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Takeshi Hirano

Takeshi Hirano

ブロガー。TechCrunch Japan、CNET JAPANなどでテクノロジー系スタートアップの取材を続け、2010年にスタートアップ・デイティング(現・BRIDGE)を共同創業し、2018年4月に株式会社PR TIMESに事業譲渡。現在はBRIDGEにて取材・執筆を続ける傍ら、編集からPRを支援するOUTLINE(株)代表取締役も務める。

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執筆記事

今度はウェブカメラが足りない!海外では再販価格で5倍超も

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ピックアップ:Webcams have become impossible to find, and prices are skyrocketing ニュースサマリ:世界的な外出自粛によりWFH(ワークフロムホーム)が広がる中、品薄になりつつある商品がある。ウェブカメラだ。THE VERGEがまとめた記事によれば、3月の最初の3週間でウェブカメラの売上が倍近くに跳ね上がっているという調査結果も出て…

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Image Credit : ロジクール(日本)

ピックアップ:Webcams have become impossible to find, and prices are skyrocketing

ニュースサマリ:世界的な外出自粛によりWFH(ワークフロムホーム)が広がる中、品薄になりつつある商品がある。ウェブカメラだ。THE VERGEがまとめた記事によれば、3月の最初の3週間でウェブカメラの売上が倍近くに跳ね上がっているという調査結果も出ているそうだ。特にLogitech(※日本ではロジクール)製品はAmazonやBestBuy、Walmartなどの小売で軒並み商品切れを起こしており、再入荷は見込めない状況になっている。要因としてはリモートワークだけでなく、遠隔医療やオンライン学習などの劇的なシフトが挙げられる。

話題のポイント:マスクの転売禁止は記憶に新しいですが、今度はウェブカメラです。生活必需品でないだけに再販価格も需給バランスというのでしょうか、順調に跳ね上がっており、Amazonの再販業者は25ドルぐらいのウェブカメラを130ドル以上で設定しているみたいですね。

筆者も実はちょうど4月1日にロジクールのウェブカメラ「B525」という商品を購入しています。Macbookなのでウェブカメラはついているのですが、作業上外付けのモニターがどうしても必要で、結果的にカメラも買わなきゃいけなくなった、というのが理由です。

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実際に購入したウェブカメラ

注文した3月末のタイミングでやや値上がりして7600円ぐらいになってましたが、なんと、今確認してみると(4月10日時点)2万円を超えた金額で販売されておりました。こうやって見るとそもそもそういう値段なのかと錯覚する怖さがありますね。

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4月10日時点の価格。再販事業者の価格は3倍以上に跳ね上がってました

そしてやはり懸念されるのは必要とされる事業者に行き渡らない事態になることです。私のような事業者は代替の手段がいくらでもありますが、例えばオンライン学習が始まるのでどうしても必要、といったケースでバカ高い商品を購入しなければならないのは嫌です。

THE VERGEのインタビューで販売元のLogitech側はこういったグレーゾーンで儲ける再販業者に注意喚起しているそうですが、価格のコントロールはしない(できない)と回答しています。

まだまだ続きそうな混乱で私たち消費者側も注意が必要です。

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「企業の緊急度が高くなった」リモートワークのキャスター、STRIVEなどから6億円調達

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オンラインアシスタント「CASTER BIZ(キャスタービズ)」などを提供するキャスターは4月9日、STRIVE、山口キャピタルを引受先とする第三者割当増資の実施を公表した。調達した資金は6億円。出資比率などの詳細は非公開。同社は昨年5月にGunosy CapitalとSMBCベンチャーキャピタルから3.6億円を調達し、その後、人材関連事業のディップからも出資(※出資額は非公開)を受けている。今回…

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オンラインアシスタント「CASTER BIZ(キャスタービズ)」などを提供するキャスターは4月9日、STRIVE、山口キャピタルを引受先とする第三者割当増資の実施を公表した。調達した資金は6億円。出資比率などの詳細は非公開。同社は昨年5月にGunosy CapitalとSMBCベンチャーキャピタルから3.6億円を調達し、その後、人材関連事業のディップからも出資(※出資額は非公開)を受けている。今回の出資で累計の調達資金は20億円弱になる模様。

同社の創業は2014年9月。現在、同社主力サービスのCASTER BIZは、秘書や人事、経理、翻訳などのコーポレート系業務を中心に、オンラインでサポートできる人材「オンラインアシスタント」を提供する。同社に登録するオンライン人材は700名で、サービス利用企業は累計で1300社を数えた。また、2018年8月にはインスタントに求人票を出せる「bosyu」サービスを事業譲受し、昨年7月に分社化している。

現在、国内のみならず世界的に蔓延した新型コロナウィルスにより、各国で外出制限が発令されている。日本でも先頃、緊急事態宣言が発令され、東京など首都圏で外出自粛要請の動きが強まっている。この状況についてキャスター代表取締役の中川祥太氏に聞いたところ、やはりリモートワーク導入に関する問合せが増加しているという話だった。

新型コロナウイルスの影響で、これまでは中長期でリモートワーク導入を検討される企業様が多かったところ、「すぐにでもリモートワークを導入したい」という緊急度が高いご相談や「オフラインで行っている事業をオンライン化したい」という事業に直結するご相談を多々いただくようになりました。

オンラインアシスタントサービス「CASTER BIZ」などによるオンラインでの業務アウトソース、リモート人材派遣「在宅派遣」、リモートワーク求人を扱う求人サイト「Reworker」などでのオンライン人員の拡充も、大変多くの引き合いをいただいております。

「リモートワークを当たり前にする」をミッションに掲げて創業いたしましたが、緊急事態宣言が発令された今、当たり前になりつつありますので、今後このリモートワークが継続され、多くの企業と個人がより良くリモートワークできるよう、支援に尽力してまいります」(中川氏)。

調達した資金はリモートワーク推進のためのセキュリティシステムやリモートワーカー向け業務管理システムの開発推進、また、子会社で運営するbosyu事業に投資するとしている。

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Squareのジャック・ドーシー氏、コロナ救済に個人資産10億ドル(約 1100億円)寄付へ #startsmall

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ピックアップ:Jack Dorsey pledges $1 billion of his Square stake for COVID-19 relief efforts ニュースサマリ:Twitter、およびSquareの共同創業者・最高経営責任者(CEO)であるジャック・ドーシー氏は4月8日、新型コロナウィルス(COVID-19)に関連した慈善基金「start small」のプランを公表した。…

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Photo by Cytonn Photography on Pexels.com

ピックアップ:Jack Dorsey pledges $1 billion of his Square stake for COVID-19 relief efforts

ニュースサマリ:Twitter、およびSquareの共同創業者・最高経営責任者(CEO)であるジャック・ドーシー氏は4月8日、新型コロナウィルス(COVID-19)に関連した慈善基金「start small」のプランを公表した。個人が保有するSquare(SQ.N)株から10億ドルをこの基金(start small LLC)に対して寄付するとしている。この金額は彼の保有資産の28%を占める。また、この基金の活動(支援した人と受け取った人)は公開文章を通じて透明性高く公表するとしている。

ドーシー氏は公表の中で、このパンデミックが収束を迎える頃、次なる視点は女子の健康と教育、普遍的なベーシックインカムに向かうであろうとしている。

話題のポイント:新型コロナウィルスの話題は国内ではもう待ったなしの状態ですが、世界的には各国のピークアウトの時期から、このパンデミック収束後の世界に徐々に移りつつあります。発端となった中国・武漢では都市封鎖が解除され、消費に回復が見られるようになりました。

<参考記事>

大切な人を守るための行動が求められると同時に、生きていくために次の世界を見据えた準備も始まっている、ということでしょうか。各国の企業による寄付等の救済活動も活発で、例えばfacebookは3月の後半時点でスモールビジネス向け、1億ドル規模の支援金を公表しています。また、Airbnbもキャンセルされたホストを救済するための資金として2億5000万ドルを公表しました。

<参考記事>

一方、今回ジャック氏が公表したのは非常に普遍的な救済基金です。個人資産から寄付するということからもわかるとおり、ビジネスとは一旦切り離して資金提供を呼びかけています。目的にあるベーシック・インカムが実現すれば、国家とはまた異なる横断的な支援機構になる可能性も秘めています。

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公開されているスプレッドシート

すでにレオナルド・ディカプリオ氏らが設立した「America’s Food Fund」も参加を表明しており(スプレッドシートに追記されてるだけですが)今後、世界規模でどういった富豪たちが参加するのかも注目したいポイントです。

また、日本でもREADY FORが立ち上げた「新型コロナウイルス感染症:拡大防止活動基金」にプロ野球選手が参加するなど、国内でも支援の輪は広がっております。

<参考記事>

長期に渡ることが大方の予想なので、あらゆる方面で近未来を予測する力が試されそうです。

※訂正:初出時、タイトルを「10億ドル(約 1000億円)」としていましたが、執筆時点での為替は1ドル109円前後でしたので「10億ドル(約 1100億円)」とさせていただきます。

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セイコーエプソンが50億円ファンドでスタートアップとの協業加速、グローバル・ブレインと共同で設立

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グローバル・ブレイン(以下、GB)は4月1日、セイコーエプソン子会社で事業投資を手掛けるエプソンクロスインベストメントと共同で、投資ファンド「EP–GB投資事業有限責任組合(略称:EP–GB)」の設立を伝えている。運用総額は50億円でエプソンクロスインベストメントが99%、GBが1%を出資し、GBが無限責任組合員として運用にあたる。 エプソングループでは2019年3月にグループ長期ビジョン「Eps…

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セイコーエプソンが掲げるオープンイノベーション領域

グローバル・ブレイン(以下、GB)は4月1日、セイコーエプソン子会社で事業投資を手掛けるエプソンクロスインベストメントと共同で、投資ファンド「EP–GB投資事業有限責任組合(略称:EP–GB)」の設立を伝えている。運用総額は50億円でエプソンクロスインベストメントが99%、GBが1%を出資し、GBが無限責任組合員として運用にあたる。

エプソングループでは2019年3月にグループ長期ビジョン「Epson 25」に向けた中期経営計画を公表している。この中で同社は、グループが持つインクジェット技術を中心とした経営資源を最大活用するための協業・オープンイノベーション戦略を打ち出している。今回のファンドもこの計画に沿ったものとなる。

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長期ビジョン Epson 25 各領域

GBにファンドの方向性を確認したところ、今回のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)設立は、これまで対外的に積極的なPRを実施してこなかったエプソンが、投資戦略を前進させるための体制として整えたものだそうだ。セイコーエプソン本体としての事業投資とCVCを分けることで、スピード感を求められるケースに対応できるとしている。

また投資範囲についてはGBから次のようなコメントを得られた。

「ベンチャーと共に社会課題の解決を起点とするような新規事業の創出に取り組みたい。地球規模で持続可能な社会の実現に対する大企業への期待が高まる中で、当社の資源や技術をオープンイノベーションを通じてより大きな価値を生み出す活動へと進化させていきたい」。

なお、グローバル・ブレインは3月31日にヤマトホールディングスと共同で50億円のファンド組成を公表したばかりだ。

<参考記事>

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フィットネスを分単位で利用の「Nupp1」ジェネシアVなどから1億円調達、利用可能施設は166箇所に

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分単位でジム通いができるフィットネスシェア「Nupp1」を提供するナップワンは3月30日、ジェネシア・ベンチャーズ、みずほキャピタル、三菱UFJキャピタル、個人投資家として児玉昇司氏、正林真之氏らを引受先とした第三者割当増資の実施を公表した。ラウンドはプレシリーズAで、調達した資金は1億円。出資比率などの詳細は非公開。 Nupp1の公開は2019年5月。利用客の少ない遊休時間を活用したいフィットネ…

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分単位でジム通いができるフィットネスシェア「Nupp1」を提供するナップワンは3月30日、ジェネシア・ベンチャーズ、みずほキャピタル、三菱UFJキャピタル、個人投資家として児玉昇司氏、正林真之氏らを引受先とした第三者割当増資の実施を公表した。ラウンドはプレシリーズAで、調達した資金は1億円。出資比率などの詳細は非公開。

Nupp1の公開は2019年5月。利用客の少ない遊休時間を活用したいフィットネスジムと利用可能なユーザーをマッチングさせるサービス。利用客は専用アプリで登録すると、分単位で利用可能なジムを使うことができる。各ジムでの入会手続きや月額費用などは不要。利用できるジムによって分単位の料金は変動し、総合方ジムをはじめ、プールやゴルフなどの特化したフィットネスも利用できる。支払いはクレジットカードやデビットカードなどをアプリに登録して課金される仕組み。

利用できる施設は現在166箇所で、アプリのダウンロード数は2万件。調達した資金は顧客獲得のためのマーケティング、提携先施設の拡大に向けた営業強化に使われる。

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自由業でも100%入居の「smeta(スメタ)」運営がジェネシアVなどから7000万円調達

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個人向け与信サービスを手掛けるリースは3月31日、ジェネシア・ベンチャーズを引受先とする第三者割当増資の実施を公表している。株式による増資以外に金融機関からの借入を合わせ、調達した資金は7000万円。株価や払込日などの詳細は非公開。運営するアプリの開発や提携先の拡大に向け、組織体制、マーケティングを強化する。 リースが提供するのはフリーランスなどの自由業を営む人たち向けの賃貸与信アプリ「smeta…

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個人向け与信サービスを手掛けるリースは3月31日、ジェネシア・ベンチャーズを引受先とする第三者割当増資の実施を公表している。株式による増資以外に金融機関からの借入を合わせ、調達した資金は7000万円。株価や払込日などの詳細は非公開。運営するアプリの開発や提携先の拡大に向け、組織体制、マーケティングを強化する。

リースが提供するのはフリーランスなどの自由業を営む人たち向けの賃貸与信アプリ「smeta(スメタ)」。家を借りる際に実施する入居審査で、会社員などに比較して信用力の低い自由業の人たちはこの審査に落ちるケースがある。この場合、審査に必要とする時間や手間などが無駄になってしまう。そこでsmetaでは、このようなユーザーの与信枠を入居審査の前に事前審査し、借りることのできる家賃の上限を示すことでこれらの無駄を排除してくれる。

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また、入居した後の支払い履歴などもsmeta内に蓄積することで、利用実績に応じた与信枠(借りられる家賃の上限)の変更なども可能にする。また、同社では利用者の家賃保証サービス「smeta保証」も提供し、ユーザーの事前与信審査から借りることのできる賃貸物件の仲介と入居審査、借りる際の家賃債務保証(※)までをワンストップで提供する。

βサービスの開始から約1年で利用登録者数は3000名ほど。昨年10月に開始したsmeta保証について、提携した不動産賃貸管理会社は80社に拡大している。

また、同社は提携戦略を進めており、フリーランスが利用するクラウドソーシングのランサーズや請求書買取のOLTAなど、10社ほどのパートナーに対して同サービスの案内を実施している。

※入居者が家賃を支払えなかった際、連帯保証人として支払いを代行する事業者

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「50億円は手始め」ヤマトが仕掛ける物流“運創”ファンド公開、グローバル・ブレインと共同で設立

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ニュースサマリ:独立系ベンチャーキャピタルのグローバル・ブレイン(以下、GB)は3月31日、ヤマトホールディングス(以下、ヤマト)と共同で新たなファンドの設立を公表した。名称は「KURONEKO Innovation Fund(YMT-GB 投資事業有限責任組合)」で、運用総額は50億円。ヤマトが有限責任組合員として大部分を出資し、運用期間は10年間。無限責任組合員としてGBが共同運営にあたる。 …

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写真左から:グローバル・ブレイン代表取締役の百合本安彦氏、ヤマトホールディングス代表取締役社長の長尾裕氏

ニュースサマリ:独立系ベンチャーキャピタルのグローバル・ブレイン(以下、GB)は3月31日、ヤマトホールディングス(以下、ヤマト)と共同で新たなファンドの設立を公表した。名称は「KURONEKO Innovation Fund(YMT-GB 投資事業有限責任組合)」で、運用総額は50億円。ヤマトが有限責任組合員として大部分を出資し、運用期間は10年間。無限責任組合員としてGBが共同運営にあたる。

物流業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する狙いで、物流やサプライチェーンなどをテーマに、これらを変革する技術やビジネスモデルを持った国内外のスタートアップに投資する。出資の規模は5000万円から数億円程度で、資金だけでなくヤマトやグループ各社が保有する経営資源を活用した協業も視野に入れている。

話題のポイント:物流やサプライチェーンは社会経済の基盤であり、今回の新型コロナウィルスの一件でもよく理解できましたが、国境が封鎖されるという事態に陥るとそのインパクトは凄まじいものになります。逆に言えば、このテーマでイノベーションが起こると、社会全体が変わる可能性が高いということでもあります。

ヤマトはロジスティクスという点で、特にEC系スタートアップの大切なパートナー的存在になっています。例えばメルカリは2015年にヤマトと提携し、送料決済をアプリ内で完結させるシステム連携を開始しました。

メルカリは当時、創業2年・売上ゼロの「ザ・スタートアップ」でしたが、B2C文脈を増やすという方針で合致したこともあって提携を実現させています。創業年数で門前払いにせず、しっかりとロジックを持っている相手とは手を組む姿勢が伺えるエピソードです。

今回のファンドはこのようなスタートアップとの連携をより加速させるための仕掛け、ということになります。

今回、取材でヤマト側のファンド責任者を務める専務執行役員の牧浦真司さんにお話を伺いましたが、ファンドの特性としては協業が中心となる本体投資と切り分けて、ファイナンシャルリターンもしっかりと視野に入れたCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を目指すということです。協業の可能性がある企業へ投資し、IPOまで支援するパターンと、より本体事業とのシナジーが見出せれば直接(本体)投資も検討する、というスタンスですね。

一方で、物流は範囲が相当に広いです。サプライチェーン全体で考えれば、資材などのB2B物流、製造拠点、在庫管理、製品の個宅配送など、毛細血管一本ずつに事業機会が潜んでいます。

また、2010年前後から始まったシェア・オンデマンド経済は、UberEatsやInstacartなど、デリバリそのものの仕組みを変えてしまいました。こういったバーティカルな業界毎のサプライチェーン特性(例:食品ロスは流通の過程でも発生するといった業界事情など)と、新たなビジネスモデルとの組み合わせになるため、どこまでが投資対象になるのかなかなか掴み所が難しいわけです。

前出の牧浦さんも、2020年代の大きなテーマとなる5Gやスマートシティ、チャレンジャーバンクなど全ての分野において投資の可能性がある、というかなり幅広い門戸を認識されていました。例えばフィンテックは物流と切り離せない「代引き」というサービスがあります。現時点で私もまだ玄関口で現金を手渡ししている状況が続いていますから、この体験の変革にはインパクトがありそうです。

物流データは宝の山

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ヤマトHDが今年1月に公表した経営構造改革プロジェクト「YAMATO NEXT100」より

もう一つ、彼らの投資戦略を紐解く上で重要な情報が、今年1月に発表された経営構造改革プランの存在です。「YAMATO NEXT100」と題された計画で、中計などのさらに上の概念になります。

ここで彼らは3つの事業・基盤構造改革を打ち出しているのですが、中でも注目したいのが物流データへの着目です。現在ヤマトでは年間18億個もの配送を手掛けており、ここにまつわるビッグデータには様々な可能性が隠れています。例えばモノフルやスマートドライブといった移動データを扱うスタートアップたちは、「A地点からB地点」への移動をデータで可視化・効率化することで、様々な事業を生み出しました。

この宝の山のような物流・移動データが集中しているのがヤマトです。大きなテーマとして「宅急便」のDX、ECエコシステムの確立、法人向け物流事業の強化を掲げていますが、この周辺領域に強い技術やアイデアを持ったスタートアップにはチャンスがある、というわけです。また、これらを実現するために、2021年に300人規模のデジタル組織を立ち上げ、データドリブンな経営・意思決定プロセスを構築するそうです。

ヤマトは構造改革プランで「運送から運創」というコピーを用意しています。牧浦さんも取材の中で「50億円のファンドは手始め」とされていましたが、こうやって全体像を俯瞰すると、資金運用を主目的としたコーポレートベンチャーキャピタルというよりは、本体事業の構造改革を背景とした仕組みの一部が今回の「KURONEKO Innovation Fund」の本質と言えそうです。

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くらしをアップデートするホワイトプラス、GCPなどから15億円調達ーー35万人利用のLenetに続きハウスクリーニング「キレハピ」好調

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ニュースサマリ:ネットクリーニング「Lenet(リネット)」など生活関連テクノロジーを手掛けるホワイトプラスは3月27日、グロービス・キャピタル・パートナーズ、YJキャピタル、ラクスルの3社を引受先とする第三者割当増資の実施を公表した。株式による増資に加え、みずほ銀行からの融資を合わせた調達金額は15億円。この資金を使って開発エンジニア採用、マーケティング投資を進める。 ホワイトプラスの創業は20…

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写真左から:ホワイトプラス取締役の斎藤亮介氏・代表取締役社長の井下孝之氏

ニュースサマリ:ネットクリーニング「Lenet(リネット)」など生活関連テクノロジーを手掛けるホワイトプラスは3月27日、グロービス・キャピタル・パートナーズ、YJキャピタル、ラクスルの3社を引受先とする第三者割当増資の実施を公表した。株式による増資に加え、みずほ銀行からの融資を合わせた調達金額は15億円。この資金を使って開発エンジニア採用、マーケティング投資を進める。

ホワイトプラスの創業は2009年。組織は契約など含めて90名の体制で、現在主力のネットクリーニング「Lenet」や、ハウスクリーニングのマッチング「キレハピ」を展開している。Lenetのユーザー数は2019年5月時点で35万人。

Lenetは従来対面が必要だったクリーニングの依頼を完全にオンライン化したのが特徴。商品一点一点を独自のオペレーションで検品し、ネットワークする提携工場でクリーニングして宅配してくれる。一般的な他のネットクリーニングでは検品のオペレーション(店頭でシャツなどをチェックするフロー)が整っていないケースが多く、まとめて依頼する従量制の方法が多い。

また、在宅時の受け取りが難しい共働き世代などのニーズに応え、早朝深夜(朝6時から深夜0時)の集荷も独自ネットワークで可能にしている。ふとんや靴などのクリーニングもできるほか、クリーニングした後に保管するクロークサービスも提供する。

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ホワイトプラスの主力サービス「Lenet」

話題のポイント:これまでネットクリーニングLenetの一本足打法で事業成長していたホワイトプラスですが、ここにきて拡大に向けた動きをみせています。今回の調達で注目しているのが新サービスの「キレハピ」とラクスルからの出資です。

ラクスルは元々印刷の価格比較から始まり、その後、印刷工場をネットワーク化することで独自のマッチングモデルを作りあげました。注文をラクスルとしてオンラインで一元化することでユーザーにわかりやすく、かつ、リソースの空いている工場を選ぶことで印刷物を最も効率よく届けることに成功したケースです。一方、上場を手前にもうひとつの事業「ハコベル」を立ち上げたのは有名な話です。結果、現在はCM商品の好調などもあり、非常に安定感のある成長を遂げています。

ホワイトプラスも似たような状況です。足下のLenetは力強く成長していますが、2009年から約11年を経過して35万人という数字は、現在の経営陣にとってまだまだ伸び代があると感じる数字です。さらに彼らが目指しているのは、テクノロジーによる暮らし全般のアップデートを感じられる体験・サービスの提供です。クリーニング以外にも暮らしに関するテーマはごまんとあります。

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新たに開始したハウスクリーニングマッチングのキレハピ

そこでもう一つの注目点「キレハピ」が出てくるわけです。ハウスクリーニングに特化したマッチングサービスで、類似サービスには「くらしのマーケット」や「キッズライン」「CaSy」などがあります。個人というよりは小さい事業者が登録で多いのでくらしのマーケットの一部分を切り出した感じでしょうか。

特にこだわっているのが口コミ評価です。クリーニングと違ってハウスクリーニングは他人を自宅にあげるという必要性があります。事業者が多いとはいえ、大手と異なりどうしても品質にばらつきが出るのは仕方なく、マッチングサービスの宿命とも言えます。

キレハピでは他サービスに比較して利用後の評価を細かく設定しています。それにより、金額もさることながら、より自分が気持ちよく利用できる事業者とのマッチングを目指しているというお話でした。

今回、CM制作依頼をきっかけにラクスルとの話が始まったそうですが、出資にまで至ったことでその上場までの経験がホワイトプラスに寄与するかどうか、注目しています。

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3カ月まで金利0%のスマホ小額ローン「CREZIT」 公開

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小額ローンサービス「CREZIT(クレジット)」を提供するCrezitは3月26日、サービスの公開を伝えている。CREZITは登録から借入までスマートフォンだけで完結する小額のローンサービス。20歳以上が利用可能で、サービス全体としての利用限度額は50万円まで。借入利率は実質年率で0%から8%となっている。担保などは不要で返済期間は最長で12カ月。返済方式は毎月の返済額が一定の元利均等返済。 今回…

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小額ローンサービス「CREZIT(クレジット)」を提供するCrezitは3月26日、サービスの公開を伝えている。CREZITは登録から借入までスマートフォンだけで完結する小額のローンサービス。20歳以上が利用可能で、サービス全体としての利用限度額は50万円まで。借入利率は実質年率で0%から8%となっている。担保などは不要で返済期間は最長で12カ月。返済方式は毎月の返済額が一定の元利均等返済。

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今回サービスを開始するのは10万円までの与信枠に関するベーシックプランからとなる。利用したいユーザーはアカウントを発行し、本人確認書類などをアップロードした上で振込先となる銀行口座の情報を入力する。最短5分での審査が終わると与信枠が設定されるので、その範囲内でお金を借りることができる。

その後の利用履歴や返済の状況に応じて、与信枠に設定された金額が引き上げられるなどの契約条件の向上も可能。

ビジネスモデルについては、今後、金利0%のベーシックプランとは別の上位プランを用意し、借りられる額や条件などを向上させたいユーザーに対し、有料課金や金利などの徴収を考えているという話だった。今後、Crezitでは、今回の利用を通じてユーザーの与信評価に関するデータを管理し、信用情報を向上させる仕組みを提供するとしている。

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クラウドファクタリング「OLTA」今度は地銀と提携ーー中小企業の資金繰り改善へ、山陰合同銀行と実証実験

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ニュースサマリ:クラウドファクタリングを提供する「OLTA」は3月25日、山陰合同銀行との実証実験開始を伝えている。両社による共同事業開始を見据えてのもので、山陰合同銀行の顧客を対象に、OLTAが提供するサービス紹介を通じて顧客ニーズの吸い上げ、検証から開始する。4月1日から開始し、両社は今後、中小企業および個人事業主の資金繰り改善を目指したサービスの提供を目指す。 話題のポイント:2月に新生銀行…

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OLTAと業務提携した山陰合同銀行(同社ウェブサイトより)

ニュースサマリ:クラウドファクタリングを提供する「OLTA」は3月25日、山陰合同銀行との実証実験開始を伝えている。両社による共同事業開始を見据えてのもので、山陰合同銀行の顧客を対象に、OLTAが提供するサービス紹介を通じて顧客ニーズの吸い上げ、検証から開始する。4月1日から開始し、両社は今後、中小企業および個人事業主の資金繰り改善を目指したサービスの提供を目指す。

話題のポイント:2月に新生銀行との合弁会社設立という、2017年創業のスタートアップとしては異例の提携を発表したOLTAが早くも次の手を打ってきました。地銀との協業です。昨年6月にサービスのお披露目をした際にも口にしていた「中小企業の資金繰り改善」という本丸に、あっという間に近づいてきたわけです。攻めすぎ。

<参考記事>

今回提携することになったのは島根県・鳥取県を基盤とする地銀で、簡単に言えばクラウドファクタリング(売掛金請求書の買取)の顧客への紹介です。OLTAは独自のAIスコアリングで審査を劇的に短縮しているため、あとは利用したい顧客に繋げるだけでサービスは拡大していきます。

一方、まだまだファクタリング自体「なんだか怪しそう」的な誤解があるのも事実です。そういう意味で普段の付き合いがある金融機関からの紹介は随分とプラスに働くことが予想されます。

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OLTA利用者は中小企業が中心。数百万円の資金繰り課題を改善する(同社ウェブサイトより)

さて、こうなってくると気になるのはOLTAの全国制覇です。新生銀行、地銀と提携の範囲を広げたのであれば、47都道府県の地銀と全て提携する戦略がはっきりと見えてきます。そもそも昨年6月のインタビューでも「OLTAをホワイトレーベルとして提供する」と明言していましたから、明らかに予定路線なのでしょう。

ただ、同社に確認してみたのですが、意外と提携のスピードはそこまで早くないそうです。確かに新生銀行との合弁会社設立は一定の効果があったものの、やはりそこは金融機関。前例のない事業に慎重な姿勢を崩すことはないそうです。今回の提携についても前回の発表があってすぐにやりましょう!みたいな話ではなく、数年かけて信頼関係を得た結果、ようやく「実証実験」の段階に進んだとのことでした。

あともう一点、現在猛威を奮っている新型コロナウィルスの影響について聞いたのですが、やはり運転資金の確保という観点で問合せが増えているそうです。地銀再編の話題やこういった市況の大きな変化で、OLTAの成長がさらに角度を付けることになるのか、引き続きウォッチしていきたいと思います。

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