韓国のスタートアップメディア「Startup Recipe」は、2021年の韓国スタートアップの資金調達動向に関する年次レポートを公開した。全編36ページ。昨年に続き、2号目の発行となる。それによると、2021年に韓国のスタートアップに注ぎ込まれた資金は12兆2,800億ウォン(約1兆1,790億円)だった。2020年と比較して投資額は192%増加、投資件数は前年比55%増の1,272件を記録した。
2021年は特に、ラグジュアリー、ファッション、中古(再販)プラットフォーム、ラストマイル配送プラットフォームが急速に台頭した。また、2021年の投資動向を象徴するキーワードとしては、非対面、デジタルトランスフォーメーション、MZ(ミレニアルと Z 世代)とライフスタイル、第4次産業革命などが挙げられる。メタバースやブロックチェーン(NFT)などは新たに登場した分野だった。
2021年最も資金が集まった企業は、オンライン旅行代理店(OTA)Yanolja(야놀자)の1兆ウォン(約960億円)だった。以下、P2P 送金アプリ「Toss(토스)」の Viva Republica(비바 리퍼블리카)の4,600億ウォン(約440億円)、生鮮食品 EC 大手 「Market Kurly(마켓컬리)」を運営する Kurly(컬리)の2,754億ウォン(約260億円)、TMON の3,050億ウォン(約290億円)、Edtech スタートアップ Riiid(뤼이드)の2,000億ウォン(約190億円)が続いた。
今週、韓国政府の中小企業ベンチャー部(중소기업 벤처부、日本の省に相当)は、2021年にユニコーンクラブ入りした7社を発表した。韓国の仮想通貨取引所「Upbit(업비트)」を運営する Dunamu(두나무)と「Bithumb(빗썸)」を運営する Bithumb Korea(빗썸코리아)、モバイル不動産アプリ「Zigbang(직방)」、生鮮食品 EC 大手 「Market Kurly(마켓컬리)」、デザイナーズブランド「Bucket Place(버켓플레이스)」、韓国版ジモティ「Carrot Market(당근마켓)」、電子書籍「Ridibooks(리디북스)」が加わったことで、韓国は史上最多の18社がユニコーンリストに名を連ねることになった。
2021年は、世界のベンチャーキャピタルが韓国のスタートアップに注目した年でもある。ソフトバンク・ビジョン・ファンドは、前出の Yanolja と Riiid に資金を提供し、最も大きな金額を投資したベンチャーキャピタルだった。また、ライブ配信アプリ「HAKUNA Live」を運営する Hyperconnect(하이퍼커넥트)を17.3億米ドルで買収した、Tinder の親会社で出会い系プラットフォーム大手の Match Group は、最も多くの金額を提供した企業だった。
女性が創業者を務めるスタートアップは、調達金額ベースで全体の7.6%で昨年より減少したが、件数では全体の9.5%を占めた。100億ウォン(約9.6億円)以上の投資を集めた企業を調べると、72%がソウル市内にあり、特にカンナムとソチョク周辺が63%を占めた。カンナムは大手ベンチャーキャピタルや政府主導のスタートアップバレーがあるため、多くのスタートアップが集まっている。また、2021年は M&A 件数も72件と多く、スタートアップ同士の買収合併は M&A 全体の55%を占めた。
Startup Recipe による2021年の韓国スタートアップ資金調達レポートは、Seoul Startup Hub (서울창업허브)と D.CAMP(銀行圏青年創業財団、은행권청년창업재단)の支援により作成された。
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