〝AIのゴッドマザー〟Fei-Fei Li氏の空間知能スタートアップ、創業から4ヶ月でユニコーンに

Fei-Fei Li（李飛飛）氏
CC BY-NC 2.0: Fei-Fei Li speaks at TED2015
Photo: Bret Hartman/TED

「AI のゴッドマザー」こと、Fei-Fei Li（李飛飛）氏が設立し、空間コンピューティング技術に注力するスタートアップ World Labs は、設立から4ヶ月足らずで評価額が10億米ドルとなり、ユニコーンの仲間入りを果たした。

Financial Times によると、 World Labs は今年4月の設立以来、2回の資金調達を終えており、最新の資金調達ラウンドでは、a16z や AI ファンドの Radical Ventures といった有名 VC から1億米ドル以上を調達し、評価額が10億米ドルを超えたという。

Li 氏は、機械が視覚情報をどのように処理するかの科学——コンピュータビジョンの分野で多大な貢献をしてきた。

彼女はビジョンデータベース「ImageNet」の創設を主導し、2017年と2018年には Google Cloud AI／ML のチーフサイエンティスト、2020年から2022年まで Twitter の取締役、そしてアメリカ政府の AI タスクフォースのアドバイザーを務めた。

空間知能（Spatial Intelligence）を開発するスタートアップを設立、4カ月でユニコーンに

2024年初頭から、Li 氏は勤務していたスタンフォード大学から2年間のサバティカル（研究休暇）を取り、その間に World Labs を設立した。ロイターが以前報じたように、彼女の LinkedIn プロフィールで職業を「初心者」と「何か新しいこと」に変更され、起業家としての新たな方向性を示唆しているようだ。

World Labs の主な目標は「空間知能」技術を開発することで、人間のような視覚データ処理技術を活用することで、AI がより強力な推論能力を持ち、AI が現実の環境と相互作用し、さらには仮想世界で環境を創造することを可能にする。

詳細を知るベンチャーキャピタリストは、World Labs が物理世界を3D で理解できるモデルを開発していることを明らかにした。

今年4月にバンクーバーで開催されたカンファレンス「TED」で、Li 氏は空間知能技術を公開した。

空間知能は、機械同士が相互作用するだけでなく、現実であれ仮想であれ、3次元の世界とも相互作用することを可能にします。

Li 氏は TED の講演で、猫がミルクの入ったグラスを押す写真を使って空間知能について説明した。
Image credit: TED

Li 氏は、歴史上のカンブリア紀の爆発を例にとり、視覚の出現が動物にとって最も遠大な進化のプロセスを引き起こしたと主張し、空間知能は将来、デジタル領域でも同じような爆発的な成長を引き起こし、AI が世界を認識することを学び、さらには私たちが探索できる多くの新しい世界を創造することになると述べた。

スピーチの中で彼女は、空間知能の概念を説明するために、テーブルからミルクの入ったコップを押し出そうとしている猫の写真を見せた。人間は、写真に写っている視覚情報、たとえば猫、テーブル、グラスの位置関係や、それらの相対的な関係を利用して、これから何が起こり、どのような行動を取るべきかを即座に知ることができる。

一方、彼女はスタンフォード大学での空間知能研究の進展も紹介した。例えば、AI は平面の写真から身体の3D モデルを生成することができ、医学部と協力して、AI センサーが医療スタッフが清掃措置を遵守しているどうか、患者が転倒する危険性がないかどうかを感知できるかどうかをテストしている。