生成AIでデマや偽情報を判定、クロフィーがファクトチェックAI「FactHunt」をローンチ

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生成 AI が文章を書き始め、ディープフェイクがあたかも現実であるかのような映像や画像を生み出す時代。どの情報が事実で、どの情報が捏造されたものかを見極めるのは、少々、骨の折れる作業になる。社会的に影響が大きい情報については、本当に事実かどうかを確かめる作業——ファクトチェック——をしてくれる NPO なども存在するが、基本的には、情報源や一次情報の確かさを一つ一つ調べていくという人海戦術に依存していて、そうした作業の煩雑さゆえ、多くの案件を確かめるということはできない。

テックジャーナリストでもある土橋克寿氏が2018年に創業したスタートアップのクロフィーは先ごろ、ファクトチェックの一連の操作を生成 AI を使って自動化するサービス「FactHunt」をローンチした。このサービスは、入力されたテキストの内容が事実か否かを判定し、根拠となる情報源の抜粋と判定理由を示すことができるソリューションだ。ユーザが課題となるテキストを入力すると、バックグラウンドでインターネット上の信頼できる複数の情報源からリアルタイムで関連情報を収集し分析、真偽判定をしてくれる。

試しにデモ版を使わせてもらった。バックグラウンドではリアルタイムでインターネット上に情報を取得しにいくため、問い合わせをしてから真偽判定が得られるまでに数十秒を要する。タスクの同時並行処理や負荷分散が実装されれば、この時間は改善されるだろう。「土橋氏は起業家か」と問い合わせると false が返ってきてしまい、「ジャーナリストか」と問い合わせると true が返ってきてしまう。期待される回答はどちらも true なのだが、この辺りは幾分、今後のチューニングが待たれるところだ。

クロフィーでは、ビジネス上で必要になる事実確認作業を当面のユースケースと想定していて、今のところ、Slack の機能拡張としてのみ機能するが、今後、Teams との連携や他のインターフェイスも進めるという。また、長文対応に向けたアップデート開発も進めていて、エッセイや論文、報告書などにも対応できるようにする予定だ。さらに、Word、Google Docs などのプラグイン搭載連携も視野に入れており、FactHunt の機能をシームレスに活用できれば、利用シーンが飛躍的に広がるだろう。

クロフィーは、これまでに ANOBAKA や10人以上の個人投資家から資金を調達している。当初は、記者向け業務効率化サービス「クロフィー」、広報担当者向け PR デジタル資産化サービス「MediaTouch」などを開発していたが、最近は、インタビューを元にした記事制作を支援する「インタビュー AI」や、今回取り上げた FactHunt など、複数の LLM やプロンプトを組み合わせ、ユーザ向けにインターフェイスを最適化した AI 関連サービスの開発に注力している。

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