置き社食「OFFICE DE YASAI」のKOMPEITOが地銀系らから10億円超を調達、地方強化と米国展開へ

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KOMPEITO の皆さん
Image credit: KOMPEITO

<20日午前11時30分更新> 訂正線部を削除、赤字部を加筆。

オフィス向け社食サービス/置き野菜サービス「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」を運営する KOMPEITO は20日、シリーズ D ラウンドで10.7億円を調達したと発表した。金額はエクイティのみで、デットを含めると21.7億円。これは、同社にとって、2022年3月に実施したシリーズ C ラウンドに続くものだ。今回の調達を受けて、 KOMPEITO の創業以来のデットを含めた累積調達額は約30億円(デットを含めると約45億円)に達した。

このラウンドに参加したのは、JIC VGI(JIC ベンチャー・グロース・インベストメンツ)、インキュベイトファンド、あおぞら企業投資、鈴与、博報堂DYベンチャーズ、New Commerce Ventures、福岡地所、横浜キャピタル、四国アライアンスキャピタル、常陽キャピタルパートナーズ、佐銀キャピタル&コンサルティング、愛知キャピタル、八十二インベストメント、山口キャピタル。デットについては、商工中金、りそなグループ、京都銀行が資金提供した。

今回のラウンドには、地方の有力企業や金融機関が名を連ねている。この背景には、KOMPEITO が近年力を入れている地方展開戦略がある。この戦略については、前回のシリーズ C ラウンドの際にも明らかになっていたが、地銀や地方有力企業の出資参加で、名実共にこの方向性が明確化された格好だ。KOMPEITO 代表取締役の渡邉瞬氏は、地方展開の経緯についてこう語る。

コロナ前は元々、地方をあまり意識的には攻めていませんでした。コロナ禍で首都圏の需要が減少したため、地方に注力し始めました。言うまでもないのですが、地方では、近くにコンビニがない、飲食店がない、といった環境にあるので、地方企業との親和性が高いことが明確にわかってきました。

この気づきを基に、KOMPEITO は地方金融機関との提携を積極的に進めてきた。現在では60を超える地方銀行と提携し、営業活動を展開している。この戦略が功を奏し、OFFICE DE YASAIの導入拠点数は2024年8月時点で累計13,000拠点を突破した。地方展開の成果は数字にも表れている。2020年8月時点では東京都と5大都市で80%を占めていたのに対し、2024年8月時点では48%まで低下している。これは地方での導入が顧客増の大きな要因となっていることを示している。

「OFFICE DE YASAI」
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サービス提供エリアも大幅に拡大し、北は利尻島から南は与那国島といった離島までカバーするようになった。全都道府県で何らかの地元金融機関との連携があり、現地で製造・物流基盤の整備も進んでいる。コロナ前は1拠点しか無かった製造・配送拠点が、すでに稼動している拠点を含め、10月から全国7拠点になるという。

全国各地に拠点を設けたことで、例えば、全国各地へ鮮度の高いサラダを届けることが可能になった。製造工場には、現地の食材を優先的に使ってもらうよう依頼をしているため、地産地消によってフードマイレージ削減はもとより、地元農業の活性化にもつながる。平均年齢は32.7歳、新卒世代から60代まで幅広い年代のメンバーが100名以上全国で働いているそうだ。

アフターコロナの状況をコロナ前・コロナ禍と比較してみても、エリア(都市/郊外)や規模(大/中小)といった観点で見て、働き方やオフィスのあり方が大きく変化してきたように思います。その中で従業員への福利厚生のカタチも変わり、我々が運営するOFFICE DE YASAI へのニーズや期待はさらに高まっていると感じています。(渡邉氏)

KOMPEITO は海外展開も視野に入れており、アメリカ市場への参入を念頭に、2024年5月に KOMPEITO USA を設立した。国内では地域連携の強化に加え、M&A なども含めた非連続的な成長を目指す。さらなる顧客拡大や配送網の拡充、地域食材を活用した商品開発の強化、「OFFICE DE YASAI」アセットを活用した新たなサービス提供の企画開発にも取り組む方針だ。

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