Takashi Fuke

Takashi Fuke

執筆記事

給与格差やハラスメント是正に動くスタートアップの必要性とその方法

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性別やマイノリティ格差を是正する動きが欧米を中心に長く続いています。また、日本でも見かける給与格差やハラスメント是正に動くスタートアップが登場しています。 「PayScale」のデータでは、女性の収入の中央値と男性の収入の比率を算出したところ、男女間の賃金格差は2015年から0.07ドルしか縮まっていないそうです。2020年には女性は男性の稼ぎ1ドルに対して0.81ドルしか稼げない状況で、40年間…

Image Credit:Syndio

性別やマイノリティ格差を是正する動きが欧米を中心に長く続いています。また、日本でも見かける給与格差やハラスメント是正に動くスタートアップが登場しています。

「PayScale」のデータでは、女性の収入の中央値と男性の収入の比率を算出したところ、男女間の賃金格差は2015年から0.07ドルしか縮まっていないそうです。2020年には女性は男性の稼ぎ1ドルに対して0.81ドルしか稼げない状況で、40年間のキャリアにわたって与えられた推定昇給を計算すると、生涯で平均90万ドルの損失を被ることが判明しています。

たとえばジェンダーが原因の給与格差などは、大手企業であればあるほどネガティヴなブランドイメージしか世の中に与えません。そこで登場した「Syndio」は、給与分析を通じて、適正な給与体系を提案するサービスを展開しています。同社はこのほどシリーズBの資金調達で1,710万ドルを調達したと発表しました。Bessemer Venture Partnersが資金調達ラウンドをリードし、Next Play CapitalとConcrete Rose Capitalが追加出資しています。

性別、人種、民族、年齢に結びついた差別的な給与の差を根絶し、それらの格差を是正するための施策提案までを提供しています。たとえば、Syndioのスタッフィング機能では、全体的な公平性を維持するために、新規採用者を雇用するための適正な給与計算をおこないます。

Nordstrom、Slack、Adobe、Vimeoなど60社以上の顧客を抱えており、賃金差別訴訟やネガティブな報道から顧客企業を守るのに役立っているそうです。賃金平準化への取り組みは、強力な採用ツールにもなっています。

Image Credit:Tall Poppy

給与だけでなく、ハラスメントに関しても問題視されています。2017年の調査では「アメリカ人の5人に1人近く(18%)が、身体的な脅迫、持続的な嫌がらせ、セクハラ、ストーカー行為など、オンライン上で特に深刻な形態のハラスメントを受けたことがある 」という情報もあります。コロナ前のデータではありますが、直接誰かに触れる機会がなくなったことで、嫌がらせはインターネットへと場を移すことも考えられます。

Tall Poppy」はオンラインハラスメントに特化した従業員ケアサービスを提供している企業です。各ケースを審査した上で、正しい対処方法や法的処置の知識、セーフティスコアの計測など、あらゆるシチュエーションに対処してくれます。このようなオンライン化が進んだ社会における新たな犯罪から従業員を守るサービスにも注目が集まりそうです。

また、1,000万ドルの資金調達を果たしている「Emtrain」は、データドリブンなアプローチから、企業カルチャーを公平に保つためのオンライン教育やガイダンスサービスを通じて、主に女性の不均等を是正するためのプラットフォームを展開しています。

職場の文化的要素を随時モニタリングし、問題を診断。グローバル平均と比較してベンチマークとなる項目を洗い出します。企業教育システムおよび人事システムと連携し、パワハラ、セクハラ、悪い企業倫理観、無意識バイアスなど、リスクが高いと判断された項目を解決するためのオンライン教育コンテンツを提供しているのです。従業員からのサーベイ調達に対応する形で最適な是正モデルを適用するサービスフローです。

今後、このような米国サービスのように、日本でもAIやビックデータを活用して対処しきれなかった、もしくは個別に対応していた企業人事の問題が効率的かつ定量的なアプローチから解消されていくかもしれません。

紛失トラッカー「Tile」がAR活用報道、より精細な紛失場所を確認可能に

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忘れ物トラッキングタグ「Tile」が、新製品の開発を進めていると報道されました。新製品は従来型のBluetoothを通じたものではなく、UWB(ウルトラワイドバンド)を採用したものになるそうです。加えて拡張現実機能を使い、紛失物の位置まで誘導する機能を実装すると予想されています。 UWBの強みは空間と方向データも取得できる点です。例えばビルやマンションの具体的にどの階で失くしてしまったのかを確認で…

Image Credit:Tile

忘れ物トラッキングタグ「Tile」が、新製品の開発を進めていると報道されました。新製品は従来型のBluetoothを通じたものではなく、UWB(ウルトラワイドバンド)を採用したものになるそうです。加えて拡張現実機能を使い、紛失物の位置まで誘導する機能を実装すると予想されています。

UWBの強みは空間と方向データも取得できる点です。例えばビルやマンションの具体的にどの階で失くしてしまったのかを確認できるようになります。これまで2Dマップ上から紛失トラッカーを検索する体験から、3Dマップや空間から検索する体験へと変わるでしょう。ARを活用した空間機能の開発は、Appleが社運を賭けて進めている領域でもあります。事実、Appleは昨年のkeynoteイベントで空間オーディオ機能を発表しました。同社のAirPodsシリーズへの応用が可能です。

なにより、AppleはTileライクな紛失トラッカー「AirTag」の開発を進めているとも言われています。本当にAirTagのリリースが近くされるのであれば、AirPodsとAirTagのコンボ利用は強力なユースケースとなるでしょう。わざわざアプリを開かずとも、Siriを介して伝えられる紛失トラッカーの方向を、AirPods経由で立体的に聴けるといったシーンが考えられるためです。音声だけで完結するガイド機能の実装ができます。

さらに、AppleはARグラスの開発を水面下で進めているとされています。上記は音声を中心としたケースでしたが、次世代グラス端末が普及した時代では、画面上にぱっと紛失物の方向が表示される機能実装も考えられます。これはTileの新製品にあるAR機能をリプレイスするものとなるはずです。中長期的にTileはビッグテックの一角と競合する可能性が高まっていますが、ブランドと市場シェアをどのように守っていくのかに注目が集まります。

Appleの自動運転車開発にみる、脱デジタルハブ構想のゆくえ

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Appleの次世代ハードウェア開発の話題がいくつか出ています。 特に注目なのは21〜22年に予想されているARグラスの発表ですが、それとは別に24年を目処に自動運転車の開発を進めていると報じられました。乗用車の開発だけでなく、画期的なバッテリーまでも市場へ送り出す予定のようです。あくまでも噂レベルの話ですし、パンデミックの影響もあるため時期は曖昧だとしても自動運転車の開発に着手しているのは確かなよ…

Image Credit:Michał Kubalczyk

Appleの次世代ハードウェア開発の話題がいくつか出ています。

特に注目なのは21〜22年に予想されているARグラスの発表ですが、それとは別に24年を目処に自動運転車の開発を進めていると報じられました。乗用車の開発だけでなく、画期的なバッテリーまでも市場へ送り出す予定のようです。あくまでも噂レベルの話ですし、パンデミックの影響もあるため時期は曖昧だとしても自動運転車の開発に着手しているのは確かなようです。

ここで考えたいのがAppleのユーザー体験に関する大きな転換についてです。具体的には来年以降、故スティーブ・ジョブズ氏が提唱した「デジタルハブ戦略」を抜け出し、次の長期戦略を描くターニングポイントを迎えると考えられます。

2001年頃はパソコンがCDやビデオ機材などの周辺機器の絶対的なハブとなる考えでした。しかし、今となっては必ずしもパソコンを持つ必要がなくなり、モバイルだけでデジタル体験が完結する時代へ移行しています。そしてこれからは、モバイル以外の次世代端末も登場して拡大していくことが予想されます。言い換えれば、ハブとなる端末の絶対的な存在価値が徐々に下がってくると考えられるのです。

一方、これらのデバイスが全てクラウドで繋がることで重要性が上がるのが「コネクティビティー」です。

たとえばiPhone、AirPods、グラス端末のそれぞれが特定の利用シーンを担い、3つのハードウェアを上手く使い分け、連携して使うことで1つの体験が生まれる、といった具合です。データはクラウドに保存、共通音声UIのSiriを切り口に情報検索から指示出しまでできるので、どれか1つの端末を唯一のハブとして利用することが少なくなります。

どの端末からでもAppleが提供するデジタル体験へ入ることができ、複数の端末を並列して使うことで体験は強化されます。必ずしもパソコンを持たなければいけない必要条件は課されなくなるでしょう。

製品開発ロードマップは2000年代から大きく変わり、2020年以降はパソコンやモバイルといった平面のデジタル体験から、ARや自動車内、音声といった3D空間体験へとシフトしていくのは確実です。先日の発表会で、空間オーディオ技術を発表したこともその一環と考えれば自然です。

このようなテックジャイアンたちの3D体験への移行は新たなメガベンチャーを生み出すきっかけになるかもしれません。今後数年はAppleの動きのみならず、次世代ハードウェアに乗っかる形で、新たなサービス体験も誕生すると予想されます。

Twitterによる買収と閉鎖、SNSの転換点到来か ーー 新たなソーシャル像を作る3つの動き

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Twitterに大きな動きがありました。具体的には3つ。 1つは音声市場参入の兆し。18日に「Twitter Spaces」の名前で音声チャットルームサービスを限定招待の形で立ち上げました。著名VCのAndreessen Horowitzが出資し、1億ドル評価で大型調達を果たした「Clubhouse」を意識した動きです。音声ツイート機能を招待制で展開を始めたことから、今後数カ月で世界中のユーザーが…

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Twitterに大きな動きがありました。具体的には3つ。

1つは音声市場参入の兆し。18日に「Twitter Spaces」の名前で音声チャットルームサービスを限定招待の形で立ち上げました。著名VCのAndreessen Horowitzが出資し、1億ドル評価で大型調達を果たした「Clubhouse」を意識した動きです。音声ツイート機能を招待制で展開を始めたことから、今後数カ月で世界中のユーザーが参加する可能性があります。

2つ目はスクリーンシェアサービス「Squad」の買収。友人とライブ動画感覚でおしゃべりできるサービスで(買収発表直後にクローズ)、Netflixを一緒に視聴する機能も実装されており、在宅中に1人で楽しんでいたコンテンツを多人数で消費できるものです。本買収は、Fortniteを開発する「Epic Games」が買収した友人同士の動画コミュニケーションアプリ「Houseparty」に追随する動きです。

最後が「Periscope」の閉鎖発表。2015年にTwitterに買収されたライブ動画配信サービス、Periscopeが2021年3月までに閉鎖されるとのことです。閉鎖までの期間、ユーザーは同アプリ内に残った動画データをダウンロードできます。サービス立ち上げ・買収・閉鎖のニュースを直近1カ月以内に立て続けに発表したTwitterは今後、どのようなサービス像を目指しているのでしょうか。キーワードは「フラット」と「共有体験」です。

最近では配信者と視聴者の関係図に代表される、主従関係の構図が徐々に時代遅れになってきています。テレビ番組に見られるような、ただコンテンツを受け取るような形です。2020年以降のトレンドはもっぱらClubhouseやSquadに見られる、ユーザー同士が対等な関係値で話し合える場を提供することにありました。先述したように、従来1人だけで楽しむような体験を共有する価値観に注目が集まっています。この点、2010年代に成長をしてきたSNSはそのサービス像を大きく変える必要が出てきました。

Twitterはその瞬間に感じたことをつぶやき、他のユーザーとコメントやリツートでやり取りする最初からフラットなSNSを構築していました。ただ、Periscopeは配信者と視聴者の関係でサービスが成り立っており、友人間の会話ではなく、あくまでも「配信」にこだわっています。これでは統一性が感じられません。そのため、音声チャット立ち上げやスクリーンシェアサービス買収に動き、Twitter本来の提供価値とはズレてしまったPeriscopeを切ったのでは、と想像されます。

奇しくもPeriscopeと最後まで市場競争を続けたMeercatは、後にHousepartyにピボットしてEpic Gamesに買収されています。コロナの影響もありそのユーザー数を爆発的に伸ばしたこともあり、最終的な勝者は先に買収されたPeriscopeではなく、旧Meercatだという歴史が証明されてました。それもこれも、ユーザーの権限に差をつけるのではなく、友人間のフラットな関係作りに注力したためだと考えられます。

Twitterが今後目指すのは、まさにユーザー同士がバックグラウンドを気にせずにフラットにコミュニケーションが取れる場所であり、「Interest-Social-Network」とかつて呼ばれていたように、ユーザー同士の興味に基づいてマッチングが行われ、関係を深められる場所だと感じます。

デジタルツインへ繋がる“ハードウェア版GitHub”ーー未来の成果物を予測する世界へ

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ハードウェア・エンジニアリングの考えが大きく変わろうとしています。 会社に集まって多人数でブレストをしたり、開発進行することが難しい今、リモート、かつオンラインで意見を出し合い、ファイルのやり取りを通じて成果物を作っていく工程が必須となりました。そこで登場したのが4月に5,000万ドルの調達を果たしたオンラインホワイトボード「Miro」や、2月に630万ドルの調達を発表したデザイナー向けプロトタイ…

Image Credit:Wikifactory

ハードウェア・エンジニアリングの考えが大きく変わろうとしています。

会社に集まって多人数でブレストをしたり、開発進行することが難しい今、リモート、かつオンラインで意見を出し合い、ファイルのやり取りを通じて成果物を作っていく工程が必須となりました。そこで登場したのが4月に5,000万ドルの調達を果たしたオンラインホワイトボード「Miro」や、2月に630万ドルの調達を発表したデザイナー向けプロトタイプツール「ProtoPie」などです。

同様の流れがハードウェア分野にも起きています。注目されるキーワードは「ハードウェア版GitHub」です。

例えば240万ドルの調達を実施した「Valispace」は、宇宙衛星や航空、医療機器、原子炉といったエンタープライズ・エンジニアリング向けの開発プラットフォームを提供しています。NASAが火星探査機の打ち上げにかつて失敗した際、問題とされたのがチーム間の単純な単位表記の違いでした。ただし、当時はペーパーベースで開発資料のやりとりがされていたため、最終的に気付かれることがありませんでした。こうした失敗をGitHubのコンセプトを用いることで防ぐのがValispaceです。

また、300万ドルの調達を果たした「Wikifactory」も挙げられます。190か国以上で利用され、7万ユーザーに使われるほどの共同プラットフォームに成長しています。チャット機能付きCADツールとして、リアルタイムに世界中の開発者が制作活動を行えます。コロナ禍の環境で高い提供価値を発揮しています。

Image Credit:Wikifactory

ハードウェアに関しては、成果物がどのように動くのかを実際に試すか、もしくはデジタル空間でシミュレーションする必要性が出てきます。特にValispaceは大型で危険なモノを作り上げることを想定しているため、シミュレーション機能に強みを出している印象です。

そして「ハードウェア版GitHub」の考えは、昨今頻繁に聞くようになった「デジタルツイン」のコンセプトへと繋がります。ではデジタルツインとは何か。一言でいえば、“機能する”デジタル世界です。下記がデジタルツインのざっくりとした定義です(定義は諸説あります。あくまでも筆者の現時点での考え)。

  1. 共同プラットフォーム:オンライン上に多人数にコラボレーションをしながら制作していく
  2. 同期性:時間軸を考えず、非同期であってもその場で一緒に作業しているように制作できる。そのため履歴機能が重要となる。決してリアルタイムだけでなく、非リアルタイムでの作業に強くなければ、世界中の人材をフル活用できないため。
  3. ノーコードと事前予測:ユーザーの作りたいものを機械側が先回りで提案して制作を支援する。また、iPadアプリで雑なスケッチ手書きを綺麗な図形に自動で直してくれる機能のように、AIがユーザーの期待成果物を予想して形にしてくれる機能が必須となる。
  4. シミュレーション:デジタル空間でプロトタイピングデータを実際に動かす。その際、現実世界を限りなくリアルタイムに反映したデジタル世界で効果を確かめる。宇宙衛星の打ち上げや、都市開発シミュレーションなど。
  5. デジタルと現実世界が融合:デジタル空間での結果を基に、現実世界に操作指示を送る。もっともわかりやすい事例はエアコン。室温が一定以上(もしくは以下)になったら自動で点くようになっている。デジタルから現実に介入する。ここで仮想世界の想定成果と、現実世界の事象が重なり合い、「ツイン化」へと至る。もちろん現実世界からデジタル世界へ指示を出す逆の流れも存在する

単に現実の都市や工場に代表される大型施設の環境情報を丸ごとデジタル空間に作り出すことを「デジタルツイン」とは呼びません。それはただの「デジタル化」や「バーチャル化」です。AIをトレーニングさせるための仮想トレーニング環境の下地になるか、ユーザーが自分の行けない場所を観光するためのVRコンテンツどまりになってしまいます。

デジタルツインの真価は、現実世界とデジタル世界を“繋げる”ことです。正確には“反映”させることと言った方が正しいかもしれません。“ツイン”の文字に踊らされると、環境反映という必須条件を見落としがちです。デジタル上で作り出したモノをシミュレーションし、現実世界に反映させることで初めて成り立つのがデジタルツインです。

ちなみにデジタルツインが住宅単位で完成しているものを「スマートホーム」、都市単位で完成している「スマートシティ」と呼びます。現在のように部分的にIoTが導入されているものは未だ完全体とは言えません。そして地球規模単位で完成したものを「ミラーワールド」と呼びます。“ミラー”が指し示す“反映”しあう世界です。

さて、ValispaceやWikifactoryが紐解ける世界観はここまで説明してきたデジタルツインの先にある、スマート化された世界であり、ミラーワールドに繋がります。

遠隔で働く人同士が、AIの力も借りながらオンラインで構造物を作り上げ、仮想空間上でシミュレーションする。実際に製造してみた後も、リアルタイムに情報を取り続けてデジタル空間と現実世界の反映関係を維持し続ける。この一連の流れを実現できるのが先ほど説明した2社となります。

デジタルツインの世界を体現するスタートアップは、これから益々登場してくるはずです。今は単なるツールに過ぎないものであっても、5〜10年スパンでプロダクトの価値が最大化されるものが多く生まれると感じます。日本から世界へ、デジタルツイン文脈でどれほどのスタートアップが誕生するのかにも注目が集まるでしょう。

お店から直接視聴者へ売り込むライブショップ「Popshop Live」ーー 1億ドル価値へ急成長したワケ

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昨今、注目されるキーワードに「パッション・エコノミー」が挙げられます。この分野に積極的な関心を寄せるVCがAndreessen Horowitz(a16z)と、ライドシェア「Lyft」や家事手伝いマッチングプラットフォーム「TaskRabiit」に初期投資したVC、Floodgateです。 参考記事 いま米国で注目される新トレンド「パッション・エコノミー」とは?ーー 個性を売りにする“マイクロ起業…

Image Credit:Popshop Live

昨今、注目されるキーワードに「パッション・エコノミー」が挙げられます。この分野に積極的な関心を寄せるVCがAndreessen Horowitz(a16z)と、ライドシェア「Lyft」や家事手伝いマッチングプラットフォーム「TaskRabiit」に初期投資したVC、Floodgateです。

参考記事

なかでもFloodgateは、個人がお買い物代行サービスを立ち上げられるSaaSプラットフォーム「Dumping」へ2019年に出資。そして20年、小売店/販売業者向けライブコマースアプリ「Popshop Live」に出資しました。

Popshop Liveは小売店や個人事業者、クリエイターが直接視聴者に商品を売れるライブコマースアプリです。配信ユーザー(小売業者)は、自分だけのショッピングチャンネルを作成し、幅広い商品をリアルタイムで全国の視聴者に直接販売することができます。7月には300万ドルの資金調達を、直後の11月には1億ドル評価でシリーズAラウンドを迎えていると報道されました。

リアルタイム在庫管理、ジェネレーションZおよびミレニアル世代向けのポップな機能・テンプレート、パフォーマンス統計・詳細な指標レポート・リアルタイム分析機能、カスタマーサポートなどの諸機能を利用することができます。

他のライブストリーミングプラットフォームと違い、商品販売に特化したユースケースを想定しているのが特徴です。日本のBASEのように、個人が素早くライブコマース商店を立ち上げられるパッションエコノミー文脈を色濃くプロダクトに反映させています。ターゲット顧客となるのは、パンデミックの影響で実店舗売上が減少し、ECへの積極進出を狙う中小規模の小売事業者です。ユーザーとの密なコミュニティを作り、直接顧客と繋がれる場の創出を目指しています。

Image Credit:Popshop Live

かつて、ニューヨークの店舗から中国市場向けに洋服を売るライブ配信コマースサービス「ShopShops」が登場していました。テレビショッピング感覚でナビゲーターやキュレーターが実店舗から商品を紹介し、店舗内の商品を中国人客が購入していく越境ECの仕組みです。彼らの場合は専属の配信者が店舗へ出向き、ライブ配信するプロセスでしたのであくまでもプラットフォーム側が主導です。

一方、Popshop Liveは事業者自身がライブコマースECチャンネルを立ち上げられるサービスを展開しています。アプリ側は機能を提供する点に終始しています。そのため、集客や運用コストを下げられ、高額な販売手数料を抑えています。これは冒頭で紹介したDumplingでも同様の仕組みです。

一見すると、インスタライブの販売機能と真っ向から競合しそうです。ただし、ユースケースとそれに伴う販売機能を拡充させる、ショッピング特化型のアプリとして市場ポジションを確立するのが狙いに思えます。加えて、個人をエンパワーし、SaaSモデルに徹することで省コスト化に成功しています。こうした点が強みとなり、インスタライブとはまた違った成長性に期待が集まっています。

日本でも近いうちにPopshop Live同様のコンセプトを持ったアプリが登場すると感じています。パンデミック禍で営業不振な店舗の新たな収益源というサービスは共感を生みそうです。ただ、LINE Liveのような日本で有名なスーパーアプリとどこまで勝負できるのかが焦点となりそうです。

ちなみに日本ではファッション・美容系インフルエンサーがライブ配信で商品を売る「LiveShop」が登場していますが6月末にクローズ。自社でユーザーを集めつつ、物を売る難しさを物語っています。この領域に対し、Popshop Liveのようにユーザー自身が集客を担当する、比較的低コストで展開できるライブコマースアプリがもし日本で登場したら、どこまで市場に刺さるのかも注目を集めるでしょう。

いずれにせよ、パッションエコノミー文脈への投資は米国でどんどん進んでおり、日本でもその波がやってくる日も近いはずです。

処方箋配達を数行のコードだけで導入の「薬局版Stripe」日本の7兆円市場は誰が獲る?

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処方箋デリバリー市場が大きく変わろうとしています。 オンライン診察が主流になってきており、処方箋は薬局へネットで転送され、そのまま直接自宅へ薬が届く体験が浸透しつつあります。病院へ向かうこと自体がリスクになっている中、誰もが望む体験となりました。つい先日、Amazonが処方箋デリバリーサービス「Amazon Pharmacy」を立ち上げたことからも、今後は自宅で完結する診察体験が不可逆的なものとな…

Image Credit:Truepill

処方箋デリバリー市場が大きく変わろうとしています。

オンライン診察が主流になってきており、処方箋は薬局へネットで転送され、そのまま直接自宅へ薬が届く体験が浸透しつつあります。病院へ向かうこと自体がリスクになっている中、誰もが望む体験となりました。つい先日、Amazonが処方箋デリバリーサービス「Amazon Pharmacy」を立ち上げたことからも、今後は自宅で完結する診察体験が不可逆的なものとなるでしょう。

ただ、課題となるのは処方箋デリバリーのフルフィルメントを構築しなければいけない点です。遠隔医療サービスを整えたとしても、完全オンライン体験を提供するには、処方箋の承認から配達に至るまでの仕組みを作り上げなければなりません。こうした課題をAPIの概念を用いて解決するのが「Truepill」です。同社は9月に7,500万ドルの調達をしています。

Truepill はB2B向けの処方箋デリバリーサービスを提供します。オンライン医療プロバイダがTruepillを利用すると、同社が抱える専属薬剤師に処方箋の承認をもらい、そのまま全米6拠点のフルフィルメントセンターから直接顧客へ薬を届けられるようになります。Stripeが決済市場をAPI一つで繋いだように、数行のコードを入れ込むだけで処方箋デリバリーを導入することができます。オフラインからオンラインへと診察・診療体験が変わったからこそ生まれたソリューションと言えるでしょう。

Image Credit:Truepill

同社は2C向け医療サービスを作るのではなく、B2Bに焦点を当てた事業モデルを運営し、2016年から2019年にかけて100万件の処方箋を処理した実績を持ちます。また、2018年に4,800万ドルの収益を上げているといいます。

TruepillはForbesが選ぶ次のユニコーン企業に選出されていますが、コロナの影響でその提供価値が再認識されることでしょう。日本でオンライン診療・処方箋診断が導入され、一般的になるのには時間がかかるかもしれませんが、次の1、2年で当然のように議論されるはず。厚生労働省によると、2017年度の日本における調剤医療費は7兆6,664 億円と試算されています。いずれは処方箋配達サービスも当たり前になるかと考えれば、巨大な市場がTruepillの事業モデルの参入先となります。

処方箋デリバリー市場には、StripeのようなAPI・SaaSの考えを応用するスタートアップが活躍できる余白があるのです。こうした市場ポテンシャルをTruepillが示しています。日本のみならず、アジア市場でも十分あるでしょう。すでに処方箋デリバリーが認可されたアジア他国で、Truepillモデルをローカライズさせると面白いかもしれません。

今後、Truepillは数百のラボテストのAPI化も進めていくとのことです。テスト受入可能なネットワークを揃えることで、オンライン診療機関の顧客からの希望があれば、すぐにテストの注文と結果を自宅へ送付することができます。昨今、ヘルスケアIoTの精度も高まり、高機能キットを使った自宅内検査が可能となりましたが、新サービスが立ち上がればより検査が身近なものとなるでしょう。

医療機関のインフラとして機能するのがTruepill。とてつもない市場成長性を秘めていると感じます。日本ではこの座を誰が獲るのか、とても注目しています。

立ち上げ10カ月で2つの米アクセラレータ卒業ーー完全オンライン起業で学んだこと

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2020年、怒涛の勢いでサンフランシスコ・シリコンバレーで活躍し、現地でノウハウを溜めているスタートアップがいる。山田俊輔氏が率いる「Remotehour」がそれだ。 1月にサービスを立ち上げて3月にはY Combinatorの元パートナーであるDaniel Gross氏によって設立されたアクセラレータ「Pioneer」に採択。10月にはUberやRobinhoodへ出資したエンジェル投資家、Ja…

2020年、怒涛の勢いでサンフランシスコ・シリコンバレーで活躍し、現地でノウハウを溜めているスタートアップがいる。山田俊輔氏が率いる「Remotehour」がそれだ。

1月にサービスを立ち上げて3月にはY Combinatorの元パートナーであるDaniel Gross氏によって設立されたアクセラレータ「Pioneer」に採択。10月にはUberやRobinhoodへ出資したエンジェル投資家、Jason Calacanis氏が運営するアクセラレータ「LAUNCH」を卒業。

Remotehourはオープンドアな動画チャットルームサービスで、ホストはZoomのようにライブ動画ルームを持つことができ、訪問ユーザーは発行されたURLをクリックするだけで話しかけることができる。Zoomとは違い、1on1で15分ほど話すシチュエーションを想定している。現在は投資家と起業家が動画を通じて短時間チャットするシーンで活用されている。

今回は直近に卒業したLAUNCHでの経験を中心に、どんな学びがあったのかをショートインタビュー形式で聞いたのでまとめていきたい。(太字の質問は全て筆者、回答は山田氏)

Remotehour

つい先日、Jasonがやっているアクセラレータ「LAUNCH」を卒業したとお聞きしました。どうでした?

山田:コロナ禍ということもあって、全てオンライン。プログラムのオンライン化に伴って世界中から起業家が参加できるきっかけになっていたようですね。オーストラリアから参加していたり、全部で7社が参加していました。で、個人的には冗談抜きにお腹が痛くなる日々が続きましたね(笑。

具体的には?

山田:毎週木曜日に10〜20名くらいの投資家にピッチをするんですが、これがなかなかきつかったです。

緊張しそうですね、、、

山田:特にプログラム当初は全く投資家に製品の説明が刺さらないし、英語の拙さに関してはSlack経由でJasonからこっぴどく怒られてたりしていました。

ピッチはどう工夫して乗り越えたんですか?

山田:まず機能寄りの説明をやめました。LAUNCHでは「フィーチャー(特徴)ドリブン」のプレゼンは敬遠されてしまいます。ストーリーベースで説明しないと伝わりません。スタートアップの参考デックにあるような、課題解決や機能を淡々と述べる形は解像度が低いと指摘されましたね。そのため、ユーザーの物語を作るように努めました。

なるほど

山田:ピッチ動画観ていただくとわかりますが38分頃)、ユーザーがRemotehourを使う前と後で具体的にどう変化をもたらせているのかを説明しています。

確かにどの参加企業もストーリー重視ですね。

山田:良くも悪くも僕たちはメーカー(エンジニア起業家)。どうしても機能重視で考えてしまうことがあります。Jasonはユーザーからのフィードバックを受けて高速で実装できるエンジニアを好みます。LAUNCHの前に入ったアクセラレータ「Pioneer」でもそうでした。ただ、ピッチとなると話は別です。機能てんこ盛りじゃ何も伝わりません。

たとえばどんな内容を削ったりしたんですか?

山田:最初はStripeと連携させて課金機能もあるよといった説明を入れてましたが全て省きました。アピールできるほどの高いトラクションがなければ、なおさらストーリテラーになることが大事ですね。

英語に関しては?

山田:特にピッチのQ&Aがきつかったです。プログラムの後半近くまで1人でこなしていたんです。けどJasonに「デモデイまでに英語を完璧にするか、通訳を入れるかどちらかにしろ」と言われまして。。。

それは辛い、、、

山田:正直恥ずかしい意識があったんですね、通訳を入れることに関して。一人前ではないな、と。一方、Jasonはその点はかなりオープンで、通訳を入れるのは個人の問題ではなく会社のリソースと割り切っています。手配するのも創業者の力量によるものだと。自分で用意するのも能力の一つだと言われて吹っ切れたところはあります。

ある種、合理的な考えですね

山田:最終的にデモデイではQ&Aの部分だけ通訳を入れたんですが、ちゃんと手配したところは評価してくれていたようです。リソースを上手く使うのも経営者の仕事の1つなので。

Jason Calacanis氏

現地にいながらオンラインでのやりとり。正直どうですか?

山田:確かに、起業に挑戦するとしても無理してシリコンバレーに来なくても良いかなとは時々感じます。実際Remotehourはチーム運営も資金調達も全てオンラインです。他のプログラム参加企業も海外から参加していますし。現地に必ずしもいる必要のない環境にはなりつつあります。それでもここにいる価値はありますね。

というと?

山田:現地にいること自体を評価してくれるんですよ。スタート地点が日本だとやっぱりガラパゴス的な印象を持たれやすい。言語の苦戦が良い例で、英語を使う環境にないのでもし英語力がないのに日本拠点ならその時点で嫌厭されてしまいます。

わざわざ現地に行く気概を認める文化はよく聞きますよね。

山田:Jasonとは対面では一度も会ったことないですが、その点は認めてくれていると感じますね。

投資家や起業家と対面で話しながら密な情報交換することもなくなったと思うんですが、この点はどうです?

山田:ノウハウは日本でも得られますよね、英語の記事とか読めば。情報は世界中どこにいてもアクセスできますよ。ただ、自分たちにとってはJasonから直接コメントもらったりする方が圧倒的に価値の高いやりとりなんです。

現地で挑戦する本質的なヒントがその辺にありそう

山田:結局はトライアンドエラーできる環境がすぐ側にあるかないか。1を聞いたら10を反映するくらいの気合は必要だと思ってます。ここで得られるフィードバックは貴重なものだと思ってるんで、あるミーティングで得られたものを、ちゃんと何かアウトプットとして出そうっていう気持ちは結構ありますね。

ネットに落ちてる二次情報に依存しない、実験できる「場の強み」を活かせている印象持ちました

山田:結局、誰かが書いた記事のノウハウを最後まで再現して自社の成功事例にまでやりきった人はどこにいるんだろうと思うんですよね。読み止まりじゃなくて、トライアンドエラーし続けることに意味があるかな、と。で、海外で挑戦するなら日本じゃなくて断然アメリカにいる方がトライしやすいし、フィードバックループも回しやすいのは確かです、たとえ環境がオンラインになったとしても。

そしてがっつり挑戦する姿勢を認めてもらうために現地にいると

山田:そうかもしれません!

Remotehour

1つ前のアクセラレータ「Pioneer」にも軽く触れてもらって良いですか?

山田:そうですね、Pionnerでもさっきお伝えしたアウトプットの意識を鍛えられました。具体的には「Talk to userの一歩手前」を意識させられましたね。

どんなものなんです?

山田:何かというとサービス登録にどうサービスを理解してもらっているのか、どう離脱してしまうのかを観察するんです。毎週金曜に参加者同士で互いのLPを観てフィードバックし合います。サービス内容がきっちりと伝わっているのかを検証しました。これはお金を払ってでも外部の人に観察してもらってフィードバックもらうほどの価値があると感じましたね。

ありがとうございます。2つのアクセラレータ卒業して、他に気付きとかありましたか?

山田:またJasonの話で恐縮ですが、彼は嘘がほんとに嫌いなんですね。

嘘?

山田:きつい数字が出ていて、たとえサービスが全然伸びていなくても、例えば週次レポートを通じて全てを伝え続けないと信用してもらえない。自慢できるような数字じゃないけど、彼がポートフォリオ企業の現状を把握できていないといけないんですね。

その点も、オンライン環境だからこその最低限のマナーかもですね

山田:何だろう、やっぱり真実をずっと言い続けなきゃいけない気持ちになりますよね。絶対この人に嘘だけはついちゃいけないな、と。

最後に、この1年を振り返って経営者としての意識変わりました?

山田:結構ネガティブに捉えられてしまうかもしれませんが、スタートアップはデフォルトで失敗していると強く感じるようになりましたね。

その真意は?

山田:99%ほどのスタートアップは死にますし、実際創業時から資金は減り続けますよね。失敗から始まるに等しい。だからどんなに有名なアクセラレータを卒業できようと、サービスが伸び始めようと、100%完全に喜べたことが一度もないんです。常に失敗の渦中にいることが事実だと思っているので、その上でどうやったら生き残れるのかをすごく意識するようにしていますね。

スタートアップはすべからく「デフォルトで死んでいる」、と。

山田:その点は変わらない真実だと感じるので、すごく怯えている部分はあります。多分この感覚はずっと続いていくんだろうなと。だからといって失敗する気はさらさらありませんよ。死にものぐるいで生存していく方法を日々探っていく意識がとても高くなりましたね。

5年ほど前に初めてお会いした時と比べ、段違いに意識が変わったのをひしひしと感じて学びが多くありました。お時間いただきありがとうございました!

自分の声を多言語化する「音声クローン」技術の可能性

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2020年は音声クローン分野でサービスの立ち上げが目立ちました。 たとえばウクライナ拠点の「Respeecher」はエンタメ業界向けの音声変換技術を提供しています。Respeecherを使うと、録音音声を事前にAIに読み込ませておいた人の声そっくりに変換することができます。同社は3月に150万ドルを調達しています。 Text-to-Speechではなく、Speech-to-Speech技術を持つの…

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2020年は音声クローン分野でサービスの立ち上げが目立ちました。

たとえばウクライナ拠点の「Respeecher」はエンタメ業界向けの音声変換技術を提供しています。Respeecherを使うと、録音音声を事前にAIに読み込ませておいた人の声そっくりに変換することができます。同社は3月に150万ドルを調達しています。

Text-to-Speechではなく、Speech-to-Speech技術を持つのがRespeecherです。テキスト内容をAIが読み上げるのではなく、話者のイントネーションや声の抑揚そのままに、変換したい人の声に変えられます。現在はハリウッドの制作会社を顧客に抱えており、声優の音声データを読み込ませておけば以後、低コストにナレーション作業を進めることができるので、高価格帯の声優を雇う必要がなくなります。

Respeecherは同言語同士であれば利用可能であるため、日本語から日本語への変換であれば対応可能(他の言語でも同様)です。AIに学習させるプロセスに3〜4週間かかり、1回の音声変換当たり100万円からの価格帯がネックとなるかもしれませんが、PVを観る限り完成度はかなりのものです。企業価格からコンシューマ価格へと降りてくることは必至であるため、今後の技術進歩に期待です。

また、7月にはAndreessen Horowitzも出資するPodcast向けオーディオ編集ツール「Descript」がOverdub機能をローンチしています。テキスト内容をAI音声に読み上げさせる合成サービスで、Descriptの編集画面をいじりながら、余分な単語を削り、必要な表現だけを自然な音声として読み上げてくれます。GoogleやAmazonのAI音声読み上げとは違い、高精度の読み上げ技術が売りです。

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ただ、同2社の課題は言語間の壁を指す“Across Launage”を超えられない点にあります。日本語のコンテンツを英語話者として読み上げることは未だできません。これはアクセントの違いがあり、AIに読み上げさせたとしても違和感の残るものとなるためです。この壁を越えようとするのが「Resemble.ai」になります。

10月、Resemble.aiはローカル言語音声AIサービス「Localize」を発表し、自分の声を多言語化させる一歩を踏み出しました(ただし教師データとなる音声は英語ネイティブ)。英語音声をフランス・ドイツ・オランダ・イタリア・スペイン・中国語へと変換することができます。日本語と韓国語も近々ローンチ予定とのこと。

これがスムーズにいけば海外コンテンツが日本ローカライズした形で渡ってくる日は近いでしょう。Podcastコンテンツを世界中の音声プラットフォームに配信するのがデフォルトになるかもしれません。ディープフェイク技術の市場変革はオーディオから始まり動画へと拡大し、PodcastおよびYouTubeのコンテンツ拡散の流れが大きく変わると考えます。プラットフォーム側の動きも変わってきますし、言語別のローカライズ戦略も変わるはず。こうした技術ブレイクスルーをメディア企業が最大限活かせるのか、動向に注目が集まります。

APIで投資サービスを手軽に立ち上げ「Fintech as a Service」の波を掴むDriveWealth

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コロナの影響で全体的に消費行動は冷え込みました。一方、給付金を使って株式投資に手を出すという需要も掘り起こされたようです。特にトラクションを伸ばしたのが投資アプリ「Robinhood」です。同社は112億ドル価値で2億ドルを8月に調達。2020年6月のDARTs(Daily Average Revenue Trades)は431万ドルであり、同年第2四半期のDARTsが第1四半期比で倍増するという…

Image Credit:DriveWealth

コロナの影響で全体的に消費行動は冷え込みました。一方、給付金を使って株式投資に手を出すという需要も掘り起こされたようです。特にトラクションを伸ばしたのが投資アプリ「Robinhood」です。同社は112億ドル価値で2億ドルを8月に調達。2020年6月のDARTs(Daily Average Revenue Trades)は431万ドルであり、同年第2四半期のDARTsが第1四半期比で倍増するという伸びを示しました。

少額投資分野は熱を帯続けていますが、こうした需要を汲み取ろうとしているのがチャレンジャーバンクです。

従来の銀行よりも手数料が安く、使い勝手の良いモバイル体験を提供する彼らにとって、顧客に対して預金を効率的かつ気軽に投資できる体験を提供することは、昨今の市場動向から必須となっています。口座機能と投資サービスを結びつける流れができつつあるのです。

ただ、投資サービスを立ち上げるのはコストがかかります。そこで登場したのが、APIを通じて金融事業者に投資機能を提供するFintech as a Serviceの業態になります。この分野の草分けが「DriveWealth」です。10月27日には5,670万ドルを調達しています。

DriveWealthは事業者が少額投資サービスを立ち上げられるためのAPIを提供しています。提携企業にはRevolutやMoneylionを筆頭とするチャレンジャーバンクの名前が並んでいて、現在153カ国にサービスを提供しており、米国株の取引を世界中に広めています。競合にはY Combinator出身のAlpacaなどが挙げられます。

チャレンジャーバンクが狙う顧客層はZ世代の若者たちです。彼らはクレジットヒストリーを持たないことから、クレジットカードを発行できなかったり、適切な年齢になるまで気軽に銀行サービスにアクセスできない課題意識を持っていました。この課題を解決するために動いているのが、若者向け新興バンク「Current」に代表される企業です。

こうしたスタートアップが率先して投資サービスを提供することで、今後さらに欧米の少額投資市場は拡大することが見込めるはずです。日本とは違い、投資に手を出すハードルの低い海外では、DriveWealthを筆頭とする投資APIの市場はさらに拡大していくと考えられます。