あのAnttiが還ってきた——東京発・世界行きのスタートアップイベント&コミュニティ「Takeoff Tokyo」がテイクオフ

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25日、東京・渋谷で開催された Takeoff Tokyo のローンチパーティーで話す Antti Sonninen 氏
Image credit: Masaru Ikeda

※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから

あの男が還ってきた。国際カンファレンス「SLUSH TOKYO(当初は SLUSH ASIA)」の CEO、それ以前は Angry Birds で知られる Rovio Entertainment の日本カントリーマネージャーを務めた Antti Sonninen 氏だ(折しも Rovio Entertainment は先週、日本のセガサミーホルディングスによる買収が発表されたばかりだ)。Sonninen 氏は 2018年に CEO の座を後進の若い世代に譲り、その後は、企業の事業支援や Builders Weekend という国際ハッカソンイベントの運営に携わっていた。

6月8日〜9日の2日間、東京・天王洲で世界を目指す起業家向けピッチイベント「Takeoff Tokyo」が開催される。このイベントのオーガナイザーには、Sonninen 氏のほか、Sonninen 氏から SLUSH TOKYO の CEO の役を引き継いだ(当時)古川遥夏氏をはじめ、志を同じくする数名のメンバーが加わる予定だ。SLUSH TOKYO、そして、それが名前を変えた BARK (その後、コロナ禍で中止)に代わり、新たなスタートアップイベントが東京から動き始めることになる。

フィンランド出身の Sonninen 氏は2007年に東京大学への留学生として初来日。スタンフォード大学でのインストラクターを経て、その後 Rovio Entertainment のカントリーマネージャーとして来日を果たしたのが2012年のことだ。Sonninen 氏は約10年前と今の日本のスタートアップシーンを比べ、 「自分たちが実現したいと思っていたビジョンを、実現しやすい環境が整ってきたようだ」と語った。

25日、東京・渋谷で開催された Takeoff Tokyo のローンチパーティーで話す Antti Sonninen 氏
Image credit: Masaru Ikeda

海外のスタートアップの多くは、創業して早いうちから母国以外のロケーションにも進出していき、グローバル展開は日常のビジネスの延長線上にある。もちろん、外需依存の国と内需が大きい国では起業家のマインドセットも異なるが、それでも、日本のスタートアップだけが日本以外の国に出ていかないことは、Sonninen 氏の目には稀有に映っていたようだ。ただ、最近では特に Web3 のスタートアップシーンなどで状況が変化し、先々週の ETHGlobal Tokyo のように世界中から起業家や投資家が集まる動きも顕著になってきた。

Rovio Entertainment に関わって、フィンランドという北欧の小さな国から、世界一のプロジェクトが生まれたという、そのストーリーに感銘を受けたのを覚えている。

今では、日本発で世界一の事業やプロジェクトを作るといった挑戦は随分やりやすくなった。90年代の経済成長期は、日本は当時の日本のやり方でいいと思っていたかもしれない。通訳を連れて海外を訪問し視察から始める世界展開だ。しかし、このままじゃダメだと思う人は増えてきている。新しいチャレンジを促す環境も整い始めた。(Sonninen 氏)

日本にも世界にもスタートアップカンファレンスは数多くあるが、Takeoff Tokyo では特に、世界を目指そうとするスタートアップ、これは日本発だけにこだわるわけでもないようだが、目の前の課題としては、日本のスタートアップのグローバル展開を後押しする力になりたいようだ。グローバル展開のために必要な人材の確保、スキル向上といった課題を共有できるコミュニティの醸成に注力する。そんなコミュニティ活動のきっかけとなるのが、6月に東京で開催されるイベントだというわけだ。

25日、東京・渋谷で開催された Takeoff Tokyo のローンチパーティー。多くの人が集まった。 Image credit: Masaru Ikeda

日本はこれまでさまざまな知見を海外から輸入してきた。SLUSH ASIA や SLUSH TOKYO とて、言わば SLUSH という海外モノの輸入ローカライズ版だったわけだが、今回、Sonninen 氏が Takeoff という独自ブランドを打ち出した背景には、自分たちのブランドを世界に打ち出そうとする機運を自ら示したかった、という思いもあるようだ。イベントの運営もいずれ、オーガナイザー vs. オーディエンスというより、参加者一人一人がオーガナイザーになるような、コミュニティドリブンな形態を目指すようだ。

SLUSH ASIA や SLUSH TOKYO のオーガナイザーやボランティアからは、これまでに多くの起業家や起業家予備軍が生まれた。実際、BRIDGE でも SLUSH 出身者が創業したスタートアップのニュースを幾度となく取り上げてきた。彼らは今でも口々に「SLUSH ASIA(または SLUSH TOKYO)出身なんです」と誇らしげに言う。これは、国内外を問わず、他のスタートアップカンファレンス界隈ではあまり体験しない現象だ。Takeoff Tokyo がどんなコミュニティを醸成していくか、まずは6月のイベントを拝見してみたい。

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