「チル消費」で地域活性化、KNT-CTが音楽マーケティングのグリッジと手掛ける未来創造事業

図中左から、グリッジ A&R/Marketing 添田愛氏、グリッジ 代表取締役 籔井健一氏、KNT-CTホールディングス 社長室 未来創造事業担当 チームリーダー 横須加真人氏

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

近畿日本ツーリストやクラブツーリズムなどを傘下に置くKNT-CTホールディングス(以下、KNT-CT)は、YouTubeでチル系の音楽を配信するグリッジと連携して、「チルして地域活性化」事業を開始。取り組みの第一歩として、チルに関連するモノ・コトを紹介するWebメディア「Chill+(チルプラス)」を開設しました。「チル」とはZ世代を中心にトレンドになった言葉で、「リラックスした状態」や「穏やかな気分」を意味します。日常生活や仕事のストレスから心身を解放したいというニーズから、チルに関連したさまざまな商品やイベントが誕生し、「チル消費」への注目は高まっています。

「チルして地域活性化」事業では、「チル消費」のトレンドやインバウンドをはじめとする旅行需要の高まりを受け、日本全国のチルなモノやコトをメディアで紹介することを通じ、地域活性化を目指します。

今回はKNT-CTとグリッジの両社からプロジェクトの担当者に、「チルして地域活性化」事業の成り立ちや、今後の展望について伺いました。

最初の連携はバスツアー

2020年、KNT-CTの横須加さんは、前所属の近畿日本ツーリストでアウトドアサウナを目的とした団体バスツアーを企画していました。ツアーで提供するコンテンツを模索する中、ツアーのスポンサーを務めていた日本コカ・コーラのリラクゼーションドリンクブランド「CHILL OUT」の担当者からグリッジを紹介されたといいます。

blockquote>チル系の音楽をライブ配信するYouTubeラジオ『Tone by Gridge』とのコラボは、ツアーの演出としてぴったりだと思いました。バスの車内やサウナイベントの会場でチル系の音楽を流すことで、参加者にサウナと音楽の融合体験を提供したことがグリッジさんとの最初の連携でした。(横須加氏)

当時、グリッジの籔井さんもKNT-CTと連携することで、新しい形で音楽を届けられると考えたそうです。

グリッジはYouTubeでチル系の音楽が聴けるチャンネル「Tone by Gridge」を運営しています。当時、KNT-CTという大きな顧客接点を持つ企業を紹介するBtoBtoCの形をとることで、それまでリーチできていなかった人にも、グリッジが提供しているチル系の音楽を聴いていただけると考えました。(籔井氏)

再び連携するワケ

2020年のコラボ以来、約4年ぶりに再びコラボするKNT-CTとグリッジ。その背景には、横須加さんがKNT-CTで立ち上げた新規事業があります。

「チルして地域活性化」事業は、世界中の人々のチルを後押しすることを通じた、地域活性化を目指しています。具体的には新たにメディアを立ち上げ、全国のチルな施設を紹介していきます。メディアで動画を通じて施設の魅力を紹介するにあたり、チルな雰囲気で著作権にも配慮された音源を使用したいと構想したとき、バスツアーでコラボしたグリッジさんを思い出しました。(横須加氏)

また今回のコラボでKNT-CTは、グリッジのチルな音源だけでなく、マーケティングのノウハウも活用していくといいます。

グリッジさんは、Instagramでのマーケティングも得意としています。新規メディアへの訪問者を増やす施策としてInstagramを検討していたため、音源とあわせてタッグを組んで事業を推進できるグリッジさんは唯一無二のパートナーだと確信しました。(横須加氏)

一方、グリッジの籔井さんも、「チルして地域活性化」事業との強烈なシナジーを感じたといいます。

チル系の音楽を配信して単に楽しんでもらうだけではなく、他にも活用できる道はないかとずっと模索してきました。そんな中、KNT-CTさんから新規メディアの立ち上げについて聞いたとき、グリッジの音楽配信事業や、InstagramやTikTokを活用したマーケティング事業、海外クリエイターとのコネクションなどを生かすことで、コンテンツの企画・制作から届けるところまで一貫してサポートできると考えました。(籔井氏)

また「チルして地域活性化」事業は、地域活性化だけではなく、海外に日本の魅力を発信することも目標のひとつに掲げています。

今回の新規事業では、チルなコンテンツの発信を通じ、地域や施設の魅力だけでなく、日本の魅力を世界に発信していくことも目指しています。その点で、グリッジの海外におけるリスナーやクリエイターとのネットワークも大きな強みになると確信しました。また旅にまつわるコンテンツも豊富に取り扱います。施設だけでなく、日本には自然や神社、景色によって移り変わる風景など、 全国には豊かなチルスポットがたくさんあります。 ピックアップした地域の「チル旅」を提案する特集記事を届けるなど、 自治体の方々ともタイアップして協力しながら、地域の魅力を発言していきたいです。(横須加氏)

予想以上の反響にローンチが遅延

「Chill+」は約50施設の掲載からスタートする予定でした。しかし、自治体や施設から予想以上に大きな反響があり、現在は120施設の掲載に向け、コンテンツ制作を進めているそうです。

「Chill+」サービスイメージ

「チルして地域活性化」事業でマーケティングを担当するグリッジの添田さんは、競合アカウントを徹底的に分析し、オリジナリティのあるコンテンツの制作をすることが重要だと語ります。

現地を訪れた人にしかわからないチルな雰囲気を、いかにコンテンツで表現できるかが重要です。マーケティングで使用するSNSには、カフェやサウナなどのチルな施設を紹介するアカウントも多数存在しています。どのように発信すれば高いオリジナリティで、他のSNSアカウントと差別化できるかについて、日々検討しています。(添田氏)

また「ユーザーを飽きさせないコンテンツ制作」にもこだわりを持って取り組んでいる添田さん。

紹介する施設とグリッジのチルな音楽の双方の魅力が引き出されるコンテンツを制作することが、我々の挑戦です。どのように組み合わせるのがベストなのかは言語化が難しいと感じています。そんな中でも、ターゲットとする層に対して伝えたいメッセージが適切に届いているかを検証しながら、独自の世界観をつくり出せるよう取り組んでいきたいです。(添田氏)

「Chill+」の成功は〝通過点〟

横須加さんは「Chill+」の成功を経て、「チルして地域活性化」事業をさらに加速させたいと意気込んでいます。

最初はメディアとしてスタートしますが、将来的にはチルに特化した商品を扱うマーケットプレイスや、メディア型の施設予約サイトに発展させたいと考えています。そのためにもメディアの成功を通じ、次なる投資資金を確保することが直近のミッションです。(横須加氏)

一方の籔井さんも、新規メディアの成功はあくまで通過点であるという共通認識で、プロジェクトを推進しているといいます。

新規事業の立ち上げで不確定要素も多いため、まずは数字や情報などのファクトをもとに進めることが重要です。KNT-CTの持つコネクションとグリッジのグローバルネットワークを掛け合わせ、日本の文化や音楽を世界に発信していきたいと考えています。また、コロナが終息し始め、外国人観光客が再び日本を訪れるようになってきた今、この取り組みがグローバルかつ地域密着型のアプローチとして機能することを目指しています。(籔井氏)

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