THE BRIDGE

Interview

世界30カ国で開催される大学発ビジネスモデルコンペティション「BMC Global」産みの親が来日、「学生に起業を促すこと」の真意を語る

SHARE:

大学の院生や学部学生に起業を促すことを目的として、Business Model Competition がアメリカで産声を上げたのは10年前のこと。ユタ州のブリガムヤング大学を中心に始まったこのコンペティションは、早稲田大学研究推進部参与の大江建氏らの尽力によって日本にも6年前に上陸し、個性豊かなスタートアップを輩出し続けている。現在ではアジア、アフリカなどにも進出を果たし、世界30カ国で展開され…

「BMC Global」産みの親 Jeff Brown 氏
Image credit: Masaru Ikeda

大学の院生や学部学生に起業を促すことを目的として、Business Model Competition がアメリカで産声を上げたのは10年前のこと。ユタ州のブリガムヤング大学を中心に始まったこのコンペティションは、早稲田大学研究推進部参与の大江建氏らの尽力によって日本にも6年前に上陸し、個性豊かなスタートアップを輩出し続けている。現在ではアジア、アフリカなどにも進出を果たし、世界30カ国で展開され、総勢6,000チームがエントリしている。

先頃、この Business Model Competition の産みの親でもあるブリガムヤング大学の Jeff Brown 氏が来日し、プロモーション活動を行った。日本でこのコンペティションに参加する大学を増やすこと、そして、コンペティションに参加する学生を増やすことが主な狙いだ。現在、日本では20の大学が参加しており、例年、全国で100〜150のチームがエントリしている。

<関連記事>

このコンペティションの日本予選は来年2月29日と3月1日、横浜のみなとみらい IFC(Innovation & Future Center)で開催される予定で、ここで優勝した学生は来年5月21日と22日にユタ州・プロボのブリガムヤング大学で開催される世界決勝に日本代表として出場し、世界中で開催される20のパートナーコンペティション(予選)を勝ち抜いた地域優勝者とガチンコ勝負を挑むこととなる。

Jeff Brown 氏が横浜で開いたセミナーには大学関係者や自治体関係者が多数参加した。
Image credit: Masaru Ikeda

これまで Business Model Competition は、IBMC(International Business Model Competition)の名前で親しまれてきたが、来年の開催から BMC Global(Business Model Competition Global)と名前を変えることが明らかになった。Brown 氏は「必ずしも国際的なビジネスモデルである必要がないため」と名称変更の理由を語った。

コンペティションの頭に International とついていたことで、エントリするビジネスモデルが国際的なものでなければならない、と誤解を与えてしまっていた。実際には、「Business Model Competition」を世界的に展開しているのに他ならない。そこで、後ろに Global をつける形に変え、ビジネスモデルが国際的なものに限っていないことをわかりやすくした。

BMC Global が他のスタートアップコンペティションと性格を異とするのは、学生に対する教育の一環と位置付けていることだ。事業としての可能性については多くを評価しないが、実際のところ、このコンペティションに参加したチームのうち、15%の人々は1年以内に起業に行き着いているという。ビジネスモデルの考案や仮説検証だけに満足せず、実際にエグゼキューションへと駒を進める挑戦者が多いのは喜ばしいことだ。

ブリガムヤング大学ビジネススクールの校舎
Image credit: Brigham Young University (BYU)

Brown 氏が運営責任者を勤めるブリガムヤング大学のインキュベーションセンターの場合、約150人の起業家や事業経営者が時間やお金を提供し(アーリーな起業家は時間を提供し、成功を遂げた起業家はお金を提供。各人の余裕に合った形でリソースを拠出してもらっているそうだ)、約200人いるメンターが学生らにアドバイスを行なっている。ここで指南される起業へのアプローチはリーンスタートアップの手法に近いもので、大学での単位にカウントされる仕組みは無いものの、昨年から今年にかけては、学部学生25,000人、大学院生5,000人が在籍する同大学で3,903名の学生(全学生の約14%に相当)がアントレプレナーシッププログラムに参加した。

BMC Global からはこれまでにビザ申請簡素化の SimpleCitizen(Y Combinator 採択、100万米ドルを調達)、幼児見守りの Owlet(R/GA Techstars 採択、4,800万米ドルを調達)、自動車修理に関わる見積・保険請求簡素化のEstify(Amplify.LA 採択、900万米ドルを調達)といったスタートアップが輩出されている。Brown 氏は毎年発表される GEI(Global Entrepreneurship Index=世界起業指数)について言及し、この値が世界各国の GDP 成長に及ぼしている影響をかんがみ、起業体験を得た人々が世界経済を牽引する中心的存在になれるよう、BMC Global を通じて世界の学生に起業への可能性への気付きを与えていきたい、と抱負を語った。

----------[AD]----------

GAFAが恐れる欧州委員会の旗手ベステアー氏「今はテック大手に分割を迫る段階ではない」〜WebSummit 2019から

SHARE:

本稿は、WebSummit 2019 の取材の一部である。 欧州委員会の競争政策担当委員 Margrethe Vestager(マルグレーテ・ベステアー)氏は、社会における技術の役割については楽観的であったが、テック大手は虐待的な行動を抑制するべきで、そうでなければ、厳しい規制に直面するだろうと述べた。しかし、彼女はこのようなテック大手を分割させる呼びかけを支持することに消極的であり、そのような動…

欧州委員会の競争政策担当委員 Margrethe Vestager 氏。
デジタル時代に向けた〝ヨーロッパ順応〟について WebSummit 2019 で語った。
Image credit: WebSummit

本稿は、WebSummit 2019 の取材の一部である。

欧州委員会の競争政策担当委員 Margrethe Vestager(マルグレーテ・ベステアー)氏は、社会における技術の役割については楽観的であったが、テック大手は虐待的な行動を抑制するべきで、そうでなければ、厳しい規制に直面するだろうと述べた。しかし、彼女はこのようなテック大手を分割させる呼びかけを支持することに消極的であり、そのような動きが大きな問題を解決する可能性は低いと主張した。

新しい欧州委員会の下で拡大する役割を担う Margrethe Vestager 氏は次のように語った。

競争の観点からすると、会社を分割させるのが違法行為の唯一の解決策である場で、何かをしなければならないことになるだろう。

現在直ちに、そのようなケースは存在しない。私はそれが起こる可能性を決して排除しないが、これまでのところ、会社を分割させることが解決策となるような大きな問題は存在しない。

Vestager 氏はリスボンで開催された WebSummit に登壇し、Laurie Segall 氏のインタビューを受けた。Segall 氏は自身のメディアスタートアップ Dot Dot Dot Media を立ち上げるまで、約10年間に渡 CNN のテクノロジー担当記者を務めた人物だ。Segall 氏は Vestager 氏のことを、シリコンバレーで最も恐れられる人物の一人だと紹介した。

実際のところ、過去5年間二渡 Vestager 氏がテック大手に対する厳しい批評家の一人であり、Apple が145億米ドル超もの税支払を免れようとしていたことを明らかにした、アイルランドでの税控除調査をはじめとして改革活動家らを率いてきた。彼女は規制当局に嘘をついて WhatsApp を買収したとして、Facebook をも追及している

彼女はこれまでに Google に対して、比較ショッピングサービスの利用を高めるため検索での優位性を乱用したとして27億2,000万ドルの罰金、モバイル OS の Android の支配的地位を乱用したとして50億ドルの罰金、競合を排除する一方で支配的地位を乱用しサードパーティのサイトが自社アドネットワークを優先するように強制を試みたとして16億9,000万ドルの罰金を課した。さらに、Google の AI を使った仕事探しプラットフォームが現在、精査中であることを示す兆候が見られる。

ロイターによれば、Vestager 氏はこの日行われた記者会見で、ApplyPay に関する独占禁止法違反の苦情が多いことを確認しており、どうサービスの調査に着手したことを明らかにした。

テック大手が新しいスタートを切ろうと考えたとき、新しい欧州委員会は Vestager 氏をさらに5年の任期に再任命し、彼女の守備範囲を独占禁止法に加えテクノロジー政策を含めるまでに拡大した。

近年、彼女がテック大手の狙撃手として浮上したことを考えると、これらの会社を分割するよう呼びかける政府の動きに彼女が参加する準備ができていなかったのは少し驚きだった。アメリカでは、Elizabeth Warren 氏のような大統領候補は、力を制限するために Apple、Google、Facebook、Amazon などの企業を分割する必要性について声高に語っている。

Vestager 氏は一方で、規制と執行の必要性についに目覚めたアメリカに拍手を送った。

私が感じるのは、非常に刷新されたものだ。関心だけでなく、質問を開始し、関与を開始し、調査を開始することで、「ここにも、私たち法の番人の役割があるかもしれない」と言って、アメリカ当局の関与が得られるようになった。それは歓迎すべきことだ。

しかし、Vestager 氏は対処すべき多くの大きな問題があることを固く主張している一方で、テック大手の小型化が実行可能なソリューションであるとはまだ確信していない。

その議論の問題は、それを主張する人々がこれを行う方法についてのモデルを持っていないことだ。そして(古代の)ある種の生き物についての話を知っているなら、頭を一つ切り落としても、また一つ、二つ、七つと出て来る。つまり、問題が解決しないリスクがある。もっと多くの問題が生まれることになる。……そのように問題が大きくなることを考えると、特別な責任を負うことになるだろう。

彼女はまた、トランプ大統領や他の人が主張しているように、これらの企業に立ち向かう意欲は反アメリカの偏見から外れていないと説明した。むしろ、これらの企業に蓄積された力は、小さなライバルが競争して新しいイノベーションを推進する能力を制限していると考えている。

多くの興味深い(小規模)企業が競合する可能性がないというリスクがある。テクノロジーが大手にしか組み込まれていないものになるとしたら、それは私たちの限界を超えている。そうなると、テクノロジーに対する信頼が失われると思う。そして、私の使命の一部は、私たちが潜在能力に到達できるようにすることで、テクノロジーに対する信頼を築くことだ。

彼女が見たいのは、企業が彼らの言葉に合致したより多くの行動を取ることだ。 政治広告の場合、Twitter がそのような広告を終わらせるといった最近の発表を彼女は称賛し、Facebook が同じことをするのになぜ苦労しているのか不思議に思ったという。さらに、なぜ多くのプラットフォームがこれほど虐待的な振る舞いを許容しようとしているのかと尋ねた。

すべての結論として言えることは、我々は新しいテクノロジーを手にしているかもしれないが、そこに新しい価値は無いということだ。

我々はリアルの世界では、何を受け入れたくて、何を受け入れたくないか、長く深く議論してきた。それがデジタルの世界では同じようにしない理由がよくわからない。リスクは民主主義を完全に弱体化させることだから、オンラインでより議論を重ねるべきでだろう。

具体的には、彼女は Facebook CEO の Mark Zuckerberg 氏に、虐待に対処するためのさらなる取り組みを呼びかけ。

彼自身が言葉通りに行動を起こせば、急速に変化するだろう。そして、それは大歓迎だ…私は Facebook の CEOではない。…しかし、彼らは彼らの言葉通りに行動を起こすべき時が来たと思う。

彼女は新しい役割のもと、人工知能(AI)に関する規制を作成する責任を負っている。これはヘルスケアや気候変動のような大きな問題を解決するための計り知れない可能性があると信じている分野だと彼女は述べた。しかし、AI を規制してもルールがすぐに時代遅れになるリスクがあるため、「非常に注意が必要だ」と彼女は述べた。

AI は進化の途上にある。AI が人間のやりたいことをどう支援するかには制限が無く、これは素晴らしいことだ。

しかし、我々は AI を信頼できるよう礎石をコントロールする必要がある。偏見を受け入れ、我々が今持っている世界を取り込んで AI に移すのなら、そういった問題が固定化されてしまう。

このような警戒は今後大きなものになるだろう。なぜなら、最大手のテック企業らは野心をさらに大きくすることを明確に設定しているからだ。

ローンチする新しい Google のサービス、Facebook Libra の計画、Apple のストリーミングサービスを見ると、さらに大きな野望が見られる。

テクノロジーの役割とハイテク大手の影響について悲観論が高まっているにもかかわらず、Vestager 氏は、規制当局が問題を管理し、市民と生活を変えつつある製品との間の信頼確保を支援できるとの希望を持っている、と述べた。

もし私が楽観主義者なら、それは道徳的義務だと思うからだ。悲観論者は本当に何も成し遂げることができない。明日はもっと悪くなると思うから。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

----------[AD]----------

「1番楽しんで、1番楽しませる会社を創る」ーーU25「起業・新基準」/テイコウペンギン・Plott代表、奥野さん

SHARE:

本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会を定期的に開催中 20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のライブチケット見逃し防止「Freax(フリークス)」を運営するSpectra代表取締役の浅香直紀さんに続いて、今回はPlott(プロット)代表取締役、奥野翔太さ…

01.jpg

本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会を定期的に開催中

20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のライブチケット見逃し防止「Freax(フリークス)」を運営するSpectra代表取締役の浅香直紀さんに続いて、今回はPlott(プロット)代表取締役、奥野翔太さんに登場いただきます。同社はYouTubeアニメチャンネルで「テイコウペンギン」などのコンテンツ制作を手掛けるスタートアップです。

今回もUpstart Ventures、上杉修平さんにインタビュワーとして参加してもらい、お話をうかがってきました(太字の質問は全て上杉氏。執筆・編集:平野武士)。

奥野翔太さん:1995年生まれ。筑波大学在籍中からネット関連の事業ディレクションやメディア運営などに携わり、その後、ARコンテンツ制作のGraffityにて勤務。2017年にPlottの前身となる会社を起業。YouTubeアニメ「テイコウペンギン」は2019年1月の公開から約半年でチャンネル登録者数35万人を記録。

02.jpg

このインタビュー連載にはバーチャルYouTuber(VTuber)「ミライアカリ」所属のZIZAI代表取締役、塚本大地さん、「にじさんじ」を運営するいちから代表取締役の田角陸さんに登場いただいてますが、今度はアニメですね。

奥野:もうですね、YouTubeチャンネルを一緒に作ってくれるディレクター人材やクリエイター人材を絶賛募集中なので、Wantedlyからビシバシ連絡ください!Twitter DMもガンガン待ってます!(笑。

勢いありますね。このテーマ(笑。ただ、奥野さんの場合アニメですよね。最初からここ狙ってたんですか?

奥野:元々コンテンツはずっと作ってました。その前はVTuber事業をやってたんですが、僕らは簡単にいうとVTuber市場でボロ負けしました。同世代の田角さんがめちゃくちゃ数字伸ばしているのを見て心底悔しかったし、TXS(Tokyo XR Startups)のデモデーでも他の同期の会社と比べて圧倒的に結果を出せてなかった。負けない事業を作りたいと思ったんですよね。

TXSにはActiv8も参加してる

奥野:はい。当時はキズナアイのチャンネル登録がデイリーで4000人増加してる一方、自分たちは100人増えたら良い方。ただその時、さらに伸ばしていたのがフェルミ研究所だったんです。誰も注目していなかったのに、一番ブームだったときのミライアカリやキズナアイと同じくらい伸ばしていた。それに加えて僕たちは、最終的にマスに届くようなキャラクターを作りたいと思っていたので、今のテイコウペンギンの事業に落ち着いた感じです。

それでもアニメも乱立市場ですよね。テイコウペンギンが一気に今のポジションを獲れたのはなぜ

奥野:コンテンツに対するこだわりは他社とはかなり違っていると思っています。僕自身、3年間くらいずっとコンテンツを作っては壊し、ということをやってきているので圧倒的にナレッジが溜まってるんです。またVTuber事業で強いプロデューサーの人たちと話す機会がとても多かったこと、またエグゼキューションの部分で他社の「YouTubeハック」はまだまだ弱いのではないかということが挙げられるかもしれません。

03.jpg

その中でも、奥野さんが大切にしてるエグゼキューションのポイントってどこにあります

奥野:「需給の歪みを掴む」「1つだけ外す」ということです。新しすぎること、古すぎることはビジネスとして成立しないと思っています。顕在化している需給の歪み、みたいなものですね。今やってる事業もYouTubeを毎日見ていて気づいた歪みにコンテンツを当てたものです。だから需給の歪みを掴むために市場のインサイダーになれるくらい研究することが大事かなと。

ただ、需給の歪みが生じていたとしても他と同じものをリリースしたら突き抜けることはできません。そこで差分を作るわけですが、それも違いすぎることはNGで「1つだけ」差分を作るくらいが市場に受け入られやすいのかなと思っています。

少し話を変えて。奥野さんの究極のゴールや結果ってどこなんですか

奥野:会社というプロダクトを作りきりたい、という思いがあります。Plott自体も数年でどうこうという話ではなく、数十年、世紀といった視点で続く会社作りや組織づくりをしています。そのためには長く続くIPを作らないといけませんし、その第一目標としてまずはYouTubeで市場を取り切り、その後はここ以外でも展開可能なIPを生み出していきたい。最終的にはエンタメ企業として、この世代で日本を牽引できる存在になりたいですね。

下支えするモチベーションみたいなの、奥野さんを駆り立てるものってなんなんでしょう

奥野:元々は「一番面白いことしたい!」という思いですね。よく文化祭で漫才したりするような人っているじゃないですか。自分はそういう感じの人間で。学生時代に大学近くの会社で働く中でビジネスや経営者というものに触れて「世の中に対してハッピーを届けて、社員にもハッピーを届ける」って最高じゃん!と思って起業に至っています。

さらに同世代の存在というのも刺激ですよね

奥野:僕の高校の同期が大学に行かずにそのまま芸人になったんですけど、当時それに誘われていて断ったんですよ。

04.jpg

え、奥野さん芸人に誘われてたんですか

奥野:はい(笑。彼が個人としてのエンターテイナーとして突き抜けるなら、僕はそれよりももっと組織を作って、その組織でしかできない規模のエンターテイメントを創り出してNo.1になりたいというモチベーションがその時生まれたと思います。

あと突き抜けたい存在になりたいというのが根底にあります。僕が大学一年生の時に南野くんがA代表でワールドカップに出ていたのですが、僕彼と同い年なんですよね。僕は大学の寮で試合を見てるのに、彼らは日本の代表としてめちゃくちゃ頑張っていて、それが悔しかった。後は、根拠のない自信ですね(笑。それを証明してやるぞ、と。

エンタメ系のコンテンツが多いのはそこが原点なんですね

奥野:今までチャレンジした事業もゲームやドラマや動画メディアやライバーマネジメント、VTuberなどエンタメ系の事業だけです。事業をやっていく中で元々持っていた思いがさらに鋭くなっていって、今は「1番楽しんで、1番楽しませる会社を創る」という思いで会社をやっています。

学生起業ということで、当時からいろいろ事業に興味あったっていうことなんですが、どんな学生時代だったんですか

奥野:エンジニアか文系か迷っていました。学科の9割くらいが大学院に行くような情報系の学科だったので、周りはエンジニアが多かったです。ただ、自分はもっと全体を見たくって。そのためにビジネスをかじりたいと思い、短期の海外インターンシップに参加したのが始まりですね。

お店の事業課題を解決するというインターンだったんですけど、その時に、ビジネスって人に良いことをしてお金をもらって、自分たちもハッピーになるという素晴らしい仕組みだと気づいて。

05

なるほど、それで路線が決まった

奥野:帰国後にすぐ筑波にあるベンチャーでインターンを始めました。当時は大学の授業にも行きながら、週6通ってほとんどフルコミで働いてました。事業としては、筑波大生向けの就職あっせんや仲介、バイトの仲介、アパートの仲介などです。チラシを作ったりディレクションしたり、採用、営業などなんでもやってましたね。経営陣直下で働くことで偉大な経営者になることが人生目標にセットされました。

起業したくなった

奥野:ビジネスに興味を持つ大学2年の頃は大学のサークルを自分で立ち上げて150人くらいの組織にした一方、サークルなのでやっぱり組織として完成しきれなくて悔しい思いをしました。そこをビジネスの領域でやりたいと思ったのもきっかけとしてはあります。

そこからテイコウペンギンまでしばらく時間ありますけど何をされていたんですか

奥野:大学4年で休学し、最初はARゲーム事業を始めたんです。ただ、この開発って数億円くらいかかるんですよね。それに気付いて撤退しました。それで動画メディアにピボットし、コント動画やエンタメ領域の分散型動画メディアを始めました。この時にPlottの前身の法人を設立してます。

ただ動画メディア自体もそこまで伸びず、その後は関わったライバーさんをマネジメントする事務所的なことをしていたり、インフルエンサー向けメディアを作ってみたり。

その頃ですね、Vtuber領域に興味を持つようになったのは。腐女子向けのVtuber検討したのですが、一方でもうちょっとスタートアップ村に入らなければいけないし、最先端のエンタメコンテンツに触れたいということもあり、そこでGraffityにジョインしました。

で、Graffityを卒業して独立

奥野:TXSに参加したのがその頃です。そこでの参加者や國光さんらとディスカッションする上で、自分たちしかできないVTuber領域があるんじゃないかと。元々ゲーム作っていたのでUnityも使えるし、動画メディアもやっていたのでスキルセット的にもぴったりじゃん。感情的にも、エンタメ領域で大きい会社を作りたいと思っていたので、そこもフィットしていました。

06.jpg

奥野さんのメンターってどなたなんですか

奥野:メンターでいうと圧倒的に國光(宏尚)さんです。ソシャゲ・動画メディア・SEOメディアなどのコンテンツ領域の知見だけでなく、コンテンツから見る世の潮流のようなマクロな知見も相当に勉強させてもらっています。それ以外にもGraffityのトシ(森本俊亨)さんや、17kgの秋山(洋晃)さんにも相談してます。トシさんには起業家の先輩として起業家マインドを定期的に叩き直してもらっていて、秋山さんには経営者として組織面をご相談することが多いですね。

奥野さん組織づくりすごいこだわりありそうですよね。すごくワードが出てくる

奥野:誰かの課題を解決したいという外的要因で起業しているというよりは、面白いことをしたいっていうモチベーションと、めちゃくちゃ良い組織を作りたいというモチベーションが二大要因なんです。

今って何人ぐらいで事業運営されてるんですか

奥野:現状組織は全体で20人ほどです。20代の若いクリエイターがほとんどの会社で、オープンな組織、IQよりEQ、多様なクリエイティブを重視するなど、かなり組織における雰囲気やコミュニケーションを意識してます。元々、ユーザーを楽しませるのはもちろんですがそれ以上に働いている人たちが楽しんでいる会社にしたいと思っていました。

最後に。スタートアップの周りの環境はいかがですか

奥野:エンジェルや先輩・同世代起業家がたくさんいて非常に起業には優しい環境です。とはいえこのスタートアップ村に入っていないとリファレンスが取れなくて、まともな投資家やエンジェルからのサポートがもらえなかったりすることがあるのも事実です。自分は起業を志してから上京した地方勢なんですが、地方から上京してスタートアップする人たちも多いので、その辺りは何かあるといいかなと思ったりしますね。

今後の活躍期待しています。ありがとうございました。

----------[AD]----------

自己紹介だけで個人を特定できるリザーバコンピューティングのスゴさ、QuantumCore秋吉氏に聞く「深層学習(LSTM)の次」

SHARE:

2012年の画像認識コンテストILSVRCでの圧勝、Googleの猫認識から巻き起こった第三次AIブームを牽引する技術がディープラーニングであることは周知の通りです。ウェブの発達による大量のデータとそれを処理できる計算機の能力の向上がブームを後押しし、ソフトバンク社長兼CEO宮内謙氏の「データは石油」という言葉は記憶に新しいと思います。 1969年に渡辺慧氏が提唱した「みにくいアヒルの子の定理」に…

IMG_0241.jpeg
QuantumCore代表取締役CEOの秋吉信吾氏

2012年の画像認識コンテストILSVRCでの圧勝、Googleの猫認識から巻き起こった第三次AIブームを牽引する技術がディープラーニングであることは周知の通りです。ウェブの発達による大量のデータとそれを処理できる計算機の能力の向上がブームを後押しし、ソフトバンク社長兼CEO宮内謙氏の「データは石油」という言葉は記憶に新しいと思います。

1969年に渡辺慧氏が提唱した「みにくいアヒルの子の定理」によると、人間の識別・認識の本質は特徴の選択・抽出です。機械学習においても「次元の呪い」を避けるために、ビッグデータから特徴の選択・抽出を行う必要がありました。ディープラーニングのブレイクスルーはこの「特徴を自ら抽出できる」部分で、人間が特徴を抽出するより精度が良い結果が生まれ始めています。

一方で、「AI≒ディープラーニング」のブームが加熱してバズワードとして浸透したため、なんでもできるという誤った認識が企業に多くの失敗を生み出しました。当然ですが、ディープラーニングにも得意・不得意があり、十分な精度を出す条件を満たすのは簡単ではありません。

本稿では再帰ニューラルネットワークの一種である「リザーバコンピューティング」を活用して、ディープラーニングが取れない領域を狙うQuantumCore代表取締役CEOの秋吉信吾氏にインタビューを実施し、今後注目すべき「リザーバコンピューティング」とは一体何か、その技術で実現したい社会とは何かを伺ってきました。(太字の質問は全て筆者)

image3.png

2018年4月、エンジニアリングに精通する3人によって創業されたQuantumCoreは、テクノロジードリブンで事業展開をしています。創業2年目にしてR&Dを構え、社会実装に向けた基礎技術の積み上げも行っています。課題解決能力に強みを持つQuantumCoreが目指す社会とはどういうものなのでしょうか。

QuantumCoreが実現したい社会を教えてください

QuantumCoreの究極の目標は、世の中の「一極集中」の解決です。世の中には波動問題が存在すると思っています。どういうことかというと、朝の通勤ラッシュの混み具合、待機児童、長時間労働、介護、子供の見守りなどの問題は絶対的なリソースが不足しているわけではなく、本質的な課題は一極集中していることだと思うんです。これをうまく“ならす”ことが我々の目指すところです。

目標のためにどんなことが必要になりますか

マクロで見ると波動(世の中の流れ)を捉えて、機械学習などで世の中を予測することです。その上でリソースの再配置を行う必要があります。

ミクロで見ると各領域の負担の軽減が必要。たとえば介護見守り系では、24時間365日ご老人を見ておかなくちゃいけないが、カメラを付けるとプライバシーの問題があります。似たような話で、オレオレ詐欺、子供の見守りでも知ってる方の声を登録しておくことで初めて声をかけられたかどうかが分かるようになります。これまでの機械学習ではパーソナルなデータを大量に集めてモデルを作り、その上で製品に適用するため実現できませんでした。

秋吉氏らが目標を実現するために選んだのが「リザーバコンピューティング」と呼ばれる再帰ニューラルネットワークの一種。2000年代初めに Echo State NetworkとLiquid State Machineで提案された学習モデルです。

時系列情報(時間ともに変化する情報。たとえば毎月の売上、音声・映像データなど)の機械学習に適しており学習が極めて早いのが特徴ではあるが、扱うデータに合わせて各要素を調整じづらい側面があります。そのため期待はされつつも深層学習(LSTM)に比べても知名度は高くありませんでした。

IMG_0234
数キロバイト程度のメモリで時系列処理が扱える

Quantum Core のコア技術について教えて下さい

リザーバコンピューティングは複雑系力学といわれる物理分野で研究されてきたものを活用したものです。世界ではまだあまり使われていませんが、少ないデータでリアルタイムで学習ができる強みを持っています。

深層学習を適用した製品は日々正常値が変わる環境では使いづらいのが現状です。チューニングし直したいという要望が出てても、データを取り直して再計算する時間が必要で現実的ではありません。特に、パーソナルヘルスケア分野では製品の購入者ごとに適用させることが求められますが、何万件というオーダで個人のデータは中々取れません。

「少量データ、リアルタイム学習」の特徴を持つリザーバコンピューティングでは、数十秒程度でキャリブレーションをかけてすぐに使えるようにできます。また、現在提案している例でいうと、議事ログを自動作成するシチュエーションで、一人あたり大体十秒以下のデータで学習可能なので自己紹介だけで個人を特定することが可能になります。

もう少しリザーバコンピューティングについて教えてください

リザーバコンピューティングの本質は特徴抽出器です。ディープラーニング全般には特徴抽出する部分と判定する部分があって、特徴抽出する部分が中間層と呼ばれます。リザーバコンピューティングでは中間層(リザーバ層という)を一切更新しません。

出力層だけを学習するため、出力層には何をおいても構いません。(ランダムフォレスト、ディープラーニングなども可能)。普通なら良い特徴を取るために、大量のデータを流し込んで、特徴を捉えるための中間層のフィルタを育てる必要があるんです。

では、なぜ特徴抽出ができるんでしょうか

例えると、水面が複雑系力学と同じです。水面に小石を投げ込んだら波紋が発生します。その波紋は小石の重量・大きさ・形・スピードの特徴を全て含んだ形になるので、ここの波紋を特徴として使いましょう!という発想がリザーバコンピューティング。ただし石一個だとメリットが分かりづらくて面白くないんですが、小石を1,2,3と投げ込むと波紋がどんどん湧いて、2個目の波紋は1個目の波紋を含んだ形になります。最後の波紋を見れば全ての小石の特徴を含んで、かつ時系列の関係を踏まえた波紋が取れるんですよ。

image2

リザーバは日本語にすると溜め池です。リザーバ層は投げ込まれた情報を波紋のようなパターンに変換する装置とみることができます。この波紋を観察することで特徴量を抽出するのです。つまり、リザバーコンピューティングの最大の狙いはリザーバ層が生成する波紋パ ターンから簡便なアルゴリズムを用いて、時系列入力の識別を行うことだということです。

ここで気になることがあります。前述の通りリザーバコンピューティングが提案されてから10年以上が経過しています。なぜ現在まで社会実装されてこなかったのでしょうか。

リザーバコンピューティングの技術が登場したのは2000年代初めです。これまで精度向上を実現できなかったのはなぜですか

マシンパワーが足りないのが問題でした。具体的には、リザーバ層のレイヤーを非常に大きくしないと複雑な問題が解けませんでした。あまりにレイヤーが大きくなると、計算量が大きくなるし、メモリに収まらないし、本末転倒になってしまいます。

そんな中、QuantumCoreは業界で初めて、リザーバコンピューティングを活用した多変量時系列処理ソリューションで深層学習(LSTM)を大きく上回る精度と短学習時間を達成しています。どのようなブレイクスルーがあったのでしょうか

要はリザーバ層のレイヤーを小さくしながら、複雑の問題を解ければいいわけです。特許出願中のため詳細はお伝えできませんが、リザーバ層に適した前処理を加えました。これで小さなリザーバ層のレイヤーで複雑な問題が解けるようになりました。

イメージをお伝えすると、センサーと音の発生源があるとします。音が発生すると物体の中を伝達する波と表層を伝わる波、そして空気中を伝わる波がそれぞれ合わさってセンサーで受信されます。これをそれぞれの波に分解する技術にブレイクスルーがあります。通常はこれをうまく学習アルゴリズム内で分解してやらないといけません。そのため大きなネットワークが必要になってしまうんです。

ディープラーニングであれば、ニューラルネットワークを多段にして高次の特徴量を得るという発想は以前からありましたが、マシンパワーと頑健性という方向性で実現したと思います。これはどういう方向性の発想だったんでしょうか

機械学習に全て任せてしまわない、という発想です。特徴を捉えるところは機械学習に任せる。そして複雑に絡み合った情報をバラしてあげるところはまた違うアルゴリズムを適用すれば良いんです。

入力する前のデータに信号処理を加えることで精度向上ができるということは、使うセンサーの種類が増えれば様々な状態検知できるのでしょうか

レーザーでもできるし、カメラでもできます。現在、R&Dで非接触のバイタル系も取り組んでいます。今は医療機器の扱いになるので製品として出せませんが、カメラを使ったバイタル、レーダーを使ったセンシングを社内でやっています。人間の顔の皮は薄くて血流が見えるので、ここのピクセルを解析することで脈を見たり、血圧を見たりできます。

今までだったら多数の方からその人の見て異常を当てることはできましたが、その人にとっての異常が検知できませんでした。少量データでその人の平常状態がわかるので、異常なデータを推定でき、密接な異常検知の実現を期待しています。

画像の分野ではディープラーニングが強いと感じていますが、そうではなくなる可能性があるんですか

ディープラーニングが流行ってはいますが、適用できるのは画像処理ぐらいだと思っています。当初我々は画像分野以外を取りにいこうと考えていました。

しかし状況が変わって、レーダー技術に独自技術とリザーバコンピューティングを組み合わせることで画像認識領域をカバーできてしまいます。人の検知だったり、動きの検知だったり。更にカメラでは被っていて撮れなかったものがレーダーだと取れるので、今は画像分野でも意外と勝負できると感じています。

ここからは現在の戦略について教えてください。WebAPIを公開していますが、これの狙いはなんでしょうか

リザーバコンピューティングは認知度が低いです。その中で良いじゃんこのアルゴリズム!と思ってもらわなければなりません。そのため導入しやすいWebAPIの形態で、幅広いエンジニアの方に使っていただきたいというのが狙いです。REST APIの形式で提供しているのでWebエンジニアにも含めて親しんでもらい、手軽にWebのサービスに利用していただきたいと考えています。

ターゲットはエンジニアということですね

ハマるところはエンジニアの現場だと考えています。現場は少量データしかないがビッグデータをなんとか作らないといけない、さらに計算量すごいかかると悩んでいました。問題意識を持っているエンジニアと現場に刺したいです。

エッジとして提供を開始しました。同じ狙いでしょうか

WebAPIと同様に取っ掛かりとしています。Raspberry Piに組み込んですぐに使える形です。さらにARMのcoretex m4fに移植開発をして提供します。事業会社とはPoC(Proof of Concept)をEdgeの形で検証して、事業会社が持つ製品に組み込むこともやっています。

事業会社視点だと「導入のしやすさ」にインパクトがあると感じました。実際PoC製作に取り組んでいる事業会社にはどのような点が評価されていますか

今のQuantumCoreは駆け込み寺的なところがあります。ディープラーニングでやってみたけどうまくいかなかった事業会社に刺さっているんです。「手元に少量データしかなくてあってうまくいかなかったんです」「それ貸してください、やってみます」で結果を出してしまうので驚かれます。それに加えてPoCの結果は2カ月程度で出ます。その早さにかなり驚かれますね。

QuantumCoreの開発は時系列を扱う機械学習の発展にインパクトがあると感じます。

実際、時系列データのパターン認識は広い分野で必要とされています。応用できる例を挙げると、医療(心拍、バイオマーカ、fMRI、眼球運動)、機械(車両、ロボット、アクチュエータ)、通信(電波、インターネット通信)、環境(風力、オゾン濃度、廃水、地震)、安全(暗号)、金融(株価、株価指数、為替)など多岐に渡ります。

さらにエッジコンピューティングとも大変相性が良いです。秋吉氏によると、数キロバイト程度のメモリで時系列処理が扱えるそうです。メモリが必要ないとエッジコンピューティングが目指すセキュリティ向上、プライバシーの保護、通信量削減に加えて、消費電力を抑えることが可能になります。ウェアラブルデバイスのように小型化、持ち運び負荷を小さくしたいものにとっては避けては通れない問題です。

要するに、QuantumCoreの技術はソフトウェアがより知性的に振る舞い、IoTの普及にネックだった問題が解決する可能性があるということです。

ここからは、技術の話を離れて最新技術を社会実装するスタートアップとして行ってきたことについて聞きたいと思います。

起業をしたきっかけを教えて下さい

2020年までに自分の事業を持ちたいと考えていました。ベンチャーキャピタルとして他のスタートアップと話をし、手を動かす経験から自分が主体となってやってみたかったのです。

元々AI関連技術に興味を持っていたので、2012年ぐらいに独学でディープラーニングの勉強を始めました。その後、Mistletoeに入社してディープラーニング周りの話者認識や画像認識だったりに携わっていました。その要素技術を使って色々やっていきたいと思っていたんです。

現場では時系列データを扱うことが多かったので、深層学習をする時や既存のアルゴリズムを使う時に、無駄が多いなと感じていました。特にディープラーニングだとデータを画像認識の技術に適用して分析しなければなりません。これは非常に非効率です。

個人的に色々文献を調べているうちに、意外と人間の脳はすべてを学習しているわけではなくて、最後の出力のところだけを学習してるらしいと分かりました。この知見は活かせると感じていたときに、リザーバコンピューティングに出会ったんです。これは自分でやりたい、と思って起業を決意しました。

その後、ブレイクスルーまではどのようにたどり着きましたか

リザーバコンピューティングでいこうと決めて、何もプロダクトはありませんでしたがCEATECに出展することにしました。作る物はデモ受けを考えて話者特定にして2週間でデモを作ったのですが、リアルタイム学習データを見せるために計算量が非常に少なくて済むようにしなければいけませんでした。それはつまりリザーバレイヤーを小さくしないといけないということです。

問題の本質を追及したところ、信号があまりにも複雑すぎるというところに行き着きました。複雑な波形を分解するのを機械学習でやるのは本当に正しいのかと。特徴抽出でやるのが正しいのかと。別アプローチがあるんじゃないかと考えた結果、良いアイディアが生まれました。

image1.png
CEATEC:毎年幕張メッセで開催されるアジア最大級の規模を誇るIT技術とエレクトロニクスの国際展示会。

人工知能学会(JSAI2019)に出展されていたと思います。NIPSなどの国際学会に参加される予定はありますか

R&Dも行ってはいますが、社会実装に持っていきたいと思っています。基本は事業会社の方に来ていただいて、その方と話を進めていきたいと考えているので予定はないです。

東京大学の池上高志教授が2019年1月から技術顧問と参加しています。現在はどのよう関わり方をしていますか

普及とコアの研究開発を推進する、この両輪を揃える目的でコメットメントの依頼をしました。具体的には、シンポジウムの登壇依頼、案件の相談(研究への発展)などです。社会実装へ向けて研究的な視点から多大なお力をお借りしています。

この手の技術は怪しいと思われてしまう可能性があります。実際、リザーバコンピューティングはなぜ上手くいくのかわからないところが多いんです。懸念点を払拭するために、長らく研究されている方に説明いただいた方が信用できるだろう考えています。さらに今後リザーバコンピューティングのコア部分も発展させていきたいので改良ポイントなどをご相談させてもらっています。

最後に今後の展望とそれに必要な要素があれば教えて下さい

リザーバコンピューティングで本格始動して1年経過しました。この技術は何に使えるかはといえば、何にでも使える技術です。そのため、本当に一番当てはまるのはどこだろうと模索してきました。段々とハマりどころが見えてきた中で、進化していくためには事業開発をもっと強化する方針です。

もう一つは、8月に発表した電通国際情報サービスとの取り組みで画像認識アフターで適用できることが分かりました。それに加えてレーダー技術を組み合わせることで、画像認識をディープラーニングを使わないことで置き換えれるんじゃないか、と新しい可能性が見えてきました。そのため新しいセンシング技術を使った研究開発を進めるのは必須だなと考えています。センサの知見がある方は技術者として入ってきていただきたいです。

ありがとうございました

----------[AD]----------

継続的にエンタメコンテンツが生まれる社会にしたいーーU25「起業・新基準」/「Freax(フリークス)」運営・Spectra代表、浅香さん

SHARE:

本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会を定期的に開催中 20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のバーチャルYouTuber(VTuber)「にじさんじ」を運営するいちから代表取締役の田角陸さんに続いてはライブチケット見逃し防止「Freax(フリークス)」を…

spectra_001
写真左から:Upstart Ventures上杉修平さん・Spectra代表取締役の浅香直紀さん

本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会を定期的に開催中

20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のバーチャルYouTuber(VTuber)「にじさんじ」を運営するいちから代表取締役の田角陸さんに続いてはライブチケット見逃し防止「Freax(フリークス)」を運営するSpectra代表取締役の浅香直紀さんに登場いただきます。

今回もUpstart Ventures、上杉修平さんにインタビュワーとして参加してもらい、お話をうかがってきました(太字の質問は全て上杉氏。執筆・編集:平野武士)。

d44104-1-798502-0

浅香直紀さん:1993年生まれ。中央大学卒。学生時代にTechouseでJEEKのマーケティング・新規事業開発を経てメルカリに入社。メルカリJPのグロースとソウゾウの立ち上げメンバーとしてメルカリ アッテの開発を担当。大学卒業後に新卒1期としてメルカリに入社し、メルカリ アッテのグロース・メルカリ メゾンズの立ち上げを経験。2018年3月にSpectraを創業し代表に就任

5月のiOSアプリ公開から4カ月、ジェネシア・ベンチャーズからの出資も公表されました

浅香:おかげさまでプロダクトに力を入れていくフェーズになったこともあり、絶賛採用中です(笑。特にクライアントエンジニアやマーケター、デザイナーを募集しています。またFreaxにとどまらず、音楽業界のデジタル化のサポートについては積極的に推進したいので、アーティストや事務所、レコード会社の方とはいろいろお話したいですね。

アーリーなステージの資金調達でどのあたりを意識されましたか

浅香:特にこのステージの株主はお金を出してくれるだけではなく、何かしらの価値を提供してくれる人がよかったと思っていました。C向けのプロダクトを作ることは決めていたので、株主としては、お世話になっていた人か、C向けのサービスの経験がある方。

中でもロジックでサービスを作って展開していくタイプの人、感性や直感でサービスを作るタイプの人の二種類の人を入れようと考えていました。

結構細かく考えられたんですね・・・。ところでSpectraでは当初、別の事業を並行していたそうですが

浅香:3つやっていたんですが、全てアイドル領域のウェブメディアでした。2018年4月、6月、8月に一個ずつ立ち上げており、トラフィックはそれぞれちゃんと出ていましたね。

なぜそれを捨てることに

浅香:SEOのメディアをやっていたのもあり人手も必要になって来て、共同創業者の露木(修斗氏・取締役)と次第にコミュニケーションが少なくなってきて、意思決定の軸がズレ始めたんです。それぞれが持ってる事業に対する意思決定で精一杯で、会社に対する意思決定ができなくなって。

11月にオフサイトして、今後どうするかを話し合おうという話になり、事業ドメインの再選定になりました。より大きい戦いをするために必要な意思決定は何か、というテーマです。

IMG_0513

好調だったらなおさらズルズルいってしまいそうな状況ですね

浅香:SEOでフックするサービスだとライトなファンから広告でお金を取るビジネスモデルになってしまいます。一方で自分たちがやりたいのは、アイドル業界や音楽業界に良い影響を産むために、熱量の大きなファンの人を相手にしつつ、事業者側も幸せにするということだったんですよね。

お互いの考えが言語化できた

浅香:はい。音楽領域を選んだのはCDからストリーミングやライブといった収益構造の転換や、インディペンデントアーティストなど海外を中心としたアーティスト活動の形の変化などのタイミングが重なったことも大きいです。

昨今の情報の絶対量・収集チャネルの増加に対して課題感を感じていて、一貫して「情報を最適に届ける」ことで機会損失をなくすこと・機会を最大化することにフォーカスしよう、と決めました。

具体的にどういうフローで検討を進めたのでしょうか

浅香:サービス自体は情報のマッチングが適切でないことによる機会損失から検討しました。具体的には「自分たちのアーティスト時代に継続的な周知・集客が難しかったという原体験」「1ファンとしても情報を追いきれてない」という状況をベースに、過去の事業で「自分の好きなものの情報を受動的に網羅的に受け取る」というニーズを掛け合わせた感じです。

ライブチケットの見逃しを防ぐ、というピンポイントなテーマですが、どのような展開・拡大イメージがあるんでしょうか

浅香:足元では熱量の高いファンを中心に「ファン活動をするならFreax」といった純粋想起をとることですね。対応チケットサイトの増加や正しいイベント情報の表示といったデータ量・質の担保、ライブにいったログをストックで残せるようにする機能など、ファン活動を面で抑えられるようなサービスにしていく、というのが当面の予定です。

一方、中長期の視点では、Freaxが使われることで溜まる「事務所やレコード会社などの縛りがない横軸のファンの行動データ・嗜好性データ」を使って音楽業界のデータマーケティングのようなプレイヤーがデジタル化することで恩恵がある部分のサポートを計画しています。

spectra_002.jpeg

ちょっと話題を変えてスタートアップする前の浅香さんについて。大学在学中はTechouseでインターンされてたそうで

浅香:大学2年生の夏休み、英語ならできると思って留学したんですが思ったようにコミュニケーションが取れず歯がゆい思いをしまして(笑。英語よりももっと汎用的な、ビジネススキルを身につけようと「インターン」で検索して一番上にヒットしたのがJEEKだったんです。

すごい。検索で人生が変わった(笑。その後、2016年の新卒一号社員でメルカリに

浅香:大学在学中にインターンでジョインしました。ソウゾウを立ち上げる前の松本(龍祐)さん直下で新規事業を作るという内容でした。その流れですね。

業務としてはどんな経験を

浅香:アッテの時は40人くらいの組織だったので、結構分業してやっていました。その後に携わったメゾンズは市場調査から入り、そのデータからどのジャンルのどの課題にフォーカスするのか、そのためにどんなサービスを作るべきかなど、基本的にサービスを作ることに関しては全部やっていました。

サービスをどう作るか、アジャイル開発、MVPの作り方などはメルカリで相当学ばせていただいたので、その経験は創業にかなり活きていると思います。

ソウゾウも新規事業がメインだった思いますが、社内の新規事業ではなく、自分で企業をスタートアップさせる時にどのようなギャップを感じましたか

浅香:メルカリで働いていた頃にいた自分の他のメンバーは、自分が採用したわけではなかったのですが、自社を創業した時は当然ですが自分で採用しなければなりません。ただメルカリの時のような強いメンバーを採用できるかと言われるとそれは相当難しい。一方でプロダクトは同じレベルのものを作りたいという葛藤はありました。

インターンの採用はかなりうまくできていて、採用媒体経由だと最高で週に100人以上の応募をいただけるぐらいにはなっています。ただ中途となるとまた話は別で、今いる組織を抜けて別の組織に入らなければいけないので、かなり難易度が高いですね。

逆にメルカリに残って新規事業を立ち上げる、という選択肢はなかったんですか

浅香:メルカリって何か新しいことをやる時、例えば青柳(直樹)さんを引っ張ってこれるような組織なんです。今後のキャリアを考えた時に、裁量権という観点で不安が残ったのは正直ありました。あと、メルカリにとってメリットがある形かどうかが肝であって、自分がどういうサービスをやりたいかとの折り合いをつけるのも難しかったですね。

で、自分たちで創業と

浅香:2017年の年末に会社を作る意思決定はしてたので、2018年頭からお世話になった人たちへの挨拶回りから開始しました。(イーストベンチャーズの松山)太河さんと松本さんには近況報告してすぐに出資するよとの言葉をいただいたり、その後、10Xの矢本(真丈)さんに堀井さん(Fablic創業者の堀井翔太氏)と大湯さん(コネヒト創業者の大湯俊介氏)をご紹介していただいたりして、2018年3月には会社設立、という流れです。

IMG_0518

浅香さんを突き動かしてるものってなんですか

浅香:そもそも自身の成長意欲自体が強い方なんです。

良い意味でも悪い意味でも自分が好きな自分とか、自分が理想としている自分でありたいとか。昔から自分にできないものがあるのは好きじゃなくてなるべく多くのものをできるようになりたかったし、中長期でみて成長できないとか停滞しているとかは好きじゃないと思います。

なるほど。定性的で曖昧だけど大切な要素

浅香:自分の視野に入っているもので、良くできるものは少なからず良くしたいというのが、今のドメインを選んでいる理由の主要因だとも思います。

あとはバンドで曲をつくっていたこともあって、なにかを作っている行為自体もモチベーションになるかなと思っています。ものを作るのは苦しみも多いけどその分楽しいし、人が増えればよりクオリティやスピードも追求できるようになるというのは昔からもっている感覚です。

外的な要因でモチベートされることは

浅香:ユーザー数やKPIみたいな話ですよね。定量的な結果は嬉しいですが、より生々しさという意味ではやはり関係者からのフィードバックですね。それがあるから何かができるようになったとか、選択肢が増えるようになったとか。正の方向への差分が生まれるような体験が作れているかどうかを重要視していると思います。

事業の作り方について。事業のエグゼキューションで重要なポイントはどこにありますか

浅香:大きく二つあって、まず「合議しないこと」ですね。経営陣同士で意見が割れて絶対的な正解がない場合に、相手が責任を持ってやるといったことは信頼して任せる。

次に「本当に自分がやってレバレッジがかかるのか」。これはドメインに対する知識・経験や優先度・緊急度を鑑みて自分がやるべきかを常に考えることです。

専門家に意見を聞きに行くなり、副業として手伝ってもらうなり、採用するなり、会社が大きくなるための選択肢を常に持っておく必要があると感じます。

この二点に留意して、不可逆でなければ意思決定をし、そこにフルベットして結果をみることを意識しています。

IMG_0517

すっきりした意思決定フレームワークですね。浅香さんにとって結果とは

浅香:結果というと、その明瞭さから定量的なものがよくあげられる気がするのですが、意外と自分たちが納得いくのって定性的とか曖昧な指標なんじゃないかなとは思っています。こういう立ち位置になったらとか、こういう価値が提供できるようになったらとか。

例えば音源CDからストリーミングに音源のタッチポイントが変化し、マーケットが転換点を迎える中で、アーティストも事務所もレコード会社も、多数の選択肢が考えられるようになったじゃないですか。

その中で、アーティスト・事務所・レコード会社など音楽業界の先達と一緒に、デジタルとリアルの境界線を溶かすのが音楽とITの間にいる僕らの役目だと思っています。結果、継続的に音楽を中心としたエンタメコンテンツが生まれてくる社会にしたいですよね。

インタビューも終盤ですが、実際にスタートアップしてみての感想をお聞きしたいです。いまってどのような方がメンターなんですか

浅香:株主については堀井さんや大湯さんには経営相談を定期的にさせていただいています。事業の細かいところというよりは、組織・採用や戦略レイヤーの相談が多いですね。起業家としての過去の経験と投資家としての視点をベースにフィードバックをもらっています。

サービスについては10X矢本さんです。メルカリ時代からサービス作りの相談をしていて、事業の仮説や戦術レイヤーなどの相談をさせていただいています。

他にはプロダクトづくりに関してはYCombinatorやポールグレアムの文献を参考にすることも多いです。また、ユーザーの巻き込み方やプロダクトの思想や広報は勝手にアル社を参考にさせてもらっています。

参考にしたいスタートアップが多くなりましたよね

浅香:同世代だとFOWDの久保田(涼矢)さんやBABELの杉山(大幹)さんは相談することが多いです。資金調達や資本政策の相談・情報共有から、組織づくりやプロダクトづくりのTipsレベルの共有まで色々です。

もちろん仕事以外の話もしています(笑。

起業のエコシステム全体で足りないなと思うことってありましたか

浅香:成功体験やメソッドは昔に比べて体系的にアウトプットされているように感じますが、失敗体験についてはまだ表に出てこないことが多いですよね。出しにくい部分も多そうですが、同じ轍を踏まないためにも狭い範囲でも良いので公開されるとエコシステムとか業界全体の底上げ的な意味では必要じゃないかなと。

あとは資本政策や採用は一回の重みが大きいということもあり、リファレンスについては投資家に対しても採用候補者に対してもフェアな形でもっととれるといいなとは思います。

長時間ありがとうございました!

----------[AD]----------

AIでソフトウェアテストを自動化する「Autify」が250万ドル調達ーー世界のテストエンジニア不足問題を解決する

SHARE:

10月2日、AIを用いたソフトウェアテスト自動化プラットフォーム「Autify」がシードラウンドにて250万ドルの資金調達を発表した。引受先となったのはグローバル・ブレイン、セールスフォースベンチャーズ、アーキタイプベンチャーズ、その他個人投資家複数名。 今回の調達で累計の資金調達額は307万ドルに到達。3月からクローズドβ版としていたAutifyの公式ローンチも発表された。 Autifyは201…

10月2日、AIを用いたソフトウェアテスト自動化プラットフォーム「Autify」がシードラウンドにて250万ドルの資金調達を発表した。引受先となったのはグローバル・ブレイン、セールスフォースベンチャーズ、アーキタイプベンチャーズ、その他個人投資家複数名。

今回の調達で累計の資金調達額は307万ドルに到達。3月からクローズドβ版としていたAutifyの公式ローンチも発表された。

Autifyは2019年2月、米国アクセラレータ「Alchemist Accelerator」のプログラムを日本人チームとして初めて卒業したスタートアップ。以来、150超のデモリクエストを獲得し、現在の公式リリースに至る。調達した資金はプロダクト開発体制・販売体制の強化、グローバル市場の開拓に活用する予定とのことだ。

<参考記事>

Autifyが解決する市場課題はエンジニア人材の不足に伴う、ソフトウェア検証作業の不備だ。同社によると、グローバルでは既に92%が高速で開発サイクルを回す考え「アジャイル開発」を採用しており、そのうち71%が週1回以上のリリースを希望しているという。

一方、人力で検証作業を行なっていてはチームが求める開発スピードに一切追いつかない。たとえばスタートアップでは多少の機能不備があったとしてもアップデートをかけてしまう。しかし大手企業のサービスとなるとそうはいかない。

ユーザーからのバグ指摘は製品のみならず、企業ブランドにも直接影響を及ぼしかねない。複数のサービスを立ち上げている大企業にとって、関連サービスの評価にも影を落とす可能性もある。

そこでAutifyが登場する。プログラムコードを書くことなく、ウェブアプリケーションの検証作業が自動化を可能とし、非エンジニアでも手軽にテスト自動化ができる。

また、AIがアプリケーションコードの変更を監視し、自動で検証シナリオの修正を行うため、メンテナンスコストを大きく下げられる点も大きな特徴の1つ。従来、検証作業のための自動化コードを仕込んでいても仕様がすぐに変更されてしまうという事案の課題解決も目指す。

さて、現在は日本企業向けにサービスの拡大をしているが今後は海外進出を本格化させる予定だという。そこで欧米の市場状況にも軽く触れておきたい。

ソフトウェアテスト市場には一定の需要が発生していることは他社の資金調達状況からも明らかだ。8月には直接競合になり得るSpotQA」が325万ドルを調達している。少しアプローチは違うが、コードレビューを自動化するDeepCode」は400万ドルを調達。いづれもAutifyとほぼ同額の調達をしていることから資金力は拮抗していると言えるだろう。

昨年には機械学習を使ったソフトウェアテストを行うMabl」が1,000万ドル調達。2012年のYCombinatorプログラムを卒業したテスターをクラウドソーシングで集める外注サービスRainforest QA」は2,500万ドルもの調達に成功している。

競合スタートアップの資金調達の動きを見ると、Autifyの成長余地および市場需要は大いに残されていると思われる。3-4年以内に欧米基準のシリーズA・Bに達することも見えてくるかもしれない。そこで代表の近澤 良氏にAutifyの競合優位性と海外市場攻略のための長期戦略を最後に聞いた。

近年、アジャイル開発の浸透によりソフトウェアテストの自動化が大きな注目を浴び、急速に市場が拡大しています。グローバル規模でのテスト市場はIT市場の1/3をも占める約120兆円の超巨大市場に成長。向こう5年程でおよそ1/10が自動化市場になると予測されています。

一方、市場に存在する製品はエンジニアでないと使いこなせないような、専門的な知識を必要とするものがほとんどです。多くの企業はエンジニア不足に頭を悩ませており、非エンジニアにも自動化をスケールできるソリューションを求めている需要に応えきれていません。

そこでAutifyはコーディング不要で誰でもアカウントさえあれば、簡単にクロスブラウザのテストが自動化できる製品を開発しました。どんな人でも扱える手軽さをグローバル市場展開するための大きな差別化ポイントとし、今後拡大する市場需要に最適な形で応えていきます。

----------[AD]----------

「社員ファーストの企業文化作りを」ーーAIによる従業員エンゲージメント「LEAD」が米「Alchemist Accelerator」を卒業、日本人2人目

SHARE:

サンフランシスコを拠点に2017年創業された従業員向けAIマッチングサービス「LEAD」が9月20日、米国アクセラレータ「Alchemist Accelerator」のプログラム卒業を発表した。 LEADは普段交流が少ない従業員同士をコーヒーやランチタイムの機会を通じてマッチングさせるサービス。社内の異なる部門やチームのメンバー同士を繋ぎ、コミュニケーションを円滑にするといった場面での活用を目指し…

LEAD共同創業者の木村祐美氏

サンフランシスコを拠点に2017年創業された従業員向けAIマッチングサービス「LEAD」が9月20日、米国アクセラレータ「Alchemist Accelerator」のプログラム卒業を発表した。

LEADは普段交流が少ない従業員同士をコーヒーやランチタイムの機会を通じてマッチングさせるサービス。社内の異なる部門やチームのメンバー同士を繋ぎ、コミュニケーションを円滑にするといった場面での活用を目指しているという。

LEADを利用するにはSlackやGmailに代表される社内コミュニケーションシステムと連携するだけ。現在、Fortune 500から数社を含め、パイロットテスティング及び無料版ボット利用実績数は合わせて約20社に上る。また、英語圏のみならず日本市場向けの最適化も目指して動いているという。日本語版ボットの詳細はこちら

同社は日本人起業家、木村祐美氏が共同創業者として設立した米国スタートアップ。日本人起業家のスタートアップでAlchemist Acceleratorプログラムを卒業した事例ではAutifyに次いで2社目となる。

日本の既存投資家にはベンチャーキャピタル「ISGS」、その他13名のエンジェル投資家が名を連ねる。米国からはBRDのAdam Traidman氏、Oculus共同創業者のMicheal Antonov氏、Alcehmist Acceleratorが投資している。

LEADは従業員エンゲージメントの高い企業文化作りをサポートする目的で開発されたエンゲージメントソフトウェア。日本でも頻繁に取り上げられる「働き方改革」への貢献を目指す。

LEADが解決する課題は大きく2つ存在する。1つは従業員満足度を上げるためのデータ分析。

従来、従業員満足度を計測するためのデータは自由記述入力のサーベイ手法。定性データという特色から、回収手法によってデータ不備が多分に見られた。

そこでLEADはAIを用いた従業員満足度の匿名分析機能を併せ持つ。SlackやGoogle Suite、各社が利用するHRツールと連携し、従業員の行動傾向をデータ化。簡単な質問内容をまとめたサーベイデータを効率的に集めるように定期的にメッセージを送る。各チャネルから収集された満足度データを統合し、分析結果を即座に出力できるようにした。

各従業員のパーソナライズ趣向データを分析してマッチング精度向上を図る。エンドユーザーはLEADの分析結果に従って提案されるマッチングサービスを受けるだけのシンプルな使い方になっている。

知らない同僚と仕事について話す機会を設けたり、メンターとのマッチング機会を創出することで企業全体の従業員エンゲージメント率を向上させ、最終的に仕事場に対する満足度を上げる狙いである。

従業員のエンゲージメント向上は、四半期や1年毎に実施される従業員アンケートでは決して達成できない。長期的に満足度を上げるための質の高い従業員体験を提供し続けることで初めて達成される。LEADはこうした企業側の手の回らない需要に応えようとしている。

2つ目の課題は従業員が会社で孤独になっている現状だ。

40%の従業員は職場で孤独感を感じ、企業への帰属意識やロイヤリティーを著しく欠いているというデータがある。また、ミレニアル世代の75%がメンターを欲しいと望んでいるが、そのうちの2%しか実現していないというデータも発表されている

一方、職場に一人でも気さくに話せる同僚がいるだけでエンゲージメントが3 – 7倍へ増えるという米国過去30年間の職場データも存在する。加えてメンターが出来れば、いない時と比べて同じ職場に5年以上いる確率が2倍へと跳ね上がるというデータもあるとのこと

このように現実と理想に大きな乖離が発生しているのが企業の現状である。従業員が一人で仕事をこなし、何か問題があっても一人で抱え込んでしまうような環境改善も行うソリューションを提供することで市場ポジションを確立したい考えだ。最後に木村氏からコメントをもらったので紹介したい。

2016年、Meitu Technology日本支社のカントリーマネージャーを務めていた際、従業員と1:1チェックインの機会を持ちました。

チームを効率的に運営するため必要なリソースの根回しも必要であったことから、会社内の人とのコーヒーやランチミーティングは非常に効果的だったことを覚えています。実際、1年間で日本市場のシェアを30%上昇させる難しいKPI達成にも繋がっています。

こうした経験から社員間の友情やメンターシップに気付きLEAD誕生に至ります。その後、日米の企業社員3,000人にインタビューを実施。市場課題を洗い出し、私たちのソリューションが効果的であるという点を検証しました。LEADをβ版テストユーザーのフィードバックを基に改善してようやくリリースに漕ぎ着けることができました。

日本語版リリースに当たり、日本企業が改めて従業員エンゲージメントを見つめ直し、職場体験をデザインする「働き方改革」の一環としてLEADをぜひ活用していただきたいと思っています。

----------[AD]----------

「自分がハッピーなこと」と「人をハッピーにさせること」だけの世界を作るーーU25起業家に聞く「起業・新基準」/にじさんじ「いちから」代表、田角さん

本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会を定期的に開催中 20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のバーチャルYouTuber(VTuber)「ミライアカリ」所属のZIZAI代表取締役、塚本大地さんに続いてこちらもVTuber「にじさんじ」を運営するいちから代…

image_5
いちから代表取締役の田角陸さん

本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会を定期的に開催中

20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のバーチャルYouTuber(VTuber)「ミライアカリ」所属のZIZAI代表取締役、塚本大地さんに続いてこちらもVTuber「にじさんじ」を運営するいちから代表取締役の田角陸さんです。

今回もUpstart Ventures、上杉修平さんにインタビュワーとして参加してもらい、お話をうかがってきました(太字の質問は全て上杉氏。執筆・編集:平野武士)。

image_1.jpg

田角陸さん:1996年生まれ。早稲田大学基幹理工学部表現工学科卒業。ガイアックスで長期のマーケティングインターンに従事した後、すぐに大学を休学し2017年5月にいちからを創業。VTuber/バーチャルライバー事業、にじさんじプロジェクトを運営するほか、VRを活用したバーチャル世界キャラクターとの双方向コミュニケーションサービス「ユメノグラフィア」などの新規事業も手がける

image_2

8月末に大型増資の公表されましたね。グローバル展開に新規事業と盛りだくさん

田角:世界中に「魔法のような、新体験を」届ける、グローバル×エンタメテック企業を目指して、日本のVTuber業界を次のフェーズへレベルアップさせたいですね。新規事業の「ユメノグラフィア」もこれから一気に加速させるつもりで積極採用中です!

事業の証明ができたらどこも次の課題は採用ですもんね。ところでこの連載ではU25の起業家の方を中心に新しい経営のスタイルをお聞きしています。田角さんはいつ頃から起業とかスタートアップに興味を持ち始めたんですか?

田角:高校生の時からですかね。会社の代表になりたいな、という考えみたいなのは漠然とはありましたね。あと、私、早慶志望だったんですけど、そこ出身の有名人を見ると、例えば村上太一さんなど、起業家がとても多かったんです。それでさらに興味や憧れを掻き立てられましたね。

早稲田時代にはインターンや起業家養成講座とかも参加されていたとか

田角:ガイアックス子会社の新規事業部で、田舎体験をしたい若者と田舎に住む人たちのマッチングサービス「TABICA」というサービスに参加していました。そのインターンではマーケティングを主に担当し、新規ユーザーのリピート率を向上するための施策を考えていました。

一方、大学進学後にインターンで色々なことを経験していくと、この状況を続けても社長業を学ぶことは難しいなと感じるようにもなりました。じゃあ、自分が社長になることが一番の学びになるんじゃないか、と。

なるほど、実践的だ

田角:あと、早稲田の起業家講座で当時すでに自分で会社をやっている人たちと自分との差を感じたっていうのもありました。もうこれはやらないとダメだと思って起業に踏み切ることとなりました。

周囲の影響・環境ってやっぱり大事ですよね。会う人を変えないと自分って変わらないというか。当時はどのような事業を展開していましたか?

田角:そうですね、事業を作っていたというよりは、プロダクトモックを作って投資家にピッチしたり、実際にβ版をローンチしていたりしました。

具体的にどういうテーマだったんですか

田角:動画やAR広告、スキルシェアなどの領域ですね。

そこからVTuber事業にピボットするわけですが、何をきっかけにそこに進んだんですか

田角:何回か投資家のみなさんにフィードバックをもらったんですね。プロダクトを作るというPDCAをまわす中で、「風が吹いたら豚でも飛べる」ではないですけど、トレンドに乗っていることの重要性は結構感じていました。瞬間最大風速がデカイ領域は、やっぱりアップサイドも伸びの速さも違ってきます。その中ですね、VTuber系の事業を検討するようになったのは。

トレンドをうまく掴んだ

田角:ただ、トレンドに乗る中にもロジックがあります。ここに乗りやすいのは、大企業の大きな動きでトレンドの波が作られたり、そのスキマができたりする瞬間なんです。この隙間を狙っていくことが大切だと思っています。

元々ここに興味があった?

田角:最初はこの領域に特に詳しいというほどではありませんでしたが、やはり大きな可能性は感じていました。そんなある日、モックぐらいの状態でプレスを出したんです。そしたらそれが結構世の中のみなさんに受け入れられて、評判がとても良かったんです。

それに「VTuber」という存在が世の中に出てきて積極的に発信し始めるタイミングが重なったのも大きかったです。よし、もうこの事業でいこうと思いました。

image_3.jpg

ちょっと話を変えて。田角さんは事業仮説に関して何かフレームワーク的なものをお持ちですか

田角:エグゼキューションしたいけど、トライ数が増やせない(後戻りできないもの)はしっかりと情報収集や思考した後に命中率をあげるべきですね。逆に、エグゼキューションしたいけど、情報や確証性が少なく、命中率が低いものはトライ数を増やす仕組みを作り、徐々に命中率を上げる(仮説検証の蓋を開ける)これに限ると思います。

トライ数×命中率=エグゼキューションというのは、田角さん自身の打ち手の多さからきているものなのでしょうか?

田角:そうです。トライ数を上げて、投資家の方々から適切なフィードバックを受け、それを元にヒット率をあげるということをしてきました。トライ数をあげると、きちんとしたフィードバックのもとでは命中率も自ずと上がる、その中からヒットが生まれると思っています。

ちなみにVTuber事業ではどういう事業仮説を立てたんですか

田角:「人を魅力し、人を集められるのは、人の力」です。VTuber事業をやるにあたって、プラットホーム(VTuberのライブ配信PF)として事業を伸ばすのではなく、個人の力を性善説的に信じた仕組み(VTuberマネジメント)にしたところ、PFを問わず活躍するVTuberをマネジメントすることができました。

image_4.jpg

なるほど、ところで田角さんってこの連載にも出てくれたZIZAIの塚本大地さんとも同世代ですよね。こういった横のつながりや意識とかってあるんですか

田角:あまりつるんだりはしないですし、同世代を意識というのはないですね。ただ、エグゼキューションの面で塚本さんやイチナナキログラム(17kg)COO、秋山(洋晃)さんの取り組みは拝見しています。

お二人はトライ数のところが半端ないと思っています。特に秋山さんは命中率が際立っているなと。仮説を立て、その命中率が異常に高く、そのためにエグゼキューションを徹底しているところをとても尊敬しています。それぞれ得意分野は違いますが、かなり色々と学ばせてもらっています。

田角さんが事業をやってる源泉ってどこにあるんですか

田角:近い将来、AI(人工知能)や関連するテクノロジーによる自動化が急速に普及し、今、人間がしている仕事がどんどん減っていくと思っています。そんな未来で人間がすべき仕事は、「人を楽しませること」なんですよね。

つまりはエンタメこそが人間の仕事だと思っています。僕らはいちからに関わるメンバーで「自分がハッピーなこと」と「人をハッピーにさせること」だけをする世界を作りたい。これが僕のモチベーションです。

いつぐらいからそういう考えになったんですか

田角:エンタメの領域に参入した時からです。今いる社員やメンバー、ユーザーの中で自分たちが作った事業に励まされているという声を聞いた時に、幸福を感じたんです。

それをきっかけに、人をハッピーさせることとそれによって自分がハッピーなことを会社では追求したいと徐々に思うようになりました。

最後に一点、田角さん自身の、今後の目指す方向や、どうありたいかなどについてお話を聞かせてください

田角:自分の幸せって変化率だと基本的には思っています。それは、昨日より今日、去年より今年の自分の方がすごかった、成長していたという変化方を無限に続けていくことでしか幸せになれないのかなと思っています。だからこそ、常にその変化率を意識したいですね。

ありがとうございました!

----------[AD]----------

サイブラリーを生み出した「AND(アンド)の思考」とはーーサイバーエージェントに学ぶ組織論【対談・3/3】小澤政生×諸戸友

組織論対談最終回。初回と前回はこちらから 諸戸:小澤さんの中で他に自分が採用責任者としてやってみてハマったな、というか効果的だったなっていうのありますか? 小澤:説明会辞めたのと同時に、サイブラリーというのも始めました。 諸戸:サイブラリー? 小澤:サイバーエージェントのライブラリーでサイブラリーです。サイバーでよく使われる「AND(アンド)の思考」なんですけど、説明会を辞めて、でもより良い採用し…

image_5.jpg

組織論対談最終回。初回前回はこちらから

諸戸:小澤さんの中で他に自分が採用責任者としてやってみてハマったな、というか効果的だったなっていうのありますか?

小澤:説明会辞めたのと同時に、サイブラリーというのも始めました。

諸戸:サイブラリー?

小澤:サイバーエージェントのライブラリーでサイブラリーです。サイバーでよく使われる「AND(アンド)の思考」なんですけど、説明会を辞めて、でもより良い採用していくにはどうしたらいいのか、という一見対極にあるものをANDで両方とも美味しいとこ取りしてやろうみたいな考え方です。

そこで『サイブラリー』が生まれました。これは社員1人ひとりに自分の思うサイバーを5分くらい動画で説明してもらうんです。

当時40本くらい撮影して、それを学生に公開しました。移動中にみてもらって、説明会にきた体にする、いわば動画説明会みたいなものですね。通常であれば人事が話すだけですけど、「数十人(多分今なら数百人)の社員が自分の言葉で話す自社のリアル」、という切り口で、多種多様なサイバーエージェントを伝えていくっていうのはヒットしましたね。

取材もたくさんいただいたのでまるで自分が作ったかのように言われますが、ネーミングも企画運営も当時のメンバーのおかげで実現しました。

諸戸:これってANDの思考がないと出てこないですよね。

小澤:僕の中では「説明会を一旦全部やめてみて、ダメなら戻そう」くらいにしか考えてなかったのですが、実際やってみるといろんな反応が見れて面白かったですね。

例えば、夜行バスって今も昔も8時間くらいかかるじゃないですか。そこで色々見てきてくれるので、直接会った時や面談するときの質問の精度がめちゃくちゃ上がったんです。サイバーってなんの会社ですか?という質問はなくなって、サイブラリーで◯◯さんの見たんですけど、あれって実際どうなんですか?とか。

学生の質問力が上がったから、現場の社員も話せる引き出しが増えて、結果採用のスピードが上がったなんてこともありますね。あと、内定者が入社前にサイブラリーを見て事業、人、文化を映像で知ることができるようになったので、配属の参考になったり、入社後の加速につながりました。結果論ですが。

諸戸:いっぱい具体的な手法を教えて頂いたのであれなんですけど、何かこう総じて一番初めに僕が投げかけていた、「なんでサイバーには優秀なひとが集まってくるのか」っていう問いでいうと何が正しいんだろう。

僕が今聞いて思ったのは、さっきの「コスト意識」とか「ANDの思考」とか、そういう思考の人が人事にいるっていうところが1つポイントなのかな?と思ったんですよ。

小澤:多分、スタンスだけシンプルな言葉で決まっていて、後は自由にやってっていうカルチャーだからだと思います。「良い人を自分たちでちゃんと採用しよう。玉入れみたいにやって」「いい採用と強い組織を目指そう」みたいな。
最初は白目向きそうだし獣道を歩いている感覚になります。けどなんかワクワクするし、1回やってみるか!と決めて集まってくるカルチャーが作り出す強い組織だと思います。自分で決めて進めないといけないことしかないので、決断経験値は相当つきました。

諸戸:それが人事だけじゃなくて色んなところで、共通してあるのかもしれないですね。
そうすると当然、優秀な人が活躍しやすい環境になるんですよね。

小澤:あとは、渡邊大介さんもおっしゃっていたメッセージヴィークルじゃないですけど、経営陣からのメッセージを目にする機会がめちゃめちゃ多いです。ミクロじゃなくてマクロなメッセージ。「あ、やってもいいんだ、やっても死なねーな。全部やろ。やってから考えよう」みたいな(笑)

諸戸:そんなサイバーを辞めるきっかけというか独立しようと思った背景ってどんなところですか?

小澤:「採る側」から「育てて増やす側」になりたかったからです。

いろんな人になんで辞めたの?と聞かれますが、僕は今でもサイバーが本当に好きだし、自分を拾ってくれて、これでもかというくらいチャレンジをさせてくれた会社なので藤田社長や曽山さんには感謝しかありません。採用の仕事が面白くて、今だに天職だと思えているのもサイバーのおかげです。

採用責任者として自社に貢献できる人の採用を7年もやっていると、一瞬でっていったらあれですけど、(サイバーに)合うか合わないか瞬時にわかるようになってきて。その時その瞬間に会った学生を、その場でジャッジすることしかできなくなっていました。

一方で、採用したい人をいかに競合に勝って採用するかというのを考える時に、この会社に勝つためにはこのタイミングでこう言って、そうするときっと向こうはこう返してくるから、そのタイミングでこの社員を当てれば多分いけるなとか、悪い意味での「占い師」みたいになってきたんですよね。

自分が占い師化していくのがすごく嫌になってきて、採用がすごく好きで始めて他の人よりちょっと得意かなと誇りを持てる仕事だったのに、だんだん占いと判断しかしない自分が嫌いになってきたというのが正直ありました。

諸戸:なるほど

小澤:それと重なるかのように、ライフワークとして小学校とか大学の授業とかでキャリアについて話す場を有難いことに頂くことが増えてきて、もっとそっち側できっかけや気づきを与える仕組みを作れないかなと。

当然サイバーにはものすごくお世話になったし、何度も言いますがものすごく好きな会社でなのでめちゃくちゃ悩みました。ここは僕の穿った見方なんですけど、教育授業は既にやっていたし、サイバーってどっちかというとエンタメ性の強い会社なので、僕の中ではサイバー内で2つ目の教育事業みたいなものはないと思っていました。

なので、たまたま藤田社長とご飯を食べに行って、そこで起業を考えていると伝えたら「いいじゃん。起業はやりたいときにやったほうがいいよ」って。

諸戸:それは藤田さんが仰ったんですか??

小澤:はい。「やりたいときにやったほうがいいよ、ただ30超えてからの起業は気を付けた方がいいよ」と。それが僕の中ではやっぱすごいなって。普通だったらなんでって聞くじゃないですか。理由も聞かずにそう言ってくれて、逆にそれを聞いてもうちょっと頑張ろうかと悩んだくらいです。

藤田社長のおっしゃる通り、僕も当時31歳だったんですけど、チャレンジするなら今しかない。だったら思いっきりやってみてもいいかなという思いもあって。

諸戸:すごいね。本来だったら、何で?って聞くだろうし、うちでやればいいじゃん、とか、止めたりすることが多いと思うけど、瞬間的に「いいじゃん」っていうのは凄いね。

image_6.jpg
写真左:TechBowlの小澤政生さん、クルーズの諸戸友さん

小澤:そうなんですよね、別に起業を煽っているわけではなく、でも覚悟決めて伝えたので応援してくださったんだと思ってます。

諸戸:それが起業のきっかけだったんですね。今って起業してからどれくらいですか?

小澤:10か月くらいです。

諸戸:10か月の間で、自分でやってみて気づく、あ、これサイバーで知ってて良かったなとかサイバーで教えてもらって良かったなってことって何かあります?

小澤:たくさんありますね。やっぱり「チームサイバーエージェント」の凄さは一番感じます。組織の一員として働いていた時って、自分の得意な部分だけやってても、後は周りの人がうまく連携して支えてくれてるので成功してたんだなと思います。一人でやっていると当たり前ですけどコピーも振込も請求書作成も全部やらなきゃいけない訳じゃないですか。今まで当たり前だったものが全部当たり前じゃなくなる。

苦手なお金回りとかバックオフィスとか、資本政策とかやったことないことしかないし、分からないことだらけです。1歩進んで10歩下がるみたいな感覚です。でもとりあえずやる。全部やる。やらないと死ぬ。そういうのを毎日繰り返しながらやっぱりサイバーってすごい会社だったなーと外に出てから思います。ちょっと飽きたからとか、なんか最近ブームだから、と浮き足立ったくらいで起業はしない方がいいです。本当に。

あと「小さく試す」も学びです。教育って特にそう感じるんですが、永遠に答えがない。とりあえずこんな感じでやってみたらどうなるんだろうみたいな、そういう実験を怖がらず小さく試しながら改善していく習慣は今もすごく活きています。

諸戸:実際に採用するっていう仕事から自分で育ててそういう人を増やすっていう仕事に変わるわけじゃないですか。凄く意義のあることだと思うんですけど、どういう人にどうなってほしいみたいなのってご自身の中であるんですか?

小澤:「イキイキ働くエンジニアを世の中に増やす」っていうのが僕のやりたいことです。そのイキイキの定義やどういうエンジニアになるかは人によって様々だと思うんです。

誰もが使うデカいサービスを創りたい!でもいいし、得意な分野だけで食べていきたいでもいいし、身近な人と幸せに生きたいでもいい。働き方もとにかく色々あっていいと思うんですけど、その選択肢を自分で決めて、責任をもって楽しくやれるエンジニアを増やしたいと思っています。

結果的にTechBowlにプロ意識を持った若手エンジニアが集まってきて、「世界一の技術集団」になり、そこから面白いコミュニティや面白いものが次々と生まれるような仕組みを創りたいと思っています。

諸戸:それってどういうところからそういう課題意識を持ったんですか?

小澤:エンジニアとの就活の面談イベントとかマッチングイベントとかで、少し前だったら、わけ分からないことを好き勝手やっているエンジニアが結構いたんですよね。周りから見るとそれ何?クソアプリじゃん!(笑)みたいなものでも本人が好きで熱中してやっているのが一番いいんです。

でも最近は世の中のエンジニアニーズやテクノロジーが進んでいるみたいな文脈があって、「エンジニアとはこうあるべき」「とりあえず就活までにこれを作れるようになっておくべき」みたいな「べき論」に翻弄されている人も多く、結果的にエンジニアになりたいけど具体的に何が作りたいかというと分からないとか、とりあえず就活のために昨日徹夜してアプリつくりました、みたいな人が増えています。

与えられたものを作る努力は認めるんですけど、これ本当につくりたかったの?って聞くと顔が曇っちゃう人がほとんどで、純粋にモノづくりが好きなエンジニアではなく、エンジニアになることが目的になっている人が増えているなという印象がありました。手段の目的化っていうやつですね。

エンジニア目指す人が増えているのはいいことですが向かう先がずれていると感じるので、そこに一石投じてイキイキ働くプロのエンジニアを世の中に増やしたいと思っています。

諸戸:そういう小澤さんの言うプロのエンジニアというのはどうやって育てていくんですか?

小澤:お勉強ではなく「実務の疑似体験」を早くさせることだと思っています。今やっている「TechTrain」というサービスは、30歳以下を対象としたプロエンジニア養成サービスです。メンターが全員現役のプロエンジニアで、彼らが副業でコードレビューや開発の相談に無料で乗ってくれます。

諸戸:教える側はどういうところがモチベーションになっているんだろう。

小澤:自分たちがそうしてもらってきたからそうしてあげたい、還元したいという気持ちが一番ですね。あと定期的にメンターだけのオフ会をやっているんですけど、そういうコミュニティにも好んで参加してくれています。同業他社の同世代のコミュニティって意外とないので、TechBowlのメンターオフ会の情報交換が働くモチベーションや自分のキャリアを考えるきっかけに繋がったり。

あとはメルカリのCTOの名村(卓)さんが弊社の技術顧問を引き受けてくださっているんですけど、そういう時代を作ってきた人たちがメンターのメンターとしてお酒を交わしながらアットホームな雰囲気で色々話せるのが嬉しいと言ってくれています。みんな本当にいい方で、メンターは弊社の1番の強みなので感謝しています。

諸戸:今後はTechBowlとしては、どういう展開を描いているのですか?

小澤:TechBowlって名前の通りなのですが、Tech(技術の)Bowl(サラダボウル)みたいなのを作りたいと思っています。

トマトはトマト、キュウリはキュウリで、それぞれ色があり、存在感があります。でも混ぜると化学反応が起きて、色とりどりの鮮やかなサラダになる。エンジニアもそれぞれ自分の『色』はあると思うんですが、いろんなエンジニアがタッグを組むことで今までにない『色鮮やかな』サービスや技術が生まれる。集え、混ざれ、”鮮”エンジニア。という世界を創りたいですね。

諸戸:なるほど、そういう社名の由来でもあったんですね。今日はいろいろとありがとうございました!9月25日のイベントでもさらなるぶっちゃけ期待しています!

お知らせ:諸戸さん・小澤さんは9月25日のイベント「サイバーエージェント大解剖スペシャル」に登壇予定です。すでに定員に達しているので、参加したい方は主催者やパネラーにSNS等で直接お尋ねください

----------[AD]----------

今年やった採用手法は「1回全部捨てる」の真実ーーサイバーエージェントに学ぶ組織論【対談・2/3】小澤政生×諸戸友

組織論対談、前回からの続き。 諸戸:元々採用が重要という考えが根底にあって、全社総会でベストリクルーター賞は〇〇さんです、わー!みたいな皆が羨ましがるような文化を仕組みや制度で醸成してきてたんでしょうね。YJCを取り入れて、改めて採用大事なんだぞっていう、これもメッセージヴィークルですよね。前回の渡邊さんの言葉を借りると。ところで、小澤さんは採用やる前は何をやっていたんだっけ? 小澤:僕、実は出戻…

image_3
写真左:TechBowlの小澤政生さん、クルーズの諸戸友さん

組織論対談、前回からの続き。

諸戸:元々採用が重要という考えが根底にあって、全社総会でベストリクルーター賞は〇〇さんです、わー!みたいな皆が羨ましがるような文化を仕組みや制度で醸成してきてたんでしょうね。YJCを取り入れて、改めて採用大事なんだぞっていう、これもメッセージヴィークルですよね。前回の渡邊さんの言葉を借りると。ところで、小澤さんは採用やる前は何をやっていたんだっけ?

小澤:僕、実は出戻りなんですよ。サイバーで営業として配属して半年で辞めて、自営業を手伝いながら家庭教師と飲食のバイトして、証券マン1年やってサイバーに戻りました。

諸戸:サイバーに戻って最初から人事でしたっけ?

小澤:そうです。出戻ってからずっとエンジニア採用です。

諸戸:それ自体はやっぱりやりたかったことなの?

小澤:採用の仕事はやってみたかったし、興味があったので、嬉しかったですね。でも、エンジニア採用って言われて、はて?みたいな。エンジニアって何ですか?みたいなところから始まりました(笑)

諸戸:じゃあエンジニアを採用するための知識やどういうやり方があるのかみたいなのは自分で調べて作っていったってこと?

小澤:そうですね、本を読むのはあまり得意じゃないので、とりあえず小さく試してみようと思って、エンジニアってググってエンジニアの方がよく持ってるマウスとかシャツとか完全食とかデスク用品を買いまくったり、流行ってるゲームとかツールをとりあえず使って会話に入るとか。とりあえず歩み寄ろうと必死でした。

あと、大阪にも開発メンバーや内定者アルバイトがいたので、その人たちを毎日ランチ誘って、とにかく技術用語を覚えたり、サービス開発をレストランに例えてホワイトボードで説明してもらったりして、点の情報をかき集めてました。それをもう1回自分で白紙にバーっと書いていって、点と点を数珠繋ぎにしていってサイバーのエンジニアの特徴をつかむ、みたいなことは最初の頃はよくやっていました。

諸戸:とはいえ、経験ない中で大変でしたでしょうね。

小澤:基本的にエンジニア採用に限っていうと僕ら人事はサッカーでいうと「ボランチ」の役割だと思っています。学生に会った時に「この学生はAndroidに興味があるのか、iOSに興味があるのか、サービスに興味あるのか、研究開発に興味あるのか」そのあたりの温度感や解像度を先に人事で察知して、いち早くエンジニアにつなぐ。

粒度が粗くてパスがまだ出せない人は、人事側で初期情報を繰り返し与え、精度を上げてからエンジニアにパスしていく。とにかく「早くパスを送る」ってことを徹底的にやっていました。

この「高速パス回し」は採用に限らず組織としてサイバーが強いところだと思います。ただ、事業が多い分、とにかくパスの出しどころが多いんですよ。例えば漠然とゲームを作りたいっていう候補者がいたとします。小さい時からゲームが好きだったから、という人もいれば、当たればデカいビジネスをやりたいという人もいます。

候補者の疑問やリクエストを出来るだけ細かくヒアリングしながら分解して、一番刺さるポイントを突き刺していく感じです。

諸戸:そうすると当然、色んな事業があるわけだから、色んな文化があって、色んな人材を採用していくわけですよね。その中で共通して言える言葉、敢えて言語化するとしたら?

小澤:それがまさに「素直でいいヤツ」ですね。過去に、部署別採用、事業別採用みたいなのを提案したことがありました。

ゲームと、メディアと広告で使う技術も全く違うし、組織文化も違うので、どっちが正解というわけじゃないですけど、事業部別で半分採用し、残りの半分をジェネラリストとして本体で採用するという提案をしました。

その方が会社としても事業の立ち上がりとかクローズも多い会社なのでわりと柔軟に動ける組織になるんじゃないかと考えたんです。ただ、結局実行まではいかないんです。

何故かというと「インターネットサービス事業を展開しているサイバーエージェント」で働きたい人を採用したいからです。これは藤田社長がよく話しているうどん屋の話。「明日うどん屋をやるよと言ってもやれる人です。仮にサイバーがまったく違う事業をすることになったとして、たとえそれがうどん屋であっても何であっても、我々の組織を持ってすればきっと成功すると思う」っていうのは採用にもすごく浸透した考え方だと思います。

image_4

諸戸:なるほど、カルチャーフィットなのか!やっぱりそこは。

小澤:事業部別採用にしてしまうと、他の事業や会社に興味を持たないし、自分の部署以外知りません、みたいな感じになる可能性がある。各社各事業で自由に裁量持ってやりつつも、「ベンチャーの集合体」としてのサイバーを大事にしたい、そこがなくなるとサイバーっぽくないというか。

諸戸:サイバーっぽい、ぽくないってどういうこと?

小澤:なんだろう、何なんですかね(笑)

諸戸:なんとなく分かるけどね、僕も。サイバーぽいなこの人とか。

小澤:「21世紀を代表する会社を創る」という会社のビジョンがあるんですが、新卒の頃ってよく分からないんですよね。

これって何のこと?みたいな感じですけど、働けば働くほど、そのビジョンの意味がじわじわフィットしてくるというか使いやすくなってくる感じがあります。

あくまで僕の印象ですけど「21世紀を代表する会社を創る」っていう大きい上向きのベクトルがあって、よく見ると小さいベクトルが向きは違えどみんな上を向いている感じというか。魚群が同じ方向に進むことで大きな1匹の魚に見える感じのイメージです。で、その魚群がどんどん増え、少しずつ向きを変えながら突き進み続けていき、全体としてのサイズがまたグッと大きくなるというか。

そのビジョンに向かっていればやり方とか過程はどうでもよくて、暴れるだけ暴れてくれ〜みたいな。そこに共感する人でないと採用しない。サイバーっぽいってそんな感じなのかなぁと思います。

ちょっと採用の話っぽくなるんですが、キャリアって個人と組織と社会の3つの円でよく例えられますよね。

例えば、エンジニア志望の学生でたまにいたのは、「機械学習をやりたいので入社したいです!」とか。これだけだと別にサイバーじゃなく他の会社でもいいじゃないですか。ベクトルが自分にしか向いてないので採用しない。

「機械学習を使ってサイバーの中でこういうもの作りたいです。これができたら世の中こんなにハッピーになるんですよ!ちょっとやってみたのでみてください」、みたいな鼻息の荒い子はやっぱり一緒に働きたいですよね。

諸戸:キーワードとか言語化してこういう人っていうのがある訳じゃないけど、とはいえサイバーっぽい、ぽくないとか個人、組織、社会の3つのベクトルが同じ方を向いているかとかなんとなく共通認識はやっぱりあるんですね。

小澤:そうですね。活躍社員の名前を具体的に出して、あの社員を超える人を採用しないとダメだと言って、その社員を構成する要素を細かく分析して、その上で「あの人超える(むしろ超えさせたい)な、よし採用しよう!」みたいな議論はわりとしていました。

協調性とか行動力とか地頭みたいなのをポイント化してもよくわからないし、評価者によってバラつきが出たり、覚えられないのであまりそういう堅い採用はしてこなかったですね。多分今もそうだと思います。サイバーっぽくないですね。

諸戸:ついつい決めたくなっちゃうんですよね。スタートアップでもちゃんとやろうとしている会社ほど、自頭がいいとか負けず嫌いとか、5個6個せっかく何時間もかけて決めたけどそれってどこも言ってることじゃん、みたいな。過程は大事かもしれないですけどね。

もう1 つ僕が思うのが、サイバーの採用って毎年毎年やり方が変わるじゃないですか。規模が大きくなるにつれて、だんだん変化させるのって大変だと思うんですが。

小澤:そうですね。やっぱりサイバーの好きなところは「思いっきり振る」ところです。今年やった採用手法は1回全部捨てる、来年やるときには今年やったものは二度と使えないものだと思ってやる、そういう意識で採用に取り組むのは結構痺れましたが、個人的にはすごくいい経験をさせてもらったと思います。

「もしも〜がなくなったら」とか「もしも〜が10倍100倍だったら」をよく妄想していました。例えば、今までめっちゃ使っていた媒体を、もし来年全く使わなくなったとしたら数百万円の費用が浮くことになる。

もし浮いたらその予算をどう使うのがいいだろう、という具合により効果的なものを自然と考え始める。他にももしも通年採用が当たり前になったら?1,000人採用するとしたら?人事が今の10倍になったら?研修を無くして速攻配属させたら?とか。勝手に妄想してニヤニヤしてましたね。

語弊があるかもしれませんが、人事って事業部に比べて割とお金をじゃぶじゃぶ使おうと思えば使えると思うんです。でもそこに対するコスト意識とか自分でお金を稼ぐみたいな、直接生み出すわけじゃないですけど、予算のアロケーションを考え、張るところを張る、捨てるときは全部捨ててみる、みたいな選択と集中、そして「妄想」をセットでやるのはとてもいい経験だったなぁと思います。

事業サイドではこういうのって当たり前にやっていると思うんですが、採用とか人事ってとにかくコスト削減が第一にきて、レバレッジ効かせるとか、採用で業績貢献するみたいな視点が意外と抜けてたりするんですよね。

その辺りはゼロベース思考というか、「来年やるときは今年やったことは全部やらない」と決めて、やりながら揺れ戻していくことが、去年より良い採用を生むことに繋がっていたと思います。

諸戸:バージョンアップとかマイナーチェンジとかじゃなくて、毎年がらっとリセットしてやり方を変えていくってことですね。僕も採用やっていたから分かるんですけど、毎年変えるのって、それこそ上手くいってたら提案しづらいし、勇気いりませんか?

特に人事とかノウハウ化しづらいものって一回なんかうまい感じの流れができると、それをもう1回リセットして考えるって結構・・・、言うは易し行うは難しって気がするんですよね。

小澤:そうですね、なので、会社説明会を全部捨てた時とかは、だいぶ怖かったですね。集まらなかったらどうしよう、と不安で寝れないこともありました(笑)

元々説明会を年に100回くらいやっていたんですけど、準備とかを含めると凄まじい時間がかかるので「さばく」採用になりがちじゃないですか。

なので、これって意味あるっけ?サイバーっぽくないよね、ってなって。タイミング良く全社的に業務の棚卸を推進していた期間も重なったので、じゃあ一回全部捨てようということになったんです。

中には全部捨てなくてよくないですか?みたいな意見もありましたが、当時スマホのアプリ作ったときも広告事業部1,600人いたのを800人一気に動かすとか、とにかくサイバーって、2人3人をちょろちょろ動かしても経営としても組織としても強くならないし、新しい課題もイノベーションも生まれない、という考え方が過去の経営的にもあったので、採用としても100回やっていたものを50、30にするのではなく、思い切ってゼロにしよう、という感じになりました。

それに、サイバーには撤退ルールというのもあって、始める前にあらかじめ撤退する基準や期日も決めるんです。だからやってみて本当にやばかったら〜月に戻そうみたいな。

諸戸:実際どうだったんですか?

小澤:最初はやはりひやひやしましたよ。募集も微減しましたが、いい学生に会う確率と、そういう学生にじっくり時間を充てる機会が増えたので、結果的に例年の3か月前倒しくらいで満足のいく採用を終えることができました。(つづく)

お知らせ:諸戸さん・小澤さんは9月25日のイベント「サイバーエージェント大解剖スペシャル」に登壇予定です。すでに定員に達しているので、参加したい方は主催者やパネラーにSNS等で直接お尋ねください

 

----------[AD]----------