Takeshi Hirano

Takeshi Hirano

ブロガー。TechCrunch Japan、CNET JAPANなどでテクノロジー系スタートアップの取材を続け、2010年にスタートアップ・デイティング(現・BRIDGE)を共同創業し、2018年4月に株式会社PR TIMESに事業譲渡。現在はBRIDGEにて取材・執筆を続ける傍ら、編集からPRを支援するOUTLINE(株)代表取締役も務める。

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執筆記事

Amazonが決済にデジタル通貨の活用を模索、Twitterはサービスへのビットコイン利用に初言及

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ピックアップ: Digital Currency and Blockchain Product Lead ニュースサマリ:テック巨人たちの間でブロックチェーンを基盤としたデジタル通貨(digital currency)の取り組み熱が再開しているようだ。Insiderが 最初に伝えたもので、 Amazonはペイメントチームの採用ポジションとしてデジタル通貨やブロックチェーン戦略、製品ロードマップを担…

ピックアップ: Digital Currency and Blockchain Product Lead

ニュースサマリ:テック巨人たちの間でブロックチェーンを基盤としたデジタル通貨(digital currency)の取り組み熱が再開しているようだ。Insiderが 最初に伝えたもので、 Amazonはペイメントチームの採用ポジションとしてデジタル通貨やブロックチェーン戦略、製品ロードマップを担うことのできるリーダーを募集しているという。募集要項にはブロックチェーン、分散型台帳、デジタル通貨、暗号資産に関する専門知識を持つ人材を募集し、開発すべき機能と全体的なビジョンおよび製品戦略を 推進するとしている。 Insiderの取材に対しAmazonは、暗号資産におけるイノベーションに対して同社でどのような形の利用ができるか模索しているとも語っている。

話題のポイント:米国におけるテックカンパニーでブロックチェーン・暗号資産への積極的に情報発信しているのはTwitterやFacebook(デジタル通貨Diemの支援)、Tesla、そして投資ファンドのAndreessen Horowitz(a16z)などが挙げられる。特にTwitterのCEO、ジャック・ドーシー氏はこれまでにもビットコインへの将来性(インターネットにおけるネイティブ通貨)について語ってきた。先日の決算発表ではTwitterとして一歩踏み込んだ発言をしている。TechCrunchに掲載されているコメントによればドーシー氏は、コマースやサブスクリプション、Twitter Tip Jar(デジタルギフト)やSuper Followsなどの新機能を含む、Twitterの既存の製品やサービスにビットコインを採用する可能性について言及したのだ。Twitterによれば、彼が製品ラインナップに関わる文脈でビットコインを公に語ったのは 初めてという。

ジャック・ドーシー氏と並んでビットコイン、暗号資産に積極的に関与しているのがイーロン・マスク氏だ。Teslaは今年2月に15億ドル分のビットコイン投資が話題になり、第一四半期に売却益として 1億ドルもの利益を計上している。 その後、Teslaをビットコインで購入できる仕組みを導入するものの、環境面への配慮(ビットコインのマイニングには大量の電力を消費する)から5月に受け入れを停止するなど混乱が生じている。4月に発生したビットコインの大幅下落の原因ともされている。

投資家の熱も止まることはない。a16zはかねてより暗号資産、ブロックチェーン関連への関与を続けており、創業期の2013年に株価1ドルで投資した取引所Coinbaseの株価はNASDAQデビュー時に381ドルを記録。97億ドル相当の投資をしていたa16zに 大きな利益をもたらした。 同ファンドは6月に22億ドル規模の 「クリプトファンド3」を公表している

拡大する新たな資金調達「サブスク前払い」モデル、Capchaseは1カ月で1億ユーロの申込

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ピックアップ:Capchase raises $280M to scale its financing platform for subscription businesses ニュースサマリ:サブスク型ビジネスに新たな資金調達の仕組みを提供するCapchaseは7月、新たなファンドレイズの公表をしている。6月に調達した1億2,500万ドルの調達に続いて2億8,000万ドルの資金獲得に成功した。株…

ピックアップ:Capchase raises $280M to scale its financing platform for subscription businesses

ニュースサマリ:サブスク型ビジネスに新たな資金調達の仕組みを提供するCapchaseは7月、新たなファンドレイズの公表をしている。6月に調達した1億2,500万ドルの調達に続いて2億8,000万ドルの資金獲得に成功した。株式と融資によるもので、リードはi80 Groupが務める。

同社は急成長する企業の資金調達プラットフォームPipeと同様のモデルで、伝えているTechCrunchによると事業開始から1カ月で50社に対し、1億ユーロの資金提供を実施している。スペイン拠点のスタートアップで、資金提供プラットフォーム以外にも経費管理ソリューションも提供する。

サブスクリプションなど定常的な収益を上げるビジネスモデルがSaaS企業を中心に広がっており、これらの企業のARR(Annual Recurring Revenue・年間経常収益)などを参考に、投資家とマッチングして事業資金を提供するモデルが急成長している。

代表格は2019年8月創業のPipeで、翌年2月に600万ドル、6月には1,000万ドル、そして2021年3月に5,000万ドル、5月には2.5億ドルを調達し、評価額は20億ドルへと急成長した。

Pipeは資金を求める企業の会計システムなどを繋ぎ込み、その企業が取引して調達できる資金の限度を算定する。限度額は5万ドルから1億ドルまでで、希望する金額を事業資金として提供する。企業は調達した資金を月額の収益からPipeに対して支払う。Pipe自体は手数料として1%を徴収するモデルとなっている。

融資や株式による出資とは異なり、形式上はマッチングした投資家たちが顧客となる企業のサブスクリプションサービスをまとめて購入するようなイメージに近い。投資家たちはディスカウントした額で購入しているので、その後の返済によって収益が得られるという仕組みだ。Pipeでは2020年6月の公開から年末までに数千万ドルの取引が発生しており、登録企業数は4,000社に上る。これらの企業ユーザーは不動産管理、サブスクリプションを扱うD2C企業、保険仲介、オンライン薬局、スポーツやエンタターテインメント企業などとなっている。

未来の旅はこうなる、令和トラベルと話そうの会【7月27日開催・Tokyo Meetup】

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本稿は7月27日開催するBRIDGE Tokyo Meetupのざつだん企画のご紹介です。参加申込はこちらから BRIDGEではスタートアップが好きになる「ともにはたらく・つくりだす」テーマざつだん企画、Tokyo Meetupを開催しております。スタートアップと「テーマざつだん」でつながり、その先にあるスタートアップとの副業や協業を通じて一緒に新しいビジネスを成長させるきっかけづくりとなるのが狙…

本稿は7月27日開催するBRIDGE Tokyo Meetupのざつだん企画のご紹介です。参加申込はこちらから

BRIDGEではスタートアップが好きになる「ともにはたらく・つくりだす」テーマざつだん企画、Tokyo Meetupを開催しております。スタートアップと「テーマざつだん」でつながり、その先にあるスタートアップとの副業や協業を通じて一緒に新しいビジネスを成長させるきっかけづくりとなるのが狙いです。

本稿でお届けするテーマは「新しい未来の旅」です。アフターコロナが近づきつつある今、大きな打撃を受けた旅はどのように変わり、私たちにどのような体験を提供してくれるのでしょうか。

このテーマを一緒に考えてくれるゲストとして令和トラベルの篠塚孝哉さんをお招きいたします。篠塚さんたち令和トラベルは、新しい時代のトラベルエージェンシーを目指し、今年、大きな調達で話題になりました。

当日はZoomで参加者を繋ぎ、篠塚さんの1年前の考察「アフターコロナの旅行業界がどうなるかを予想してみる」をベースに、未来の旅が必要とするテクノロジーや活躍するスタートアップを紐解く予定です。また、公開インタビューが終わった後には、令和トラベルと一緒に未来の旅を考えたい方々を交えたざつだんの時間も提供いたします。

令和トラベルと一緒に新しい未来の旅について考えたい、具体的に行動してビジネスにつなげたい方のご参加をお待ちしております。

参加する方々のイメージ

  • 副業などで旅の事業に参加したい
  • 新しい旅のビジネスを考えている
  • 令和トラベルと一緒にビジネスを考えたい
  • 篠塚さんと会いたい

日時:7月27日16時から
会場:オンライン(参加者のメールにZoomをお送りします)
参加費:無料(BRIDGE Membersへの登録をお願いします)

プログラム

・公開インタビュー(30分):BRIDGE編集部にて篠塚さんに公開取材
・テーマざつだん(30分):質問ボードを使ったざつだんタイム

参加方法

こちらのフォームからメールアドレスをお送りください

Discordにて事前の質問も募集しています。参加はこちらから

AI先生「atama plus」51億円調達の衝撃、世界戦に向けグローバル機関投資家が出資

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ニュースサマリ:学習塾向けAI教材「atama+(アタマプラス)」を展開するatama plusは21日、シリーズBラウンドでの増資を公表する。調達した資金は約51億円で、出資したのは既存投資家のDCMベンチャーズ、ジャフコ グループ、新規投資家としてテマセク・ホール ディングス傘下のPavilion Capital、米資産運用のT. Rowe Priceなどが参加した。評価額などの詳細は非公開で…

atama plusチームは250名体制を目指す

ニュースサマリ:学習塾向けAI教材「atama+(アタマプラス)」を展開するatama plusは21日、シリーズBラウンドでの増資を公表する。調達した資金は約51億円で、出資したのは既存投資家のDCMベンチャーズ、ジャフコ グループ、新規投資家としてテマセク・ホール ディングス傘下のPavilion Capital、米資産運用のT. Rowe Priceなどが参加した。評価額などの詳細は非公開で、同社の増資額は2017年4月の創業から累計で82億円となる。

atama+はAIを活用した教材で、基礎学力の習得にかかる時間を大幅に短縮できる。学習時につまづきの元となる箇所を個別に発見してくれるティーチング部分をシステムに任せ、つまづくタイミングを先生に教えることで的確なコーチングも実現しているのが特徴。高い学習効果が見込めることから導入が相次ぎ、駿台グループやZ会グループなど2500以上の教室で利用されている。

また、昨年7月からはオンライン模試の提供や、12月には立命館と共同でatama+の学習データを入試に繋げる研究会も発足させるなど、応用の幅を広げている。調達した資金で現在、160名ほどの体制を250名規模にまで引き上げ、事業拡大を狙う。

話題のポイント:創業からたった4年でここまで大きく景色を変えてしまったスタートアップはどうでしょう、メルカリ以来じゃないでしょうか。ポイントは投資家の顔ぶれと、彼らがこれから戦うであろう、ものすごく強いプレーヤーのインパクトです。AI先生の凄さや彼らを最強のチームにしたカルチャー投資については過去記事をぜひご覧ください。

海外機関投資家が投資するワケ

さて、まず今回投資をした顔ぶれから。シンガポールの政府系ファンドのテマセクや米資産運用のT. Rowe Priceですが、まず、日本国内のプライベート企業(上場前)に出資するケースはレアで、これまでにあったのはスタディストやSUPERSTUDIO(共にPavilion Capital )、freeeやSansan(こちらはT. Rowe Price)など数件が記録されています。

2021年の海外(主に米国中心)投資はこちらの記事にある通り、上半期だけで2,880億ドル(約31.7兆円)が投資されており、前年同時期の1,100億ドルを大きく更新するモンスター市場です。テマセク(今回出資したPavilion Capitalはこのグループ)はこの中にあって2021年上半期だけで47社に投資しており(トップはTigar Global Managementの144社)、T. Rowe Priceの出資額は50億ドル(5,500億円)に上ります。

繰り返します、2021年上半期だけです。

では、彼らはなぜこれまで日本のスタートアップにあまり目を向けなかったのでしょうか。これは別件で別の国内投資家と意見交換した際の話ですが、やはりどうしても国内案件については市場規模に引っ張られる部分があるそうです。彼らの評価はシンプルに時価総額なので、アップサイドはApple(今日時点の時価総額が2.4兆ドル)になります。

一方、世界でユニコーンと呼ばれる10億ドル規模のプライベート・カンパニーは900社を超えており(半数は米国)、その予備軍が次のAppleを目指して投資家と二人三脚しているわけです。世界戦を戦えない限り彼らが出資することは考えにくく、逆に言えば稲田さんたちは「世界戦を戦い抜ける」と判断されたとも言えます。実際、稲田さんも今回の出資の顔ぶれに海外機関投資家を入れた理由として、海外におけるIPOを視野に入れたものとしていました。

世界トッププレーヤーとの戦い

インドBYJU’sの評価額は1.8兆円

ではこれから稲田さんたちはどのようにステップし、世界戦で誰と戦うことになるのでしょうか。

稲田さんによると世界の教育市場は420兆円の試算があり、国内は25兆円、そこから塾・予備校のところまで落とし込むと1兆円程度になるそうです。矢野経済研究所の調査結果(2019年予測)にも塾や予備校に加え、語学学習や社会人資格などを入れた市場で約2.8兆円という試算があり、売上規模で約4,500億円ほどのベネッセがこの業界トップで、その他はおおよそ数百億円規模の売上事業者が全国に散らばっている、という状況になっています。

一方の世界戦で教育市場のユニコーンはこちらのリストにある通り、アジア勢の躍進が目立っています。特にトップを走るインドBYJU’s(評価額165億ドル・1.8兆円)と、中国のYuanfudao(評価額155億ドル・1.7兆円)は明確にatama plusが世界戦で戦う相手になります(2017年創業でatama plusと同級生)。ちなみに国内最大手のベネッセの評価額は2700億円(記事執筆時点)ほどです。

稲田さんたちの考えるファーストステップはまず、国内の塾・予備校(約5万教室ほど)を中心に導入を進め、確実なトッププレーヤーの位置を取りつつ、並行して現在進めているオンライン模試や立命館との共同事業など、塾・予備校の教材以外にも事業を拡大していくというものです。元々、atama+にはオンボーディングに時間がかかるという課題がありましたが、現在はスリム化が進み、塾・予備校への導入は以前に比べてスムーズになっているという話でした。

稲田さんの分析では中国やインドの教育市場はまだ途上にあり、教材の質というよりは、そもそも教育自体を提供することに課題があるそうです。大きく膨れ上がっている評価額もマーケティング中心に成長を加速させるパワープレイが要因で、プロダクトの質という点では十分に勝てるとお話されていました。

青柳さん参加の意味

左=メルペイ代表取締役CEO 青柳直樹氏、右=atama plus代表取締役CEO 稲田大輔氏

今回の調達に先立って、atama plusではメルペイ代表取締役の青柳直樹氏がアドバイザーに就任しています。この意図について稲田さんは、世界規模でスタートアップする際の戦い方を教えてもらうため、としていました。ここ10年、日本からテック・スタートアップで世界に挑んだ起業家はそこまで多くありません。

年齢も近く、かつグリーや現在のメルペイなど、大きな組織に成長させる経験を持った青柳さんの知見は、確かに今の稲田さんたちにとって非常にプラスに働くと思います。同社は今回の調達で250名規模に組織を拡大させるそうですが、稲田さんも三井物産での教育事業経験があるとは言え、スタートアップは初めてです。そのあたりは素直にこれから起こるであろう成長痛を事前に知って対応したいとされていました。

atama plusが実施した海外機関投資家からの増資は金額もさることながら、日本からグローバルへという国内スタートアップの悲願に近いケーススタディになる可能性を秘めています。そういった視点からも彼らの展開には注目していきたいと思います。

クラウド受付のRECEPTIONIST、グローバル・ブレインが出資

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クラウド受付サービスのRECEPTIONISTは19日、第三者割当増資の実施を伝えている。引受先になったのはグローバル・ブレインで調達額や払込日、株価などの詳細は非公開。2017年のサービスリリースから約4年で導入した社数は4000社、年間120万人が利用するとしている。 今年には提供する日程調整ツール「調整アポ」の機能を拡張し、受付や会議の日程調整もできるようにしたほか、会議室管理システム「RE…

クラウド受付サービスのRECEPTIONISTは19日、第三者割当増資の実施を伝えている。引受先になったのはグローバル・ブレインで調達額や払込日、株価などの詳細は非公開。2017年のサービスリリースから約4年で導入した社数は4000社、年間120万人が利用するとしている。

今年には提供する日程調整ツール「調整アポ」の機能を拡張し、受付や会議の日程調整もできるようにしたほか、会議室管理システム「RECEPTIONIST For Space」にウェブ会議のスペースを管理を対応させた。これにより日程調整から会議室の予約、来客受付、会議室管理までをワンストップで効率化できるようになっている。

今回調達した資金はRECEPTIONIST、調整アポ、RECEPTIONIST For Spaceの3サービスの機能開発に投じられる予定。また同社はベンチャーキャピタル9社と連携し、支援先のスタートアップに対してサービスの導入が半年間無料で実施できるプランの発表もしている。

via PR TIMES

世界のスタートアップ投資、2021年上半期に2,880億ドル(31.7兆円)を記録

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ピックアップ:Global Venture Funding Hits All-Time High In First Half Of 2021, With $288B Invested スタートアップ・ベンチャーキャピタルの調査データベース「CrunchBase」は独自の集計として2021年上半期のスタートアップ投資状況を報告している。レポートによると投資額は総額で2,880億ドル(約31.5兆円)…

Photo by Lorenzo from Pexels

ピックアップ:Global Venture Funding Hits All-Time High In First Half Of 2021, With $288B Invested

スタートアップ・ベンチャーキャピタルの調査データベース「CrunchBase」は独自の集計として2021年上半期のスタートアップ投資状況を報告している。レポートによると投資額は総額で2,880億ドル(約31.5兆円)で、前年同時期の1,100億ドルを大きく更新することとなった。投資数ではTigar Global Managementが144社、Insight Partnersが109社、Andreessen Horowitzが106社と存在感を示している。

評価額で10億ドル(約1100億円)規模になった未公開企業、通称ユニコーンの数は全体で879社(記事執筆時点では915社)に上り、2020年通期で161社が生まれたのに対して、2021年は上半期だけで250社がリスト入りしていることからも、投資動向が大きく拡大していることがわかる。これらの評価額は総計すると3兆ドルに近づいており、今回、ユニコーンリスト入りした250社は780億ドルの調達(投資後の総企業評価額は4190億ドル)に成功している。これら250社のユニコーンの内、半数は米国で中国、カナダ、インド、ドイツがそれに続く。

2021年上半期には410社がNASDAQに上場し、SPAC上場がこれを牽引した。2021年上半期のグローバルM&Aは過去最高の2.82兆ドルを突破している。

家計簿プリカ「B43」、後発スマートバンクの勝ち筋はどこに

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先週金曜日に発表があった家計簿プリカ「B43(ビーヨンサン)」について、会見で同社代表取締役CEOの堀井翔太氏が語った内容を元に、彼らが後発ながらどのようにして勝ち筋を見出しているのか、また、彼らが見据えているビジョン・未来について私見・考察含めてまとめてみたいと思います。報道発表とサービスの概要についてはこちらの記事を参照ください。 家計簿プリカ「B/43」のスマートバンクが10億円調達、グロー…

先週金曜日に発表があった家計簿プリカ「B43(ビーヨンサン)」について、会見で同社代表取締役CEOの堀井翔太氏が語った内容を元に、彼らが後発ながらどのようにして勝ち筋を見出しているのか、また、彼らが見据えているビジョン・未来について私見・考察含めてまとめてみたいと思います。報道発表とサービスの概要についてはこちらの記事を参照ください。

競合に劣る機能、なのに高いユーザー評価のワケ

家計簿プリカ「B43」が提供するのはVisaプリペイドカードを使った家計簿管理サービスです。Visaで支払いができるので特に首都圏の日々の生活費についてはほぼカバーされていると考えて良いでしょう。会見でも利用されている場所の51%以上がスーパー・コンビニということでしたので、カード経由の明細は詳細に記録されることになります。ちなみに現金利用の記録はできないので相当に割り切った仕様です。

家計簿アプリはご存知の通りかなり前から先行しているプレーヤーが存在していて、主なものとしてマネーフォワードMEやZaim、Moneytreeなどがあります。ただ、Visaプリペイドカードと連動したものはkyashと三井住友銀行のかぞくのおさいふがあり、B43含めて今回、発表された家族で利用できる共用口座の開設が可能になっています。

機能面での大きな違いとしては入金面があり、銀行口座の紐付けを前提としているkyash・かぞくのおさいふは、連携している口座からの振替がスムーズで、プリペイドカードの宿命とも言える「チャージ」で使い勝手がやや異なります。

また、支払いについてもkyashやかぞくのおさいふはApple Pay・Google Payに対応するなどスマホでの非接触利用ができるようになっていたり、ポイントバックや他のポイントを支払いに回せるなど、やはり長年サービスを提供している分、ユーザー提供体験には一日の長があります。

Kyashはポイントを活用できるなど機能面で充実している

私の家族も家計管理で試行錯誤した経験があり、B43について尋ねてみたのですが入金チャージで口座を紐づけられない点がマイナスと評価していました。これは後述しますが利用シーンがやや異なることが理由としてあって、チャージを頻繁にする場合には手間に感じてしまうようです。

じゃあB43は他と比較して使えないのか、というと全く様子が異なります。会見に先立ってアプリ(iOS)の評価を見てきたのですが、4.3とユーザーからは好意的なフィードバックが多かったのです。この理由について堀井さんは自分たちが描いている正しいユーザーに正しく届いたからでは、と回答していました。

では、彼らは誰の何を解決したのでしょうか。

N1インタビューで浮かんだ「封筒家計簿」ユーザー

少し話を戻します。堀井さんたちはB43を生み出すため、当然ながらMoatを強く意識して臨んでいます。この戦略論についてはDCMベンチャーズの原健一郎さんの論がすばらしくそちらの一読をお勧めしますが、後発企業が加熱する成長市場に参入する際に考えるべき差別化の方法、といったところでしょうか。

B43がチャレンジする市場はズバリ「キャッシュレス社会」です。現金が色濃く残る日本は、今後のデジタル化によって個人の家計管理に課題が出てくることが予想されます。というのも、デジタルとアナログの併用は相性が悪く、会見でも今回のコロナ禍によってECやデリバリーなどのデジタル決済が増えた結果、現金中心の家計簿を付けていたユーザーは支出管理が難しくなったという調査結果を報告していました。

会見で示された封筒家計簿のデジタル化におけるペインがポケットにつながる

コロナ禍によって一気に進んでしまったキャッシュレス社会におけるユーザーペインを見つけ出したのが、B43が実施したN1インタビューの方法です。複数のアンケートではなく1人のユーザーに深堀してシーンを聞き出す手法で、これにより、B43は多数の家計簿アプリが存在する中にあって、まだ解けていない課題を発見していきました。

彼らが発見した課題を機能に落とし込んだもののひとつが「ポケット」機能です。これは他のプリカ系家計簿管理サービスにはない、B43独特の機能で、ユーザーはあらかじめ決めておいた使途(旅行や食費、ファッションなど)に応じて予算を分配することができます。

これは古くからある封筒家計簿の再現で、実は私も20代の時に愛用していた方法でした。クレジットカードなどの後払いはどうしても使ったタイミングと引き落とされるタイミングがズレるので使いすぎに繋がってしまいます。一方、この方法であれば入っている現金以上は使えないのでシステム的に使いすぎを防止することができる、というわけです。しかしデジタル決済が増えた今、この方法が使いづらくなっているというペインが発生しているのです。

Moat攻略の考え方のひとつとして、非常にニッチではあるが高いユーザー熱量を得られるプロダクトで一点突破を狙うというものがあります。(こちらは令和トラベルの篠塚孝哉さんの考察が素晴らしく整理されています)

B43は前述した口座の紐付けをあえて「しない」選択肢を取っています。私のようなユーザーはやや不便と思いつつ、封筒家計簿のように月に一回、決められた予算を入れるような利用シーンであれば全く問題になりません。逆に口座を紐付けすることの方が面倒だったり、もしくはよく分からないサービスに連携させる不安など、別の課題があったのかもしれません。

B43は口座紐付け「しない」ことをウリにしている

いずれにしてもかなり、相当に厳しくユーザーを絞り込んで高い熱量を狙った戦略がぼんやりと見えてきます。思えば堀井さんたちが最初に大きくヒットさせた元祖フリマアプリ「FRIL(現・ラクマ)」も特定の女性をターゲットにし、サービス公開からしばらくはユーザーに男性を全く入れないという徹底ぶりでした。

ビジネスモデルと今後の戦い

堀井さんの会見を通じ、後発であるB43、スマートバンクの立ち上がり戦略がゆるやかに見えてきました。キャッシュレスという成長市場を選択し、ユーザーを徹底的に洗った結果、他社がまだ手をつけていない熱量の高いペインからひとつずつ攻略していく。

一方でこれらのユーザーはMoat攻略を一緒にやってくれる「最初のファン」であって、本当にビジネスとして広がりはその先にあるユーザー層になるのは間違いありません。ここからは私の考察ですが、同社の社名が「スマートバンク」である通り、彼らはおそらく主に欧米で広がったチャレンジャーバンク・ネオバンクの領域を目指しているのだと思います。

代表格のひとつで国内にも参入しているRevolutはつい先日、ソフトバンク・ビジョンファンドなどから8億ドルの資金を調達しています。また、国内では気になる動きとしてGoogleがメタップス傘下のpringを買収し、国内における金融事業を加速させるとしています。Googleはこれに先立って米国金融機関と連携したモバイルファーストな銀行サービス「Plex」も発表しています。

もう少し視野を広げて決済について言えば、国内はLINEとPayPayを傘下に持つZホールディングスが経営統合するなど、決済方面から全てを飲み込むダイナミックな動きもあります。ちなみにPayPayの技術基盤であるインド決済大手Paytmは22億ドル規模を調達するIPOを報じられていました。直近の評価額は160億ドル(CB Insigthts・1.76兆円)です。

資産管理についてはロボ・アドバイザーのWealthNaviが1800億円ほどの評価額(記事公開日時点)を付けていますし、後払いモデルも魅力的です。この分野の草分けであるAffirmや、スウェーデン発のKlarnaなどが主力プレーヤーですが、つい先日、Appleもこの分野のサービスが報じられるなど、混戦模様になってきています。

国内におけるチャレンジャーバンクやデジタル決済は海外と異なり送金ニーズが弱い、現金が強いことなどから立ち上がりを疑問視する声があったのは事実です。過去にはAnyPayがこのテーマにチャレンジして撤退しています。

しかしスタートアップはタイミングです。コロナ禍で大きく生活様式が変わった今、アーリーアダプター層で留まっていたキャッシュレス生活組がその次のマジョリティに広がるかどうか。スマートバンクが初期に大きく調達した資金をどのように使ってくるのかという点にも注目しています。

パンデミック後の働き方「ハイブリッドワーク」の課題とテクノロジー

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昨年4月の緊急事態宣言から1年以上が経過してワクチンの接種も徐々に進む中、ようやく次のステージに関心が向き始めているのではないかなと考えています。特に大きく変化した働き方については、そろそろ方針を決めなきゃいけない時期に来ているようです。 ワクチン接種が進んでいる北米ではAppleやFacebook、Googleなど大手がリモートと出社のハイブリッドモデルを採用し、そのグラデーションの両極端にTw…

Photo by Vlada Karpovich from Pexels

昨年4月の緊急事態宣言から1年以上が経過してワクチンの接種も徐々に進む中、ようやく次のステージに関心が向き始めているのではないかなと考えています。特に大きく変化した働き方については、そろそろ方針を決めなきゃいけない時期に来ているようです。

ワクチン接種が進んでいる北米ではAppleFacebookGoogleなど大手がリモートと出社のハイブリッドモデルを採用し、そのグラデーションの両極端にTwitterのような完全リモートとAmazonや Netflixのようなオフィス中心主義というケースがポジションすることになりました。

国内では早々にヤフーが昨年10月からリモートワークやフレックスのコアタイム廃止を決定するなど、働く場所よりも個人のパフォーマンスを重視した動きを見せています。サイバーエージェントは前述の区分けで言えばハイブリッド(現在は週2回のリモートワークと緊急事態宣言下での完全リモート推奨を交互に運用)で、同様の対応を採用している企業が多い印象です。特に国内ネット系でNetflixのように「オフィス宣言」を伝えているところは(実態は別として)あまり聞いたことがありません。

Appleで発生したアレルギー

というのも、リモートワークを経験した社員の高いリクエストがその背景にありそうです。パーソル総合研究所が数回に渡って実施しているテレワークに関する意識調査では、約8割近くの正社員がコロナ収束後についてもテレワーク継続を希望しているというデータも出ています。主に通勤時間の無駄が減らせる、自分のペースで仕事ができるなどのメリットを感じている人たちが多くなっているようです。

パーソル総合研究所「第四回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」より

実際、Appleの例では9月から週3日もオフィス勤務に戻ることが発表されているのですが、これに対して一部の社員から不満の声が上がっていると報じられています。記事によると6月に従業員が実施したリモートワークに関する調査では、回答した約1,700人の内、37%が働き方への柔軟性が欠如することで職場を離れなければならない可能性を不安視していると答えているそうです。

私の知人にも遠方に住居を移した人もいますし、そこまで極端でないにしろ、家族との時間の使い方や通勤時間の無駄を体験して働き方が変わった人にとっては、完全に元に戻すというのは難しくなっていると感じます。

ハイブリッドワークの未来と「存在感」

では、このパラダイムの中で次に何が起こるのでしょうか。a16zが新たに始めたオウンドメディア「Future」にTandemの共同創業者、Rajiv Ayyangar氏が「Hybrid Anxiety and Hybrid Optimism: The Near Future of Work」と題した寄稿を投稿していました。彼らが提供するTandemはバーチャルオフィスを実現するコラボレーションツールで、リモートワークの推移と課題を次のように整理していました。

リモート1.0:Automaticなどのリモートファースト企業の第一波。Google DocsやSlackといった非同期コミュニケーションを中心に始まっており技術的にも不十分でインタラクティブ性は低い

リモート2.0:私たちが今いる地点。Zoomなどのリアルタイムコラボレーションツールが広まるが、Zoom疲れや孤立感、新入社員のオンボーディングなどの問題が表面化した

リモート3.0:ハイブリッドワークというこの次のフェーズ。オフィスで働く人たちとリモートで働く人たちの間に非対称性が発生し、企業の中核となる仕事や同僚との関係性構築に新たな課題(”second-class citizen”問題 )を生みだす可能性がある

これまでのオフィスワークは一定の時間と場所に人を集めることでコミュニケーションの問題を解決してきた一方、移動時間や家族との時間などこれによって犠牲になっているものがあるということも明らかになりました。例えばオフィスに近い人と遠方の人では見えない格差があった、ということです。ハイブリッドワークの世界ではこの課題が解決される一方、別の問題が出てくるというわけです。

Ayyangar氏は解決の重要なポイントとして「存在感(プレゼンス)」に関するテクノロジーを挙げていました。例えばオフィスで当たり前だった「そこにいる」という感覚を持たせるため、いくつかの企業はZoomを接続したままにする「常時オン」を採用しましたが、同時にそれはZoom疲れ(一度に大量の視線を浴びるとストレスにつながる)を引き起こしています。

そこでAyyangar氏は今後、同僚がアクティブであることをより軽い方法で実現できるようになるとしています。例えば彼らが提供するTandemでは、画面共有をした際、相手が動かしたマウスカーソルを他の人たちも見ることができるようになっていたり、ユーザーステータスのところにどのアプリを今動かしているのかが表示されるという工夫がされています。人の顔が目の前になくとも、その人が存在しているということが分かるテクノロジーです。また、その人ではなくアバターやアイコンの表情だけで存在感を伝えることもできるようになると指摘していました。

日本でも向こう数カ月でこのようなハイブリッドワークに移行するケースが増えてくると思います。企業側も優秀な人材を引き込むためにこの新しい働き方への対応は間違いなく必要になってくるはずです。まだしばらくは移行期ですが、このパラダイムシフトの間に各社がどのような準備をするか、数年後の答え合わせが非常に興味深いテーマになりつつあります。

家計簿プリカ「B/43」のスマートバンクが10億円調達、グローバルブレインやANRIら出資ーーアプリだけで開設できるペア口座も提供開始

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ニュースサマリ:家計簿プリカB/43(ビーヨンサン)を展開するスマートバンクは7月15日、都内で記者会見し、新機能となる「ペア口座」の提供開始および第三者割当増資の実施を公表した。増資を引き受けたのはグローバル・ブレイン、ANRI、BEENEXT、SV FRONTIERとVOYAGE GROUPが共同で立ち上げたSV-FINTECH Fund、GMO Venture Partners、みずほキャピ…

ニュースサマリ:家計簿プリカB/43(ビーヨンサン)を展開するスマートバンクは7月15日、都内で記者会見し、新機能となる「ペア口座」の提供開始および第三者割当増資の実施を公表した。増資を引き受けたのはグローバル・ブレイン、ANRI、BEENEXT、SV FRONTIERとVOYAGE GROUPが共同で立ち上げたSV-FINTECH Fund、GMO Venture Partners、みずほキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、AGキャピタル、Heart Driven Fundの9社。調達した資金は10億円で、詳細は非公開ながら2020年中に払い込みは完了している。

今年1月に公開した家計簿プリカ「B/43(ビーヨンサン)」はVisaプリペイドカードと家計簿アプリがセットになった支出管理サービス。プリペイドカードに予算をチャージして支払いに使うことで明細が自動記録されるので、手入力などの面倒なく家計の管理が可能になるほか、プッシュ通知で残額などを教えてくれるので使いすぎなどの防止にも役立つ。ポケットというサブ口座を仮想的に作ることで、封筒家計簿(使途に応じて使える金額を管理する家計管理の方法)のような使い方もできる。

iOSアプリで提供されており、現時点でカード発行手数料や現金のチャージ手数料、年会費などは無料。6月16日からはセブン銀行と提携し、コンビニなどで利用できるセブン銀行ATMからの入出金にも対応している。入金手数料は無料で出金については月に2回まで無料となっている。同社はプリペイドカードを扱うことから資金移動業者としての登録も完了させており、入出金やユーザーの残高管理、本人確認システム(eKYC)並びにVisaのネットワークを通じた決済システムを自社で独自に開発している。

家族で口座を管理するペア口座

今回発表されたペア口座は夫婦やカップルなど家計を共有して管理したいユーザー同士で開設することができる機能。ペア口座専用のプリペイドカードが発行され、これを支払いに使うことでリアルタイムに両者の支出管理が可能になる。通常、金融機関などで提供されるペア口座・ファミリー口座はそれ自体を開設する手間や、個人の口座とは別に用意することから管理の面で問題があった。

B43のペア口座はアプリ上で口座の切り替えができるもので、残高や入出金の履歴確認などはそれぞれのアプリから可能。ペア口座はユーザーがパートナーとなるユーザーのQRコードを読み込むことで開設することができる。利用料は無料でアプリから申し込むことができる。

スマートバンクの設立は2019年4月。フリマアプリ「FRIL(現・ラクマ)」を生み出した堀井翔太氏(CEO)、堀井雄太氏(CTO)、takejune氏(CXO )が共同創業した。2012年創業のFRIL(運営会社はFablic)を2016年に楽天へ売却した後、個人投資家とスタートアップをつなぐサービスをリリースするなど、次の事業を模索していた。

こちらの記事に会見の内容を踏まえた考察を追記した。

 

Appleが後払い(BNPL)「Apple Pay Later」を準備中

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ピックアップ:Apple, Goldman Plan ‘Buy Now, Pay Later’ Service to Rival Affirm ニュースサマリ:AppleがApple Payの機能として後払いサービスを開発中であるとBloombergが報じている。報道によると、Apple Pay Laterと呼ばれるこの機能によってAffirmやKlanaなどで提供されている後払いのサービスを利用…

Image Credit : Apple Card

ピックアップ:Apple, Goldman Plan ‘Buy Now, Pay Later’ Service to Rival Affirm

ニュースサマリ:AppleがApple Payの機能として後払いサービスを開発中であるとBloombergが報じている。報道によると、Apple Pay Laterと呼ばれるこの機能によってAffirmやKlanaなどで提供されている後払いのサービスを利用できる。ローンのバックグラウンドはゴールドマン・サックスが担う予定で、両社はApple  Cardで提携しているが、報じられているところによるとカードの有無は後払いに関係ないとしている。

ユーザーはこの機能を使って支払いをする場合は、4つのプラン(2週間か数カ月毎)を選ぶことができる。金利については明らかになっていない。報道によると機能は開発中のものでリリースなどの状況は未定だとしている。

後払い(Buy Now Pay Later)は18歳から34歳までのミレニアル・ジェネレーションZ世代を中心に利用が進んでいるフィンテック・サービスのひとつ。アパレルなどを中心に家電や家具など後払いに対応するAffirmや、スウェーデン発のKlarnaなどが主力プレーヤーとして存在している。サービス内容も無利子で利用できる4回支払いから30日後支払いなどの選択ができるようになっており、今すぐの現金がない場合の支払い手段として市民権を得ている。

Buy Now, Pay Laterまとめ