Takeshi Hirano

Takeshi Hirano

ブロガー。TechCrunch Japan、CNET JAPANなどでテクノロジー系スタートアップの取材を続け、2010年にスタートアップ・デイティング(現・BRIDGE)を共同創業し、2018年4月に株式会社PR TIMESに事業譲渡。現在はBRIDGEにて取材・執筆を続ける傍ら、編集からPRを支援するOUTLINE(株)代表取締役も務める。

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執筆記事

ナラティブなスタートアップたち:エンパワメントの力(1/2)

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ナラティブなスタートアップたちはスタートアップPRのケーススタディを伝えるシリーズです。毎週金曜日の公開取材の内容を会員向けCanvasにまとめていきます。スタートアップの広報・PRに関わる方で話題をお持ちの方はこちらのDiscordにご参加ください スタートアップPRの強い武器「ナラティブ」 ここ2、3年、スタートアップPRの考え方にもナラティブというキーワードを耳にすることが増えました。一方、…

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ナラティブなスタートアップたちはスタートアップPRのケーススタディを伝えるシリーズです。毎週金曜日の公開取材の内容を会員向けCanvasにまとめていきます。スタートアップの広報・PRに関わる方で話題をお持ちの方はこちらのDiscordにご参加ください

スタートアップPRの強い武器「ナラティブ」

ここ2、3年、スタートアップPRの考え方にもナラティブというキーワードを耳にすることが増えました。一方、この言葉を説明すること、因数分解することは容易ではありません。

自分たちが「こうだ」と押し付けるのではなく、人々が共感して「こうなんだ」と自然と語りだす、このやさしい空気感のことを示すものなのですが、どうしても定性的な側面が強く、境界線は曖昧です。特に計画的な成長を求められるスタートアップにとっては変数が多すぎて扱いづらいものになります。

ただ実はこの「ナラティブ」、スタートアップには本質的に備わっている要素のひとつでもあります。正しく理解して日々のPR活動につなげることができれば、スタートアップにおける説明コストを劇的に下げる「魔法の言葉」になるかもしれません。私はこれこそ「認知ゼロ」のスタートアップのPR活動において最も重要な要素になると考えています。

本稿では「参加できるBRIDGE」の一環として開設したDiscordのコミュニティに参加してくれたスタートアップPR・広報の方々の力を借りて、このケーススタディをまとめてみることにしました。

ここで語られているスタートアップは存在意義が明確であり、かつ、プロダクトが革新的(もしくは人と企業にやさしい)であり、人々が語りたくなる物語を生み出す存在でもあります。

では最初のケーススタディからご紹介していきましょう。

エンパワメント

と、その前にひとつ、スタートアップをナラティブたらしめる要素としてエンパワメントの活動を挙げさせてください。なお、ナラティブについて体系的に理解したいという方は、戦略PRなどで知られる本田哲也さんが「ナラティブカンパニー」をここ最近上梓されているので、そちらをご一読いただくとより理解が深まると思います。

さて、このナラティブ・カンパニー。人々が語りたいと思わせるスタートアップの事例として次のようなものがあります。

  • メルカリやフリル(現在のラクマ)、BASEやSTORESは個人や小さな事業者のデジタル化を進めた
  • CAMPFIREやREADYFOR、Makuakeは資金集めの民主化を支援した
  • 食べチョクはコロナ禍で打撃を受けた産地を駆け巡った

もちろんまだまだ沢山あります。共通するのはどれもインターネットの力を使って小さな力を集め、困った人たちをエンパワメントした、ということです。特にこのコロナ禍においては困った人たちが世に溢れました。

CAMPFIREとKDDIは協力してクラウドファンディングの手数料を徹底的にゼロ円にしました。通常、決済にかかる手数料は代行会社に支払うコストの部分なので、実質的に持ち出し分まで負担した形です。食べチョクを創業したビビッドガーデンの秋元里奈さんは毎日のように打撃を受けた産地の方々に寄り添って息をするかの如くツイートしています。

これらの物語は今も現在進行形で続いています。

彼らはスタートアップとして、どちらかというと支援されるべき小さな対象です。その人たちが声を上げて困った人たちの代弁者となり声をあげる姿には多くの共感が生まれ、行動につながります。ナラティブはこうした彼らの活動をきっかけとして生まれる「語りたくなる空気」のような存在なのです。

そして重要なのはそのエンパワメントの活動が自分たちのミッションやビジョン(ナラティブの教科書的に言うとパーパス)と合致し、かつ、プロダクトがそこに連動することになります。つまり、人々をエンパワメントする活動そのものが声を生み、評判を広げ、プロダクトが躍進する源泉ともなるのです。単なる寄付などの支援活動とは異なる点でもあります。

では、ここからエンパワメントをキーワードに、スタートアップPRの文脈でケーススタディや考察をお伝えしていきたいと思います。最初に取り上げるのは10Xの福利厚生「10X Benefits」です。(後半につづく)

テーマまとめ「Canvas」はじまりますーースタートアップPRのざつだん公開収録・参加者募集

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BRIDGEのCanvasまとめはさまざまなテック・テーマに関するコラムやニュースをまとめたブック型のコンテンツです。詳しい起業家や専門家の方へのオリジナルインタビューを通じたコラムなども掲載いたします。 コミュニティ「Tokyo Meetup」では、このCanvasにまつわるインタビューを公開イベントで実施予定です。参加されたい方はBRIDGEのDiscordにご参加ください。こちらは無料です。…

BRIDGEのCanvasまとめはさまざまなテック・テーマに関するコラムやニュースをまとめたブック型のコンテンツです。詳しい起業家や専門家の方へのオリジナルインタビューを通じたコラムなども掲載いたします。

コミュニティ「Tokyo Meetup」では、このCanvasにまつわるインタビューを公開イベントで実施予定です。参加されたい方はBRIDGEのDiscordにご参加ください。こちらは無料です。(※Discordのアカウントが必要になります)

スタートアップPRのCanvasはじめます

ということで、いくつかのテーマを用意しているのですが、最初はやはりこちら、「スタートアップPR」に関するまとめをお送りしたいと思います。

スタートアップにまつわる広報・PRテクニックは、その企業成長モデルの特殊な環境から一般的なケースに比べて留意すべき点がやや異なります。このCanvasでは、少ないリソースで効果的に、かつ継続的に企業活動を伝えることに成功しているケーススタディや、ノウハウをまとめることにします。

過去に掲載したスタートアップPRのコラムはもちろん、現在、スタートアップのPRに関わるプロPRや広報の方々をお招きして今、話題になっている手法やケーススタディなど最新事例もまとめていく予定です。

公開収録に参加されたい方はBRIDGEのDiscordにご参加ください。詳しい日時やゲストについてはこちらでアナウンスいたします。

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「スウィングバイIPO」に向けてソラコムが6社と資本提携、世界全体の回線契約数は300万件に拡大【追記あり】

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ニュースサマリ:IoTプラットフォームのソラコムは6月10日、セコム、ソースネクスト、ソニーグループ、日本瓦斯(ニチガス)、日立製作所、World Innovation Lab(WiL)の6社と資本提携を含むパートナーシップの締結を伝えている。出資についての詳細は開示されておらず、同社は親会社となるKDDIに加え、提携を発表した6社とのグローバルビジネス協業を通じて海外利用実績の拡大を目指すとして…

ソラコム共同創業者、玉川憲氏(写真提供:ソラコム)

ニュースサマリ:IoTプラットフォームのソラコムは6月10日、セコム、ソースネクスト、ソニーグループ、日本瓦斯(ニチガス)、日立製作所、World Innovation Lab(WiL)の6社と資本提携を含むパートナーシップの締結を伝えている。出資についての詳細は開示されておらず、同社は親会社となるKDDIに加え、提携を発表した6社とのグローバルビジネス協業を通じて海外利用実績の拡大を目指すとしている。また、同時に同社は世界全体での利用ユーザーが1万5,000件に、契約回線数が300万件にそれぞれ到達していることも公表している。

ソラコムは2017年8月に創業からわずか3年というスピードでKDDIグループ入りを果たした。200億円という高評価であったこともさることながらその後の成長も順調で、買収時に8万回線だった回線契約数は3年で200万回線へとジャンプアップしている。またその発表の際、ソラコムの株式上場も含めた独立的な成長路線も示されていた。今回はその具体的なステップのひとつと考えられる。本誌では同社代表取締役の玉川憲氏にインタビュー予定なので、その背景などを伺った上で追記したい。

話題のポイント:ということで玉川さんにショートインタビューでお話伺ってきました。KDDIに加えてこの6社との連合艦隊でIoTインフラをビジネスの武器にグローバルに攻めていく、ということになるようです。

スウィングバイIPOに向けての資本・提携戦略

ソラコムの美しい成長曲線はSaaSビジネスに通じる

ソラコムが改めてIPOに向けて動き出したのが昨年の7月です。引き続きKDDIの連結子会社であることには変わりがないので、このタイミングで外部から大きく資本を入れることは考えにくく、適切にパートナーシップを強化する意味合いでの資本業務提携に進んだのだなと思いました。ーー約1社を除いて。

そう、WiLさんが株主に復活しているのです。今回、提携を発表したセコム、ソースネクスト、ソニーグループ、日本瓦斯(ニチガス)、日立製作所のそれぞれは具体的な事業(後述します)について連携し、その意味合いを強固なものにするという意図で出資を含めたものにしたそうです。ちなみに資本についての詳細は聞いたのですが非開示ということで、各社がそれぞれ開示を出していないことからも、目の玉が飛び出るインパクトのあるものでないのは想像がつきます。

戻ります。World Innovation Lab(WiL)さんです。WiLはソラコム創業期からの株主で、創業1年のチームに(しかもプロダクトがまだない状態)Infinity Venture Partnersと共に7億円という巨額を出資した、ソラコム誕生の立役者でもあります。今でこそシードに対する億円単位の出資がそこまで珍しくなくなりましたが、2015年当時にそれをやれたのはかなり気合の入ったファンドだけだったと思います。

そのWiLが改めて今回、株主として、そして事業パートナーとして戻ってくるというのです。役割としては、米国に豊富なネットワークを有するWiLがこれから攻める北米や欧州の事業成長を支える、という幅広い内容のもののようです。WiL自体、日本からグローバルに通用するメガベンチャー創出を掲げて船出してますから、ソラコムや同じ船に乗った5社とぜひそれを実現してきて欲しいと思います。

グローバルをどう攻める

ソラコムとニチガスの「勝ち筋」となったスマートメーター事例

今回、WiLを除く5社とは具体的に事業的な提携をしてグローバルを攻めることになります。事業会社がサービス、ソラコムとKDDIがインフラをそれぞれ担い、ビジネスとしても通信費含めて回収するリカーリングモデルになるところがこの船団の強みです。

ニチガスとソースネクストはすでに国内でビジネスモデルを実証済みです。ニチガスはLPガスのメーターにSORACOM SIMを内蔵することで、エネルギーの遠隔監視を実現しています。彼らは海外展開はこれからなので、この成功事例(LPガス以外のエネルギーマネジメントの事業)を横展開していくことになります。

ソースネクストはご存知ポケトークです。コロナ禍で旅行者の利用に制限がかかったようですが、代わりに語学学習などの新しい用途が見つかっているみたいです。アメリカ・ヨーロッパ共に展開済みで、さらにこれを伸ばしていく戦略になります。セコム、ソニー、日立については近日に開催されるソラコムの年次カンファレンスで具体的な内容を発表するとのことでした。

ソラコムの課題のひとつが海外における認知度です。ソニーなどグローバル企業と連携することでブランド価値を高め、かつ、戦略的なパートナーとは一緒に事業展開することで新たな柱を作る。そういう互恵関係を目指しているということでした。

スタートアップの新たな成長モデルになるか

現在、300万回線の契約が積み上がっていますが、大口に加えてロングテール的にユースケースが広がっているそうです。例えばキックボードシェアのLUUPや、みてねの見守り、クックパッドマートなど、新しいアイデアにソラコムのインフラが活用されており、ここから次のソースネクストやニチガスが生まれる可能性が期待されています。こういったパートナー企業は現在、700社に拡大しており、この範囲を今後、グローバルに拡大させていくことになります。

アメリカのユースケースは日本と異なり、例えば大型農業の灌漑事業だったり、数多く存在するプールの品質管理といった、ならではのものがあるそうです。一方、ヨーロッパは国が複雑に入り組んでいるので、越境できる利点を使って、戦略的なパートナー企業と共に事業展開を模索する戦略を考えているというお話でした。

日本からグローバルに通用するスタートアップをどう作るか。言語や文化のハードルがある以上、自然発生的なソーシャルメディアなどのケースは考えづらく、ソラコムのようなノンバーバルなサービスやゲーム・エンターテインメントがその期待を担うことになるでしょう。一方、その成長を支える経営や資本政策のあり方はまだ手探りかもしれません。

ソラコムは創業から3年というスピードで大手資本の傘下に入り、そこから3年で大きく事業を成長させ、改めてIPOへの道のりを開くという新しい形にチャレンジしています。そういう意味でもファンドであるWiLの再度の参加(ちなみに同社は前回のKDDI子会社化のタイミングでイグジットしている)は個人的に興味深い出来事でした。

3年・3年ときているので、次の3年でどのような成長を見せてくれるのか、引き続き続報があればお伝えしたいと思います。

 

スタートアップがCTOを見つける方法、Reproに三代目・尾藤正人(BTO)氏就任

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ニュースサマリ:顧客とのエンゲージメントに特化したマーケティングプラットフォームのReproは6月7日、開発組織の責任者(CTO)に、ウノウやUUUMなどで活躍した尾藤正人氏(BTO氏)が6月1日付けで就任したことを伝えている。 尾藤氏はメルカリ創業者の山田進太郎氏が創業したウノウの初期メンバーとしてCTOを務めた後、2015年からUUUMの執行役員CTOとして上場までを牽引した人物。2020年に…

尾藤さんと平田さん

ニュースサマリ:顧客とのエンゲージメントに特化したマーケティングプラットフォームのReproは6月7日、開発組織の責任者(CTO)に、ウノウやUUUMなどで活躍した尾藤正人氏(BTO氏)が6月1日付けで就任したことを伝えている。

尾藤氏はメルカリ創業者の山田進太郎氏が創業したウノウの初期メンバーとしてCTOを務めた後、2015年からUUUMの執行役員CTOとして上場までを牽引した人物。2020年に同社を退任した後は技術顧問やエンジェル投資家として活動を続けてきた。今回のReproも顧問先のひとつとして関わり、2021年6月から執行役員CTOとして専任することとなった。

Reproはアプリを中心にユーザーのエンゲージメントを高めるためのコミュニケーションツールを提供する。現在世界66カ国にて利用実績があり、これまで累計で7,300件に導入されている。

話題のポイント:テクノロジー系のスタートアップにとって「CTO(最高技術責任者)」の存在は言うまでもなく重要なのですが、創業期からアイデアに溢れる優秀かつナイスガイな最高技術責任者がいるケースは稀です。こういった人材がスタートアップする場合のほとんどは、自身か共同で創業しますので、わざわざ約束されている条件を捨ててまで従業員として入る必要がないからです。

でも、優秀なエンジニアリングのチームがなけばそもそもテック領域でスタートアップすることは困難になります。今回のReproの件はうまくその矛盾を解決しているかもしれません。

きっかけは組織崩壊

Reproにはこれまで尾藤さんの前に2人のCTOがいました。初代が三木明さんで二代目が橋立友宏(joker)さんです。それぞれ現在もReproに在籍して別の役割を担っています。にも関わらず三代目のCTOを必要とした背景は組織崩壊がきっかけでした。

Reproは200名近くの体制になっているのですが、2019年頃から好調だったReproのセールスを拡大させるべく一気に人を採用したそうです。同社代表の平田祐介さんが成長を焦ったことが要因だったと振り返っていましたが、結果、彼がオフィスで挨拶した社員に「ところでどこの部署の方ですか?」と聞かれてようやく組織崩壊を認識するに至ります。

提供する機能が顧客の要求に合ってなかったり、新参と古参の価値観の違いなど、肥大化する組織がギクシャクしはじめ、ついに役員会の席で平田さんは経営から現場執行を掌握するよう要請を受けることになります。特に開発まわりのオーナーシップに不安があったため、当時のCTOだった橋立さんと立て直しをすべく、課題の洗い出しを実施します。

そこで出てきたのが技術組織のマネジメント、でした。

野武士のような初代・共同創業者

少し話を巻き戻します。創業期のReproをご存知の方であれば、彼らが野に放たれた野武士のような存在と聞いて納得いただけるのではないでしょうか。特に平田さんは眼光が鋭く、元コンサルの荒々しさを全面に押し出したファイティングスタイルが特徴的でした。共同創業した初代CTOの三木さんはそんな黎明期のReproを牽引した技術者です。

この時期のReproはとにかくはやくモノを作ることが最優先で、生き残ることが至上命題です。そしてReproはアプリマーケティングの分野で徐々に頭角を表すことに成功します。いわゆる市場に認められたプロダクト・マーケット・フィットの瞬間です。

しかしこの時期、喜ぶのも束の間、次の問題が発生します。スケールへの問題です。

写真左から初代で共同創業者の三木CTO、平田代表、二代目の橋立CTO、三代目となった尾藤CTO

6カ月を1カ月に変えた魔法使いの二代目(Joker)

苦労したReproがようやく日の目を見て、導入が順調に進んだある日のことです。2015年のIVS(※スタートアップのコンペティション)に登壇していた平田さんのスマホが激しくなり続けます。システムトラブルです。

Reproはそのサービスの性質上、トラフィックの大きいサービスに導入されれば、当然ながら同等の処理を走らせる必要があります。100万人が利用するアプリが導入すれば、その100万人に対してコミュニケーションが発生するからです。当時、20人ほどだったReproはそのスケールの問題に直面します。

そうです、サービスがトラフィックに耐えきれず止まってしまったのです。

アプリの稼働は待ってくれませんから、すぐに根本的な解決をする必要があります。平田さんは三木さんたちと解決策を検討しますが、スケールの問題に対応しようとすると6カ月はかかる、という絶望的な試算が出てしまいます。スタートアップにとって顧客に6カ月利用を待ってくれというのは無理ゲーです。

そこで平田さんと三木さんは意を決して、この問題を解決してくれるエンジニアを探すことにしたのです。とにかくチームのみんなにこのままではまずいので、自分たちが思う最高のエンジニアを探して欲しいと依頼します。思いつくまま、リストアップ作業を続けた結果、候補に挙がったのが二代目CTOとなる橋立(joker)さんでした。

しかし、橋立さんはエンジニアリングには興味があるものの、組織マネジメントは無理と断ります。

ただ、ここで引いたのではReproは止まったままです。平田さんたちは橋立さんに三顧の礼(詳細な条件は非公開)で頼み込み、ようやく承諾を得ることに成功します。結果、6カ月かかると試算された改修を二代目CTOは1カ月半でクリアし、Reproは倒産の難を回避することになったのです。

そして組織崩壊へ・・・(戻る)

昨年に30億円の大型調達を公表した平田さん

何もなかった時代にとにかく作った初代とスケールを支えた二代目。

Reproのエンジニアチームは代替えをしつつ、その時々の問題をクリアしてきました。三代目への代替えも次の課題に対応するものとして実施されます。ただ、今回の問題はエンジニアリングというより組織、経営の問題でもあります。そう、平田さん自身の課題にも向き合う必要があったのです。

平田さんは前述の通り、闘志を剥き出しにして戦うファイティングスタイルが特徴です。組織が少数精鋭、数十名の時期であればこういったトップ・ダウンも有効ですが、さすがに200名近くになるとそうはいきません。「どの部署でしょうか?」と社員の方に尋ねられるようになるわけです。

どうすれば自分のスタイルを変えられるのか、平田さんを変えた意外な答えが「コーチング」の体験だったそうです。詳細は割愛しますが、平田さんはコーチングを受けることで、自分が組織のボトルネックになっているということに気がついたそうです。

組織とどのように向き合うべきか、何が問題だったのかを把握しはじめた平田さんは橋立さんと共に、組織戦に強い指導者を探すようになります。方法は二代目を探した時と同様、思いつくままのリストアップ作戦です。その結果、UUUMを2020年に退職したばかりの尾藤さんたちが候補に上がった、というわけです。

スタートアップは本当に数年という短い時間で一気に成長します。経営陣はその数年という間に企業の成長に合わせて自身も変革する必要に迫られます。一方で人の成長は形式的に促せるものでも、実現できるものでもありません。

そういう意味でReproが辿ったケースは稀ではありつつ、理想的なモデルとも言えます。三代のCTOをうまくバトンタッチすることの再現性はないに等しいかもしれませんが、課題に合わせて柔軟に経営組織を変化させることができるかどうか、という視点は必要不可欠なのではないでしょうか。

現在、初代CTOを務めた三木さんはエンジニアリングスキルを活かし、エンタープライズを中心にデジタルマーケティング戦略の提案と実行を担うSolution Planning(ソリューション・プランニング)を管掌し、二代目CTOを務めた橋立さんは高い技術力を活かしChief Architect(チーフ・アーキテクト)として開発に専念するそうです。

スタートアップも「合同で」ワクチン接種可能にーーCoral Capitalが支援先80社の職域接種を発表、他のVCパートナーも募集へ

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ニュースサマリ:スタートアップ投資を手がけるCoral Capitalは4日、投資先スタートアップを対象としたワクチンの職域接種の実施準備が整ったことを伝えている。対象となるのは投資先80社の正社員や業務委託、インターンおよび家族で、希望者となる1,800名分のリストの準備も完了している。 同時に同社は投資先以外のスタートアップで働く人やその家族を対象とした合同職域接種の機会を提供する目的で、パー…

ニュースサマリ:スタートアップ投資を手がけるCoral Capitalは4日、投資先スタートアップを対象としたワクチンの職域接種の実施準備が整ったことを伝えている。対象となるのは投資先80社の正社員や業務委託、インターンおよび家族で、希望者となる1,800名分のリストの準備も完了している。

同時に同社は投資先以外のスタートアップで働く人やその家族を対象とした合同職域接種の機会を提供する目的で、パートナーとなるVCの募集も開始している。今回の実施は同社の投資先であり、都内中心に9拠点を持つキャップスクリニックを展開するCAPSグループからの協力を受けたもので、パートナーとなるVCは接種を希望する投資先の企業を取りまとめる必要がある。

6月6日20時を締め切りとし、別途用意されている正式なフォームからの情報提出が必要。Coral Capitalと取りまとめをするVCパートナーの連絡はSlackで実施される予定。

ワクチンは政府から配布予定となっているモデルナ社製を想定しており、接種会場は都内を予定している。接種の日時は6月21日以降の早いタイミングを計画しているが未定としている。また、同社は但し書きとして、接種にあたる医療従事者やワクチンを調整中であり、全ての希望者の接種を保証するものではないとしている。なお、モデルナ社製のワクチンについては厚生労働省の情報を参照されたい。

今回、接種協力をするCAPSグループは年間で11万件以上のワクチン接種実績や大企業向けの接種運営実績も持っており、コロナ禍においては高齢者向け接種の急なキャンセル等で出たワクチンを未接種の人に回す「もったいないバンク」を発表している。

話題のポイント:最近、職域接種については政府方針が発表されてから、主に大企業での接種準備が報道されたりしていますが、スタートアップのような小さな事業者はこういった機会に不利です。と、思ったらそれを取りまとめる形でベンチャーキャピタルが動いていました。

Coral Capitalに確認したところ、接種会場や医療従事者の確保がやはりかなり難しかったそうですが、ファンドのLP出資している投資家や、前述のCAPSグループとの連携でなんとかこの発表にこぎつけたそうです。すごい。えらい。さすが。

もっとえらいのは対象を自社の支援先だけでなく、周囲の企業にも広げようとパートナーとなって取りまとめてくれるベンチャーキャピタルを募集しているところです。現在、かなりリクエストが多いらしく、しっかりと責任をもって情報を取りまとめてくれるファンド運営社に限定しているという説明でした。

新生VC「mint」両GPに「NOT A HOTEL」濱渦氏もゲスト参加ーー出張awabar@オンラインは今週(金)開催【5月28日 BRIDGE Tokyo Meetup vol.1 】

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本稿は5月28日開催するBRIDGE Tokyo Meetupのざつだん企画のご紹介です。イベント全体の企画はこちらから。イベントの参加申し込みはこちらから 今週末、28日金曜日に迫りましたBRIDGEの久しぶりのコミュニティイベント「BRIDGE Tokyo Meetup vol.1」ですが、スペシャルゲストをお招きします。 ざつだんのメッカ「awabar」がオンライン出張 ざつだん主催:株式会…

本稿は5月28日開催するBRIDGE Tokyo Meetupのざつだん企画のご紹介です。イベント全体の企画はこちらから。イベントの参加申し込みはこちらから

今週末、28日金曜日に迫りましたBRIDGEの久しぶりのコミュニティイベント「BRIDGE Tokyo Meetup vol.1」ですが、スペシャルゲストをお招きします。

ざつだんのメッカ「awabar」がオンライン出張

ざつだん主催:株式会社FGN ABBALab/オーナー:小笠原治さん

ざつだん概要:六本木のawabarがTokyo Meetupにオンライン出張してきてくれます。小笠原オーナーと一緒に起業相談やスタートアップのアイデア持ち込み、資金繰りから最近のトレンドまでさまざまな話題を繰り広げます。

記念すべきVol.1の出張awabarにはスペシャルゲストとして次の方々にお越しいただき、小笠原オーナーとゆるくざつだんをしていただきます。もちろん、質問等での参加も可能です!

  • mint共同ゼネラルパートナー、白川智樹さんと木暮圭佑さん
  • モノカブ代表取締役、濱田航平氏
  • TENTIAL代表取締役、中西裕太郎さん
  • NOT A HOTEL代表取締役、濵渦伸次さん、ヌーラボ代表取締役、橋本正徳さん

今日、新ファンド「mint」設立を発表した白川さんと木暮さんには、合体のいきさつや今後のビジョンなどを語っていただくほか、TLM時代に出資したモノカブの濱田さんにもご登場いただきます。濱田さんには先週から新たにテレビCMや大阪での2号店を出店するなど、日本版StockXとしての展望やライバルとの戦いについてお話いただく予定です。

また、小笠原オーナーが最近、特に興味のある「睡眠テック」については新商品のリカバリースリープウェア「BAKUNE」をリリースしたTENTIAL仲西さんをお招きして眠りの話題を提供いたします。

そして九州から大きな話題を提供してくれているNOT A HOTELの濱渦さんとヌーラボ橋本さんにお越しいただいて、4,000名が殺到した話題の物件や、成長著しいヌーラボの状況について語っていただきます。

このざつだんに参加したい方はこちらから参加申込をお願いします。多数の場合は会員の方を優先させていただきますので、ぜひ登録もご検討いただければ。

BRIDGE Tokyo Meetupとは

「BRIDGE Tokyo Meetup」は10名から20名ほどの少人数に絞ったオンライン中心の勉強会ミートアップです。ざつだんをコンセプトに、参加者の方も気軽に話題に入っていける場所を提供いたします。対象となるのは自身もスタートアップしようという方や、スタートアップへの転職を考えている方、彼らとの協業を考えている企業担当者などです。

単に聞いて終わりではなく、その後のコミュニケーションを積極的に取りたい方に集まっていただきたいと考えています。知の共有を通じて人とスタートアップを繋ぐ、そんな企画をパートナーのスタートアップ・VC/CVC各社と一緒に作って参ります。(パートナー企業募集中です

BRIDGE Partners・特別PR協賛企業

アプリコットとTLMが合体、新ファンド「mint」爆誕ーー独立系シード投資の有力候補に

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ニュースサマリ:創業期(シード期)のスタートアップ投資を手がけるアプリコット・ベンチャーズとTLMは5月26日、新ファンド 「mint(投資組合の名称はApricot Venture Fund 2投資事業有限責任組合)」 の設立を伝えている。GP(ジェネラルパートナー)には白川智樹氏と木暮圭佑氏、アプリコットベンチャーズおよびTLMが就任する。ファンドは30億円規模での設立を予定しており、現在、ミ…

ニュースサマリ:創業期(シード期)のスタートアップ投資を手がけるアプリコット・ベンチャーズとTLMは5月26日、新ファンド 「mint(投資組合の名称はApricot Venture Fund 2投資事業有限責任組合)」 の設立を伝えている。GP(ジェネラルパートナー)には白川智樹氏と木暮圭佑氏、アプリコットベンチャーズおよびTLMが就任する。ファンドは30億円規模での設立を予定しており、現在、ミクシィ、ギフティー、マイナビ、個人投資家らがLP(リミテッドパートナー)として出資参加している。

既に6社への投資を完了しているが、具体的な社名等は非公開。投資対象は国内におけるプレシードのIT系スタートアップで、1社あたりの最大投資額は3億円。平均して1,000万円から3,000万円の出資ケースを想定している。

白川氏が代表取締役を務めるアプリコット・ベンチャーズは2018年1月設立。同年4月に7億円規模の「Apricot Venture Fund1号」を組成し、インキュベイトファンドや東急、マイナビらが出資していた。一方のTLMは2015年4月に1億円規模の1号ファンド「TLM1号」、2018年に7億円規模の2号ファンドを立ち上げている。主な出資者は個人経営者やミクシィ、サイバーエージェント、アドウェイズ、ユナイテッドら。法人としてのTLMは昨年7月に設立したばかり。

アプリコット・ベンチャーズの投資先は合計で24社、無人コンビニの「600」や飲食向けデジタルマーケティングの「favy」らに出資している。TLMはビジネスソーシャルの「YOUTRUST」や特化型ファッションC2C「モノカブ」、女性エンパワメントのSHEが主な投資先。出資だけでなく起業支援にも力を入れており、オフィス支援の「FLAP」や社会人向け起業支援プログラム「Springboard」など、両社がこれまで手がけてきたプログラムも継続される。

話題のポイント:TLMの木暮さんから「合体するんです」と話を伺った際、正直、アプリコットの白川さんが共同パートナーになるとは夢にも思いませんでした。でもお話を聞くにつれ、ああなるほどよく考えられたチームだと思った次第です。お二人の馴れ初めを説明させていただきます。

今、国内においてテック系スタートアップのシード支援を担うファンドは独立系だとEast Ventures(EV)とインキュベイトファンド(IF)の歴史が長く、それぞれから出身者が次世代のファンドを立ち上げています。EVからは佐俣アンリさんが設立したANRIや、今回mintを設立したTLMの木暮さんもEVで経験を積んだ人物です。また、IFからはSkyland Venturesやプライマルキャピタル、サムライインキュベートも初期の立ち上げにはIFが支援していますし、同じくmintを設立したアプリコット・ベンチャーズもIFが出資する形で立ち上がっています。なお、アプリコットの白川さんはサイバーエージェントのCVCであるサイバーエージェント・キャピタル(在籍当時はベンチャーズ)の出身で、こちらもシード投資の国内有力候補です。

mintとなった両社のこれまでの投資先

つまり、木暮さん・白川さん共に国内シード投資の本流をそれぞれ経験した人物、ということは押さえておいてよいポイントだと思います。シード期の投資ファンドは個性的なチームが多く、EVとIFではやはり文化は異なります。その流れはそれぞれに受け継がれていることが多く、特に創業期の伴走が長くなるシードでは、出資を受ける際の重要な要素のひとつになります。

Mintの合体を語る上で参考になるのがNOWです。NOWは独立系シード投資の中でも異質な存在で、家入一真さんと梶谷亮介さんが共同代表のファンドなのですが、方や現役の連続起業家であり経営者でありエンジェル投資家という家入さんと、みずほ証券や新生企業投資などで投資、IPO支援を手がけた梶谷さんがコンビを組んでいます。家入さんはBASEの共同創業者としても知られていますが、代表の鶴岡裕太さんをはじめ、ごまんといる起業家候補から原石を発見する天才です。一方の梶谷さんは増え続けるポートフォリオを管理し、ファンドをファンドとして運営する大番頭さんみたいな存在です。

話を聞くとmintも同じような関係性が見えてきます。木暮さんはモノカブの濱田航平さんやYOUTRUSTの岩崎由夏さんなど、起業家が輝き出す前の原石の段階で発掘する嗅覚をお持ちです。一方の白川さんは起業支援プログラムなどの整備にも見える通り、投資ファンドを組織として運営する経験が豊富にあります。お互いにない力を持っているということでよい補完関係が期待できそうです。

きっかけはとある投資家の会合で白川さんから木暮さんに共同運営の話題を持ちかけられたことから始まったそうです。先にも書いた通り、今、国内のテック・シード投資は源流からの分岐が多く、やや戦国時代に突入している感があります。既存ファンドから独立して新たに組織を立ち上げようにも、かなりの個性がなければ他が強すぎて資金が集まりません。さらに言えば、シングルGPと呼ばれる一本足打法では何もかもを代表一人で背負う必要があります。

出資先のスタートアップにはチームが大切だと伝えておきながら、自分たちが組織戦に持ち込めていないというのもネガティブです。2010年代の初期ならまだしも、今はスタートアップエコシステムもかなり成熟して厚みが出てきました。主力となる独立系VCはシードに限らず、ほぼ組織戦に入っています。

二人が特に重視したのはカルチャーの違いを乗り越えられるか、という点だったそうです。役割については明確な分担が見えていますし、投資についても、それぞれの色合いは異なります(補足ですが、今後も木暮さん・白川さんはそれぞれ独自の視点で投資するそうです)。一方、肌が合うかどうかは別の問題です。これについては相当に考えたらしく、数カ月かけて話し合ったというお話でした。

ここ数年、スタートアップ系のファンドには共同GPとして主要なキャピタリスト・人材が移籍するケースが増えています。インキュベイトファンドに元マッキンゼーのポール・マクナニーさんが5人目のGPとして参加したのは記憶に新しいですが、それ以前にもCAVマフィア、ジェネシア・ベンチャーズに鈴木隆宏さんが共同GPとして参加、それに続く形でANRIに伊藤忠テクノロジーベンチャーズの主力打者、 河野純一郎さん が移籍したり、ちょっと遡ってiSGSに国内としては初の女性GPとして 佐藤真希子さん が参加して社名まで変えた例があります。

今後もこういった合併・移籍は増えていくかもしれません。

ステルス期に採用のモメンタムを落とさないためにできる広報【5月28日 BRIDGE Tokyo Meetup vol.1 】

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本稿は5月28日開催するBRIDGE Tokyo Meetupのざつだん企画のご紹介です。イベント全体の企画はこちらから。イベントの参加申し込みはこちらから ステルス期に採用のモメンタムを落とさないためにできる広報 ざつだん主催:株式会社LayerX お話する人:LayerX執行役員の石黒卓弥さん ざつだん概要:LayerXとしての初のSaaSプロダクトである請求書AIクラウド「LayerX イン…

本稿は5月28日開催するBRIDGE Tokyo Meetupのざつだん企画のご紹介です。イベント全体の企画はこちらから。イベントの参加申し込みはこちらから

ステルス期に採用のモメンタムを落とさないためにできる広報

ざつだん主催:株式会社LayerX

お話する人:LayerX執行役員の石黒卓弥さん

ざつだん概要:LayerXとしての初のSaaSプロダクトである請求書AIクラウド「LayerX インボイス」をリリースするにあたり、半年ほどステルス状態で開発にあたり、事実上の採用を止めていました。しかしその中にあっても開発の事実を外部に悟られないように、かつ、採用自体のモメンタムを落とさないように広報・PR活動は継続しました。この辺りはコロナ禍、各社共通のテーマとして面白い内容になるのではないかなと思っています。

BRIDGE Tokyo Meetupとは

「BRIDGE Tokyo Meetup」は10名から20名ほどの少人数に絞ったオンライン中心の勉強会ミートアップです。ざつだんをコンセプトに、参加者の方も気軽に話題に入っていける場所を提供いたします。対象となるのは自身もスタートアップしようという方や、スタートアップへの転職を考えている方、彼らとの協業を考えている企業担当者などです。

単に聞いて終わりではなく、その後のコミュニケーションを積極的に取りたい方に集まっていただきたいと考えています。知の共有を通じて人とスタートアップを繋ぐ、そんな企画をパートナーのスタートアップ・VC/CVC各社と一緒に作って参ります。(パートナー企業募集中です

BRIDGE Partners・特別PR協賛企業

福岡発:フレキシブルワークを実現するには?~私たちがはなれていてもサービス開発できる理由~【5月28日 BRIDGE Tokyo Meetup vol.1 】

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本稿は5月28日開催するBRIDGE Tokyo Meetupのざつだん企画のご紹介です。イベント全体の企画はこちらから。イベントの参加申し込みはこちらから 福岡発:フレキシブルワークを実現するには?~私たちがはなれていてもサービス開発できる理由~ ざつだん主催:tsumug株式会社/お話する人たち:tsumugメンバー ざつだん概要:tsumugは、15分から使えるセルフワークスペース「TiNK…

本稿は5月28日開催するBRIDGE Tokyo Meetupのざつだん企画のご紹介です。イベント全体の企画はこちらから。イベントの参加申し込みはこちらから

福岡発:フレキシブルワークを実現するには?~私たちがはなれていてもサービス開発できる理由~

ざつだん主催:tsumug株式会社/お話する人たち:tsumugメンバー

ざつだん概要:tsumugは、15分から使えるセルフワークスペース「TiNK Desk」など空間サービスの開発をしています。ほとんど全てのメンバーが、時間・場所・休暇を自分で決めるフレキシブルワークという働き方で、自然豊かなエリアに移住したり、タレントとエンジニアの複業をしたりと多様な働き方を実現しています。

離れていても同じオフィスにいるように開発するため、さまざまな工夫をしてきたtsumug。メンバーの半数がスクラム認定資格を取得するなど、1年以上前からスクラムを導入しています。メンバーのTiNK Desk活用術も交えながら、ざっくばらんに「ざつだん」しましょ!

BRIDGE Tokyo Meetupとは

「BRIDGE Tokyo Meetup」は10名から20名ほどの少人数に絞ったオンライン中心の勉強会ミートアップです。ざつだんをコンセプトに、参加者の方も気軽に話題に入っていける場所を提供いたします。対象となるのは自身もスタートアップしようという方や、スタートアップへの転職を考えている方、彼らとの協業を考えている企業担当者などです。

単に聞いて終わりではなく、その後のコミュニケーションを積極的に取りたい方に集まっていただきたいと考えています。知の共有を通じて人とスタートアップを繋ぐ、そんな企画をパートナーのスタートアップ・VC/CVC各社と一緒に作って参ります。(パートナー企業募集中です

BRIDGE Partners・特別PR協賛企業

4000人が殺到した「NOT A HOTEL」に新展開、福岡に都市型モデルと“ソフトウェア”フランチャイズ開始へ

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ニュースサマリ:ホテルブランドの開発・運営を手がけるNOT A HOTELは5月19日、都市型コンドミニアムを福岡にて展開することを公表した。初回案件となる「NOT A HOTEL FUKUOKA(仮称)」を2021年冬に販売開始し、2023年春の開業を目指す。また同社はホテルと住宅を切り替えることのできるソフトウェア・運営ノウハウを新規施設や既存のホテルに対して提供するフランチャイズ展開を開始す…

NOT A HOTEL FUKUOKA(仮称)

ニュースサマリ:ホテルブランドの開発・運営を手がけるNOT A HOTELは5月19日、都市型コンドミニアムを福岡にて展開することを公表した。初回案件となる「NOT A HOTEL FUKUOKA(仮称)」を2021年冬に販売開始し、2023年春の開業を目指す。また同社はホテルと住宅を切り替えることのできるソフトウェア・運営ノウハウを新規施設や既存のホテルに対して提供するフランチャイズ展開を開始することも公表している。

福岡の初回企画となったNOT A HOTEL FUKUOKAを企画・開発するGood Life & Travel Company(GLTC)はそのフランチャイズパートナー1号となる。GLTCは⼩⼭薫堂⽒が代表を務めるオレンジ・アンド・パートナーズと福岡でホテル事業を営むIMD Allianceの合弁会社。建設予定地は福岡県中央区某所で、分譲されるのは13室。広さは約70平⽶〜120平⽶を予定しており設計は佐々⽊慧建築設計事務所+NKS2 architectsが手がける。

NOT A HOTELはオーナーが自宅として利用するか、ホテルとして貸し出すかを使い分けることができる「ホテル兼住宅」物件を提供する。オーナーは物件の使い分けをアプリで選択するだけで、ホテルとしてのオペレーションや清掃などは全てNOT A HOTELがサポートする。リゾートでの展開を皮切りに、今回は都市型の集合物件を公表した。

福岡のスキームはホテル物件の土地取得や物件に関する企画・建設をGLTCが手がけ、ホテルと住宅を切り替えることのできるソフトウェア・運営ノウハウおよび、稼働後の運用をNOT A HOTELが手がけることになる。稼働後はNOT A HOTELが運営する他のリゾートと同様にこの福岡の物件もオーナーは共同で利用ができるようになる。

話題のポイント:分散化社会の到来を予想し、住環境のアップデートがあるとしたらこのNOT A HOTEL一択じゃないでしょうか。それぐらい衝撃的なモデルです。確かにリゾートの共同所有や不在時の貸し出しモデルはあります。ただ、ここまで物件とソフトウェアを統合したモデルはなかったのではないでしょうか。かつてAppleはOSとハードを融合させ、Windowsにはない体験を提供することで熱狂的な「Apple信者」を生み出したことで有名です。そんな感じです(雑)。

興奮して前置きが長くなりました。NOT A HOTELの仕組みについては前回の記事をぜひご覧ください。

NOT A HOTEL創業者の濵渦伸次さんにお話伺いましたが、2月のサービスデビューをきっかけに4,000件を超える問い合わせがあったそうです。数千万円から数億円の物件ですから、 資産家クラスタにとってもこのアイデアはヒットしたとみてよいでしょう。ちなみにまだ物件はひとつもできていません。

コロナ禍の都市型ホテルを救う

福岡の都市部に13戸が分譲される

福岡の物件はこれまで公表されてきた郊外型リゾートとは異なる、都市型ホテルのような物件です。詳しい場所はまだ未定ということでしたが、福岡の都市部にできるということで、福岡を仕事でご利用の方であればご存知の通り、空港がめちゃくちゃ中心部に近いので首都圏との二拠点生活は楽勝になります。福岡のNOT A HOTELを生活拠点にして、仕事で都市部に滞在する場合はホテルとして貸し出すことができます。ちなみにプライベートゾーン(私物を置けるクローゼット)とは設計段階で分離してあるそうで、この辺りはNOT A HOTELならではの仕様になっているというお話でした。

話のきっかけは、コロナ禍におけるホテル業のピンチにあります。元々、今回フランチャイズパートナーとなったGLTCには福岡でのホテル開業の計画があったそうなのですが、観光業が壊滅状態の今、タイミングとしては最悪です。しかしこのNOT A HOTELの仕組みを使えば、分譲ですからホテルにも関わらずイニシャルコストの面で大きくリスクヘッジが可能になります。そして見過ごしそうになるのが建てた後の運用で、ここについても住居とホテルを切り替えるNOT A HOTELのソフトウェアとネットワークがあれば、運用はもちろん、その後の修繕などについても分譲物件としてのメンテナンスが「NOT A HOTELネットワーク全体でカバー」できるようになります。

13戸しかない小規模物件にとってこのネットワークの存在感は大きいのではないでしょうか。分譲を購入するオーナーにとっても通常の利用はもちろん、資産価値という面での期待値は大切です。そしてさらにインパクトがあるのがこのパートナー展開を拡大させる、という事実です。本当に創業して1年のスタートアップなのでしょうか。

ホテルと住宅を切り替えるソフトが可能にするもの

スマホひとつで借りることのできるホテルでもあるNOT A HOTEL

今回の発表にあった通り、NOT A HOTELはこの展開を拡大させていきます。濱渦さんの表現では、ソフトウェアからハードを作る、というイメージだそうです。というのも、前述した通り、NOT A HOTELにはプライベート空間をホテルとして切り替える必要があります。ソフトウェアだけで切り替えても、例えば私物が利用者の目に触れては体験がよくありません。そこで、物件そのものの設計がソフトウェアと融合している必要性が出てくるのですが、これが「ホテル版Apple」と言われる所以です。

住宅兼用の分譲型ホテルネットワークが誕生すればどのようなことが可能になるでしょうか。利用サイドとしてはまず、ユニークで快適なホテル滞在体験を手にすることができます。NOT A HOTELの物件はどれも高級リゾートを思わせるデザインが特徴で、これは滞在する側にとって大きなメリットです。

提供するオーナーサイドのメリットは前回記事にも書いた通り、住宅をホテルとして貸し出せるため、特に在宅時間に無駄があるようなビジネスマン(特に経営者のようなタイプ)はメリットを感じやすいと思います。また、ネットワークにある物件は無料で利用ができる利点もあります。さらに運用や修繕といった不動産資産としてのメンテナンスについてもNOT A HOTELがまとめることで効率的になります。

2月に公表されたリゾート型の物件

これまでは土地取得や物件の建設についてもNOT A HOTELがリスクを取って実施しなければならず、企画段階でのカタログ販売にならざるを得ませんでしたが、このパートナーシップによって建設と運用のリスクを分担できるようになります。結果的にNOT A HOTELネットワーク拡大のスピードは上がるはずです。濱渦さんによれば、都市型は東京にも作る計画だそうですが、個人的には利便性の高い地方都市での更なる展開も期待しています。

ということでいろいろ夢が膨らんで期待ばかりですが、大切なことはまだ一軒も物件は建っていない、という事実です。これまでに発表された物件も今年夏に販売を開始して、来年の春に操業を開始予定です。周囲はおそらくお手並み拝見といったところでしょうが、一気に突き抜けていただきたいと思います。