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世界的な「後払い(Buy Now, Pay Later)」ブーム、東南アジアが牽引するかもしれない理由【ゲスト寄稿】

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本稿は、Golden Gate Ventures のマネージングパートナー Vinnie Lauria 氏による寄稿だ。「Entrepreneur アジア太平洋版(オンライン版)」に掲載された記事を、執筆者と発行者の了解のもと翻訳・転載する。 This article was first published in Entrepreneur APAC. <関連記事> ニュースレターの購読 注目すべき…

本稿は、Golden Gate Ventures のマネージングパートナー Vinnie Lauria 氏による寄稿だ。「Entrepreneur アジア太平洋版(オンライン版)」に掲載された記事を、執筆者と発行者の了解のもと翻訳・転載する。

This article was first published in Entrepreneur APAC.

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1958年、ソビエトとアメリカの宇宙開発計画が人工衛星を軌道に乗せるための競争を繰り広げていた時、Bank of America は、地球上に多大な影響を及ぼすであろう商品を発売した。BankAmericard は、後に Visa となり、リボ払いのクレジットカードの普及の先駆けとなった。これは宇宙時代の消費者に「現代の支払方法」として宣伝された。

今、新しい支払方法が飛び立とうとしている。BNPL(Buy Now, Pay Later=後払)モバイルアプリの世界での利用は、2018〜2019年の1年間から162%急増した。アメリカでは昨年、BNPL は240億米ドルの購入額を占めた。パンデミックが始まったとき、従来のクレジットカードの取引量は減少したが、BNPL は e コマースの成長と並んで上昇を続けた。BNPL は、今後数年間でデジタル購買の中で最も急速に成長する形態になると予想されており、2025年までに世界中で3,500億米ドル近くの取引に達すると予測されている。

これまでのところ、BNPL の成長は、それぞれスウェーデン、アメリカ、オーストラリアに拠点を置く Klarna、Affirm、Afterpay などの欧米系スタートアップが牽引してきた。これらの企業は、他のいくつかの企業と合わせて年間30億米ドルを超える収益を上げ、昨年の Mastercard の収益の約20%に達すると予想されている。 しかし、東南アジアでは、BNPL には3つの特長がある。第一に、クレジットカードの普及率が低いため、BNPL にとっては競争が少ないこと。第二に、銀行がクレジットカード発行のために必要とする信用格付け機関が実現するのは、ほとんどの ASEAN 諸国では10年も先のことであること。 そして最後に、負債を嫌うアジアの文化は、「現金と同じ」と感じる「ゼロ金利」の分割払いを温かく受け入れていること、だ。

そのため、当社の東南アジアのベンチャーキャピタルは、ASEAN 10カ国の BNPL 新規参入企業に注目している。インドネシア、ベトナム、マレーシアなどの発展途上国や、小さいながらも高度に発展したシンガポールでは、課題を抱えている市場がある一方で、BNPL モデルのメリットに対する強い受容性も見られる。

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バリュープロポジションと ASEAN の成長

「Klarna」
Image credit: Klarna

クレジットカードの借金を回避したい、または回避する必要がある消費者のために、BNPL は古い概念を現代風にアレンジした分割払いプランを提供している。あなたがミレニアル世代(主要な見込み客層)で、新しいアパートの家具を探しているとしよう。Web 上で素敵なソファを見つけたものの、それは数百米ドルとあなたの給料では高額だ。理想的にはコーヒーテーブルも欲しいところだが、それだとさらに高くなってしまう。「カートに入れる」ボタンの隣には、数ヶ月間の支払をゼロ金利で分散できるオプションがあり、すぐにこのクレジットの資格を得ることができる。「たった5つの情報でリアルタイム審査できる」と、ある BNPL 企業の売り文句には書かれている。だから、あなたもソファを購入し、カートにテーブルを入れる。

この典型的なシナリオは、BNPL 企業がクレジットカード会社よりも加盟店に高い取引手数料を請求できる理由を示している。BNPL は、クリックスルーのコンバージョン率を高め、BNPL が無ければ発生しないような販売を促進する。さらに良いことに、それは AOV(平均注文量)を押し上げる。一方、新規顧客にはアプリが提供され、加盟店の商品の定期的なプロモーションが表示され、リピートビジネスも増加させる。

BNPL のアカウントを持つ顧客は、もちろん過剰な支出をしたくなるかもしれない。クレジットカードと同じように、延滞料が発生したり、有利子ローンを組んだりすることになるかもしれない。しかし、簡単で無利息のエントリーポイントを提供し、ワンタッチで口座の状態を透明化できるアプリと組み合わせることで、新規ユーザを維持するのに十分なのだ。特に東南アジアでは、文化的にクレジットカードが敬遠されている一方、無利息の分割払いがスマートな支出方法のように感じられている。欧米では60~80%であるのに対し、ASEAN のクレジットカードの普及率は低く、ほとんどの国では数%ないし20~30%となっている。対照的に、人口2億7,500万人を持つ東南アジア最大の国であるインドネシアでは、BNPL 企業の Kredivo と Akulaku の2社が、Google Play 上で既に1,000万件以上アプリがインストールされている。シンガポールで設立・拠点を置く Hoolah は、2020年の一年間で取引量を1,500%増加させた。

この急速な成長は、BNPL 企業がクレジットカード会社とは根本的に異なる点にも起因している。クレジットカードは、銀行口座間のリンクとしての役割を果たす。例えば、Visa や Mastercard は、実際にクレジットカードを発行する銀行から、あなたが購入した加盟店口座に送金する。一方、独立した BNPL は、ネットワークリンカーとバンカーを一つにまとめたものだ。Hoolah は買い手にクレジット機能を提供し、売り手にお金を直接支払う。これにより、従来の銀行取引のような手間をかけずに、新しい加盟店を簡単にオンボードすることができる。

明らかなマイナス面は、BNPL がより多くのリスクを負うことだ。景気後退の局面で、Visa は収益を失うかもしれないが、デフォルトについて心配する必要はない。しかし、BNPL 事業を立ち上げるとき、あなたはその日から立ち往生する可能性がある。そして、アントレプレナーシップのすべての分野でそうであるように、チャレンジをチャンスに変えることで成功することができる。

ASEAN の BNPL はどう輝くか

ネットプロテクションズが2020年に発表した世界の BNPL カオスマップ
Image credit: Net Protections

おそらく一番厄介なのは、クレジットに申し込む人の審査だ。それは迅速に行われなければならない。クレジットカードを利用する資格が無いかもしれないが、それにもかかわらずリスクが高いユーザを対象にしなければならないため、スイートスポットが存在する。さらに、東南アジアのような比較的新分野の市場では、従来の審査は厳しくなる。前述の通り、ほとんどの国にはアメリカ型の FICO スコアを作成する信用情報機関がない。多くの人々は、いずれにしても信用情報が乏しく、多くの人々は銀行から融資を受けていないか、あるいは最近融資を受け始めたばかりだ。

プラス面としては、デジタルウォレットの利用率が高いことが挙げられる。大手の GrabPay と GoPay は、人気の高い配車サービスや宅配サービスを提供する企業によって誕生したもので、ASEAN 全体で巨大なユーザ基盤を持ち、成長を続けている。シンガポールに拠点を置く Grab とジャカルタに拠点を置く Gojek だ。このようなウォレットを利用することで、詳細な支出履歴を把握することができる。

すべての要素を考慮すると、BNPL は今後5年から10年で東南アジアで爆発的に成長すると私は見ている。主要なプレイヤーは、リスク評価のためのアルゴリズムやデータセットを開発しており、時間が経てば経つほど価値が高まるだろう。ユーザが利用を始めた後のリスクに積極的に対処するために、BNPL 企業は顧客エンゲージメントや支払スケジュールの調整などの分野でイノベーションを起こしている。

また、欧米の BNPL がよく扱う取引よりも小規模な取引でも利益を上げられるようになってきている。(例えば、アメリカの Affirm は、2,000米ドル以上の Peloton 社製エクササイズバイクの購入に多くの資金を供給している。消費力が低いながら成長している ASEAN 市場では、平均的な買い物は200米ドル以下だ。最も多く購入されているのは衣料品や身の回りのアクセサリーなどである。)

また、従来の銀行やグローバルなクレジットカード会社を利用したいと考えていても、今のところ利用できていない顧客を、この地域の BNPL 企業が獲得していることがわかる。注目すべき新進気鋭の企業としては、Hoolah、Pace、Atome、日本の Paidy などが挙げられるだろう。 さて、ここで最後のポイントだが、こういった企業は自国や近隣の市場の強みを活かして成長しているが、サイバースペースには国境が無い。ASEAN のトップ企業は、英語と地元言語の両方でサービスを提供している。新しい消費者金融の質問は「財布の中に何が入っているか」ではなく「スマートフォンに何が入っているか」だ。その答えが東南アジアの BNPL アプリになる日が来ても驚かないでほしい。

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Airbnbのホストたちが鳴らす、新たな始まりのベル

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ピックアップ:Airbnb Hosts Ring Our Opening Bell | Airbnb ニュースサマリー:Airbnbは10日、NASDAQへの上場を無事完了した。初日の取引開始額は1株当たり146ドルとなり、IPO時の価格68ドルを大幅に上回る結果となった。現段階におけるAirbnb時価総額は約865億ドルとなり、IPO時の評価額から約2倍にまで膨れ上がっている。ティッカーシンボル…

Airbnb Hosts Ring Our Opening Bell | Airbnb

ピックアップ:Airbnb Hosts Ring Our Opening Bell | Airbnb

ニュースサマリー:Airbnbは10日、NASDAQへの上場を無事完了した。初日の取引開始額は1株当たり146ドルとなり、IPO時の価格68ドルを大幅に上回る結果となった。現段階におけるAirbnb時価総額は約865億ドルとなり、IPO時の評価額から約2倍にまで膨れ上がっている。ティッカーシンボルは「ABNB」。

話題のポイント:Airbnb上場の日がついにやってきました。2020年はAirbnbにとって、良くも悪くも本当に色々な変化が訪れた1年になったことは間違いありません。COVID-19の拡大により、3月頃より世界各地でロックダウンや国境が閉ざされ、日常から「旅」の1文字が消失。結果的に、Airbnbは予約済みの宿泊予約すべてに対し(COVID-19を理由とする)返金を実施し、総額は10億ドルに達したと言われています。

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その後、4月にはSilver Lakeから10億ドルのデッドファイナンスで資金を調達、5月には総従業員25%のレイオフを実施して経営体制を整えてきました。Silver Lakeからのデッドファイナンス時はバリュエーションを260億ドルと算定されていたので、上場した今日までに約3.5倍の評価を勝ち得たというのは本当に驚きです。

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ここからは、AirbnbのIPO申請時のS1を振り返っていきます。まず四半期ごとの宿泊・エクスペリエンス予約総数の変遷です。2020年Q1~Q3でマイナス成長を遂げており、特にQ2ではYoY比でマイナス68%を記録。ただ、Q3ではYoY比ではマイナス成長なものの、2018年初頭程度のボリュームには回復しています。

Airbnb Form S1、2020年Q1、Q2がマイナス成長に

では、何をフックに回復傾向に持ち込むことができたのか。これは、ドメスティックトラベルの需要が大きく回復したことに起因しているのは間違いなさそうです。4月・5月時点では、国内・国外どちらもYoY比マイナス成長ですが、6月にはドメスティックトラベルに限りYoY比でプラスの成長を遂げています。国内旅行需要の中でも、自宅から50-500マイル圏内に大きく予約が集まっていることはAirbnbがロングタームの予約にシフトしリモートワークなどのユースケースを作り出そうとしていることからも納得のデータです。

Airbnb Form S1

上場に際して株価がIPO時を大きく上回ったAirbnb。ここまで見てきたようにトラベル市場が非常に苦しい状況に陥っている中でも、確実に成長を期待できる施策を取ってきたことの答えがマーケットに反映されたのでしょう。トラベル市場でみれば、Expediaの時価総額は約180億ドルで、Booling.comは約860億ドル。現時点でAirbnbの方が上回っているのは、そうした確実な将来性が反映されている結果です。

Fortnite(フォートナイト)の主張:アフターマーケットは誰のもの?(2/2)

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(前回からのつづき)法定に出された書類の中でAppleは、独占などしておらずゲームを含むあらゆる市場で競争に直面していると主張している。またAppleは反論の中で、Epicは不正な決済システムを使わなければ容易にFortnite(フォートナイト)をStoreに戻すことができるともしている。その上でAppleはApp Storeから削除されたEpicは「自業自得」であると指摘した。 一方のEpicは…

Appleに対抗するEpic・Image Credit: Epic Games

(前回からのつづき)法定に出された書類の中でAppleは、独占などしておらずゲームを含むあらゆる市場で競争に直面していると主張している。またAppleは反論の中で、Epicは不正な決済システムを使わなければ容易にFortnite(フォートナイト)をStoreに戻すことができるともしている。その上でAppleはApp Storeから削除されたEpicは「自業自得」であると指摘した。

一方のEpicはアプリ配信というのはそもそも、スマートフォンプラットフォームの一次市場から派生した「アフターマーケット」であると主張している。Epicはつまり裁判所は本件で関連する独占禁止法上の市場をアフターマーケットに見るべきだと主張しているのだ。これは独自のブランドと市場性を持ち、決して単なる一商品の一サービスが所有するものではない、と。

ということでEpicはあくまで「スマートフォンのプラットフォーム上でのAppleの権利」を争っているのではなく、この「アフターマーケットで」Appleが独占的な振る舞いをしていると主張している。Epicはこの考え方により、Appleは他の市場で消費者が利用できる選択肢(ウェブサイトからアプリをダウンロードするなど)を遮断していると指摘する。

AppleがEpicのApp Storeへのアクセスを遮断して以来、Epicは法廷で、iOSのデイリーアクティブユーザーが60%減少したと明らかにしている。しかし公聴会では、明らかに裁判官がAppleを支持しているように感じられた。というのもFortniteが他の多くの場所でも30%の手数料を支払わなければならない以上、Appleの市場もまたオリジナルのものであり、Epicの弁護士の主張は取るに足らないと考えているようだった。判事のGonzales Rogers氏はにべもなくこのようなコメントを示している。

「あなたの顧客が属するビデオゲーム業界では30%の手数料が業界のレートのようです。例えばSteamは30%を請求していますし、Google、Microsoftも30%を課金しています。コンソールではPlayStation、Xbox、Nintendo、GameStop、Amazon、Best Buyが30%を請求しています。しかしあなたの顧客はそうじゃないという。どこに独占があるのでしょうか?」。

Cravath, Swaine, & Moore法律事務所でEpic Gamesの弁護士を務めるGary Bornstein氏は公聴会で、iOS上のFortniteプレイヤーの63%がiOS上でのみプレイできる状況にありながら、AppleがEpicに対してプラットフォーム上に独自のストアを持つことを禁止しているのは独占以外のなにものでもないと主張している。

AppleはEpicのCEO、Tim Sweeney氏の証言に基づき、1日の平均的なプレイヤーの約90%が競合プラットフォームを経由してFortniteにアクセスしていると指摘している。またAppleは、EpicがAppleのサービスから利益を得ており、それが料金を徴収する理由のひとつになっていると述べている。例えば、AppleはFortniteでは、Apple独自のAPI(Application Programming Interface)フレームワークやクラス(Metalなど)を400件以上使用している。また、Appleは過去にもFortniteのプロモーションを行ったことがあることも付け加えた。

陪審員裁判は2021年の7月に開始される可能性があるが、上訴はさらに長くなる可能性もある。この訴訟のUnreal部分について裁判官は「双方の裁判は自由だが、Epic GamesとAppleはデジタルフロンティアの未来のためにこの争いが傍観者を混乱させるようなことがあってはならない。また、社会的な興味はUnreal EngineとEpicの関連会社に圧倒的に有利に働く」と言及した

Appleに対抗するためにEpicはSpotify、Tile、Basecamp、Blix、Deezer、Blockchain.com、SkyDemon、ProtonMail、Schibsted、European Publishers Council、The Match GroupなどのApple批判者とともに、App Fairnessのための連合を設立している。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

Fortnite(フォートナイト)はやっぱりiOSに戻ってこない(1/2)

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連邦裁判所は、独占禁止法違反訴訟の判決を前に、Epic GamesがAppleにEpicのFortnite(フォートナイト)をApp Storeで復活させる要請を退けた。一方、米国連邦地方裁判所のYvonne Gonzales Rogers判事はEpicに有利な判断としてApple側に対し、EpicのUnreal Engineのサポートを中止するという報復を阻止する仮命令を下している。 一連の独占…

連邦裁判所は、独占禁止法違反訴訟の判決を前に、Epic GamesがAppleにEpicのFortnite(フォートナイト)をApp Storeで復活させる要請を退けた。一方、米国連邦地方裁判所のYvonne Gonzales Rogers判事はEpicに有利な判断としてApple側に対し、EpicのUnreal Engineのサポートを中止するという報復を阻止する仮命令を下している。

一連の独占禁止法違反訴訟は、8月13日にEpicがFortniteの割引ポリシーと直接課金の仕組み発表したことで勃発し、AppleとGoogleはそれぞれの利用規約に違反したと判断した。EpicのCEOであるTim Sweeney氏は、大手企業がゲーム課金ごとに30%の手数料を取るのは不公平であり、Epicはアプリ内の商品を直接プレイヤーに低価格で販売できるようにすべきと長年主張してきている。Epicは自社ストアの開発者向けの手数料として12%しか徴収していない。

EpicがiOS版のFortniteを修正し、プレイヤーがバーチャルグッズの料金をEpicに直接課金できるようにした後、AppleはFortniteをApp Storeから削除した。またAppleは、EpicのUnreal Engineをサポートしないとも公表している。Epicはその後、カリフォルニア州オークランドの裁判所に対し、Fortniteを復活させ、AppleによるUnrealへのサポート停止行動を阻止するよう求めた。

これらの一連の判決は独占禁止法裁判の過程で、EpicがiOSでのFortniteの収益を失う可能性が高いことを示唆している。一方、EpicのUnreal Engineの顧客はというと、Appleが技術サポートを引き払うことで自分のゲームがAppleのiOSとMacプラットフォームで動作しなくなることを心配する必要はもうなくなった、ということを意味している。

Epicは追い出しの原因となった直接課金の修正をすることで、将来的にはFortniteを復活させることは可能だとしている。しかし、Appleがそれを許可するのか、それともEpicにペナルティ期間を待たせるのかは不明だ。

Epic Gamesは声明の中で「Epic Gamesは訴訟が続く中、AppleがUnreal Engineと当社のゲーム開発顧客に対する報復行為を禁止されることを歓迎いたします。当社は裁判所の保護の下でiOSとMac向けの開発を継続し、Appleの反競争的な行為を終わらせるためにあらゆる手段を追求していきます」と述べている。

この論争は何年も続く可能性がある。一方、今回の一時的な禁止命令の要求に対する判決は、連邦裁判所の判事たちがこの事件の是非についてどう考えているのかを知るための最初の兆候となる可能性がある。

Appleは声明の中で、「私たちのお客様はすべての開発者が同じルールに則ることで、App Storeが安全かつ信頼できる場所になると考えております。裁判所が、Epicの行為が自社の顧客にとって最善の利益になるものではなく、顧客が遭遇したかもしれないいかなる問題も、自らが規約違反によって巻き起こしたものであると認めていただけたことを歓迎いたします。12 年間にわたり、App Store は奇跡的な成功を遂げ、大小を問わず開発者に変革的なビジネスチャンスをもたらしてきました。私たちは来年、この革新とダイナミズムの遺産を裁判所と共有できることを楽しみにしています」とコメントした。(次につづく)

 

ノーコードは何をもたらす:誰もがクリエイターになれる世界(2/2)

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(前回からのつづき)Process Streetが目指すのは「ビジネスオペレーションの自動化」ですが、特に特徴的なのが「他社のマニュアルをトレースすることも可能」という点です。 例えばInstagramでマーケティングするマニュアルでは、30以上に渡り、こと細かに手順が書いてあります。また、ウェブサイトをリリースするためのものや、コンテンツプロモーションのチェックリストまで、様々なマニュアルが公開…

Image Credit : Joshua Reddekopp

(前回からのつづき)Process Streetが目指すのは「ビジネスオペレーションの自動化」ですが、特に特徴的なのが「他社のマニュアルをトレースすることも可能」という点です。

例えばInstagramでマーケティングするマニュアルでは、30以上に渡り、こと細かに手順が書いてあります。また、ウェブサイトをリリースするためのものや、コンテンツプロモーションのチェックリストまで、様々なマニュアルが公開されています。コードを書かなくてよいだけでなく、オペレーションそのものをテンプレート化することでさらなる省略化を目指しているのです。

さて、コロナの影響もあり世界的にリモートチームの価値が認識されています。しかし、世界各地にチームメンバーを持つ分散型組織の運営体制を0から作るのは大変です。そこでProcess Streetのようなノーコード・ツールを使えば、直感的に使えるワークフローやチェックリストを用いて、どんな企業でも同社プラットフォームだけで指示できるオペレーション構築が可能となります。

マニュアル作成プロセスもSaaS化され、自動運用できる世の中になりました。ユーザーである私たちは、より創造性を求められる作業に集中できる環境を手にできます。最低限の組織運営の自動化をProcess Streetはもたらしたと言っても過言ではないでしょう。

機械が作業内容を削ぎ落とし徹底的に効率化させる世界観は、まさにインターネットが目指した真価の1つです。誰もが手軽に繋がり、年齢や国籍・能力を問わず、創造的な活動ができる世界に繋がります。

その上で、今後はAI技術の活用でさらなる発展が見込まれます。

AIがユーザーの利用状況を観察しながら、常に先回りをして最適なアクションを提案してくれる未来の到来です。例えばProcess Streetでは、マニュアルの要素で抜けている点などがあれば、AIが補足点を修正して完璧なオペレーションを構築できるようになるはずです。

AIと人が共同で物作りをするような関係のもと、現在のノーコード・トレンドが2D世界で進んでいると捉えていると考えて良いでしょう。ちなみに3D世界におけるAIとの共創活動は、「デジタルツイン」や「ミラーワールド」の考えに繋がります。

ノーコードはこれから到来するAI事前予測による自動化社会や、AR・VRを活用した3Dクリエイティブな世界へ踏み出す、ベースとなる最初の一歩の位置付けとなります。単なる作業効率化のトレンドとだけ見るべきではないかもしれません。

ノーコードは何をもたらす:数々のサービスたち(1/2)

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ウェブサイトを手軽に作成できる「Wix」や「Strkingly」、ECサイトを構築できる「Shopify」に始まり、最近ノーコードサービスの活躍がこれまで以上に目立つようになりました。ざっと思いつくだけで下記のようなサービスが挙げられます。 「Scapic」:ARコマース機能実装サービス。3D化した商品を掲載でき、ユーザーはその場で商品の大きさや大凡の質感などを確認できる。商品の返品率を29%ほど…

Image Credit : Kevin Ku

ウェブサイトを手軽に作成できる「Wix」や「Strkingly」、ECサイトを構築できる「Shopify」に始まり、最近ノーコードサービスの活躍がこれまで以上に目立つようになりました。ざっと思いつくだけで下記のようなサービスが挙げられます。

  • Scapic」:ARコマース機能実装サービス。3D化した商品を掲載でき、ユーザーはその場で商品の大きさや大凡の質感などを確認できる。商品の返品率を29%ほど減らせるという。
  • Voiceflow」:音声チャットボットを手軽に作成できるサービス。AlexaツールやGoogleの音声アクションアプリ開発を行える。ドラッグ&ドロップのシンプルな操作性で音声アプリ開発ができる。
  • Coda」:Google SpreadsheetやDocを統合させた、オールインワン・プロジェクト管理ツールを提供。1つ1つ分けられたサービス機能を1つにまとめる動きもノーコード領域に入ってくる。

他にもアプリ開発の「thunkable」やメールマガジン「Substack」、チャットボット開発「Landbot」、クリエイターECプラットフォーム「Gumroad」など、枚挙にいとまがありません。

ノーコードがもたらす本質的な価値は、「誰でもクリエイター」にさせる点にあります。代表的な動きを挙げます。

ほとんどの会社で、いつも同じような仕事手順が必ずと言っていいほどあります。このプロセスを手軽に、かつ非常に綺麗な形でマニュアル化できるサービスが「Process Street」です。同社は著名アクセレータであるAngelPadの第8回目のプログラムを卒業。2020年2月には1,200万ドルの調達に成功しています。

従業員のオンボーディング、書類確認・承認に至るまで、ほぼすべてのタイプのビジネスプロセスを処理できる使いやすいインターフェイスを備えたノーコードのワークフロービルダーがProcess Streetです。企業がコードを書かなくてもワークフローを作成できます。顧客はほとんどが中小企業で、10~20%が大企業とのこと(次につづく)

「Revolut」は5.8億ドルの評価を獲得、チャレンジャーバンクとは何者か

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本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載。Universe編集部と同社のFounder兼CEOでGeneral Partnerの百合本安彦氏が共同執筆した。 2015年、英国発のフィンテック企業「Revolut」はシリーズDラウンドのエクステンションを公表した。2月に実施した調達と合わせて5億8000万ドルの評価で8…

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Photo by John Guccione www.advergroup.com on Pexels.com

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載。Universe編集部と同社のFounder兼CEOでGeneral Partnerの百合本安彦氏が共同執筆した。

2015年、英国発のフィンテック企業「Revolut」はシリーズDラウンドのエクステンションを公表した。2月に実施した調達と合わせて5億8000万ドルの評価で8000万ドルの資金を獲得したことになる。今回出資したのはTSGコンシューマー・パートナーズで、評価額は変わらないそうだ。2月に実施した内容はTCVがリードしたもので、これにより同社の累計調達額は9億1700万ドルにものぼる。紛れもないユニコーン(10億ドル評価)企業だ

グローバル・ブレインでは2018年にソニーフィナンシャルベンチャーズと共同でSFV・GB投資事業有限責任組合を立ち上げ、フィンテック企業への投資を実行している。本稿では、私たちのフィンテック領域に関する知見と共に、現在、世界中で大きなうねりとなっている「チャレンジャー(ネオ)バンク」について整理してみたいと思う。

4つの視点から見る未来の銀行

その前にまず、現在の銀行のあるべき未来像から考えてみたい。

調査会社のForresterは「未来の銀行に関するレポート」にて、4つの価値観をベースに次の10年の銀行の形を考察している。

  • Invisible(目に見えない形で動く)
  • Connected(サービス連携)
  • Insights-driven(顧客へのインサイト提供)
  • Purposeful(目的意識)

そしてこれらの価値は「顧客」「銀行」「コラボレーター(外部企業・ブランド)」の3者が密に連携することによって市場開拓が進むとしている。

具体的に何が起こるのか。大きく二つの方向性が考えられる。

最適化した金融体験の提供

今後、金融サービスはあらゆるプラットフォームと連携するようになる。例えば米VCのAndreessen Horowitz(a16z)は「Why Every Company Will Be a Fintech Company」と題したオピニオン記事であらゆる企業がフィンテック化していく世界を論じた。

従来、金融サービスを提供する際、各コラボレーターとは独立したものとなっており、顧客体験が全くの別物となっていた。例えば住宅販売企業はローン支払いサービスをシームレスに提供する必要があるが、別々のインターフェースになると顧客満足度は大きく下がる可能性がある。こうした非接続性はブランド毀損に繋がってしまう。

これらの体験は本来、1つのフローの中で完結するものである。そこで生まれた概念がBanking as a Service(BaaS)だ。金融サービスをモジュール的に扱い、顧客体験を最優先に「組み合わせて」提供する。銀行サイドは汎用性のあるAPIを用意するだけでOKだ。

例えば私たちが支援するsolarisBankはまさに、その上で動くサービスレイヤーを提供する企業になる。ベルリン発BaaS企業で、銀行サービスをオンデマンドで機能別に提供するビジネスモデルを展開している。欧州圏のフィンテック企業を中心に、決済や送金、KYC、カード、レンディングなどの銀行機能をモジュール化して提供している。

これが未来の銀行にあるべき「Invisible(目に見えない形で動く)」と「Connected(サービス連携)」の現在進行形と言えよう。

預けるだけが目的ではない

ではもう一つ、Forresterが提示する「Insights-driven(インサイト提供)」と「Purposeful(目的意識)」とは何を示すのか。

銀行はかつてのように金融資産を預けるだけの存在ではなくなりつつある。つまり、顧客の金融生活を銀行側がしっかりと理解し、どのような利用をすれば「心地よい生活を送れるのか」。そのインサイトを提供する需要が高まっているというのだ。

例えばWealthNavi(ウェルスナビ)は国内でトップクラスのロボアドバイザー・サービスなのだが、ソニー銀行と提携をし「WealthNavi for ソニー銀行」を提供している。

このように、金融資産の状況、保険の加入、住宅ローンの借り換え、こういった情報を預かるデータから導き出し、顧客に的確に伝える。顧客は金融資産の保全だけではない、より幅広いサービスの提供を求めているようになっている。

チャレンジャーバンクとは何か

revolut
Image Credit: Revolutウェブサイト

では、こういった新たな金融に関わる体験を実現するにはどうしたらよいか。ここで生まれた概念がチャレンジャー(ネオ)バンクだ。

チャレンジャーバンクには2つの種類が存在する。銀行業免許を持つ「チャレンジャーバンク」と呼ばれる業態と、免許を自社では持たずに提携銀行を介して事業運営する「ネオバンク」だ。どちらの種類であっても、通常は専用のモバイルアプリとデビット/クレジットカードを提供するサービス形態が一般的である。主要なサービスは次のようなものがある。

Revolt、Monzo、N26:欧州で産声をあげたこの3社(RevolutとMonzoは英国、N26は独)が特に注目されることが多い。EU圏内の移住などでやってきたユーザーが手軽に銀行口座を開設し、複数の通貨をまたいで送金ができることからユーザーを伸ばしている。参考までに、Sensor Twoerのデータを元にしたこちらのインフォグラフィックによると、2019年末のそれぞれのダウンロード数はトップがRevolutで、Monzo、N26にダブルスコアをつけている状況だ。

Square、Venmo:やや議論があるのがこの「ウォレット」サービスだ。通常、これらはチャンレンジャーバンクのカテゴリではなかったのだが、特に米国でSquareとVenmoの獲得口座の数が非常に大きく、実は全ての銀行と比べてもウォレットの数の方が多いという調査結果もあって本命視する向きもあるぐらいだ。また、アカウント数が大量にあるだけでなく顧客獲得コスト(CAC)が安いのも特徴で、機能面での差別化が難しくなる中、金融商品におけるCACを下げる目的で注目が集まっている。

参考情報:Ark Investmentレポート

Varo Money:チャレンジャーバンクから免許を取得して正式な銀行に「鞍替え」した例がVaro Moneyだ。チャレンジャーバンクは通常、認可を受けている銀行と提携してサービスを提供する。しかし彼らは今年7月末にOCC(米通貨監督庁)から米国全土で銀行業務を実施できる認可を取得し、正式な国法銀行となった。オール・モバイルの正式な銀行の誕生で、これにより送金や家計簿管理だけでなく、貸付やクレジットカードなどのサービスを提供できるようになった。

日本におけるチャレンジャーバンクの可能性

Revolutの大型調達やウォレットの躍進、Varo Moneyの国法銀行化などを通じてチャレンジャーバンクの可能性について考察してきた。最後に日本における未来像も少し触れておきたい。

日本ではよく、チャレンジャーバンクの得意とする「送金」バリューが発揮できないのでは、などの指摘をされるケースがある。特に日本は一世代前の金融機関が発達しすぎてイノベーションが起こし辛い現象「Overbank」が起きている。街を歩けばコンビニで現金が下ろせる。すごく便利な国だ。

ただ、ここのブレイクスルーは必ず起こると考えている。その転機と考えられるのが、現在厚生労働省内で検討されている「デジタルマネーよる賃金払いの解禁」である。この解禁によって資金移動業者が発行するプリペードカードの利用が劇的に増える可能性がある。

つまり今まで銀行が独占的に給与受取口座を取り扱うことにより個人のお財布を握ってきたわけだが、今後は銀行口座を持たなくても給料を受けとることができるようになるのだ。

個人は銀行の支店に行くことなくeKYC1でデジタルマネーの口座を開設し、給料の受取口座として指定してしまえばプリペイドカードで各種支払いをし、生活資金が足りなければ借り入れもできるし、送金や運用も家計簿としても活用することができる。

しかもすべてスマートフォン1台あれば完結。たとえ銀行の給与受取口座をすぐに変えることができなくても、生活資金分をデジタルマネーに資金を移せば快適なマネーライフを享受することができる。

日本版チャレンジャーバンクは、非接触型経済社会の目玉となり個人の生活は一変する。そういう世界が日本でも間近に迫っているのだ。

確かに商習慣では現金がまだまだ強いが、経済合理性の面ではデジタル通貨の方が管理コストも安く、いつかはシフトしていくことになるだろう。資産管理の面でも老後2000万円問題が指摘されたのは記憶に新しいが、では、どうやってその資産形成をする?という点で明確な答えはまだない。暗号資産や投資を促すソリューションには十分なチャンスがあるだろう。

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ピックアップTesla becomes most valuable automaker, worth more than GM, Ford, FCA combined

ニュースサマリー:6月10日、イーロン・マスク氏がCEOを務める電気自動車企業「Tesla」が、時価総額でトヨタ自動車を抜き世界で最も価値のある自動車企業になった。同社の現在(※執筆時:日本時間6月11日23時)の時価総額は約1900億ドルで、トヨタは約1823億ドルとなっている。以下はTeslaのファンがGoogle及びYahoo!の情報を元に作った自動車企業の時価総額ランキングのスプレッドシートである。

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現在のTeslaの時価総額は、ランキング3位から5位に位置付けるフォルクスワーゲンとホンダ、ダイムラーの三つの企業の時価総額の合計を超えている。同社は2017年時点では上位20にも入っていなかったが、2019年後半からの急激な株価上昇から勢いを伸ばし、ついに評価額で世界一位の座に上り詰めた。

今回のTesla株上昇の理由は、米国の株式市場(ナスダック)の好況や、Teslaの新しい電動トラック「セミ」の量産計画に関する情報リークなどの要因を背景としている。

話題のポイント:自動車業界にとっては、様々な意味で歴史的な瞬間です。まず第一に、ハイブリッドなどではなく完全電気自動車を製造するメーカーが世界一の座に着いたという事実は大きなインパクトがあります。2003年にTeslaが創業した当時、電気自動車は実現しないという声が一般的でしたが、同社はその固定観念を覆しました。

以下はTeslaのここ5年の株価です。上昇の度合いを見るとバブルに近い印象を持つ人も少なくないのではないでしょうか。実際イーロン・マスク氏も自身のTwitterにて「Teslaの株価は高過ぎる」とツイートしたことが話題になりました。

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Image Credit : Yahoo Finance

しかし、Tesla社のこれまでの実績及び今後のプランなどを考慮すると、現在の高値も過小評価とすら思えてくるでしょう。そう考えられる理由は主に二つあります。一つ目は、同社の電気自動車が、既に成長市場で独占的地位を確立しているという点。二つ目は、同社の事業多角化、すなわちエネルギー企業化及びソフトウェア企業化計画にあります。

まずTeslaが米国の電気自動車マーケットでどれほどのシェアを誇っているのかを見てみましょう。以下のグラフの中で、2018年及び2019年の棒グラフの中で圧倒的な割合を占める黄色部分がTeslaのモデル3の販売台数です。どちらの年でも約15万台を売り上げており、既にマーケットをほぼ独占していることが分かります。

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Image Credit : AFDC

同様の現象が既にヨーロッパ中国でも起こっているため、世界中で再現されるのは時間の問題かもしれません。2019年のTeslaの総販売台数は前年比5割増の約36万7,500台でした。首位のトヨタの同年の販売台数は約132万9000台と未だ大きな差がありますが、イーロン・マスク氏は2021年に車両生産は110万台、2023年には300万台を突破すると宣言しています。

ウォールストリートの金融アナリストであるBerstein氏は、Teslaの競争優位性に関して以下のようにコメントしています。

はっきり言ってしまえば、今後の電気自動車市場で競争が激化することはないだろう。我々は現時点から2022年までに米国で生産される全ての電気自動車を調査している。分かったことといえば、Teslaには目に見えた競争相手が存在しないということだけだ。

Teslaは近々、新プロダクトであるモデルYや新型ロードスターの販売を開始する予定です。また一般乗用車の域を超えて、Cybertruck(サイバートラック)やEV大型トレーラーSemi(セミ)などの製品の生産も発表済みです。

数年後には、Teslaを自動車会社と呼ぶことはできなくなっているかもしれません。というのも現在、同社は電力企業として家庭向けのソーラーパネルや蓄電池、エアコン、企業及び電力会社向けの蓄電池などを提供しているのです。

そして電力エネルギー取引プラットフォームの導入を通し、消費者がプロシューマー(電力生産消費者)となり、より効率的に電力が利用されるコミュニティの形成にも成功しています。オーストラリアではこのプラットフォーム事業で既に成功しており、現在同社は英国で電力会社になる免許を申請し、同様のビジネスを展開する準備をしています。

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Image Credit : Tesla

加えて、TeslaはMaaS(Mobility as a Service)市場への参入も表明しています。同社は2019年4月、”無人電気自動車版Uber”ともいえるロボタクシー事業の展開を発表しました。自動運転に対しては一時期に比べ懐疑的な意見が多く散見されるようになりしたが、大方の反対意見と異なり、イーロン・マスク氏は2020年末には完全自動運転が実現すると発言しています。

TeslaはUberやLyftに同社の電気無人自動車を利用させるのではなく、同社のプラットフォーム内でサービスを完結させる予定です。このプランが成功すれば、それこそUberやLyftが駆逐されるという今では考えもしないシナリオが現実のものとなるでしょう。

以上のように、Teslaは電気自動車の成功を足掛かりに、次々と革新的な事業多角化を進行させています。同社のビジネスの全容を知ると、同社が単なる自動車企業ではないということは簡単に理解できます。もちろん同社の時価総額の上昇は一時的なバブルもしれません。生産台数でいえば、未だトヨタとは大きな差があることも事実です。

しかし、自動車企業としてTeslaが本当の意味でトヨタに勝ったといえる日が来るのもそう遠くない気がしています。単純な利益高や総販売台数がトヨタを超えたときかもしれませんし、またはモデル3の販売台数が現在世界で最も売れている車「トヨタ・カローラ」のそれを上回ったときかもしれせん。同社が日本国内の自動車産業にとって最も大きな脅威であることは言うまでもありません。

Airbnb創業者の言葉で辿る「旅の新たな価値創造」

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ピックアップ:Interview with Brian Chesky ニュースサマリー:Airbnbの共同創業者Brian Chesky氏は4月下旬、トラベルスタートアップメディアSkiftとのオンラインインタビューに臨んだ。この中で同氏はCOVID-19対策で同社が講じている施策や、トラベル市場の今後の展望を中心に今後の展望を語っている。 ※こちらの記事の内容はPodcastで聞くことも可能です…

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オンラインインタビュー(左からAirbnbのBrian Chesky氏・Skift創業者のRafat Ali氏)

ピックアップ:Interview with Brian Chesky

ニュースサマリー:Airbnbの共同創業者Brian Chesky氏は4月下旬、トラベルスタートアップメディアSkiftとのオンラインインタビューに臨んだ。この中で同氏はCOVID-19対策で同社が講じている施策や、トラベル市場の今後の展望を中心に今後の展望を語っている。

※こちらの記事の内容はPodcastで聞くことも可能です。

話題のポイント:Airbnbは5月5日、全従業員の25%を占める1900人程度のレイオフを実施することを発表しました。同社ブログにChesky氏が従業員へ送った「レター」を公開するという形で話題になっています。

今回取り上げたインタビューは、同社がレイオフ実施を発表するより約2週間ほど前のものです。5日に公開されたレターでは当初、Airbnbとしてはレイオフを議論にしていなかったという記述がありますが、インタビューを通して聞くと、Chesky氏はこの時点である程度レイオフの決断を決めていたのだろうなと思わせる回答が続いていました。

原点回帰

インタビューは冒頭の、「(COVID-19による)危機によってビジョンが縮小(contract)しましたか?それとも逆に拡大(expand)しましたか?」という質問で、同社創業時の「human connection」を大事にするビジョン「Travel like a human(人間らしく旅をしよう)」が今後どう変化していくのか?について問われるところから始まります。

Crisis gives you clarity why you do what you do.「危機に直面すると、いったい自分が何に向かって今この取り組みをしているのか、改めて気づかせてくれます」(Chesky氏)。

彼は今現在の「成功」していたと思われるAirbnbは順調すぎたことで、自由に選べる選択肢を持ちすぎていたと語っています。「Airbnbはそもそも、不動産やトラベル市場の開拓や問題解決をするために始まった会社ではなく、『human connection』を満たす何かを探した結果である」と、創業時のストーリーを示し、今回の危機を機に、改めて始まりの頃のスタンスへ目線を向きなおすといった覚悟のメッセージを示していました。

つまり、多岐に渡っていた同社のプロジェクトを一度縮小し、改めて創業時ベースの想いに沿った事業へ原点回帰を考えているのだろうなと個人的には感じました。当然ですが、それに伴うレイオフは避けられないということです。

禁じられた「Human Connection」から見えるもの

Chesky氏はコロナ後・共存の世界だからこそ、「Human Connection」を感じられる環境価値は高くなるだろうという考えを示しています。そもそも、この言葉はいわゆるサブスクやD2Cなどのトレンドワードではなく、人間が生まれながらにして持っている性質であり、禁じられれば禁じられるほど、求めることが意欲的になっていくと話しています。

もちろん、今現段階においてはソーシャルディスタンスを取ることが重要なため、今まで私たちが定義してきたような「human connection」の欲求を満たすことは避けるべきです。だからこそ彼は「人類史上初めて禁じられたその欲求を満たすためにあらゆる手段を考え、その解決策を講じる時間を与えられている」と考えるべきだとしています。

確かに、私たちがCOVID-19によって他者との接触がネガティブなものであるとレッテルを張られた結果、例えばZoomを通して会話をしたり、なんとかして誰かと繋がっていたい欲求を満たすソリューションを考えに考え続けた約2カ月間を過ごしています。

しかし、彼はそうしたオンライン上のみの「human connection」はこれから先もずっと続くとは思わないという見解を示しています。だからこそ、「human connection」の本質を考え、本当に大切なものは何だったのか?という問いを世界的に考えるタイミングであるといえるのです。ちなみにChesky氏は本当に大切なものは、家族、友達、恋人など他者と自身の関わり合いと示しています。

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Airbnbが開始したオンラインアクティビティ

Air bed and Breakfast、変わりゆく「旅」のリーダー

Chesky氏は2008年、投資家に向けてAirbnbの前身となる「Air bed and Breakfast」のピッチをする際、必ず言われた言葉があると語っています。

「Hey Brian!経済がこんなにも落ち込んでいて、成功するのが確実なスタートアップにも投資できないこの状況で、どこの誰がAir bed and breakfastに投資すると思っているんだい?!」。

そして彼らの言葉は全く間違ってないとしながらも、「不況」だからこそ忘れてはいけないポイントが2つある、そう述べています。

  • In a recession, people are gonna be looking for new ways to make money.
    (不況時、人間は新しい稼ぎ方を見つけ出す)
  • In a recession, you are gonna see many major shifts – multi decades transition is gonna happen in weeks.
    (不況時、数十年・数百年の単位で変化を遂げるはずだった事柄が、たったの数週間で変化してしまう)

では、COVID-19による不況はどのように世界がラディカルに変容を遂げるポイントとなるのでしょうか。 まず、彼は次世代の旅における価値観は以下のように変化を遂げるとしています。

smaller city, smaller community. smaller cowed, but more intimate. NOT BAD THING.(小さな都市へ、小さなコミュニティーとの関わり合いに。そして、より混んでいない場所が理想となるが、今までより一つ一つの出逢いが親密なものとなっていくだろう。そんな世界も悪くはないさ)。

また、旅という概念は常に変化を遂げてきたものだったと歴史を振り返っています。第二次世界大戦後、旅というものは当初ラグジュアリーなカテゴリーでした。しかし、ひとたび世界経済が発展するとビジネストラベルが旅行業界の重要なセクターへと変化を遂げました。

確かに、昔から旅という考えはあれど、その都度市場を牽引するドメインは変わっていたのです。Airbnb自体も、同社の法人向け事業は大きなビジネスドメインとなっていました。今後の流れとしては、全員に当てはまらないとしながらも以下のような考えを示しています。

The more you stay home, the more you desire to leave home… People started to think I don’t need to live in this city to do this job,  I can live any city to do this job. (StayHomeすればするほど、人間は家を離れたくなる(中略)そして人は、ある特定の場所に定住する必要性を問いだすのだ)。

現在のAirbnbはCOVID-19以降、30日以降のロングタームステイにプラットフォーム構造を切り替えています。

ショートステイ中心だったAirbnbにとって、ロングステイへの変換は大きな出来事です。私は当初、彼らが創業当初に思い描いていた「人」を中心とした「belonging and connection」とは限りなく違う方向性へ歩みだしたのではないかと考えたことがあります。

しかしインタビューを聞く限り、彼にとってはそんな「ズレ」などなく、これも歴史が辿ってきた「旅の変化」のひとつなのかもしれません。

オンラインエクスペリエンスが成功した理由

Airbnbは「#StayHome」が世界的に始まってから、同社のホストによるアクティビティー事業を完全にオンライン限定の方向へとシフトしました。Chesky氏によれば、このアイデアはそもそもホスト側からの提案であったことを明かしています。このオンラインエクスペリエンス事業は同社プロダクトの中で最も成長スピードが早いプロダクトとなったことも明かしています。

要因として、価格とそのシンプルな内容が釣り合ったことを挙げています。そもそも、トラベルは「High-consideration purchase(高価な買い物)」で、旅の予定を立てフライトやホテルを取り、当日まで幾多の準備期間を経てやっと体験できるものでした。

しかし、オンラインエクスペリエンスは「Lower-consideration purchase」に該当するものです。精神的な決断に加え、価格的にもフィジカルなエクスペリエンスが平均50ドルほどだったものが、オンライン化することで平均17ドルほどまでに抑えられたことが成長の要因だとしています。

この点に関しても、彼が思い描くこれからの旅の形と辻褄があっていると感じました。Chesky氏は今後、ミレニアル世代やそれ以降の世代による、「Budgetトラベル」が主流になるだろうという考えを示しています。そのため、旅行体験がさらに身近なものとして広がるには、価格面で今までの水準を大きく破壊する必要があったのです。

ということで彼のインタビューからいくつかポイントを整理してみました。私はここ数日のAirbnbの動きで、今後の旅の形というものの輪郭がはっきりしてきたように感じています。

Airbnbのビジョン「Travel like a human(人間らしく旅をしよう)」と、コロナ後・共存の私たちの生き方を考えることはおそらく、同じ道筋にあるのだと思います。

以前の記事「旅が復活しても、もう違うものになるーーAirbnb「共同創業者からの手紙」が大切にしたもの」でも、今後の旅は自然と調和した「オフロード」となっていくとしました。ここからさらに踏み込んで、私たちの生活様式と旅の境界線は薄くなり、最終的には融合された形となって再び私たちの目の前に現れてくれるのではないかと信じています。

パッションエコノミーから考える「旅」の価値とスタートアップチャンスについて

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  旅の経験をもっと可視化することはできないでしょうか。 というのも、旅から得られる経験はオリジナリティー性が強く、個人に依存するため、旅人一人ひとりが価値を創出できる可能性を秘めていると感じているからです。また「旅のストーリーが個人を強くする時代」でも触れたように、パッションエコノミーの機運が高まるにつれその傾向はさらに強まると考えてます。 旅に出ることのハードルが低くなっていることも…

 

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旅の経験をもっと可視化することはできないでしょうか。

というのも、旅から得られる経験はオリジナリティー性が強く、個人に依存するため、旅人一人ひとりが価値を創出できる可能性を秘めていると感じているからです。また「旅のストーリーが個人を強くする時代」でも触れたように、パッションエコノミーの機運が高まるにつれその傾向はさらに強まると考えてます。

旅に出ることのハードルが低くなっていることも要因のひとつです。(時期的には難しいですが)Airbnb・LCCの浸透で、金銭的にも思い立った時にどこか異国の地へ旅立つことが容易となりました。また世界300都市で利用可能なスーツケースの民泊「BagBnb」や、旅先にレンタル形式で必要な服を配達してくれる「TRVL Porter」が台頭してきています。これらにより、旅に出るための物理的な事前準備さえも必要なくなる未来が見えてきています。

<参考記事>

旅のアウトプットといえばYouTubeでVlogを残したり、記事ブログを書いたりすることが一般的です。もちろんそういった活動も、旅を通した価値の可視化であることに間違いありません。ただ、こういった手法では旅をした人の価値を社会に還元させる、とまではいかなさそうです。何らかの新たなアウトプット手法はないものでしょうか。

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Image Credit:PokemonGo

答えの一つとして、一世を風靡(び)した位置情報スタートアップ「Foursquare」の存在が挙げられます。同社は位置情報 × SNSの事業領域にゲーム性を付け加えることで、リアルRPGのような感覚を世界へ普及させました。ユーザーの位置情報を移動した後も所有し続ける環境をSNS上で整えたのです。今ではインスタのストーリーが彼らと同じ価値提供者になっていたり、NianticのPokemonGoもその延長線上と言えるでしょう

また、P2P型の旅人マーケットプレイスを提供する「TRVL」では「Together we’ve been everywhere」をビジョンに、旅のエキスパートが集まる市場となることを目指しています。同マーケットプレイスでは、旅のエキスパート(旅先に関しての知識が豊富)が個人のエージェントとなれ、旅へのアドバイス・予約までを担当しコミッションフィーを稼げる仕組みとなっています。今まで旅人を自称しTripAdvisorなどでコメントをたくさん書いていた層と考えると分かりやすいでしょう。

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もうひとつの答えとして旅を通じた人材を育成しようという動きもあります。日本のトラベルスタートアップ「TABIPPO」はちょっと変わったキャリア育成プログラムをスタートさせました。TABIPPOが昨年より実施する人材育成プログラム「POOLO」の定義は、「旅をした経験を社会に還元する、次世代を創るアンバサダーコミュニティー」です。まさに「旅 × パッションエコノミー」を体現したものと言えます。

具体的には、旅の経験が豊富な参加者が集まり、議論する場を通してグローバルで活躍すために本当に必要なマインドセット・スキルを共有していくプログラムとなっています。世界中を旅した個人だからこそ得られる価値観や視点ではないでしょうか。

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POOLOが考える旅を通じたグローバル人材の定義

さて、旅人がその場その時で感じたある場所での経験は、表現の仕方によっては身分証明書と同じような「信頼」になるのではと感じています。

いくつかのトラベル・スタートアップたちは旅人である価値を表現し始めています。パッション・エコノミーがこれからさらに注目されることになれば、その市場には魅力的なチャンスが生まれることになるのは確実でしょう。

しかしこの市場に特化したスタートアップは多くありません。先日a16zから発表のあった「The a16z Marketplace 100」におけるトラベル領域もそのほとんどが、OTAと民泊でした

とはいえ、私たちがAirbnbを既に珍しがらなくなったように、市場は既に新しい価値提供ができるサービスを求めています。この点において、パッションエコノミー文脈とつながりの強い、「旅の価値表現」は注目され始めるのではないでしょうか。