TechCrunch Japan で思う時代の変化、アフターコロナのテックイベントの展望【Canvas 2月号(2月12日〜2月18日】

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TechCrunch Japan で思う時代の変化、アフターコロナのテックイベントの展望

今週の話題(2月12日〜2月18日):TechCrunch Japanが終わっちゃうみたいEventX CEOが予測、2022年のイベントテック業界が経験する8つのトレンド

TechCrunch Japan が終わるとのこと。スタートはアメリカの本家が産声を上げた次の年の2006年。TechCrunch の旗艦イベント「TechCrunch 40 や 50(40社、または、50社がピッチするのでこの名前がつきました)」には初回からお邪魔しましたし、TechCrunch の本家や Japan の編集部の皆様とも仲良くさせていただいたので、いろいろ思いは尽きることはありません。TechCrunch Japan は本家の翻訳記事が多かったですが、15年の月を経て、一つの役目を終えられた気がしてなりません。

一つには人材の多様化。欧米のスタートアップシーンの動きを直接見る起業家も増えましたし、ミレニアルや Z 世代、特に Web3 のビジネスをやっている人たちは恒常的に英語を話します。日本から世界に出ていくスタートアップはまだ限られますが、翻訳を必要とされる機会は、以前より少なくなったのかもしれません。広告収入を中心としたビジネスモデルは、世界的にも随分と前から破綻していて、メディアは新たな活路の開拓に迫れています。Decrypto のようなトークンモデルも一つの解かもしれません。

そして、バーチャルイベントプラットフォーム「EventX」の CEO が、コロナ禍のイベント業界の変貌について考察を書いていました。この2年余りで、スタートアップシーンも大きく変わりました。前出の TechCrunch にせよ、収入の幾分かはイベントに依存していたでしょうから、リアルイベントが開催できなくなった分、バランスシートへの影響は小さなものではなかったでしょう。プレゼンテーションはオンラインでも可能ですが、偶然かつ必然の新しい出会いをどのように早出するかが今でも大きな課題です。

アジアでは、新型コロナに加え、中国や香港の政情不安も手伝って、リアルイベントを開催しづらくなっています。コロナ後のテックシーンにおける人脈の広げ方は、Web3 のコミュニティ的になっていくのではないか、と思っています。Web3 は地理的依存度が少なく、コミュニティに参加する誰もが Discord などで意見を交換しています。そして、たまに共通テーマのリアルイベントで会い、国境を越えて「いつも話している○○さんね」と初めて顔を合わせるようになる。こちらがデフォルトになるような気がしています。

今月の調達ニュース

今月の国内スタートアップの主要な資金調達ニュースをお届けします。

飲食店DX支援のトレタ、20.3億円を調達——凸版印刷、リクルートHDやTencent(騰訊)のCVCなどから(2月16日)

  • トレタは、直近のラウンドで20.3億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、凸版印刷、HR Tech Fund(リクルートホールディングスの CVC)、Image Frame Investment(意像架構投資、Tencent=騰訊の CVC)、岡三キャピタルパートナーズ、三井住友トラスト・インベストメント。調達金額には、名前非開示の金融機関1社からのデットが含まれる。

デジタルツインSaaS開発のDataLabs、東大IPCとDEEPCOREから1.3億円をシード調達(2月16日)

  • DataLabs は、シードラウンドで1.3億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、東京大学協創プラットフォーム開発(東大 IPC)と DEEPCORE。

SAR(合成開口レーダー)衛星開発のQPS研究所、シリーズBで49億円を調達——累計調達額は82.5億円に(2月14日)

  • QPS 研究所は、49億円を調達しシリーズ B ラウンドをクローズしたことを明らかにした。同社は2021年12月にシリーズ B ラウンドのファーストクローズ(シリーズ B1 ラウンド、38.5億円)を明らかにしていたが、これに加え、セカンドクローズ(シリーズ B2 ラウンド)で10.5億円を調達したものだ。シリーズ B2 ラウンドには、スパークス・アセット・マネジメント、SMBC 日興証券、みずほキャピタ、山口キャピタル、大分ベンチャーキャピタルが参加した。今回の資金調達により、これまでの累計調達額は約82.5億円に達した。

VRイベント&メタバース開発・運営のHIKKY、ドコモとメディアドゥから総額70億円調達しシリーズAをクローズ(2月14日)

  • VR イベント「バーチャルマーケット」などを開発する HIKKY は、総額70億円を調達してシリーズ A ラウンドをクローズしたことを明らかにした。同社は昨年11月、シリーズ A1 ラウンドで NTT ドコモから65億円を調達したことを明らかにしていたが、今回、シリーズ A2 ラウンドでメディアドゥ(東証:3678)から5億円を調達したものだ。

フェムテックブランド「Nagi」運営のBLAST、シリーズAラウンドで1.5億円を調達(2月14日)

  • BLAST は、シリーズ A ラウンドで1.5億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、赤坂優氏らが運営するエンジェルファンド、ANRI、セゾン・ベンチャーズ。また、調達金額には日本政策金融公庫などからのデットが含まれる。赤坂優氏と ANRI は2020年6月、赤坂氏は2020年9月のラウンドにも参加している。

アジアのニュース

今月のアジアのニュースをお届けします。

仮想通貨取引所UpbitとBithumb、共にユニコーンクラブ入りと韓国政府が発表——ユニコーン累計は18社に【報道】(2月18日)

  • 韓国の仮想通貨取引所「Upbit(업비트)」を運営する Dunamu(두나무)と「Bithumb(빗썸)」を運営する Bithumb Korea(빗썸코리아)が、共に昨年ユニコーンした7つの韓国スタートアップに入っていることを、韓国政府の中小企業ベンチャー部(중소기업 벤처부、日本の省に相当)が15日報告した。

東南アジアの中小企業向けP2P融資Funding Societies、ソフトバンク主導のシリーズC+とデットで2.9億米ドル調達(2月17日)

  • Funding Societies(インドネシアでは「Modalku」として知られている)は、シリーズ C のエクステンションラウンドで1億4,400万米ドルを調達したと発表した。また、ヨーロッパ、アメリカ、アジアの機関投資家から1億5,000万米ドルのデット枠を獲得した。このエクイティラウンドは、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2がリードし、ベトナムのテック大手 VNG Corporation、Rapyd Ventures、EDBI、Indies Capital、K3 Ventures、Ascend Vietnam Ventures などの新しい投資家が参加した。このエクステンションラウンドは、Funding Societies が2020年から2021年にかけて調達した4,500万米ドルのシリーズ C ラウンドに続くものだ。

香港発バーチャルイベントプラットフォーム「EventX」、シリーズBで800万米ドルを追加調達(2月17日)

  • EventX は、GL Ventures(高瓴創投)がリードしたシリーズ B ラウンドで、名前非開示の投資家の参加を得て、800万米ドルを追加調達した。今回の投資により、シリーズ B ラウンドでの資金調達額は前回発表分とあわせ1,800万米ドルに達した。

東南アジアのキャッシュバックサービス「ShopBack」、1.5億米ドル調達か——成功すればユニコーンに?【報道】(2月17日)

  • ShopBack」が、事業拡大のために1億5,000万米ドルの資金調達に向けて複数の潜在投資家と交渉中であると、Bloomberg が関係者の話として報じた。この資金調達が成功すれば、ShopBack の時価総額が上昇し、ユニコーンになる可能性がある。シンガポールの政府系投資会社 Temasek Holdings の支援を受ける同社は、このラウンドで Morgan Stanley が協力していると、関係者は述べている。

Animoca Brandsが日本法人を設立、11億円のシードマネーを調達(2月16日)

  • 香港のブロックチェーンベースのゲーム会社 Animoca Brands は、地域部門である Animoca Brands 株式会社(Animoca Brands Japan)を設立し、日本での事業を開始したと発表した。同社の日本法人は、MCP Asset Management と Animoca Brands が設立した MCP IPX One Fund から、シードラウンドとして11億円(1,000万米ドル)を調達した。

スマホ製造大手Xiaomi(小米)、EV用高電圧バッテリ開発Chilye(智緑)の18億円調達ラウンドにリード出資(2月15日)

  • Chilye(智緑)は、Xiaomi(小米)がリードした投資家グループから約1億人民元(約18億円)を調達した。スマートフォンメーカーの Xiaomi が EV レースに参入する最新の動きとなった。

中国のメタバース型ソーシャルアプリ「Zheli(啫喱)」、アプリストア首位獲得から3日でダウンロード停止(2月15日)

  • 「Zheli(啫喱)」は、中国のアプリストアで新参者としては驚異的な首位獲得を果たしたが。それからわずか3日後、同アプリのオーナーがさまざまな論争に対処するため、全国のアプリストアから撤去した。ゼリーを意味する Zheli は、ユーザが日常生活を友人と共有できる 3D アバターメーカーで、ユーザのおおよその位置とモード(学校、職場、ショッピングモールの近く)が表示されるようになっている。

ベトナム発NFTゲーム「Summoners Arena」運営、300万米ドルをシード調達——韓国のゲーム会社KraftonのCEOらから(2月15日)

  • Summoners Arena」は、Pantera Capital がリードし、Coinbase Ventures のほか、「PUBG」開発会社 Krafton の CEO Chang-Han Kim(김창한)氏が参加したラウンドで300万米ドルのシードマネーを獲得した。

Binance(幣安)、Forbesに2億米ドル出資へ(2月14日)

  • Binance(幣安)は、104年の歴史を持つメディア界の巨人 Forbes に戦略的支援として2億米ドルを出資する予定だ。Binance はまた、最高コミュニケーション責任者 Patrick Hillmann 氏と Binance Labs(幣安実験室)の責任者 Bill Chin 氏が新しいポジションに任命し、Forbes の9つ取締役ポジションのうち2つを獲得している。

國光氏やDJT上野氏ら、ゲーム特化ブロックチェーン「Oasys」をローンチ——バンナムやセガ役員も参画(2月14日)

  • Oasys は、ゲームコミュニティ向けに特別に設計・開発されたブロックチェーンのローンチを発表した。Oasys は、そのブロックチェーンアーキテクチャが、Ethereum 仮想マシン互換のレイヤー1およびレイヤー2プロトコルを組み合わせることにより、「ガス代」ゼロや高速トランザクションといった利点を提供するとしている。

AI駐車管制プラットフォーム「iParking」が95億円調達など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(2月14日)

  • iParking(아이파킹)」を運営する ParkingCloud(파킹클라우드)が1,000億ウォン(約95億円)を調達した。2015年に初めて AI 駐車管制を披露した iParking は全国22自治体で公営駐車場550ヶ所運営しシェア1位を占めた。調達した資金は、EV 充電ステーションなどモビリティハブ構築に活用する。

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