Takeshi Hirano

Takeshi Hirano

ブロガー。TechCrunch Japan、CNET JAPANなどでテクノロジー系スタートアップの取材を続け、2010年にスタートアップ・デイティング(現・BRIDGE)を共同創業し、2018年4月に株式会社PR TIMESに事業譲渡。現在はBRIDGEにて取材・執筆を続ける傍ら、編集からPRを支援するOUTLINE(株)代表取締役も務める。

http://thebridge.jp

執筆記事

参加できるBRIDGE、はじめますーーVCやスタートアップの採用PR・ブランド支援「BRIDGE Partners」募集のお知らせ

SHARE:

こんにちは BRIDGEの平野です。先日の法人再設立・代表復帰に続き、新しいメンバーシップの開始をお知らせさせてください。 プレスリリース:「参加できるBRIDGE」メンバーシップ開始と、VCやスタートアップの採用・ブランドを強化する「BRIDGE Partners」募集のお知らせ 法人として3月19日に再スタートを切ったTHE BRIDGEでは、その使命を「人と社会の架け橋となり新たな価値を創造…

こんにちは BRIDGEの平野です。先日の法人再設立・代表復帰に続き、新しいメンバーシップの開始をお知らせさせてください。

プレスリリース:「参加できるBRIDGE」メンバーシップ開始と、VCやスタートアップの採用・ブランドを強化する「BRIDGE Partners」募集のお知らせ

法人として3月19日に再スタートを切ったTHE BRIDGEでは、その使命を「人と社会の架け橋となり新たな価値を創造する」と定め、このミッションを達成するため、私たちは創業以来ずっと続けていたコミュニティ活動を再開することにしました。

この活動のコンセプトは「Give & Give & Given」です。スタートアップにおける「つながり」を生み出す活動は、新たなメンバーや投資家との出会いを作る上で大変重要です。一方、自分たちだけがよければよい、という考え方の企業には人も資金も知恵も集まりづらいと感じています。多くの成功している創業者やスタートアップには、惜しみなく自分たちの情報を提供し、透明性高く事業を作り成長させる共通項があります。

これまでにもBRIDGEではグローバル・ブレインKDDI ∞ Laboサイバーエージェント・キャピタルジェネシア・ベンチャーズやその支援先のスタートアップの方々と連携し、オウンドメディアの転載や寄稿といった方法で情報提供を進めてきました。

BRIDGE PartnersでVC・CVC・上場企業としてご参加いただいたみなさま(4月16日時点で申込確認が取れている方のみ)

この連携を改めて形にしたのが「BRIDGE Partner」です。今後もこの輪を広げながら、彼らと一緒になってこのスタートアップの情報エコシステムを作ってまいります。今回、パートナーシップ開始にあたり、新たにVCや CVCのみなさんにもご協力・ご参加をいただきました。今後はスタートアップの方々にもお声がけをし、この情報基盤を強固なものにしていきたいと考えております。

詳しい内容は今日のプレスリリースに記載させていただいているので、ご興味ある方はそちらをご覧いただければ幸いです。ぜひ、スタートアップやVC・CVCのみなさんのご参加をお待ちしております。

「BRIDGE Partner」募集概要

対象:(1)VC/CVC・スタートアップとの協業を積極的に実施している上場企業(2)外部出資を受けている未公開企業
費用:(1)協賛プログラムへの参加が必要(2)無料
応募方法:こちらのフォームから必要事項を記入の上お送りください。5営業日以内に審査結果をお送りします
応募期間:(1)一次募集は4月末まで(2)常時募集
留意事項:登録には審査が必要になります

シードVC「NOW」が2号ファンド設立、1号出資のヌーラボや「食べチョク」運営など躍進

SHARE:

シード向けベンチャーキャピタル「NOW」は4月16日、2号となる「Founder Foundry 2号投資事業有限責任組合」の設立を公表した。設立は3月で、無限責任組合員はFounder Foundry有限責任事業組合が務め、運営会社であるNOWと同社共同代表を務める家入一真氏と梶谷亮介氏がこのファンドの組合員となる。運営期間は10年。 2号ファンドに出資したのは新生銀行、SMBC日興証券、グリー…

NOW共同代表を務める家入一真氏と梶谷亮介氏

シード向けベンチャーキャピタル「NOW」は4月16日、2号となる「Founder Foundry 2号投資事業有限責任組合」の設立を公表した。設立は3月で、無限責任組合員はFounder Foundry有限責任事業組合が務め、運営会社であるNOWと同社共同代表を務める家入一真氏と梶谷亮介氏がこのファンドの組合員となる。運営期間は10年。

2号ファンドに出資したのは新生銀行、SMBC日興証券、グリー、FFGベンチャー投資事業有限責任組合第2号、GMOインターネット、東海東京インベストメント、松井証券、K&Pアセット・マネジメント、ベクトル、個人として金子好之氏、窪田剛氏。現在、ファーストクローズに向けて大手金融機関や事業会社などが関心示しており、上限として100億円までの出資を受け入れる。SMBC日興証券やGMOインターネット、松井証券が2号ファンドから参加した。

NOWはヌーラボのような成長期のスタートアップにも今後出資する計画

同社の設立は2018年3月。同年5月に設立した1号ファンド「Founder Foundry 1号投資事業有限責任組合」では合計74社のスタートアップに対し、追加出資含めて100件の投資実行をした。同社の説明によると、9割がシード期(創業期)のスタートアップで、平均すると2,500万円ほどの出資額となった。

一方でヌーラボ(プロジェクト管理ツール「backlog」提供)のようにステージが進んだ企業への投資もある。2号ではこのシードの割合を7割から6割程度に引き下げ、ミドルやレイターまで対応する。領域については1号と同じくSaaS、DX、SNS、D2C、ブロックチェーン、EC、AR/VR、SDGsなど、B2B、B2C問わずオールジャンルで投資活動を実施する。

その他の主な投資先としては、動画制作ツールのSaaSのリチカや、オンラインフィットネスのSOELU、農作物を中心としたマーケットプレイス「食べチョク」を運営するビビッドガーデンなどが大きく躍進した。

パッケージをデジタル化するshizai、ANRIやGBら1.2億円出資

SHARE:

ニュースサマリ:オリジナルパッケージの制作から資材管理・オペレーションまで最適化支援する「shizai」4月5日、ANRI、グローバル・ブレイン、および個人投資家を引受先とする第三者割当増資の実施を公表している。調達した資金は日本政策金融公庫からの融資を合わせて1億2,000万円。出資・投融資比率や株価、参加した個人投資家の氏名などは開示していない。またこれに合わせて資材プラットフォームshiza…

ニュースサマリ:オリジナルパッケージの制作から資材管理・オペレーションまで最適化支援する「shizai」4月5日、ANRI、グローバル・ブレイン、および個人投資家を引受先とする第三者割当増資の実施を公表している。調達した資金は日本政策金融公庫からの融資を合わせて1億2,000万円。出資・投融資比率や株価、参加した個人投資家の氏名などは開示していない。またこれに合わせて資材プラットフォームshizaiの正式公開も伝えている。

shizaiは消費材メーカーが必要とするパッケージやその梱包を企画、制作し、その資材管理までを一気通貫で管理するプラットフォーム。例えば化粧品などの商品を想定した場合、その容器となるボトルや化粧箱、配送する際の梱包までパッケージに関するものが対象となる。また、その材料となる段ボールや包装紙などの資材を管理したり、包装自体を実施する際の倉庫やオペレーション作業まで管理できるものとなっている。shizai自体は印刷工場や倉庫を持たず、製作ができる印刷会社などと提携し、プラットフォーマーとして利用メーカーとこれら事業者をつなぐ役割を担う。

同社によると、こういったオーダーに発生した中間事業者を廃して直接取引とすることで、価格と納期を最適化し、パッケージに関わるコストを平均で20%ほどカットできるとしている。また、昨今の環境配慮への取り組みから、パッケージに利用される包装資材やインキなどを地球にやさしい素材へと切り替える活動も推進する。国内の消費者向けEC市場は物販系だけで10兆円あり、そのEC化率は7%未満に留まる一方、成長率は8%を超える(2018ねんから19年)。

話題のポイント:shizaiのリリースに合わせて同社代表取締役の鈴木暢之さんにClubhouseで公開取材させていただきました。創業の理由にサステイナブルな社会実現という理念が織り込まれているのがまさに今であり、かつ、こういうスタートアップが今後増えていくことを期待したい、そんな内容でした。ビジネスモデルやサービスの詳細についてお聞きしているのでぜひお聞きいただければ。

※この収録は同社の許可を得て掲載させていただいております。

TwitterとClubhouse、40億ドルで買収協議【Bloomberg報道】

SHARE:

ピックアップ:Twitter Held Discussions for $4 Billion Takeover of Clubhouse ニュースサマリ:TwitterとClubhouseは40億ドル評価で買収の協議を持ったらしい。Bloombergが報じたところによると、この協議は停滞しているようでどちらが提案したかについても明らかになっていない。同紙はつい先日、40億ドル評価での資金調達に乗り…

ピックアップ:Twitter Held Discussions for $4 Billion Takeover of Clubhouse

ニュースサマリ:TwitterとClubhouseは40億ドル評価で買収の協議を持ったらしい。Bloombergが報じたところによると、この協議は停滞しているようでどちらが提案したかについても明らかになっていない。同紙はつい先日、40億ドル評価での資金調達に乗り出していると報じていた。

Clubhouseは2020年に設立され、今年1月にはAndressen Horowitzによる1億ドルの出資が明らかになっている。この時の評価額は10億ドルと言われているので、たった3カ月でその評価を4倍に押し上げたことになる。現在、同アプリはiOSのみの展開で、1,000万件がダウンロードされた。

現在は競合となるサービスをTwitter(Spaces)Facebook、Discord、LinkedInなどが提供・開発しており、音声による常時接続ソーシャルは次世代のプラットフォームと目されるようになった。Clubhouseもまた、Androidアプリの準備を進めており、向こう数カ月でリリースするとしている。また、今週には配信者に対してチップを送る機能の提供を開始している。今回買収の協議が報じられたTwitterはSpacesをiOSとAndroidの両OSで展開しており、月内にはウェブにも対応する見通しだ。

Spacesというサービスとソーシャルグラフの両方を保有するTwitterが本当に買収を試みたとするなら、競合排除の可能性もなくはない。

YJCとLINE V合併、新生「Z Venture Capital」誕生ーー堀代表に聞く“300億円新ファンド”と投資戦略

SHARE:

Zホールディングス(以下、ZHD)の連結子会社で事業投資を手がけるYJキャピタルは4月1日、LINE Venturesと合併し、Z Venture Capital(以下、ZVC)としての事業を開始すると発表した。3月1日に両社の親会社であるZHDとLINEの経営統合が完了したことを受けたもので、YJキャピタルを承継会社とし、商号を変更した上で両社が保有していたコーポレートベンチャーキャピタルとして…

Z Venture Capital代表取締役の堀新⼀郎氏

Zホールディングス(以下、ZHD)の連結子会社で事業投資を手がけるYJキャピタルは4月1日、LINE Venturesと合併し、Z Venture Capital(以下、ZVC)としての事業を開始すると発表した。3月1日に両社の親会社であるZHDとLINEの経営統合が完了したことを受けたもので、YJキャピタルを承継会社とし、商号を変更した上で両社が保有していたコーポレートベンチャーキャピタルとしての投資機能を統合する。

またこれに伴いZVCの日本および韓国・米国・中国・東南アジアなどのグローバル投資ファンドとして新たに300億円の新ファンド「ZVC1号投資事業組合」の組成も公表した。代表取締役には旧YJキャピタル代表の堀新⼀郎氏が就任し、取締役会長に旧LINE Ventures代表取締役の黄仁埈(ファン インジュン)氏、取締役には旧YJキャピタル取締役の都虎吉(ドー ホーギル)氏、Zホールディングス執行役員の崔 ボラ(チェ ボラ)氏がそれぞれ就任する。

本誌では改めて代表に就任した堀氏に、統合後の投資戦略を聞いた。(以下、太字の質問は全て筆者。回答は堀氏)

統合で何が変わる

さて、統合で何が起こるのだろうか。堀氏はポイントを3つに整理して説明してくれた。

ーー統合で発生する変化は

堀氏:今までYJキャピタルは親会社であるヤフーのためにこのファンドのパフォーマンスリターンとしてキャピタルゲインとシナジー創出することに対してみんな一生懸命仕事してきました。LINE Venturesも同様です。LINEのためにやってきた。

今後、我々にとってのステークホルダーは(統合した)ZHDです。ここにはアスクルや一休、ZOZOといったグループ企業がたくさんあります。このグループ全体に対するシナジー創出をしてくことになる、という点が大きな相違点になるかなと考えています。

次にチームです。今まではYJキャピタル10名、LINE Ventures7名でそれぞれ別々に動いていたわけですが、これが総勢17名となり、東京、北京、ソウル、サンフランシスコの4拠点という構成に変わります。自然と対象になる国もYJキャピタルからするとグローバルを強化できたとなりますし、LINE Venturesからすればこれまでのグローバル投資に加えて日本への注力も可能になります。つまりチームの拡大によって投資エリアが拡大したこと、これが大きな変化です。最後がファンドの新設です。300億円で新設し、日本国内と海外に対して出資します。

ーーファンドの出資金は

堀氏:出資元母体はZHDとなります。

ーー国内のCVCで300億円というサイズはトップクラスだが、海外を含めてとなるとやや小さく感じる

堀氏:検討の詳細はノーコメントでお願いしますが、ここでしっかり結果を出して次にステップしたい、とさせてください。

日本とグローバルを1つのファンドで攻める

ではもう少し話を進めて具体的な投資戦略について聞いてみることにしよう。筆者は以前、堀氏にYJCとしての投資パフォーマンスの考え方を聞いたことがあるのだが、CVCでありながらシナジーだけでなくキャピタルゲインもしっかり狙う「二兎を追う」考え方と話していた。

投資領域についてZVCは「ZHDの中核事業であるコマース、メディア、フィンテックの3領域に加えて、ヘルスケア、サイバーセキュリティ、B2B ソフトウエア領域などにも積極投資を行う」としている。ステージはシードからレイターまで未公開企業のオールステージでここはこれまでと変わらない。

YJキャピタル時代から変化するのが海外投資だ。これまでにYJキャピタルはEast Ventures、Sinar Mas Digital Venturesと共同で東南アジアにフォーカスした2億5,000万米ドルのファンド「EV Growth」を2018年に設立しているが、LINE Venturesと統合することで主体的に取り組むことになった。エリアは韓国、米国、中国、東南アジアで、テーマはAI、ロボティクス、ブロックチェーンを含むディープテック領域としている。

では堀氏への質問に戻ろう。

ーーYJキャピタル視点で海外が新たな局面を迎えることになる

堀氏:LINE Venturesは2014年からファンドを2つ(※グローバルとジャパン)運用していまして、グローバル投資が100億円、日本投資が50億円というサイズでした。確かにチームメンバー含めグローバルへのフォーカスが強く、一方のYJキャピタルは国内が強かったと思います。投資戦略としてまずこの新設した300億円のファンドを中心にワンチーム経営に移ります。国内・海外でファンドを分けません。これが大きな挑戦だと思ってます。一方、ソーシングなどのチームはジャパンとグローバルで分かれます。

ーー海外と国内、新たな領域、複雑な投資戦略の舵取りをどう整理する

堀氏:基本的な考え方はZHDと将来シナジーがありそうな領域に対してキャピタルゲインを狙いながら、かつ、シナジーを考えた出資をしていくことになります。ただエリア毎に若干戦略は変わると思います。

まず日本についてはオールステージで、Code Republicを通じたシード投資からレイターまで全部をサポートします。フォーカスするセクターもYJキャピタルとしてやってきたメディア・フィンテック・コマース3領域に加え、LINEグループが入ってくることによってヘルスケア領域への注力が増えます。また、ZHDの統合により、アジアナンバーワンのテックカンパニーを目指すという方向性が示されてます。我々もですね、このAIによって世の中を変えていくという部分を注目しているので、AIオリエンテッドな企業にはこれまで以上に積極投資していく考えですね。

それと2社が合体することで親会社同士の大きなシナジーが生まれるのが広告事業です。これまでB2Cの企業であると考えられていた我々にとって、法人領域、つまりB2B SaaSについても一定以上の活動を仕掛けていくというのが日本に関する投資戦略になります。

ーー海外は

堀氏:次に海外なんですが、これは国にもよりますが、国内に比べて競争が非常に激しい。ですので、我々の強みとしてグループ企業が持っているデータやサービス基盤を軸に、ディープテック領域やサイバーセキュリティなど、これらの資産を活用して新しい市場を創造できるような、そういった企業に出資していくことになります。ここは将来の事業開発という意味も込めて比較的アーリーステージへの投資が中心になるはずです。

ーーEV Growthの設立やZHDのアジアフォーカス、そしてご自身もベトナムでの赴任経験など「アジア色」を強く感じる

堀氏:はい、東南アジアが重要になると考えています。LINEはタイや台湾、インドネシアなどで一定のユーザーがいますが、我々としてもグローバル投資における一番注目しているマーケットが東南アジアなんです。これら地域には既にLINEが持っているエコシステムがありますから、それを強化するような投資が考えられます。例えばエンターテインメントやデリバリー、PayPayのノウハウなどそういったものを活かせる領域があるはずなので、本体サービスの連携を含めた、現地スタートアップと垂直立ち上げできるようなチャンスがあれば積極的にいきたいですね。

シナジーへの取り組み

YJキャピタル時代に始まった完全クローズドの協業イベント「Zピッチ」

統合によるワンチーム・ワンファンドへの移行、そして投資エリアの拡大と領域の広がりについて堀氏に聞いた。最後はシナジーについてだ。これまでもYJキャピタルとヤフーでは、マイノリティ出資をきっかけにグループ入りするdelyのような連携ケースがあった。

リリースによれば今回統合したZHDグループは国内で200を超えるサービスを提供し、従業員数2万3,000人を誇るインターネットサービスグループになるそうだ。特にLINEは国内のみならずタイや台湾、インドネシアでも利用が進んでいる。ZVCはこれらのサービスエコシステムに対し、事業提携機会の創出やノウハウ共有、プロダクトの導入支援、海外展開支援などを通じて出資先をより具体的に連結させる動きをするとしている。

Yahoo!やLINEという巨大エコシステムと出資先をどう結び付け、事業拡大に寄与するのか。

ーー本体投資とZVCの連携について。そもそも投資事業はどう棲み分けする

堀氏:棲み分けは明確にあって、マジョリティ投資はZHD、マイノリティーはZVCです。出資先とグループの協業・連携はもちろん継続で、Yahoo!と連携したdelyやスタンバイのようにZVCの支援先とグループ企業が一緒になって事業開発していく。これは我々の使命だと思っているので、今後はそれをどれだけ増やせるかということを頑張っていきます。

ーーYJキャピタルは本体事業との連携に積極的だった印象があるが、LINE Venturesは私の取材範囲の限りでは、そこまで大きくスタートアップ育成やシナジー活動を聞いてこなかった。育成や協業支援という観点で意見の相違やハードルはあったのでは

堀氏:カルチャーの違いは当然ありました。だからミッション・ビジョン・バリューなどを作る際にもかなり議論はしましたね。まあ半年ぐらいは試行錯誤は続くと思うんですが、それ以上に一緒に組むことでできることが増える。期待というか、本当に興奮している状況ですね。

例えばこれまでYJキャピタルでは西海岸や中国にスタッフがいなかったわけです。だからこの地区のスタートアップどうなってるんだろうとか、アメリカの状況知りたくても、実は知り合いづてに聞いたりしてたんですね。それが現地にいるわけです。これだけでも物凄いプラスです。で、先日、delyの堀江(裕介・代表取締役)さんが「参謀部屋」っていうのを作っていましてですね、彼が中国のこの企業どうなってるんですか、韓国の、インドの、アメリカのってバンバン聞いてくるんですよ。今は韓国にも中国にも4月からはアメリカのメンバーも増えるので本当に手応えを感じてますね。

ーー確かに現地情報はこれまでになかった恩恵だ。もう一点、グループシナジー創出のために協業イベントを開催していたがあれは継続するのか

堀氏:はい、Zピッチは支援先の登壇企業との提携・協業が中心だったんですけど、そのスピンオフをソフトバンクと一緒にやったんです。事業部長ではなく呼んだのは営業マンで、500人ぐらい集まりました。彼らは法人営業のプロダクトを探していて、そこに対してスタートアップを紹介したわけです。今、バンバン商談決まってます。

ーーCVCとしての投資戦略だけでなく、本体連動がより明確になった印象がある

堀氏:エコシステムへのアクセスを提供するっていう表現を使ってます。LINEだったりYahoo! ショッピングだったり、スタートアップのみなさんが組むことで事業が大きくなるのであれば、そこへのアクセスを提供するし、事業責任者だったり、社長だったりとの商談をセッティングします。我々はアジアで一番大きなインターネット・カンパニーになるので、このリソース・アセットを存分に使ってくださいと。このエコシステムの「入口」まで我々がご案内しますよ、というのが伝えたいことです。

ありがとうございました。

堀氏との会話で、特に海外のトレンド、特に情報が閉じがちになる中国やアジア圏の情報が容易に手に入るのは大きなメリットと感じた。国内はある程度盤石なZHDに与えられた使命はアジア圏における存在感の拡大にある。ユニコーン(未上場企業で10億ドル以上評価)輩出数でアメリカに続く中国・インドといったアジア各国に対抗するためにはマザーズ上場組を含め、シードから成長期に入るスタートアップ企業を底上げする必要がある。そのためにも内需はもちろん、市場として周辺各国での展開を選択肢に入れられるかどうかは大きい。

ZHD本体はAI関連を中心に今後、5年間で5,000億円の戦略投資を公表している。なので、どうしても300億円というサイズに小さい印象が付き纏ってしまうが、堀氏の言う通りステップバイステップで拡大させていくのだろう。ZVCがシードからマザーズ上場クラスまでの発掘・育成を担うことができれば、ZHDの戦略投資におけるシナジー効果は自ずから明らかになっていくだろう。

GMVの75%はあの1社が独占、a16zが消費者向けマーケットプレイス100社公表

SHARE:

ピックアップ: The a16z Marketplace 100: 2021 ニュースサマリ:Andreessen Horowitz(a16z)は3月22日に消費者向けマーケットプレイスの新たなランキング「 The a16z Marketplace 100: 2021 」を公表している。昨年2月に公表したものを改定したもので、引き続きGMV(消費者が各企業に対して費やしている流通取引の総額)を基準…

Photo by Quintin Gellar from Pexels

ピックアップ: The a16z Marketplace 100: 2021

ニュースサマリ:Andreessen Horowitz(a16z)は3月22日に消費者向けマーケットプレイスの新たなランキング「 The a16z Marketplace 100: 2021 」を公表している。昨年2月に公表したものを改定したもので、引き続きGMV(消費者が各企業に対して費やしている流通取引の総額)を基準とする。データソースはBloombergに買収された消費者支出データ「 Bloomberg SecondMeasure 」を参照しており、具体的には米国企業の5,200社においてクレジットカード、デビットカード、銀行振込で取得した匿名化データを対象としている。調査期間は2020年1月から12月まで。

なお、B2Bマーケットプレイスや公開企業は対象外で、主に現金や小切手などの支払いは相対的に順位が下がる。また、米国のデータに偏向があるためグローバルでの取引が大きいスタートアップやSecond Measureの調査対象になっていない企業は対象から外れる。a16zのマーケットプレイスの定義は「商品やサービスを消費者と相互に繋いで流通を容易にするもの」としている。

話題のポイント:昨年に続いてa16zのマーケットプレイスランキングが公表されました。消費者動向のトレンドを知る上で重要なデータです。米国のみですが、各国のC2C動向を考える上での基準のひとつになると思います。昨年のサマリは下記の記事の通り。

参考記事: 2020年に注目される100のマーケットプレース・ビジネス(概要編)

競争が激化する消費者向けマーケットプレイス

Image Credit :a16z

さて、ポイントはいくつかあるのですがここでは「GMVの75%を占める1社」と「新規参入にみるコロナ禍の影響」の2点に絞ってみたいと思います。サマリの全文や調査レポートもa16zのサイトで無料公開されてますので、関係される方は要チェックです。

実は昨年のランキングでもGMVの全体の75%以上を上位4社が占めるという、非常に偏りのある状況が明らかになりました。四天王となっていたのが「Airbnb、Poshmark、DoorDash、Instacart」の4社で、このうちInstacartを除く3社は上場したためランキングを卒業しています。そして今回、GMVの70%を占めることになったのが留年組となったInstacartです。

昨年のキング、Airbnbは全体GMVの30%ほどだったそうなので、競合が抜けてランキングにおいては一強ということになります。逆に言えばそれ以外の99社はどんぐりの背比べということになります。実際、2位のVALVEが10%を切っており、4位のStockXが1%台になりますから順位の入れ替えは相当に厳しいものになる可能性が指摘されています。まさに「Winners Take All」の通りで、先行したマーケットプレイスが取った市場で後発がいかに厳しい戦いを強いられるのかという証拠にもなるデータと言えるかもしれません。

コロナ禍はどう影響した

Image Credit : a16z

もう一点、言及があったのが新規参入組による入れ替えです。パンデミック疲れによる消費者動向の変化があったと指摘されており、生鮮食品、食品、ファッション、音楽、が新期参入組における7割を占めており、上記がランキングに新規参入したスタートアップとカテゴリです。

生鮮カテゴリの Mercato はハイパーローカルと言われる地元の食料品店を消費者に繋ぐ食料品配達アプリで、Bandcampはインディーズのアーティストと直接消費者を繋ぎます。考察でも指摘されていましたが、コロナ禍で外出が規制された結果、今まであれば「近所に出かければOK」のちょっとした消費行動を変えた結果とも言えそうです。この辺りはワクチンが普及した後にどうなるのか気になるところです。

もう一点、旅行関連には興味深い変化があったようです。ユニークなキャンプ場の予約( Tentrr )や、RVカーキャンプ場のシェア( Harvest Hosts )、「贅沢な」キャンプ体験( Glamping Hub )といった屋外旅行体験が新規でリスト入りしたり、キャンプ場のマーケットプレイスHipcampやRVレンタルOutdoorsyRVshareは大きく順位を上げています。 ファッションについてはPoshmark(メルカリのような米国におけるC2C大手)が卒業したこともあり、新規参入としてCURTSYとdepop、Vestiaire Collectiveといったより個性的かつ、中古の流通が目立ってきているようです。これも自粛傾向で節約が進んだ結果と指摘していました。

今回は触れるだけにしますが、NFTへの言及があったのも注目しています。ランキングには引き続きStockXやGOATが上位に食い込んでいますが、こういったファッションなどに加えて「収集品」としての価値を見出したマーケットプレイスもランクインしているようです。ライブショッピングマーケットプレイスの Whatnot はキャラクターグッズなどをライブで販売しています。NFTによるユニークなアイテムのアセット化はここ数年ずっと言われ続け、Twitterの最初のツイートが数億円をつけるなどようやく顕在化してきた感があります。

A16zはつい先頃、NFTマーケットプレイスのOpen Seaへの投資を発表していますが、これまでにもクリプト関連は重点施策として投資してきており、今後、このカテゴリがどう伸びるのかも大変興味深く見ています。

 

シード期の「波乗り」に優れた4社、彼らの資金調達方法とは

SHARE:

スタートアップにおける初期のマイルストーンにPMFがあります。いわゆるプロダクトが自走する段階で、市場がその価値を認めてサービスを利用・購入し、かつ、オーガニックにその利用数が伸びていく状況です。KPIは明確で、経営陣はもとよりチーム全員が毎日何をやれば自社の資産が積み上がるか理解しています。P/LよりもB/Sが積み上がるイメージです。 一方でここまでに至るには、市場の痛みを発見し、そこに対して誰…

Photo by Gary Barnes from Pexels

スタートアップにおける初期のマイルストーンにPMFがあります。いわゆるプロダクトが自走する段階で、市場がその価値を認めてサービスを利用・購入し、かつ、オーガニックにその利用数が伸びていく状況です。KPIは明確で、経営陣はもとよりチーム全員が毎日何をやれば自社の資産が積み上がるか理解しています。P/LよりもB/Sが積み上がるイメージです。

一方でここまでに至るには、市場の痛みを発見し、そこに対して誰よりもよい体験を提供しなければなりません。ここ最近大きく話題になった音声ソーシャルの市場は日本国内でも数年前からあるあると言われながらなかなかトレンドには至っていませんでしたが、コロナ禍における人恋しさやClubhouseのバイラルの巧みさなどが相まって一気にトレンド入りしたのはご存知の通りです。

市場ペインや提供体験、そしてトレンド・テクノロジーなど複雑すぎるほどの変数がピッタリと重なるタイミングを見つけるのは本当に奇跡です。スタートアップが難しいと言われる所以はここにあります。

では起業家はどのようにしてこのタイミングを見つけるのでしょうか。ひとつの答えに「波が来るまで待つ」という方法があります。シード期に必要な資金はチーム構成にもよりますが、業務委託など含めて4〜5人を回すにはやはり年間で最低でも数千万円必要になります。飴を舐めながら我慢してという方法もかつてはありましたが、今はステージも変わっています。

そしてこのシード期には明確な「終わり」があります。つまり、資金が尽きた時です。

私はここ1カ月ほど幾つかのスタートアップを取材したのですが、それぞれのプロダクトの素晴らしさはもちろん、同時に彼らは「波の待ち方・乗り方」が大変優れた数社でもありました。ここにケーススタディを共有することで、これから起業する方の参考になればとまとめてみようと思います。

圧倒的な総合力で間合いを詰めたLayerX

LayerX社内での開発風景(写真提供:LayerX)

ブロックチェーンという可能性が語られ出したのはやはりビットコインによるトレードが大きかったのではないでしょうか。一方で、この自律分散の仕組みが実際に社会実装されるまでには数年の時間を要することになりました。ここにチャレンジしているのがLayerXです。

Gunosy共同創業者である福島良典さんを中心にLayerXを設立したのは2018年8月。GunosyとAnyPayによる合弁会社で、両社が50%ずつを出資し福島さんが代表取締役社長に就任しました。その1年後の2019年7月に福島氏は1株3万円でGunosyが保有する5,000株の内4,500株を譲受するMBOを実施(その後、AnyPay保有分も経営陣にて買取)しています。この時開示されたLayerXの2019年3月期決算状況は売上高1億400万円で営業利益100万円、純利益は0円でした。

福島さんが独立した際、どのようなプロダクトでこの自律分散の技術を社会にデビューさせるのか、私も含め多くの人が興味を持っていたのではないでしょうか。当時はビットコインの大きな暴落などがあり、いい意味で変な熱狂が去った後です。DiFiやDEXなどのプロダクトを予想していましたが、彼らが取った戦略は協業や合弁会社を作る、というものでした。

MBOを成立させた直後の2019年11月には三菱UFJフィナンシャル・グループと協業し、翌年4月には三井物産らと共同で三井物産デジタル・アセットマネジメント(三井物産 54%、LayerX 36%、SMBC日興証券 5%、三井住友信託銀行 5%)を設立しています。

ここで証券のデジタル化(STO)を推進するサービス・プロダクトをリリースするのかと思いきや、出てきたのはもっと現実味のある「業務デジタル化」に関連するものでした。資産管理サービスにおける差別化は手数料です。業務を効率化すれば手数料を軽減させ、競合との差別化要因にすることができます。これを実際にJVを作り、アセットマネジメントの業務に関わる実務を「自社ゴト」として経験し、そこで得られた非効率を改善するというアプローチを取ったのです。

そしてここから生まれたのが請求書業務の「受け取り」を効率化するサービスでした。LayerXインボイスを自社の資産管理業務だけでなく、より幅広い企業のペインにも対応するものとしてデビューさせたのです。

こうしてLayerXは創業から約3年という期間に「請求書AIクラウド LayerXインボイス」によるDX(デジタルトランスフォーメーション)事業、ブロックチェーン技術を活用した不動産・インフラなどのアセットマネジメントを三井物産デジタル・アセットマネジメントと共同で推進するMDM事業、ブロックチェーンや秘匿化技術の技術開発、社会実装などを長期目線で研究開発する「LayerX Labs」の運営という3つの柱を立てることに成功しました。今年3月には共同代表制に移行して体制もモリモリ強化しています。

LayerXの3年間はこうやって言葉にすると綺麗ですが、実際どこまでを計画して動いていたのかはわかりません。ただ近年のスタートアップの中では抜群のタイミングで事業を組み立てた例であることは間違いないと思います。

意味のある受託で波を掴んだ3Sunny

3Sunnyが公開しているカルチャーデック

いやいや、ファンタジスタ福島さんたちのプレーは参考にならないよ、という方もいらっしゃると思います。私もそうです。そこでお聞きいただきたいのが3Sunnyのケースです。こちらについてはポッドキャストでも語っていただいていますが、創業のタイミングで全く地の利のない業界(しかも非常に難しい医療分野)へのチャレンジをされています。さらにリクルートやグリーなどの大手を経験したメンバーで30代後半のスタートアップというそれなりにバーンが高いチームです。

どうやってシードを乗り切ったのでしょうか。

彼らの創業が2016年7月でANRIからの出資金が2,000万円でした。ヒットをようやく掴んだCAREBOOKの誕生が2018年5月、この状況をみてANOBAKAが追加出資に応じたのが2018年12月(5,000万円)なので、創業からの約2年間は最初の出資金である2,000万円でやりくりしなければなりません。ただ20代の学生起業家ならいざしらず、30代家庭持ちを加えた構成ではまあ、無理でしょう。

答えは受託なんですが、やり方が興味深かったです。創業しているメンバーが3人いらっしゃって、代表の志水文人さんが新しいプロダクトについて考える役で、それ以外の2人の取締役が資金が足りなくなりそうになると「どこからか」関連する仕事をとってきてくれていたそうです。その額は1億円を下らないそうで、結果、CAREBOOKはトレンドの波を掴んで浮上に成功します。あと、志水さんたちテレアポがすごく上手だったというのも聞き逃せない重要スキルと感じました。

受託がよいという話ではありませんが、創業メンバーがもし1人とかだとこういったチームプレーができません。また、創業メンバーがそれぞれ自分ゴトとして取り組んでいなければ「外らからカネを引っ張ってくる」という感覚を持てないかもしれません。特にシード期の投資サイドが「チームを見る」と言われる所以かなと。

応援団と一緒に旅をするアル

画像クレジット:「プロセス・エコノミー」が来そうな予感です」より

B向けのサービスで受託開発をきっかけに業界内ペインを探しつつ、プロダクト化に成功する事例がLayerXと3Sunnyであれば、 C向けはどういうケースがあるでしょうか。メディアビジネスのように、まずはユーザーとインプレッションを最大化させてNo.1を取り、そこから広告などのビジネスを展開する「Jカーブ」タイプのモデルが一般的とされてきました。一方、同じような戦略を取る企業が増えてしまい、いつまでカーブを堀つづけるのか分からない不安に駆られるケースもあると思います。

そういう意味で、漫画さがしアプリ「アル」を展開する古川健介さんの「プロセスエコノミー」はひとつのモデルだと思います。メディアによるアフィリエイトなども多少はあると思いますが、それ以上に際立った方法が「アル開発室」というコミュニティの存在で、そこでは毎日、自分たちの開発に関わるエピソードやノウハウをメンバーに共有することで、それを会費という形の売上にしています。現在は非公開のようですが、月額980円で私が拝見した数週間前には2,000人ほどの参加者がいらっしゃいました。

彼らは常時接続ソーシャルの「00:00 Studio」も展開しており、クリエイターや漫画好きがロイヤリティの高いファンとして存在しています。彼らに対して参加できる場所を提供し、一緒に応援してもらいながら開発を続けている、というわけです。学生起業家で最近取材した動画関連事業のTranSe(トランス)さんも同様の方法を採用していたので、C寄りのサービスでロイヤリティの高いファン層から集める方法としては今後、メジャーになるような気がしています。

社内ベンチャーからステップしたMyRefer

社内ベンチャー制度から3年でスピンアウトしたMyRefer(写真は切2018年のもの、一番左が代表取締役の鈴木貴史氏)

LayerXにも似た手法なのですが、ここ最近スピンオフ(連結から外れて独立)の話題をポツポツと聞くようになりました。事例としてはMyReferやミラティブなどがあり、親会社の連結を外れて切り出した後にスタートアップ資金を注入する方法が一般的なようです。連結を外れることで柔軟な資本政策・業務提携を可能にし、かつ、スピンアウトのように切り出した子会社のままではなく明確に上場(外部資本のイグジット)を目指す点が特徴になります。

MyReferについてはこの記事で詳しく書いておきましたが、初期はパーソルホールディングスの社内ベンチャーとして2015年に創業し、1億円の資金とパーソルブランドの信用を背景にビジネスを展開します。3年ほどの事業展開で370社10万人の導入実績が付いたことからスピンアウトとして切り出し、外部資本として当時のグリーベンチャーズ(現在のSTRIVE)とパーソルHDが出資する形で再スタート。この判断は正しく、今年3月にはシリーズBの大型調達に成功しています。

この方法の魅力はやはり大資本・信用力でビジネスが展開できる点です。一方、ガバナンスなどを社内ベンチャーとして積極的に切り分ける方法を上手にやらないと、スピード感のない「起業ゴッコ」で終わる怖さもあります。

大企業の新規事業のあり方は「社内、買収、オープンイノベーション」と言われています。この中で難しいとされるのが社内なんですが、実は大企業には優秀な人材が多く在籍しており、単にやり方が整ってなかったのではないかというのが私の最近の仮説です。この件については別途取材しているものもあるので、またどこかでまとめてみたいと思います。

ということで、シード期の乗り切り方を幾つかのパターンでまとめてみました。色々な立場で新規事業に取り組まれていると思いますが、何かの参考になれば幸いです。

※補足:タイトルに「資金調達方法」としていますが、増資によるものではなく、新規事業を立ち上げるために何らかの方法で資金を引っ張ってっくるという意味合いで付けています。一応補足までに。

年間1,000万人超「入退院」の非効率をなくせーー“異端児”3Sunnyが手がけるCAREBOOKの挑戦

SHARE:

ニュースサマリ:医療機関の業務支援SaaS「CAREBOOK」を開発する3Sunnyは3月4日、第三者割当による増資を公表している。引受先になったのはメディカルノート、メディアスホールディングス、帝人、ANRI、ANOBAKA、PERSOL INNOVATION FUNDと個人投資家として杉田玲夢氏、藤本修平氏、中山紗彩氏が参加した。調達した資金は3億2,000万円で、プロダクト開発、人材採用に投…

Image Credit : 3Sunny

ニュースサマリ:医療機関の業務支援SaaS「CAREBOOK」を開発する3Sunnyは3月4日、第三者割当による増資を公表している。引受先になったのはメディカルノート、メディアスホールディングス、帝人、ANRI、ANOBAKA、PERSOL INNOVATION FUNDと個人投資家として杉田玲夢氏、藤本修平氏、中山紗彩氏が参加した。調達した資金は3億2,000万円で、プロダクト開発、人材採用に投資される。同社はシード期にANRI(2016年、2,000万円)とANOBAKA(2018年、5000万円)から出資を受けており、これまでの累計調達額は4億円となる。また、今回出資に応じたメディカルノートと帝人についてはそれぞれCAREBOOKと連携した事業展開も推進する。

CAREBOOKは医療機関にて治療を終えた患者が、次のリハビリなどを目的に退院・転院する際の調整業務を効率化する。医療機関における入退院の数は年間延べで1,500万人発生しており、これら業務は通常、電話やFAXなどを通じて調整業務が実施されてきた。コロナ禍などもあり、医療機関における業務効率化が必須となる中、こういった非効率は課題となっていた。リリースから約2年で都内を中心に大学病院や大規模医療グループなどが採用しており、全国230の医療機関にて導入が進んでいる。

話題のポイント:コロナ禍でここ2年ほど、毎日のように見聞きするようになったのが医療機関の病床や業務効率化の話題です。医療とは関係のない分野からスタートアップしてどうやってここまで成長させたのか、3Sunny代表取締役の志水文人さんと創業期から支援していたANRIの佐俣アンリさんにClubhouseで公開取材してきました。今回からポッドキャストでも配信しますので聞き逃された方は聞いてみてください。特に創業期の乗り切り方は非常にユニークですが参考になります。

3Sunnyが公開しているカルチャーデックより

さて、CAREBOOKは病院業務の中でも入退院に特化した業務効率化ツールです。私も経験があるので理解できますが、特に高齢者の場合は治療が終わって退院した後にリハビリが始まるケースがあるので、自宅や別の施設へ転院・通院する必要が出てきます。こういったところでの各種調整業務をこれまで電話とFAXでやっていたため、非常に効率が悪かったそうです。志水さんのお話だとニッチに思えてこういった患者さんが年間で1,000万人ほどいらっしゃるということなので、課題レベルとしてはなぜ放置してたのかと思えるレベルです。

一方、医療機関側はこういった業務効率化ツールを入れたところで、人を減らすわけにいかないという構造的な課題もあったようです。つまり単純にコストアップになるだけなので、これまではなかなか導入が進まなかったのですが、今回のコロナ禍で病院側の業務が相当に逼迫し、業務効率化が加速したというお話でした。

CAREBOOKの特徴として入退院、つまり患者を送り出す側と「受け入れる側」の双方がこのツールを使う必要がある、というものがあります。ここは導入戦略が上手だなと思いましたが、医療機関には大学病院など地域の中核となる医療施設があり、そこが導入すると周辺も順次対応していくようになるそうです。内容としては患者の受け入れを効率化するもので、一刻を争う受け入れをスムーズにしてくれますから、対応可能となれば一斉に導入が進むというわけです。基本的な料金設定は月額固定だそうです。

公開取材のポッドキャストではCAREBOOKの将来像から、全く医療関係とは異なる業界からやってきた志水さんたちがどのようにして医療という難しい市場を開拓したのか、また、創業から数年をたった数千万円のシード資金でどのように乗り切ったのか、そのあたりもアンリさん交えてお話しています。ぜひお聞きいただければ。

※本稿はClubhouseでの取材内容をご本人に同意いただいて記事化しています

ビズリーチなど展開のビジョナルがマザーズ上場へ、評価額は1,550億円規模に

SHARE:

ビズリーチなどを傘下に持つ「ビジョナル」は3月17日、東京証券取引所への新規上場申請を実施し承認されたことを発表した。市場区分はマザーズで証券コードは4194。2,12万7,800株を公募し、1124万7,800株を売り出す。なお、オーバーアロットメントは26万6,900株。主幹事は野村證券と三菱UFJモルガン・スタンレー証券が務め、上場予定日は4月22日。 価格の仮条件は4月6日に決定し、ブック…


ビズリーチなどを傘下に持つ「ビジョナル」は3月17日、東京証券取引所への新規上場申請を実施し承認されたことを発表した。市場区分はマザーズで証券コードは4194。2,12万7,800株を公募し、1124万7,800株を売り出す。なお、オーバーアロットメントは26万6,900株。主幹事は野村證券と三菱UFJモルガン・スタンレー証券が務め、上場予定日は4月22日。

価格の仮条件は4月6日に決定し、ブックビルディング期間は4月6日から3日を通して実施される。最終的な公開価格決定日は4月12日。同社公開の有価証券届出書によれば、2020年7月期(第1期)の通期売上高は258億7,900万円で経常利益が22億5,400万円。足下の第2期第2四半期の売上高は累計で121億6,700万円、営業利益15億1,200万円、経常利益が16億6,500万円となっている。公募分を含めた総株数は3,559万1,100株。想定発行価格の4,355円から算出した評価額は約1,550億円。

今回上場を承認されたビジョナルは、2007年8月に創業したダイレクトリクルーティングサービス「株式会社ビズリーチ」を中核に、2020年2月にグループ経営体制に移して新設された企業。傘下にビズリーチ、ビジョナル・インキュベーション、BINAR、Cloud  Solution、トラボックスを100%の子会社、株式の40%を保有するスタンバイを関連会社として持つ。

グループにおけるビジネスは主力のビズリーチ事業(全体売上の約8割を占める)と、HRクラウドのHRMOS事業、そしてその他HR Tech事業に分かれる。2009年4月に開始したプロ人材の採用プラットフォーム「BizReach(ビズリーチ)」から始まり、2014年に20代向け転職サイト「キャリトレ」、2015年には求人検索エンジン「スタンバイ」などを順次展開した。2020年7月期におけるビズリーチ事業の累計導入企業数は1万3,800社で、足元の2021年7月期第2四半期累計は1万5,500社となっている。

主力事業のBizReach

また、2016年からは本格的なHR TechサービスとしてHRクラウドの「HRMOS」を開始し、ビズリーチ事業とは異なる柱を立てている。2020年7月期・第4四半期におけるARR(年間経常収益)は10億3,200万円で、足元の2021年7月期第2四半期は11億3,200万円となっている。一方、チャーンレート(解約率)は2020年7月期・第4四半期が1.15%であったのに対して足元の2021年7月期第2四半期は1.43%とやや上昇している。

これら主力の事業に続く次の柱を作るべく、インキュベーション事業にも取り組む。M&Aでグループ入りしたトラボックスはこれまでの人材事業とは全く異なるエンタープライズ向けの物流プラットフォームであり、その他、新たな事業に取り組む組織としてビジョナル・インキュベーションを稼働させる。グループ全体で社員数(臨時含む)は1,204人。

主要な株主は創業者で代表取締役の南壮一郎氏が50.4%、ジャフコが13.99%、島田亨氏が6.83%、YJキャピタルが5.14%、Japan Entrepreneur Collaboration Limitedが4.67%、竹内真氏が3.73%、ジャパン・コインベストが1.63%、グロービス・キャピタル・パートナーズが1.49%、Salesforce Venturesが1.48%、永田信氏が1.21%と続く

スマホだけで空間に「音」の付加価値を付けるAuris、開発のGATARIにW Venturesら出資

SHARE:

ニュースサマリ:空間に音声コンテンツなどを配置できる編集ツール「Auris」を開発するGATARIは2月25日に第三者割当増資の実施を報告している。引受先になったのはW ventures、OLM ventures、東大創業者の会応援ファンド、毎日みらい創造ラボ、名古屋テレビベンチャーズの5社と個人として国光宏尚氏、小泉直也氏、濱本暁氏、馬場健氏の4名。ラウンドはプレシリーズAで、調達した金額や出資…

Aurisで編集した空間のイメージ

ニュースサマリ:空間に音声コンテンツなどを配置できる編集ツール「Auris」を開発するGATARIは2月25日に第三者割当増資の実施を報告している。引受先になったのはW ventures、OLM ventures、東大創業者の会応援ファンド、毎日みらい創造ラボ、名古屋テレビベンチャーズの5社と個人として国光宏尚氏、小泉直也氏、濱本暁氏、馬場健氏の4名。ラウンドはプレシリーズAで、調達した金額や出資比率などの情報は非公開。

同社が開発するAurisはAR Cloud技術を活用した空間を演出するオーサリングツール。スマートフォンアプリで現実の空間をスキャンし、音声データを特定の位置に対して配置・保存ができる。例えば博物館を訪れたユーザーが恐竜の展示物の前に立つと、その鳴き声が自動的に聴こえてくるといった「空間演出」を可能にしてくれる。スマートフォンのみで現実空間からコンテンツの配置までワンストップでできるのがAurisの特徴で、施設管理側は一定の編集知識を習得すれば、その後の更新を自分たちでできるようになる。

昨年9月にプロトタイプを公開し、鹿島建設や、空間デザインを手がける乃村工藝社と非接触型音響体験サービスを協業の形で展開している。現在のビジネスはオーサリングツールとクラウドを組み合わせたプラットフォームの提供および初期コンテンツの制作支援で、協業先が事業展開する場合はその売上シェアなども提示している。春にこれらの正式リリースを予定しており、今回の調達資金はAurisの開発および人材採用に投資される。また、同社は3月末までAurisが体験できる「GATARI 秋葉原スタジオ」をオープンさせ、文化施設や観光・エンターテインメント事業者むけの説明会も実施している。

話題のポイント:Aurisの開発者であり、GATARI代表取締役の竹下俊一さん、そして今回投資したW Venturesの新和博さんに公開取材でお話伺ってきました。ただ、本件は声よりも文字よりも何よりも動画で説明した方が早いです。こちらをまずご覧ください。

美術館や博物館で音声解説のプレーヤーを借りたことある方がいらっしゃったら、体験としてはそれに近いです。ただ、あのシステムの多くは物理ビーコンを場所に設置し、そこの範囲に行くとレシーバーが反応して再生するというものです。Aurisはその代わりにAR Cloudを使い、さらにその編集作業自体をスマートフォンアプリでワンストップにした、というのが特徴です。

AR Cloudは「空間コンピューティング」などの文脈で出てくる技術なんですが、すごくざっくり言うと、サーバー上にリアル世界をコピーしたものと考えれば理解しやすいです。デジタルツインとか言われたりしますが、デジタル世界なので当然、そこに自由にコンテンツを配置したりできます。通常、この世界を作ろうとすると現実世界をキャプチャしてデータ化しなければなりませんが、それをスマートフォンのカメラで実施するので、制作が楽になる、というわけです。

竹下さんにどれぐらいの精度でキャプチャするのかお聞きしましたが、例えば駅の構内をキャプチャする場合、全部を綺麗に記録する必要はなく、スタート地点とそれ以外の目標になるポイントを記録すれば実際に利用できるようになるそうです。

ユーザーはスマートフォンとAirPodsなどを使って拡張された現実空間を体験する

さて、気になるのはユーザーの利用です。現実空間の座標を把握し、あるポイントにコンテンツを置いたとしてそれをどうやって再生させるのでしょうか。答えは「ユーザー側のカメラ」です。ユーザーはAurisのアプリを立ち上げて施設を歩きます。その際、ユーザーのカメラが該当の場所を映し出すことでその場所を三次元的に把握し、例えば椅子に座ると音が鳴る、といった体験を提供することができます。そうは言ってもスマートフォンのカメラをずっとかざしたままだとしんどいので、Aurisでは首からぶら下げられるポーチを提供しているのだとか。

GATARIが狙うのはMRと呼ばれる現実と仮想の空間が混じり合った世界での体験提供です。彼らが上手だなと思ったのは、スマートフォンのみで体験を可能にしたことと、特に「音」を入り口にした点です。VR・AR・MRの市場はいかにしてユーザーに没入の体験を提供できるかが鍵になります。VRヘッドセットがゲームを中心に広がりを示している通り、デジタル100%の没入体験は特定のユーザーを虜にしました。一方、あのヘッドマウンドディスプレイは装着する人と場所を選びます。各社が次に競争しているARグラスはまだデファクトスタンダードがありません。

一方、音の世界はAirPodsの普及や、Clubhouseの躍進などで体験できる市場が拡大しました。特に音声ソーシャルを体験された方であればご理解いただけると思いますが、人は顔をわざわざ映さなくてもクリアな声とアイコンだけでその人や聴衆を感じることができます。デバイスがまだこれからというタイミングで音に絞った展開を進めたのは戦略的に正しいように思いました。

竹下さんもお話されてましたが、Aurisの現時点でのハードルはオンボーディングです。施設側にいかにしてこのオーサリングツールを使いこなしてもらえるか、そこがブレイクスルーすると、施設側からのリクエストは多いということだったので、このコロナ禍の中、非接触に空間を演出できるツールの価値はより大きなものになるのではないでしょうか。

※本稿はClubhouseでの取材内容をご本人に同意いただいて記事化しています