誰もがデザインに関われるようにするコミュニティサイト「Cocoda」運営、1.3億円をプレシリーズA調達

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alma の皆さん。右から2人目が代表の斎藤孝俊氏。
Image credit: alma

誰もがデザインの力を身につけられるコミュニティサイト「Cocoda」を運営する alma は7日、直近のラウンドで1.3億円を調達したことを明らかにした。プレシリーズ A ラウンド相当と見られる。このラウンドに参加したのは、CVC と事業会社それぞれ1社(名前は非開示)、投資家として、関口裕氏(SmartHR コミュニケーションディレクター)、坂田一倫氏(Mentally CPO)、山下あか理氏(フリーランスデザイナー)。同社にとっては、2020年8月に実施したシードラウンドに続くものとなる。累計調達額は2億円。

alma は2018年6月の創業。3年9ヶ月にわたって「Cocoda(以前は、Cocoda!)」を運営している。IT エンジニアと同じく、デザイナーも需要に対して供給が不足しているのが市場実態だが、同社代表の斎藤孝俊氏は、単純に人手が足りないだけでなく、企業がデザイナーに求める基準が上がっていることも原因だという。モバイルアプリや Web サービスが増え、ユーザもそれらを使うことに慣れてきたため、ユーザに使い続けてもらうためには適切な UX/ UI が求められるからだ。

こうなってくると、デザインはもうデザイナーだけのものでは済まされない。サービスの作り方、それをユーザに伝えられる組織、社内のワークフローにまで改善が求められる。「デザイナーの求人が増えているのは、企業がそういうことに気づき始めたから(斎藤氏)」ということだが、市場でどのようなデザイン知見が求められているかは、本業のデザイナーならまだしも、本職以外の人にはなおわかりにくい。現場の実態を知る余地がないからだ。その手かがりとして、Cocoda では有名企業のデザインケースを公開している。

Cocoda に公開されたデザインケース(一部)
Image credit: alma

この事例はどこかでも見たことがある。そうだ、先月紹介した TechBowl の「MISSION」だ。MISSION では、有名企業で実際の新卒研修で出された課題をアレンジしたものも紹介されていた。ここで潜在的な IT エンジニアたちは、有名企業ではどのような技術が実際に活用されているのか、転職を希望する企業で自分のスキルが通用するか、などの目星をつけることができた。Cocoda でもまた、有名企業のデザインチームが自社事例を紹介している背景には、将来的に人材調達のチャネルとして有望視していることが窺える。

デザインケースには、Web サイト、名刺、オンボーディングのデザインのほか、社内で運用するデザインシステムなどの事例が集められている。Cocoda の2022年2月の時点のユーザ数は約34,000人で、デザイナーはもとより、プロダクトマネージャー、マーケティング担当、カスタマーサクセスなど、幅広い職種の人々にデザインケースが活用されているそうだ。alma では Cocoda に加え、ユーザのインサイトを導き出すツール「Cocoda Board」を開発していて、すでに60社以上から事前利用申込が来ているという。

この種のサービスを海外に求めてみると、オランダの Sketch や アメリカの Dribbble などが似ているかもしれない。Dribbble についてはブートストラップモードで経営されており、外部からの資金調達は明らかになってないが、フォントマーケットプレイスの Fontspring やグラフィックテンプレートの Creative Market など、関連する領域のスタートアップの買収に積極的だ。働くすべての人にとって、デザインが「自分ごと」になっているのは世界的なトレンドかもしれない。

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