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ソニー・ミュージックエンタテインメントがスタートアップと取り組む、新たなファンビジネスの創出

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」に掲載された記事からの転載 KDDI ∞ Laboの事業共創プログラム「∞の翼(ムゲンノツバサ) 」は、大企業2社以上で策定した事業テーマに基づき、スタートアップと共に新規事業創出を目指すプログラムです。2021年度は、事業の要となる MVP(Minimum Viable Product)のローンチを目指します。 ニュースレター…

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

KDDI ∞ Laboの事業共創プログラム「∞の翼(ムゲンノツバサ) 」は、大企業2社以上で策定した事業テーマに基づき、スタートアップと共に新規事業創出を目指すプログラムです。2021年度は、事業の要となる MVP(Minimum Viable Product)のローンチを目指します。

本稿では、今年度の「∞の翼」に参加いただくパートナーの一つソニー・ミュージックエンタテインメントさま(以降、SME)にお話を伺いました。採択されたスタートアップ、SME、KDDI の3社により、新たなコンテンツマーケティング手法を創出し、データを活用した新たなファンビジネスの創出を目指します。

変化を続けるエンタメ業界、その先陣を走り続けるSME

SMEの前身であるCBS・ソニーが設立されたのは半世紀以上前のことです。日本のソニーとアメリカのCBSとのジョイントベンチャーとしてスタートしました。当時の流通媒体であるレコード盤のプレスや販売だけでなく、アーティストの発掘やマネジメントを行うプロダクション機能を社内に有していたことは、人気のある楽曲やコンテンツを生み出し続ける今日のSMEに繋がっています。一方、エンターテイメントは、変化の激しい業界でもあります。SMEはこれまでに他社と合弁企業を設立したり、新事業に特化した会社を設立しグループを再編したりするなど、時代に呼応して自らの形を変えてきました。

モバイルデータプランの低廉化や聴取デバイスの普及により、5年くらい前を岐路に、音楽の消費方法は一気にダウンロード型からストリーミング型へと変化してきました。依然として消費の半数以上はCDが占めているものの、ストリーミングのシェアは近年存在感を増しています。しかし、ここで憂慮すべきは音楽市場全体が縮小傾向にあることです。我々は以前に比べて可処分時間の多くを音楽消費に回せるようになり、市場規模は拡大しているのではないかと誤解しがちですが、日本レコード協会が発表している統計資料によると、ここ数年は前年比85%程度の割合でダウントレンドにあります。

従来の経営資源だけに頼らない新ビジネスの創造を目指して、SMEは数年前から、ベンチャーキャピタルへの出資などを通じてスタートアップへの関与を深めてきました。2018年、社会課題解決を目指すアクセラレータプログラム「ENTX(エンタエックス)」を立ち上げ、また、2020年にはアメリカの有名アクセラレータTechStarsが運営する音楽系アクセラレータプログラム「TechStars Music」に参加するなど、社外の知見も活用すべくスタートアップとの協業や投資活動を強化してきました。「∞の翼」では、SMEが持つ経営資源の一つマーケティングデータを活用、新たな柱に育つ可能性のあるファンビジネスのMVP共創を目指します。

マーケティングテクノロジーで、新しいファンビジネスを生み出したい

SMEは、エンターテイメントのコンテンツホルダーというだけでなく、マーケティングデータの宝庫でもあります。アーティスト発掘の「Puzzle Project」、SNSを中心に活動するクリエイターを支援するレーベル「Be」, クリエイターのコラボレーションスペース「MECRE(メクル)」、そして、小説を音楽にするユニット「YOASOBI」を生み出した 「monogatary.com」など、コンテンツを消費者に届ける上でさまざまなタッチポイントを模索しており、その結果として得られるのがマーケティングデータです。

21年春に再編されたソニー・ミュージックマーケティングユナイテッドは、エンタメ作品やサービスのパッケージ商品およびデジタルコンテンツの企画・販売、アーティストを中心としたプロモーション活動を行なうマーケティング会社です。営業推進活動、プロモーション活動、イベントの企画・制作、マーチャンダイジング、サイト制作・運営といったプロモーション業務のほか、データ分析を駆使して効果的なマーケティング手法の提案も行います。アーティストやコンテンツ毎に、DSPやSNS各社から得られるデータを収集・可視化・分析ツールを独自開発していますが、消費者をグループ内の別ドメインへ誘導できる施策立案に向け、スタートアップとの共創に賭けたいとの意気込みを持っています。

デジタルというのはわかりやすい視点ですが、我々がビジネスをしていく上で、デジタルだけに特化していくということはありません。テーマとして、データをどうビジネスに活かしていくか、というのが、共創するスタートアップに求めたい一つの視点です。

ただ、アウトプットはデジタルに限らなくてもいいし、そこのこだわりは全くありません。事業化を念頭には置くものの、最初からマネタイズポイントを設定するという考えも無いです。(北山氏)

SMEの傘下には、日本やアジアの各地で展開するライブハウス「Zepp」、ライブそのものを企画・運営する興行会社や、アーティストのパフォーマンスを支援する事業会社までも多数存在します。現在、コロナ禍でリアルな環境でのイベント開催には一定の制約を伴いますが、アフターコロナを見据えた新たなファンビジネスの開発には、SMEが持つこうしたリアルな事業アセットの活用も視野に入れることができるでしょう。

データの宝庫だからできる、オープンイノベーションのカタチ

AIやMarTech(Marketing Tech)スタートアップを経営する起業家の口からよく聞くのは、「データが集まるところに優秀なデータサイエンティストが集まる」という鉄則です。データを事業に活かすには、データを集め、それらを分析し、それを施策に反映する、というプロセスが必要になります。今年度のプログラムで最終的に採択されるのは一社が想定されていますが、得意分野毎の役割分担が必要な場合は、複数のスタートアップが採択され連携してプログラムに関わる可能性もあります。

SMEが抱えている課題をズバリ解決していくことを念頭に置いたプログラムと言えます。そのためには、「我々のアセットを最大限活用してください」とか、逆に「全く活用しないでください」というつもりもありません。いろんなデータを集めることはこれまでにもできている。僕らが目指すのはその先で、そこからどんなビジネスができるのかを共に考えていきたい。(古澤氏)

このプロジェクトを進める上で、SMEと採択されたスタートアップは共に NDAを交わした上で、SMEからデータの提供を受けることができます。共有できないデータもいくつか存在するようですが、アーティストやコンテンツ毎の再生回数、流入経路、ユーザの特性が匿名化された状態でのデモグラフィックデータなど、SMEからは必要に応じてデータが開示される予定です。

データの数や種類は、社内にも非常に多く蓄積されています。もちろん、社内でも分析はできているのですが、それらを元に世の中に働きかけていく上で最適化すべき点を、スタートアップと共に、AIやアルゴリズムなどを使った新しい手法で探れないかというのが今回の主旨です。SMEにとっても、KDDIにとっても、スタートアップにとっても有益になるようなら、そこからビジネスを目指せる可能性があると思っています。(野澤氏)

言うまでもなく、これはオープンイノベーションの一つの形です。プログラムを通じて、SME自身がDX(デジタルトランスフォーメーション)することも念頭に置いています。北山氏は参加するスタートアップとの関係は受発注ではなく、あくまでパートナーとして対等な関係で臨みたいとの意向を強調しました。必要になるコストは必要に応じて SMEが拠出を検討しますが、共創の中で生まれた成果物については、関わったSME、KDDI、スタートアップでイーブンな関係で交渉することを前提にしているそうです。

宇宙ビジネスのトレンド全体像ーースタートアップ参入の現状と今後

本稿は独立系ベンチャーキャピタルSTRIVEによるものを一部要約して転載させていただいた。原文はこちらから、また、その他の記事はこちらから読める。なお、転載元のSTRIVE Blogでは起業家やスタートアップに興味のある方々に向けて事業成長のヒントとなるコンテンツを配信中。投資相談はSTRIVE(公式サイト・Twitter)をチェックされたい 今日では、日本人起業家といった民間人による宇宙飛行のニ…

本稿は独立系ベンチャーキャピタルSTRIVEによるものを一部要約して転載させていただいた。原文はこちらから、また、その他の記事はこちらから読める。なお、転載元のSTRIVE Blogでは起業家やスタートアップに興味のある方々に向けて事業成長のヒントとなるコンテンツを配信中。投資相談はSTRIVE(公式サイトTwitter)をチェックされたい

今日では、日本人起業家といった民間人による宇宙飛行のニュースが話題になり、また、GPSの位置情報確認など宇宙を介したサービスを誰もが日常的に使っています。さらに、多くのスタートアップ企業が宇宙ビジネスにチャレンジしていく中で、宇宙のもたらしてくれる価値が大きく高まりつつあります。今回は、宇宙ビジネスの全体感を掴み、スタートアップのビジネスチャンスの可能性を探ってみたいと思います。Let’s strive to know the Space Industry Trend!

宇宙開発・利用のこれまで

宇宙開発・利用は、アメリカ合衆国とソビエト連邦の対立を受けた冷戦期の宇宙開発競争の中で20世紀中盤から大きく進展しました。宇宙技術のミサイルなどの軍事利用への転用、国民の一体感の醸成や国威の発揚を目的に、国家が主導し巨大な航空・電気事業者等と連携し宇宙を開拓してきました。21世紀に入ると、政治情勢の変化などを受け、宇宙開発・利用は官需による牽引から民需への流れが強まります。異業種企業や多くのスタートアップ企業が宇宙ビジネスに参入する中で、新たに商用宇宙市場が拡大しました。このような潮流やそこで活躍する企業のことを「New Space(ニュースペース)」と呼びます。

スライド2

宇宙ビジネスのトレンド

「New Space」へのパラダイムシフトは、宇宙分野のイノベーションの進展、宇宙利用の低コスト化によるユーザー層の拡大、官から民という宇宙産業の商業化などのドライバーにより進んでいます。例えば、地球観測衛星が取得する膨大な量の画像データは、ビッグデータ処理やAIなどの進化によりソリューションビジネスに活用することができるようになりました。また、様々な新技術の登場により衛星やロケットの小型化、量産化が進んだことで、宇宙をより安価に用いることができるようになり、エンドユーザーが利用しやすくなっています。政府は自らが宇宙機器の開発・運用を手掛けるのではなく、宇宙ベンチャーを支援しながら彼らのサービスを購入するようになり、そのような下支えによりベンチャーキャピタルなどのリスクマネーが流入しています。

スライド3

スタートアップが参入する領域

一般的にスタートアップの多くは、地球に近く打上げ費用が比較的安価な低軌道上の宇宙開発や、地上で宇宙データ・通信などを活用するサービスを展開しています。スタートアップが参画する宇宙ビジネスのセグメントとして、下記が挙げられます。

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注目を集める小型衛星市場

特に注目を集めているのは、小型衛星に関連したビジネスです。数kgから数百kgの衛星で、通信、地球観測(リモートセンシング)、IoTなどのミッションを持ち、主に低軌道上で運用されています。政府が主導して開発・運用をする何トンもの大型衛星に比べ、短期間かつ低コストで作ることができ、かつ、打上げも相乗りなどを活用して安くすることができます。一方、低軌道の小型衛星が地球上をカバーできる範囲は狭くなるため、商業サービスへの利用のためには衛星コンステレーション(複数衛星による一体運用)を構築します。小型衛星の打上げは今後10年間で大きく拡大することが見込まれており、打ち上げられた衛星の数は2,962個から13,912個まで4倍近くになると予測されています

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こちらは、日本の宇宙スタートアップが製造する小型衛星です。光学センサや合成開口レーダ(SAR)による地球観測、デブリ(宇宙ゴミ)除去、人工流れ星などのミッションを持っています。質量は100kg前後なので、原付バイクくらいの重さになります。2011年から2020年にかけて、約300回のロケット発射によって約3千の衛星が打ち上げられました。小型衛星の多くが、他の衛星とのロケット相乗りでまとめて軌道上に届けられます。

小型衛星の活用事例

小型衛星のミッションの一つに、インターネット通信があります。世界では約30億人がインターネットに未接続と言われ、特にアフリカ、アジア、南米などの一部地域でインターネット利用率は依然として低いままになっています。衛星インターネットは、それらのデジタルデバイドの解消や、また、携帯電話の基地局設置が難しい山岳地帯、海や空の上などの通信手段としての活用が期待されています。地球全体をカバーするために、数千から万単位の通信衛星を宇宙空間に配備する必要があり、巨大な資本力を持つスタートアップ企業がこの分野に参画しています。

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地球観測(リモートセンシング)も小型衛星の主要なミッションの一つです。宇宙にあるため災害に強い、広い地域を観測できる、同一のセンサを用いて一定の時間間隔で長期間にわたり観測できるなど、衛星の利点を生かして、広大な農地の生育状況をモニタリングしたり、漁業資源や海洋環境の把握をしたりしています。IoT衛星は、船舶や航空機のステータスデータを受信したり、通信モジュールからの位置情報や土壌の乾燥具合などを受信したりするミッションを持ちます。天候情報などを含めた効率的かつ安全な船舶のルートの確保や、家畜や土壌の管理などの用途に用いられています。

宇宙ビジネスの可能性

宇宙ビジネス全体では、2019年度の市場規模は約40兆円にのぼっています。そのうち、政府予算など衛星以外の宇宙産業が3割弱、衛星関連の宇宙産業が7割強となっています。宇宙といえば衛星の製造やロケットの打上げのイメージが強いですが、実はその割合は全体の4.8パーセントほどに留まり、「スカパー!」などの衛星テレビや、GPS受信機などのセグメントが大きくなっています。

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証券会社大手Morgan Stanleyによると、2040年の宇宙ビジネスの市場規模は、消費者向けブロードバンドやインターネットなどのセグメントの伸長によりおおよそ100兆円にまで拡大すると予測されています。成長ドライバーとしては、衛星打上げ、衛星インターネット、深宇宙探査、月面着陸など10つが挙げられています。日本航空宇宙学会が発表した「JSASS宇宙ビジョン2050」によると、この30年間で宇宙旅行の人数が年間数百人から1,000人にまで増えるとされており、宇宙がより身近になっていく様子を見て取ることができます。

米国の宇宙ビジネス特化ベンチャーキャピタルのSpace Capitalは、Silicon Valley Capitalと共同で発表したレポートにおいて、今後、地球観測衛星や通信衛星のビジネスがGPS(全地球測位システム)と同様に大きく成長する可能性を指摘しています。GPSはアメリカ合衆国が運用する約30の衛星コンステレーションが提供しており、当初は軍事利用目的でしたが、1980年代から民間へ開放されました。2005年にGoogle Map及びそのAPIがローンチされ、その後、UberやTinder、Pokémon GOなど様々なアプリケーションが誕生し、40兆円を超える市場規模にまで成長しました。

GPSアプリケーションがいわゆる“カンブリア爆発”を起こしたように、地球観測や通信分野のアプリケーションが爆発的に誕生するかの期待が集まっています。

編集部注:続きはSTRIVEの元記事をぜひご覧ください。後半では多数のスライドと共に宇宙大国アメリカの現状から国内外の代表的な宇宙ビジネススタートアップ、課題などに触れています。

オリエンタルランド・イノベーションズが目指す事業共創のカタチ

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」に掲載された記事からの転載 企業の共創活動をリレー的に繋ぐコーナー、前回お届けしたテレビ東京コミュニケーションズのスタートアップ投資に続いてお届けするのはオリエンタルランドのスタートアップ投資活動です。 ニュースレターの購読 注目すべき記事、世界のスタートアップシーンの話題、BRIDGE 主催のイベントに関する情報をお届けします…

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

企業の共創活動をリレー的に繋ぐコーナー、前回お届けしたテレビ東京コミュニケーションズのスタートアップ投資に続いてお届けするのはオリエンタルランドのスタートアップ投資活動です。

オリエンタルランドは、東京ディズニーランドや東京ディズニーシーなどの運営で知られます。1960年、三井不動産と京成電鉄等が出資して設立された同社は、米ウォルト・ディズニー社との誘致交渉が実を結び、会社設立から23年たった1983年にアメリカ国外で初のディズニーテーマパーク「東京ディズニーランド」を開園しました。開園に至るまでの創業メンバーの苦労は、日々新しい事業やサービスの生み出しに奔走する起業家のスピリットにも相通ずるものがあるのではないでしょうか。

1996年に東証一部に上場、そして今では主な連結子会社13社などを擁するまでに成長し、会社設立60周年となる昨年、CVC としてオリエンタルランド・イノベーションズを設立しました。同社からはこれまでに、ホテル兼住宅の企画・販売・運営の NOT A HOTEL、リテールテックのアドインテ、デジタル学習塾のコノセル、HRテックのリフカムといった、オリエンタルランドの本業とは、一見シナジーを読み解けない分野のスタートアップに出資しています。

オリエンタルランドが CVC を作った理由は何か? また、投資先の一つである NOT A HOTEL に出資したのはなぜか? オリエンタルランド・イノベーションズ代表取締役社長の豊福力也さんにお話を伺いました。

千葉・舞浜の一極集中からの脱却

オリエンタルランドグループの事業内容

オリエンタルランドが、スタートアップへの出資および支援活動、新規事業創出や同社グループとの協業促進を目的として設立したのがオリエンタルランド・イノベーションズです。100%オリエンタルランドから出資された CVC で、バランスシートからの出資枠として30億円が確保されています。テーマパークの運営のみならず、ホテル運営、不動産管理など、幅広い年齢層の顧客との関係性や事業を通じた知見の蓄積は多岐にわたります。

「オリエンタルランドのCVC」と聞くと、テーマパーク周辺や関連事業とのシナジーに重点を置いたスタートアップとの協業を念頭に置いているのかと思いきや、オリエンタルランド・イノベーションズは敢えて、オリエンタルランドとの既存事業とは直接リンクしない新規事業を創出することに重きを置いているようです。同社のアセットの多くは、主軸事業の拠点がある千葉県舞浜市に集中していますが、仮にそれだけを前提とした共創では、ビジネスの広がりに限界が生じてしまいます。

豊福:オリエンタルランドグループのビジョンである「夢・感動・喜び・やすらぎ」の提供に資する新規事業領域であれば、当社から投資するスタートアップのテーマは問いません。テーマ例としては「人事領域」「子ども領域」「スマートシティ」「社会的課題の解決」の4つを掲げています。

舞浜周辺にはグループ全体で3万人の従業員がいるので、従業員に対してサービスのポップアップをすることもできるかもしれませんし、例えば、お子さま向けのサービスを展開されるスタートアップから、我々が株主に入ることでポジティブなイメージを出せるという声もいただいており、そういう意図で活用いただくこともできるかもしれません。

これまでに投資した NOT A HOTEL 様、アドインテ様、コノセル様の3社は OMO(Online merges Offline)に関わる会社で、当社との共創で目指す一つの可能性としては、デジタル起点でリアルの場を持つビジネスにおいて、オペレーション分野に経験のある我々がお役に立てる部分があるのではないかと思っています。

通常、大企業との事業共創と言うと、ミドルステージ以降のスタートアップとの連携が目立ちます。アーリー段階だと PMF(プロダクトマーケットフィット)が完了していないことが多く、大企業もスタートアップのどのようなアセットや強みと連携していいかわかりにくいからです。シードスタートアップと付き合うのは、大企業からしてみれば骨の折れる部分も多いと思いますが、オリエンタルランド・イノベーションズでは、シードのスタートアップとの共創に、人材もアサインして精一杯伴走する用意があると強調します。

〝チャレンジする〟CVC

NOT A HOTEL FUKUOKA の完成予想図(NOT A HOTEL 提供)

NOT A HOTEL は、宮崎を代表するスタートアップであるアラタナ(2020年4月に ZOZO が買収)の創業者で、連続起業家の濵渦伸次氏が立ち上げた新たなスタートアップです。ここ数年デュアラー(2拠点に住まいを構える人)が増えたり、コロナ禍のリモートワーク増で人々の生活様式が変化したりする状況を受け、ホテルとして貸し出せ、オーナー自らも別荘として使うことができる柔軟な不動産形態をテクノロジーで実現するサービスの開発を進めています。

NOT A HOTEL が興味深いのは、同社のプロダクトである不動産物件の販売やホテルとしての営業開始はまだ先のことなのに、すでに多額の資金調達に成功していることです。報道によれば、NOT A HOTEL は2020年6月までに複数のVCや個人投資家から10億円を調達、2021年3月にオリエンタルランド・イノベーションズからも資金調達しました(調達額非開示)。濵渦氏の過去の実績が多分に影響しているとはいえ、プロダクトも無いアーリーな段階でCVCがコミットしたのは珍しいのではないでしょうか。

豊福:我々ができるサポートを全力でしていきたいと思っています。NOT A HOTEL 様との関係では、我々からは、オペレーションなどの面で、持っている知見を使って貢献ができればと考えております。

また、通常、我々のグループのホテルなどでは、ハードウェアを作ってから、その上にソフトウェア、オペレーションを載せていくというアプローチを取りますが、NOT A HOTEL 様はソフトでできるものはソフトでやるという、我々の提供するおもてなしの手法とは異なる山の登り方でアプローチされており、そういったところを勉強したいという思いがあります。

5月中旬、NOT A HOTEL は、福岡で都市型コンドミニアムとフランチャイズ募集の開始を発表しました。ホテル業はコロナ禍において最も影響を受けている業界の一つで、オリエンタルランドのグループは全事業売上の15%前後(IR 資料による)をホテル事業で稼ぎ出しています。コロナ収束後もまた天災や疫病の蔓延など不測の事態が起こった場合に備え、柔軟性を追求した宿泊ビジネスから学ぶものは少なくないはずです。
豊福氏によれば、オリエンタルランド・イノベーションズでは、共創のために、あらゆる選択肢を提示する用意があるそうです。シードラウンドでの出資に始まり、投資したスタートアップが希望するのであれば M&A、一緒に事業を作っていくのであれば JV、あるいは20%程度の株式を保有して、オリエンタルランドグループから人を出向させ、事業を一緒にグロースするといった考えもあります。シードからイグジットまでお世話になれる、オールラウンド対応可能な新進気鋭の共創相手と言えるかもしれません。

ということでオリエンタルランド・イノベーションズのスタートアップ投資活動についてお届けしました。次回もお楽しみに。

物流プラットフォーム「Barogo(바로고)」が約79億円調達など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(6月7日~6月11日)

本稿は、韓国のスタートアップメディア「Startup Recipe(스타트업 레시피)」の発表する週刊ニュースを元に、韓国のスタートアップシーンの動向や資金調達のトレンドを振り返ります。 Copyright 2021 © Media Recipe. All Rights Reserved. ニュースレターの購読 注目すべき記事、世界のスタートアップシーンの話題、BRIDGE 主催のイベントに関する…

本稿は、韓国のスタートアップメディア「Startup Recipe(스타트업 레시피)」の発表する週刊ニュースを元に、韓国のスタートアップシーンの動向や資金調達のトレンドを振り返ります。

Copyright 2021 © Media Recipe. All Rights Reserved.


6月7日~6月11日に公開された韓国スタートアップの調達は14件で、資金総額は1,671億ウォン(約164億円)に達した。

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主な調達

調達額300億ウォン(約29.4億円)以上

  • 物流 IT プラットフォーム「Barogo(바로고)」が総額800億ウォン(約78.7億円)規模に及んだシリーズ C ラウンドの調達を完了。戦略的投資家の11番街、CJ グループのマイクロフルフィルメントセンター(MFC)の構築に乗り出す計画だ。カンナム(江南)、ソチョ(瑞草)、ソンパ(松坡)など首都圏を中心に、今後 MFC 25ヶ所をオープン予定。100人規模の新規採用により新事業、配送サービスの高度化を加速。
  • シェアオフィスの FastFive(패스트파이브)が300億ウォン(約29.4億円)を調達し、累積調達額が1,000億ウォン(約98.3億円)を突破。オフィスソリューションなどの商品の多様化、ビルソリューションを通じた事業拡大、メンバーのためのマーケットプレイスのオープンなど、企業のオフィス関連消費支出全体をターゲットにしたプラットフォームビジネスを推進する予定。

調達額100億ウォン(約9.7億円)以上

  • モビリティアーバンテック企業 Motov(모토브)が110億ウォン(約10.8億円)を調達。タクシー上のランプにつけたデジタルサイネージと30以上 IoT センサーを搭載したスマートメディアデバイスを通じ、リアルタイムで都市データ収集と位置ベースの広告を提供する。現在900台のタクシーが運行中。
  • 名門大出身のチューターが教える1:1の映像英語サービス「Ringle(링글)」が100億ウォン(約9.8億円)の投資を集めている。中核人材採用・教育コンテンツと技術システムの開発に使用する予定。…… 関連記事
  • 自律走行ロボット製作会社 Twinny(트위니)が170億ウォン(約16.7億円)を調達。物流センター、工場、病院、スマートファームに自律走行ロボットとターゲット追従ロボットの両方を提供。今年のアパート団地内で使用可能な配送ロボットを披露する計画。来年下半期に KOSDAQ 上場を目標に掲げる。
  • メイクアップブランド「hince(힌스)」運営会社 VivaWave(비바웨이브)が100億ウォン(約9.8億円)を調達。投資を通じて、国内外のマーケティング、ブランディング推進を計画。
  • AI 英語学習「Say Voca(말해보카)」の運営会社 EPOP Soft(이팝소프트)が100億ウォン(約9.8億円)を調達。ゲームと教育を組み合わせた英語学習アプリで累積ダウンロード数85万件を記録。

その他の調達

  • 韓医薬コマース、オンライントレーニングスタートアップ Medistream(메디스트림)が55億ウォン(約5.4億円)を調達。全ての韓医師、韓医大学生の62%以上が参加する。昨年の売上高は、2019年比で300%増加した。
  • MZ 世代(1980年代から2000年代に生まれたミレニアルと、​1990年代から2000年代に生まれた Z 世代を合わせた造語)向けニュースレターサービス「NewNeek(뉴닉)」が25億ウォン(約2.5億円)を調達。難しい経済ニュースを簡単に説明することで、2021年5月現在30万人以上が購読。アプリのリリースと、経済・環境などさまざまな分野で、独自のコンテンツ制作を計画。
  • リアルタイム会議ソリューション Strum Korea(스트럼코리아)が7億ウォン(約6,900万円)を調達。チャットやビデオ会議の際、オンラインホワイトボードで写真や文書を高速に共有できるサービス。共有したファイルの上に参加者が変更加筆でき、筆記、映像録画、録音が可能。
  • クラウドベースの PC セキュリティプラットフォームソリューション ExospLabs(엑소스피어랩스)が10億ウォン(約9,800万円)を調達。スタートアップ、中小企業の顧客2,000社以上。直近の6ヶ月間で100%成長した。

調達額非公開

  • 判例などの法律情報検索サービスを提供するリーガルエンジン運営会社 Carillon(까리용)がシード調達。
  • 中古ブランド品取引所「Plav(플라브)」が調達。NFT(代替不可能トークン)の鑑定書が特徴で、Z 世代がターゲット。
  • モジュール建築材料スタートアップ Moconst(모콘에스티)が調達。工程簡略化の施工性を改善したサービス。
  • IT プロダクトメーカーのためのソーシャルネットワークサービス「Disquiet(디스콰이엇)」がシード調達。メーカーが製品開発に関連する意見を共有可能。
  • ウォンジュ(原州)の伝統酒製造に特化した Epkkot(이쁜꽃)が調達。手作りビールと、カンウォンド(江原道)醸造所とのコラボによる伝統酒を開発予定。
  • 資産ポートフォリオサービス「TheRich(더 리치)」開発会社 Billionaires(빌리어네어즈)が調達。
  • WhyNot Media(와이낫미디어)が日本のキャリア KDDI から戦略的投資を受けた。グローバル市場を目指し、コンテンツを制作予定。…… 関連記事

トレンド分析

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、リモートワークは日常のものとなった。大企業はもちろんスタートアップの多数が、会社正常化後もハイブリッド形式でオフィスを運営することになるだろう。従業員にリモートワークとオフィス出勤2つの選択肢を提供し、柔軟性を保証することになるが、この影響により、リモートワーク環境で活用できる企業のツールが大規模な資金調達を実施、利用率が高くなっている。コロナ禍で急成長し正式ローンチ前に大規模資金調達を実施したサービスを5つ紹介する。

Loom はビデオメッセージを送ることができるサービスを提供している。時価総額はなんと1兆ウォンを超える15億3,000万米ドルで、1年前に比べ4倍以上に達した。2015年に設立された Loom は、録画映像を配信してくれるビデオプラットフォームで、Netflix や Twitter などを顧客に持つ。12万社1,000万人以上の従業員が使用し、毎年900%ずつ成長している。Zoom とは異なり、録画映像を提供できることが差別化要素だ。最近では、VC が投資前に Loom を活用して映像資料を受け取った後、Zoom でリアルタイムミーティングし、その後、投資を検討してもらう話し合いを持つという流れが一般的になっているそうだ。

Rewatch は映像コンテンツのソリューション企業だ。ビデオ会議に最も多く使用される Zoom と Google Meet を連結、社内すべてのビデオチャットを自動的に一ヶ所で管理できるシステムを構築した。今後、より多くの業務が映像を通じて進められると見込まれる中で、これを処理するためのツールが必要になるとの確信のもと誕生し、最近 Andreessen Horowitz などから2,000万米ドルを調達した。Rewatch はすべてのビデオを1ヶ所で見られるだけでなく、映像に字幕をつけて、いつでも映像検索と追跡が可能にしたのが特徴だ。

Remote は、企業が世界中の人材を採用して給与を支払うことができる HR プラットフォームで今年初めに設立された。リモートワークが増えたことで、場所に制約なくグローバルな人材を確保することができるようになったが、現地の法律や給与体系を遵守するのは難しく、こうした問題を解決するためのプラットフォームとしての給与提供から移民サービスまで提供している。企業が直接ビザを発給する代わりに Remote が雇用を肩代わりすることで、現地のグローバル人材を採用できるように支援する。ヨーロッパのほとんどの地域やアメリカ、アジアの一部など17カ国で使用可能。Sequoia Capital のリードで3,500万米ドルを調達している。

Spotmeeting はビデオ会議に疲れた人のために、音声中心の会議プラットフォームを提供。音声だけで会議を進行することができるサービスだが。場所にとらわれず、いつでもどこでも会議を主催・参加でき、音声コマンドで会話の内容を記録し、会議のノートも作成し、内容を他人と共有することも可能だ。使用しているカレンダーと連動して楽にミーティングをスケジュールすることができる。Spotmeeting はまだ β版だが、KPCB から500万米ドルのシード資金を調達した。現在、利用希望者をウェイティング募集中だ。

Calendly は会議時間予約サービスだ。カレンダー上のスケジュールの空き状況を確認し、予定をスケジュール管理できる方法を提供する。 Google、Outlook のカレンダーを利用することもでき、予約機能だけでなく費用支払まで支援する。例えばカレンダーに予約したヨガのクラス受講料を支払うといったケースだ。リモート会議が増えたことで、Calendly は成長を見せている。月間ユーザは1,000万人で、昨年同社は7000万ドルの収益を上げ、今後の売上高は10億米ドルに達すると予想される。去る2月、3億5,000万米ドルを調達し、時価総額は30億米ドルに達した。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

【原文】

Katteraのシャットダウンで、世界のConTech業界に衝撃など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(5月31日~6月4日)

本稿は、韓国のスタートアップメディア「Startup Recipe(스타트업 레시피)」の発表する週刊ニュースを元に、韓国のスタートアップシーンの動向や資金調達のトレンドを振り返ります。 Copyright 2021 © Media Recipe. All Rights Reserved. ニュースレターの購読 注目すべき記事、世界のスタートアップシーンの話題、BRIDGE 主催のイベントに関する…

本稿は、韓国のスタートアップメディア「Startup Recipe(스타트업 레시피)」の発表する週刊ニュースを元に、韓国のスタートアップシーンの動向や資金調達のトレンドを振り返ります。

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5月31日~6月4日、韓国のスタートアップが調達した資金総額は2,376億ウォン(約234億円)に達した。

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主な資金調達

調達額500億ウォン(約49.2億円)以上

  • AI 半導体スタートアップ Furiosa(퓨리오사)が800億ウォン(約78.7億円)をシリーズ B 調達。データセンターとエンタープライズサーバ AI の性能を最大限に引き出すことができる半導体を開発中。2022年下半期の次世代チップの開発のための人材確保に注力。
  • Ably(에이블리)」運営会社 Ably Corporation(에이블리코퍼레이션)が620億ウォン(約61億円)を調達。ローンチから3年でアプリダウンロード数2,000万件、累積取引額6,000億ウォン(約590.3億円)、2020年にはファッションアプリでユーザ数(MAU)1位を記録。調達により、AI による好みのサービス高度化、東大門フルフィルメントサービスを強化し、グローバル進出の加速を計画(編注:東大門はソウルの一大ファッションタウンである)。

調達額100億ウォン(約9.7億円)以上

  • 音楽著作権取引プラットフォーム「Musicow(뮤직카우)」が170億ウォン(約16.7億円)を調達。 2017年7月にサービスを披露後、現在までに850曲余りを取扱。前年度比で利用者数が438%増、取引規模368%増、昨年のユーザのロイヤリティ収益率は年平均8.7%だった。
  • 名品ファッションプラットフォーム「Must It(머스트잇)」が130億ウォン(約12.8億円)を調達。年平均成長率80%、取引額2,500億ウォン達成。市場シェア1位。資金調達により、カカオとのパートナーシップの構築・協力を予定。
  • 塾の O2O プラットフォーム「Study Senior(공부선배、勉強先輩)」が100億ウォン(約9.7億円)の資金調達。会員数110万人、月間決済件数は昨年比約4倍増。

その他の調達

  • 教育と学童保育マッチングプラットフォーム「Jaranda(자란다)」が97億ウォン(約9.5億円)を調達。累積調達額は138億ウォン(約13.6億円)で業界最高。第1四半期の売上高は前期比46%上昇、先生の数は8万3,000人、月間取引額は前年比3.5倍に成長。調達により地域拡大、サービス大正年齢の拡大、児童の性格分析によるカスタマイズコンテンツレコメンデーション実装を計画。
  • 不動産仲介サービス「Dongnae(동네)」を運営する DN Korea(디엔코리아)が46億ウォン(約4.5億円)をシード調達。調達により共同仲介網の拡大、技術開発、不動産、アプリ開発専門人材補充を計画。
  • メンタルヘルスケアアプリ「Trost(트로스트)」を運営する Humart Company(휴마트컴퍼니)が30億ウォン(約2.9億円)を調達。心理カウンセリング、セルフケア、心の管理 AI チャットボット、精神科・薬情報など心理ソリューションを提供する。調達資金により、専門的精神的健康管理ソリューションを追加予定。
  • シニアヘルスケアプラットフォーム「Caredoc(케어닥)」が80億ウォン(約7.9億円)を調達。投資に介護仲介プラットフォームサービスの高度化、B2B介護サービスの拡張、シニアヘルスケアサービスの新規リリースでは、療養施設管理プログラムの導入など、事業領域を拡大予定。
  • Mobidoo(모비두)が60億ウォン(約5.9億円)を調達。ライブコマースプラットフォーム「SauceLive(소스라이브)」と SaaS クラウド「SauceFlex(소스플렉스)」サービスを提供される。
  • コンテンツ翻訳サービス「Jamake(자메이크)」を運営する Voithru(보이스루)が60億ウォン(約5.9億円)を調達。個人 YouTuber や企業顧客に翻訳サービスを提供する。調達資金は、市場の先取りと人材補充に使用。
  • たのもし講フィンテックサービス「imin(아임인)」を運営する Twave(티웨이브)が30億ウォン(約2.9億円)を調達。人々がお金を集めて、毎月定めた順番にまとまった資金が受けられるサービス。信用レベルを下げることなく、迅速に資金を調達することができるのがメリット。

非公開

  • スマートフォンの修理・買取プラットフォーム「Suriking(수리킹)」を開発する 21st Electric Shop(21세기전파상、21世紀電気店)がシード資金を調達。機器のピックアップ後1時間以内に仕入れや精算を完了する。
  • Espreso Media(에스프레소미디어)が後続投資を集めている。ディープラーニング技術で低解像度の画像と動画を 4K 解像度に変換するスーパーレゾリューションエンジンを保持する。
  • PhonAir(폰에어)が資金調達。 YouTube に有名歌手のカバーソングをアップロードする際、一般人が取得しにくい著作権の問題を解決する。
  • フットサル専門会社 Memerd(미머디)が資金調達。「I Am Ground(아이엠그라운드)」「Loco Futsal(로꼬풋살)「Mudoo Futsal(모두의풋살)を運営中。
  • 共有型ピラティス空間提供企業 Bodyworks(바디웍스)が資金調達。講師がセンターを共有で利用可能。

トレンド分析

200億円超の投資を受けながら、シャットダウンするスタートアップ

Katerra フェニックス工場の内部
Image Credit: Katerra

建設業界に革新をもたらした ConTech ユニコーンの Kattera がサービスをシャットダウンする。アメリカのメディア The Information が伝えた。2015年に設立された Kattera は、ソフトバンクなどから約200億円を超える資金を調達した。しかし、昨年から経営難で破産寸前に追い込まれ、ソフトバンクが2億米ドルを資金注入していた。孫正義氏は、WeWork とあわせ投資の失敗事例として挙げていた。

Kattera は、モジュール方式で建物を建て設計・購買・施工手順を統合したサービスを提供し、建物のコストと複雑さを減らすスタートアップだ。技術により多くの産業が技術革新を遂げているが、建設業界はまだ現場中心の保守的な産業のままだ。この市場での革新をなす代表的 ConTech 企業として建設業界と VC から大きな注目を受けた。大型投資を誘致した同社は急速に成長、20以上の企業を買収した。

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このように、多くから関心を集めていた企業が、なぜ破産に至ったのだろうか?

同社は、急上昇した人件費や建設費とともに、新型コロナウイルスを財政難の原因としたが、それ以外にも、他の要因が作用したと思われる。コロナ前から財政は悪化していた。Kattera は2019年、従業員数は8,000人、年間売上高17億米ドル、受注プロジェクトは150億米ドル以上を目指すとしていた。しかし、これらは果たせない蜃気楼と化した。

計画が事実なら2020年末には、黒字を記録する必要があった。プロジェクトは、遅延されたりキャンセルされたりするものもあり、工場にも問題が生じる。これより深刻なのは、会社が10億米ドルを超える金額を水増しして投資会社に報告したということだ。これにより、SEC(証券等監視委員会)が捜査に乗り出す結果となった。

Kattera の失敗は複数の理由に起因する。建設業界の知識を持った上級職のリーダーが不足し、マネジメントの問題があった。同社は4年間で CEO が3人変わるなど、経営陣の構造も不安定だった。収益に対する答えも出せなかった。また、野心が大きくなり、住宅危機を解決するという使命に忠実でなかったということも問題になった。結局、Kattera は、Quibi や Theranos などのように大規模な投資を受けながら倒産した企業となった。

建設技術の合成語である ConTech 市場は世界的に遅れた建設現場を改善することができるという理由から、急激に大きくなった市場だ。 VC が資金を注入している市場でもある。国内でも ConTech 分野のスタートアップが、大企業とのオープンイノベーションによる調達や買収に関心が増しつつある。全世界的に注目された Kattera 破産により建設スタートアップへの関心をはじめとする市場成長が停滞するか見守らなければならなさそうだ。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

【原文】

脱炭素社会に向け新事業を開拓、モビリティのニーズをテクノロジーで分析——出光とスマートドライブの共創

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」に掲載された記事からの転載 課題とチャンスのコーナーでは、毎回、コラボレーションした企業とスタートアップのケーススタディをお届けします。 ニュースレターの購読 注目すべき記事、世界のスタートアップシーンの話題、BRIDGE 主催のイベントに関する情報をお届けします! Sign Up 18世紀から19世紀にかけて起こった産業革命は…

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

課題とチャンスのコーナーでは、毎回、コラボレーションした企業とスタートアップのケーススタディをお届けします。

18世紀から19世紀にかけて起こった産業革命は、石炭と蒸気機関を中心としたものでした。20世紀は石炭から石油への転換が図られた時代だと言っていいでしょう。そして21世紀に入り、もう5分の1ほどが経過しましたが、地球温暖化や SDGs(持続可能な開発目標)が声高に叫ばれるようになり、急がれているのは化石燃料を中心とした炭素社会からの脱却です。この影響を最も多く受ける産業の一つは石油業界で、世界中のオイルメジャーは生き残りをかけて、次なる主軸事業の開拓へと奔走しています。

出光興産は2021年2月、電気自動車(EV)事業への参入を発表しました。レース車両の開発などを手がけるタジマモーターコーポレーションと合弁で新会社「出光タジマEV」を2021年4月に設立、新規格「超小型モビリティ」に準拠した、4人乗り且つ、一般の家庭用電源で充電可能な超小型EVを2022年に市場投入します。この EV は全国に拡がる出光興産のガソリンスタンド等を通じて展開される予定で、ガソリンスタンドは車のエネルギーの供給拠点からモビリティサービスを更に拡大した拠点へと変貌を遂げます。

超小型 EVデザインコンセプト

超小型モビリティは完成しつつあるものの、ユーザのニーズにあわせて、より使いやすいものにする必要があります。来年の本格展開開始に先立ち、このモビリティがどのように利用されるかの知見を貯めるべく、出光興産とタジマモーターは2019年から、岐阜県高山市や千葉県館山市、市原市などの地方エリアで、モビリティを使ったカーシェアリングサービスの実証を展開してきました。この実証ではモビリティやユーザの動きを可視化するため、スマートドライブの技術が活かされています。

出光興産とスマートドライブがどのような経緯でタッグを組むことになったのか、そして、どのような共創成果が生まれているのかについて、出光興産モビリティ戦略室の朝日洋充さんと、スマートドライブ先進技術事業開発部ディレクターの石野真吾さんに話を伺いました。

ドライブデータの可視化で見えてきた、次世代のモビリティと社会のカタチ

スマートドライブは、2013年に創業したモビリティデータを活用したサービスを提供するスタートアップです。創業以来「移動の進化を後押しする」をビジョンとして、マルチデバイスでの移動データの取得から解析・可視化・活用まで、移動にまつわる様々なモビリティサービスを提供しています。

スマートドライブビジネスモデル

出光タジマ EV が開発する EV は8時間の充電で120kmの走行が可能。この仕様を決めるのにも、スマートドライブの「Mobility Data Platform」で収集されたデータが一役買いました。

住民の利用では買い物や子供の送迎といった短距離移動の需要があり、営業などに使う商用でも、1日の移動距離が15~20キロメートルだったことから、軽自動車ほど高い性能は必要ないと判断しました。EV の設計に関わるこのようなことも、カーシェアリングサービスの実証実験を通じて得られたデータからわかったことです。(出光興産 朝日さん)

端的に、従来からある移動手段として使ってもらうだけでは、この EV の可能性を引き出せたとは言えません。カーシェアリングのメリットを享受できるのは、住民以外にも地域外から現地を訪れる観光客です。公共交通機関が必ずしも便利ではない地方エリアでは、小型であれば幅の狭い道路も運転しやすく、MaaS としての可能性も広がります。旅先で観光客が発信する SNS データを収集・解析するスタートアップであるナイトレイ社にも参加してもらい、稼働率向上や観光地開拓につなげる取り組みも行いました。

出光興産様も当社も、今まで向き合ったことのない課題、つまり正解がないなかでディスカッションを重ねていき、お互いが持っている知見や強みを出し合いながら、手探りながらも目指すべき方向に向かっていった感じですね。行きづまった場合であっても、ナイトレイさんなど違う技術・強みのある会社様にも参画してもらって、ユーザーが使って便利なものや役立つものを探っていきました。(スマートドライブ 石野さん)

出光興産とスマートドライブが協業に至ったきっかけ

出光興産はかねてから、KDDI ∞ Labo の主旨に賛同する大企業群「パートナー連合」に参加していました。朝日さんは ∞ Labo の定例会に参加していたメンバー(出光興産のオープンイノベーション担当者)から「超小型EVをもっとよくできるパートナー企業があるよ」と紹介され、両社が持つアセットがうまく組み合わせられると考え、タッグを組むことにしたそうです。ディスカッションが始まったのが2020年2月、その1ヶ月後にはスマートドライブがプロジェクトに関わることになりました。

当社はスタートアップなので、さまざまなお客様に知っていただくというフェーズにいます。しっかりとしたパートナー様とキッチリとプロジェクトに取り組ませていただいているというのは、信用度向上という観点において非常に重要と考えています。

実際、出光興産様との超小型EVのプロジェクトを新聞記事で読んだお客様(他社)が、展示会で当社ブースにお立ち寄りいただき、違うプロジェクトをご一緒するといった、理想的なスパイラルが起こっています。(スマートドライブ 石野さん)

出光興産とスマートドライブの間には資本関係はありません。スマートドライブは SaaS のビジネスモデルなので、Mobility Data Platform サービスを出光興産が利用する座組です。当然、クルマやモビリティとのインテグレーションはユーザである出光興産が実施することになりますが、出光興産が社運をかけた新事業に関わることで新たなユースケースを開拓できるとの判断から、スマートドライブも深くコミットしています。

MaaS やスマートシティなどのサービスが増える中で、蓄積した移動データをどう利活用するか、お客様から意見を求められることはよくあります。創業から8年にわたり、移動データの利活用に主軸を置いて事業を行ってきたので、業種別の使われ方についても知見が溜まっています。

お客様に合わせて我々が仕組みをカスタマイズするのではなく、むしろ、お客様がどう組み合わせて使うか、お客様の今あるプラットフォームや他社のプラットフォームとどう連携させるかなど、柔軟に提案するようにしています。(スマートドライブ 石野さん)

オープンイノベーションは、解決すべき一つの課題に対して、大企業1社とスタートアップ1社で完結しようとされがちかもしれません。スマートドライブは近年、MarTech(マーケティングテック)を提供するスタートアップとの連携も積極的に行うなど、得られた移動データのさまざまなソリューションへの応用を提案しています。これこそ、オープンイノベーションの真髄であり、直接的にプロジェクトに関わった大企業やスタートアップ以外にも、さらに多くの企業を巻き込む形で事業機会を創造することにつながるわけです。

次回も国内の共創事例をお届けいたします。

Robinhood競合「Public」が音声配信開始、特化型コミュニティーで浸透するライブ音声/GB Tech Trend

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載 グローバルテックニュースでは、毎週、世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。 今週の注目テックトレンド 音声の話題を聞かない日がないというほど、特にClubhouseが登場してから盛り上がり続けている音声市場。これまでは音声アプリとしてプラットフォー…

ライブ音声配信サービスを立ち上げた「Public.com」。Image Credit: Public.com。

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載

グローバルテックニュースでは、毎週、世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

今週の注目テックトレンド

音声の話題を聞かない日がないというほど、特にClubhouseが登場してから盛り上がり続けている音声市場。これまでは音声アプリとしてプラットフォームを狙うプレイヤーに注目が集まっていましたが、徐々に「機能」として音声サービスを提供する動きが増えるかもしれません。これはつまり、ユーザーにとってはどのアプリへアクセスしても音声対話をする場が用意される未来を示唆しています。

例えば最近ライブ音声配信機能を実装した「Public.com」で、同社はRobinhoodと競合している株式トレードアプリとして米国で有名です。2月には12億ドルの評価で2億2,000万ドルの調達を実施しました。すでにユニコーン企業へと成長を遂げており、登録ユーザー数は100万人を超えています。

今回実装された機能の正式名称は「Public Live」です。ローンチ当初は誰もがストリームを立ち上げて話せる場所ではなく、Public側が手配したモデレーターのトークイベントに参加できる形式になるとのことです。イベントは週3回を予定。

Publicはサービス立ち上げ時からコミュニティ志向の強いサービスで、投資家のポートフォリオを確認し合ったりできるなど、投資家同士の情報交換・コミュニケーションに重視したSNSとしての側面を持たせていました。この点、Robinhoodとの差別化を必死に図っており、今回のライブ音声配信機能もその一環と見られます。

最近ではLinkedIn、Facebook、Twitterらも、音声配信機能を自社のプラットフォームを強化できる重要な機能であるとし、サービスリリースへと漕ぎ着けています。彼らの動きに追従するように、Publicに代表されるような主要SNS以外のプレイヤーも音声サービスをローンチしはじめているのが現状です。それではPublicのような音声サービスとは一見関係のない企業に音声の波が来ている理由はなんなのか。2つほど考えられます。

1つは開発土壌が揃いつつある点です。これは開発者向けSDKサービスも出揃っている点が大きいでしょう。たとえば中国のスタートアップ「Agora.io」などを使えば、簡単にライブ音声配信機能を実装できる開発者向けSDKも市場に揃っています。

もう1つの理由として特化型コミュニティ志向が挙げられます。多くのライブ配信アプリで見かけられるように、ユーザーは自分の興味・関心のあるトピックを選択した上で、話しやすいストリームに招待される動線が引かれています。言い換えれば、同じ話題で話せる密なコミュニティを複数所有するのが音声プラットフォームなのです。

ただ、Publicのように特定のテーマに沿ってユーザーが集まるサービスで音声対話ができた方が、特にビジネスに関する情報収集であれば得することが多いと考えられます。特化型コミュニティを抱えるサービスが音声機能を他社SDKを通じて高速に立ち上げれば、大手プラットフォームに負けないほどのエンゲージメントを叩き出せる可能性が十分にあります。こうした実情を各市場のプレイヤーが理解し始めており、ハードルの高い動画などではなく、誰もが顔出しせずに配信できる音声に舵を切り始めているのが最新の市場動向であると感じます。

各市場にはニッチなテーマを持ったアプリが多く存在しています。彼らがテキストチャット機能に並ぶものとして、当たり前に音声配信機能を実装する日は遠くないかもしれません。

今週(5月25日〜5月31日)の主要ニュース

フェムテックブランド「Rinē(リネ)」、個人投資家から5,000万円を調達——吸水ショーツ・ブラレットの予約を開始

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フェムテックブランド「Rinē(リネ)」を展開する Neith は6月3日、個人投資家等を引受先とする第三者割当増資の実施及びデットファイナンスによる総額約5,000万円の資金調達を発表した。本ラウンドに参加したのは、島田亨氏(個人投資家)、石倉壱彦氏(アカツキ執行役員)、花房香那(藤井香那)氏(トリコ 代表取締役CEO)、南里勇気氏(Bison Holdings CEO)。 同社は2020年12…

Image credit: Neith

フェムテックブランド「Rinē(リネ)」を展開する Neith は6月3日、個人投資家等を引受先とする第三者割当増資の実施及びデットファイナンスによる総額約5,000万円の資金調達を発表した。本ラウンドに参加したのは、島田亨氏(個人投資家)、石倉壱彦氏(アカツキ執行役員)、花房香那(藤井香那)氏(トリコ 代表取締役CEO)、南里勇気氏(Bison Holdings CEO)。

同社は2020年12月に元シンガーソングライターの信近エリ氏が創業し、代表取締役CEOを務めている。同氏がフェムテックブランドを立ち上げた背景としては、次のようにコメントしている。

女性特有の不調で生活に支障をきたしてしまう事柄として、PMSの影響からちょっとしたミスで自信を喪失してしまったり、生理痛で仕事に集中できず、思うようにタスクをこなせないことがあります。

そういった体験を少しでも減らし、緩和できるような商品やサービスを開発したいとの思いから、創業に至りました。

Image credit: Neith

「Rinē」では第一弾のプロダクトとして、生理期間中に使用する吸水ショーツと、セットで着用できるブラレットを販売する。開発されて間もない新構造の吸水素材を採用した吸水ショーツは、60mlの吸水力を持つレギュラータイプ(4,580円)と110mlのフルタイプ(4,950円)の2種類がそれぞれS・M・Lのサイズで展開。予約開始は6月3日、本販売は10日より開始する。

さらに第二段のプロダクトとして、授乳期間中に使える吸水ブラレットの販売も近日中に予定されている。「取替が必要」「擦れて痛い」といった従来の母乳パッドの課題を解決したもので、本製品においても吸水ショーツの構造が活かされているという。

Image credit: Neith

今回調達した資金は、プロダクト開発を中心にマーケティングや組織体制の強化に活用される予定。今後も女性が女性特有の悩みによって日々のパフォーマンスを左右されることなく、心身ともに健やかに過ごすためのプロダクトを展開していくという。

執筆:平理沙子(Risako Taira)

Grab、GoTo、Sea——東南アジアでスーパーアプリの覇権を握るのは誰か?【ゲスト寄稿】

本稿は、Golden Gate Ventures のマネージングパートナー Vinnie Lauria 氏による寄稿だ。「Entrepreneur アジア太平洋版(オンライン版)」に掲載された記事を、執筆者と発行者の了解のもと翻訳・転載する。 This article was first published in Entrepreneur APAC. <関連記事> ニュースレターの購読 注目すべき…

本稿は、Golden Gate Ventures のマネージングパートナー Vinnie Lauria 氏による寄稿だ。「Entrepreneur アジア太平洋版(オンライン版)」に掲載された記事を、執筆者と発行者の了解のもと翻訳・転載する。

This article was first published in Entrepreneur APAC.

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東南アジアでは、Grab と GoTo という、配車サービスをルーツとして IPO を目指す2つのデカコーンの競争が注目されている。しかし、実際に進行しているのは、世界でも有数の新興市場で、どちらのスーパーアプリが勝利を収めるかという、3つのバトルロイヤルだ。

Grab と GoTo の両社は、配車サービスやフードデリバリの枠を超えて進化している。Grab と GoTo は、配車サービスやフードデリバリだけでなく、モバイルフレンドリーな10カ国の ASEAN 地域であらゆる商品を販売するためのゲートウェイとなる、決済アプリという新たなコアを中心に未来を築いている。両社とも、シンガポールを拠点とする Sea という強力な第3の競合に直面している。

この興味深い問題は、誰が勝つかということではなく、どのようにして勝つかということだ。Grab、GoTo、Sea の3社は、すべてを支配するアプリクラスターの所有に向けて、それぞれ異なる道のりを歩んでいる。ここでは、3社のプロフィールを紹介し、5つの重要な戦略分野で各社がどのような地位を築いているかを見ていこう。

Image credit: kojinaka / 123RF

候補者

Grab は、2012年にマレーシアで設立され、その後すぐに本社をシンガポールに移し、バンコク、ハノイ、マニラなど、約300の都市圏で ASEAN 全体のプレゼンスを確立している。アプリ「GrabPay」を中心に、電子口座、ローン、保険などの金融商品を提供している。

  • 長所:幅広い地域での事業展開、各市場での現地事情に精通していること、全体的に優れたリーダーシップを発揮していること。
  • 短所:スーパーアプリの製品ポートフォリオに、2つの主要な要素が欠けていること。

GoTo は、GojekとTokopediaが最近合併してできた会社で、Gojekはバイクの運転手がストリートレベルの兵士であることから名付けられた。

  • 長所:GoTo は、商品の種類が圧倒的に多い。母国インドネシアの人口は2億7,000万人を超え、ASEAN の中では圧倒的に大きい。
  • 短所:GoTo はインドネシア以外ではあまり存在感がなく、熱心な競合参入者から本拠地のある市場を守らなければならない。

情報開示:Golden Gate Ventures は、Ruma Mapan の買収を通じて Gojek の小口株主となっている。また、Gojek のスピンアウト企業である GoPlay にも出資している。

Sea は、オンラインゲームの制作・販売会社Garenaを母体としている。Sea社は、多国籍ECプラットフォームのShopeeや決済アプリのSeaMoneyも所有している。

  • 長所:ニューヨーク証券取引所に上場している企業でありながら、収益性の高い人気のある2つの分野を持っていること。
  • 短所:??? 後ほど述べる。

5つの戦略的要素で候補者を採点

このスーパーアプリコンテストには、配車サービスとデリバリ、エンターテイメント、eコマース、決済アプリという4つの重要なビジネス競争分野がある。また、5つ目の「無形の領域」は、持続的なリーダーシップとビジョンを持つ創業者 CEO の存在が、全体として戦略的に価値があるとされている。以下に、それぞれの要素が重要である理由と、それぞれの要素について私が Grab、GoTo、Sea をどのように評価するかを示する。ここでは、1点を「完全に準備ができている」、0点を「全く準備ができていない」、その中間を0.5点とするシンプルなスコアリングシステムを使用した。

配車サービスとフードデリバリ

配車サービスだけでは利益が出ないかもしれないが、路上に車が走っていることは、いくつかの点で利益をもたらす。配車サービスは、ユーザ数を増やすためのロスリーダー(利益度外視の目玉商品)になる。フードデリバリは、利益を生み出すとともに、自社の決済アプリを受け入れてくれる加盟店のネットワークを構築する。これらの活動は、人々が企業の活動を実際に目にすることで、リアル世界でのブランド認知度を高めることにつながる。

  • Grab:1点。同社と提携しているタクシーやバイクのドライバーが、遠く離れた何百もの都市で仕事をこなしている。
  • GoTo:1点。Gojek の最先端車両サービス(現在は四輪車も含む)は、現在のところ主にインドネシアであるが、広く浸透している。
  • Sea:0点。配車サービスは行っておらず、フードデリバリも前四半期に開始したばかりで、競合に大きく遅れをとっている。

ストリーミングエンタテインメント

Insignia Ventures Partners の Yinglan Tan 氏が昨年 Wiredfocus に語ったように、テックプラットフォーム企業は「ユーザが長期的にプラットフォームに関与し続けるための計画が必要」で、これはストリーミングエンターテイメントの役割だ。注目を集めると同時に、注目を維持することで、自ら収益を生み出し、人々があなたの会社をスクリーンに映し出すようになるのだ。

  • Sea:1点。Sea 傘下の Garena は明らかに勝者だ。なぜなら、オンラインエンターテインメントでは、ゲームがルールだからだ。多くの若者がモバイルに最初にインストールするアプリはゲームだ。ゲームはソーシャル性が高く、インタラクティブであるため、注目を集めることができ、参入障壁が高く収益性の高いビジネスである。
  • GoTo:0.5点。GoTo のエンターテイメントユニット「GoPlay」は、アジアの長編映画やビデオシリーズをストリーミング配信している。これらも人気があるが、競争相手はたくさんいる。独自のニッチを開拓するために、同社は現在、ジャカルタを舞台にしたアメリカのシリーズ「Gossip Girl」のリメイク版など、GoPlay オリジナル作品を制作している。また、若者に人気のライブストリーミングサービスも開始している。これは、形式的なものだが、GoPlay のコンテンツがインドネシア中心であるのに対し、Garena のコンテンツは ASEAN 全体にアピールしているので0.5点とした。
  • Grab:0点。数年前、Grab はアジアの配給会社である Hooq と提携し映画やシリーズに進出したが、Hooq は倒産してしまった。現在、Grab にはエンターテイメントはサービス提供していない。

e コマース

Amazon の e コマースモデルは、大量の在庫を事前に購入して倉庫に保管するため、薄利多売となる。アジアの企業は、売り手と買い手をマッチングさせる軽量なマーケットプレイスモデルを好んで採用し、大量生産で高収益を実現している。しかし、東南アジアでは e コマースの競争が激しく、Alibaba(阿里巴巴)傘下の Lazada やインドネシアのユニコーン Bukalapak など、さまざまな企業が参入している。

  • Sea:1点。Sea の eコマース部門 Shopee は、ASEAN 全域で事業を展開しており、昨年は Tokopedia の母国であるインドネシアで、Tokopedia を上回るサイト訪問者数を記録した。ASEAN の e コマース事業者のトップリストには、Shopee が必ず含まれている。
  • GoTo:0.5点。Tokopedia は、Gojek との合併に強力なプラットフォームを提供している。十分にサポートされた事業者ネットワークはさまざまな商品を提供し、総取扱高は伸び続けている。しかし、インドネシアでは5社以上のユニコーンがトップの座を争っているため、プラットフォームの国内重視の姿勢が弱点となっている。もし Tokopedia が国内での戦いに負けるようなことがあれば、その見通しは厳しいものになるだろう。
  • Grab:0点。e コマースはサービス提供していない。

決済アプリ

中国での Alipay(支付宝)の成功が示すように、広く使われている決済アプリを所有することは、3つの大きなメリットをもたらす。アプリは有料サービスの収益源であり、(Ant Financial=螞蟻金融が行っているように)金融商品を販売するためのハブであり、さらにアプリを利用する顧客のデータの宝庫でもある。このデータを分析することで、今後のマーケティングの対象としたり、顧客の消費力を判断したり、さらには新しい製品ラインやパートナーシップへの戦略的ベンチャーを形成したりすることができる。

  • Grab:0.5点。GrabPay は強力で、東南アジア全域で人気が高まっている。また、Grab はインドネシアの OVO やベトナムの Moca のようなローカルプレーヤーとの提携を積極的に行い、最大の露出を図っている。しかし、これは、顧客を所有し、データを利用してより多くのサービスを販売するという点ではアキレス腱である。Grab が優位に立つためには、現地の決済会社を買収する必要があるだろう。
  • GoTo:0.5点。GoPay も人気が高まっており、大小の加盟店で受け入れられている。しかし、インドネシア以外の市場で GoPay が決済手段として選ばれるようになるとは考えにくい。また、Tokopedia との合併により、外部の加盟店が購入履歴へのアクセスを提供できなくなる可能性がある。
  • Sea:-0.5点。SeaMoney は、Garena のゲーマーや Shopee での買い物には問題なく利用できる。問題は、Sea が配車サービスやデリバリのインフラを持っていないことで、アプリの幅広いユーザー層や受け入れ可能な加盟店の幅広いネットワークを構築するチャンスが大きく制限されていることだ。この欠点は、多くの悪影響を及ぼす可能性があるため、Sea に罰則を与えなければならない。

創業者 CEO の存在

テックスタートアップは、元々の製品やビジネスモデルの規模を拡大するだけでは、大きく成長することはできない。技術革新と進化が必要であり、創業者(またはその一人)がこのような発展段階を経て会社をリードし続けることに価値がある。Alibaba では、Jack Ma(馬雲)氏が起業家としてのビジョンや文化を守り続けた。Apple は、Steve Jobs 氏の下で初期に繁栄し、彼が去ったときには低迷し、彼が戻ってきたときには再び奮起した。Amazon、Facebook、Airbnb、Microsoft、Intel など、いずれも主要な創業者が持続的にリーダーシップを発揮している。新しいリーダーへの引き継ぎは、会社が確固たる地位を築いてから行うのが理想的だ。

ASEAN のスーパーアプリ戦争では、まだ誰も確固たる地位を築いていない。これからたくさんの革新が起こるだろう。創業者 CEOが率いる企業は、無形だが大きな強みを持つことができるだろう。

  • Grab:1点。Anthony Tan 氏は、ハーバード大学の MBA 学生としてこのスタートアップを構想し、それ以来、スマートに同社をリードしてきた。
  • Sea:1点。Forrest Li 氏は、Garena がまだ創業後間もなかった頃に買収し、それを中心に Sea を構成する残りの部分を構築し、現在も指揮を執っている。
  • GoTo:0.5点。Gojek の主要創業者である Nadiem Makarim 氏は、現在インドネシアの教育文化大臣を務めている。Tokopedia の主要共同創業者らも、合併後の GoTo を率いることはないだろう。合併によって強力な新会社が誕生する一方で、2つの大企業を統合するという複雑な問題が発生し、リーダーシップチームには多くの負担がかかる。しかし、何人かの共同創業者は、まだビジョンを推進するために参加している。Gojek 元 CEO の Andre Soelistyo 氏と Tokopedia 元社長の Patrick Cao 氏のドリームチームは、インドネシアのビジネスを成功させるための20年にわたる知識を持っている。

トータルスコア

これまでのところ、レースは互角のように見えるが、私は優位に立てる可能性があると考えている。私の読みでは、Grab の強みは決済と地域拡大であり、Sea の強みはスティッキーなエンターテインメントと e コマースである。 GoTo の強みはインドネシアであり、総力戦に向けて準備を進めている。VC として好きなタイプの企業は、壁に背を向けて生き残りをかけて戦っている企業だ。GoTo はそのような企業だ。

東南アジアは大きく成長している。勝者は1人だけではなく、各関係者が戦略的に動く余地があり、買収からメガ合併まで幅広く考えられる。いずれにしても、期待できることが1つある。このバトルロイヤルがどのように展開するかを見ることで、他の市場におけるスーパーアプリのプラットフォーム企業の将来について多くのことを知ることができるだろう。

これからどうなる「SPAC」上場

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本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載。Universe編集部と同社の一宮翔平氏が共同執筆した。 昨年から米国テック・スタートアップ投資の話題としてトレンドになっているのが「SPAC(特別目的買収会社)」です。GB Universeをチェックいただいているみなさんであれば、少なくともこのキーワードを目にしたことはあ…

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本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載。Universe編集部と同社の一宮翔平氏が共同執筆した。

昨年から米国テック・スタートアップ投資の話題としてトレンドになっているのが「SPAC(特別目的買収会社)」です。GB Universeをチェックいただいているみなさんであれば、少なくともこのキーワードを目にしたことはあると思います。具体的にはSPACというスキームを用いた未上場企業の公開化のことで、ここ直近では東南アジアで配車サービスなどを展開するGrabがこのSPACを使って上場することになり、その時価総額が390億ドルを見込んでいることから歴代で最大規模のSPAC上場と伝えられています。

本稿ではSPACのスキームの現段階における手法やケーススタディ、そして課題についておさらいをしてみたいと思います。

SPACとは

では改めてSPACというスキームについて簡単に整理します。特別買収目的会社とは特定の事業を持たず、未公開会社や事業を買収することだけを目的とした投資ビークル(組織体)で、英語ではSPAC(Special Purpose Acquisition Company)と呼びます。何も入っていないことから空箱や、後ほど出てくるブランク・チェック・カンパニー(白紙の小切手)などと呼ばれることもあります。

このSPACを「先に」株式市場に上場させ、その後に実際の事業を持った企業を買収することで未公開企業の株式を市場に流通させるのが「SPAC上場」の基本的な考え方です。この株式公開化・資金調達手法のメリットはやはりスピードです。一般論としてSPACは従来のIPOプロセスより早い公開化が可能で、ディールストラクチャの柔軟性が高く、株価をより早くフィックスできるなどのメリットがあると言われています。

一方で、必ずしも通常のIPOより費用は低くなく、株主構成や対外プレスのコントロールが相対的に少なく、従来のIPOの方が高い時価総額になる可能性がある点も指摘されています。つまり投資家に対して“Optics”が良くない可能性があるわけです。注意すべきは従来のIPOより「良い・悪い」という議論ではなく、公開化などを目指すベンチャー企業にとってSPACというスキームが合っているかどうかが検討のポイントです。

GrabがSPAC上場へ

米国のテック企業を中心にほぼ毎日のようにSPACの話題が出ています。この背景には長年続く金融緩和の影響もあり、金余りの状況で投資先銘柄が不足する需給バランスの問題が影響しているように感じます。日本ではマザーズのように企業評価で100億円前後の上場も珍しくありませんが、米国ではその規模は大きく変わります。一方、そこまで成長するには当然時間がかかるわけです。SPACはこういった需給バランスの問題から顕在化してきたと考えてもよいと思っています。

一方、SPACでの上場を「裏口」と表現する人がいるように、通常のIPOを選択できなかった企業の裏技と取る向きもあります。創業者の辞任や上場の断念で話題となったWeWorkもSPACを使った上場を準備していると報じられています

課題も多く最近でもSPAC王と言われてきたChamath氏がスポンサーしたSPACが軒並みに株価が不調な状態になったり、SPACへの訴訟(開示が不十分なケース)が増えており、今後これらのトラブルはもっと増えるのではと指摘する弁護士事務所も存在しています。

一方、アジア圏におけるSPAC上場はまた異なる視点も加わります。特に株式市場が弱く流動性が少ない東南アジアでは海外市場への上場が自然とターゲットに入っており、歴代で最大規模(時価総額は390億ドルの見込み)のSPAC上場となるGrabのようなケースが生まれたりしています。ちなみに現時点(記事執筆時は5月20日)でUberの時価総額はおおよそ1,000億ドル、ライバルのLyftが200億ドルです。

これからどうなる「SPAC」上場

SPACの歴史自体は古く、1980年代頃からシステムとして登場しています。当時のアメリカ株式店頭取引は現在ほど規制が厳しくなったこともあり、未上場・未登録の株式が取引される市場は不正の温床とされていました。「ブランク・チェック・カンパニー」などの用語はこの頃に登場していて、例えばブランク・チェック・カンパニーを通じて資金を調達し、買収候補のうわさなどで株価を吊り上げたら売り抜くような不正や、自らが出資した会社を高い価格で買収させる方法、調達した資金を私的に流用するなど多くのトラブル・訴訟が発生したことを受け、1992年に米国証券取引委員会がブランク・チェック・カンパニーの規制を強化して、現在のSPACに至っています。

そして2000年に勃発したITバブルによってSPACは一旦、その存在を潜めていきます。ブームが復活したのはここ1年で2020年に入ってからSPACの組成が急増しています。こちらのリサーチによれば、 SPACを使った上場数は2017年に34件だったのに対し、2020年は248件、2021年は5月時点で324件と4年で10倍近くに膨れ上がっています。ただ、直近の数は流石に価格パフォーマンスが芳しくない状況で組成は大幅に減少しています。 また、一般論としてSPACによる希薄化を考慮すると、時価総額は組成金額の3〜5倍に落ち着いているようです。

現時点でSPACという手法を使った上場は国内では認められていません。また、日本ではまだテックセクターが資本市場における力が相対的に弱かったり、需給バランスが崩れつつある米国で発生したのと同じような背景でSPACブームがやってくることはなさそうです。

一方、SPAC自体のスキームが進化していく可能性は高いと考えています。既に従来のスキームを一部変えるなどのイノベーションが起こっており、件数が大幅に増えていることや、今回のGrabのようにメインストリームの会社がSPACを利用することにより成熟が進むのではないでしょうか。

SPACにはもうひとつ、ウォール街を中心とした世界からシリコンバレーが主導する金融の世界へシフトしているトレンドの一環という見方もあります。伝統的にウォール街の投資銀行がパブリックマーケットに上場できる・できないの鍵を握っていたことから「ゲートキーパー」と呼ばれていた彼らへリターンの一部を“IPO Pop“などを通じて一部ロストしているため、Direct ListingやSPACなどのスキームを魅力的に感じるVCも多いのは事実です。