神戸市のスタートアップ支援と課題ーー世界と肩を並べる拠点を目指す

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STORIUM」を展開するグランストーリーが開催した「Innovator Tribe Night for Local」には今回も各地域からイノベーターたちが集まった

神戸市は近年、スタートアップ支援に力を入れており、世界のスタートアップが集積する拠点として成長することを目指しているーー。東京「以外」の地域でスタートアップ支援する「ローカルイノベーター」たちが集まるイベント「Innovator Tribe Night for Local」に参加した。前回イベントでは北海道、仙台、京都の取り組みを取材してきた。今回は神戸だ。

登壇したのは神戸市の新産業創造課で長年、この取り組みを推進してきた武田卓さん。神戸市では2016年からスタートアップ支援が始まっており、福岡や大阪などとと並んで自治体としては早くからスタートアップ支援を行っている。2020年7月には、東京圏、愛知・名古屋圏、京阪神、福岡が世界のスタートアップが集積する拠点として選定された。この中で神戸市は大阪、京都と連携し、「大阪・京都・ひょうご神戸コンソーシアム (大阪市、京都市、神戸市等)」として海外に向けてスタートアップ支援を行っている。

また神戸市は、25年ほど前から医療産業都市としての取り組みを行っており、ポートアイランドにはスーパーコンピューター「京」や理化学研究所の発生・再生科学総合研究センター、病院などを2キロ四方の範囲に集積させている。この医療クラスターを中心に、360社ほどの企業が集まり、そのうち70社ほどがスタートアップだという。

地域の企業や大学と連携、課題はやはり東京集中

神戸市 新産業創造課 新産業創造課長の武田卓さん

こうした全国的な枠組みに参加する一方、地域に根ざした活動も進める。特に大学と企業の連携だ。武田さんは次のように取り組みを説明した。

「(コンソーシアムの枠組みに)地元の大学であるとか、兵庫・神戸に本社を置く企業、行政などがスタートアップの支援機関に入ってもらい、スタートアップと何かやりたいとか、社内ベンチャーをどんどん出していこうっていう企業を巻き込んでいって、パッケージ化してスタートアップに提供していく。行政が入ると『ガチガチの会議室で会議してるんちゃうか』って思われる方がおられると思うんですけど、一切やってません。基本的にはスタートアップのピッチの場とか、日常的に支援者とスタートアップが交流できる場所、こういうところに力点を置いています」。

これ以外にも神戸市では、世界のスタートアップを支援するためのプログラム、自治体の課題解決に取り組むスタートアップ支援、ファンド組成やコワーキングスペースの整備などを手掛ける。

「自治体ならではというと施設の整備、三宮の都心の真ん中にコワーキングを整備したり、自治体としてもLP出資をしてですね、神戸と神戸に関わりのあるスタートアップに出資していける環境っていうのを整えています」。

こうした場所の整備を通じて起業家、特にエンジニアなどテック・スタートアップの組織をつくるための人材を集めたコミュニティを2年前から作り始めたそうだ。現在は300名ほどの規模に拡大し、学生などが集まっているという話だった。また、その結果としてマイクロソフトが世界で 6 拠点目となる「Microsoft AI Co-Innovation Lab」を神戸市に開設している。

世界で 6 拠点目。イノベーションを創出する Microsoft AI Co-Innovation Lab を神戸市に開設(マイクロソフトリリースより)

この施設はマイクロソフトおよび川崎重工業と神戸市が連携し、現在世界的にも大きな発展を続ける AI や IoT を活用したイノベーション創出を目指したものだ。この施設にはマイクロソフトの専任エキスパートが常駐し、スタートアップの技術的な問題を解決してくれる。しかも無料で使えるそうだ。

幅広く地域としてスタートアップ支援を続けてきた神戸市。一方、その課題はやはりこの土地に本社を置くスタートアップが少ないことだ。武田さんは東京圏のスタートアップが西日本に置くブランチでも構わないので「東京圏のスタートアップとも共存共栄を目指したい」と話していた。

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