遺伝子検査の23andMe、製薬大手GSKにDB開放——先月にはハッカー攻撃で400万人超のデータ流出、安全性への懸念高まる

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Image credit: 23andMe

遺伝子検査キットで知られる23andMe が、製薬業界に新たな一歩を踏み出しました。同社は、消費者の遺伝子データへのアクセスを製薬会社に開放することを決定し、この分野での新たなビジネスモデルを提示しました。しかし、この決定は、プライバシーに対する懸念と、データの安全性に関する疑問を提起しています。

数週間前、ハッカーによる攻撃で400万人以上の23andMe ユーザのレコードが漏洩したことが報じられました。この事件は、個人データのセキュリティとプライバシーの問題を浮き彫りにし、多くの消費者とプライバシー擁護者を不安にさせました。

そんな中、23andMe は製薬会社との関係を強化する道を選び、イギリスの製薬大手 GSK との間で新たなデータライセンス契約を締結しました。この契約により、GSK(グラクソ・スミスクライン)は新薬の研究のために23andMe の遺伝子データベースを利用できるようになり、その対価として23andMe に2,000万米ドルを支払うことになります。

23andMe のデータベースは、1,400万人以上の顧客からの情報を含んでおり、家系や健康に関する情報を提供するだけでなく、科学研究においても大きな価値を持っています。顧客の約80%が研究目的でデータ共有に同意しており、これらの匿名化された DNA 情報は、疾患の原因を解明し、新たな治療法の開発に役立てられることが期待されています。

2006年に Linda Avey 氏、Paul Cusenza 氏、Anne Wojcicki 氏によって創設された23andMe は、消費者に遺伝子テストと解釈を提供することを目的としています。2007年には、Googleが390万米ドルを投資し、その後も多くの投資家から資金を集めてきました。現在、23andMe は Nasdaq に上場しており、そのビジネスモデルは消費者向け遺伝子検査から、製薬会社とのデータ共有にシフトしています。

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