東大IPC、研究者と起業志望のEIRの共同創業を支援するコミュニティ「DeepTech Founders」をローンチ

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東大 IPC インキュベーションパートナー(Deep Tech Founders 創設者)の高岡淳二氏、パートナーの小澤彩織氏
Image credit: UTokyo IPC

東京大学協創プラットフォーム開発(東大 IPC)は8日、研究者と客員起業家(EIR)の共同創業を支援するプログラム「DeepTech Founders」をローンチした。このプログラムは、起業志望のEIRと経営人材を求める研究者を募集し、大学発スタートアップの成長に焦点を当てている。

大学発スタートアップの創出と育成が重要視され、研究開発と体制構築の支援が決定された。大学発スタートアップの成功には、創業前の「ゼロステージ」での研究者と起業家のチームビルディングが不可欠だ。東大 IPC ではNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「大学発スタートアップにおける経営人材確保支援事業」の採択を受け、今回のプログラムを立ち上げる。

このプログラムでは、EIR と事業化を目指す研究者を同時に募集し、EIR はシリアルアントレプレナー、スタートアップ CxO、ビジネスパーソンなど、起業家候補として有望な人材を選出する。東京大学の在籍や卒業は条件としない。また、研究者も国内外の大学や研究機関で社会課題を解決する技術の研究を行い、それらの技術を活用してスタートアップを立ち上げたい人を対象とする。

東大 IPC は、このプログラムを通じて、EIR の選出、チームビルディングの促進、資源の投入、エコシステムの構築などのサポートを提供する。プログラムの担当には、Draper Nexus(現 DNX USA)での EIR を経て、UsideU を創業・イグジット経験のある(2021年6月にヒト・コミュニケーションズが買収)高岡淳二氏(現在、東大 IPC インキュベートパートナー)らが担当する。

以前は、MBA を出た人とかピカピカのキャリアを持った人はスタートアップには向かないと思っていたこともあったが、そうではない風向きも出てきた。彼らが研究者とコラボしながら事業を立ち上げていくという流れが生まれてきているので、それを積極的に受けていこうじゃないか、というのが今回のプログラムだ。(高岡氏)

例えば、大学発の典型的なディープテックスタートアップの場合、それ特有の問題が生じることもある。研究室が持っていた技術シーズを元にするがゆえに、研究室の教授にどう関わってもらうか(あるいは関わってもらわないか)、プロダクトマーケットフィットは比較的理解できても 0→1 フェーズをどう進めるかなども、高岡氏を含む起業経験者らが次なる起業家を側面支援する。

東大 IPC が VC であることを考えると、やや利益相反する気がしないでもないが、起業家に起業当初から VC 調達に向けて動くことを積極的には進めないという。スタートアップにとっては、ある程度の事業が立ち上がり、PMF が完了できたフェーズくらいからの方が資金調達にも有利だ。どのタイミングで創業者がフルコミットすべきかや、VC 調達だけに頼らない資金計画なども含めアドバイスしていくという。

UsideU は非常に多様なバックグラウンドを持った人たちが集まって創業したが、それぞれ得意なところが違っていたので、相互補完ができたのは良い経験だった。いろんな人が集まったことで力が生まれるので自分は「Community Dynamics」と呼んでいるが、DeepTech Founders でも実現したいのがそれだ。(高岡氏)

東大 IPC では、全国13大学と連携したディープテック発掘型起業支援プログラム「1stRound」、人材支援「DEEPTECH DIVE」、また、これらの活動とあわせ、 オンラインコミュニティとして「IPC コミュニティ」を運営してきた。DeepTech Founders を含め、これらの仕組みを掛け合わすことで、ディープテックスタートアップの創出を加速させたい考えだ。

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