レノボ・ジャパンが東大IPCと提携、スタートアップの立ち上げを支援する「Lenovo for start-ups」を開始

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左から:東大 IPC 1stRound ディレクターの⻑坂英樹氏、レノボ・ジャパン Head of Solution Business Development, Innovation & Transformation の中田竜太郎氏
Image credit: UTokyo IPC, Lenovo Japan

レノボ・ジャパンは29日、東京大学協創プラットフォーム開発(東大 IPC)と戦略的業務提携を締結し、スタートアップを支援するプログラム「Lenovo for start-ups」を開始すると発表した。創業間もないスタートアップの IT 基盤の導入・運用・管理の仕組み作りと IT インフラ・デバイスを支援する。

このプログラムをリードするのは、レノボ・ジャパンの中田竜太郎氏だ。中田氏は2022年にレノボに加わる前、三井物産でシリコンバレーに駐在し、現地のスタートアップやテクノロジー企業に接する機会が多く得た。その時の経験から、日本企業の90%以上が営業利益10%未満である現状をかんがみ、高付加価値産業を生み出す仕組みが必要だと痛感したという。

シリコンバレーでは、高付加価値産業はスタートアップエコシステムから生まれている。一方で、日本は GDP から見れば、ユニコーンが139社いないといけない状態なのに、実際には10社に満たない。そこに寄与する仕組みが必要だと考え、「Lenovo for start-ups」を立ち上げることにした。(中田氏)

東大 IPC は2019年から起業支援プログラム「1stRound」を運営。このプログラムでは、起業を目指す卒業生・教員・学生などのチーム、資金調達を実施していない大学関連のシードベンチャーに対し、各社最大1,000万円の活動資金、ハンズオン支援を6ヶ月間提供。採択チームはプログラムに毎回迎えられるパートナーから、PoC や協業の模索、事業化に向けてのリソース支援を受けられる。

今年3月には、1stRound に参加する大学が合計で13大学に達し、ディープテックスタートアップを発掘するための素地が整った。プログラム開始から4年を経て、ここからグロースステージへと進むスタートアップも増えてきた。中田氏は 1stRound の実績に加え、1stRound ディレクターの⻑坂英樹氏と親交があったことから、Lenovo for start-ups で東大 IPC と組むことにしたという。

Lenovo for start-ups の目的は、スタートアップに本業に投入するリソースを最大化してもらい、本業以外に投入するリソースを最小化してもらうこと。1stRound の実績を見てきて、きらりと輝くスタートアップは最もここから出てくると思った。PC で抜群のマーケットシェアを持つ我々が支援することで、スタートアップが勝てる確率を上げていきたい。(中田氏)

スタートアップには、本業以外で落とし穴もたくさんある。例えば、1stRound に採択されたスタートアップにはディープテックが多いが、彼らはコーポレート IT とか、情報管理とかに必ずしも長けていないこともある。組織が成長するフェーズにおいては、成長してみないとわからないことがあり、レノボの協力で、そういった知見を創業直後から提供できるのはメリットとして大きい。(長坂氏)

レノボ・ジャパンは昨年来、1stRound の採択チームに無料のセミナーやレノボのデバイスの特別オファーなどを提供してきた。創業した日からやるべきこと、事業への活用に合致したデバイスの提案、キャッシュアウトを抑制するためにサブスクなどを含めたデバイスの提供方法など、今後も必要に応じたフレームワークを提供していくという。

Lenovo for start-ups を最初に利用したのは、今年3月にβローンチした外国人就労者向けモバイルネオバンク「GIG-A(ギガー)」を運営する GIG-A だ。同社は日本在住のエストニア人起業家 Raul Allikivi 氏によるスタートアップで、6月に開催されたスタートアップカンファレンス「Takeoff Tokyo」のピッチコンペティションで優勝したことでも記憶に新しい。

レノボはグローバルな会社だが、今回のスタートアップ支援プログラムは日本市場独自のもので、他の地域で提供されている事例は確認できていない。先々週、Lenovo Group の CEO Yuanqing Yang(楊元慶)氏は、今後3年間で AI の開発と応用に10億米ドルを投資し、早ければ来年にも同社のスマートデバイスに AI のアップグレードを実装する見込みであることを明らかにしている。

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