リアル店舗のマーケ一元化&効率化SaaS「STOREPAD」運営、5.1億円をシリーズA調達——展開本格化、生成AI支援強化へ

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「STOREPAD」
Image credit: IXYAS

リアル店舗向けのマーケティング業務一元化・効率化 SaaS「STOREPAD」を開発・提供するイクシアスは30日、シリーズ A ラウンドで5.1億円を調達したと発表した。このラウンドは DNX Ventures がリードし、Spiral Ventures が参加した。

Spiral Ventures は以前のラウンドに続くフォローオン。今回の調達を受けて、累積調達額は6.7億円に達した。調達した資金は、STOREPAD のブラッシュアップと商品力強化、マーケティング施策の強化、営業チームの拡充など、積極的な事業拡大に向けた投資に充てられる。

同社は、以前リクルートホールディングスの CVC「RSI ファンド」でシニアヴァイスプレジデントを務めた内藤崇司氏により2022年4月に創業。創業以来これまで2年以上にわたり、ステルスで開発・営業展開を進めてきた。内藤氏は、STOREPAD について、製品の位置づけを次のように説明してくれた。

ここ数年でデジタル集客の重要媒体が増え続けており、店舗運営者にとっては管理が非常に手間がかかるようになってきた。STOREPAD はその課題を解決し、最新のデジタルマーケティング施策を簡単に実行できるようにすることを開発コンセプトに据えた。複雑化する集客媒体への対応を一元化し、店舗の悩みを根本解決する価値を提供したい。

内藤崇司氏

STOREPAD ではポータルサイト、Google マップ、SNS、業種特化サイトなど幅広い集客媒体への一括管理・分析が行える。主な機能は、店舗情報や販促投稿の一括管理、AI による口コミ返信文自動生成と業種別の口コミ分析、独自アンケート作成機能、多言語対応でのインバウンド施策支援などだ。生成 AI 活用による自動化や業種別の専門的な分析機能なども特徴的だ。

店舗向けのマーケティング効率化という観点では、Google マップへの表示や口コミを効率よく最適化できる MEO(マップエンジン最適化)ツールが数年前から見られた。しかし、生成 AI の登場でリアル店舗の検索も検索エンジンによるものからチャットボットを経由した検索へシフトするのは時間の問題で、より露出するための施策や戦略へ変わっていくだろう。イクシアスはそれらを包括的に支援しようとしている。

一般的に店舗向けの SaaS では、プロバイダ側の顧客獲得に要するパフォーマンスの観点からは、多店舗展開するブランドチェーンを主ターゲットにする傾向があるが、イクシアスは中小店舗への浸透も課題と考えており、低価格メニューの提供や運用代行サービスの充実にも注力する考えだ。国内500万事業所と推定される小売サービス業から顧客を獲得するために、価格の適正化が欠かせないと内藤氏は語った。

これまではステルスで運営してきたが、PR や宣伝は控えめだった。今回の調達を契機に、重点的にプロモーション活動を展開し、認知度向上を図りたい。広告や Web プロモーション、プレスリリース配信、メディアへの露出増加などを視野に入れている。短期的な売上最大化ではなく、中長期的に国民的サービスへと成長させることを目指している。

STOREPAD はこれまでに、「忍家」ブランドなどを展開するホリイフードサービス、「KICHIRI」ブランドなどを展開するきちりホールディングス、「ステーキとハンバーグのさる~ん」などを展開するサルーン、「赤から」ブランドなどを展開する甲羅など飲食店チェーンのほか、クリニック、レンタカー会社、ヘアサロンなどが導入している。

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