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Takashi Fuke

Takashi Fuke

海外ピックアップ/コラム記事を担当。AR/小売/ヘルスケア/不動産/フィンテック系を中心に2C向けサービスが好きです。Twitter : @takashifuke

執筆記事

Googleがついに銀行業参入ーー激化するGAFA勢の争い、勝ち筋はどこに

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ピックアップ: Google Pay to offer checking accounts through Citi, Stanford Federal ニュースサマリー:Googleの親会社「Alphabet」が銀行業に参入する。 米国の大手銀行系列「Citigroup」とスタンフォード大学が有する小規模信用組合と提携して、Google Payを通じて利用できる個人向け当座預金口座を提供するもの…

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ピックアップ: Google Pay to offer checking accounts through Citi, Stanford Federal

ニュースサマリー:Googleの親会社「Alphabet」が銀行業に参入する。

米国の大手銀行系列「Citigroup」とスタンフォード大学が有する小規模信用組合と提携して、Google Payを通じて利用できる個人向け当座預金口座を提供するもので、Reutersが11月13日に報じた。同プロジェクト名は「Cache」と称される。サービス立ち上げ時期は伝えられていないが、詳報は数カ月以内にリリースされるという。

今回の動きはGAFA内の競合であるFacebook決済サービス「Facebook Pay」立ち上げや、Appleがゴールドマンサックスと提携して発行するクレジットカード「Apple Card」に対抗したものと思われる。オンライン決済から銀行口座開設、金融ローンに至る幅広いフィンテック領域に参入し、ユーザーとの新たな関係を構築したい意向だ。

一方、米国の規制当局は非常に厳しい視線でCacheを見ているとのこと。膨大なユーザーデータが正しく扱われているのかという点を中心に、プライバシーに対して大きな影響を持つGoogleに懸念を表明している。

事実、こうした当局の監視があることも一因として、Facebookが主導する仮想通貨プロジェクト「Libra」のパートナーは次々と計画から撤退。また、Appleも性別によってApple Cardの与信限度額を設定していると批判されている。

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話題のポイント: この数カ月、GAFA勢が立て続けにフィンテック市場に殴り込みをかけています。しかし、プライバシー問題を発端に市場の向かい風にあっているのが現状。なかでも欧米市場ではなかなかサービス展開ができずにいます。

こうした厳しい市場情勢の中、Googleが銀行業参入の果てに狙うのは何か?答えはインド市場にあると感じられます。

こちらの記事によると、Google Payの最大の成功はインド市場にあるとのこと。食料品やUberを筆頭とする輸送サービス、その他取引のデジタル決済にGoogle Payが積極的に利用され、月間ユーザー数が6,700万を超えているそうです。

インド市場にも競合は多数いますが、Google Payの人気は米国や日本市場を凌ぐといいます。ちなみに「eMarketer」のデータによれば米国全土のモバイル決済ユーザー数は6,100万超。Google Payのインドユーザー数はすでに米国全土の利用ユーザー数より多いと推測されます。

先進国から急成長を続ける発展途上国に目を向けるメリットは大きく2つ挙げられます。1つは当局の監視が緩くなる点。国ごとに審査基準が変わるため、新興企業に寛容な国であればサービス立ち上げスピードを上げられます。

もう1点はデータ活用ができる点です。ここで説明の一環として、いくつか発展途上国でデータ解析技術を活用したフィンテックスタートアップ事例を過去記事から紹介します。

<参考記事>

パキスタン発のAIマイクロファイナンス企業「TEZ FINANCIAL SERVICES」は、スマホを通じたインターネット活動を分析して貸し倒れリスクを予測。スコリング化して一定額のお金を貸し出します。また、アフリカ発の金融スコアリングサービス「Jumo」は通信キャリアが保有する膨大な決済記録を解析して与信を取り、各種金融サービスを展開。携帯電話の支払状況、SNS及びショッピング活動履歴に代表される実生活のデータを元にスコアリングを行う「Colendi」はブロックチェーン上でデータを安全に管理し、世界中の提携金融機関へ情報提供します。

このように、銀行口座を開けない人が大勢いる一方、スマホの普及が急速に進んでいる市場環境のギャップに目をつけたスタートアップが登場。ユーザーのインターネット利用状況にAI解析を組み込んで与信を取るサービス展開をして急成長を遂げています。

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Googleが狙うのはまさにこうしたAIスコアリングを駆使したレンディング市場かと感じます。もちろん新興国でサービス展開をするには新たなパートナー先を探す必要がありますが、米国でのローンチは単なる試験的な位置付けと捉え、早々に参入市場国を変更した方が長期的なベネフィットを大きく上げられるでしょう。

すでにGoogle Payの普及が進んだインド市場であれば消費者の利用データは膨大に蓄積されています。ビックデータ分析をかませることで、利用者の貸し倒れ率や口座利用状況の予測に繋がります。よりクレジットの高い人をターゲットに、より良い口座およびGoogle Pay利用特典を与えたり、提携銀行のサービスを紹介。そして最終的に行き着くのは信用データからレンディングビジネスへの拡大、というシナリオが浮かび上がってきます。

高いキャッシュバックや高金利などを用いてユーザー数を増やす戦術に打って出ることは直近で予想できます。一方、総Google決済額が増えれば新たな収益源になりますが、Googleにとって大口収益源にはならないと感じます。そこで真に狙うのはレンディング事業だと考えます。

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Googleが握るユーザー信用データをテコ入れして利益を最大限する仕組みの答えはレンディング。提携銀行の融資事業に絡み、利子をシェアするようなモデルになると想像しています。長期的に見て、1顧客あたりの生涯収益額を上げるには少額のショッピング利用頻度数を向上させて手数料を徴収するより、既存銀行の主軸事業である融資を使わせる点にあるでしょう。ここにGoogleが新たに仕掛ける銀行業の着地点があると考えます。

さて、ここまでGoogleの銀行業の行方を手短に予想してみました。昨今のGAFAに対する社会的な風向きなどを考慮した上で、市場の警戒心が強くなった欧米市場に積極的に入れ込むのはあまり得策でないと思います。この点、ポテンシャル獲得ユーザー数や市場規模、経済成長率のどれを取ってもGAFAが次に向かう先はインドやアフリカ、南米などの新興市場でしょう。

なかでもアジアで注目されるインド市場は、中国のBAT(Baidu、Alibaba、Tencent)が仕掛ける先でもあります。いずれはGAFA内だけではなく、BATも絡めたフィンテック市場の対立が熱を帯びてくると睨みます。

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クラウドファンディング「Makuake」運営のマクアケがマザーズ上場へ、企業評価は170億円規模

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クラウドファンディングプラットフォーム「Makuake」を運営するマクアケは、11月8日、東京証券取引所への新規上場申請を実施し承認されたことを発表した。市場区分はマザーズで証券コードは4479。98万株を公募し、156万5000株を売り出す。なお、オーバーアロットメントは38万1700株。主幹事は大和証券が務め、上場予定日は12月11日。公募分を含めた総株数は1096万6000株。想定公募価格の…

Image Credit: Makuake

クラウドファンディングプラットフォーム「Makuake」を運営するマクアケは、11月8日、東京証券取引所への新規上場申請を実施し承認されたことを発表した。市場区分はマザーズで証券コードは4479。98万株を公募し、156万5000株を売り出す。なお、オーバーアロットメントは38万1700株。主幹事は大和証券が務め、上場予定日は12月11日。公募分を含めた総株数は1096万6000株。想定公募価格の1550円から算出した評価額は約170億円。

価格の仮条件は11月25日に決定し、ブックビルディング期間は11月26日から12月2日を通して実施される。最終的な公開価格決定日は12月3日。同社公開の有価証券届出書によれば、2018年9月期の売上高は9億5800万円で経常利益は1億5600万円。足元の第7期第3四半期は売上が9億1600万円で、経常利益が5900万円となっている。

同社の事業はクラウドファンディング単体でセグメントは分かれていない。第7期第3四半期における主要管理指標に関して、クラウドファンディングプラットフォーム「Makuake」の四半期決済総額は約16億8800万円(前年は約12億1500万円)で、アクセスUUは451万8000人、会員数は66万8000人。

マクアケは2013年5月に株式会社サイバーエージェントの100%子会社として設立された。クラウドファンディングプラットフォーム「Makuake」を通じて、新しいアイデアや優れた技術を用いた新製品およびサービスを実現したいプロジェクト実行者と支援者をマッチングするインターネットサービスを展開する。

主要な株主としてサイバーエージェントが71%、KSK ANGEL FUND LLCが13.7%、マクアケ代表取締役の中山亮太郎氏が5%の株を保有する。

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Spotifyが築く“音の帝国”ーー知っておくべき音声市場45社スタートアップまとめ(後編)

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前編ではGAFAMらが一挙にリリースさせたスマートイヤフォンを皮切りに、音声市場の成長性と音声SNSカテゴリーについて語りました。後編では他3つのカテゴリーについて触れていきたいと思います。後編の主役となるのがSpotifyです。同社が描くのは2つの戦略。「音声SNS」と「Podcastストリーミング」です。 2019年5月、Spotifyが「ソーシャルリスニング機能」をテストしていると報じられま…

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Image Credit: Spotify

前編ではGAFAMらが一挙にリリースさせたスマートイヤフォンを皮切りに、音声市場の成長性と音声SNSカテゴリーについて語りました。後編では他3つのカテゴリーについて触れていきたいと思います。後編の主役となるのがSpotifyです。同社が描くのは2つの戦略。「音声SNS」と「Podcastストリーミング」です。

2019年5月、Spotifyが「ソーシャルリスニング機能」をテストしていると報じられました。実際にはユーザーアカウントに紐づいたQRコードを読み込むと、友人のプレイリストを登録できるサービスであった模様です。前編で紹介したリアルタイムで音声対話をするような機能ではなかったようです。

しかしこれでSpotifyがP2Pネットワーク構築に興味を持っていることが推測できました。単にQRコードを通じたネットワークはあまり強固なものになるとは思いません。SNSとして機能させることでユーザーをフックさせることができます。Spotifyがここに賭ける可能性は高いと考えます。将来的に考えられるSNSの形は前編を参考にしていただければと思います。

タイトルにもある、Spotifyが目指す“音の帝国”が指すものは「音楽ストリーミング事業」「音声SNS」「Podcastストリーミング」の3つに集約されます。音楽ストリーミング事業で盤石なビジネスを確立し、次に目指したのはソーシャル要素。そして同時にPodcastストリーミング事業を急拡大させています。ここで話を戻し、3つのカテゴリーを紹介しようと思います。

2. Podcast制作/編集ツール

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Image Credit: Gimlet Media

2019年2月、SpotifyがPodcast市場への攻勢をスタートアップ買収を通じて急速に強めました。その1社が『Gimlet Media』です。2014年にニューヨークで創業し、2,850万ドルの調達をしています。

同社はオリジナルPodcastシリーズを配信する制作スタジオ。火星移住の模擬実験プロジェクトの参加者に密着したドキュメンタリー『The Habitat』や、AIアシスタントが登場するSFフィクション番組『Sandra』などの人気作品を続々と配信。eBayがスポンサーを務めるPodcast番組を配信し、ネイティブ広告を成功させています。Spotifyが得意とする音声広告をPodcast市場で成功させている点が評価され、買収に至ったのがGimletといえます。

Gimletのように自社制作スタジオ事業に手を出すスタートアップは多くありません。多大なコストがかかることから長く市場にいる人で無ければスケールすることはないでしょう。そのため大型競合は少なく、『Western Sound』や『Wait,What?』『The Athletic』のような中小規模のスタジオしか目立ったプレイヤーはいない印象です。

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Image Credit: Anchor

SpotifyはPodcast制作プラットフォームも買収しています。それが「Anchor」。2015年にニューヨークで創業し、累計調達額は1,500万ドル。手軽にPodcastを制作でき、Spotifyなどの各種音声プラットフォームに配信まで行える一気通貫サービスを提供。音声広告を展開することもできるワンストップ・プラットフォームと呼べるでしょう。

さて、企業がPodcastを制作をする場合、機材とチームがが揃っているため高品質なコンテンツを収録することができます。しかし個人ではなかなか編集するのに時間がかかりますし、リテイクを何度もする課題が発生します。この市場課題に目を付けたのが「Descript」。2017年にサンフランシスコで創業し、累計2,000万ドルの調達をしています。著名VC「Andreessen Horowitz」も出資している有望スタートアップといえます。

Podcast音声を読み込ませると、AIがデータ分析をしてテキスト表示に変換。単語単位で編集が可能となります。たとえば感嘆表現など、必要のない声を手軽にカット編集できるツールとなっています。筆者も試しに利用しましたが、編集から商用利用可能な音声挿入まで1つのダッシュボードで出来ることから利便性の高い印象でした。同社はテキストをプロのナレータが吹き込んだPodcastに変換するサービス「Lyrebird」を買収。テキストとオーディオの両方を編集できるツールとして市場攻勢を強める戦略です。

少し話が逸れますが、音声アプリを構築するビルダーサービスも登場しています。Amazon AlexaスキルやGoogle Assistant機能を、様々なトリガーを設定してプロトタイプアプリを作成できる「Voiceflow」。2018年にカナダのトロントで創業し、350万ドルを調達しています。

3. Podcastコンテンツ・プラットフォーム

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Image Credit: Parcast

世の中には大量のPodcastコンテンツが散らばっています。こうしたコンテンツを集めてネットワークとして束ねるプラットフォーマーの市場ポジションを目指す企業が多数登場しています。Spotifyもこの分野に注目し、「Parcast」を買収しています。

Parcastは提携パートナーから提供されるコンテンツを流通するディストリビューターとしてサービスを展開。SpotifyからすればGimletとParcastの買収を通じてPodcast制作スタジオから流通ネットワークまで、Podcast市場の川上から川下までを抑える戦略に打って出たといえるでしょう。

Parcastの競合は数え切れません。2018年にニューヨークで創業し、すでに1億ドルを調達しているPodcastネットワーク『Luminary Media』は最大の競合と呼べるでしょう。50万以上のPodcastショーへアクセスできるプラットフォームとして展開しているコンテンツホルダー。アジア展開はしておらず、欧米市場のみでサービス提供をしています。同じく1億ドル調達をする、2015年サンフランシスコ創業の『Himalaya Media』は2,400万Podcastコンテンツ(コンテンツ単体ベース)を配信する大手です。

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Image Credit: Castbox

他にも2016年にサンフランシスコで創業し、累計2,970万ドルを調達している「Castbox」も有名です。9,500万に上るPodcastコンテンツを配信しており、その数ではLuminaryに引けを取りません。2013年に北欧で登場した「Acast」も累計9,700万ドルの大型調達をしているPodcast配信プラットフォーム。配信サーバーから分析ツール、広告ネットワークまでを持っており、配信インフラが整っている点が特徴。

2016年にロサンゼルスで創業し、1,500万ドルの調達をした「Wondery」も比較的大手の部類に入るPodcast配信ネットワークサービスです。「Misson.org」などのPodcastネットワーク企業も登場しています。中小規模のスタートアップでは200万ドル超の調達をしている『Entale Media』、UIが優れている印象の「Breaker」や「Brew」、「Overcast」など多数挙げられます。

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Image Credit: Blinkist

ビジネス記事や小説を聴く体験も普及しています。Podcastというよりはテキストコンテンツをそのまま読み上げるタイプのサービスです。2012年にドイツで誕生した「Blinkist」は3,480万ドルの調達に成功しています。様々な本の要約オーディオコンテンツを聴くことができます。この領域ではAmazonが展開するオーデイォブックプラットフォーム「Audible」が最大手といえるかもしれません。また、本の要約を一口サイズの音声コンテンツで配信する「Headway」も競合として挙げられます。

膨大なテキストコンテンツを効率的に理解する媒体として音声コンテンツは最適だと考えられます。「Curio」は『The Guardian』や『Financial Times』に代表される大手メディアの配信記事にナレーションをつけて音声配信するメディアプラットフォーム。忙しい若手ビジネスプロフェッショナル層をターゲットにキュレートコンテンツを提供します。テック/ビジネス系Podcast配信では「upside」というアプリも登場しています。

4. 特化型音声コンテンツ

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Image Credit: SimpleHabit

特定領域のコンテンツだけを配信する音声メディアがとても多く誕生している印象です。なかでも最近注目市場であるメディテーション(瞑想)市場から多数の音声アプリが登場しています。

2016年にサンフランシスコで創業し、累計1,260万ドルの調達を果たした「SimpleHabit」は好例でしょう。“瞑想版Netflix”をコンセプトに展開しており、全米の瞑想家のクラスを5-10分程度の短尺で聴ける手軽さが特徴です。電車の中やオフィスの仕事場などのシチュエーション別にクラスを選べる使い勝手の良さも評価できるでしょう。

競合には1億ドル以上の調達をしてユニコーン入りをした「Calm」が挙げられます。瞑想分野のコンテンツを幅広く揃えている点では肩を並べる競合はほとんどいないでしょう。2013年にボストンで創業した「10% Happier」も成長株として注目。累計510万ドルを調達しています。加えて2010年にロサンゼルスで創業し、累計7,500万ドル調達に成功している「Headspace」も大手スタートアップに数えられます。

日本でもメンタルヘルス市場に対して関心と需要が年々高まりつつあります。生産性改革に注目が集まる中、忙しい人に特化した短尺メディテーションコンテンツを配信するSimpleHabitを模倣した日本ベンチャーが急成長する可能性が大いにあると感じています。

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Image Credit: Aaptiv

コンテンツ領域特化で注目されるのは瞑想以外にスポーツも同様。激しい運動をする際、動画を観ながらレクチャーを受けるシチュエーションは考えにくいです。そこで登場するのがオーディオ。冒頭で説明したAppleやGoogleの完全無線イヤホンがあれば音声を聴きながら運動ができます。

こうしたユースケースに注目したのが「Aaptiv」。2015年にニューヨークで創業し、累計5,210万ドルも調達しているスポーツ特化の音声アプリ。トレーナー毎の運動コンテンツを聴きながら楽しく身体を動かせます。運動中に音楽が流れるため、どこにいてもジムにいるような感覚を得られる点も特徴です。同じようなコンセプトに300万ドルの調達をしている「MoveWith」もいます。

競合には2億ドル超の資金調達をした「ClassPass」が提供する「ClassPass Go」が挙げられます。ClassPassは月会費を払うことで様々なフィットネスクラスに通うことができるサブスクサービス。従来、1つのジムチェーンに会費を払う必要がありましたが、各ジムをネットワーク化して様々なクラスを楽しめる体験を提供しています。同社が最近注力しているのが音声フィットネス。全米のトレーナーが提供するクラスを手軽に楽しめます。ClassPassが音声市場へ参入するのは、ジムに通う人からジムに行かずとも屋外で自分で運動をする人に至るまで、フィットネス市場の全てをカバーする戦略に打って出ている証拠ともいえます。

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Image Credit: Tingles

ニッチなコンテンツを配信することで市場ポジション確立を目指す動きも目立ちます。Y Combinatorのプログラムを卒業したASMR配信プラットフォーム「Tingles」はまさにその事例に当たります。

ASMRは聴くだけで快感を持てる音声コンテンツを指します。耳を掃除する音や石鹸を削ると音などが代表的。YouTubeで流れる3-4時間以上の勉強向けBGMや、カフェの音、雨音なども広義にはASMRに入るでしょう。こうしたASMRコンテンツはこの2-3年で徐々に注目を集めており、Tinglesは世界中のASMRユーザーのプラットフォームになっています。

旅行ガイドアプリも登場しています。Skypeの創業者が作ったDetour」は音響機器メーカー「Bose」によって買収されています。旅行ガイド市場は非常に小さいですが、競合には「Audm」と呼ばれるスタートアップも現れています。

最後に、筆者が最も注目している音声スタートアップを紹介しています。それが音声学習コンテンツプラットフォーム「Knowable」です。“音声版Udemy”をコンセプトに、音の学校を作り上げています。各ユーザーが作った学習コンテンツを販売できるマーケットプレイスになっています。

現在は著名な起業家や投資家がコンテンツを吹き込んでいることから、ユーザーが自然とコンテンツをアップする流れにはなっていません。しかし、これから音声市場が成長し、コンテンツの制作のハードルが下がれば大きなビジネスチャンスを獲得できるでしょう。特化型学習コンテンツをたくさん集めることができ、流通総額が上がれば徐々にマーケットプレイスの成長速度も上がると感じます。事実、著名VC「Andreessen Horowitz」のパートナーも出資しており、これからの事業拡大は確実といえると考えます。

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ここまで駆け足で音声市場で活躍するスタートアップ約45社を紹介してきました。冒頭で説明したようにSpotifyが目指す“音の帝国”が指すものは「音楽ストリーミング事業」「音声SNS」「Podcastストリーミング」の3つ。コンテンツ量と強固なネットワークエフェクトを武器に完成されるのが音声市場の勝者です。その座を虎視眈々と狙っているのがSpotifyと感じます。

ソフトウェアサイドではSpotifyが最前線にいます。一方、前編でも紹介したスマートイヤフォンを発表したApple・Google・Amazon・Microsoftの4社はハードウェアサイドの最前線にいるといえます。この4社が同様に音声市場を狙いにきたらどうなるでしょう。

視聴体験の入り口となるイヤフォンを抑え、音声コンテンツまでを集めることでビックデータによるスマートアシスタントによるコンテンツレコメンドから自社プラットフォームで配信されるコンテンツを聴かせる綺麗な体験を提供する流れができます。他社プラットフォームへ逃さないユーザーの独占が始まるでしょう。まさに小売市場でAmazonが私たちを独占している構図が音声市場で起きる具合です。

話が飛躍してしまいましたが、2019年はSpotifyの買収劇をきっかけに音声市場が急成長する年になりました。2020年以降はプレイヤーが揃い、先述したような大きなビジョンと戦略を描きながら事業展開できる企業が勝てると感じます。

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耳の覇権争い始まるーー知っておくべき音声市場45社スタートアップまとめ(前編)

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「こんな魔法、聞いたことがない」 10月30日、Appleから華々しいデビューを飾った「AirPods Pro」。ノイズキャンセル機能が搭載され、より没入感のあるサウンドを味わうことができるようになりました。「Hey Sir」と呼びかけるだけで音楽・通話・音量調節もできるスマートアシスタントの機能も担っています。外部音取り込みモードが追加され、周囲の音も自然と聞こえるように。価格は249ドル。 G…

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Image Credit: Apple

「こんな魔法、聞いたことがない」

10月30日、Appleから華々しいデビューを飾った「AirPods Pro」。ノイズキャンセル機能が搭載され、より没入感のあるサウンドを味わうことができるようになりました。「Hey Sir」と呼びかけるだけで音楽・通話・音量調節もできるスマートアシスタントの機能も担っています。外部音取り込みモードが追加され、周囲の音も自然と聞こえるように。価格は249ドル。

Googleは先んじて「Pixel Buds」を発表しています。従来モデルとは違い、完全無線タイプとなりAirPodsと直接競合となる製品。環境音に合わせて自動的に音量を上げ下げする機能を搭載。「OK Google」でアシスタント機能を呼び出すことができます。最大の特徴は目の前の相手の内容を翻訳するGoogle翻訳機能を搭載している点。2020年春に価格179ドルで販売予定です。

Amazonも9月末に「Echo Buds」を発表。音響アシスタントAlexa機能とノイズリダクション機能を搭載。SiriやGoogleアシスタントと連携可能。価格は129.99ドルとApple、Googleと比較して最も手頃なもの。そしてMicrosoftも完全ワイヤレスイヤホン「Surface Earbuds」を発表。Officeソフトと連携ができ、たとえばPowerPointの資料情報を翻訳できるとのこと。価格は249ドルとAppleと同額。

3つの“聴く”習慣

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Photo by Feruz Matkarimov on Pexels.com

こうして直近1か月ほどで発表されたスマートイヤフォン製品を見るとGAFAM5社のなかでFacebookを除く四つ巴状態であることがわかります。世界のインターネットを支配すると言っても過言でもない巨大企業らを急速にキャッチアップさせる音声市場にはどのような魅力や成長性があるのでしょうか。考えられる理由は3つほど挙げられます。

1つはスマートスピーカーの普及。Amazon Echoシリーズが市場シェア約70%を占めている中、次のようなデータが公表されています。こちらの記事によると、全世代平均で週17時間ほどオーディオコンテンツを消費するとのこと。Podcastやラジオ、ストリーミング音楽などが該当します。なかでもスマートスピーカー所有者は、非所有者と比較してプライムアワー(8-10PM)に47%以上多くの時間をオーディオコンテンツに割いているそうです。

スマートスピーカーがプライムアワーに使われるシチュエーションを自宅リビングであると仮定すると、私たちがより多くオーディオコンテンツに増える機会は増えるでしょう。2019年6月時点で7,000万台のスマートスピーカーが流通していますが、次の3-4年で1億台を数えるはずです。こうしたスピーカーによってリビングで消費するオーディオコンテンツ時間は比例して増えると想像できます。

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2つ目は「観る」から「聴く」行動へ私たちの習慣が変わりつつある点です。これは先述したハードウェアによって提供されるオーディオ体験とは違い、習慣という最も力強い市場成長を支える要素となります。

読者の方で、スクリーンオフにした状態でYouTubeを聴き流した経験のある方はいないでしょうか?筆者はYouTubeの有料ユーザーなのですが、ざっと見積もって利用時間の7-8割は聴き流しており、そのためにお金を支払っています。私がこの記事を書いている間もYouTubeを聴き流しながら4-5時間ほど作業に当たっています。こうしたユーザーの新たな行動様式が自然と構築され、習慣化されることほど強力な市場要因はありません。

実際、著名VCであるMarc Andreessen氏も同じような点を指摘しています。同氏曰く、YouTubeの視聴者は職場で仕事をしながら動画コンテンツを聴く習慣ができていると語ります。1日8時間ほど労働時間があるとすると、週平均40時間ほどオーディオコンテンツの視聴時間が発生する計算です。これは前述した世代平均のオーディオコンテンツ消費時間17時間の6倍にも匹敵する市場です。

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3つ目は運転時間。米国では月間1.1億回の自動車通勤が発生。合計走行時間は25億時間にも及ぶといいいます。これから自動運転技術がさらなる発展を遂げ、完全自動運転化が実現すれば車内の運転時間がそのまま余暇時間として新たな市場に成り代わります。

そこでオーディオコンテンツは市場シェアの大半を占めると考えられます。というのも、動画視聴をしては仮に事故を起こした際に運転手が過失を取られることが予想され、非常にリスクの高いコンテンツになるためです。オーディオであれば視界を逸らさずにコンテンツ消費できます。

ここまで音声市場の成長性を3つの視点から説明してきました。ここからは音声市場で活躍するスタートアップ45社を4つのカテゴリーから簡単に説明していこうと思います。

1. 音声SNS

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Image Credit: Spoon Radio

声で繋がるSNSが流行の兆しを見せています。その最先鋒が「Spoon Radio」。2013年に韓国で創業したSNSスタートアップ。累計調達額は1,960万ドル。口パク動画SNSとして米国市場で台頭し、後にTikTokに買収されたMusical.lyの投資家も出資しています

Spoon Radioは「音声版SHOWROOM」といえるでしょう。ユーザーはタイトルと背景画像を設定するだけで自分のライブ配信ができます。ホストユーザーは音声で配信をし、ゲストユーザーとチャットをしながらやり取りをします。最大の特徴は音声のみの配信。動画とは違いどんな場所からでも配信ができる手軽さが売りです。

日本上陸初期の頃から私も使っており、ライブ・ランキングTop10位前後に毎回入るほど好んで配信をしていました。Spoon Radioは間違いなくオンラインで友人を最短、かつ最も簡単に作るためのツールであったのは間違いありません。その理由が2つ。「配信体験」と「Facebook・Twitter以上のフレンドネットワーク」です。

たとえば自室のベッドで横になりながら配信・聞けるシチュエーションを独占できる点は、他社ライブ配信アプリにはない大きな強みでした。街を歩きながらでも電話感覚で配信ができます。動画配信より手軽に配信できる参入障壁の低さは大きな魅力。そして前述したように他ユーザーのライブ配信をどんな環境下でも気軽に「聴き流せる」体験は余暇時間の大半を支配できます。この点、Spoon Radioを通じて音声が次なる巨大市場になると確信できました。

魅力的な音声配信体験に加えて、FacebookやTwitter以上のソーシャルフレンドの繋がりが大きな魅力として挙げられます。お互いの配信枠に遊びに行き、手軽に声で直接繋がることで知らないユーザーとより親密になれます。こうした力強いネットワークエフェクトがユーザーを逃がしません。事実、筆者はFacebookやTwitter以上にのめり込んでしまい、ソーシャル中毒状態になるほどはまってしまったためアカウント削除してしまいました。ですが、仕事が一区切りついて時間や気持ちの余裕ができればいつでも戻っていきたいと思わされる製品でした。

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Image Credit: TTYL

さて、アジアにおけるライブ音声市場ではSpoon Radioの独走状態であると感じています。一方、欧米市場では深く浸透していません。この市場機会を狙ったスタートアップが多数登場しています。その1つが「TTYL」です。2018年にロサンゼルスで創業し、累計調達額は200万ドル。

TTYLは累計7,000万ドルを調達してエグジットした多人数動画チャットアプリ「Houseparty」の音声版と呼べます。Spoon Radioが一方的な配信であるのに対して、複数人の双方向音声チャットの場を提供しています。

リアルタイムで音声配信されている枠にユーザーがジャンプインする体験が用意されています。知らない人との会話も楽しめることができます。似たようなプロダクトに「Chalk」が挙げられます。しかしどちらのアプリも近しい友人との会話を想定しているため、ユーザー同士のネットワークが広まるのかという点に課題が残ります。

一方、特定のトピックを事前に設定して配信するのが「Dabel」。日本人起業家である井口尊仁氏が仕掛ける音声SNS。TTYLとは違い、見知らぬ人同士との対話に軸を置く製品。配信枠にタイトルが入っているため事前にある程度どんなトピクが話されているのか想像できます。また、いきなり音声対話が始まるわけではなく、ホストユーザーがゲストユーザーを指名することで双方向の音声チャットが始まるため、ユーザー心理的に自然と会話を始められる導線が用意されています。

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Image Credit: Playlist

音声SNS市場の中でも少し違った切り口を出しているスタートアップもいます。たとえば「Playlist」は事前に用意されている音楽ライブラリの中から好きな曲を選んで友人と一緒に聞くサービスを提供。チャットをしながら感想を述べ合ったりできます。

友人が投稿した音声コンテンツを聴くことで繋がるサービスも一般的です。一般ユーザーが投稿するコメントを聞いてやり取りし合います。2014年にニューヨークで創業し、累計600万ドルを調達した「HereMeOut」が代表的。また、同じようなコンセプトの「Koo!」も登場しています。短い音声データをシェアする体験はSnapchatの流れに乗っているといえるかもしれません。

前編はここまで。後編では他3つのカテゴリーを、Spotifyの戦略を説明しながら紹介しようと思います。

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ニュースサマリー: ニューヨーク公共図書館がInstagramストーリズで古典小説コンテンツを配信する「Insta Novels」の提供を2018年8月から開始。最初の作品は『不思議の国のアリス』。ストーリーを躍動的に伝えるためにアニメーションを加えた形で発表された。

以来、同図書館は古典文学を世界に広めるというミッションを基にストーリズを通じて若者をターゲットに作品を立て続けに発表。2019年9月末までの約1年間で30万ユーザーがInsta Novelsを閲覧したとのこと。ニューヨーク公共図書館のInstagramアカウントフォロワー数は13万に上る。

ニューヨーク拠点のデザイン事務所「Mother New York」がコンテンツ制作を委託されている。これまでKindleを代表とする電子書籍リーダーに古典文学作品を最適化させる試みはあったとのことだが、Instagram特化のコンテンツプロバイダーとして着地点を見つけ、大きな反響を呼んだ形だ。

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記事のポイント: 今回取り上げたニューヨーク公共図書館が目指すのは「21世紀の図書館」と言える試みです。たしかに図書館に足を運んで蔵書を読める公共価値は不変ですが、コンテンツを多世代に呼んでもらう努力がなければ、世代と共に価値が薄れてしまう危機感もあります。

そこで取り組んだのが「場所」と「コンテンツ体験」の2つ。マーケティング4Pの「Place」と「Product」に当たる2つの変革に当たったわけです。まずは読書する場所を4億ユーザーが集まるInstagramへと移行することで、スマホの中に収まる図書館へと市場ポジションを変更。

3、4年前に全盛期を迎えた分散型メディアに通じるコンセプトを公共施設へと適用し、自社施設にユーザーを呼び込むスタイルではなく、ユーザーが普段利用するSNSへと自ら“出向く”ことを意識してコンテンツ配信を開始しました。

次に、古い蔵書内容に“サクサク感”を付け足すことで製品体験をアップデート。長いページ数のある作品であっても1タップで次へ進めるストーリズにコンテンツを最適化。1ページを読み終える前に15秒コマで消えてしまうデメリットに対しても、ちょうど親指を画面に置ける右下にタップ場所を用意してゆっくりと読めるようにデザインに趣向を凝らしています。

また、アニメーションを散らしたり、古くに印刷されたフォントを若者向けに変更するなどして作品を現代風に新たに発表しています。このように読者の関心を継続して留められるプラットフォーム選択やデザインの工夫を古典文学に施すことで生まれ変わったのがニューヨーク公共図書館といえるでしょう。

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さて、ニューヨーク公共図書館が新たな読者を獲得した戦略はメディア市場を変える示唆に富んでいると感じます。たとえば出版社が本を出版することなく、印刷費用をInstagram運用に充て、新たに広告事業へ参入できるかもしれません。

具体的には人気作家をなかなか囲えずに苦しんでいる出版社が、著作権の切れた出版物をリメイクしてInstagramで配信することで人気を集めるケースも生まれる商機を指摘できます。

ストーリズの合間に作品にあった広告コンテンツを差し込むことで収益化。著作権フリーであるため、コンテンツの仕入れは無料。あとは印刷費用をデザイナー採用やInstagram担当者に充てることで、昔話や童話を若者向けにリリースすることで新しい市場価値が見いだせるかもしれません。

先述したように分散型メディアの最大のメリットはサーバー代金などのインフラ費用を一切負担する必要がない点です。この点を十分に活かすことで21世紀型に出版事業を刷新できるはずでしょう。

チャット形式で物語を読みすすめる携帯小説アプリ「Balloon」や「TELLER」、「LINEノベル」などが登場しているように、私たちが普段使うインターフェースに作品を最適化して配信する形式が流行っています。そこで過去の作品を現代版に改めて提供するストーリー戦略に、ビジネスモデル確立の視点を含めて注目が集まると思います。

なかでも世界展開を目指すメディアスタートアップが、InstagramやSnapchat、TikTokへ古典小説コンテンツの配信をし、「21世紀型 図書館」のコンセプトの名の下、市場参入する可能性を強く感じます。今回取り上げた事例は公共図書館ではありましたが、民間であれば十分に本事例を参考に収益化へ動くチャレンジをしても良いかと思いました。

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なぜAirbnbは強く、Uberは弱いのか?ーー起業家が知っておくべき4つのネットワークエフェクト

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ピックアップ記事: Why Some Platforms Thrive and Others Don’t 最近、SNSで「起業家が投資家へ事業戦略をピッチする際、答えるべき型がある」というやり取りをしばしば目にするようになりました。結論から言うと「ネットワークエフェクト」「規模のメリット」「ブランド」「高いスイッチコスト」の4つが答えになります。サービスが成長するために、何を武器に戦っていくかはこ…

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ピックアップ記事: Why Some Platforms Thrive and Others Don’t

最近、SNSで「起業家が投資家へ事業戦略をピッチする際、答えるべき型がある」というやり取りをしばしば目にするようになりました。結論から言うと「ネットワークエフェクト」「規模のメリット」「ブランド」「高いスイッチコスト」の4つが答えになります。サービスが成長するために、何を武器に戦っていくかはこのどれかを説明すれば片付くというものです。

しかしリサーチをしているなか、強固な「ネットワークエフェクト」を作り上げる4つの公式を押さえておけば、先ほどの全ての回答モデルを満たす筋道が見えると感じました。言い換えればネットワークエフェクト構築戦略さえ誤らなければ、あらゆる競合シチュエーションにおいても他社を負かせる“ディフェンス力”を獲得できると考えます。

そもそもネットワークエフェクトとは何でしょうか?最も簡単な答えとして挙げられるのが「使えば使うほど価値が増すシステム」です。

たとえばFacebookは友人同士のやり取りを活発化させることでネットワークを構築。現在は大問題になっていますが、個人データを膨大に集めて広告収益事業を成長させました。同様にAmazonもレビュー機能を通じて買い手と売り手を繋ぐマーケットプレイスを初期に構築。購買データからレコメンド機能の精度を上げて、さらにマーケットプレイスの価値を高めました。

それではGAFAに代表されるような巨大なネットワークを構築するにはどうすればよいのか。2つほど考えがあります。1つは強固なネットワークを構築できる領域から選択することです。

下記に記した13の領域は番号順にネットワーク効果の高い事業領域といわれています。事業アイデアを0から考えている起業家予備軍の方は高いランクのものから事業選定すれば強固なネットワークエフェクト構築の確率を上げられるかもしれません。本記事では2つ目の考えを中心に説明していくため、詳細説明は元記事『The Network Effects Manual: 13 Different Network Effects (and counting)』に譲ります。

  1. フィジカル(道路・電話・鉄道)
  2. プロトコル(Bitcoin・Ethereum)
  3. パーソナル・ユーティリティ(Facebook Messenger・Slack・Skype)
  4. パーソナル(Facebook・Instagram・Twitter)
  5. マーケット(AngelList・Houzz・TravelJoy)
  6. 2サイド・マーケットプレイス(eBay・Albibaba・Amazon)
  7. プラットフォーム(Microsoft OS・iOS・Android)
  8. アシンプトニック・プラットフォーム(Uber・Lyft)
  9. データネットワーク(Google・Yelp・Waze)
  10. テックパフォーマンス(VPN・BitTorrent)
  11. 言語(Google・若者言葉)
  12. 信念(宗教・イデオロギー)
  13. バンドワゴン – 人気や熱狂(Apple・Google・Stripe)
uber smartphone iphone app
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さて、2つ目の考えは本題にもある、4つのネットワークエフェクト戦略を考察し、過去の事例から踏襲することです。前述したように次の4つの戦略を事業に取り入れることは「規模のメリット」「ブランド」「高いスイッチコスト」を含む全てのディフェンス力に繋がると考えています。

1. ネットワーク・クラスター

長期的に見て、単にユーザーを集めるだけでは強いネットワークエフェクトは誕生しません。なかでもローカルネットワークを積み重なって作る構築方法は注意が必要です。

たとえばUberのユーザー体験を考えてみましょう。東京に住むユーザーがニューヨークやサンフランシスコの配車状況を見ることはありません。つまり、ユーザーが利用するサービス都市毎にネットワーク構築がなされ、サービス展開都市数を増加させることで巨大なネットワーク網を作り上げているのがUberというわけです。

巨大なUberネットワークを因数分解するとバラバラのネットワークの積み重なりによって構成されている点を指して「クラスター」と呼びます。

他方、Airbnbは全く違うネットワークを保有します。ユーザーが最初に行うのは旅行先選択。東京に住んでいるユーザーが東京へ民泊するローカルな体験は想定していません。つまり旅行先に該当する都市数が多くなければそもそも成り立たないのがAirbnb。言い換えれば展開数が多いからこそ民泊市場を牽引できているのです。

brown wooden center table
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2つの事例を比較すると、タイトルにある通りAirbnbにはUberにはない強みがあります。それは参入障壁の高さです。

Uberは都市ベースで勝負をしているため、たとえば日本市場へ参入した場合、「日本交通」などのローカル企業と競合する形になります。ユーザー体験をベースにするとUberの競合数は数え切れないほど世界中に点在する構図ができあがってしまいます。

一方、Airbnbはグローバル規模でネットワークを広げて初めて成り立つモデルを採用。中小規模の競合他社を持つことはありません。いかに世界中にネットワークを持つかが競合力を測る物差しになるため、一度ネットワーク構築してしまえば後追いされる危険性が減るのです。

このように、仮に巨大なネットワーク構築ができた場合、どのような競合を迎え討たなければならないのかをユーザー体験視点で考える必要があるでしょう。「ローカル」vs「グローバル」ネットワークの視点から、後者の考えの方が長期戦略を語る際には説得力があるように思えます。

しかし、Uberのようにローカル都市ベースでネットワーク構築をしていく方向性の方が成長スピードが早い場合もあります。こうしたPro/Con比較をしっかりとした上で、最終的にどちらのネットワーク傾向を目指すのかを説明できるようになるとよいでしょう。

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2. 仲介業者の排除と引き抜き

UberやLyft、TaskRabbitの台頭により、一時期ギグワーカー向けサービスが多数登場した時期がありました。そのなかでも注目されたのが家事手伝いサービス「Homejoy」。2010年にサンフランシスコで創業し、2015年に倒産にまで追いやられました。累計調達額が6,500万ドルにも及ぶ大型スタートアップです。

当初、家事手伝いサービス提供者にホームレスを雇用していたり、ちゃんとした契約書(W-2フォーム)を結んでいないなどの雇用形態が問題視されていたことでブランド低下を招いたことが倒産の原因だと叫ばれていました。しかしネットワークエフェクトの側面から見ると違った見方が浮かび上がってきます。それが「引き抜き」です。

Homejoyは家事手伝いマッチングが成立した時点で手数料を徴収するマーケットプレイスモデル。しかしサービス提供者がユーザーから直接「毎週同じ値段で家事手伝いに来てくれないか」と誘われてしまえばマーケットプレイスから引き抜かれてしまう危険性があります。手数料を徴収されないため、ユーザーからしたら損はなく、サービス提供者から見れば通常より15-20%多く稼ぐことができます。仲介業者に該当するサービスプラットフォームを排除し、引き抜く具合です。

close up of human hand
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上記の事例は個人が引き抜く想定事例ですが、企業レベルで行われてしまっては後発企業がユーザー獲得コストを削減することでき有利に立つことができます。実際、Uberと競合のLyft間ではこうした引き抜き合いが行われたことが容易に想像できます。手数料キャンペーンを張り続けた方が引き抜きの勝者になるため、共倒れリスクも考えられるでしょう。

この点、Airbnbのディフェンス思考は一歩先に行っています。サービスを実際に使われた方であればわかる通り、予約が完了するまで民泊先の連絡先・住所は公開されません。ユーザー視点から考えるとプライバシーを守るための導線であるように思えますが、実は引き抜き予防線になっているのです。

Airbnbでは一泊少なくとも50-100ドル以上を支払わないとサービス提供者へリーチすることができません。競合他社からすればそこまでの費用を払って連絡先を入手できたとしても、必ずしも自社民泊プラットフォームへ引き抜けるわけではないため断念せざるを得ません。

一方、HomejoyやUberなどの単価の安いサービスや、引き抜き策を講じていないサービスはどんどんネットワークを奪われてしまう可能性があります。いまでは規約に「ユーザー間の個人情報のやり取りを禁止する」と明言することで法的に守る手法が一般的ですが、あくまでも性善説に基づくため限界があるのです。

ちなみに初期のAirbnbは類似サービス「Craigslist」に掲載されている物件情報をさらいながらマーケットプレイス拡大を狙いました。今では徹底的に自社ネットワークを守っているAirbnbが、初期にはその逆手を突いた戦略を採用していた点は頭が切れるといえます。

引き抜きをする戦略は評価されますが、成長すれば引き抜かれるリスクを背負うことを意味します。最も優秀なプランはAirbnbのように“引き抜きはするが、成長フェーズでは引き抜きはさせない”ことを、取引額の高さやユーザー導線に組み込んだディフェンシビリティーの観点からを胸を張って言えるようなサービスでしょう。

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3. マルチホーミング

シリコンバレーでは複数のアプリを同時に立ち上げながら仕事をする人を頻繁に見かけます。

たとえばUberとLyftを立ち上げたスマホ2台を運転席に立て替えておいて、リクエストが入ってきた順、もしくは高い運賃を稼げるほうを承認するという使い方をするユーザーです。買い物代行サービス市場において同様の現象が起きており、「Instacart」「Postmates」の両方をうまく駆使しながら隙間時間を作らずにお金を稼ぐわけです。

このように競合サービスをリアルタイムで同時に使う現象を「マルチホーミング」と呼びます。先述した引き抜きにも似ていますが、文脈上では「共存」というのが適切でしょう。

日本でもキャッシュレスブームが起きてから「Paypay」「メルペイ」「LINE Pay」のどれを使うか迷い、とりあえず全てインストールして持っている方は少なくないのではないでしょうか?フリマアプリにおいても「メルカリ」と「ラクマ」の併用が想定できます。

このようなアプリ複数持ちの現象が続くと、競合優位性を高く保てないネットワーク構築に終始してしまいます。実際にサービス利用されるまで選択肢が残り続けるため、ネットワークに長く留まってくれるコアファンの獲得に繋がらず、安定的な収益化に走ることが困難になります。まさにレッドオーシャン市場の様相で、最終的に競合から逃げ切るには、マーケティングコストをかけてユーザーを多く獲得して逃げるという手法が最有力になるかもしれません。

長期的に見て、ユーザーに選択肢を与えないようなサービス像を描くことができれば競合と戦う必要がなくなり、こうした説明を投資家に向かってできれば非常に魅力的で考えられた事業プランと呼べるはずです。著名投資家Peter Thiel氏が述べる「競争せずに市場を独占しろ」という名言にも繋がる考えでしょう。

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4. ネットワークブリッジ

多角化戦略をしながら他市場でもネットワークを構築、ユーザーとの接点を増やすことで様々なデータを獲得してネットワークエフェクトを最大化するのが「ネットワークブリッジ」です。

中国のEコマース企業「Alibaba」が好例です。自社傘下Eコマース事業「Taobao」「Tmall」と決済サービス「Alipay」を連携させることで相乗効果的にデータ獲得。取引データから信用情報を弾き出して金融事業にも攻勢をかけることを可能とし、「Ant Financial」の立ち上げを通じてデフォルト率の低いローンサービスを始めました。競合「Tencent」が「WeChat Pay」を通じた決済サービスの提供を始めたとしても、Eコマースを軸にした巨大な経済圏ネットワークを武器に独自のポジションを築き続けられています。

このように複数のネットワーク環境を構築することでプラットフォーム・オーナーであるAlibabaに大量のデータ資産が収集されます。ビックデータを活かすことでどのサービスチャネルにおいてもパーソナライズ・ユーザー体験を提供できるようになる、というわけです。

ネットワークブリッジの考えを起業初期から話したとしても絵に描いた餅の感じを持たれてしまうかもしれませんが、バーティカル特化で他市場へ参入できるポテンシャルを示せれば非常に良い説得力を与えられるでしょう。

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最後に簡単に内容をまとめます。

ネットワーク要素が大きく絡む事業を考える場合、起業家は自社ネットワークの特徴を長期戦略の視点から分析し、ネットワークエフェクトを強化する手法を検討、投資家へ説明する必要があります。

具体的には「グローバルネットワークの構築」「引き抜き戦略対策」「脱マルチホーミング」「ネットワークブリッジによる規模拡大」の4つを提示する公式が浮かび上がります。そして冒頭に説明した残り3つのディフェンビリティーもこの公式に紐づきます。

「ネットワークブリッジ」と「規模のメリット」は同意、「グローバルネットワーク構築」と「脱マルチホーミング」を成すためには「ブランド力」が鍵となってくるため、必然的に検討すべき条件に上がってきます。そして「グローバルネットワーク構築」ができる事業であれば「スイッチコスト」は自ずと高くなるでしょう。こうして、ネットワークエフェクトに関する4つの公式を考えることで、投資家が起業家に求めるディフェンビリティーの説明を一挙に行うことができます。

タイトルに記したAirbnbの強さは、この4つの公式をほぼ全て満たせていることが要因と推測できます。唯一ネットワークブリッジが弱いように思えますが、最近ではビジネス旅行市場へ積極的に攻勢をかけていたり、P2Pクラウドファンディングサービスを買収していることから多角化戦略に舵を切るタイミングはじきに来るでしょう。

一方、Uberはネットワークブリッジを除く3つの点において決定的な弱点を抱えています。せっかく成長させたネットワークが縮小するリスクを多々含んでおり、競合他社の動向を気にしながらネットワークエフェクトを維持できるか常に気を配る必要があります。

みなさんの事業では今回紹介した4つのネットワークエフェクトの特徴を何個抑えられていたでしょうか?仮にいくつか考えの抜けている点があれば、しっかりと公式に沿ってテンプレート回答を用意しておくと無駄な説明準備コストをかけずに済むため、実際にチーム内で議論してみるとよいかもしれません。

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TikTokは「追体験プラットフォーム」になる ーー “Storytelling as a Service”が秘める市場インパクト

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ピックアップ記事: Subway Time Warps Are China’s Latest TikTok Meme ニュースサマリー: 2019年4月、短尺動画アプリ「TikTok」を発信源に、地下鉄を舞台にしたコンテンツが流行した。動画では、女性が現代の地下鉄を降りると過去や別次元へ足を伸ばし、様々な服装を装ったりいろんな場所へ赴きながら旅をする。 中国版Twitter「Weibo」上ではハッ…

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ピックアップ記事: Subway Time Warps Are China’s Latest TikTok Meme

ニュースサマリー: 2019年4月、短尺動画アプリ「TikTok」を発信源に、地下鉄を舞台にしたコンテンツが流行した。動画では、女性が現代の地下鉄を降りると過去や別次元へ足を伸ばし、様々な服装を装ったりいろんな場所へ赴きながら旅をする。

中国版Twitter「Weibo」上ではハッシュタグ「subway crossing」と名付けられ、同動画を真似たコンテンツが瞬く間に700万回まで再生数が伸びた。中国の西安市の地下鉄会社もsubway crossingのトレンドに乗り、自社事業を紹介するトレース動画を発表した。

TikTokは「ストーリー追体験プラットフォーム」の役割を担う

話題のポイント: TikTok上では様々なコンテンツが人気になっていますが、なかでも注目なのが今回紹介したような旅動画の領域。

日本ではハッシュタグ「TikTokで旅をしよう」と検索すると非常に凝った高品質なコンテンツがヒットします。こうした旅動画が新たなメディア領域になる兆しが出ています。実際、ハッシュタグ「TikTokで旅をしよう」は累計約5億再生、ハッシュタグ「Travel」においては30億再生。TikTokが作り出した市場規模は巨大です。

旅動画コンテンツの醍醐味はユーザーが行ったことのない・体験したことのない場所を、ストーリー仕立てで追体験できる点にあります。追体験をユーザーに提供するためには、現在のTikTokのフィルターでは対応しきれません。外部ビジュアル・エフェクトツール(以下VFX)や、動画編集ソフトを利用してコンテンツ表現を高める必要があります。

TikTokの独特な撮影フォーマットと、各ユーザーが趣向を凝らして編集した旅行体験を伝えるコンテンツに注目が集まりつつあります。

同時に、ユーザーが1分程度スマホを眺めるだけで追体験できるコンテンツが集まるTikTokを“Story Telling as a Service”と呼び始める人も登場し始めました。アプリを通じてストーリー調の体験をユーザーに伝えるコンテンツが量産されるプラットフォームを指します。

動画編集市場を一変させる可能性

low angle view of lighting equipment on shelf
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先述したように、ストーリー仕立ての旅行動画を制作するには映像編集に強い人材が必要です。言い換えれば、現在こうしたコンテンツ領域に張っている動画製作者が人気コンテンツを配信できる状態といえます。

しかし、TikTokが撮影フォーマットやARフィルターなどを将来的に追加してくれば、一般ユーザーでも似たような世界観をいずれ編集して再現することが可能となるかもしれません。

もともと独特の動画編集フォーマットを用いて、動画編集ツールの役割を担いながら成長してきたTikTok。いわば動画編集ツールを他のどのサービスよりも民主化したのが同アプリです。編集ツールとしてのTikTokの進化を考えた際、たとえば冒頭で紹介した地下鉄コンテンツを手軽に真似ることもできるようになるかもしれません。

ここで今後の市場感として捉えておくべきなのが、VFXコンテンツ製作者に代表される動画編集者の活動領域・作品発表プラットフォームが旅動画の人気と共にスマホへとシフトしつつある点です。

TikTokの台頭と共に、従来映像編集スタジオでしか出来なかったことが徐々にスマホのフィルターで出来るようになっている市場変革の兆しがすでに芽生えています。これを指して“Movie Studio in the phone”と市場では称されます。

こういった未来を逆算した際、相当高度な映像編集技術を要するコンテンツが、TikTokの成長と共に量産され、現在活躍している動画編集者の価値が目減りしてくることが予想されます。

5-10年の時間を費やすと思いますが、TikTokを筆頭に“Story Telling as a Service”の概念が広まり、高い再現性を用いてあらゆる物事を追体験できるコンテンツが広まることで起こる動画市場の変化に注視しておく必要があるでしょう。

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【Airbnbハック】 ECブランドが仕掛ける“体験する宿泊事業”ーー 新コンセプト「Airbnb as a Service」とは?

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ピックアップ記事: Why your eCommerce store should open an Airbnb ECブランドによるチャネルハックが起きています。顧客へ商品・サービスを届ける媒体の費用対効果を圧倒的に効率化させる手法が一般化し始めている印象です。 小売ブランドが大きなメリットを受けるチャネルハックの分野は往々にして不動産。たとえば2015年にサンフランシスコで創業した「b8ta」の…

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ピックアップ記事: Why your eCommerce store should open an Airbnb

ECブランドによるチャネルハックが起きています。顧客へ商品・サービスを届ける媒体の費用対効果を圧倒的に効率化させる手法が一般化し始めている印象です。

小売ブランドが大きなメリットを受けるチャネルハックの分野は往々にして不動産。たとえば2015年にサンフランシスコで創業した「b8ta」の例が挙げられるでしょう。累計調達額は3,850万ドルに及ぶ大型スタートアップです。

b8taは月額2,000〜3,000ドルで店舗の一画を各ブランドの販売商品の展示スペースとして割り当てる不動産事業を展開しています。自社で不動産を購入することはないため、いわゆる又貸しのビジネスモデル。EC事業者が手軽に一等地店舗に商品を並べる機会提供をおこなっています。

月額サブスクリプションモデルのためb8ta側は一定売上が担保されます。従来、店舗ビジネスを展開する事業者が収益をあげるには商品を売りさばく必要がありました。しかし、販売売上に左右されずに一定の売上予測が可能になったのです。出店ブランド側も多額の出店費用リスクを負う必要がなくなるWin-Winの関係構築ができました。

さて、b8taの事例は「店舗チャネル」のハッキングです。店舗を持てなかったECブランドが柔軟な料金体制と出退店契約を通じて手軽に顧客へ商品体験を届けられるようになりました。

そして昨今、ECブランドがAirbnbを通じた「宿泊チャネル」のハッキングを行なっている傾向にあります。

ホスピタリティをマーケティング戦略の武器にする

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Airbnbに「出店」するECブランドたちが徐々に登場してきました。ここから簡単に4社ほど事例をピックアップ記事から引用する形で挙げたいと思います。

  • Casa Mami: デザイナーズECブランド「Casa Mami」はAirbnb宿泊事業を戦略の主軸に据えている企業。特別にリノベーションされたデザイナーズハウスにAirbnb経由で宿泊ができます。ハウス内に置かれている全ての家具や日用品はECサイト上で購入できる導線ができています。
  • Utility Canvas: 日用品ECブランド「Utility Canvas」は都市部で宿泊場所を探している人ではなく、バケーション客をターゲットに宿泊箇所を提供。1泊85ドルから滞在が可能。最大6人が宿泊でき、ビーチすぐ側でゆったりと過ごせるそう。部屋には同ブランド商品が置かれており、滞在中に自由に使えるとのこと。
  • Floyd: Eコマース事業者である家具ブランド「Floyd」。 本記事執筆時には14拠点の宿泊部屋を展開。ピックアップ記事によると、Airbnbを利用している旨を前面に推し出しているとのこと。
  • Marine Layer: 衣料品ブランド「Marine Layer」はAirbnbに3つのアパートルームを展開。実店舗を持っており、宿泊部屋は全て同ブランドが主要都市で展開する小売店の上階にあります。 部屋の内装や雰囲気はMarine Layerが展開する服のラインアップに合うように調整されています。 また、Airbnbsに滞在する人は、店舗で15%の割引を受けられる特典付き。 Marine LayerはAirbnbと公式のパートナーシップを結んでいませんが、サイト上ではまるで自社運営の宿泊事業のようにサービスを展開しているのが特徴です。
woman in the kitchen preparing to cook
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ここまで紹介した4つのブランド達は「ホスピタリティ・ブランディング」を戦略軸に置いている企業です。

ホスピタリティマーケティングの利点は、単に製品だけを売るのではなく、“ライフスタイル全体を売る”ことに重きを置いています。配置する全ての生活用品のキュレーンレベルを高め、ブランド商品を通じてどのような生活を送れるのかを体験させます。

なぜホスピタリティ・ブランディングを重視しているのかという理由に次のデータが挙げられます。冒頭に紹介した記事よると、ミレニアル世代の84%が一般に認知されているブランディング手法を好まない/信用しないと回答しているそうです。一方、自分たちの価値観と一致し、個々のアイデンティティに適合する「本物のブランド」に魅了される傾向にあるとのこと。

単調な商品機能の説明ではなく、「体験」を求める時代になってきたことが上記のデータから伺い知れます。こうした時代のソリューションの1つが「店舗」であり、最近登場したのがECブランドによる宿泊事業といえるでしょう(Marine Layerのみ実店舗所有)。

ソフトウェア化するAirbnb

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Image Credit : © Airbnb, Inc.

ブランドがAirbnbを活用する強みは「ハコ」がすでに用意されている点でしょう。不動産を購入することなく、ホスト宅を一度内装を加えて、生活環境を整えるだけで宿泊事業として展開が可能となります。

こうした既存ハードウェア(ここではホストが持つ不動産)にSaaSの概念を持ち込み、宿泊 × ブランドの流れに最適化した業態を「Airbnb as a Service」と筆者は呼んでいます。

ビジネスモデルの観点からでもWin-Win-Winの3方良しの関係を築けます。

ホスト側からすれば、信頼できるブランドが部屋をデザインしてくれるため、高品質な滞在環境を実現できるでしょう。滞在客からの評価も高くなる傾向になるでしょうから、必然的に検索結果上位に選ばれ、平均流入客も比較的高くなると予想されます。

Airbnb側にとっては、ブランドが出店してくれることから、さらなるサービス認知度の向上、先述したホスト側のメリット増大が見込めます。また、ブランド監修の滞在体験は単価を多少高く設定することで、収益増加が狙えるかもしれません。

white fabric sofa set with coffee table
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ブランド側からすれば、初期投資に当たる部屋のデザイン費用さえ負担すれば世界中のあらゆるAirbnbネットワーク上に商品体験できる拠点を構えることができます。なお、初めから自社ブランドと雰囲気の合う部屋を持つホストにリーチすれば、内装コストも省き、宿泊施設に置く商品コストのみでで宿泊事業へと進出できるでしょう。

ちなみに先述したデザイナーブランド「Casa Mami」のように家を丸ごとリノベーションすることを除き、部屋の内装変更は中堅ブランドにとってみれば巨額の支出にはならないでしょうし、事実上ブランド商品を適切に配置するだけで事業展開できそうです。

また、Walmartに買収された小売ブランド「Bobonos」が展開するガイドショップ機能を持つような拠点として働くことも考えられます。Bonobosは店舗にほとんど在庫を持たず、顧客が店舗で商品を体験・購入の決定をしたあとはECサイト経由で購入プロセスを踏んでもらい、購入品は後日の自宅配送される仕組みを採用。

こうした店舗戦略を模倣し、在庫スペースを確保しなくてはならない店舗の代わりにAirbnbを使う活用法が確立されているのです。ミレニアル世代が望まないマーケティングへ莫大な費用をかけるのではなく、1ライン1商品を各滞在拠点に設置するだけでマーケティングチャネルを確立できます。

加えて、暮らしの中で商品体験をおこなうため、定量データでは測れない多大なインプレッション率を弾き出せるのも魅力です。どのような商品に興味を持ち、どのような生活をしているのかを定性的な視点から測ることができるはずです。

このように、宿泊施設の流動性はAirbnbの登場以来、世界中で高まっています。日本参入を果たしたOYOなども、こうした文脈のなかでECブランドの宿泊事業として利用される可能性は高いかもしれません。Yahoo!や楽天、BASE、ZOZOに出店するオーナーさん達が手軽に自社ブランド商品を生活体験できる場所として、様々な宿泊事業者と提携する未来はちょっと楽しそうです。

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AIでソフトウェアテストを自動化する「Autify」が250万ドル調達ーー世界のテストエンジニア不足問題を解決する

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10月2日、AIを用いたソフトウェアテスト自動化プラットフォーム「Autify」がシードラウンドにて250万ドルの資金調達を発表した。引受先となったのはグローバル・ブレイン、セールスフォースベンチャーズ、アーキタイプベンチャーズ、その他個人投資家複数名。 今回の調達で累計の資金調達額は307万ドルに到達。3月からクローズドβ版としていたAutifyの公式ローンチも発表された。 Autifyは201…

10月2日、AIを用いたソフトウェアテスト自動化プラットフォーム「Autify」がシードラウンドにて250万ドルの資金調達を発表した。引受先となったのはグローバル・ブレイン、セールスフォースベンチャーズ、アーキタイプベンチャーズ、その他個人投資家複数名。

今回の調達で累計の資金調達額は307万ドルに到達。3月からクローズドβ版としていたAutifyの公式ローンチも発表された。

Autifyは2019年2月、米国アクセラレータ「Alchemist Accelerator」のプログラムを日本人チームとして初めて卒業したスタートアップ。以来、150超のデモリクエストを獲得し、現在の公式リリースに至る。調達した資金はプロダクト開発体制・販売体制の強化、グローバル市場の開拓に活用する予定とのことだ。

<参考記事>

Autifyが解決する市場課題はエンジニア人材の不足に伴う、ソフトウェア検証作業の不備だ。同社によると、グローバルでは既に92%が高速で開発サイクルを回す考え「アジャイル開発」を採用しており、そのうち71%が週1回以上のリリースを希望しているという。

一方、人力で検証作業を行なっていてはチームが求める開発スピードに一切追いつかない。たとえばスタートアップでは多少の機能不備があったとしてもアップデートをかけてしまう。しかし大手企業のサービスとなるとそうはいかない。

ユーザーからのバグ指摘は製品のみならず、企業ブランドにも直接影響を及ぼしかねない。複数のサービスを立ち上げている大企業にとって、関連サービスの評価にも影を落とす可能性もある。

そこでAutifyが登場する。プログラムコードを書くことなく、ウェブアプリケーションの検証作業が自動化を可能とし、非エンジニアでも手軽にテスト自動化ができる。

また、AIがアプリケーションコードの変更を監視し、自動で検証シナリオの修正を行うため、メンテナンスコストを大きく下げられる点も大きな特徴の1つ。従来、検証作業のための自動化コードを仕込んでいても仕様がすぐに変更されてしまうという事案の課題解決も目指す。

さて、現在は日本企業向けにサービスの拡大をしているが今後は海外進出を本格化させる予定だという。そこで欧米の市場状況にも軽く触れておきたい。

ソフトウェアテスト市場には一定の需要が発生していることは他社の資金調達状況からも明らかだ。8月には直接競合になり得るSpotQA」が325万ドルを調達している。少しアプローチは違うが、コードレビューを自動化するDeepCode」は400万ドルを調達。いづれもAutifyとほぼ同額の調達をしていることから資金力は拮抗していると言えるだろう。

昨年には機械学習を使ったソフトウェアテストを行うMabl」が1,000万ドル調達。2012年のYCombinatorプログラムを卒業したテスターをクラウドソーシングで集める外注サービスRainforest QA」は2,500万ドルもの調達に成功している。

競合スタートアップの資金調達の動きを見ると、Autifyの成長余地および市場需要は大いに残されていると思われる。3-4年以内に欧米基準のシリーズA・Bに達することも見えてくるかもしれない。そこで代表の近澤 良氏にAutifyの競合優位性と海外市場攻略のための長期戦略を最後に聞いた。

近年、アジャイル開発の浸透によりソフトウェアテストの自動化が大きな注目を浴び、急速に市場が拡大しています。グローバル規模でのテスト市場はIT市場の1/3をも占める約120兆円の超巨大市場に成長。向こう5年程でおよそ1/10が自動化市場になると予測されています。

一方、市場に存在する製品はエンジニアでないと使いこなせないような、専門的な知識を必要とするものがほとんどです。多くの企業はエンジニア不足に頭を悩ませており、非エンジニアにも自動化をスケールできるソリューションを求めている需要に応えきれていません。

そこでAutifyはコーディング不要で誰でもアカウントさえあれば、簡単にクロスブラウザのテストが自動化できる製品を開発しました。どんな人でも扱える手軽さをグローバル市場展開するための大きな差別化ポイントとし、今後拡大する市場需要に最適な形で応えていきます。

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Forever 21、再建の道はAI × 不動産?ーーSaaSによるファストファッション大再編の兆し

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ピックアップ: Forever 21 might file for bankruptcy. What does that actually mean? ニュースサマリー: 8月末、世界中に約800店舗を展開するファストファッション・ブランド「Forever 21」が破産申請の準備をしていると報じられた。同社は推定年間売上高が30億ドルを超えている。加えて、日本法人は10月末をもって撤退することが決…

ピックアップ: Forever 21 might file for bankruptcy. What does that actually mean?

ニュースサマリー: 8月末、世界中に約800店舗を展開するファストファッション・ブランド「Forever 21」が破産申請の準備をしていると報じられた。同社は推定年間売上高が30億ドルを超えている。加えて、日本法人は10月末をもって撤退することが決まっている。

2017年以降、米国大手小売店舗の代名詞であった「Sears」や「Toys R Us」を筆頭に破産が伝えられているが、Forever 21も実店舗を軸に成長を遂げてきた企業としてここに名を連ねることになってしまった。AmazonなどのEC事業者に市場シェアを徐々に奪われたことも大きな要因のひとつだろう。

『Vox』の記事によるとこうした小売企業は買収を通じて事業拡大をする傾向にあり、買収資金のための一時的な借入金や金利返済の割合が高まった結果、利益率の低迷を引き起こすことに繋がった。ここに追い討ちをかけるように小売市場再編に伴う実店舗での収益の落ち込みが発生、経営が立ち行かなくなるケースが増えている、というのが大きな流れのようだ。

9月末の現時点ではForever 21の破産が決定したわけではない。しかし、日本市場から撤退方針がすでに決まっていることから、事業縮小の運びになることは間違いない。債務整理を行ったのちに改めてブランドが0からスタートを切る可能性についても記事では述べられている。

話題のポイント: 2、3年ほど前から、実店舗企業が衰退していくニュースを度々目にしてきました。事実、『CNBC』の記事によると、2019年の店舗開店数は5,994に上る一方、閉店数は2,641に達すると予測されています。Forever 21もこの負の連鎖に巻き込まれてしまった形といえます。

さて、Forever 21に代表される大手アパレル企業がドミノ倒しに破産申請していく可能性も否めない昨今、ファッションブランドが生き残る術はSaaS化を図ることに尽きると感じています。3例ほど企業を挙げます。

1社目はパリ拠点のアパレル市場向けAI企業「Heuritech」。2013年に創業し、9月3日に440万ドルの資金調達を発表しています。同社はインターネット上に落ちている画像や文字データをコンピュータビションで分析し、リアルタイムの消費者トレンドを読み取るサービスを展開。

2017年に独自データ分析プラットフォームを本格的に立ち上げ、Louis VuittonやDior、Adidasを顧客に抱えます。300万以上のデータを日々分析し、約2,000ほどの画像パターンを弾き出すとのこと。このパターンがトレンド商品のもととなる色・形状・製品カテゴリーに当てはまります。

ビックデータ解析によるトレンド商品開発の高速化を図るのが最近の市場トレンド。パリコレクションやロンドンコレクションなどの世界的なファッションショーを見てから毎年の推し商材を決めて生産するペースでは追いつけないスピード感になっています。そこで登場したのがHeuritechというわけです。

一方、トレンドデータを持つだけでは消費者に商品を届けることができません。そこで登場するのが2社目の「The/Studio」。2013年に創業し、2018年にシリーズAにて1,100万ドルの資金調達を行なっています。

The/Studioはオンデマンド・アパレル商品生産プラットフォームを提供するスタートアップ。顧客企業はプラットフォームを通じてアパレル商品の設計から生産までを手軽に発注できます。世界約5,000の工場をネットワークに持ち、NikeやAdidasなどを含む10万超の顧客が登録済み。累計3,200万品を超える製品の設計および生産をおこなっています。

Airbnbのようなマーケットプレイス概念を世界中に点在するアパレル商品の生産工場に適用。一括管理することで各アパレル企業が小プロセスで大量生産体制に至るまでをサポートしています。まさに生産工場市場のSaaS化を果たしたのがThe/Studioといえるでしょう。

ファストファッション企業にとって最も脅威となるのが、トレンドデータを持つHeuritechが製造網を持つThe/Studioを活用して商品販売にまで至る戦略を描いてくるシナリオでしょう。いまではShopifyを通じていつでもEC店舗を立ち上げられることから、店舗の立ち上げ自体も非常に容易。データさえ持っていれば自社ECファストファッション・ブランドを立ち上げることが可能です。

AIによるトレンド分析を軸に、高速で商品生産をおこなえば、売れ筋商品だけを展開できるため非常に高確率で全ロットを売り切ることに繋がります。実際、昨年お伝えした「Choosy」はまさに同じモデルを展開しています。

Choosyは人気インフルエンサーのスタイリングを識別するAI画像認識アルゴリズムを導入。分析結果からどのようなスタイルがインフルエンサーに人気で、トレンドになっているのかというデータを抽出。同データを参考にしつつ、デザイナー達が人力で10パターン以上のコーディネートを選択。中国拠点の工場で高速生産をおこないます。

このようにAIスタートアップがアパレル市場をディスラプト(破壊)・再編する兆しが見え始めているのが現状です。では、Forever 21は市場再編のなかでどのような生き残り戦略を考えられるのでしょうか。1つのアイデアとしてはAIを活用した不動産事業に終始する業態を目指すことです。

Forever 21の最大の競合優位性は立地の良い場所に店舗を構えている点と、Instagramに1,600万以上のフォロワーを持つ分厚いファン層でしょう。熱量の高いコミュニティ群を各国に持っているのがForever 21。先述したスタートアップ3社では持ち得ない「顧客とのダイレクトチャネル」を持っています。

ここで仮にForever 21がトレンド商品の立案・提携工場での生産を外部に任せ、AIを基にした商品展開と店舗運営のみに特化した仕組み作りをした場合、他のファストファッションとは一線を画せる可能性が見えてきます。

具体的には下記のような業態になるのではないでしょうか。

  • (1) Heuritechらから仕入れたビックデータに基づいたトレンド商品アイデアを世界中のデザイナーたちに開放
  • (2) 世界中のデザイナーたちはアイデアを基に商品デザインをアップデート。商品化できる形にまで仕上げる
  • (3) 一定金額の出店費用を支払ってもらう代わりに、売上をシェアする契約をデザイナーと結ぶ(月額3,000ドルからForever 21の該当店舗に商品を置ける契約など)
  • (4) 契約締結と同時に、The/Studioらの外部プラットフォームに高速生産を外注
  • (5) Forever 21ブランド表記で商品を販売し、1,600万フォロワー基盤に対して展開
  • (6) ブランド価値を損ねない一方、各商品のアイデアは世界中の著名デザイナーとの共作であり、単なるトレンド商品以上の価値提供が可能
  • (7) 出店費用を肩代わりしてもらっているため損失計上は最大限免れる計算。データに基づいた商品設計がされているため、売上を両者とも高確率で担保できる

「トレンドデータの収集」「効率的な製造および物流網」を外部に委託する形で、圧倒的な顧客体験とサプライチェーンの仕組み化をしてしまうことで各生産工程の効率化を図る構想です。収益は売り場の貸し出し金から発生するため、事実上の不動産事業化する考えです。EC事業者向けに商品ブースを貸し出す「b8ta」や「Bulletin」のモデルを踏襲しています。

10代〜20代前半を指す最新消費者層「ジェネレーションZ世代」の75%が実店舗でのショッピング体験を重視すると答えているといいます。店舗体験は未だ完全に廃れているわけではないため、顧客との対話の場所として価値は眠っています。この点、リソースを店舗運営にのみ特化させることでForever 21の経営再建に繋がる可能性があると感じています。

いずれにせよ、AIスタートアップがアパレル市場に切り込んで来てからすでに2、3年の月日が経ちます。いつデータサイエンスを事業基盤に置いた次世代ファストファッションが登場してもおかしくないと思います。

そこでForever 21はAIトレンドを味方につけた新たな小売業態の採用が必要となるでしょう。上記に挙げたのは私が考えた粗いアイデアに過ぎませんが、自社で商品企画から生産体制までを回すサプライチェーンを持ち続けるコスト感は維持できないと感じています。

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