東大IPC、大学VC向けFoFを組成——東京都や東急不動産ら出資、最大100億円規模

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Image credit: UTokyo IPC

東京大学協創プラットフォーム開発(東大 IPC)は25日、「大学発スタートアップ等促進ファンド投資事業有限責任組合(通称 ASA ファンド)」を設立したと発表した。これは、東京都が昨年公募し、運営事業者(GP)に東大 IPC が選ばれたのを受けたものだ。大学発 VC にファンド・オブ・ファンズ(FoF)形式で出資し、大学スタートアップ・エコシステムの強化と世界展開を狙う。

このファンドには、東京都から50億円が拠出される。また、1st クローズ時点では民間から東急不動産が出資者(LP) に名を連ねていて、特定研究成果活用支援事業の認定ファンドとして、東京大学からも LP 出資する予定(財務省認可待ち)。今後さらに LP を募り、最終的に最大で100億円規模を目指す。

このファンドでは、大学に眠ると言われるディープテック分野の開拓に向け、東大 IPC がこれまで培ってきた投資ノウハウを最大限活用する。幅広い地域から大学発スタートアップを発掘し、事業化支援とともに新興 VC の組成支援にも注力する方針だ。

海外の大学や VC とも積極的に連携し、日本を「世界に伍するグローバル・ディープテック・スタートアップの創出拠点」に育成することを目指す。大学発の卓越した技術シーズを、事業化を経て世界市場に展開できるスタートアップへと成長させる狙いがある。

Image credit: Tokyo Metropolitan Government

大学系のファンドには、東大 IPC 以外に、東北大学ベンチャーパートナーズ(THVP)京都大学イノベーションキャピタル(京都 iCAP)大阪大学ベンチャーキャピタル(OUVC)などが存在する(大学自らが出資したもので、大学シーズに投資する民間 VC や TLO 系 VC は除外)。先月、北海道大学が VC の15th Rock と「北大 Green Frontier Fund」を設立すると明らかにしたのは記憶に新しい。

東大 IPC の株主は東京大学だ。東京大学は2004年の国立大学法人化以降、起業支援を全学的に展開してきた。今回の東大 IPC による新ファンド組成も、そうした大学の方針にも沿うものだ。

一方、東京都はここ数年、スタートアップ支援に力を入れている。今年1月には、電気通信大学 TLO(技術移転機関)のキャンパスクリエイトと連携し、大学発スタートアップ創出に向けた伴走支援を始めた。今回の連携はそうした取り組みを後押しするものとなる。

東大 IPC ではかねてから、ディープテック発掘型起業支援「1stRound」を展開しており、全国の17大学+2研究機関の共催体制で運営している。今年1月には海外展開を図り、日米間で双方向進出支援を開始した

昨年には、企業内チームの独立起業を支援する「カーブアウト支援プログラム」、研究者と起業志望の EIR(Entrepreneur in Residence)の共同創業を支援するコミュニティ「DeepTech Founders」など、アカデミアが関与する官民ファンドとして、個性のある起業支援プログラムを複数展開している。

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