AI を活用した検索の時代が到来しつつある中、それを完全にゼロから構築している若いスタートアップ Perplexity はその恩恵を享受している。Aravind Srinivas 氏率いる同社は23日、Y Combinator の元 AI 責任者 Daniel Gross 氏がリードしたラウンドで6,270万米ドルの追加資金を調達したと発表した。わずか数カ月前、同社はシリーズ B ラウンドで7,400万米ドルを調達したばかりだった。
昨今、AI 企業がユニコーンになるのは驚くべきことではないが、興味深いのは、Perplexity が1年あまりで、しかも検索という Google が支配する分野でそれを成し遂げたことだ。Perplexity は、日本とドイツでの新たなパートナーシップによるグローバル展開と、AI を活用したナレッジディスカバリをワークフローに取り入れたいと考えている組織向けに特別に設計された新しい Enterprise Pro プランによって、この仕事を倍増させる計画だ。
23日発表されたブログポストで、Perplexity は、Zoom、HP、Databricks を含む複数の大手企業が新しい B2B プランを利用し、業務時間を数百時間節約していると述べている。
Perplexity は具体的に何を提供するのか?
Google や Microsoft が Gemini や GPT-4のような AI モデルで既存の検索製品を強化している今、Perplexity は完全にゼロから構築された AI ネイティブの検索エクスペリエンスで彼らに対抗しようとしている。
このスタートアップの「知識発見」プラットフォームは、ウェブインデックスと様々な AI モデルを組み合わせ、ユーザが持つ可能性のあるあらゆる質問に対して、関連する引用を含めた直接的な回答を提供する。
この体験は完全に会話形式であり、必要な情報のみが提供され、様々なリンク(広告やスポンサー記事を含む)をクリックしたり、回答を比較したり、情報を延々と探し続ける必要はない。これこそが、Perplexity が独自のセールスポイントとして繰り返し挙げてきたことであり、それはうまくいっているようだ。月額20米ドルの有料層を含むこの製品を立ち上げて以来、同社は月間1億6,900万件のクエリを提供するまでに積極的に成長したと主張している。
現在、新たな資本を手に入れた Perplexity は、次の段階に進み、企業向けの専用プランから始めて、より多くのユーザにサービスを提供しようとしている。
Srinivas 氏が X の投稿で説明したように、企業ユーザはデータとセキュリティの懸念から Perplexity の使用を制限されていた。
しかし、新しい Enterprise Pro プランは SOC2認証付きで、セキュアなシングルサインオン、ユーザ管理、新しいファイルのアップロードに関するアラート、7日間のクエリ削除など、強化されたプライバシーとセキュリティ機能により、これらの課題をすべて軽減する。
1シートあたり月額40米ドルまたは年額400米ドルのこのプランでは、アップロードされたデータや照会されたデータが、プラットフォームを動かす LLM のトレーニングに使用されないことも保証される、と同社はブログ記事で述べている。
We have many Perplexity users who tell us that their companies don't let them use it at work due to data and security concerns, but they really want to. To address this, we're excited to be launching Perplexity Enterprise Pro: Perplexity Pro comes with SOC2, SSO, user management,… pic.twitter.com/1vEyp62lq4
— Aravind Srinivas (@AravSrinivas) April 23, 2024
エンタープライズ層は発表されたばかりだが、Perplexity は特定の組織に早期アクセスを提供し、ワークフローでセキュアな AI 駆動型検索をどのように活用できるかを確認している。これには、Stripe、Zoom、Bridgewater、Snowflake、Cleveland Cavaliers、Universal McCann、Thrive Global、Databricks、Paytm、ElevenLabs、HP、Vercel、Replit といった大手企業が含まれる。
Databricks の CEO Ali Ghodsi 氏は、Perplexity のエンタープライズ層により、研究開発を加速させ、毎月約5,000時間の労働時間を削減することができたと述べている。
グローバル展開も進行中
エンタープライズプランはより多くのユーザを取り込むが、それは Perplexity のミッションの一部に過ぎない。Perplexity はその製品で世界進出を計画しており、それを実現するために日本のソフトバンクとドイツの Deutsche Telekom と提携している。
この提携により、Perplexity は AI 検索製品を、それぞれの市場で両社に関連する消費者や企業にマーケティング・販売することになる。
同社は次のように付け加えた。
モバイルとブロードバンドを合わせて3億3,500万人以上の顧客ベースを持つこれらのパートナーシップは、Perplexity のリーチを大幅に拡大する、
明らかに、Perplexity は AI ネイティブの検索製品に全力を注いでいる。Google と Microsoft が、この新しいユニコーンに対抗するため、それぞれの生成 AI 検索製品をどのように改良するのか、興味深いところだ。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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