置き社食「OFFICE DE YASAI」運営のKOMPEITO、シリーズCで13億円を調達——地方拡大を加速へ

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KOMPEITO の皆さん
Image credit: Kompeito

<9日15時更新> 共同創業者の川岸氏の現在の勤務先として記した FRACTA は、本稿初出時、水道管劣化予測 AI スタートアップの FRACTA としていましたが、正しくはブランドエージェンシーの FRACTA でした。お詫びして訂正します。

オフィス向け社食サービス「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」を運営する KOMPEITO は3日、シリーズ C ラウンドで約13億円を調達したと発表した。このラウンドは、ニッセイ・キャピタル、インキュべイトファンド、JIC ベンチャー・グロース・インベストメンツがリードし、DD ホールディングスベンチャーキャピタル、中国銀行、京銀リース・キャピタル、とっとりキャピタル、NOBUNAGA キャピタルビレッジが参加した。

ニッセイ・キャピタルはシリーズ A ラウンドシリーズ B ラウンドに続くフォローオン、インキュべイトファンドは2014年7月のラウンド(ラウンドは不明)に続くフォローオンでの出資参加となる。今回ラウンドを受けて、KOMPEITO の累計調達額は約20億円に達した。KOMPEITO では調達した資金を使って OFFICE DE YASAI 製造・配送拠点の地方拡大の加速と、より充実した健康サービスへの進化、新規事業「SALAD STAND」の拡大を図るとしている。

コロナ禍以降、テレワークの普及で社員食堂などの運用を見直す企業が増えている。ただ、リモートワークが増えたとはいえ、現場に出社する社員が一定数いるなどの理由から社員食堂を完全に閉鎖することはできない。そこで増えつつあるのは、社員食堂のクラウド化だ。「オフィスおかん」は好調のようだし、オフィスなど据え置き型無人コンビニの「600」は、日配品の取り扱いをはじめストア化を図ることを明らかにした。また、新しいアイデアでもないが、オフィス周辺の飲食店を社食代わりに使えるサービスも増えた。

「SALAD STAND」
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KOMPEITO は OFFICE DE YASAI が現在3,500ヶ所以上に導入されており、コロナウイルス感染拡大以前の2019年比べ、顧客数が約1.5倍に増えたことを明らかにしている。コロナ渦において、完全にリモートワークに移行できない業界、リモートワーク普及により社員食堂の運営ができなくなった企業などで需要が拡大した。特に利用が顕著なのは都市部よりも地方だ。2019年には東京の顧客が約半数を占めていたのに対し、現在は8割以上が東京以外の地域からの利用だという。

OFFICE DE YASAI が扱うのは野菜なので、新鮮さのみならず、配送に関わるカーボンオフセットの観点からも、地方需要に合わせた地方の製造工場、配送拠点、物流網が必要になる。同社ではすでに北海道、関東、関西、沖縄にネットワークを整備しており、今後、中部、中国、四国、九州などの地域にも拡大する計画だとしている。また、AI による需要予測により価格が変動する、ダイナミックプライシング機能を備えたサラダ自販機 SALAD STAND についても設置台数を拡大する予定だ。

KOMPEITO は2012年9月、大手の経営コンサルティング・ファームで第一次産業向けの経営コンサルティングに従事していた川岸亮造氏と渡邉瞬氏が創業(川岸氏は2021年2月に代表を退任、現在はブランドエージェンシーの FRACTA で RI 局長を務める)。農業においては経営単位が小規模で、農家にコンサルティングを提供するよりも、農家の収入を増やす事業を立ち上げた方が効果的だと考え、2014年4月に OFFICE DE YASAI をローンチした

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