中国での「ChatGPT」API使用規制を前に、地元AI企業がユーザ獲得に躍起など——中国スタートアップシーン週間振り返り(6月24~30日)

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Image credit: OpenAI

本稿は、Technode(動点科技)が、6月24日~6月30日に配信した「News Feed」記事の中から主要ニュースを翻訳したものです。

「DingTalk(釘釘)」、「オープン AI エコシステム」開発で他の国産 AI モデル6社の参加を歓迎(6月27日)

Alibaba(阿里巴巴)の仕事用コミュニケーションプラットフォーム「DingTalk(釘釘)」は26日、AI を使用してプロンプトから自律的にタスクを実行する DingTalk の能力を強化するため、中国の国産大規模言語モデルメーカー6社との提携を発表した。MiniMax、Moonshot AI(月之暗面)、Zhipu AI(智譜 AI)、01.AI(零一万物)、OrionStar(猎戸星空)、Baichuan(百川)は、DingTalk が同社社長 Ye Jun 氏が中国で「最もオープンな AI エコシステム」と呼ぶものを実現するのを支援する。

DingTalk は、2023年4月に Alibaba のモデル「Tongyi Qianwen(通義千問)」をローンチした直後に最初に連携し、今年の初めに AI エージェント機能を備えた DingTalk バージョン7.5をローンチした。この動きは、開発者が DingTalk 上で AI エージェントを構築する際の基礎モデルについて選ばれた可能性をもたらすと、同社は26日に開催されたエコロジカルカンファレンス(生态大会)でのスピーチで予測した。釘釘

ChatGPT が中国からの API 使用を制限する中、中国の AI 企業がユーザ獲得に躍起(6月26日)

中国の AI 企業が、ChatGPT の作成者が公式にサポートしていない国や地域からの API トラフィックをブロックする措置を講じる中、中国国内の OpenAI ユーザを獲得しようと急いでいる。影響を受ける地域には、中国本土、香港、ロシア、イランが含まれる。

OpenAI の API 制限に関する最新の発表は、現地の企業や開発者が製品やサービスを構築するために OpenAI の API を使用している中国をターゲットにしていると広く解釈されている。一方で、この動きは中国の AI 企業にとっては、こうしたユーザを口説き落とす絶好のチャンスとみなされている。

中国の開発者たちは、さまざまなオンラインコミュニティに OpenAI からの通知のスクリーンショットを投稿している

我々のデータによると、あなたの組織からは OpenAI が現在サポートしていない地域からの API トラフィックを生じている。

この通知には、OpenAI は7月9日からそのようなアクセスをブロックする予定であることが追記されている。

国家数据局(国家統計局)が3月に公開したデータによると、中国には10億を超えるパラメーターを持つ AI モデルが100以上ある。ここ数カ月、これらのモデルの背後にいる企業にとって、商業化は重要な優先事項となっており、潜在的な顧客を獲得するために、トークンをめぐる価格競争が勃発している。中央電視台

インドネシア政府が Temu の参入を警戒、地元販売業者への脅威を理由に(6月25日)

インドネシアの貿易当局によると、Temu のビジネスモデルは、工場から消費者までの製品の道のりに代理店や仲介業者を必要とする現地政府の規制と相反するという。CNN Indonesia の報道によると、Temu はまだ現地で営業するライセンスを申請していないと、インドネシア国内貿易局長 Isy Karim 氏は述べた。

これまでのところ、Temu は6大陸の50以上の海外市場に中国製の商品を特に安い価格で出荷しているが、東南アジアではフィリピンとマレーシアの2カ国にしか進出していない。インドネシア政府は Temu の進出を「注意深く監視」し続ける予定であり、地元当局は Temu がインドネシアの中小商店に脅威を与えることを懸念している、と報道は付け加えた。CNN Indonesia

SHEIN ロンドン上場への懸念の中、株式売却を試みる投資家が続出か(6月24日)

South China Morning Post(南華早報)が匿名の情報筋の話を引用して報じたところによると、ファストファッション大手 SHEIN の主要投資家が、ロンドン上場計画への抵抗に直面する中、自社株の買い戻しを検討するよう同社に内々に要請しているという。

中国で設立され、現在はシンガポールに本社を置く SHEIN は、アメリカでの規制上のハードルのため、今年5月に待望の IPO をニューヨークからロンドンに変更したと報じられているが、SHEIN がロンドン証券取引所に目論見書を提出したという報告や証拠はない。報道では、IPO のリターンの可能性に対する懸念から、非公開市場で SHEIN の株式を売却する取引が続いていると指摘している。南華早報

【via TechNode】 @technodechina

【原文】

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