DIの投資部門出身メンバーら、新VC「ON & BOARD(オンボード)」を設立——創業期スタートアップに照準

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ON & BOARD の皆さん
IMage credit: ON & BOARD

<2日午前10時更新> 下平氏、中山氏、松原氏の経歴表記を修正。

7月1日、新しいベンチャーキャピタル「ON & BOARD(オンボード)」が設立されたことが明らかになった。弁護士として法律事務所で勤務、LINE の社内弁護士を務めた後、ドリームインキュベータ(DI)のベンチャーキャピタル「DIMENSION」を立ち上げた下平将人氏と、同じく立ち上げに参画した中山航介氏の2人がジェネラルパートナー(GP)を務める。

パートナー、テックエグゼクティブ、ベンチャーキャピタリスト、チーフエディタ、コミュニティマネージャーらが参画する。グロースアドバイザーには Paidy を PayPal に売却しイグジットを果たした杉江陸氏ら、テクノロジーアドバイザーには、AI の商用化で知られる西川仁氏に加え、東京大学教授、公立はこだて未来大学特命教授、人工知能学会・前会長、サイバー大学客員教授を経て、現在は京都橘大学情報学教育研究センター長の松原仁氏を迎えた。

ON & BOARD では自社の特徴として、次のような項目を挙げている。

  • 投資戦略 …… 創業期からグローバル展開を目指す企業や、独自性のある技術を持つ大学発ベンチャーなどに注目。特に、次の10年で社会インフラとなり得るような革新的な事業構想を持つスタートアップを重視している。
  • 投資規模 …… シード期で数千万円から1億円程度が標準的なチケットサイズ。ただし、プレシードからシリーズ Bまでの幅広いステージに対応可能な柔軟性も持ち合わせている。
  • ハンズオン支援 …… 共同代表の豊富な経験を活かし、事業構築や組織作りを積極的に支援。下平氏は投資先9社のイグジット経験を持つキャピタリストであり、中山氏も新規事業コンサルティングの経験を有している。
  • グローバル展開サポート …… 海外 VC との連携を通じて、投資先の海外展開をサポート。次回ラウンド以降の海外 VC の紹介なども行う。
  • スタートアップスタジオ …… ファンド内でスタートアップスタジオを運営し、年数回の創業支援プログラムを提供予定。このプログラムでは、ON & BOARD 側が持つ事業仮説をもとに、3ヶ月で事業を MVP まで作り上げ、資金調達を目指す。
  • メディア展開 ……「ON & BOARD TIMES(オンボードタイムズ)」というオウンドメディアを立ち上げ、スタートアップ関連情報を発信。ゼロイチのプロダクトマーケットフィットや大手企業からのスピンアウトなど、創業期に特化した情報を提供する。
ON & BOARD パートナーの下平将人氏(左)、中山航介氏(右)
IMage credit: ON & BOARD

ファンドは現在も組成中であるが、LP や組成規模については現時点で明らかにされていない。第1号案件への出資は、LLM や AI を活用したバーティカル SaaS スタートアップ(現時点で社名は非開示)に対し、7月中に実行される見込みだ。このスタートアップは2024年4月に創業したばかりで、創業期スタートアップに照準を合わせる ON & BOARD のスコープに沿ったものとなる。

下平氏によると、ON & BOARD の名前には、スタートアップと同じ船に乗り込み、世界に羽ばたかせるという意味を込めたという。また、ON & BOARD は大企業との連携も視野に入れており、大企業からの出向起業の受け入れの場としても機能させる計画だ。既存の大企業の知見やリソースを活用しつつ、スタートアップの機動性と革新性を融合させた新たな価値創造を目指すとしている。

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