動へ移してきたことは他の応募者に負けていなかったとのことだ。こうして最終的にはPioneerが開催した起業家トーナメントに参加し、全参加者の中で首位を獲得している。

元YCombinatorパートナーであり、GitHub、Figma、Uber、Gusto、Notionへの投資実績を持つGross氏のお墨付きをもらった唯一のスタートアップとして認知された。渡米から5年、多くの難題を超えてきてようやく形になったRemotehour。最後に今後の戦略について聞いた。

Remotehourはプロダクト単体で勝負していくつもりです。今後、有料プランも用意していくつもりなのですが、マーケティングや営業には最低限のリソースしか割くつもりはなく、開発とUXの向上に全身全霊をかけていきます。通話アプリなので、一人のユーザーが使い出せば、それに応じて、何名かにも知ってもらうことにはなります。したがって、良いプロダクトさえ作り続けていれば、それだけ伸びると信じています。

年内には公開APIを発行し、多くの業態にアレンジして利用いただけるような準備を進めていければと思っています。ターゲットセグメントはチーム利用以外でのフリーランス、士業、教育、医療のような場面を想定しており、いわゆるリモートワークと聞いて、まだ疎い業態の方に利用していただけるような分かりやすさを盛り込んでいければと考えています。

シリコンバレーで活躍する日本人起業家に新たに加わったRemotehour/山田 俊輔氏にこれから注目だ。

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AI自身をサイバー攻撃から守れーーAIセキュリティ「ChillStack」にDEEPCOREが出資

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ニュースサマリ:AIでセキュリティを進化させる「ChillStack」は3月31日、第三者割当増資の実施を公表した。引受先となったのはAI特化インキュベータのDEEPCORE。シードラウンドで、調達した資金は3,000万円。本調達資金を使ってシステムの開発・改良、ビジネスサイドやバックオフィスを担える人材の採用を進める。 ChillStackの創業は2018年11月。現在はAIを用いた不正ユーザー…

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写真左から:取締役の茶山祐亮氏、代表取締役の伊東道明氏、取締役の新井颯人氏、谷洋樹氏

ニュースサマリ:AIでセキュリティを進化させる「ChillStack」は3月31日、第三者割当増資の実施を公表した。引受先となったのはAI特化インキュベータのDEEPCORE。シードラウンドで、調達した資金は3,000万円。本調達資金を使ってシステムの開発・改良、ビジネスサイドやバックオフィスを担える人材の採用を進める。

ChillStackの創業は2018年11月。現在はAIを用いた不正ユーザー検知システム「Stena」の開発・提供をしている。

また、これにあわせて「AIを守る」ための事業を開始することを発表。近年、AIは多くの製品やサービスに急速に普及しているが、AI自身もサイバー攻撃の標的となる危険性が指摘されている。この課題を解決するAI×セキュリティを理解できる人材の育成をハンズオン・トレーニング事業となる予定だ。3月19日プレスリリースした三井物産セキュアディレクションとの共同研究の成果が活かされる形だ。

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話題のポイント:AIの技術は幸か不幸か隠されたものではありません。「薬人を殺さず薬師人を殺す」の通り、AIも使い手次第で薬にも毒にもなり得ます。

昨今、未知のサイバー攻撃は世界規模で激増しています。高度化や標的型化が進む中で、全く前例のない手法も出てきており、ここに今後AIが絡んでくることは想像に容易い状況です。既存攻撃の対策が基本であるセキュリティが変化しなければ、後手に回り甚大な被害を受けるケースが多発するでしょう。

そんな問題に取り組むのがChillStackです。同社の共同創業者4人は今年の3月に大学院を卒業、代表取締役の伊東道明氏が研究してきた内容を元に「AI×セキュリティ」の事業を展開しています。本誌では伊東氏に今回のプレスにあたりインタビューを実施しました。(太字の質問はすべて筆者、回答は伊東道明氏)

研究からの発展で創業されていますが、元々はどのような研究をされていたんですか

Webアプリの通信をAIを使って監視して、攻撃されているかどうか、何が攻撃されているかを自動で見つける研究をしていました。この内容でIEEE CSPA 2018のBest paper Awardを頂いています。

それは凄い!

論文を見た複数の会社から作ってくれないかという提案があって、そのことに驚きました。これを製品化して世の中に還元した方が良いのではないかと考えたのが起業のきっかけです。

いつ頃からセキュリティに興味を持ったのですか

セキュリティを始めたきっかけは、大学2年生の時に先輩から「セキュリティ・キャンプ」に誘われて4泊5日の合宿に参加したことです。そこでどっぷりハマりました。
※セキュリティ・キャンプ:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の事業の一つ

研究室に所属する前からセキュリティに取り組んでいたんですね。ただ、研究室はAIを中心とした研究をしているところですよね

実は思惑がありました。セキュリティをやっていると、通信やマルウェアの大量のデータを見る機会があります。そもそも大量にあるデータから悪いものを見つけるのがセキュリティなんです。

その作業を繰り返すうちに統計とか機械学習の技術って使えそうだなとぼんやり頭に浮かべていました。しかし当時はAIが氷河期を乗り越えるぐらいの時期で、書籍などの情報が多くはありませんでした。そこで、AIの研究室の先生に相談してみたところ「行けるかもね」と良いディスカッションできたのが決め手となりました。

共同創業者は同じ研究室で別な研究をされていた方々ですよね

論文を発表した後にハッカソンに参加したんですけど、その時のメンバーです。ハッカソンでは顔認証決済の自動販売機を作って最優秀賞をいただけたことに加えて、お互いの長所を出し合って開発サイクルをガンガン回せたのでこのメンバーでやりたいと考えたんです。

ハッカソンに一緒に参加したのは大きな経験ですよね。信頼できるという意味で。

研究室では一緒に何かをやるということがあまりありません。お互いのスキルやモチベーションって意外と分からないものです。ハッカソンで初めて相手の出来ることを把握しました。

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話を少し変えます。研究を製品にする上で壁があったと思いますが、どうでしたか

研究と製品は目的が違うんですよね。研究は精度とか先行研究の改善に焦点をあてて突き進みます。一方、製品は顧客の課題解決が一番です。

例えば、研究用のデータセットに対して異常検知をして検知率99%できました!となれば研究では評価されますが、10,000件データがあれば100件見落とすわけです。顧客目線から見ると実運用で攻撃を100件も見落とすってダメじゃない?となるわけです。

100件を見落とした理由や如何にフォローするか、研究では言及されないニーズを満たすための開発と手法の見直しに苦労しました。

AIの可読性など現状解決が困難なものも含まれているようですが

最初は無理じゃない?と思いました。AIってそういうものだし。

ただ、古典的な統計の手法は人間の目で見て分かるものに近いと分かり、そういう直感的にわかる手法を最新の技術と顧客ニーズの間に埋めることで解決しています。

「AIで守る」という文脈で不正ユーザー検知システム「Stena」を提供していますが、最初にゲームをターゲットにしたのはなぜですか

守るという作業に人材をかけづらいところだったからです。エンターテイメントは金融などと比べると必需品ではありません。本腰を入れている会社は非常に少ないです。

たしかにゲームの質を維持するのには欠かせない要素ですが、着手できないのは予算の問題も大きそうです

予算が理由で契約に結びつかないケースもかなり発生しています。被害出てるけど、売れてるんだからセキュリティにコスト割かなくてもいいよねという考え方ですね。値段設定のバランスは非常に難しいですね。

ただニーズがあることは間違いありません。中小規模の会社さんは守りたいけど、予算を割けなかったりするのでそこには寄り添っていきたいなと思っています。

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「stena」ユーザの行動解析専門の高精度AIがゲームやアプリのチートやBOTなど利用ログから自動検知する

さらに先日、三井物産セキュアディレクションと共同で「AIを守る」という2つ目の事業を発表しました

AIを作れない人が、AIを守れるわけがないというのがあります。最終的には「AIを守るAIを作れば良いじゃない」というのがあります。つまり「AIで守る」「AIを守る」この2つの事業の向かうところは一緒だと捉えています。

今後どのような会社にしていきたいですか

AIを安心して提供できる社会の基盤を作るのが仕事だと思っています。そこに向けてやれることは全部やっていきます。年商や従業員の指標は特にはないですね。研究や実務でも、セキュリティで崩れかけている社会を目の当たりにしているので、立て直したいと想いが一番強いです。

では最後に、伊東さん個人として、今後の目指す方向性や、どうありたいかについてお話を聞かせてください

起業も研究も、面白いことがしたいというのが原動力です。私は他の人のためになるものが面白いと感じます。誰かが何かをやるときに、私が支え、躓かないようにしてあげたい。すごい選手になるより、100人すごい選手を育てられるように今後もチャレンジしていきたいです。

ありがとうございました。

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「スポーツ選手が持続可能な生き方を選べる社会に」ーーU25「起業・新基準」/スポーツテック企業「TENTIAL」代表、中西さん

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20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場の「b-monster」代表取締役社長の塚田眞琴さんに続いては、インソールD2Cが好評のTENTIAL代表取締役、中西裕太郎さんに登場いただきます。 今回もUpstart Ventures、上杉修平さんにインタビュワーとして参加してもらい、お話をうかがってきました(太字の質問は全て上杉氏。執筆・編…

TENTIAL代表取締役の中西裕太郎さん

20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場の「b-monster」代表取締役社長の塚田眞琴さんに続いては、インソールD2Cが好評のTENTIAL代表取締役、中西裕太郎さんに登場いただきます。

今回もUpstart Ventures、上杉修平さんにインタビュワーとして参加してもらい、お話をうかがってきました(太字の質問は全て上杉氏。執筆・編集:平野武士)。

中西裕太郎さん:1994年生まれ。高校時代はサッカーでインターハイに出場。心疾患のためにプロを断念し、プログラミング学習サービス「WEBCAMP」を手掛けるインフラトップの創業メンバーとして参加。その後、リクルートキャリアを経て2018年2月にTENTIAL(旧社名:Aspole)を創業。代表取締役に就任。

シューズインソールの生産・直販(D2C)モデルはなかなかニッチなテーマですが、どのような経緯でここから手掛けることになったんですか

中西:最初はアスリートの人材サービスをやろうとしていたんです。けど、リクルート在籍時にこのあたりの事業の解像度が高くなり、これはマーケットもないし結構難しいぞと。かといって、スポーツはずらしたくないと思っていたので、スポーツの中で大きいナイキやアディダスをベンチマークにした事業を考えるようになったんです。

ウェルネスアイテムの方に動いたんですね

中西:ただ、いきなり物を作るのは難しいと思ったのでメディアコマースをやろうと思い、スポーツメディアから始めました。それで当時、ヘルスケアの中でも腰痛とか肩こり、足の悩みに関するクエリがとても伸びていたんですね。

なるほどそれでインソールに

中西:いえ、本当は靴づくりをしようとしていたのですが、シューズってロット数も大きく、サイズの変数も多いので作りにくいんです。それでインソールから始めました。

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販売中のインソール・ウェブサイトから

メディアからD2Cへと展開、オペレーションは結構異なると思うのですが、例えば協業先のBMZ社などとはどうやってつながっていったんですか

中西:ビザスクを使ってひたすらにアポを取っていました(笑。

ビザスクのサイトにも取り上げられてましたね(笑。

中西:商社とかでものを作っていた人たちや、工場のネットワークを持っている人たちに会いに行くことしか頭になかったですね。

元々はサッカー選手だったんですよね

中西:インターハイ出場までいきました。ただ、17歳で心臓疾患を患って断念したんです。遺書まで書きました。サッカーで評価されてきた自分が何者でもなくなる経験が原点ですね。

その後、プログラミングを学ばれた

中西:サッカー以外に熱量を向けられる先を探していたところ、YouTubeで当時のオバマ大統領が国民に対してプログラミングをした方がいいと言っている動画を見つけたんです。これから米国の未来を背負っていく若者には、ゲームをやるのではなく作る側に回って欲しいと。この動画がプログラミングにのめり込むきっかけでした。

そこからインフラトップ(プログラミング学習の「DMM WEB CAMP」運営企業)に入社されるんですよね

中西:19歳の時です。大島(礼頌氏)さんが創業するというので参加しました。ビジョンに共感したのが大きいですね。プログラミングによって人生を変えることができるし、それを世の中に還元することができるのって素晴らしいじゃないですか。

サッカー選手から一転、ネット関連企業の社員。最初はどのようなことをされていたんですか

中西:当時はまだWEB CAMPがなかった時代で、大島さんが人集めやファイナンス周りに注力して、僕がカリキュラムを任せられていました。自分がそこまでコーディングができたわけではなかったので、調べたり、ヒアリングしたり、リクルーティングしたり。営業もするし、コースも増やすし、ということを2年程度ずっとやってましたね。

そしてそこからのリクルートへと転職をされるわけですが、これはどういう経緯があったのですか

中西:やはりスポーツ領域の事業で起業したかった、というのが大きいです。先程もお話したように、元々は人材事業を考えていました。なのでリクルートだったんです。

ただ、人材の起業は難しいよという意見が多く、またインフラトップに初期から入っていたとはいえ自分が代表ではなかったですし、また、当時は学生も多かったのでこれは流石に一旦修行した方がいいな、と。大きい会社で事業開発を学んだ方が絶対いいと思って選んだのがリクルートでした。

ただ、リクルートの中途入社ってそんなに簡単じゃないですよね

中西:そうですね(笑。大学新卒でも厳しいのに、当時21歳で学歴自体は高卒ですから。でも中途の事業開発部が一番成長できると思っていたので、役員に片っ端からメッセしたんです。

メッセ(笑

中西:そしたら一人返信を下さった方がいて。当時リクルートはリクナビで取りきれない層向けのサービスを作ろうとしていた時期で、若手でベンチャーにずっといたのを評価してもらえた感じでした。ただ、最初の3カ月とかは本当に仕事についていくのが精一杯で結構辛かったです(笑。

具体的にどういうお仕事をされていたんですか

中西:事業企画でメディアプロデューサーという役職でした。キャリグルというサービスの立ち上げとグロースを担当していました。

リクルート出身の起業家の方って多いですよね

中西:リクルートでは起案というプロセスがあって、役員に企画をプレゼンして通さないといけないのですが、こういう経験で仕事の基礎は徹底的に鍛えられたと思います。本当に当時の私は働き詰めで、同期や周りの人たちとの差も感じなくなりましたし、どんどん信頼も獲得できたのは本当によかったですね。ただ、やっぱり自分の思ったことができるようになったタイミングで事業やりたいと思うようになって。

独立してから現在のD2Cモデルに至るまでしばらく時間があり、コストもある程度かかるとは思うのですが、創業の資金などはどのように調達したんですか

中西:デット(※借入)ですね。創業してすぐには調達はせず、リクルートが仕事をくれたのもあったので、その売上をもとに政策金融公庫から借入しました。

すごく堅実ですね。すぐに貸してくれたんですか

中西:当時23歳だし、リクルートに入ったけど1年しかいなかったので、公庫の担当者からは頑張っても500万円しか無理って言われてました。けど、その仕事のおかげで1500万円を引っ張ってくることができたので、初期はそれで事業を回しました。

さらにいい話ですね。そこからいわゆるエクイティを調達するという流れに。どういうふうに調達されたのですか

中西:インキュベイトキャンプに参加したことです。その後、元々の知り合いだった白川さん(※)とインキュベイトファンドから8月に調達をしました。

※アプリコット・ベンチャーズの代表取締役、白川智樹氏

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元プロサッカー選手の播戸竜二さんが昨年10月に同社CSOに就任(プレスリリースより)

さらにアカツキからも出資を受けてます

中西:私たちの強みはやはりアスリートのネットワークです。ここに興味がある事業会社にアプローチしていく中で、アカツキさんと繋がりました。

スポーツ経験者や元アスリートの方などをかなり積極的に採用している印象があります

中西:そうですね。スポーツではある程度結果を残したのに、何かしらの挫折を経験してエネルギーが有り余っている若手で勝ちたいっていうのが実体験からあります。自分の中でこういった、若くてギラギラしてる人たちでチームを作って、IPOまで行きたいなと。

あと、スポーツで上まで行った人もビジネスの世界とは無縁なのではなく、ちゃんと資本主義の中でも勝てるっていうストーリーを作りたいという思いもあります。

自分が病気になってプログラミングを始めて、本当に辛かった経験もめげずに頑張ったら、ちゃんと活躍できる。結果を残せるって伝えたいし、逆に途中で腐ってしまう人たちはもったいないという感覚がとても強いです。

ただ、異なる業界の人たちを「スタートアップ」という枠の中で組織するのは難しい点もあるんじゃないでしょうか

中西:AspoleからTENTIALに社名を変更したタイミングで、ミッション・ビジョン・バリューの制定をしたんです。例えばミーティングの前に再確認したり、各個人がそれを実践するために今月することを紙に書いて、オフィスに貼るような活動をしたり。こういった地味な活動で意識はやはり変わりますよ。

事業運営や組織に関してロールモデルあったりしますか

中西:組織作りについてはラクスルさんを参考にしていて、河合聡一郎さんにはよく相談させてもらっています。また、事業作りに関しては、リクルートやサイバーエージェントや北の達人など、組織を拡大させながらもちゃんと利益を出し続け、なおかつ入った人がちゃんと挑戦して活躍できる組織がイメージにありますね。

共通しているのはビジネスの再現性をきちんと理解している人たちが上にいて、それをしっかり組織に落とし込めていることだと思っているので、そこを目指したいと思っています。

TENTIALのビジョンに「共同体」というキーワードが入っているのが個人的には好きです

中西:世の中をちゃんと動かすためには組織を作らなければいけないし、共同体を作らないとと思っています。大きい事業を作っていくためには、ロジカルな人たちだけで再現性だけを追求していっても難しく、やっぱり昔からいるステークホルダーをきちんと大切にしたり、共同体的な価値観がとても重要になってくると思ってます。

メンターのような方っていらっしゃるんですか

中西:ドワンゴの専務の横澤大輔さんとLIDDELL代表の福田晃一さんが運営する「JIGAMUGA」という経営者コミュニティがあるんです。Graciaの斎藤(拓泰)さん、ZEALS清水(正大)さん、ラブグラフ駒下(純兵)さんなどが在籍しているのですが、ここのコミュニティからはかなり学ぶことが大きいと思っています。

事業の話は一切せず、社会学のような再現性や人類の構造、世の中の仕組みや原理原則に関して議論する場はとても良かったです。

最後に、事業として、また個人としてどのような成長を目指しているか教えて下さい

中西:グローバルでは「ルルレモン」のようなモデル、日本だと予防医療のところを結構見ています。高齢化とブルーカラーが多い構造が医療費高騰に繋がっており、そこを改善するためにスポーツ庁ができたり、スポーツを持続可能なものにしようという政策になっていると思います。ここで、スポーツの技術を使ったり、インソールなどの製品を通して課題を解決していきたいと思っています。

個人としては、自分が死んだ後に何を残せるのだろうっていうのを本気で考えたときに、自分が持っているフィロソフィーを組織に落とし込んで、それがずっと続く会社を作りたいというのがありますね。

スポーツ選手が消費されずに持続可能な生き方をできるように、それを実現させるための事業ないし会社をずっと残せるようにしたいなと考えています。

ありがとうございました!

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創業4年で年商20億、残高60万円からの逆襲劇ーー隠れたキーマンを調べるお・ZIZAI渡辺氏

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編集部注:「隠れたキーマンを調べるお」は、国内スタートアップ界隈を影で支える「知る人ぞ知る」人物をインタビューする不定期連載。毎回おひとりずつ、East Venturesフェローの大柴貴紀氏がみつけた「影の立役者」の素顔に迫ります。シーズン2として2020年に再開 「隠れたキーマン」復活第一弾は、アミューズメント事業「スロパチステーション」、バーチャルライブ配信アプリ「IRIAM (イリアム)」、…

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ZIZAI代表取締役COOの渡辺稜太氏(撮影:大柴貴紀)

編集部注:「隠れたキーマンを調べるお」は、国内スタートアップ界隈を影で支える「知る人ぞ知る」人物をインタビューする不定期連載。毎回おひとりずつ、East Venturesフェローの大柴貴紀氏がみつけた「影の立役者」の素顔に迫ります。シーズン2として2020年に再開

「隠れたキーマン」復活第一弾は、アミューズメント事業「スロパチステーション」、バーチャルライブ配信アプリ「IRIAM (イリアム)」、VTuber事業を行うZIZAIの代表取締役COOの渡辺稜太氏を取り上げてみました。ZIZAIは代表取締役CEOの塚本大地氏と渡辺氏が大学生の時に創業し、それから4年で20億円以上の売上を誇るまでに急成長。しかもほぼ全て自己資本で経営してきた、他のスタートアップとは一線を画す異色の存在です。あまりメディアに出ることもないZIZAIの「隠れたキーマン」渡辺氏のインタビューを早速ご覧ください。

「光の92世代」COO

大柴:「隠れたキーマン」復活第一弾はZIZAIの渡辺さんです!今日はよろしくお願いします!

渡辺:取材ありがとうございます!よろしくお願いします!

大柴:ZIZAIさんの情報としては、キープレイヤーズの高野さんがインタビューした記事は読みました!

渡辺:ありがとうございます!みんなその記事を見てくれています(笑。

大柴:では、早速お話を伺っていきたいと思いますが、現在おいくつでしたっけ?

渡辺:1992年生まれで、今年28歳です。

大柴:その世代って一部では「光の92世代」とか言われてますね。dely堀江(裕介)くんとかたくさん優秀な起業家がいますよね。塚本さんも同じ1992年生まれ?

渡辺:いや、塚本は一個下の1993年です。彼とは大学の同級生ですが、僕は一浪してまして(笑。

大柴:なるほど。では、塚本さんとの出会いを教えていただけないでしょうか?

学校に行かずにビジネスに没頭の日々

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渡辺:はい。名古屋大学工学部に進学したのですが、塚本とは同じ学部学科だったんですよね。大学入学後すぐに出会いました。

大柴:塚本さんと距離が近くなったきっかけってあったんですか?

渡辺:恥ずかしながら、僕は入学後すぐにパチスロにどっぷりハマっていまして、塚本との距離が近くなったのは塚本に「パチスロの勝ち方」を教えてもらってからです。

大柴:なるほど、パチスロって稼げるんですね(笑。

渡辺:胡散臭いんですが、パチスロってちゃんとルールに基づいてやると長期では必ず勝つ方法があるんです。塚本はもともと稼ぐためだけにパチスロをやっていて、稼ぎ方を教えてくれて僕をパチスロ中毒から救ってくれました(笑。ただ、パチスロで稼ぐのも1年ほど経つと飽きてきて、もっと面白いことをやりたいなと思い、二人でインターネットでビジネスを始めました。その頃から大学には二人ともほとんど行っていません。

大柴:どんなビジネスですか?

渡辺:よくあるメディアだったり、「せどり(本の転売)」だったり。大学生っぽいビジネスでしたが、楽しかったです。それと同時にビジネスの難しさもわかりはじめました。何度もあやしい商材や大人に騙されそうになりました(笑。

大柴:なるほど。あ、でもこの時はまだ個人事業としてやってたんですよね。

渡辺:そうです。大学4年になった時に「そろそろ腰をすえてちゃんとやろう」と法人化することにしました。会社名はノリで「DUO」にしました。二人だからちょうどいいか、と。あと、塚本が英単語帳の「DUO3.0」を使ってたんで(笑。

大柴:なるほど(笑。でも二人だから「DUO」ってするくらい二人は仲良いんですね。

渡辺:お互いのビジネスに対しての価値観が根本的に似てると思います。商売に対しての考え方、ビジネスの軸みたいなものが似てる気がします。当時は週3でサウナに行っていたので、仲はいい方だと思います(笑。

大柴:そうですね(笑。

渡辺:また、性格面ではかなり真逆で塚本は攻めタイプで、一方で僕は守りタイプ。お互いの得意分野が違うので相性はいいんだと思います。

アミューズメント業界に飛び込んだ理由

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ZIZAIウェブサイトより

大柴:法人化した時の事業は、個人でやってたものですか?

渡辺:いや、そういうのは会社をつくった時に捨てて、ゼロから事業を考えました。自分たちが勝てる事業、領域をひたすら調べた結果、パチンコ業界だなという結論に至りました。パチンコ市場は非常に大きくて20兆円ほど市場規模があって、ユーザーも1000万人います。

大柴:確かにパチンコ業界って大きいですね。

渡辺:大学1年の頃からやっていたので知見はある。そして、若手プレイヤーがほとんどいなかったのでITをうまく使えばなんとかビジネスになるだろうと思いました。今思うと奇跡的な選択だなって思います。

大柴:なるほど。でもパチンコ領域って色々と結構厳しいイメージがあるのですが

渡辺:そうですね。怖い人はほとんどいませんが、やっぱり業界特有のノリや厳しさはあります。正直、業界に新規参入するのはかなり難しいと思います。「もう一回やれ」と言われてもやりたくないです。

大柴:やっぱりそうなんですね(笑。ちなみに最初はお金の工面はどうしたんですか?

渡辺:いろんな人のお力を借りて、JASDAQに上場している「プロトコーポレーション(中古車情報サイト『グー』などを運営する上場企業)」という会社の創業者の横山順弘さんにお会いできて、結果的には無利子で500万円ずつ塚本と僕に貸してくださりました。VCという言葉を知らなかった学生二人で1000万円個人で借入をするという今時聞かない資金調達です(笑。

大柴:確かにそんな資金調達、聞いたことない(笑。勢いのある若者に共感したのでしょうかね。

渡辺:自分の昔を思い出したのかもしれませんが、応援してもらえることになって助かりました。1,000万円もの大金をよくわからない大学生に、しかも無担保無利子で貸してもらえるなんて奇跡に近いですよね。

大柴:ほんとそうですね。

渡辺:はい。塚本は「100万円ずつすぐに返します!来月からでも!」と自信満々に横山さんに言ったんですが「それはよくない」横山さんは言うんです。「会社というのはすぐに結果はでない。資金はすぐになくなる。来月から100万円ずつ返すというのは現実的ではない」と。そして「約束は守れるものにしなさい」と諭してくれました。

大柴:すごい良い話…

渡辺:それで横山さんから「1年後から毎月5万円ずつ返して」と言われ、そうすることに決まりました。自己資本でここまでやってこれたのも横山さんのおかげです。感謝してもしきれないです。

大柴:今も返済中なんですか?会社も大きくなったし、一気に返済したとか?

渡辺:たしかに一括返済は可能なんですが、今でも毎月5万円ずつ返済しています。横山さん、毎月通帳を見るのが楽しみだと言ってたので、これからも毎月返済していこうと思ってます。

大柴:超良い話(笑。先日横山さんが来社されたと渡辺さんがツイートしてましたね。よく会社にはいらっしゃるんですか?

渡辺:年に一回くらいでしょうかね。新しいオフィス見て「でかくなったなー」って言っていただきました。とても評価もしてくださりますし、課題も教えていただけます。ありがたい存在です。

1000万円の借入が残高60万円となってからの逆襲劇

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大柴:資金も得たし、あとはやるだけですね。最初から順調だったんですか?

渡辺:いや、全然ダメで、1年経たずに銀行の残高が60万円まで減ってしまいました。最初に構想してた事業がダメで。次どうしようかと考えてる時にYouTubeの領域は良いんじゃないかという流れになり、一つのYouTubeチャンネルに着目しました。

大柴:ほうほう。

渡辺:個人の方が運営されてるパチンコ系のチャンネルで、塚本が運営者の方にコンタクトをとっていました。そのチャンネルを譲渡してもらって自分たちのコンテンツを載せるという提案をしに愛媛まで会いにいきました。そこで一晩寝ずに交渉した結果、根性負けして、僕らに15万人も登録者がいるチャンネルを託すという決断をしてくれました。

大柴:すごい交渉力ですね。

渡辺:その辺は塚本が得意な分野です。彼は、話す相手をファンにしてしまう才能があるんですよね。YouTubeチャンネルを僕らで運営することになって、これが転機となり、一気に事業が加速して、1期目から単月黒字も達成できるほどになりました。

大柴:それは凄い。でも、残高が少なくなってきたときに焦りとかそういう感情はなかったんですか?

渡辺:塚本も「何とかなるっしょ」みたいな感じだったので、そこまで焦りのようなものはなかったです(笑。

大柴:なるほど。トップがポジティブだと安心感でますよね。ところで現在は渋谷メインだと思いますが、どうして東京進出したんですか?

渡辺:名古屋はとてもいいところなんですが、最先端の情報や人は集まりにくいので新規事業をやるには東京だなと感じていました。なので2年目が終わるころに五反田にオフィスを構えました。

大柴:そういう経緯だったんですね。

渡辺:はい。東京に拠点を移してからVtuber「ミライアカリ」やバーチャルライブ配信アプリ「 IRIAM」も開始しました。毎年1つ新しい事業を生み出してることになります。

大柴:それって凄いことですよね。一つの事業をつくるのも大変なのに、いくつも立ち上げて成功するって凄いと思います。

渡辺:塚本が新しい事業をつくるのがとても得意でして。自分が会社の内側をみているうちに新しい事業を探して人も集めてくれて。僕も今後はそういった役割をやらないといけないと思っています。その後、事業も増えてきて、人も増えてきて、五反田から渋谷に移転しました。ただ、渋谷でもすぐに人が増えて、増床していった結果、渋谷だけで4拠点になってしまいました。コミュニケーションが難しく、会社としても統一感がなくなってきたので、ワンフロアでやりたいなって思ってたんです。

大柴:それで去年ここに移転したんですね。ワンフロアで結構広いですよね。

渡辺:そうなんですよ。ワンフロア400坪でみんな同じフロアで働ける。コミュニケーションが取りやすく、とてもいい状況になりました。やっぱり働く環境って大事だなと思いました。

大柴:あと、DUOからZIZAIに社名変更も去年したと思いますが、どういう思いからですか?

渡辺:DUOという社名も気に入っていたのですが、事業も会社も大きくなるにつれて「どんな事業をつくって、どんな会社にしたいのか、世の中にどんな価値を提供できるか」ということを考えるようになりました。そこでしっかりと会社の方向性を決めてメッセージ性のある社名にしたいと思い、ミッション・バリューと共にを変更しました。

大柴:そういうことだったんですね、実際変えてみてどうでしょうか?

渡辺:社名変更やミッション・バリューの策定は1年ほどかかって大変ではありましたが、実際にやってみてとてもよかったなと思っています。会社としての方向性やバリューを決めることによって組織として強まっていっている感覚があります。

組織への向き合いがミッション・バリューを決めたことでようやくできるようになりました。今後は組織から事業が生まれ、育っていくという事業と組織の両輪がしっかりワークする会社にできればと思っています。長期的な会社の成長は組織力だと最近はとても感じています。

同年代で意識している経営者は塚本だけ

zizai
ZIZAIウェブサイトより

大柴:さて、渡辺さんから見て塚本さんってどういう人ですか?

渡辺:そうですね、やっぱりとても人的な魅力があるなって思います。人を惹きつける力や相手をファンにする力みたいなものは凄いなって思います。そして、誰よりも頑張ってるし、刺激を受けますよ。事業アイデアも豊富だし、誰よりも事業のことを理解してます。正直、CEOとして悪いところはないと思ってます。

大柴:完璧じゃないですか。

渡辺:でも、家の電気代を払い忘れたりカバンを持たないとか、パソコンを使わないなど、変わった部分もたくさんあります(笑。でもそういうところ含めて魅力的だし、やっぱりずっと一緒に会社をやっていきたいなって思う人物です。ちなみに最近はパソコンを使うようになりました(笑。

大柴:会社での役割分担のようなものは?

渡辺:塚本が攻めで、自分が守りっていうスタイルで最初はやっていました。でも最近は優秀な「守り」の人も入ってきてるので、自分も攻めに転じていかないとなって意識しています。

大柴:攻めに転じた渡辺さんの将来の構想は?

渡辺:個人的な夢というのはそこまでなくて、いわば会社と自分が一体化しているので、もっと大きくて影響力のある会社をこれからもつくっていきたいと思っています。事業的にはYouTubeを主軸にいろんな事業をやっていきたいです。YouTubeは生活のインフラになりつつあります。そこでニーズに合ったものを生み出していきたいです。また、既存事業ももっと大きくできる可能性があるのでそこは自分がやらないといけないです。

大柴:なるほど。ちなみに渡辺さんが同年代の経営者で意識している人っているんですか?

渡辺:意識している人はいないですね。学ばせてもらう方はとてもいますが。しいて挙げれば塚本ですかね。やっぱり彼から学ぶことが一番多いし、彼の成長に追いつけるように日々努力していきたいです。

大柴:塚本さんへの敬意が凄いですね。仲も良いんですね。

渡辺:一般的な「仲良い」かどうかはわからないですが、お互いが切磋琢磨して成長している状況で仲が良いっていう状態がいいなって思います。今はそういう状態かもしれません。現状、塚本以外に惚れている人はいません。

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「エムティーアイ傘下入りは、プロダクトへの集中と勝負のため」——クラウドキャスト創業者兼CEO星川高志氏にインタビュー

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先月、経費精算ソリューション「Staple(ステイプル)」を開発するクラウドキャストが、モバイルコンテンツ等大手のエムティーアイ(東証:9438)傘下に入ったことをお伝えした。クラウドキャストはエムティーアイから2017年12月に1億円を資金調達していたが、今回新たに7億2,000万円を調達、エムティーアイのクラウドキャスト株式持分は52.01%に達し、クラウドキャストはエムティーアイの連結子会社…

クラウドキャストの創業者で CEO の星川高志氏
Image credit: Crowdcast

先月、経費精算ソリューション「Staple(ステイプル)」を開発するクラウドキャストが、モバイルコンテンツ等大手のエムティーアイ(東証:9438)傘下に入ったことをお伝えした。クラウドキャストはエムティーアイから2017年12月に1億円を資金調達していたが、今回新たに7億2,000万円を調達、エムティーアイのクラウドキャスト株式持分は52.01%に達し、クラウドキャストはエムティーアイの連結子会社となる。

今回のグループ入りについて、クラウドキャストの創業者で CEO の星川高志氏は、BRIDGE のインタビューに応え、エムティーアイからの資金調達は事業のアクセルを踏むためのものでイグジットとは捉えておらず、今後も事業拡大に邁進すると強調し、最終的には数年以内の IPO に意欲を示した。

星川氏はクラウドキャストを設立する前、マイクロソフトや日本 DEC(現 HP)でプロジェクトマネージャーをしていた。簡単に言えば、エンジニア出身であり、ものづくりやユーザビリティに対するこだわりは人一倍強い。一方、今年で創業から9年目を迎えるクラウドキャストだが、同社には創業以来 CFO が存在しない。CFO が存在しないということは、CEO が CFO の役割を兼務しているわけで、CEO はプロダクトやサービス全般をケアする一方、並行して資金調達や財務戦略にも時間や労力を割く必要に迫られる。

Image credit: Crowdcast

今回、多額の資金を手に入れ、エムティーアイ傘下に入ったことで、プロダクトのグロースに集中できる体制が整った、と星川氏は語っている。以前、人事労務クラウドの SmartHR が SPV(Special Purpose Vehicle)を活用することで資金調達の手間を大幅に効率化したことを伝えたことがあるが、クラウドキャストが出資先をエムティーアイ一に絞った背景には、同じような意図があったように思える。

当初は「MoneyNote」 という小遣い帳アプリを作り、弥生が開催した「弥生スマートフォンアプリコンテスト」でグランプリを受賞したのが2011年の秋。そこから会計で作れないかなと考え「bizNote」を作り、会計や経理だけでなく従業員にフォーカスした「bizNote Expense」を作った(bizNote や bizNote Expense の機能は現在、Staple に取り込まれている)。

ピボットを繰り返して Staple にまでたどりついたが、その時その時で経験したことは後のプロダクト開発に生かされていて、決してムダにはなっていない。カードプロセッシングのプラットフォームを作る Kyash と出会ったことで、経費精算用 Visa プリペイドカード「Staple Card」を発表できたことは大きい。Staple Card は評判が良く、今年はこのグロースに賭ける勝負の年だと考えている。(星川氏)

競合他社も出す従来型の経費精算アプリは、紙でやっていた経費精算をデジタル化しているという印象。しかし、Staple Card では企業が従業員に Staple Card を持たせることで、経費として発生する費用支払のプロセスを効率化することができる。むしろ、経費精算というプロセスを省いてしまう感覚に近い。そもそも、経費を後日精算という形で社員に立替を強いることにも異論はあるし、前金で払い出すのも運用が煩雑になる。Staple Card の利用が伸びているのは、そういったニーズを如実に反映してのことだろう。

Staple Card
Image credit: Crowdcast

アメリカでは BREXDivvy、ヨーロッパではデンマークの Pleo といったスタートアップがクラウドキャストと似たような仕組みで経費精算の効率化ソリューションを提供している。彼らが近い将来、日本市場に参入して来る可能性は十分にあり得る。経費精算効率化ソリューションはスイッチングコストが高い分野であるため、先取りした者がその市場のドミナントプレーヤーとなるシナリオは考えやすい。

コロナウイルスを想定していたわけではないけど、経営者としては今年はアクセルを踏むべきと考えていた。その道を選んだ限りは、とことんやってやるぜ、という感じ。結果は、2年後とか3年後に出ると思う。

クラウドキャストには海外のメンバーも多くて、製品開発チームは現在20人くらい。ものづくりはうまくいっていると思うが、はっきり言って、我々は売ったりするのはさほど上手ではないので、調達した資金は、セールスやプロモーション活動に活用させてもらう。(星川氏)

今年からの数年間で、経費精算という分野で圧倒的な地位を取りに行くと宣言した星川氏だが、将来的にはスペンディング(費用支払)そのものをもっと突き詰めたいと言う。費用記録のアプリから経費精算自動化ソリューションへと進化した同社の行く先を楽しみにしたい。

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エストニア発、AIとユーザ収集データ活用で〝次世代の交通安全〟を提起するSupervaisor——日本企業との協業やテストを目下模索中

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自動運転がより身近で高度なものになった時に、スピード違反や駐車違反といった概念が、この世の中から無くなるのか——テクノロジーに関わる者として、筆者が興味を持つことの一つだ。AI とセンサーを備えルールに忠実になったクルマは、中に乗っている人に危害が及ばない限り違法行為はしないようプログラムされるだろうし、運転者がいなければ、理論上は飲酒運転も撲滅できることになる。 レベル4自動運転のクルマが事故を…

Supervaisor CEO の Silver Keskküla 氏。東急のオープンイノベーション施設「SOIL」で撮影。
Image credit: Masaru Ikeda

自動運転がより身近で高度なものになった時に、スピード違反や駐車違反といった概念が、この世の中から無くなるのか——テクノロジーに関わる者として、筆者が興味を持つことの一つだ。AI とセンサーを備えルールに忠実になったクルマは、中に乗っている人に危害が及ばない限り違法行為はしないようプログラムされるだろうし、運転者がいなければ、理論上は飲酒運転も撲滅できることになる。

レベル4自動運転のクルマが事故を起こした時に、誰がその過失責任を負うのかという点には議論を伴うが、意図的な違法行為が起きる可能性は技術的に極小化できるので、オックスフォード大学准教授 Michael A Osborne 氏が言う「消える職業」の536位にある警察官、特に、ネズミ捕りや駐車違反の取締をする警察官は必要なくなるのかもしれない。

加速・減速の頻度などドライバー個々の安全運転特性を取り込んだテレマティクス保険も現実のものとなりつつある。法律が追いつけば将来は車検制度も動的に運用できるようになることを期待したい。モビリティの進化によって実現可能になる交通周辺サービスの効率化に加えて、コレクティブなユーザ参加型の仕組みづくりで交通を進化させようとするスタートアップもいる。エストニア発の Supervaisor だ。Skype や TransferWise といった、既成概念をひっくり返すサービスを多く輩出しているエコシステムから、新星の誕生となるかもしれない。来日中の CEO Silver Keskküla 氏に話を聞いた。

Supervaisor のモバイルアプリ
Image credit: Supervaisor

Keskküla 氏は、Skype 設立初期のリサーチエンジニアを務め、その後2014年に、仕事や住環境などの好みやスタイルに合わせて移住先を見つけてくれる都市マッチングサービス「Teleport」を設立。Teleport は2017年、Google 傘下のモビリティ管理プラットフォーム「MOVE Guides」に買収され注目を集めた(MOVE Guides は後に Polaris Global Mobility と合併、Topia となった)。Teleport 売却後、約2年にわたり Topia の Vice President を務めた Keskküla 氏は、2018年の Supervaisor の創業で再び連続起業家の道へと舞い戻った。

WHO(世界保健機関)の発表によれば、世界では23秒に1人のペースで人が交通事故で亡くなっている。Supervaisor では、歩行者やドライバが、車の危険行為や交通上の問題点などを動画撮影し申告できるアプリを配布。こうしてユーザから集められたデータ集積をもとに、Supervaisor は交通上の危険箇所の指摘を行なったり、警察など交通取締当局に対して進言を行なったりしている。警察当局の取締を支援する仕組みではなく、あくまでリスク排除のための情報収集に利用されるため、ユーザが撮影した動画にはプライバシー保護の観点から自動的に顔にボカシが入る。

Supervaisor は昨年、日本のソフトウェア系特化ファンド MIRAISE も参加したプレシードラウンドで130万ユーロ(約1億5,600万円)を調達した。Keskküla 氏はプロダクト開発と市場検証で、エストニアのタリン、東京、シリコンバレーを飛び回る日々だ。Supervaisor は今はまだエストニア国内の限定ローンチだが、多くの自動車メーカーが本拠を構える日本市場で、さまざまな事業提携を模索しているようだ。

テストを一緒にやってくれる事業会社は見つけたい。例えば、ダッシュボードカメラ(ドライブレコーダー)のメーカーなど。ドラレコは衝撃があった際の前後の動画のみを記録するようにできているので、ドライバが撮影したいと思ったシーンを Supervaisor に共有してもらうにはカスタマイズが必要になる。(中略)

その他にも、タクシー会社や運送会社などが自社のドライバの安全確保のために導入することも考えられる。保険会社や自動車メーカーとも協業できるかもしれない。e スクーターにビデオフィードをつけ動画をリアルタイムで集める、というような展開も考えられる。(Keskküla 氏)

先日、NTT 東日本のデモデイでは、LUUP もモビリティとカメラを組み合わせた仕組みを紹介していた。5G が普及すれば、多くの人が移動体から動画をライブストリーミングしたとしても、モバイルの回線輻輳が生じる可能性も低くなる。集積されたデータは、交通のみならず、我々のさまざまな日常生活に役立つことが期待できるだろう。Supervaisor の日本でのサービスローンチが待ち遠しい限りだ。

集積された動画データのイメージ(タリン市内)
Image credit: Supervaisor
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