IVSの参加価値はどこにある?ーーIVS KYOTO・IVS Crypto 代表に聞く7の質問 #IVS2024

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IVS KYOTO実行委員会/Headline Japan代表取締役の島川敏明氏

7月4日から開催予定のカンファレンス「IVS KYOTO・IVS Crypto」が近づいてきた。前回、1万人参加という大台に乗せてきたテックスタートアップ・クリプトの「お祭り」はどうなるのか。インタビューで同カンファレンスで代表を務めるHeadline Japan代表取締役の島川敏明氏に話を聞いた。なお、前回に引き続き島川氏らは京都府や京都市と共にIVS KYOTO実行委員会を立ち上げている(太字の質問は全て筆者。回答は島川氏)。

ーー今回の参加者数目標は?

島川:IVS2024 KYOTO / IVS Crypto 2024 KYOTO の参加者数の目標は、昨年と同規模の1万人以上です。今回は新たに、海外参加者比率 40%、女性参加者比率 30%以上を掲げています。海外参加者については、 今年は IVS Crypto 2024 KYOTO 側(Web3.0)だけでなく、IVS2024 KYOTO 側(Web2.0)も力を入れています。昨年のIVSの女性参加者比率は20%と、過去最大の比率となりましたが、今年はさらに比率を増やし30%を目指しています。

ーー前回、多数集まってお祭り騒ぎになる一方、従来のIVSとは雰囲気が違うという意見もあった。それを受け、どのようなビジョンを持っているのか

島川:2つの側面があると思っています。「実利の伴う設計」と、「プラットフォーム指向」です。実利の伴う設計については、起業家のビジネスが加速することによりフォーカスをしています。IVS会期中の3日間で、例えば、資金調達・M&A・業務提携・採用などの実利が生まれるコンテンツや企画を用意しています。より規模が大きくなったからこそ、流動性が生まれるような状態にしていきたいと思っており、実利については丁寧に設計をしました。

次に、プラットフォーム指向について。IVS は、運営だけでなく参加者を含めた全員が企画を仕掛けられる場を目指しています。その象徴がサイドイベントです。自分たちの目的に合ったイベントを IVS に合わせて京都で開催できます。今年はサイドイベントの数が200を超えそうで、京都の街全体がスタートアップのお祭りのような雰囲気になると思っています。このように、IVS をプラットフォームのように利用してもらえる機会を今後も増やしていく予定です。

また、昨年は「従来の IVS のような濃い繋がりが作りにくくなった」というご意見もいただきました。コチラに関しては、CXO や投資家、大企業の幹部クラスが対象となる BUSINESS Pass や、登壇者向けのオフィシャルパーティーをご用意しております。こういったイベントで従来の IVS の交流もできるように設計しています。

1万人が参加した前回会場の京都・みやこめっせ

ーー参加者属性が気になる。どういう人たちがやってきて、それぞれの参加者にどのような価値提供をしたいのか

島川:IVSの参加者をざっくりと表すと

  • スタートアップ 60%
  • 投資家 10%
  • 大企業 20%
  • その他(行政、学生、メディア) 10%

となります。基本的にはスタートアップに関わる方々が参加者です。その中から、パスの種類により参加者属性が変わります。BUSINESS Pass は、スタートアップのCXOや、大企業の決裁権をもっている部長クラス以上、投資家など。決裁権を持った人同士の交流に重きを置いています。NEXT Pass は、起業志望者、新規事業担当者、エンジニア、学生、スタートアップに興味を持つすべての人が対象です。今年は土曜日の開催もあり、スタートアップに関心のある方に関しては、スタートアップエコシステムのメインどころを肌で実感できる機会にも力を入れました。

ーークリプトと同時開催になる。参加者属性も個人投資家が多い・国籍・性別の多様性など、従来のエクイティ・スタートアップとは異なる風景がある。ここに期待していることは

島川:クリプトに関しては、少し前に「クリプトの冬」と呼ばれていた厳しい時期がありました。現在、冬が終わり調子の良いスタートアップが結果を出しているフェーズです。IVS としては、1次的なブームとして捉えるのではなく、良いときも悪いときも定点観測すること、リアルを見てもらうことが大切だと思っており、今後も同時開催をしたいと思います。

その上で、クリプトのエコシステムと Web2 のエコシステムは大きく異なると思っています。クリプトのスタートアップは、グローバル指向で、分散的な組織が多く、若者が多いといった特徴があります。Web2.0とは異なる特徴があるからこそ、それぞれのコミュニティが混ざり合うことに意味があると思っています。

ーーダイバーシティ、インクルージョンの取り組みを教えてほしい

島川:先ほどと内容が重複しますが、女性参加比率30%、海外参加者40%を掲げており、どちらも満足度を高める取り組みをしています。

女性参加者に関しては、「なぜ今あえて Women30% を掲げるのか」をテーマとしたサイドイベント(IVS Women’s 30% supported by NewsPicks for WE)を4月に開催したことを皮切りに、女性参加者比率を上げるための複数のサイドイベントが開催予定です。女性のコミュニティなど参加の心理的安全性を高める施策も考えています。

女性だけが対象ではないですが、皆様に安心して IVS に参加いただけるように、参加者やスタッフなど IVS KYOTO に参加する全ての方を対象とした相談窓口を設置するなどの対応をする「NO ハラスメント宣言」を今年も継続します。また、託児所を設置することで親子の参加もしやすいのもダイバーシティに対する取り組みです。海外参加者向けには、英語のセッションや、日本語セッションには字幕を用意しています。また、海外参加者向けのIVSオフィスパーティーも企画しており、昨年より充実した内容になっています。

ーー今回も実行委員会に京都府・京都市が入ったが、具体的な連携や行政の期待値はどこにあるか

島川:京都府・京都市との連携は、中長期で「関西エリアのスタートアップを盛り上げる」ことを意識しています。関西発のスタートアップがたくさん生まれて、たくさん育っていく、がゴールでしょうか。IVSを京都で開催することで、VCが多く集まり、関西のスタートアップに出資をする流れが生まれます。また、関西のスタートアップが東京で活躍する経営者などと交流することで視野が広がったり、視座があがったりすることが重要だと考えています。

京都は大学が密集しているエリアで、将来企業に関わる学生が多いです。これからディープテック、ものづくり領域で活躍する可能性がある大学機関も多くなります。それに、日本を支えてきたものづくり企業が密集しているという特徴もあります。彼らが多くのスタートアップと交流することで、新しい産業を作り出すきっかけになったらいいなという期待もあります。

また、京都は海外の方から人気の土地でもあります。日本のスタートアップと海外の起業家や投資家が交流するためにも、京都という土地は欠かせないと思っています。

ーーサイドイベント含めてコンテンツやセッションが多数あるがどのような楽しみ方があるか、歩き方を教えてほしい

島川:参加人数が多い NEXT Pass で、かつ、初めて参加する人向けに、歩き方を紹介できればと思います。セッションの楽しみ方についてですが、こちらのイベント一覧でぜひ気になるセッションを探してください。

まずは、自分の興味領域のセッションを調べながら当日の動きを組み立てていくのがおすすめです。セッションの中には、登壇者の話を聞くだけでなく参加者含めてみんなで議論をするようなものもあります。同じセッションを聞いている人同士で声を掛け合って交流を深めてください。IVS は参加者同士が繋がりやすいような設計を意識しています。

スタートアップに興味関心はあるけど、あまり現状を知らないという方は、3Fの PITCH PARK がキャッチアップに最適です。大企業や VCのReverse Pitch、AI 関連のピッチ、Web3アニメコンテスト、ハッカソン、など様々なピッチを聞くことで視野が広がると思います。

今年は HR 系のコンテンツにも力を入れています。3日間それぞれで内容の違う HR コンテンツを展開するのと、IVS 会期前からオンラインで約束して会期中に会って話せる「井戸端キャリア1on1」などの企画もあります。ぜひ活用してください。

そして、IVS の文化でもあるサイドイベントに関して。サイドイベントはとにかく片っ端から応募するのがおすすめです。時間帯が被っても良いので、ハシゴをする前提でスケジュールを組むのが良いと思います。

IVSオフィシャルで立誠ひろばにて「IVS START BAR」の設置も予定しています。『モンスターハンターシリーズ』でいう集会所のような役割を考えていますので、ここに仲間と集まって、どのサイドイベントに顔を出しに行くかを決めるのも良いと思います。初めて参加する方を含めて、参加者のみなさんが毎日複数のイベントに参加し、様々な交流の機会を楽しんでいただければ非常に嬉しいです!サイドイベント一覧

期待しています。頑張ってください。

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