輸出企業に朗報、外貨決済や送金のコストダウンと消込処理を効率化する「RemitAid」/KDDI ∞ Labo4月全体会レポ

小川裕大さん

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

RemitAidは海外企業との取引を決済で支援するクロスボーダー決済サービスを展開しています。内需がシュリンクする日本において、外貨の獲得は非常に重要なテーマです。実際に国としても農林水産省が2030年までに30億円の輸出を後押しする支援をしています。また、経産省は中小機構やジェトロと共同で中小企業1万社の輸出を支援する取り組みを行っています。

ただこうした企業が輸出をするときに、必ずぶつかる壁が高額な手数料です。具体的には海外送金の仕組みです。海外の企業からお金を受け取ろうとすると、中継銀行を挟んで取引が行われ、コストも非常に高く不明瞭、スピードも遅いなどの欠点がある仕組みが10年以上も変わっていません。

さらに企業側のオペレーションも複雑です。一般的に海外取引用のポータル画面もしくは銀行からの電話でどこからいくら入金があったのかという情報をExcelファイルで管理し、取引のチェックは目視で行われている状況です。これらの課題に対してRemitAidは決済のオペレーションコストを削減するソリューションを開発しました。

RemitAidが提供する価値は大きく分けて3つです。1つ目は従来の国際送金の仕組みを使わない決済サービスです。2つ目が情報の見える化を行い、入金確認の業務を効率化します。3つ目が決済における不要なプレイヤーを排除することで決済手数料を最適化することです。(小川さん)

RemitAidは大きく2つの決済手段を具体的なソリューションとして提供しています。まず、振込のソリューション。そしてデジタル決済のソリューションです。2つのうち、今後弊社のメインの決済となっていくのが海外振込サービス「海外ラクヤス振込」です。海外ラクヤス振込にはいくつかの特徴があります。

まず9つの国と地域において、RemitAidがアライアンスを組んでいる資金移動業者を活用し、海外に支社や拠点を持たなくても海外の口座を作ることができます。たとえばアメリカの企業と取引するときに、アメリカ側の企業は国内振込で、日本企業に支払いができるため、手数料や業務負荷を削減できます。

また、日本企業が海外企業と取引するとき、インボイスと口座の名義が異なるケースが多くありますが、取引はExcelの代替となる管理画面に反映されるため、振込元も一目瞭然で判別し突合・消込できます。今後は日本の金融機関との連携を拡大しながらサービスの幅を拡大していく展望です。

固定の月額、処理手数料、為替手数料をいただくビジネスモデルを採用しています。月間3,000万円の取引がある会社なら、理論値で30万円のコスト削減効果があることになります。現在は8社と契約していて、今後本格展開する計画です。マーケットサイズは約7,000億円と見ていますが、足元のデジタル決済と振込だけでも2,000億円以上の需要があると判断しています。(小川氏)

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