タグ スタートアップPR

ナラティブなスタートアップたち:エンパワメントの力(1/2)

SHARE:

ナラティブなスタートアップたちはスタートアップPRのケーススタディを伝えるシリーズです。毎週金曜日の公開取材の内容を会員向けCanvasにまとめていきます。スタートアップの広報・PRに関わる方で話題をお持ちの方はこちらのDiscordにご参加ください スタートアップPRの強い武器「ナラティブ」 ここ2、3年、スタートアップPRの考え方にもナラティブというキーワードを耳にすることが増えました。一方、…

Photo by Jopwell from Pexels

ナラティブなスタートアップたちはスタートアップPRのケーススタディを伝えるシリーズです。毎週金曜日の公開取材の内容を会員向けCanvasにまとめていきます。スタートアップの広報・PRに関わる方で話題をお持ちの方はこちらのDiscordにご参加ください

スタートアップPRの強い武器「ナラティブ」

ここ2、3年、スタートアップPRの考え方にもナラティブというキーワードを耳にすることが増えました。一方、この言葉を説明すること、因数分解することは容易ではありません。

自分たちが「こうだ」と押し付けるのではなく、人々が共感して「こうなんだ」と自然と語りだす、このやさしい空気感のことを示すものなのですが、どうしても定性的な側面が強く、境界線は曖昧です。特に計画的な成長を求められるスタートアップにとっては変数が多すぎて扱いづらいものになります。

ただ実はこの「ナラティブ」、スタートアップには本質的に備わっている要素のひとつでもあります。正しく理解して日々のPR活動につなげることができれば、スタートアップにおける説明コストを劇的に下げる「魔法の言葉」になるかもしれません。私はこれこそ「認知ゼロ」のスタートアップのPR活動において最も重要な要素になると考えています。

本稿では「参加できるBRIDGE」の一環として開設したDiscordのコミュニティに参加してくれたスタートアップPR・広報の方々の力を借りて、このケーススタディをまとめてみることにしました。

ここで語られているスタートアップは存在意義が明確であり、かつ、プロダクトが革新的(もしくは人と企業にやさしい)であり、人々が語りたくなる物語を生み出す存在でもあります。

では最初のケーススタディからご紹介していきましょう。

エンパワメント

と、その前にひとつ、スタートアップをナラティブたらしめる要素としてエンパワメントの活動を挙げさせてください。なお、ナラティブについて体系的に理解したいという方は、戦略PRなどで知られる本田哲也さんが「ナラティブカンパニー(東洋経済新報社)」をここ最近上梓されているので、そちらをご一読いただくとより理解が深まると思います。

さて、このナラティブカンパニー。人々が語りたいと思わせるスタートアップの事例として次のようなものがあります。

  • メルカリやフリル(現在のラクマ)、BASEやSTORESは個人や小さな事業者のデジタル化を進めた
  • CAMPFIREやREADYFOR、Makuakeは資金集めの民主化を支援した
  • 食べチョクはコロナ禍で打撃を受けた産地を駆け巡った

もちろんまだまだ沢山あります。共通するのはどれもインターネットの力を使って小さな力を集め、困った人たちをエンパワメントした、ということです。特にこのコロナ禍においては困った人たちが世に溢れました。

CAMPFIREとKDDIは協力してクラウドファンディングの手数料を徹底的にゼロ円にしました。通常、決済にかかる手数料は代行会社に支払うコストの部分なので、実質的に持ち出し分まで負担した形です。食べチョクを創業したビビッドガーデンの秋元里奈さんは毎日のように打撃を受けた産地の方々に寄り添って息をするかの如くツイートしています。

これらの物語は今も現在進行形で続いています。

彼らはスタートアップとして、どちらかというと支援されるべき小さな対象です。その人たちが声を上げて困った人たちの代弁者となり声をあげる姿には多くの共感が生まれ、行動につながります。ナラティブはこうした彼らの活動をきっかけとして生まれる「語りたくなる空気」のような存在なのです。

そして重要なのはそのエンパワメントの活動が自分たちのミッションやビジョン(ナラティブの教科書的に言うとパーパス)と合致し、かつ、プロダクトがそこに連動することになります。つまり、人々をエンパワメントする活動そのものが声を生み、評判を広げ、プロダクトが躍進する源泉ともなるのです。単なる寄付などの支援活動とは異なる点でもあります。

では、ここからエンパワメントをキーワードに、スタートアップPRの文脈でケーススタディや考察をお伝えしていきたいと思います。最初に取り上げるのは10Xの福利厚生「10X Benefits」です。(後半につづく)

ストーリーを語る力

SHARE:

本稿はPR TIMES STORYからの転載(原文はこちら) スタートアップが物語を語る理由、それは彼らに空気を変える不思議な力があるからです。 参考記事:旅が復活しても、もう違うものになるーーAirbnb「共同創業者からの手紙」が大切にしたもの 例えば新型コロナウィルスで大打撃を被ったAirbnbの共同創業者、Brian Chesky氏の手紙は一読の価値があります。シェアリング・エコノミーの申し…

airbnb
Airbnb共同創業者、Brian Chesky氏が従業員にあてた公開メッセージ「A Message from Co-Founder and CEO Brian Chesky」

本稿はPR TIMES STORYからの転載(原文はこちら)

スタートアップが物語を語る理由、それは彼らに空気を変える不思議な力があるからです。

例えば新型コロナウィルスで大打撃を被ったAirbnbの共同創業者、Brian Chesky氏の手紙は一読の価値があります。シェアリング・エコノミーの申し子として常にトップを走り続けた彼らにとって、レイオフはこの企業が積み上げてきたカルチャーの毀損に他なりません。株式の公開というマイルストーンから一転、彼らは大変難しいコミュニケーションを迫られたわけです。

しかし、少なくとも私は現時点でAirbnbの未来を悲観するような気持ちにはなれません。逆にこれだけの逆境でしっかりと資金を確保し、事業としての再起を約束した上で、まだ前向きな気持ちにさせることができたのは、やはりChesky氏の言葉に力があったからだろうなと思うわけです。

起業家の言葉には、人の心を動かす力がある。これをどう活かすべきか。ーー今日、その答えとしてサービスをひとつリリースいたします。

スタートアップを伝え続ける方法

story
今日公開となったPR TIMES STORY

PR TIMES STORYの仕組みや経緯については公式発表のプレスリリースや、プロジェクトメンバーが書いたそれぞれストーリーをぜひご覧いただくとして、私はこれからのスタートアップを伝えるために必要な「物語の力」、特にそれを起業家がナラティブに語ることの重要性について共有させていただければと思っております。

思えばBRIDGEは前身のStartupDatingから数えると、もう10年近く運営しています。ご存知の方々にとっては、スタートアップ村の広報誌ぐらいには知っていただけるようにはなった一方、編集部が独立した形で持続できているのは、一昨年に事業運営を譲渡させていただいたPR TIMES社のバックアップがあったからです。そこからの2年間は「どうやってこの仕組みを継続的なものにするか」、それを考える日々でした。

中でも注目したのが起業家自身が持つ「語る力」です。私たちはここ数年、BRIDGEを通じてこの起業家の語る力に関連して、様々な取り組みを実施させていただきました。

前述したChesky氏のような言葉には、絶対に第三者では伝えられない「力」があるのです。

創業者には「ナラティブ」という武器がある

visional
Visional(ビジョナル)が物流業界に新規参入する理由より

ではナラティブに伝える力はどういうものか。BRIDGEにも数多くの「起業家自身が語る物語」がありました。ここ最近で力強い一本がこちらです。

南壮一郎さんはご存知の通り、ダイレクトリクルーティングの代名詞になったビズリーチの創業者です。実は同社は昨年末あたりから大きな組織変更、そしてこちらのPOSTにもある通り、事業拡大に向けての買収と活動の幅を大きく広げているところでした。

第三者としてこの話題を取り上げる時、通常であればニュースやインタビューなどがよくある方法です。場合によって彼らの過去を遡って、考察をすることもできたかもしれません。

しかし私がこの件で最も大事だと考えたのは南さん自身の言葉でした。

僕は新規事業を立ち上げるのが大好きです。事業こそが世の中を変革するキードライバーであると思っています。事業を通じて起こしたムーブメントにより、社会の変革に貢献できることこそが、自分の仕事の本分なのです。

世の中には時価総額ランキングのようなものが溢れています。ユニコーンという言葉そのものを否定するつもりはありません。しかしそのゲームに埋もれて見えにくくなっている本当に必要なもの、それはやはり言葉に力を持っている人しか語れないものです。

言葉には責任が伴います。だからこそ、この言葉の見極めこそが起業家を探し出す、重要な鍵になるのだと私は信じています。

POSTからSTORYへ

スタートアップ・ストーリーの重要性については、これまでにも随分と活動し、またお伝えしてきました。昨年11月にはリニューアルと同時にスタートアップ自らが物語を掲載できる「POST」という仕組みや、それに関するワークショップ、パートナーシップなどについて公表させていただいています。

現在、POSTには150本ほどのストーリーが掲載されていて、それぞれ私たちの第三者視点では語れない、裏側のお話やノウハウなどが綴られています。今後はPR TIMES STORYに掲載されたストーリーがこちらのPOSTに掲載(※)されるようになります。

新しい10年は、誰もが思いもよらない感染症という災害で幕を開けました。向こう数年は有象無象のスタートアップたちが、自分こそが世界を変えることのできる存在だと声を上げることになると思います。

その真贋はどこにあるのか。

ぜひ、起業家のみなさまにはその揺るぎない信念を言葉にし、その物語で人々に感動を与え、社会を動かしていただきたいと思います。BRIDGEやSTORYもまた、そのお手伝いができるよう、精一杯頑張りたいと思います。

※自動転載ではなく編集部によるピックアップによって掲載を予定しております

想いを伝える「夢のあるプレスリリース」の書き方と、大切にしたい“3つの視点”

SHARE:

PR TIMESでは、企業・団体・個人の内に秘められた「夢」を発信するプロジェクト「April Dream」を、2020年4月1日のエイプリルフールにスタートします。 4月1日を、嘘(フール)ではなく夢(ドリーム)を語る日に。 ジョークで笑いを誘うエイプリルフールをやめて、大風呂敷を広げて「夢」を語る日にするための本企画。大きな成功や活躍の第一歩は、夢物語から始まるものです。夢のあるプレスリリース…

PR TIMESでは、企業・団体・個人の内に秘められた「夢」を発信するプロジェクト「April Dream」を、2020年4月1日のエイプリルフールにスタートします。

4月1日を、嘘(フール)ではなく夢(ドリーム)を語る日に。

ジョークで笑いを誘うエイプリルフールをやめて、大風呂敷を広げて「夢」を語る日にするための本企画。大きな成功や活躍の第一歩は、夢物語から始まるものです。夢のあるプレスリリースは人々を明るい気持ちにさせ、社会に希望の光をもたらせると私たちは信じています。

PR TIMES MAGAZINE編集部では、この企画と連動して「大きな夢を広報PRで語る」特集しています。特集の第一回目では、夢のあるプレスリリースがなぜ必要なのか、企画の裏にある思いをお届けしました。

第二回目となる今回は、「夢のあるプレスリリースの書き方のコツ」をお届けします。

企画に参加する企業様はもちろん、興味があるけど書けるかどうかわからないという方も、ぜひ参考にしてみて「夢のあるプレスリリース」に挑戦してみてください!

夢のあるプレスリリースとは

そもそも夢のあるプレスリリースとはどのようなものなのでしょうか。通常、企業の一次情報として配信されるプレスリリースは、情報を端的に伝えることが目的とされています。情報を求めるメディアや生活者に向け、自社の商品・サービスがどのような価値をもたらすのか、わかりやすく書く必要があります。

そのため「夢」というと、少し抽象的で、本来のプレスリリースの概念や定義から外れてしまうように感じるかもしれません。しかし、企業の活動はすべて自社のミッションやビジョン、スローガンなど、何かしらの「夢」に基づいているはず。

目的を実現すべく仲間と共に歩む中で、何かを成し遂げたいと強く願ったり信念を抱いたりしたことを、事実や根拠がなくとも語ってみる、というのがPR TIMESの考える「夢のあるリリース」です。

夢のあるプレスリリースの書き方

では、早速プレスリリースを書いていきましょう。流れに沿って説明します。

STEP1:ミッションやビジョンを考える

夢のあるプレスリリースの作成に入る前に、まずは「夢の種」となるミッションやビジョンなどを咀嚼しましょう。「ミッションが実現できたとき何を成しているのか」「目指すビジョンはどのような世界観なのか」を言語化してみることから始めます。

経営理念はもちろん、スローガンやコンセプトなども「夢の種」にあたります。「自分たちは何のための企業なのか」と存在意義を改めて考え、成し遂げたいことを大きく描いたり、そのためのプロセスとして取り組むことを具体化するのも良いかもしれません。

そうして導き出した「理想の世の中の状態」に、少しウィットや遊びの要素を取り入れてみてはいかがでしょうか?「April Dream」なら、ちょっと難しいかな?と思えるようなことでも、大風呂敷を広げて宣言してしまって良いのです。

「社会課題の解決」や「生活者のベネフィット」を意識して、世の中をどのような状態にしたいのかを考えていきます。

STEP2:タイトルを作る

考えた「夢」を、プレスリリースのタイトルにしていきます。

「社会をこうしたい」という夢が叶った未来を、April Dreamとして発信しましょう。「◯◯を可能にします」「◯◯を発売します」「◯◯を開発します」など、具体的な世の中の状態がイメージできるタイトルを掲げることが大切です。

これまでの世の中を振り返り、社会問題や流行がどう変化してきたかを見ることが、考えるヒントになります。自社(もしくは同じ市場のサービス)の過去と現在を比べて、進化を追ってみるのも良いですね。

タイトルは、プレスリリースの主旨を伝える最も重要なパート。具体的な表現にすることに気をつけ、50文字前後で書くのがおすすめです。

STEP3:リード文・本文を作る

タイトルが固まったら、続いてリード文・本文を作成していきます。

リード文の冒頭には必ず、「※これはApril Dreamのプレスリリースです」と注釈を入れましょう。その上で、達成した #AprilDream の内容を2〜3行で簡潔にまとめます。製品・サービス・アクションの内容と、社会や生活者に与えるメリットなどが対象です。

本文には、リード文に記載した内容の詳細を言葉にしていきます。April Dreamのプレスリリースなので、普段以上に世の中の背景や、どのような世界を実現したいかを記載しても良いかもしれません。

「夢」に込めた熱い想いが伝わるように、文章は丁寧すぎなくても構いません。普段のプレスリリースほど堅くならず、素直な言葉をぶつけていきましょう。

自社の掲げる「夢」が叶ったとき、どのような状態になっていてほしいのか、利用シーンや細かい情報も盛り込むとイメージが湧きやすくなります。

STEP4:結びを作成し、最終確認

末文にはApril Dreamを達成するために、自社でどのような取り組みを行っているのかを記載し、2020年現在の自社の姿を書きましょう。

最後に、April Dreamを見直し、以下の要素をクリアしているか今一度確認しましょう。

  • 将来の実現を見据えた夢か
  • 数値目標ではなく、社会や生活者に対して好影響を与えるものか
  • リリースに触れた読者がイメージできるほどの具体性があるか
  • 他社にはない、自社だけのオリジナリティはあるか

プレスリリースで掲げた「夢」がどんなに壮大なものであっても、それに向かう活動は必ず読み手に届きます。企業の存在意義がはっきりと世の中に示せる内容になっているか、確かめてみましょう。

STEP5:配信準備をする

想いを言語化し、形にしていくことは慣れている人にとっても難しい作業です。ぜひその想いの詰まったプレスリリースを、世の中に発信してください。

PR TIMESを介してApril Dreamを発表する場合は、PR TIMESへ企業登録を行い、4月1日の日付で予約配信を完了していただきます。予約配信は、配信予定時刻の30分前まで登録が可能ですが、なるべく余裕をもって登録しましょう。配信日が4月1日になっていれば、時間は自由に設定していただけます

April Dreamに参画する企業は、予約配信が完了したことと合わせてプレスリリースタイトルを元にした30文字前後のコピーを事務局へ連絡すると、専用のキービジュアルをご用意いたします。このキービジュアルをメイン画像に設定いただくことが参加条件になりますのて、自社で適切な画像を用意することができなくても、気軽に企画に参加していただけます!

詳しくは、本記事下部にある、April Dream企画の詳細をご覧ください。

さらに夢が膨らむ3つの視点

みなさん渾身の「夢のあるプレスリリース」をさらにもう一段上のものにするための3つの視点をご紹介します。

ポイント1:社会課題の視点を意識する

通常のプレスリリースでもそうですが、「社会課題の解決につながっているか」というのは最も大切なポイントです。

企業の活動は、何かしらの課題解決に繋がっているはずです。世の中をどうしたいのか、生活者にどんなベネフィットを与えたいのかを意識した内容にしてみましょう。社会にどのような好影響をもたらすのか考え、それを具体的かつわかりやすいことばで伝えることは、共感されるプレスリリースの基本です。

ポイント2:発信者の意図が伝わるようにする

発信者である企業が何を想ってその企画をするに至ったのか、「なぜ?」の部分を明確にしましょう。

どんなにユニークでウィットに富んだプレスリリースでも、あなたの企業が発信している意図がわからなければスルーされてしまいます。「誰が言うか」がますます重要になってきている世の中において、発信者の意図は大きなインパクトを持ちます。

その意味では、文章内に「人間味」を散りばめることもおすすめです。代表や創業者のストーリーと結びつけたり、ユーザーさんの声を取り入れたりするのも、良いかもしれません。

ポイント3:リリースの背景に時間軸を取り入れる

ストーリーを語るにあたり、時間軸を意識してみることもよいでしょう。自社の沿革をなぞってみたり、社会に起きてきた変化を追ってみたりすることで、抽象的だった「夢」がより立体的に膨らんでいきます。

今となっては当たり前のことも、かつては誰かの「夢」だったのかもしれません。逆に言えば、April Dream企画で描いた「夢」が、いつかの未来に「現実」になることも、十分にありえることなのです。過去・現在・未来に想いを馳せて、自社と社会のこれからの関係性を捉え直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

まとめ

日々の情報発信においても、「夢」のある発信を心がけることは大切です。しかし、普段は機会がなかったり気恥ずかしかったりして、堂々と「夢」を語るのはなかなか難しいですよね。

そのきっかけとして、4月1日は絶好の機会です。本稿で紹介した「書き方のコツ」を参考に、ぜひ一緒に夢を語ってみませんか?

PR TIMESはこのApril Dreamプロジェクトを通して、エイプリルフールの発信文化に変革を起こしたいと考えています。そのためには、一社一団体でも多くの皆様に「夢」を発信いただくことが必要です。皆様のご参画を心よりお待ちしています。

皆さまの「夢」をお待ちしてます

「April Dream」プロジェクト
募集期間 : 2020年3月18日(水)~ 4月1日(水)
対象者  :「PR TIMES」を利用して2020年4月1日(月)0:00〜23:59に”夢”を配信いただく 企業・団体
参加特典 :「April Dream」対象プレスリリースは配信無料
申込URL :https://prtimes.jp/aprildream/

鍵は「屋外広告」一気に拡大したBrexの #スタートアップPR 戦略を紐解く

SHARE:

ピックアップ: AdQuick raises $6M to conquer an advertising market Google and Facebook won’t ニュースサマリー: OOH(Out-Of-Home)広告のマーケットプレイス「AdQuick」は2月14日、Initialized Capitalがリードを務めたシリーズAラウンド600万ドルの資金調達を行なったと発表した。Wn…

Screen Shot 2020-02-22 at 2.05.16 AM
Image Credit: Brex

ピックアップ: AdQuick raises $6M to conquer an advertising market Google and Facebook won’t

ニュースサマリー: OOH(Out-Of-Home)広告のマーケットプレイス「AdQuick」は2月14日、Initialized Capitalがリードを務めたシリーズAラウンド600万ドルの資金調達を行なったと発表した。WndrCo、Shrug Capital、Work Life Ventures、The Todd&Rahul Angel Fundらも参加した。累計調達額は940万ドルを達成した。

AdQuickは、自社が所有する屋外広告スペースをレンタルするビジネスではない。広告スペースの所有者と購入者を結び付け、購入の手数料を受け取るマーケットプレイスモデルを採用。また、従来のオンライン広告同様に、広告効果を測定できるツールを導入。AdQuickが活用しているターゲットは、昨年米国内で未使用になったと推定される全OOH広告スペースの30〜35%に当たる箇所だ。

昨今では不動産スタートアップ「ZeroDown」や、クレジットカードスタートアップ「Brex」が屋外広告キャンペーンを大々的に展開。大半の企業がGoogleやFacebook広告を展開する中、広告チャネルの差別化が一切図れなくなった。そこで再注目されている屋外広告に着目したのがAdQuickである。

man beside woman billboard
Photo by VisionPic .net on Pexels.com

話題のポイント: 屋外広告の価値の再評価が始まっています。

最たる例がAppleによる「Shot on an iPhone」キャンペーンでしょう。みなさんも駅構内の至る所で見かけたことがあるはずです。同社は多額のキャンペーン費用を支払っており、世界中の都市で展開。伝統的な屋外広告枠に独自のアプローチを採用しています。

2017年のAdWeekの調査によると、OOH広告市場における上位100利用企業の約25%はハイテク企業とのこと。Google、Facebook、Apple、Snapchat、Twitterが代表的です。自社プラットフォームでデジタル広告を展開できる企業らが、オフライン広告に多額の費用を支払っている点は皮肉なことかもしれませんね。

さて、OOH広告への投資は、スタートアップも積極的に行なっています。Venmo、Jet.com、Oscar、Casper、Percolateなどのハイテクスタートアップはすべて、ニューヨークを中心に広告展開をしています。

それではなぜ、テック企業らは屋外広告に注目するのでしょうか。

Peter Thielも投資したクレカスタートアップ「Brex」の事例

Screen Shot 2020-02-22 at 2.00.23 AM
Image Credit: Brex

スタートアップ事例ではBrexが昨今の代表ユースケース。同社は著名投資家Peter Thiel氏も投資するスタートアップ向けクレジットカードを提供する企業です。ここからはHow Brex Is Building the Startup Marketing Playbook (Beyond The Billboards)の記事を参考に、同社の広告戦略を紹介します。

Brexは当時22歳と23歳であったHenrique Dubugras氏とPedro Franceschi氏によって創業されます。Brexは非常にユニークかつ積極的なPR戦略でステークホルダー獲得に乗り出します。ローンチ前には潜在顧客獲得のために1,000人以上の外国人起業家にLinkedInにコンタクト、立ち上げ初期から投資家デックをプレスに提供、イベント登壇で情報発信、そして30万ドルの屋外広告展開をしかけています。

元々、Brexは初期顧客100名を獲得するまで1年間ステルスで活動。アイデア検証に時間コストをそれなりに費やしていたため、ローンチ直後に爆発的な獲得成長数を望んでいました。そのため、あらゆるインパクトあるマーケティング・プロモーション施策を打つ必要性があったのです。

Brexのマーケティング戦略は、リターゲティング軸で展開されます。

Brexはオンライン広告を認知拡大と顧客獲得の場と位置付けています。まず、YouTube広告などでブランド広告を展開します。何度かテストを繰り返したのちにデモグラフィックデータを収集。その後、自社サイトでコンテンツを展開し、潜在顧客の自然流入を待ちます。最終的には訪問ユーザーをトラッキングして、有料広告でリターゲティングを展開します。顧客がサインアップしたら口コミに持っていくことで、低コストな顧客獲得を目指します。

「顧客データのサーチ」「コンテンツ展開」「有料広告」「顧客獲得」「口コミ」の5ステップの順で展開されたのがBrexのマーケティング戦略です。これをループのようにぐるぐる回して顧客獲得を目指しました。広告費用のペイバックピリオドは6カ月分以内(粗利益で回収する)と定めていたようです。

people walking near buildings during night time
Photo by Lukas Hartmann on Pexels.com

興味深いのが「コンテンツ展開」のステップ。スタートアップに資金はありません。そこで投資家デック公開からイベント出演に至るまで、オンラインのみならず、オフラインコンテンツの積極発信に至るのです。こうした接点から「Brex」「スタートアップ」「クレジットカード」など、どれか1つでもオンラインキーワード検索をして、引っかかった顧客を半年以内に引き抜いたのです。

調達額が増えてきた段階で、サンフランシスコ地域を中心に30万ドル規模の屋外広告キャンペーンを打ちます。起業家があふれる街であるため、屋外広告に載せるキーワードも自ずと限られてきます。オンライン広告で収集したデモグラフィックデータと組み合わせて最適な広告板をデザイン。先ほどと同じく特定キーワード検索を1つでもした潜在顧客獲得に走ります。

もちろん、屋外広告はブランド認知の側面も高いのですが、Brexの場合はROI(費用対効果)は非常にポジティブなもののようです。一貫したリターゲティング戦略で上手くオフライン展開が働いている証左でしょう。

全方位からコンテンツ展開を行い、スタートアップが持ち得る全ての「コンテンツ資産」を棚卸し、オンラインでのサインアップに持っていく流れがBrexの戦略。その一貫として屋外広告が活用され、ブランド認知から顧客獲得まで効率的に展開しています。

スタートアップPRの本質、「雰囲気作り」を最大化

pexels-photo-3153201
Photo by Canva Studio on Pexels.com

Brexのプロダクト自体がスタートアップに特化しているもののため、シリコンバレーのような起業家の集まる地域にターゲットを絞れます。そのため、地域性と相性の良い屋外広告には打ってつけです。ただ、最も見習うべき重要な点は、BRIDGEのスタートアップPRでも述べてきた、「雰囲気作り」だと感じます。

<参考記事>

筆者は昨年1月にサンフランシスコを訪れていた際、現地の起業家さん何人かと会いましたが、特に若手起業家であれば(特に昔から使っているカードがなければ)Brex一択という雰囲気を強く感じました。「起業家のクレカ = Brex」の流れができていたのです。

まさにバイラルができていたのがBrex。ここに至るまでに初期投資を戦略的かつ、ある程度のコストは惜しまずに展開したのが同社の実績です。

巧みな雰囲気醸成を行えた理由は3つ挙げられると考えます。1つはオンライン広告最適化。自社プロダクトがどこに一番刺さるのかをデータドリブンに探り、マーケティングの基軸となる層に向けて徹底的にアプローチします。世界中でスタートアップ × クレジットカードの文脈に興味のある地域を絞り込みます。

2つ目はナラティブ(語りかけ)です。イベントや投資デックから徹底的に直接ストーリーを投げかけます。顧客に近い場所へ趣き、プロダクトの有用性を解くことで、Brexカードを好きになり・積極的にレビューを発信してくれるインフルエンサー・コミュニティを着実に積み上げていきます。

この点は以前ご紹介したSuperhumanの戦略と似ています。インフルエンサーは自らの体験の語り部となる、スタートアップPRにおいては重要な媒体となりえます。ちなみに1つ目のオンラインデータから、イベント都市先の選定もしていたのかも知れません。

<参考記事>

advertisements architecture billboards broadway
Photo by Marcus Herzberg on Pexels.com

ここまでで顧客獲得導線と口コミバイラルが完成しているように思えますが、最終的に主要都市に丸ごと「Brexを利用しよう!」という雰囲気作りに動きました。それが3つ目の屋外広告なのです。

無意識のうちに、いつでも目に飛び込んでくるプロダクトメッセージ。日常の中に溶け込むように、各都市の風土に最適化されたキーワードを訴求することで、オンライン広告や口コミの社会的信用性を向上させるのが屋外広告です。口コミ紹介をされた際、「これ見たことあるよね」のような話の流れに持っていくことができるのは屋外広告の最大の強みでしょう。

また、広告の内容もいわゆる宣伝っぽいものではなく、「配車サービスを使えばリワードが7倍」のような利用体験であったり、「3カ月でスタートアップへのキャッシュバック総額1億ドル」といったコミュニティ感を訴求しています。なるべくターゲット顧客の日常行動に変化をもたらしたり、同じ起業家層が使っているから見逃せないといった良い意味での焦りを生み出しています。

スタートアップPRでは単純なプロダクト内容を宣伝しても効果は薄い印象です。顧客に行動変化を起こしたり、自分が所属するコミュニティで使われている雰囲気作りが大切になります。Brexはこうした点で優れたPR思考を持ち合わせ、オンラインとオフラインの両軸を上手く回すオムニチャネル的な戦略展開に秀でていたと感じます。

今では配車サービスに屋外広告を出稿できるプラットフォーム「Firefly」なども登場。街中で屋外広告を多く見受けられる機会が増えました。事実、OOH市場は堅調に伸びており、Statistaのデータによると2020年の世界市場規模は約400億ドル。よりマクロ視点からターゲット顧客にサインアップを促す大きな力を持っており、プロダクト購買に迷っている人の背中を押す屋外広告の重要性は徐々に上がってきそうです。

“空気を変えるPR”がスタートアップを躍進させるーー戦略PRの本田氏、ベクトルと新プロジェクト

SHARE:

ニュースサマリ:戦略PRを手掛ける本田事務所と総合PR会社ベクトルグループ(東証:6058)は2月12日、共同でPR人材データベース事業を開始すると発表した。 名称は「SCALE Powered by PR(以下、SCALE)」。多面的にPR(パブリックリレーションズ)戦略を手掛けることのできる、主にフリーランスや副業の人材を育成し、必要な企業とマッチングするサービスを展開する。3月2日より企業向…

Screenshot 2020-02-12 at 11.49.23

ニュースサマリ:戦略PRを手掛ける本田事務所と総合PR会社ベクトルグループ(東証:6058)は2月12日、共同でPR人材データベース事業を開始すると発表した。

名称は「SCALE Powered by PR(以下、SCALE)」。多面的にPR(パブリックリレーションズ)戦略を手掛けることのできる、主にフリーランスや副業の人材を育成し、必要な企業とマッチングするサービスを展開する。3月2日より企業向けに登録人材の紹介を開始するほか、登録者向けに育成を手掛けるスクール「SCALE アカデミー」の4月開講も計画している。開始時点でのPRパーソン登録者数は100名程度を予定。

なお、企業側の人材マッチングは成果報酬型になる予定だが、フリーランスや副業などに対応するため、詳しい契約形態(業務委託等)については今後詳細が公開される見通し。現時点での登録には人材、企業共にサイトの専用フォームから問い合わせが必要。スクールについては無償提供する。

話題のポイント:個人的にかなりアツい話題です。

IMGP0035 (1)
写真:取材に応じてくれた本田事務所、代表取締役/PRストラテジストの本田哲也氏

戦略PRの本田哲也さんがスタートアップ(と中小企業)向けのPRパーソン育成・マッチング事業を開始されます。役割的には「本田事務所がソフト、ハードはベクトルという分担」(本田氏)ということで、合弁設立とかではなく現状ではあくまでプロジェクトの模様。本田さんについては書籍を読んでいただくのが手っ取り早いですが、“空気の変化”を生み出す、魔法使いみたいなPRパーソンです。

※ちなみに情報開示ですが、ベクトルグループはBRIDGEの運営会社、PR TIMESの主要株主でもあります。が、まあ、私の記事読んでる人であれば分かると思いますが、頼まれて書いてるわけではありません。本当にお伝えしたくて書いています。

さておき、大切なポイントはとにかくこれ、「PRパーソンのモノサシができた」ことです。

スタートアップにPRが必要な理由と課題

スタートアップになぜPRが重要なのか。この点についてはこれまでにも考察を重ねてきました。一言で言うなら「知らない会社には入りたくない」。スタートアップの勝負は「組織・人」に集約されるといって過言でない中、ここの説明コストを効率化すれば相当の利益になる、というシンプルな考え方です。

そこで出てくるのが「広報・PR」という手法です。しかし残念ながらここについては、開発やマーケなどと異なり、あまり言語化・フレームワーク化が進んでいません。私もここ1年近く、勉強会等を通じて数百人規模で経営者やPRパーソンたちと意見交換しましたが、認識のズレは相当あると感じています。

なぜか。広報・PRパーソンのレギュレーションが曖昧だからです。変な話ですが、私が名刺に「PR専門家」と書いてそれっぽい話をすれば、そういう仕事ができてしまうのです。そこで本田さんたちが取り組んだのが「SCALE PR CONPETENCY」、つまりPRパーソンに必要なモノサシを作った、というわけです。

PRパーソンに必要な技術ってなに?

84511567_649878692425460_1644739923363758080_n
PRパーソンに求められるコンピテンシー(提供:SCALE)

PR先進国である欧米では、優れたPRパーソンの要件(コンピテンシー:行動特性)が決まっているそうです。日本でも広報人材のスクールや講座はありますが、多くはパブリシティなどの広報技術が中心で、こういったPRパーソンに必要な行動指針のようなものは存在していませんでした。具体的には図にあるマトリックスがそれです。

それぞれの詳細は割愛しますが、特にスタートアップPRに重要なのが「ナラティブ力」です。この件についてはこちらの記事に前後編で書きました。

<参考記事>

スタートアップ経営者における広報PRでよくある勘違いに、メディア露出と話題づくりが役割(テクニック)であって、それ以上でもそれ以下でもない、というものがあります。

違います。PRは明確に経営戦略です。例えばここ2年で成長しているスタートアップのひとつに「AI先生」で躍進したatama plusさんがあります。彼らのカルチャー戦略で重要な技術がまさに「PR」なのです。

<参考記事>

経営戦略上重要なPRパーソンをスコアリング(得意・不得意など)することができれば、企業とのミスマッチも減ります。このあたりについてはもっと書きたいのですが長くなるので、実際にスコアが動き出したときに考察してみたいと思います。

college_mercari_002
写真:メルカリPRグループマネージャーの矢嶋聡氏(筆者撮影)

ちなみに「本田塾」とも言える育成スクールの講師陣にもスタートアップ、テクノロジー系ベンチャーにゆかりある顔ぶれが入っています。サイバーエージェントの上村嗣美さんは30名ほどだった同社の企業広報を経営陣といっしょに立ち上げてきた、CA広報の顔的存在です。本誌でも度々話題にするメルカリの矢嶋聡さんは、参加こそ上場前後ですが、同社のPRを組織的な仕組みに変えた立役者のひとりです。

<参考記事>

無償提供ですが、さすがにこれは企業広報やPR会社などで一定の経験を積んだ人たち向けのプロ養成スクールになりそうです(まだ内容がはっきりわかっていないのであくまで印象です)。

チラチラとみえる死角

と、ここまで期待値の高さを書きましたが、もちろん死角がないわけではありません。一番の懸念点は企業側がこの重要性に気がつくかどうか、です。

正直言います。本件自体の説明コストはめちゃ高いです。

くり返しになりますが、スタートアップ(や小さな企業)の広報・PRに対する期待の多くは「露出」です。しかし冒頭に書いたとおり、本来、スタートアップの経営者が目指すべきは「説明コストの削減」であって露出はその手段のひとつでしかありません。

この点について本田さんにお聞きしたところ、地味ではありますが、やはり啓蒙活動の積み重ねが必要との認識でした。ここの空気感を変えられるのか、日本を代表するPRパーソンとPRエージェンシーの力量に期待しています。

また、ビジネスモデルも気になる点があります。

広報PRの仕事は経営企画に近い場所で、特にスタートアップのような成長過程の企業でそこまでチームが大きくなるケースはあまりありません。つまり経験者数の不足は避けられないため、流動性についてはやや気になります。

また、コンサルティングに近い領域ですから、先日上場承認を受けたビザスクのような時間単位での提供モデルがあってもよさそうです。プロジェクト単位での依頼も可能ということですが、この点はスコアによるマッチング精度が鍵になるかな、と。

ということで本件については引き続き、サービスインなどのタイミングで情報(特にPRに関するノウハウ)をお伝えしたいと思います。

スタートアップの「認知変化」を生むストーリーづくり、その方法(後半)

SHARE:

続きです。前回はスタートアップにとって認知変化(パーセプションチェンジ)がPR戦略において重要ということをお伝えしました。世の中の雰囲気が自分たちの思い描くビジョンの方に流れてくれれば、あとは用意した新しい体験の勝負に持っていけるからです。 手法としてプロダクトの磨き込み(体験向上)やイベント(ファン育成)、ストーリー(話題づくり)を挙げました。本稿ではちょっと理解しにくい話題づくりについて整理し…

pexels-photo-273222
Photo by Pixabay on Pexels.com

続きです。前回はスタートアップにとって認知変化(パーセプションチェンジ)がPR戦略において重要ということをお伝えしました。世の中の雰囲気が自分たちの思い描くビジョンの方に流れてくれれば、あとは用意した新しい体験の勝負に持っていけるからです。

手法としてプロダクトの磨き込み(体験向上)やイベント(ファン育成)、ストーリー(話題づくり)を挙げました。本稿ではちょっと理解しにくい話題づくりについて整理してみます。

宣伝はもうお腹いっぱい

スタートアップにおけるストーリーとは「社会の認知と目指すべきビジョンのギャップを埋める物語」という定義です。前回の例で言及した「電話でタクシーからスマホでUber」の物語は、決済と行き先を事前に済ませておけば移動という体験がすごく気持ちよくなる、というものでした。

82374866_10221980039356874_3762143072121520128_o-1-768x574-1

では、こういった体験を人々にどうやって伝えるのがよいでしょうか。

創業期のメルカリは取材時、サービス自体の説明をしたことはほとんどありませんでした(後発で「フリマアプリ」というキラーワードの開発が終わっていたことも要因です)。それよりも「すぐ売れる」という体験や、「これから世の中、もったいないことはしたくない」という社会の変化を伝えていました。また、ダウンロード数などを積極的に開示することで「みんなが使ってる」という雰囲気を作り出したのも彼らが上手だった点だと思います。

<参考記事>

今、私は取材する側としていろいろなサービスの売り込みをお聞きしますが、多くの場合、自分たちのソリューションを語って、社会とのギャップについて言及されることはあまりありません。あったとしてもすごく長くて難しかったり、世の中のトレンドとズレていたりすることが多いです。

ソリューションが溢れ出した今の時代、ここの言語化が非常に重要になっているのです。

ストーリーをどう作るか

本題です。これまでPOSTで実際に起業家のみなさんと一緒にストーリーを作ってみて気がついたポイントはいくつかあります。

コンテンツとして(1)社会の変化を伝える(2)構造を紐解く(3)違った一面を見せる、あたりが重要です。次に書き方としては(1)140文字に意味を入れる(2)自分で語る(ナラティブ)(3)Why・What・Howを語る。逆に良くないパターンとしては(1)定性的(2)宣伝(3)長い、という特徴が挙げられます。

(1)社会の変化を伝える

image1
「中国ソーシャルコマースの衝撃ーー「インスタ+Amazon」“RED”(小紅書)攻略法」

特に日本はそうですが、東京都内で一歩外に出ればコンビニがある、異常なまでに便利な社会になっています。ソリューションが溢れ、広告宣伝に晒される中、人々はそれを使う理由を求めていると感じます。

例えば「新宿のたこ焼き屋がFAX発注をデジタル化できたワケ、344兆円市場の“商機”とは」という記事では、もう誰も使ってないと思われてるFAXが未だ現役の業界でその独特の「理由」を実例踏まえて伝えています。変わりたいけど変われない、だから自分たちの存在意義がある、というメッセージです。

「なぜ人はスニーカーに熱狂するのかーートレードする若者、スーツを着なくなった40代」も同様に、話題になっているスニーカーの個人間売買がなぜ成立しているのか、そこにある世代間ギャップをうまく事例として紹介してくれました。

こういったストーリーは引き出しのひとつです。彼らはイベントやメディア露出の機会にソリューションではなく、こういった空気の変化を伝えることができるのでより多くの視点を観衆に与えることができるようになります。

(2)構造を伝える

典型的なHow to記事ですが、ここをしっかりと押さえることでそれぞれの業界のリーダーシップ認知を取ることができます(興味ある方は「ソートリーダーシップ」で検索してみてください)。最近の起業家YouTuberやTwitterランドでオピニオン出してる方の中にもいらっしゃるかもしれません。

「EXITというドラマ、起業家と投資家はどこで衝突するのか」「起業アイデアの見つけ方「3つのパターン」」「創業期に「従業員」は採用しなくていい」などは普段、裏方である投資家の認知を広げるストーリーづくりとして王道の手段です。メジャー媒体での寄稿連載や書籍出版をされる方も多い分野です。

あまりない情報テーマを見つけるのも重要です。例えば「中国ソーシャルコマースの衝撃ーー「インスタ+Amazon」“RED”(小紅書)攻略法」では、日本語どころか英語にもあまり出ていない、ローカル情報を紐解いています。言語に閉じている情報(もちろん日本から英語もありません)は実は狙い目だったりします。

(3)違った一面を見せる

persona-1024x537
「atama plusは最初の100人を熱狂させるプロダクトをどうつくった」

ストーリー関連で私がよくお伝えしているアドバイスに「3つぐらいの顔を作る」というものがあります。王道のソリューション、業界のオピニオン、これに加えてもう一つの顔、です。

例えば「VCを卒業して「介護」という課題に挑戦した理由」では、介護サービスにチャレンジする起業家の挑戦過程を伝えていますが、彼は元々、ベンチャーキャピタルで働いていた経歴を持っていたのですね。このストーリーを作るにあたり、当初はその件について触れていなかったのですが、私にとっても意外な一面だったので、ぜひということでエピソードを追加してもらいました。

また教育関連やAIといった文脈で語られることの多いatama plusさんが投稿したPOST「atama plusは最初の100人を熱狂させるプロダクトをどうつくった」では、開発手法を公開することで組織カルチャーの作り方を表現されています。これも違った一面です。

こういった「社内にある無数の情報資産」を社内広聴し、時々のトレンドに合わせて自由自在に出し入れできる広報・PRチームはやはり強いと思わされます。

効率的なコンテンツ制作の手法を整理する

最後にアウトプット方法について少し整理しておきます。アウトプットは私たち日々、コンテンツを作る側の人でも得手不得手があります。特にスタートアップ・ストーリーとして作る場合のポイントとして(1)140文字に意味を入れる(2)自分で語る(ナラティブ)(3)Why・What・Howを語るを記しておきます。

140文字はご存知の通り、Twitterで投稿できる最大の文字数です。特に日本語は情報量が多いので、この文字数でしっかりとした意味を伝える訓練をすれば文章が筋肉質になります。意識したいのが一文一意で、この小さい塊にしっかりとした意味を加え、140文字に整理し、それを積み上げることで2000文字〜3000文字(スマホで読む時の適量)のコンテンツが作りやすくなります。

あとナラティブも最近の傾向として重要です。ソーシャルが発達した結果、嘘のつきづらい世の中になりました。創業者や経営陣が説明責任を負って真摯に語る方が、第三者視点よりも信用される時代に入っていると感じます。最後の(3)Why・What・Howは(1)の一文一意とあわせて大切で、文章に構成を作る時の羅針盤にするとよいです。

これらは各社スタイルがあると思うのでそれぞれの方法を整理しておくと便利です。

#スタートアップPR で大切な戦略「認知変化」とは何か(前半)

SHARE:

スタートアップにPRが大切、だけど何から考えればよいか分からない、という方(特に経営者層)が一定数いらっしゃいます。 昨年、BRIDGEではリニューアル時にPOSTというスタートアップのためのストーリー配信のプロジェクトを立ち上げ、パートナー(ジェネシア・ベンチャーズさん、サイバーエージェント・キャピタルさん)の支援先各社と一緒に取り組みを実施してきました。 <参考記事> ニュースレターの購読 注…

pexels-photo-2433164
Photo by Artem Beliaikin on Pexels.com

スタートアップにPRが大切、だけど何から考えればよいか分からない、という方(特に経営者層)が一定数いらっしゃいます。

昨年、BRIDGEではリニューアル時にPOSTというスタートアップのためのストーリー配信のプロジェクトを立ち上げ、パートナー(ジェネシア・ベンチャーズさん、サイバーエージェント・キャピタルさん)の支援先各社と一緒に取り組みを実施してきました。

<参考記事>

本稿ではそこで得られた知見を元に、スタートアップPRで大切な「認知変化」について、その手法のひとつであるストーリーづくりとあわせてみなさんに共有してみたいと思います(前後編)。

世界を変える、とは何か

PR(パブリック・リレーションズ)の基本的な戦略として認知変化を起こし、行動変化につなげる、というものがあります。いわゆる「世界を変える」と表現されるものです。

例えばここ10年で起こった行動変化に「電話でタクシーからスマホでUber」があります。10年前は電話で配車していたのが、今はスマホで来てもらって、行き先も決済も全て完了している、という体験の変化です。特にアジア圏で英語すら通じづらい場所では、行き先まで指定できてさらに現金がいらない、という体験は一度経験すると元に戻れなくなります。

スタートアップというのはこの行動変化を目指している企業、と言い換えることができるかもしれません。一方で、この行動変化にまでつなげることができた企業というのは、スタートアップした企業の数に比較すればそこまで多くありません。なぜか。

ここで大切な考え方に認知変化、というものがあります。

認知変化(パーセプションチェンジ)とは

戦略PRで有名な本田哲也さんの著書にもある図を参考に、スタートアップにおける認知変化の位置付けを示したのが次の図です。

82374866_10221980039356874_3762143072121520128_o

三角形の一番上、ゴールの行動変化は「スマホでUber」です。こうなれば勝手にユーザーは使ってくれるし、事業会社は向こうから提携の連絡をしてきてくれます。投資家のみなさんは席についた瞬間「あなたのこと知ってますよ」と言ってくれるハズです。

ここに至るにはその手前にある「認知変化」という段階が必要になります。人々(ステージによってコミュニティの大きさは変化します)が認識を変えてくれる、という「空気感」のことです。

前述の戦略PRの本で有名なエピソードとして洗剤のお話が出てきます。従来白く洗い上げるのが価値だったのに、ある日、白くても雑菌があるという調査リリースが話題になった結果、洗剤の価値が「白」から「除菌」に移ったというものです。わかりやすい空気の変化です。

除菌以前の洗剤が「白ければいい」と思われていたのと同じように、電話でタクシー呼んで別に不便じゃないと思っている方は、いつまでたってもスマホでUberを使ってはくれません。この空気を変える話題づくり、これこそが非常に重要なPR戦略になってくるのです。

もちろん広告や営業で認知ギャップをゴリゴリと解消していくのも一つの手かもしれませんが、少ないリソースで戦わなければならないスタートアップにとって、この空気を変える一手が重要かどうかは明白です。

そしてこれこそがPRパーソンやチームの手腕の見せ所になるのです。

スタートアップが社会の認知を変える方法

Screenshot 2020-02-06 at 13.07.56
ナラティブなストーリーづくりは認知変化に役立つ(起業家によるPOST)

ではどうしたらいいか。

予算が限られている、時間がない、人手が少ない、失敗があまり許されない、、等々の諸条件を抱えるスタートアップが取れる戦略は限られています。

  • 積み上げが効く(小さく刻める)
  • みんなでできる(プロの手を最小限に)
  • 一石二鳥(売上や獲得に貢献する)

これらのポイントを元に手法を整理すると次のようなやり方が出てきます。そんなに多くありません。

  • プロダクト:製品の体験が最高のPRツール
  • イベント:営業から勉強会まであらゆるF2Fのファンづくり
  • ストーリー:自分たちの見え方を変える話題づくり

プロダクトがどうしようもないのにパブリシティ(宣伝)を最大化させても穴の空いたバケツです。一方で、完成されたプロダクトが最初からある例なんてありません。実際、メルカリは最初、出品できてもお金が下ろせないシロモノでした。しかしとにかくすぐに売れる、という体験が気持ちよく、またたく間に広がっていきました。

ファンを取り込む活動が認知を変える上で非常に重要です。私たちのような専業媒体もそうですが、世の中にはマイクロインフルエンサーと呼ばれる人たちが増えてきました。こういった人たちをファンに取り込み、同心円状に認知を変える活動を仕掛けていくと積み上げが効きます。

最後のストーリーづくりですが、これについてはPOSTで実際に投稿してもらった話題を参考に、後半で具体的なコツなどをまとめてみたいと思います。

小さなストーリーの時代がやってくる

SHARE:

後数時間で2019年、もっと言うと2010年代が終わります。 今年を振り返り、スタートアップシーンを取材する側として気がついたことのひとつに「ストーリーテリングの力」があります。サービスや商品がコモディティ化し、差別化が難しくなった現代において物語による巻き込みは長らく王道のPR手法です。 それがスタートアップシーンにもやってきた、ということは言い換えれば、このイノベーションの最先端においても差別…

IMGP5302.jpg
色々あって幻になったBASE5周年記事のカット

後数時間で2019年、もっと言うと2010年代が終わります。

今年を振り返り、スタートアップシーンを取材する側として気がついたことのひとつに「ストーリーテリングの力」があります。サービスや商品がコモディティ化し、差別化が難しくなった現代において物語による巻き込みは長らく王道のPR手法です。

それがスタートアップシーンにもやってきた、ということは言い換えれば、このイノベーションの最先端においても差別化が難しくなりつつある、ということの裏返しです。もうちょっと言うと差別化だけでなく、あまりにも複雑になったテクノロジーの言語化がさらに困難になっているという側面もあるのです。

当たり前ですが聞こえのよい偽りのストーリーで消費者を欺くということではありません。強い起業家というのは元来、物語を持っているものです。それを言語化し「それの何が世界を変えるのか」を表現する。分かりにくくなりつつある境界線を、共に戦う仲間や消費者に正しく届けることが重要なのです。

<参考記事>

11月にBRIDGEはリニューアルに合わせてPOSTというプロジェクトを立ち上げました。起業家が自分の言葉で世界を物語化し、小さなストーリーを重ねる。一人称でありながら宣伝に終わらず、共感を得られる情報とする。これらの取り組みを通じ、この重要性が来年以降も続くであろうことを確信しました。

来年以降もスタートアップに寄り添った情報の提供のあり方を考えて、コミュニティに貢献していきたいと思います。

と、ここでひとつストーリーに関してお知らせを。2014年の春から36回に渡って連載し、2017年末で休載していた「隠れたキーマンを調べるお」を復活させることにしました。スタートアップにとって組織や経営陣の重要性が高まる中、シーズン2として再開する調べるおにぜひご期待ください。以下はEast Venturesフェローで、連載を担当してもらっている大柴貴紀さんからのメッセージです。

以下、大柴さんのコメント。

「隠れたキーマンを調べるお」の更新が滞って一年が経ってしまっていた2018年末、平野さんから「平成も終わるので、一旦締めましょう」と連絡がありました。たしかに一旦締めるのもアリだなと思い、2回に渡る「完結編」を書いてちょうど一年です。

久しぶりに平野さんから連絡をもらって会った日のこと。

「今年はどんな一年でしたか?」と聞かれて考えたんですが、やはりEast Ventures(以下、EV)加入直後から担当していたBASEの上場が一番大きなトピックだったように思います。

EVに加入してもうすぐで丸6年が経ちます。20代前半のメンバーが試行錯誤してサービスを運営していたBASEは、今や100人を超える社員数を誇り、そして東証マザーズへ上場しました。その成長過程を近くから見ることができたのは、僕にとっても大きな経験になりましたし、とても感謝しています。

2014年春。あの頃はフードデリバリー事業をやっていて、自らも配達員として駆け回っていた堀江(裕介・dely代表取締役)くん、当時EVのインターンで、直後にアメリカに渡り起業した内藤(聡・Anyplace創業者CEO)くん。6年が経ち、みんなとてつもなく成長してるし、成功への第一歩を築きつつあります。

そんな起業家達の日々のストーリーを見ることができるのは楽しいし、彼らがステップアップしていくのは素直に嬉しいです。

しかし、彼らが一番すごいのは「継続する力」だと思ってます。経営は楽しいことや嬉しいことだけではありません。苦しいことや悲しいことの方が多いかもしれない。そんな毎日を粛々と耐え、改善し、成長に繋げていく。その「継続力」に僕は敬意を払っています。

そして同時に、この起業家の「長旅」に寄りそう同伴者は必ずいます。楽しいときも苦しいときも起業家に寄りそい、共に乗り越える同伴者。その同伴者は得てして表に出てきません。やはり僕はその「同伴者」にスポットを当てたいし、それを望む声も地味に多いのです。

平野さんから「また何かやりましょう」と言われた際、いくつかのアイデアは浮かんだんですが、やっぱり「それならば『隠れたキーマン』を再開するのがよい気がします」と伝えました。

ということで、約2年のブランクを経て、2020年『隠れたキーマン』再開します!

2020年もBRIDGEをどうぞよろしくお願いします!

広報自ら率先して活動、背中で「らしさ」見せた:#スタートアップPR ベスト事例(5)スマイルズ【リレー】

SHARE:

年末企画としてスタートしたスタートアップのPR事例を称揚する「スタートアップPRベスト」。前回のプレイドで広報を担当されている櫻井友希代さんからご推薦いただいたのは「SoupStock Tokyo」やネクタイ専門店「giraff」などでおなじみのスマイルズさんです。 と、ここで残念なお知らせが。本企画は「外部のリスク資本を受けて積極的に成長を求める」、いわゆるスタートアップが対象だったため、ここで…

年末企画としてスタートしたスタートアップのPR事例を称揚する「スタートアップPRベスト」。前回のプレイドで広報を担当されている櫻井友希代さんからご推薦いただいたのは「SoupStock Tokyo」やネクタイ専門店「giraff」などでおなじみのスマイルズさんです。

と、ここで残念なお知らせが。本企画は「外部のリスク資本を受けて積極的に成長を求める」、いわゆるスタートアップが対象だったため、ここでバトンは終了となります。

<参考記事>

ただ櫻井さんの知見でスマイルズさんの素晴らしい活動を知ることは、スタートアップPRでも大いに役立つはずですので、推薦のコメントをこちらに掲載させていただきます。

櫻井友希代さんの推薦理由:バトンが最後なので「番外編」として推薦のコメント掲載させていただきます。

なぜ私がスマイルズさんを推薦したのかというと、コンサルティング事業を含めた社内外の業態開発が活発で次々と事業やブランドが生まれており、スタートアップのいわゆる「第二創業期」にも近い環境ではないかと想像しているからです。

2017年春、自社の複業解禁の気運や流れを“社長も複業の時代!?”というタイトルとともに「プレスリリース先行」で作り出したという話を聞いたのが、スマイルズさんに注目するきっかけでした。プレスリリースを出すことによって働き方文脈での取材や講演会の機会を創出、既成事実化し、社内を巻き込むというのはある種の「力技」で、経営だけでなく各事業部や社員と、日頃の信頼関係があるからこそできる仕事だと思います。

2019-12-19 17.54.17
働き方改革や社員の複業について時流が盛り上がった2017年、たくさんのメディアに露出したスマイルズの新サービス

また、スマイルズさんの今年の動きに関しては、2つ印象に残っています。一つは、創業時からスマイルズを牽引してきた遠山社長というカリスマ性のあるファウンダーに続き、クリエイティブディレクターの野崎亙さんの登壇や出版などの露出が増えたことです。

強いカルチャーを持つ企業では、社長以外の人物を立たせることがなかなか難しかったりもしますが、野崎さんが手がけられた「文喫」や「100本のスプーン」(リブランディング)などのヒットを上手に活用し、露出を増やされています。このように会社の「顔」となる社員を増やす動きは、スタートアップが第二創業期に移行した際の広報としても非常に参考になると思います。

2019-12-17 15.05.59
コドモたちとつくる公園プロジェクト

今年印象に残った2つ目が、「100本のスプーン」というスマイルズ流の「ファミレス」業態があざみ野で行った「コドモたちとつくる公園プロジェクト」でした。

こちらは当初、「公園を作る」という目的に向かって社外の設計事務所とともに事業部内でプロジェクトが動いていたそうですが、概要を聞いた広報チームが「もっと100本のスプーンとしてやる意義を作りにいきたい、プロセス自体にそれを組み込めないだろうか」と考えて現場と議論し、結果的にプロジェクト自体のオーナーシップを広報が持って進めたそうです。

「なんか違う、うちらしくない」と横から口を出すのは簡単です。そして、人も事業も増え企業が成長していく中で、「プレイドらしさ」「スマイルズらしさ」など、その企業やブランド「らしさ」を保ち、企業の振る舞いに浸透させていくのはなかなか難しいことです。

「コドモたちとつくる公園プロジェクト」は、そのアウトプット自体ももちろん素敵でしたが、広報自ら率先して動き、社員に対して背中で「らしさ」見せたというプロセスにも共感し、たくさん学ばせていただきました。

ーーーーー

ということで、広報チームのリーダーシップが印象に残ったスマイルズさんがスタートアップPRのベスト事例「番外編」となりました。

いかがだったでしょうか。

スタートアップPRの重要性は最初の記事で書いた通りです。どの事例もそうですが、一方的なパブリシティ活動の最大化で評価されている企業はひとつもありません。ニュースバリューが弱く、メディアリレーションズ一辺倒の戦略では前進できない点を、さまざまなチャネル、コミュニケーションアイデア、社員協力体制を組んで突破されています。

スタートアップPR活動について悩みを持つ経営者、担当者のみなさんにとって参考になれば幸いです。

ミッションに紐づいた言語化が「全員PR」を促進:#スタートアップPR ベスト事例(4)プレイド(KARTE)【リレー】

SHARE:

年末企画としてスタートしたスタートアップのPR事例を称揚する「スタートアップPRベスト」。前回のピースオブケイクでPRを担当されている森本愛さんからご推薦いただいたのは顧客体験プラットフォーム「KARTE」を展開されているプレイドさんです。森本さんはどの活動に心を動かされたのでしょうか? <参考記事> 感情をぶつけた表現が感動に繋がる: #スタートアップPR ベスト事例(1)ミラティブ【リレー】 …

image3.png
話題となったissue採用

年末企画としてスタートしたスタートアップのPR事例を称揚する「スタートアップPRベスト」。前回のピースオブケイクでPRを担当されている森本愛さんからご推薦いただいたのは顧客体験プラットフォーム「KARTE」を展開されているプレイドさんです。森本さんはどの活動に心を動かされたのでしょうか?

<参考記事>

森本愛さんの推薦理由:プレスリリースやオウンドメディアでの発信、あらたな採用手法、大型カンファレンス。プレイドは情報発信の量が多いことはもちろんですが、すべてがミッションとひもづけられて当事者の言葉で伝えている点がすばらしいと感じました。

資金調達やオフィスの移転、ロゴの変更といった成長期のスタートアップであれば、かならず通る道も「お知らせ」にとどまるのではなく、自分たちの考え方やこだわりを伝える格好のチャンスにされています。資金調達では代表インタビュー、ロゴ変更ではデザイナー自身の言葉で、丁寧に発信されていました。

<参考記事>

「KARTE」の特徴である「拡張性」も、”完成しない”がコンセプトのオフィス移転やissue採用の取り組みで体現され、かつきちんと言語化されています。いつもネーミングも絶妙だなぁとうなっています。いいネーミングはひとりでに歩きだしてくれるので、大事なポイントですよね。

<参考記事>

PRだけでなく、さまざまな職種の社員が自分ごととして発信している姿から、社内が一丸となっていることがうかがえます。土台がきちんと固まっていないうちに社外への発信だけを増やしても意味がないので、プロダクトのよさ、社内のコミュニケーションを磨き上げることが大切だと改めて教わりました。

ほかにも大型カンファレンスの「CX DIVE」や紙で発刊している「XDマガジン」。いずれも自社の短期的な利益には直結しないものの、長期的にCXの概念を引き上げていく、業界自体の地位を上げていく施策です。これらへの投資は大きなチャレンジだと思いますが、目指しているものが明確だからこそ、すべてのコミュニケーションに一貫性があるのだと感じます。

ーーーーー

ということで、ミッションに紐づいた言語化でPRを促進させたプレイドさんがスタートアップPRのベスト事例、4件目となりました。そして次はなんと最終回。このプレイドさんで広報を担当されている櫻井友希代さんからご推薦をいただいたスマイルズさんにバトンをお渡しいたします。