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立ち上げ10カ月で2つの米アクセラレータ卒業ーー完全オンライン起業で学んだこと

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2020年、怒涛の勢いでサンフランシスコ・シリコンバレーで活躍し、現地でノウハウを溜めているスタートアップがいる。山田俊輔氏が率いる「Remotehour」がそれだ。 1月にサービスを立ち上げて3月にはY Combinatorの元パートナーであるDaniel Gross氏によって設立されたアクセラレータ「Pioneer」に採択。10月にはUberやRobinhoodへ出資したエンジェル投資家、Ja…

2020年、怒涛の勢いでサンフランシスコ・シリコンバレーで活躍し、現地でノウハウを溜めているスタートアップがいる。山田俊輔氏が率いる「Remotehour」がそれだ。

1月にサービスを立ち上げて3月にはY Combinatorの元パートナーであるDaniel Gross氏によって設立されたアクセラレータ「Pioneer」に採択。10月にはUberやRobinhoodへ出資したエンジェル投資家、Jason Calacanis氏が運営するアクセラレータ「LAUNCH」を卒業。

Remotehourはオープンドアな動画チャットルームサービスで、ホストはZoomのようにライブ動画ルームを持つことができ、訪問ユーザーは発行されたURLをクリックするだけで話しかけることができる。Zoomとは違い、1on1で15分ほど話すシチュエーションを想定している。現在は投資家と起業家が動画を通じて短時間チャットするシーンで活用されている。

今回は直近に卒業したLAUNCHでの経験を中心に、どんな学びがあったのかをショートインタビュー形式で聞いたのでまとめていきたい。(太字の質問は全て筆者、回答は山田氏)

Remotehour

つい先日、Jasonがやっているアクセラレータ「LAUNCH」を卒業したとお聞きしました。どうでした?

山田:コロナ禍ということもあって、全てオンライン。プログラムのオンライン化に伴って世界中から起業家が参加できるきっかけになっていたようですね。オーストラリアから参加していたり、全部で7社が参加していました。で、個人的には冗談抜きにお腹が痛くなる日々が続きましたね(笑。

具体的には?

山田:毎週木曜日に10〜20名くらいの投資家にピッチをするんですが、これがなかなかきつかったです。

緊張しそうですね、、、

山田:特にプログラム当初は全く投資家に製品の説明が刺さらないし、英語の拙さに関してはSlack経由でJasonからこっぴどく怒られてたりしていました。

ピッチはどう工夫して乗り越えたんですか?

山田:まず機能寄りの説明をやめました。LAUNCHでは「フィーチャー(特徴)ドリブン」のプレゼンは敬遠されてしまいます。ストーリーベースで説明しないと伝わりません。スタートアップの参考デックにあるような、課題解決や機能を淡々と述べる形は解像度が低いと指摘されましたね。そのため、ユーザーの物語を作るように努めました。

なるほど

山田:ピッチ動画観ていただくとわかりますが38分頃)、ユーザーがRemotehourを使う前と後で具体的にどう変化をもたらせているのかを説明しています。

確かにどの参加企業もストーリー重視ですね。

山田:良くも悪くも僕たちはメーカー(エンジニア起業家)。どうしても機能重視で考えてしまうことがあります。Jasonはユーザーからのフィードバックを受けて高速で実装できるエンジニアを好みます。LAUNCHの前に入ったアクセラレータ「Pioneer」でもそうでした。ただ、ピッチとなると話は別です。機能てんこ盛りじゃ何も伝わりません。

たとえばどんな内容を削ったりしたんですか?

山田:最初はStripeと連携させて課金機能もあるよといった説明を入れてましたが全て省きました。アピールできるほどの高いトラクションがなければ、なおさらストーリテラーになることが大事ですね。

英語に関しては?

山田:特にピッチのQ&Aがきつかったです。プログラムの後半近くまで1人でこなしていたんです。けどJasonに「デモデイまでに英語を完璧にするか、通訳を入れるかどちらかにしろ」と言われまして。。。

それは辛い、、、

山田:正直恥ずかしい意識があったんですね、通訳を入れることに関して。一人前ではないな、と。一方、Jasonはその点はかなりオープンで、通訳を入れるのは個人の問題ではなく会社のリソースと割り切っています。手配するのも創業者の力量によるものだと。自分で用意するのも能力の一つだと言われて吹っ切れたところはあります。

ある種、合理的な考えですね

山田:最終的にデモデイではQ&Aの部分だけ通訳を入れたんですが、ちゃんと手配したところは評価してくれていたようです。リソースを上手く使うのも経営者の仕事の1つなので。

Jason Calacanis氏

現地にいながらオンラインでのやりとり。正直どうですか?

山田:確かに、起業に挑戦するとしても無理してシリコンバレーに来なくても良いかなとは時々感じます。実際Remotehourはチーム運営も資金調達も全てオンラインです。他のプログラム参加企業も海外から参加していますし。現地に必ずしもいる必要のない環境にはなりつつあります。それでもここにいる価値はありますね。

というと?

山田:現地にいること自体を評価してくれるんですよ。スタート地点が日本だとやっぱりガラパゴス的な印象を持たれやすい。言語の苦戦が良い例で、英語を使う環境にないのでもし英語力がないのに日本拠点ならその時点で嫌厭されてしまいます。

わざわざ現地に行く気概を認める文化はよく聞きますよね。

山田:Jasonとは対面では一度も会ったことないですが、その点は認めてくれていると感じますね。

投資家や起業家と対面で話しながら密な情報交換することもなくなったと思うんですが、この点はどうです?

山田:ノウハウは日本でも得られますよね、英語の記事とか読めば。情報は世界中どこにいてもアクセスできますよ。ただ、自分たちにとってはJasonから直接コメントもらったりする方が圧倒的に価値の高いやりとりなんです。

現地で挑戦する本質的なヒントがその辺にありそう

山田:結局はトライアンドエラーできる環境がすぐ側にあるかないか。1を聞いたら10を反映するくらいの気合は必要だと思ってます。ここで得られるフィードバックは貴重なものだと思ってるんで、あるミーティングで得られたものを、ちゃんと何かアウトプットとして出そうっていう気持ちは結構ありますね。

ネットに落ちてる二次情報に依存しない、実験できる「場の強み」を活かせている印象持ちました

山田:結局、誰かが書いた記事のノウハウを最後まで再現して自社の成功事例にまでやりきった人はどこにいるんだろうと思うんですよね。読み止まりじゃなくて、トライアンドエラーし続けることに意味があるかな、と。で、海外で挑戦するなら日本じゃなくて断然アメリカにいる方がトライしやすいし、フィードバックループも回しやすいのは確かです、たとえ環境がオンラインになったとしても。

そしてがっつり挑戦する姿勢を認めてもらうために現地にいると

山田:そうかもしれません!

Remotehour

1つ前のアクセラレータ「Pioneer」にも軽く触れてもらって良いですか?

山田:そうですね、Pionnerでもさっきお伝えしたアウトプットの意識を鍛えられました。具体的には「Talk to userの一歩手前」を意識させられましたね。

どんなものなんです?

山田:何かというとサービス登録にどうサービスを理解してもらっているのか、どう離脱してしまうのかを観察するんです。毎週金曜に参加者同士で互いのLPを観てフィードバックし合います。サービス内容がきっちりと伝わっているのかを検証しました。これはお金を払ってでも外部の人に観察してもらってフィードバックもらうほどの価値があると感じましたね。

ありがとうございます。2つのアクセラレータ卒業して、他に気付きとかありましたか?

山田:またJasonの話で恐縮ですが、彼は嘘がほんとに嫌いなんですね。

嘘?

山田:きつい数字が出ていて、たとえサービスが全然伸びていなくても、例えば週次レポートを通じて全てを伝え続けないと信用してもらえない。自慢できるような数字じゃないけど、彼がポートフォリオ企業の現状を把握できていないといけないんですね。

その点も、オンライン環境だからこその最低限のマナーかもですね

山田:何だろう、やっぱり真実をずっと言い続けなきゃいけない気持ちになりますよね。絶対この人に嘘だけはついちゃいけないな、と。

最後に、この1年を振り返って経営者としての意識変わりました?

山田:結構ネガティブに捉えられてしまうかもしれませんが、スタートアップはデフォルトで失敗していると強く感じるようになりましたね。

その真意は?

山田:99%ほどのスタートアップは死にますし、実際創業時から資金は減り続けますよね。失敗から始まるに等しい。だからどんなに有名なアクセラレータを卒業できようと、サービスが伸び始めようと、100%完全に喜べたことが一度もないんです。常に失敗の渦中にいることが事実だと思っているので、その上でどうやったら生き残れるのかをすごく意識するようにしていますね。

スタートアップはすべからく「デフォルトで死んでいる」、と。

山田:その点は変わらない真実だと感じるので、すごく怯えている部分はあります。多分この感覚はずっと続いていくんだろうなと。だからといって失敗する気はさらさらありませんよ。死にものぐるいで生存していく方法を日々探っていく意識がとても高くなりましたね。

5年ほど前に初めてお会いした時と比べ、段違いに意識が変わったのをひしひしと感じて学びが多くありました。お時間いただきありがとうございました!

優れた起業家は“正しい人”を選ぶ ーーUberの初期投資家が語る、シードスタートアップへのアドバイス

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「この人から投資を受けたら相当な箔がつく」ーー米国でその名を知らない起業家はいないであろう人物、それがエンジェル投資家ジェイソン・カラカニス氏である。 彼は2019年にかけていよいよ上場が期待される「Uber」へ初期投資をしたことで有名だ。直近では日本人起業家、内藤聡氏率いる「Anyplace」への投資も実施している。そして2018年7月には著書「エンジェル投資家」を日本国内に向けて翻訳出版した。…

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「この人から投資を受けたら相当な箔がつく」ーー米国でその名を知らない起業家はいないであろう人物、それがエンジェル投資家ジェイソン・カラカニス氏である。

彼は2019年にかけていよいよ上場が期待される「Uber」へ初期投資をしたことで有名だ。直近では日本人起業家、内藤聡氏率いる「Anyplace」への投資も実施している。そして2018年7月には著書「エンジェル投資家」を日本国内に向けて翻訳出版した。

今回、来日中のジェイソン氏に30分だけ取材をする機会をもらった。そこで本稿では、創業初期の起業家が頻繁に抱くであろう疑問点、なかでも投資家や共同創業者、従業員採用などの「人材」に関しての質問を中心に答えてもらった(太字の質問は全て筆者、回答はジェイソン氏)。

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エンジェル投資をされていると、どのようなスタートアップが後に急成長を遂げるのか傾向が見えると思うのですが、まずはその点お考えをお聞かせください。

誰もが最初から使いたくなる製品は大抵小さな成功に終わります。80%の人が理解できない・使いたくないと答える一方、残りの20%の人が熱烈に使ってくれる製品は大きな成功を手にすると感じます。

大半の人に理解されない製品は、既存市場の後追いではありません。全く新しい市場を創り出そうとしているものだからです。

具体例をご紹介いただけますか?

Airbnbは最たる例といえます。最初に私がピッチを聞いた時、寝込みを利用者に襲われる恐いサービスだと直感しました。

しかし長らく私の元で働いていた若い女性従業員の見方は180度違いました。彼女が20日間の休暇をとって日本へ旅行へ行くと言った時、「どうやって20日分の旅行代を稼ぐの?」と聞いたら、Airbnbを使ってどうにかすると答えたんです。

社会人でそこそこ稼ぎのある私と、ほとんど稼ぎがない若者とでは全く違う価値観でAirbnbを見ていたこと。そして彼女がAirbnbを心底信頼していることに気づいたんです。私とは違い、何のためらいもなくAirbnbを使っている姿に感心したのを覚えています。言い換えれば、当初のAirbnbは「お金のない若者」に強く共感され、私を含め他の80%の人には理解されていなかったんです。

こうした熱烈な少数ファンを持つことが、後の成功へと繋がります。初めから誰もが好む製品は、おそらく既に似たものが世に出ているでしょう。

これまで大きな成功を手にした起業家はどのような特徴を持っていましたか?

私の友人であるUberの創業者Travis KalanickとTeslaのElon Muskの例を紹介しましょう。彼らの特徴は「不屈の精神(インディフェクティブル)」を持っている点が挙げられます。

私に意見を求めにやってくる起業家の90%が、リスペクトの気持ちを見せます。率直に私のアドバイスを受け入れます。しかしTravisとElonは違いました。「ジェイソン、君のこの考えが間違っている」と食いついてくるんです。

単に私を説得させて、自分の意見を通したいのではありません。批評しあい、製品のレベルを高めたいのです。

先述したように、彼らは20%の人にしか理解されない難しい市場を選びました。難しい市場を生き抜くには難しい議論をこなし、考え続ける必要があります。何度でもこの作業を繰り返す「不屈の精神」を持っていました。

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これから起業を考えている人が、自分自身が起業に向いている“正しい起業家”であるかをどう判断し、起業を決めるべきでしょうか?

もし世界を変える事業を興したいのならば、あらゆることが困難として降りかかってきます。毎日フルマラソンを走るように、極端に疲れ果てる日々しか待っていません。

著書にも書きましたが「お金持ちになりたい、有名になりたい」といった類の軽い気持ちで起業をしても、後先はたかが知れています。

しかし起業家が「大切だと思うこと、譲れない、必ず成し遂げたいもの」を持っていれば、きっと乗り越えられるはずです。これを持っているかいないかが、“正しい起業家”の基準となるはずです。

起業はマラソンのようだと言われましたが、どのように生活バランスを取っていけばいいのでしょう。たとえば極端に働きすぎて、燃え尽き症候群のようにメンタルがやられてしまうケースもあると思いますが。

“バランス”なんてものは存在しません。起業家の生活に安らげる時はありません。全てを犠牲にしなければいけないでしょう。

しかしここで注意すべきなのは、“生活バランス”と“メンタルヘルス”を一緒にしてはいけない点です。

バランスのない生活は受け入れざるをえませんが、メンタルのバランスは自分で取れます。ストレスや心配性、鬱症状はコントール可能です。その努力はすべきですし、もし私の投資先の起業家が精神のバランスを崩したら、「すぐに体調を全回復させろ」と言い放つでしょう。

言い換えれば、誰かに批判されるだけで強く落ち込んだり、後ろめたい気持ちになる人は、起業に向いている“正しい起業家”ではないかもしれません。もう一度考え直した方がいいですね。

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共同創業者を持つべきという点はいかがお考えでしょうか?

最初の起業をする人は、先述したようにメンタルヘルスの問題に関わる孤独を感じやすいため、共同創業者がいた方が良いかも知れません。しかし、必ずしも持つ必要があるとは思いません。個人的にはソロファウンダーの方が好きです。

それはなぜでしょう?

ソロファウンダーは「何を成したいのか、そのために何をすべきなのか、どう舵取りをすべきなのか」についておおよそ考えを持ち、素早く決断できる場合が多いからです。

急成長を望むにはソロファンダーはリソース(人的資源)の面でデメリットを抱えると思うのですが。

確かにソロファンダーだけでは急成長は望めません。だからこそ、必然的に経営スキルを磨く必要が出てきます。

たとえば3人で創業したスタートアップは創業当初からリソースが比較的足りている状況にあります。そのため、素早い決断を求められる場面でさえ、余裕が生じてしまう傾向にあるのです。結局、同じメンバー内だけで考えが堂々巡りしてしまい、製品開発を前に進ませることがなかなかできないケースがあります。

一方、ソロファンダーは創業当初から優秀なメンバーを雇う必要があります。毎日複数人の進捗を確認し、スケールを目指す必要が出てきます。メンバーから上がってくる多様な意見は柔軟性をもたらし、急成長を望めます。

人を説得する力も必然的に求められるでしょう。「私はこの製品を通じて世界を変える。一緒に変える気があれば働こう!」といった上手な口説き文句は起業家にとって必須要件。このスキルを初期から養うことができます。

ソロファンダーは生き残るために必然的に高い能力を求められる環境に身を置かざるをえません。これが後々大きなメリットになると考えます。

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ソロファンダーにとって、優秀な人材を早くから雇う必要性は理解できました。それではどのようにすれば“正しいメンバー”を採用できるのでしょうか?

会社の存在意義を熱意を持って語ることです。

ここまで話してきたソロファンダーの強みを最大限生かして製品を急成長させたのが、私の友人であるElonです。彼はTeslaに対して強いビジョンやミッションを持っていました。

Teslaが現在まで成長できたのは、「自動運転技術の確立によって自動車事故をなくす」「エネルギー資源の効率化を図り地球環境を守る」といった強い想いと、それに沿った製品開発を行っていたからです。

高い共感を得られる創業者の想いと、それを実現するための製品戦略が合わさった完璧なピッチを彼はいつもして、自分より優秀で高いスキルを持った人材を採用していました。

ここで大切なのは、自分より優秀な人だけを雇うべきであるという点です。そのためには誰にも負けない口説き文句を語れなければなりません。ソロファンダーは共同創業したチームよりも熱狂して自社のビジョンやミッションを語ることができます。たった1人の創業者自身の中に全ての考えが詰まっているからです。それが人を魅了するのです。共同創業では必ずしも全員が同じ熱量とは限りません。

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それではこれから起業を志す人が、UberやTeslaのようなアイデアを持つためには何をすべきでしょうか?

まずは「ロケット(急成長を望める会社)」に初期メンバーとして参加することをお勧めします。

Teslaのような大きな野望を持つようなスタートアップが、未だ5〜200名規模である段階から入れば、参画当初から大きな責任のある仕事を任されるでしょう。そして急成長する姿や困難な状況をどのように乗り越えるのかを目の当たりにできます。

こうした経験を基に、同じくらい巨大なビジョンを持った製品アイデアが浮かぶのを待ちましょう。

「ディベロッパーでないと起業は有利でない」という意見を聞きますが、この点はどう感じますか?

ノンテックファンダーであろうが投資にはあまり影響しません。

このロジックはY Combinatorの創業者らが作り上げた話だと思いますが、単に彼らがディベロッパーの経歴を持っていただけです。事実、Y Combinatorのリターンの大半はAirbnbからですし、創業メンバーはデザイナーの経歴を強く持ちます。

ディベロッパー神話が高まったのは、少額の資金調達に留まったとしても製品開発に打ち込めるからです。しかし、先述したような優秀な人材を雇えるソロファンダーのような人材であれば数億円は調達できるでしょうし、そうすればディベロッパーは4〜5名はすぐに雇えるでしょう。

「アイデアは重要ではない。決断しやり続けることこそ重要である」。この台詞もありふれています。

Travisはこの点で圧倒的に優れていましたね。私が彼と初めて会った時から50以上のアイデアをリスト化して持っていました。現在のUber XやUber Eatsに当たる事業アイデアがすでに記されていました。

私は彼がやり遂げたかったことの20%も達成できていないと思いますが、短期間でユニコーンにまで成長できた秘訣は、圧倒的に早い決断力です。

素早い決断力は、リソースの最適化/拡大、膨大なデータの取得/解析、そして失敗からの学びを短期間に、かつ大量に得る大きなメリットをもたらします。Travisはこうした決断力を最大限活かしてUberを急成長させた好例です。

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「起業家にとって投資家選びは結婚に似ている」。しばしば耳にするセリフです。ジェイソンさんが考える、起業家にとっての“正しい投資家”とはどんな人物でしょうか?

正しい投資家の特徴は、常に起業家に寄り添える人です。決して、正面から物を言ったり指示をする人ではありません。

投資家の仕事は、顧客や市場から批判されようとも寄り添い、何度でも立ち直させることです。仮にネガティブなフィードバックをする投資家がいるのであれば、それは“正しい投資家”ではありません。

なるほど。具体的にどのように寄り添うのでしょうか?

たとえば、「この戦略について考えたことがあるか?」「こうしたアプローチも検討すべきだと思う」というように、あくまでも“ガイド役”の立ち位置を貫き、起業家に決断させます。私が意思決定に関わることはありません。

投資家は月に数百ものスタートアップの情報に触れています。どのスタートアップがどんな技術や手法を使ってスケールしたのかをたくさん知っています。一方、起業家は自分のビジネスに特化して盲目的になりがちですが、私たち投資家以上に自社事業領域に対して深い洞察と知見を持ちます。

投資家が持つ幅広い情報網から与えるアドバイスと、起業家が持つ洞察力が組み合わさって初めて成長スピードが増します。この相乗効果を念頭に、上手くコーチングできる人が“正しい投資家”と呼べるでしょう。

最後に。先ほど間違った投資家選びの話に触れました。具体的にどのように見分ければ良いのでしょうか?

リファレンスを有効活用しましょう。たとえば投資家のホームページに載っている投資先スタートアップ数が100だとします。一方、CrunchbaseやAngelListに代表されるスタートアップデータサービスに載っている投資先数が110だとしましょう。

おそらくこの10社は何かしらの揉め事を起こしてリストから削除されている可能性が高いです。そこでLinkedInを使って、この10社の関係者に連絡を取り、投資を受ける前にしっかりと投資家やVCの情報を得ましょう。

もちろん逆の場合も考えられます。私が友人の投資家からリファレンスを求められたら、必ず特定の起業家の良い点・悪い点を伝えます。

短い日本滞在の間にお時間いただき、ありがとうございました。