電子書籍「Ridibooks」、カジュアルゲーム開発Haeginがユニコーンに——韓国スタートアップシーン週間振り返り(2月28日~3月4日)

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本稿は、韓国のスタートアップメディア「Startup Recipe(스타트업 레시피)」の発表する週刊ニュースを元に、韓国のスタートアップシーンの動向や資金調達のトレンドを振り返ります。

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2月28日~3月4日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは14件で、資金総額は3,406億ウォン(約319億円)に達した。

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主なスタートアップ投資

  • 電子書籍サービス「Ridibooks(리디북스)」を運営する Ridi(리디)が1,200億ウォン(約114億円)を調達しユニコーンになった。国内最大規模の電子ブックサービス Ridibooks を運営し、サービス領域をウェブトゥーンに拡張し急成長した。CJ E&M と協力して映像事業に進出予定。海外の投資会社は K ウェブトゥーンの成長の可能性に賭けており、Ridi は今回の投資金で海外を狙ったウェブトゥーン、ウェブ小説、映像などコンテンツ事業を推進する。
  • ゲーム会社 Haegin(해긴)が1,000億ウォン(約95億円)規模の資金を調達しユニコーンにになった。「Homerun Clash(홈런클래스)」「Overdox)오버독스)」などカジュアルゲームで、売上金額ベースで海外売上が90%記録した。今回調達した資金で、主力ラインナップのサービスを強化し、新作ゲームの開発に注力する。
  • コンテンツ著作権プラットフォーム「OGQ」が350億ウォン(約33億円)を戦略的資金を調達した。191カ国に1,700万人のソーシャルクリエイターを保有、コンテンツダウンロード件数は28億回を記録している。
  • 海外送金サービスの Moin(모인)が172億ウォン(16億円)を資金調達した。独自アルゴリズムで、既存の銀行より90%以上安い送金手数料と4倍以上のスピードが特徴。調達した資金で送金サービスの高度化し、グローバル進出を推進する。

トレンド分析

「我が社に経営幹部職はいない」……職級を廃止するスタートアップ

若い人材がスタートアップを選ぶ理由の一つは、自由かつフラットな構造で自分の能力を発揮したいからである。実際、多くのスタートアップは、信頼に基づいて個人の自律性を保証し、最高の成果を出すことを期待している。最近のスタートアップ採用広告で目立つのも、書類や不要な軽駅を掲げる代わりに、実際の業務能力に基づいて採用がなされることが分かっる。既存の大企業も伝統的な職級を分離して、硬直した組職をフラットで柔軟に変えるための努力をしている。サムスン電子も次長、部長などの職級をなくし、成果さえ良ければ一般社員も早く上へ上がれる開かれた機会を提供している。伝統的な職級を廃止する組織は、どのような期待を持ってこれを推進しているのだろうか?

オンライン決済プラットフォーム「Stripe」は水平組織を固守し、職位なしで運営されている代表的なスタートアップである。社内にはレベルがあるが役職は存在しない。ここでは何と呼ばれることよりも、何をするかがもっと重要だ。数千人以上の社員が働いているが、この方法を維持しながら水平構造が成功することを証明している。このような先進的システムの導入により、Stripes では大学を卒業していなくても、インターンであっても、事業を任されリードできる機会が開かれている。

HR プラットフォーム「Gusto」は、社内でのテストを経て肩書きを廃止した。これによる最も迅速な変化は採用領域で現れたという。役職という言葉の壁のせいで、過去には応募のなかった潜在的な人材に出会えたのだ。多くの企業が職級によってふさわしくない候補を採用した経験があるという研究結果があるように、職級は適合した応募者を戸惑わせる要因の一つになりえる。

もちろん、職級自体を廃止することで生じる問題点もある。役職名がないので採用検索で上段に現れないことがあり、メディア露出するためには追加説明をしなければならないし、採用ページではリーダーシップの役割を明確にしておく必要もある。

最近では経営幹部の職級までなくす企業が出てきている。オンライン教育会社の Outschool は、Stripe の方法にならっているが、ひいては CEO など役員のタイトルまで外した。会社の成長に伴い、協業と創意性よりも階層と地位に重点を置く環境を避け、役職の高い人がより価値のあるアイデアを持っているという仮定をなくすための措置だそうである。

業務管理のため、首長はすべて Head で、残りは Lead か Manager で統一した。代表は社外でこそ CEO と呼ばれるが、社内では Outschool Head と呼ばれるようだ。年功序列を排除するため Senior という修飾語も使わず、Head は Head に報告し、Lead は Lead に報告する方法をとった。Head または Lead 内にいくつかの等級が存在し、能力向上によって等級別に報酬が変化する。経営幹部職を廃止すると役員になろうとする候補が排除されかねないという懸念があるが、最大限、経営幹部職の役割について説明し、問題を解決する計画だ。

単純に伝統的な職級を廃止したからといって、組織内の序列がなくなり、最高の成果が出るわけではない。職級変化にともなう企業文化システムを精巧に設計していない場合、むしろ混同を引き起こすだけの場合もある。しかし、柔軟な組織は最高の人材を誘致し、滞在させられるという点、皆が責任感を持って会社の目標のために取り組めるという点で、より多くの企業が好んでいるようだ。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

【原文】

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