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投資家向け「だけ」のピッチ資料は作らなくていい

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起業家のみなさんはピッチ資料、何のために作っていますか? ピッチ資料やピッチデックという言葉も、スタートアップや投資家界隈を中心にかなり一般的になってきていると思いますが、もし「何のために作るのか?」の回答が「投資家からの資金調達のため」だとしたら、本質を見失っているかもしれません。 もちろん資金調達も一つの目標だと思います。しかし、考えてみてください。そもそも、その事業やサービス、アイデアや計画…

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起業家のみなさんはピッチ資料、何のために作っていますか?

ピッチ資料やピッチデックという言葉も、スタートアップや投資家界隈を中心にかなり一般的になってきていると思いますが、もし「何のために作るのか?」の回答が「投資家からの資金調達のため」だとしたら、本質を見失っているかもしれません。

もちろん資金調達も一つの目標だと思います。しかし、考えてみてください。そもそも、その事業やサービス、アイデアや計画は「投資家のもの」「資金調達のためのもの」ではないはずです。

私たちはベンチャーキャピタル(VC)として、多くの起業家の方にお会いしています。可能なかぎり、打ち合わせの前にピッチ資料を共有してもらい、事業の理解と自分なりの事業戦略を構築した状態で起業家の方にお会いするために、いただいた資料をじっくり読み込んでいます。

ピッチ資料の作成手法についてはウェブ上にもたくさんのナレッジシェアがありますし、どれも参考にした方がよい事例ですので、ここでは言及しません。

一方で、「そもそも何のためにピッチ資料を作成するのか?」については、改めて起業家の方ご自身が自分で考えた方がよいことだと思いますので、ここではそのヒントを3つ共有させてください。

1.自らの思考を整理するため

ピッチ資料の作成時以外に、普段から自社の戦略について、体系的かつ網羅的にまとめる機会をもっている方はどれくらいいるでしょうか。それらをしっかりと言語化し資料に落とし込むことができれば、自らの思考が整理されるだけでなく、戦略の見直しができたり、社内のメンバーへの落とし込みにも活用できたりするはずです。

投資家からの資金調達は、基本的には事業のステージが切り替わる段階で行うものなので、これをうまく活用し、ビジョン・ミッション、中長期戦略、短期戦略などの策定のタイミングとするとよいと思います。また、社内のメンバーがその資料を見ることで会社の方向性や戦略を理解し、自らの戦略を思考できる程度の解像度の資料がベストです。

したがって資金調達のために、というよりは、定期的に全体を振り返るためのものとして扱うことをおすすめします。

2.有意義なディスカッションをするため

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さらに少しだけ視野を広げてみましょう。ピッチ資料は、事業を説明するためのものではなく、投資家に仲間になってもらうためのもの、同じ船に乗って企業価値向上に向けて伴走してもらうための“招待状”です。

とりわけ、投資家の中でもVCというのは本来、ただお金を投資するだけではなく、資本家として当事者として、自らも事業戦略について考えるものです。

逆に「このVC(キャピタリスト)は解像度高く我々の事業を理解し、本当に我々と同じように当事者として事業戦略について考え、伴走してくれるのか」ということを確認する必要もある、ということです。

そのためにも、その時点で自らが持っているもの(市場・業界へのインサイト、事業戦略、経営指標、組織状態など)は惜しみなく伝え、自分たちが気付いていないようなインサイトを与えてくれるのかどうか、確認することをおすすめします。

またこれはユーザ獲得や人材採用でも、自社の仲間を増やす・巻き込むという意味では同じです。営業資料やカルチャーデックへの応用も想定したマスター資料のような位置づけを前提に作成すると効率がよくなります。

3.意志決定を促すため

最後にお伝えしたいのは、ピッチ資料の最終的な成果は「相手の行動」、ということです。こだわって資料を作成しても、自己満足に終わってしまっては意味がありません。

ここでもいったん資金調達を例に挙げてしまいますが、投資家に事業を理解してもらって、意義のあるディスカッションをできたとしても、実際に投資を決めてお金を振り込んでもらえなくては意味がありません。

資金調達を期待しているのであれば、企業の成長度≒事業フェーズの問題も大きな要素になるため、これまで何をやって、何が達成されて、調達した資金で何を発展させていくのか、といった成長の流れを記載する必要があります。

投資家に「そのチャレンジに一緒に取り組みたい」「その成長を一緒に辿りたい」という当事者意識を持ってもらい、決断を促すのです。営業・ユーザ獲得であれば開発のマイルストーン、人材採用であれば創業ストーリーや労働環境などがそれぞれ加えられるとよいでしょう。

いかがだったでしょうか。

(1)と(2)で基本的な内容を押さえ、プラスして「これまで」と「今」、そして「これから」を見せることが、理解・行動に繋がります。決して、投資家に最適化するものがピッチ資料ではないということを意識してみると、企業のマスター資料が完成すると思います。

<参考情報>

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、ジェネシア・ベンチャーズのアソシエイト、一戸将未氏によるもの。Twitterアカウントは@ichinohe_GV。毎週火曜日に25歳以下の起業家を対象として事業の壁打ちを行う「Founders Gate」を開催。初めての起業、若手の起業家の方への具体的なアドバイスも可能。くわしくはこちらから

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出張の「仮払い」は昭和が残した負の遺産ーー今、知っておくべき「BTM(ビジネストラベルマネジメント)」の存在と役割

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出張で何気なくやっている「仮払い」や「実費精算」。エクセルや場合によっては紙の申請書を提出して承認をもらい、レシートを用意して月末までに精算する。提出・処理という経理と現場の不毛な戦いが始まるわけです。 実はこれ、昭和初期から変わっていない商習慣で、例えば日本式の「はんこ」文化に近い風習です。特に出張の多い企業であれば社員に与える負担や時間のロスも大きく、なるべくカットしたい業務のひとつではないで…

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出張で何気なくやっている「仮払い」や「実費精算」。エクセルや場合によっては紙の申請書を提出して承認をもらい、レシートを用意して月末までに精算する。提出・処理という経理と現場の不毛な戦いが始まるわけです。

実はこれ、昭和初期から変わっていない商習慣で、例えば日本式の「はんこ」文化に近い風習です。特に出張の多い企業であれば社員に与える負担や時間のロスも大きく、なるべくカットしたい業務のひとつではないでしょうか。

この課題を解決するのがトラベルマネージャーという職種の存在です。特に国家間の移動が多い欧米で先行しており、海外では「National Business Travel Association」という、ビジネストラベルマネージャーのコミュニティが存在するほど、役職としては一般的な仕事です。しかし、国内では旅行代理店がこれらを企業から一括して請け負うビジネスモデルが一般的です。

ただ、最近はインターネットの普及に伴い、サービスとしてオンラインで出張の手配・管理をするための「BTM(ビジネストラベルマネジメント)」というカテゴリが成立しており、ビジネスの出張においてBTMを活用する企業が増えています。

ではこのBTM、具体的にはどのような役割なのでしょうか?

私たちは「AIトラベル」という、この分野の非効率に取り組むスタートアップです。考え方としてはいろいろな視点があるのですが、出張に関わる一連の非効率なオペレーションを一元管理し、出発地から目的地までの「移動体験」を価格や経路といった観点で最適化する役割、といったところでしょうか。

なので、BTMの役割は幅広く、立替精算業務をなくすことを目的とするだけはでなく「移動データを見える化し、最適化する」というのが最も合った表現になります。具体的な仕事は主に次の5つです。

  • 問題点の解決
  • 予約や承認の見える化
  • 経費業務の効率化
  • 危機管理対策
  • コンシェルジュ的役割

それぞれ具体的にみてみましょう。

まず問題点の解決です。旅費規定があり、出張でその条件にあった宿泊先の選定や移動ルートの検索などで困ったことはないでしょうか。そういった問題を出張者と管理部門の間に立って不満を解消するのも実はBTMの大きな活用場面となります。

次に予約や承認作業の見える化です。世界的にはTravelPerkやTripActionsといったツールを使うのが一般的になっていますが、数多くの出張者を抱える企業では、この予約や承認状況の見える化は大きな時間効率化のポイントになります。

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移動に関する情報を可視化する(画像:AI Travelのサービス画面より)

そしてタイトルにもあった経費精算の効率化です。単に精算業務を効率化するだけでなく、各自が正しく経費を使ったのか、そこに不正がなかったのか、こういったガバナンスを持たせるのも重要な役割です。また、危機管理の観点も大切です。世界の紛争や事件、国内の天災や突発的な事故など、出張中の社員がどういった事態に巻き込まれるか把握することは管理者として重要な任務になります。いつ・だれが・どこにいるのかを把握できる環境です。

最後はコンシェルジュ的な要素です。出張というのは普段と違う勤務になるので、場合によってストレスがかかる可能性もあります。列車や飛行機において好みの座席等を調整したり、大変な思いをされた方も多いと思いますが、急遽日程変更で発生したキャンセルを処理する対応の代行業務など、出張前や出張時における課題に対して解決できる対応体制が敷かれていることです。

今、世界は間違いなくボーダレスの時代に突入しています。島国の日本であっても海外とのやりとりは避けられません。

私たちは、その「移動」が適正コストだと判断できるものであったり、その「移動」よって得られた売上などの対価や価値を紐付けることが大切だと考えています。移動から見えるミライを見据えたBTMサービスを追求しています。

<参考情報>

本稿は出張手配の手間とコストを削減する次世代クラウド出張手配・管理サービス「AI Travel」を開発・提供するAIトラベル代表取締役、村田佑介氏によるもの。Facebookアカウントはmuratayusuke。彼らの事業や採用に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい

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空き家問題、知ってますか?買取予約「2000億円規模」市場の秘密

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今、全国的に問題になっている「空き家」の増加、ご存知でしょうか。 内閣府が進める次世代社会の方針「Society5.0」でも指摘されている課題で、現在国内には846万戸の空き家が存在しています。このまま放置すると15年後には倍以上の2000万戸にまで拡大する予想です。日本の世帯数は5340万世帯(平成28年)ですから、なかなかの数字であることが理解できると思います。 空き家が増えると何が起こるのか…

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今、全国的に問題になっている「空き家」の増加、ご存知でしょうか。

内閣府が進める次世代社会の方針「Society5.0」でも指摘されている課題で、現在国内には846万戸の空き家が存在しています。このまま放置すると15年後には倍以上の2000万戸にまで拡大する予想です。日本の世帯数は5340万世帯(平成28年)ですから、なかなかの数字であることが理解できると思います。

空き家が増えると何が起こるのか。シャッター通り商店街を思い浮かべてください。人通りが少ない街には活気がなく犯罪や更なる人口減少という負のスパイラルが発生します。

ではどうしたらこれが解決できるのか。そのキーになるのが新しい経済の仕組みです。分かりやすい例で言えばインバウンドを見込んだリノベーション市場があります。海外からの観光客は2020年に4000万人という政府目標の通り増加しており、これを見込んだ民泊用のリノベーションが各地で進んでいるのはご承知の通りです。

それ以外にもシェアスペースとしての活用や、リモートワークの拠点など「住居」という概念を超えることで「空き家」問題は様々なビジネスチャンスになる、という目論見があります。そこで政府としてもこういったビジョンを推進すべく、Society5.0の提言の中で、中古住宅の流通市場を2025年までに8兆円規模に押し上げる、という目標を立てているわけです。

当然、このチャンスに気づいている事業者も多数います。実際、私たちは今、中古住宅の買取マッチングサービス「インスペ買取」を運営しているのですが、ここに集まっている500社を超える不動産買取会社さんの買取予算額は2000億円を突破しています。

空き家を買いたい「2000億円規模」の買取予約市場

このビジネスチャンスにいくつかのプレーヤーが出現しています。

一つは大手不動産買取会社さんです。当たり前ですが住みやすい物件は売れるので仲介事業者が扱います。住んでいる人も高く売りたいのでやや時間がかかってもそちらを選択するでしょう。しかし空き家に代表される「売りづらい」物件は多少安くなっても買取会社が扱うのが一般的です。大手の買取会社は豊富な予算でこれらの物件を買い取り、新たな価値を付加した上で再販するわけです。

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次に私たちのような不動産の売買プラットフォーム事業者です。中古住宅の場合、車の車検と同じくその住宅が「住めるものなのか」を検査する仕組みが曖昧でした。しかし2018年の宅建業法改正でインスペクション(建物状況調査)の調査方法基準が設定されたことにより、車と同じような感覚でより効率的に売買できる仕組みが整ったのです。

これで手離れしづらい空き家などの物件を、新たな経済活動を目指して手軽に流通させる仕組みは整いました。

これを加速させる存在が実は中小の不動産買取会社さんの存在です。彼らは大手と異なり、小規模ならではのアイデアに溢れています。一方、豊富な予算があるわけではないので、自身での集客が難しくこれまでは大手の仲介会社さんの売れ残りを買い取るという現実もありました。直接売買できる環境があれば「空き家」を新たな経済に変える可能性はぐんと広がるのです。こういった事業者も多数私たちのプラットフォームに参加してくれています。

フリマアプリの登場で個人経済が活性化したように、流通総額が大きくなればそこにチャンスを見出す人たちが多数生まれます。空き家でも同じようなパラダイムを生み出そう、というわけです。

空き家が流通すれば新しい経済がうまれる

何気なく見ている空き家に隠れたビジネスとその市場の可能性について少し共有させていただきました。人口動態の影響もあって、戸建て住宅は売却期間の長期化が進むことは避けられません。放置しているとまた新たな空き家問題を拡大させてしまいます。

それを解決する方法は新しい経済を生み出すことです。シェアリングエコノミーは捨てられる「ゴミ」の存在を、新たな経済活動の源泉に変えました。住宅も同じです。

住宅の売買はまだまだ途上の市場です。制約も多く、専門的な知識も必要ですが、これについてはまたの機会に共有できれば幸いです。

<参考情報>

本稿は「インスペ買取」を開発・提供するNonBrokers株式会社 代表取締役/CEO、東峯氏によるもの。Facebook/Twitterアカウントは共にminex2222。彼らの事業や採用に興味がある方は、こちらからコンタクトされたい。

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今、日本の教育現場で起こっていることーーAI先生は何を変えたのか

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私たちが日々愛用しているスマートフォンは、150年前は「ベル電話」でした。自動車は「人力車」でした。明治以来の150年間であらゆるものが大きく変わりました。 ところが日本の教育はどうでしょうか? 教室で黒板を背にした一人の先生の話を何十人もの生徒が黙々と聞く光景は、150年前と何ら変わっていません。 教育の大きな役割は、社会で活躍する人材を育成することです。150年前に最先端の職場だった富岡製糸場…

私たちが日々愛用しているスマートフォンは、150年前は「ベル電話」でした。自動車は「人力車」でした。明治以来の150年間であらゆるものが大きく変わりました。

ところが日本の教育はどうでしょうか?

教室で黒板を背にした一人の先生の話を何十人もの生徒が黙々と聞く光景は、150年前と何ら変わっていません。

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明治・大正前期の授業風景(津島市立図書館寄贈)

教育の大きな役割は、社会で活躍する人材を育成することです。150年前に最先端の職場だった富岡製糸場では、マニュアル通りにきちんとミスなく仕事をこなす人が活躍していました。

現在の最先端企業、例えばGoogleでは多様な価値観を持つ人たちと協業しながら新しい価値を生み出すような人が活躍しています。これからの社会で活躍する人材に求められるのは、いわゆる数学力、英語力、国語力といった「基礎学力」に加えて、コミュニケーション力や自己表現力といった「社会でいきる力」の両方が必要です。

しかし、「基礎学力」の習得にほとんどの時間を費やしているのが今の日本の教育の現状です。

15歳時の学力を測る国際学力調査(PISA)では、日本は常に上位に位置しており、「日本は教育先進国だ」と言われがちですが、本当でしょうか?

今、海外の教育は大きく変わりつつあります。たとえば、国際学力調査で下位に位置するブラジル。私が訪れたサンパウロ市郊外の普通の公立学校では、当たり前のようにテクノロジーを活用して基礎学力を効率的に習得したり、一方通行の座学ではないグループディスカッションを行いながら「社会でいきる力」を育んだりしていました。

国際学力調査の結果はさておき、これからの社会で必要な力を習得する教育という意味では、実は日本は教育後進国になっているのかもしれません。

AI先生が起こした教育の変化

そんな日本の教育現場が中高生の通う塾を中心に今、大きく変わりつつあります。

私たちは今、atama plusというスタートアップで人工知能をベースにしたAI先生「atama+(アタマプラス)」を開発、提供しています。今年9月、駿台予備学校は2020年の春より全国の各校舎にatama+を導入することを発表しました。そして今日、Z会グループの栄光もまた来年春より133教室でatama+を導入することを公表しました。現在、多くの塾が導入拡大の準備を進めており、来春には導入教室数は1000を超える見込みです。

ではAI先生は教育の何を、どう変えてくれるのでしょうか。

これは、実際にAI先生を導入している東京・本郷にあるZ会の学習塾「Z会東大個別指導教室プレアデス」での授業の様子です。

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Z会東大個別指導教室プレアデスの授業風景

写真に映る先生、実は解き方を教えているわけではありません。授業を行っているのはタブレットの中にいるAI先生です。

さらに彼らは一律の授業を受けているわけではなく、全員が異なる、自分専用のオーダーメイドの学習を進めています。この「膨大なデータから学習をパーソナライズする」というのはAIの得意な領域です。AI先生が生徒の得意、苦手、伸び、つまずき、集中状態、忘却度などの膨大なデータを分析しながら一人ひとりに最適化した教材を作成しているのです。

もう少し詳しく仕組みを説明します。

例えば、従来の「2次方程式」の授業。全員が一律に2次方程式の講義を受け、その後、その演習問題を解き続けます。既に2次方程式は習得済みでもっと前に進みたい生徒もいるでしょう。逆に、実は2次方程式どころか「1次方程式」につまずいていて、2次方程式の講義を受けてもちんぷんかんぷんという生徒も、または「平方根」の概念が理解できていなくて2次方程式の講義を受けてもすんなりと理解できないという生徒もいるでしょう。

従来の授業では、習得せずとも履修していれば授業は前に進んでいくので、過去にどこかつまずいた単元があると、その単元の理解を前提とした授業になった時に必ず行き詰まります。

AI先生は、様々な学習データを分析しながら、効率的に基礎学力を習得できるような一人ひとりにあった学習カリキュラムを作成しています。同じ教室内で「2次方程式」を学習している生徒もいれば、「1次方程式」を学習している生徒も「平方根」を学習している生徒もいます。基本概念を習うための動画講義をレコメンドされる生徒も、練習問題をレコメンドされて必要な分だけの演習を行う生徒もいます。

そして生徒の学習が進捗する度に、カリキュラムはアップデートされ続けていきます。生徒一人ひとりの横に、“すごい先生”がついてずっとマンツーマン指導を行っているイメージです。

効果もしっかりと出ていて、大手塾「能開個別ホロン」では、高3生らが受験直前にatama+で2週間学習したところ、センター試験本番の点が、atama+での学習前の模試の得点と比較して平均1.5倍まで上がったことから、今年の春から全43教室でAI先生を中心にした塾に切り替え、ブランドも「能開個別AIホロン」に変更されました。

人間の先生が担うべき、本当の役割

では、この生徒の側にいる大人たちは何をしているのでしょうか。実はこの方々も立派な先生の役割を担っています。

ここで「人間の先生」の役割は大きく変わっています。従来のように知識の伝達を行っているのではなく、生徒一人ひとりの目標に寄り添って伴走したり、モチベーションが上がるように褒めたり励ましたり、学習姿勢を見ながら勉強の仕方を助言したりする「コーチング」を行っているのです。AIがティーチングし、人がコーチングする。「AI x 人」の融合による新しい学習のかたちです。

この塾でatama+を使って勉強する中学3年生の生徒にインタビューすると「勉強時間が大幅に短縮できるので、部活を頑張ったり好きな本を読んだりと別のことに時間を使えるようになった」と語っていました。

また、高校2年生の生徒は大学生の先生と、将来のキャリアについてのディスカッションをしていました。高校生の生徒が自分の興味ある職業についての質問をすると、就職活動を終えたばかりの大学生の先生が就職活動を通して調べた色々な業界の説明をし、一緒になって将来やりたいことについて議論しているのです。社会に出てからの仕事について話し合っている彼らの目はキラキラと輝いておりとても楽しそうでした。

人は人にしか教えられないことがあります。AI先生との役割分担で「人間の先生」が人にしかできない役割に集中できるようになったのです。

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能開個別AIホロンの授業風景

日本の教育が今、大きく変わります。

1907年、T型フォードが誕生しました。そこから10年で馬車が自動車になりました。

その100年後の2007年、iPhoneが誕生しました。そこから3年で携帯電話がスマートフォンになりました。

iPhone登場時には「メールはキーボードがないと打ちづらいのでスマートフォンは普及しないだろう」なんて言われていましたが、3年で世界が変わりました。変化のスピードが早くなっています。

そしてその10年後の2017年、atama+が誕生しました。日本では長らく「勉強は紙と鉛筆でするものなので教育ではテクノロジーは使えない」と言われていましたが、2020年春から日本の教育現場が大きく変わります。

教育を新しくすることは、社会のまんなかを新しくすることです。atama+というプロダクトで学びのあり方を進化させることで、自分の人生を生きる人を増やし、これからの社会をつくっていきます。

<参考情報>

本稿はAI先生「atama+」を開発・提供するatama plus代表取締役、稲田大輔氏によるもの。Facebookアカウントはdaisuke.inada.10。彼らの事業や採用に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい

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なぜ人はスニーカーに熱狂するのかーートレードする若者、スーツを着なくなった40代

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ここ数年のシェア経済で認められる一つのトレンドに「スニーカーのC2C」というテーマがあります。今年の春先に企業価値を10億ドルと評価された(とされる)米StockXがその急先鋒ですが、創業者が1年前に語った記事によれば、毎日200万ドルの売上(グロス・セールス)が発生しており、従業員は700名に拡大しているそうです。 2015年の創業なのでトラクションが強烈なことがよくわかります。彼らのモデルは「…

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モノカブを通じて売買されるスニーカーたち

ここ数年のシェア経済で認められる一つのトレンドに「スニーカーのC2C」というテーマがあります。今年の春先に企業価値を10億ドルと評価された(とされる)米StockXがその急先鋒ですが、創業者が1年前に語った記事によれば、毎日200万ドルの売上(グロス・セールス)が発生しており、従業員は700名に拡大しているそうです。

2015年の創業なのでトラクションが強烈なことがよくわかります。彼らのモデルは「リアルタイムプライシング」による個人間売買で、売却成約時に販売者から8〜9.5%、購入者から約2%の手数料モデルとなっています。

私は今、Bhrino(ブライノ)というスタートアップでスニーカーの個人間売買「モノカブ」を手掛けています。現在、創業から約1年半ほどですが反響は大きく、流通総額は毎月50%を積み上げるなど、改めて日本でもスニーカー人気が証明されつつあると実感しています。

なぜ人はスニーカーに心を奪われ、取引するのか。

サービスを運営する中で一つ、興味深い数字に出会いました。それが利用ユーザーの4分の1を占める「40代」ユーザーの存在です。若い10代、20代の世代はもちろん、この大人世代が加わることで、この市場にある動きが生まれているからです。

メルカリでビジネスを覚えた若者たち

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発送するモノカブのスタッフもまたユーザーだったりする

メルカリの誕生で10代,20代の人はものを売るといったことが当たり前になってきました。スニーカーというのは不思議なもので相場という概念があり、その時々により値段が変動しています。「この商品は将来的に上がると考え、資産運用のように長期で保有する」といった議論がスニーカー好きの若者たちの中で当たり前のようにされているのです。

その考え方はまさに株式投資に近いもので、今の10代から20代はメルカリでビジネスを覚え、今度はモノカブである種の金融に自然と取り組んでいるのではないかなと感じています。

ハマってる40代

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数万円から10万超のスニーカーを大人買いする40代

一方、こういったマーケットが成立するには、力強い買い手の存在も必要です。特に10万円以上するスニーカーをポンと買える購買力があるのは一定層の大人たちがやはり中心です。日本にスニーカーブームが始まったのは1990年からと言われています。ReebokのPump FuryやAir Jordan 1,Air Max 95など、日本では空前のスニーカーブームとなり、1足40万円などで取引されるスニーカーが出てきて「エアマックス狩り」という言葉が生まれるほどの社会現象を巻き起こしました。

このど真ん中世代がまさに今の40代なのです。

憧れのスニーカーは当時の学生だった彼らには高価すぎて購入することはなかなかできません。その世代の方々が現在社会人となって、ある程度の金額を支払えるようになった。そこで再度、スニーカーにハマりだした、という現象が起こっているのです。

着なくなったスーツ、スニーカーに流れるお金

もう一つ、スーツを着なくなったことも要因として考えられます。まだまだスーツ中心の社会ではありますが、スタートアップを中心にスーツを着ない働き方のスタイルが広がっています。

意思決定を減らすために毎日同じような会社のTシャツにパンツ・アップルウォッチを着ける。そうなると男性の身だしなみではスニーカーぐらいにしかお金をかけるところがなくなってくるのです。高級革靴として考えればスニーカーのプレ値もそこまで高くはないため、どんどん購買されていくのではないかと思います。

スニーカーを単なるファッションやスポーツアイテムとして捉えれば、成立するのはせいぜい中古品の売買程度かもしれません。しかし、ここに挙げたような世代のお金に対する考え方の変化、ライフスタイル、若かった頃の歴史、こういった背景が加わることで、全く異なる市場が生まれ、そして成立しているのです。

もちろんここに挙げた要因はほんの一角だと思います。これから拡大するこの魅力的な市場を引き続き事業者としてウォッチしていきたいと思います。

<参考情報>

本稿はスニーカーC2C「モノカブ」を運営するBrhino代表取締役、濱田航平氏によるもの。Twitterアカウントは@koheyhamada。彼らの事業や採用に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい

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「1番楽しんで、1番楽しませる会社を創る」ーーU25「起業・新基準」/テイコウペンギン・Plott代表、奥野さん

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本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会を定期的に開催中 20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のライブチケット見逃し防止「Freax(フリークス)」を運営するSpectra代表取締役の浅香直紀さんに続いて、今回はPlott(プロット)代表取締役、奥野翔太さ…

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本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会を定期的に開催中

20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のライブチケット見逃し防止「Freax(フリークス)」を運営するSpectra代表取締役の浅香直紀さんに続いて、今回はPlott(プロット)代表取締役、奥野翔太さんに登場いただきます。同社はYouTubeアニメチャンネルで「テイコウペンギン」などのコンテンツ制作を手掛けるスタートアップです。

今回もUpstart Ventures、上杉修平さんにインタビュワーとして参加してもらい、お話をうかがってきました(太字の質問は全て上杉氏。執筆・編集:平野武士)。

奥野翔太さん:1995年生まれ。筑波大学在籍中からネット関連の事業ディレクションやメディア運営などに携わり、その後、ARコンテンツ制作のGraffityにて勤務。2017年にPlottの前身となる会社を起業。YouTubeアニメ「テイコウペンギン」は2019年1月の公開から約半年でチャンネル登録者数35万人を記録。

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このインタビュー連載にはバーチャルYouTuber(VTuber)「ミライアカリ」所属のZIZAI代表取締役、塚本大地さん、「にじさんじ」を運営するいちから代表取締役の田角陸さんに登場いただいてますが、今度はアニメですね。

奥野:もうですね、YouTubeチャンネルを一緒に作ってくれるディレクター人材やクリエイター人材を絶賛募集中なので、Wantedlyからビシバシ連絡ください!Twitter DMもガンガン待ってます!(笑。

勢いありますね。このテーマ(笑。ただ、奥野さんの場合アニメですよね。最初からここ狙ってたんですか?

奥野:元々コンテンツはずっと作ってました。その前はVTuber事業をやってたんですが、僕らは簡単にいうとVTuber市場でボロ負けしました。同世代の田角さんがめちゃくちゃ数字伸ばしているのを見て心底悔しかったし、TXS(Tokyo XR Startups)のデモデーでも他の同期の会社と比べて圧倒的に結果を出せてなかった。負けない事業を作りたいと思ったんですよね。

TXSにはActiv8も参加してる

奥野:はい。当時はキズナアイのチャンネル登録がデイリーで4000人増加してる一方、自分たちは100人増えたら良い方。ただその時、さらに伸ばしていたのがフェルミ研究所だったんです。誰も注目していなかったのに、一番ブームだったときのミライアカリやキズナアイと同じくらい伸ばしていた。それに加えて僕たちは、最終的にマスに届くようなキャラクターを作りたいと思っていたので、今のテイコウペンギンの事業に落ち着いた感じです。

それでもアニメも乱立市場ですよね。テイコウペンギンが一気に今のポジションを獲れたのはなぜ

奥野:コンテンツに対するこだわりは他社とはかなり違っていると思っています。僕自身、3年間くらいずっとコンテンツを作っては壊し、ということをやってきているので圧倒的にナレッジが溜まってるんです。またVTuber事業で強いプロデューサーの人たちと話す機会がとても多かったこと、またエグゼキューションの部分で他社の「YouTubeハック」はまだまだ弱いのではないかということが挙げられるかもしれません。

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その中でも、奥野さんが大切にしてるエグゼキューションのポイントってどこにあります

奥野:「需給の歪みを掴む」「1つだけ外す」ということです。新しすぎること、古すぎることはビジネスとして成立しないと思っています。顕在化している需給の歪み、みたいなものですね。今やってる事業もYouTubeを毎日見ていて気づいた歪みにコンテンツを当てたものです。だから需給の歪みを掴むために市場のインサイダーになれるくらい研究することが大事かなと。

ただ、需給の歪みが生じていたとしても他と同じものをリリースしたら突き抜けることはできません。そこで差分を作るわけですが、それも違いすぎることはNGで「1つだけ」差分を作るくらいが市場に受け入られやすいのかなと思っています。

少し話を変えて。奥野さんの究極のゴールや結果ってどこなんですか

奥野:会社というプロダクトを作りきりたい、という思いがあります。Plott自体も数年でどうこうという話ではなく、数十年、世紀といった視点で続く会社作りや組織づくりをしています。そのためには長く続くIPを作らないといけませんし、その第一目標としてまずはYouTubeで市場を取り切り、その後はここ以外でも展開可能なIPを生み出していきたい。最終的にはエンタメ企業として、この世代で日本を牽引できる存在になりたいですね。

下支えするモチベーションみたいなの、奥野さんを駆り立てるものってなんなんでしょう

奥野:元々は「一番面白いことしたい!」という思いですね。よく文化祭で漫才したりするような人っているじゃないですか。自分はそういう感じの人間で。学生時代に大学近くの会社で働く中でビジネスや経営者というものに触れて「世の中に対してハッピーを届けて、社員にもハッピーを届ける」って最高じゃん!と思って起業に至っています。

さらに同世代の存在というのも刺激ですよね

奥野:僕の高校の同期が大学に行かずにそのまま芸人になったんですけど、当時それに誘われていて断ったんですよ。

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え、奥野さん芸人に誘われてたんですか

奥野:はい(笑。彼が個人としてのエンターテイナーとして突き抜けるなら、僕はそれよりももっと組織を作って、その組織でしかできない規模のエンターテイメントを創り出してNo.1になりたいというモチベーションがその時生まれたと思います。

あと突き抜けたい存在になりたいというのが根底にあります。僕が大学一年生の時に南野くんがA代表でワールドカップに出ていたのですが、僕彼と同い年なんですよね。僕は大学の寮で試合を見てるのに、彼らは日本の代表としてめちゃくちゃ頑張っていて、それが悔しかった。後は、根拠のない自信ですね(笑。それを証明してやるぞ、と。

エンタメ系のコンテンツが多いのはそこが原点なんですね

奥野:今までチャレンジした事業もゲームやドラマや動画メディアやライバーマネジメント、VTuberなどエンタメ系の事業だけです。事業をやっていく中で元々持っていた思いがさらに鋭くなっていって、今は「1番楽しんで、1番楽しませる会社を創る」という思いで会社をやっています。

学生起業ということで、当時からいろいろ事業に興味あったっていうことなんですが、どんな学生時代だったんですか

奥野:エンジニアか文系か迷っていました。学科の9割くらいが大学院に行くような情報系の学科だったので、周りはエンジニアが多かったです。ただ、自分はもっと全体を見たくって。そのためにビジネスをかじりたいと思い、短期の海外インターンシップに参加したのが始まりですね。

お店の事業課題を解決するというインターンだったんですけど、その時に、ビジネスって人に良いことをしてお金をもらって、自分たちもハッピーになるという素晴らしい仕組みだと気づいて。

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なるほど、それで路線が決まった

奥野:帰国後にすぐ筑波にあるベンチャーでインターンを始めました。当時は大学の授業にも行きながら、週6通ってほとんどフルコミで働いてました。事業としては、筑波大生向けの就職あっせんや仲介、バイトの仲介、アパートの仲介などです。チラシを作ったりディレクションしたり、採用、営業などなんでもやってましたね。経営陣直下で働くことで偉大な経営者になることが人生目標にセットされました。

起業したくなった

奥野:ビジネスに興味を持つ大学2年の頃は大学のサークルを自分で立ち上げて150人くらいの組織にした一方、サークルなのでやっぱり組織として完成しきれなくて悔しい思いをしました。そこをビジネスの領域でやりたいと思ったのもきっかけとしてはあります。

そこからテイコウペンギンまでしばらく時間ありますけど何をされていたんですか

奥野:大学4年で休学し、最初はARゲーム事業を始めたんです。ただ、この開発って数億円くらいかかるんですよね。それに気付いて撤退しました。それで動画メディアにピボットし、コント動画やエンタメ領域の分散型動画メディアを始めました。この時にPlottの前身の法人を設立してます。

ただ動画メディア自体もそこまで伸びず、その後は関わったライバーさんをマネジメントする事務所的なことをしていたり、インフルエンサー向けメディアを作ってみたり。

その頃ですね、Vtuber領域に興味を持つようになったのは。腐女子向けのVtuber検討したのですが、一方でもうちょっとスタートアップ村に入らなければいけないし、最先端のエンタメコンテンツに触れたいということもあり、そこでGraffityにジョインしました。

で、Graffityを卒業して独立

奥野:TXSに参加したのがその頃です。そこでの参加者や國光さんらとディスカッションする上で、自分たちしかできないVTuber領域があるんじゃないかと。元々ゲーム作っていたのでUnityも使えるし、動画メディアもやっていたのでスキルセット的にもぴったりじゃん。感情的にも、エンタメ領域で大きい会社を作りたいと思っていたので、そこもフィットしていました。

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奥野さんのメンターってどなたなんですか

奥野:メンターでいうと圧倒的に國光(宏尚)さんです。ソシャゲ・動画メディア・SEOメディアなどのコンテンツ領域の知見だけでなく、コンテンツから見る世の潮流のようなマクロな知見も相当に勉強させてもらっています。それ以外にもGraffityのトシ(森本俊亨)さんや、17kgの秋山(洋晃)さんにも相談してます。トシさんには起業家の先輩として起業家マインドを定期的に叩き直してもらっていて、秋山さんには経営者として組織面をご相談することが多いですね。

奥野さん組織づくりすごいこだわりありそうですよね。すごくワードが出てくる

奥野:誰かの課題を解決したいという外的要因で起業しているというよりは、面白いことをしたいっていうモチベーションと、めちゃくちゃ良い組織を作りたいというモチベーションが二大要因なんです。

今って何人ぐらいで事業運営されてるんですか

奥野:現状組織は全体で20人ほどです。20代の若いクリエイターがほとんどの会社で、オープンな組織、IQよりEQ、多様なクリエイティブを重視するなど、かなり組織における雰囲気やコミュニケーションを意識してます。元々、ユーザーを楽しませるのはもちろんですがそれ以上に働いている人たちが楽しんでいる会社にしたいと思っていました。

最後に。スタートアップの周りの環境はいかがですか

奥野:エンジェルや先輩・同世代起業家がたくさんいて非常に起業には優しい環境です。とはいえこのスタートアップ村に入っていないとリファレンスが取れなくて、まともな投資家やエンジェルからのサポートがもらえなかったりすることがあるのも事実です。自分は起業を志してから上京した地方勢なんですが、地方から上京してスタートアップする人たちも多いので、その辺りは何かあるといいかなと思ったりしますね。

今後の活躍期待しています。ありがとうございました。

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成長企業が押さえるべきDX「5つの型」ーーデジタルトランスフォーメーション【DXの羅針盤】

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DX。「デジタルトランスフォーメーション」の略語であり、近年メディアで目にする機会も多くなりましたが、文脈によっては、既存の業務フローやオペレーションをただ表面的にデジタル化することだけを指して使われていることも多いように思います。 この概念を一言で表すことは難しいですが、次の2点が頭の整理に重要です。 各産業におけるステークホルダー毎の提供価値と、受け取る利益のバランスが適正となるビジネス構造を…

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DX。「デジタルトランスフォーメーション」の略語であり、近年メディアで目にする機会も多くなりましたが、文脈によっては、既存の業務フローやオペレーションをただ表面的にデジタル化することだけを指して使われていることも多いように思います。

この概念を一言で表すことは難しいですが、次の2点が頭の整理に重要です。

  • 各産業におけるステークホルダー毎の提供価値と、受け取る利益のバランスが適正となるビジネス構造を実現すること
  • プロダクトやサービスを単なる機能提供に留まらせるのではなく、ユーザーの体験価値との共存を視野に入れた形で、包括的にデザインすること

私たちジェネシア・ベンチャーズの考えるデジタルトランスフォーメーションとは、自社が本質的に提供したい価値=事業やサービスの“あるべき姿”を考え抜き、実際のビジネスに落し込むこと、そしてその実現のために、デジタルを中心に据えた持続可能な事業モデルや業務フローへ文字通り「転換」していくことを意味します。

幅広い概念なだけに各社、取り組みの前にまずは「言語化」から入るのがオススメです。

DXには「型」がある

では、企業がDXに取り組むためにまず何から始めれば良いのでしょうか?

私たちはベンチャーキャピタルという仕事を通じて数多くの有望なビジネスモデルの発掘、支援に日々注力しています。その中で、DXには一定の「型」があることに気づきました。

  • ネットワークの拡張
  • 情報探索・選択コストの削減
  • 多重取引構造の解消
  • データ・アグリゲーション
  • モノ・時間・空間のROI最大化

本稿ではそのサマリーをみなさんに共有したいと思います(全編はこちらをご覧ください)。

型①:「ネットワークの拡張」

基本的な型として「ネットワークの拡張」があります。インターネットが広く一般に普及した結果として、出自や居住地といった生来の制約条件に縛られることなく、時空間を超えて人や情報、売買の機会にアクセスすることが可能となりました。

これはほぼ全てのウェブサービスに当てはまる最も基本的かつ汎用的な型ではありますが、具体的なサービス例としては人的ネットワークを拡張するInstagramやTwitter(SNS)、商取引のネットワークを拡張するAmazonや楽天、AppStore(マーケットプレイス)があります。

型②:「情報探索・選択コストの削減」

二つ目の型が「情報探索・選択コストの削減」です。

一つ目の型とはある意味で相反するものですが、インターネットを通じて膨大な情報に制約なくアクセスすることができるようになった結果、今度はそれらの情報を特定の目的に資する形で効率よく整理して解釈し、意思決定に繋げるという行程に大きなコストが伴うようになってしまいました。

そこで、仲介者として雑多な情報を集約・整理し、ユーザーが求めるフォーマットに変換して送り届けるプレイヤーが出現してきます。具体例として、TripAdvisor(旅行)、Yelp(グルメ)、Zillow(不動産)等のバーティカルメディアや、GunosyやSmartNews等のキュレーションメディアも同様の型に基づいたサービス例です。

型③:「多重取引構造の解消」

三つ目の型は「多重取引構造の解消」です。

取引される製品やサービスの単価が高く、一定の専門性が伴う不動産や建設、人材仲介といった業界においては、利用者と提供者の間に多くの仲介業者が介在する多重請負型の産業構造が常態化しています。つまりここの効率化です。

上の図は、中古不動産の売買取引透明化を例示したものですが(私たちの支援先であるNon Brokersが、インスペクション=住宅診断機能を武器にこのシフトを促進しています)、建設業界ではシェルフィーが、印刷業界ではラクスルが、人材業界ではビズリーチが、それぞれの業界において多重請負構造の解消を推進しています。

ただし、各業界において全ての中間プレイヤーが即座に排除されるかと言えばそうではなく、取引の間をとり持つ過程で、実績に裏付けられた信用力や交渉力、真贋判定機能等によって適切な介在価値を提供するプレイヤーについては、今後も存続していくことが想定されます。各業界の中間プレイヤー向けのSaaSビジネスが伸びる理由は、まさにここにあります。(C2Cについては原文で解説しています)

型④:「データ・アグリゲーション」

次が「データ・アグリゲーション」型です。

上の図は個人の資産管理を例にとり、銀行や証券会社等の大手金融機関に対するMoney ForwardやFreeeのポジショニングを示したものです。今後あらゆるシステムやアプリケーションが外部連携を前提として構築されるようになることを踏まえると、個別企業のもつ情報をユーザー視点で整理し直し、統合されたデータからそのユーザーに最適な機能や情報を推薦してくれるサービスには、業種やカテゴリーを問わず大きなニーズが付随するように思います。

また、この型はSaaS(Software as a Service)のビジネスにも同様に当てはまります。型③の説明でも触れた通り、SaaSの本質は業務効率化ではなく、企業内オペレーションや企業間取引のデータ化であるため、収集したデータを基にユーザー体験を向上したり、新たにファイナンスサービスを提供したりすることができるという点で、「データ・アグリゲーション」の典型例と言えます。

型⑤「モノ・時間・空間のROI最大化」

最後が「モノ・時間・空間のROI最大化」です。人やモノの情報がネットワーク化されたことで、消費や労働のモデルが所有から利用へ、占有から共有へと大きくシフトしつつあり、それに伴って、自らの持つモノや時間、空間から得られる便益を最大化しようとする価値観が広まっています。

上の図は、一社に専属的に雇用されて働く従来型の労働モデルから、単発で労働リソースを提供するギグエコノミーモデルへの転換を示したものです。

代表的なサービス例としては、ドライバーとユーザーをオンデマンドでマッチングするUberやGrab、Gojekがありますが、私たちの支援先では、建設現場と建設職人をマッチングする助太刀や、単発アルバイトアプリのタイミーもこの型を取り入れたサービスを展開し、急成長を遂げています。

なおワークシェアリング以外にも、民泊サービスのAirbnbや、スペースシェアリングのスペースマーケットやakippa、クラウドコンピューティングのAWSやMicrosoft Azureも、モノや時間、空間のROIを最大化させる性質を持ったソリューションと言えます。

おわりに

本稿では、私たちが普段思考のフレームワークとして使用しているDXの型について、その一部を例示しながらご紹介してきました。背景としては、冒頭にも述べた通り、真のDXを実現させるためには各々の企業がバラバラに効率化や個別最適を追求するのではなく、スタートアップも、大企業も、VCも、政府機関も、社会全体が同じ方向を向いて取り組みを進めていく必要があるという強い思いがあります。

産業をデジタルの力でアップデートし、持続可能で豊かな社会を実現するために、世の中の普遍的な変化の方向性を捉え、その促進を支援する仲間が一人でも多く生まれて欲しいと願っています。

<参考情報>

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、ジェネシア・ベンチャーズのインベストメントマネージャー相良俊輔氏によるもの。Twitterアカウントは@snsk_sgr。11月15日から毎週、朝の事業プラン相談「DX Cafe by Genesia.」を開催予定。くわしくはこちらから。

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リファラル採用で「自社をおすすめしない社員」は1割、3,000社の声からみえた“実態”と4つの成功フロー

先日、私たちは400名以上の人事担当者を対象にしたアンケート結果を公表しました。 採用難が続く昨今、多くの担当者は新たな採用手法の検討だけでなく、会社の本質的な課題まで考える必要が出てきていると回答しています。 一方、新たな手法として注目度が増している「リファラル採用」についても、その導入の現場においてよく聞かれるのが「うちの社員は帰属意識が低いから…」といった不安の声です。 私はリファラル採用の…

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Photo by Helena Lopes on Pexels.com

先日、私たちは400名以上の人事担当者を対象にしたアンケート結果を公表しました。

採用難が続く昨今、多くの担当者は新たな採用手法の検討だけでなく、会社の本質的な課題まで考える必要が出てきていると回答しています。

一方、新たな手法として注目度が増している「リファラル採用」についても、その導入の現場においてよく聞かれるのが「うちの社員は帰属意識が低いから…」といった不安の声です。

私はリファラル採用の導入を支援する「MyRefer」というサービスを2015年に開始し、これまで3,000社以上の企業で社員が社員を呼び込む「社員のファン化」という現象を直近に拝見してきました。

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その経験とデータから見えてくるリファラル採用の実態は実は次のようなパターンに大きく分類されます。

  1. アクティブな社員:1割・・・進んで友人に声がけをする、会社へのロイヤルティが高くSNSなどで積極的に自社の情報をシェアする
  2. パッシブな社員:8割・・・進んで声がけはしないが、転職を考えている友人が周りにいたら紹介してもいい
  3. ネガティブな社員:1割・・・自社をおすすめしたくないから、そもそもリファラル採用をしたいと思えていない

自社を積極的に友人におすすめするアクティブな社員がいなければリファラル採用の促進が難しいと考えてしまいがちですが、実はリファラル採用の8割は「たまたま前職の同期と飲んだときに仕事の悩みを相談された」といった受動的な機会から紹介するケースがほとんどなのです。

つまり、リファラル採用を促進させるためにはこの「8割を占めるパッシブな社員」がおすすめしたくなるような組織創りが重要になってきます。重要なポイントは次の4つです。

  • 隠れている「自社ファン」の特定
  • 自社ファンをチームにする
  • 透明性の高いコミュニケーションプラン
  • 人を動かす「ストーリー」

#1 リファラルにおける自社のファン、隠れファンの特定

まずは前提でお話した社員の構造を理解した上で、自社のファンや隠れファンを特定することから始めます。ファン社員は自社を積極的に友人に語ってくれているアクティブ層、隠れファン社員は、自社を積極的に友人に語ることはないが、機会があればおすすめするパッシブ層になります。特定の方法については、下記2つのアプローチがあります。

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  • 過去のリファラル採用の紹介状況を分析し、積極的に声をかけてくれているアクティブ層、積極的ではないが、友人からの相談の機会に受動的に紹介してくれているパッシブ層を特定する
  • 社内アンケートやサーベイからリファラル採用に協力的である社員を抽出し、アクティブ層、パッシブ層を特定する

#2 ファンを巻き込んだプロジェクトチーム組成(ファンの声回収)

次に手がけるのは特定したファン、隠れファンを選別したプロジェクトチームの組成です。人事だけでリファラル採用の制度設計するのではなく「自社をなぜおすすめしたいと思うのか?」ファン社員の生の声を聞くことが重要です。過去の紹介数や友人に紹介するときの自社の魅力ポイントに基づいて、ファンベース採用を実現する仕組みを構築します。

プロジェクトチームの体制としては、役職・性別・部門を交えて多様なメンバーを選ぶことで、より本質的な声を回収することが可能になります。

#3 透明性の高いコミュニケーションプランの設計

リファラル採用の促進にあたっては、採用に関わるあらゆる情報を透明性もって流通させます。特にパッシブ層に対し、いかに採用を「自分ゴト化」してもらうかが鍵です。そのためのコミュニケーションプランを設計し、自社の採用戦略から採用計画、チャネル施策、おすすめポイントや入社者情報などを共有していきます。

例えば自社の空きポストのみを共有しても、背景がわからなければ自分ゴト化することができません。

  • 今、自社の採用はどういう状況なのか?
  • そもそも何で募集しているのか?
  • どこのポストでどういうスペックの人に声がけすればいいのか?
  • 現状の採用チャネルは何を使っていて、リファラル採用はその中でどんな位置づけなのか?

つまり、みんなでファンを作って採用していくための前提としての背景情報を共有するのです。

#4 おすすめしたくなるストーリーを纏ったコミュニケーションプランの設計

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透明性の高い情報を受け取った上で必要になるのが「どうやって友人に紹介してもらうか」というHowの部分。ここでオススメするのがストーリーです。

説明的言語ではなく、Whyから始まるストーリーをもった感情的言語は語り手(社員)本人の推奨度を高め、そして聞き手(友人)の共感を高めていくことができます。さらに、ストーリーは人間の脳に長期記憶として残ります。

例えば、子どもを教育するときには、説明的にくどくど説教されるより、『アリとキリギリス』の童話を読み聞かせるほうが納得感があって記憶にも残ります。つまり、社員自身のエンゲージメントを高めておすすめを促進し、友人の意向を高めるためには、人の心を動かし共感を得るストーリーが不可欠なのです。

いかがだったでしょうか。

冒頭でも申し上げた通り、今、日本では2030年に向けて明らかな労働人口の減少が指摘されています。持続可能な企業の成長を考える上での採用、組織戦略は経営企画の喫緊の課題です。私たちはリファラル採用を通じて社員をファンにし、ファンをベースに会社を創っていくことがそのソリューションになると信じています。

<参考情報>

本稿はリファラル採用活性化サービス「MyRefer」を提供する株式会社MyRefer代表取締役社長CEO、鈴木貴史氏によるもの。Twitterアカウントは@takafumi_szk。12月10日に「社員をファンにするおすすめしたい会社創り」をテーマにしたmeetupイベント「Fanbase Recruiting Meeting」を開催予定。くわしくはこちらから。

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資金調達の民主化は「投資型クラウドファンディング」が完成させる

「株式会社」は、会社法で株主の権利と経営者の責任が明確に規定されている素晴らしい仕組みです。 事業目的に共感し参加する株主に支えられることによって、社会性の高い事業を推進する。株主の投資目的は本来、配当やキャピタルゲインではなく、社会に役立つ事業を共同で成し遂げることにあるのです。 その一方、マネーゲームに代表される「お金儲け」が本来の価値とは異なる視点を与えている、というのも事実です。 株式会社…

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Photo by Pixabay on Pexels.com

「株式会社」は、会社法で株主の権利と経営者の責任が明確に規定されている素晴らしい仕組みです。

事業目的に共感し参加する株主に支えられることによって、社会性の高い事業を推進する。株主の投資目的は本来、配当やキャピタルゲインではなく、社会に役立つ事業を共同で成し遂げることにあるのです。

その一方、マネーゲームに代表される「お金儲け」が本来の価値とは異なる視点を与えている、というのも事実です。

株式会社という仕組みを本来あるべき共同事業の形に最適化し、多くの人たちが夢を叶えるための手段としてもっと活用できるようにする。私たちが手掛ける株式型クラウドファンディングはその答えになるものと信じています。

私たちは今日、2019年11月6日、「株式型クラウドファンディングサービスを展開するDANベンチャーキャピタルの株式取得(グループ会社化)に関するお知らせ」を発表しました。CAMPFIREグループに参画することを決意した最大のポイントは、「資金調達の民主化」を掲げる同社の理念にあります。

私が20年に渡り理念に掲げてきた「中小企業のための資本調達のインフラづくり」。そのインフラは中小企業の事業に共感する多くの株主に応援いただく「資本市場の民主化」とも言えます。

上場会社だけに限られてきた資本市場の裾野を大きく広げ、皆が挑戦できる社会を築き上げる。

それが私たちの目指す世界です。

おカネではなく「ファン」を生み出す株式型クラウドファンディング

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CAMPFIRE・コーポレートページ

では、具体的にどのようにやるのか。それについて少し言及させてください。

中小企業の多くは創業者が株主であり経営者です。創業者と理念を共にする株主がみなの共同事業として出資をして、その経営を経営者に託する仕組みとして機能することが何より重要です。

日本国内に存在していると言われる法人数は260万社超、会社を組織形態別にみると、株式会社が約213万社(全体の94.3%)といわれます。その内、上場会社の数は約3,600社と、全体の0.2%未満。「公開会社」として株式を通じて広く遍く資金調達が実施できる権利を持つ企業は極わずかとも言えます。

この出資の仕組みをオンラインで効率化したのが株式型クラウドファンディングでした。

日本証券業協会によると「非上場株式の発行により、インターネットを通じて多くの人から少額ずつ資金を集める仕組み」と定義、2014年に中小やベンチャー企業の資金調達を支援する目的とした改正金融商品取引法が成立、2015年に解禁された歴史浅い制度です。

しかしこの株式型は1社あたりの出資額が年間で1億円までと厳しく、かつ、投資家あたりの出資額も50万円までと大きく制限されています。また、上場を目指すいわゆる「スタートアップ投資」を手掛ける投資家には、不特定多数の個人投資家が含まれることに警戒感を示す方がいるのも事実です。

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CAMPFIREのミッション

そこで私たちは改めて株式会社の原点に立ち返り、株式に関心を持つ投資家ではなく、その企業や事業、経営者に関心を持つ方に株主として出資いただく「拡大縁故募集」というアプローチを取ることにしました。これは縁をいただいた友人知人、お取引先、地域でお世話になっている方が株主として事業を応援できる「永続的なファンをつくる仕組み」のことです。

つまり、株式市場やベンチャーキャピタルからの資金調達は上場を前提したものが大半ですが、それとは異なるものが「株式型クラウドファンディング」であると考えているわけです。

近年は、企業の意義や社会的責任が以前よりも注視され、投資家、株主も単に金銭的リターンだけではない、事業に対する社会的評価を今まで以上に重視されています。社会の公器たる株式会社は「公開会社」と呼ばれます。中小企業の多くが上場しなくても「公開会社」となれるのが「株式型クラウドファンディング」制度なのです。

これでCAMPFIREには購入型、寄付型、融資型、そして株式型の全ての手法が揃いました。目指す金融包摂の世界は目の前にまでやってきています。

「資金調達の民主化」が本当に起こった世界はどうなるのか、ぜひご期待いただければと思います。

<参考情報>

本稿は投資型クラウドファンディング「GoAngel」を手掛ける出縄良人氏によるもの。Twitterアカウントは@CAMPFIREjp。CAMPFIREの事業や採用に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい

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10万人の建設職人さんが「助太刀」できるようになるまで

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今、日本の産業は労働人口の減少や少子高齢化などの長期的な社会課題によって、大きなパラダイムシフトの只中にいます。私たちが手がける建設業ももちろんそのひとつです。 国土交通省が公表している調査によれば、建設投資額はピークだった平成4年の84兆円から約20年で52兆円と、約4割も減少しました。従事する事業者も同様で、平成27年度末の建設業者数は約47万業者、就業者数は同年平均で500万人と、それぞれピ…

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今、日本の産業は労働人口の減少や少子高齢化などの長期的な社会課題によって、大きなパラダイムシフトの只中にいます。私たちが手がける建設業ももちろんそのひとつです。

国土交通省が公表している調査によれば、建設投資額はピークだった平成4年の84兆円から約20年で52兆円と、約4割も減少しました。従事する事業者も同様で、平成27年度末の建設業者数は約47万業者、就業者数は同年平均で500万人と、それぞれピーク時から2割〜3割近く減らしています。2030年に向けて労働人口はさらに減少するという調査結果もありますから、この傾向が容易に改善するとは言えない状況です。

ではどうすればよいのでしょうか?

私はこの建設業界に携わる一人として、その解を情報化に求めました。時はスマートフォンが普及・拡大を続ける2017年末のことです。数でなんとかするのではなく、情報の非対象性を解消することで問題は解決できる。そう考えて建設業の職人が現場とマッチングするアプリ「助太刀」を公開したのです。

あれから1年10カ月。ひとつの通過点として今月、登録する職人さんたちが10万人を超えました。立ち上がりを振り返ると、3つほどポイントがあったように思います。

  • 職人さんが好きなものとタッグを組む
  • 地域限定の行動パターンに合わせたプロモーション
  • スマホアプリに便利を集約させる

一気に駆け上がってきた感もありますが、彼らはいわゆるインターネット専業とは異なる方々です。まずは複雑な説明抜きに接触するポイントを作らなければいけません。そこでかなり早い段階から職人さんに人気があった「サンドウィッチマン」をイメージキャラクターに起用する作戦を取りました。

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反響は大きく「ほんとにこういう職人さんいる」「サンドウィッチマンが好きだから使ってみた」という想起を生み出すことができたのがやはり大きかったです。その後も同様に、主にマス媒体中心に職人さんが多く出演する「 SASUKE」への協賛や、ボクシング、格闘技、お笑いといった職人さんが好きなものとシンプルにタッグを組む戦略を続けました。この辺りは他のネット中心のユーザー層を持つ事業者とは異なる、独特の立ち上がりだったかもしれません。

また建設現場というフィールドを活用すべくノベルティにも力を入れました。工務店で配られるようなタオルやヘルメットにも貼れるほど丈夫なステッカーなど「地の利」を活用した戦術です。

こういったわかりやすいプロモーションで認知を拡大させる一方、サービスの良さを職人さんたちに実感してもわらなければ意味がありません。助太刀は現場と働き手のマッチングが主軸です。お仕事と担い手の両方が集まることで流通が生まれ、使うほどに役立つ、いわゆる「ネットワーク効果」が期待できる仕組みになっています。

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このネットワーク効果を最大化させるために、プロモーションする範囲を極めて限定的にしました。東北のお仕事を東京で受けてもマッチング体験としては良いものにはなりません。ある一定のユーザー数が集まるまでは関東だけに集中したのです。

エリアだけではありません。職人さんにはある一定の行動パターンが存在します。例えば職人さんたちは朝や夕方の現場への移動と機材の運搬に車通勤で、移動中はラジオを聞いていることが多い、という傾向があります。動きが理解できているので、あとは時間、場所、ラジオ局の掛け合わせの検証で効果は測定できます。

立ち上がりのプロモーションで狙ったネットワーク効果は一定の成果を生み出していて、例えば今、助太刀のアプリでは毎日職人さんたちによって2,000件を超えるお仕事メッセージがやりとりされています。仕事のマッチング率も高まっており、受注したという口コミがまた新しい新規会員を呼び込むきっかけとなって、今では毎月1万人を超える職人さんたちが助太刀にユーザー登録してくれています。

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あとはこのアプリの利便性を最大化させることで、より頻繁に職人さんたちが使ってくれるようになります。例えば支払いが数カ月先になりやすい職人さんに即日払いを提供したり、労災加入率が低い一人親方の方にアプリから加入できる労災を提供するなど、です。仕事に役立つ全てがここにあれば、ネットワーク効果はさらに強くなります。

冒頭に示した通り、日本はこれから大きな社会課題を解決しなければならない時期に突入します。業界の情報化を推進するデジタルトランスフォーメーションが叫ばれて久しいですが、長らく効率化と縁遠かった方々に振り向いてもらうためにはやはり工夫が大切です。

これまでのやり方では解けない問題です。助太刀は引き続き、自分たちの独自の方法を生み出し、建設現場を魅力ある職場に変化させていきたいと考えています。

<参考情報>

本稿は建設現場の職人マッチングアプリ「助太刀」を提供する我妻陽一氏によるもの。Twitterアカウントは@yoichiwaga。助太刀の事業や採用に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい

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