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養殖盛んなインドネシアで成長するスマート漁業

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ピックアップ:Agritech startup eFishery bags Series B funding led by Go-Ventures and Northstar ニュースサマリー:インドネシア発のスマート漁業スタートアップeFisheryは先月13日、シリーズBにおける資金調達を実施したと発表した。リード投資家にはGo-VenturesとNorthstar Groupが参加している。…

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Image Credit : eFisheryウェブサイト

ピックアップ:Agritech startup eFishery bags Series B funding led by Go-Ventures and Northstar

ニュースサマリー:インドネシア発のスマート漁業スタートアップeFisheryは先月13日、シリーズBにおける資金調達を実施したと発表した。リード投資家にはGo-VenturesとNorthstar Groupが参加している。調達額は非公開で、国内グロースを目的に製品開発の強化や人材育成を進める。Go-Venturesは、Gojekが運営するベンチャーキャピタル。既存投資家のディープテック領域を投資対象とするVC、Wavemaker Partnersと養殖投資ファンドのAqua-Sparkも参加している。

同社はクラウドベースの自動給餌機の販売を中心に、インドネシアの養殖業者を対象としたエンドツーエンドのオンラインプラットフォームを提供している。

詳細情報:eFisheryは2013年に創業したインドネシアのバンドンを拠点とするスタートアップ。魚やエビの養殖業者を対象に、スマホから操作可能な自動給餌機の販売・サポートを提供し、飼料の調達や、魚の販売、設備投資のための融資などのサービスを利用できるオンラインプラットフォームを提供している。

  • eFisheryはこれまで2015年にシードラウンドで120万ドル、2018年後半にシリーズAラウンドで400万ドルの資金調達を実施している。事業規模はその間に4倍となり、過去2年間はEBITDAが黒字となるなど、順調に成長を続けていることが伺える。

eFisheryが現在提供するサービスは主に4つだ。

  • eFisheryFeeder (for Fish):スマートフォンからスケジュールの設定やモニタリングを行える自動給餌機。餌を撒く水深や餌を水中に撒く際のパワーなどもの設定可能
  • eFisheryFeeder (for Shrimp):エビの給餌に特化したeFisheryFeeder(設定項目や設定可能な値の範囲などが異なる)で、提供するサービスはeFisheryFeeder(for Fish)と同様
  • eFisheryFund:養殖業者向けに設計された金融サービスで、設備投資のための融資や、eFisheryが販売する製品の購入支援、支払いの後払いなどに対応
  • eFisheryFresh:養殖業者が商品を販売するためのオンラインプラットフォームで、toB toC いずれにも対応

同社プロダクトは、インドネシア全土34州中24州、180以上の都市で10,000を超える養殖場で既に利用されている実績を持つ。同社の最も効果的な販売チャネルは現地へ赴いての対面による営業であることや、養殖業界全体のサプライチェーン構築を目指していることなどから、下記のような取り組みも積極的に行っている。

  • 各地域のハブとなる施設の建設:eFishery製品や餌の販売、製品のトレーニングやデモ、修理などワンストップでサービス提供する各地域のハブとなる施設を建設。現在インドネシア全土に30箇所のハブがあり、2020年末までに新たに100箇所のハブを建設予定
  • デジタル漁村の建設:2018年末頃より、インドネシア政府や現地通信会社Telkomselなどと提携、デジタル漁村を建設するプロジェクトを西ジャワ州、南ランプン県で展開、今後も継続的にデジタル漁村の建設を進める。
  • 事業拡大に向け、既に同社の製品及びサービスのパイロット試験がバングラデシュ、タイ、ベトナムで行われている。同社の共同創設者兼CEOのHuzaifah氏はインドネシア国内での事業規模を10倍にする目標を掲げている。

背景:インドネシアの養殖業は年間総生産量が世界4位となる重要な産業で、国内には330万の養殖場がある。インドネシアで初のスマート漁業スタートアップとなった同社は、養殖を通じ世界の食糧不足問題の解決、業界内の根本的な問題に対処するための解決策の提供、包括的なデジタル経済を通じ、社会的および経済的不平等を減らすための技術を提供、という3つのミッションを掲げている。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志

オンライン行政の普及で、ナレッジQ&Aの役割が増す中国

ピックアップ:艾瑞咨询:在线政务服务需求增长,近八成百度知道用户愿通过问答参与互动 ニュースサマリー:リサーチ会社の iResearch(艾瑞)は、中国におけるオンラインナレッジプラットフォームの動向を分析した資料「2020 China Online Knowledge Questions and Answers Industry White Paper(中国在線知識問答行業白皮書)」を8月25日…

オンラインナレッジコンテンツ業界チェーンマップ
Image credit: jiemian.com(界面)

ピックアップ:艾瑞咨询:在线政务服务需求增长,近八成百度知道用户愿通过问答参与互动

ニュースサマリー:リサーチ会社の iResearch(艾瑞)は、中国におけるオンラインナレッジプラットフォームの動向を分析した資料「2020 China Online Knowledge Questions and Answers Industry White Paper(中国在線知識問答行業白皮書)」を8月25日に公開した。同資料では、行政サービスのオンライン相談はコロナ流行中にピークに達し、オンラインナレッジ Q&A プラットフォームが重要な役割を果たしたことを示している。

詳細情報:近年、中国ではオンライン行政サービスの普及が進んでおり、2020年4月末のオンライン行政サービスユーザ数は6億9,400万人に達している。2018年末と比較すると、76.3%増加しており、インターネットのユーザ総数の76.8%を占めているとレポートされている。

  • オンラインナレッジ Q&A プラットフォームは迅速かつ信頼できる情報を提供するのに役立っている。特に Baidu(百度)はユーザが信頼出来る質問の数が毎年150%以上増加しており、2019年は政府関連のニーズに関する検索が日に7,000万件あった。
  • 調査によると、検索エンジンとオンラインナレッジ Q&A サービスはユーザへの浸透率が高く、80%を超えている。知識や情報が豊富になる現在、ユーザは上流のナレッジを見つけ、共有していく意欲が高い。
  • 特にオンラインナレッジ Q&A サービスの性別分布でも男性が55.8%とやや多く、78.2%以上の学士号以上のユーザと、教育水準の高い24~35歳が多い。
  • オンラインナレッジ Q&A サービスに対して、ユーザの62.5%は支払いをしており、専門的な問題を解決することや、より質の高い回答を得るためであれば支払いは厭わない。
調査によると、ユーザの62.5%がオンラインナレッジ Q&A に対して支払いをしている。
Image credit: jiemian.com(界面)

背景:中国では Baidu が検索市場を独占状態だったが、Alibaba(阿里巴巴)、Tencent(騰訊)、ByteDance(字節跳動)等のテック大手も買収等で検索マーケットを広げようとしている。

<関連記事>

via Lanjinger.com(藍鯨財経)

執筆:國本知里/編集:岩切絹代・増渕大志

15周年の「Baidu Map(百度地図)」、AIやARを活用した地図ビジネスの展望を披露

ピックアップ:十五周年亮利剑!百度地图专利数行业领先,AI相关专利超50% ニュースサマリ:Baidu(百度)は8月27日、「百度地図(Baidu Map)」の15周年記念式典を開催した。15周年を記念した特別なアプリ内イベントでは、AI ツアーガイド体験やさまざまなアクティビティを通し、1億人民元(約15.5億円)分のギフトを配布したりと注目を集めた。 また、今後の AI 等を活用した展望につい…

Image credit: Baidu(百度)

ピックアップ:十五周年亮利剑!百度地图专利数行业领先,AI相关专利超50%

ニュースサマリ:Baidu(百度)は8月27日、「百度地図(Baidu Map)」の15周年記念式典を開催した。15周年を記念した特別なアプリ内イベントでは、AI ツアーガイド体験やさまざまなアクティビティを通し、1億人民元(約15.5億円)分のギフトを配布したりと注目を集めた。

また、今後の AI 等を活用した展望についても同式典内で語られた。

Image credit: Baidu(百度)

詳細:Baidu Map Division General Manager(百度地図事業部総経理)の Li Ying(李瑩)氏は基調講演で、Baidu Map はグローバル相互接続1億5,000万セッション超、インテリジェントボイスアシスタントのユーザ実績4億人超を誇ることを明らかにした。また、毎日の位置情報リクエストが1,200億回、月間アクティブ端末デバイス11億台、登録済み開発者190万人に上ることをデータで説明した。

  • Baidu Map は、AR 徒歩ナビゲーション、インテリジェント音声アシスタント、予定到着時刻の予測、音声のカスタマイズ等、業界初の多くの機能を実装してきた。
  • 「Baidu Map Open Platform(百度地図開放平台)」により、開発者向けツールも展開され、ToC だけでなく、ToB にも拡張可能なビジネスを展開してきた。CBGS:ToC、ToB、ToG(Goverment)、ToS(Society)における成功サービスである。
  • Baidu Map では、今後ロボタクシーを地図からワンクリックで呼べる「ワンクリックコール(一鍵呼叫)RoboTaxi」、AI による室内ナビゲーション、スマート駐車ソリューションのアップグレード、スマートホームページ等の機能を開始し、AI 実装により今年は更にサービスを加速させるようになる。

背景:Baidu は事業の全てを AI に賭けると決め、5年で500万人のエキスパートを育てる等など、中国で最も注目すべき AI 企業のひとつである。

via Zhongguancun Online(中関村在線)

執筆:國本知里/編集:岩切絹代・増渕大志

消費体験を全デジタル化、上海最大ショッピングモール「南翔印象城MEGA」誕生

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ピックアップ:云天励飞新商业版图再扩张:打造上海最大规模的AI商业大脑 ニュースサマリー:中国最大規模の新たなショッピングモール「Nanxiang Incity MEGA(南翔印象城 MEGA)」が8月25日、上海市にオープンした。同モールには、深圳発のAI企業 Intellifusion (雲点励飛)が開発に着手した「AI Business Brain(智慧的商業大腦)」による顧客のデジタル化に…

開業時に盛況を見せた「Nanxiang Incity MEGA(南翔印象城 MEGA)」
Image credit: Nanxiang Incity MEGA(南翔印象城 MEGA)

ピックアップ:云天励飞新商业版图再扩张:打造上海最大规模的AI商业大脑

ニュースサマリー:中国最大規模の新たなショッピングモール「Nanxiang Incity MEGA(南翔印象城 MEGA)」が8月25日、上海市にオープンした。同モールには、深圳発のAI企業 Intellifusion (雲点励飛)が開発に着手した「AI Business Brain(智慧的商業大腦)」による顧客のデジタル化に対応しており、注目を集めている。

詳細情報:AI Business Brain は、スマートターミナル、データセンター、ビジネスツールの3層アーキテクチャーで構成している。スマートターミナルでは多次元データを収集し、データセンターでデータ処理を行いながら、ショッピングセンターの店員はビジネスツールを用いている。また、この技術を用いることで、顧客の好みを正確に把握でき、パーソナライズされた情報をプッシュできるようになる。

「AI Business Brain(智慧的商業大腦)」
Image credit: Intellifusion (雲点励飛)
  • Intellifusion が提供する AI Business Brain では、ショッピングモールへの入店、買い物、退店に至るまで顧客の全ての行動をデジタル化している。例えば、顧客が車で敷地に入ると、入店者の顔データを認識し、自動的に車両番号を登録。VIP であれば時間内に対応するサービスを提供したり、割引を適用したりする。
  • 店舗に入ると、顧客の過去の消費に基づき、パーソナライズされた割引等が提供され、支払い時も顔認証で完了するだけでなく、ポイントを自動的に貯め、ポイント情報を同期させることができる。
  • 退店時も顧客はスマートフォンで車の位置を見つけ、素早く駐車代を支払いできるので駐車場の混雑も大幅に緩和される。
  • Intellifusion は多くの都市型商業施設の AI パワーメントプロジェクトへの参画も決まっている。今後も顔認識技術を持つ AI ベンダーが中国のショッピング体験の DX を推進していくこととなる。

背景:Intellifusion は独自の顔認証の技術により、深圳の公道に配置された8,000台以上のカメラを使い、信号無視等を行った通行者を特定し、スクリーンに名前・顔を表示する等、顔認証の技術において中国で広く展開している注目の AI ユニコーン企業である。公安や都市ガバナンス以外にも、今回のような大規模商業施設での展開が期待されている。

via 億欧

執筆:國本知里/編集:岩切絹代・増渕大志

パンデミックで激変する日本の医療、スタートアップはどう戦う?

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載。Universe編集部と同社のInvestment Group、Principalの松尾壮昌氏、Directorの守口毅氏が共同執筆した。 パンデミックの影響もあり、医療分野のデジタル化が急務となっている。 Fierce Healthcareによると、2020年第1四半期にお…

Photo by Pixabay from Pexels

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載。Universe編集部と同社のInvestment Group、Principalの松尾壮昌氏、Directorの守口毅氏が共同執筆した。

パンデミックの影響もあり、医療分野のデジタル化が急務となっている。

Fierce Healthcareによると、2020年第1四半期における遠隔医療系スタートアップの資金調達額は7億8800万ドルで、実に前年同時期の2億2,000万ドルから3倍のジャンプアップを果たした。さらにデジタルヘルス全体の資金調達額でみると、過去最高の36億ドル(2020年第1四半期)をマークしている。

遠隔医療以外でデジタルヘルス分野の調達額トップ領域はデータ分析(5億7,300万ドル)、臨床意思決定支援(4億4,600万ドル)、mHealthアプリ(3億6,500万ドル)、ヘルスケア予約(3億600万ドル)、ウェアラブルセンサー(2億8,600万ドル)と続く(全て2020年第1四半期のデータ)。これらの領域が次のヘルスケア分野を牽引するとみられる。

さて、Accentureでは感染症拡大が医療分野にもたらした変化として次の5つを挙げた

  1. モバイルサービス向けのバーチャル労働力の組成
  2. バーチャルケア・在宅ケア・遠隔医療の3つのソリューション加速
  3. 福利厚生拡大と規制緩和促進
  4. 必須供給品の迅速な手配
  5. 手動コールセンターに代表される労働力の自動化と戦略的人員配置

バーチャルケアは、認知行動療法に基づくメンタルケアサービスを提供する「Big Health」が当てはまるだろう。在宅ケア分野では慢性的な筋骨格系疾患に特化したサービス「Hinge Health」が挙げられる。自宅で専用ベルトでトレーニングをさせながら、チャットベースの相談にも乗ってくれる。

遠隔医療「ならでは」の体験を作れ

では、遠隔医療分野はどのような状況だろうか。注目が集まっているのが動画診察などの「リアルタイム同期性」を持つ領域だ(非同期性のものはメール診察など)。

例えば今年7月に7,500万ドルの調達を果たした「Doctor On Demand」はこの領域で有名だ。同社はサンフランシスコを拠点に、医療従事者と患者をマッチングさせ、オンデマンド形式の診察サービスを提供する。現在は9800万人以上の生活をカバーしているという

また、最近では遠隔医療と小売の分野が融合し始めている。男性向けヘルスケア商品を扱う「Hims」がそれだ。同社は男性の脱毛薬や精力薬までをD2Cの業態で販売。遠隔医療による医師によるオンライン診察も受け付けており、自宅にいながらにして安心して処方箋を出してもらえる体験を提供する。

彼らの体験で重要なのがプライバシーの扱いだ。身体的なコンプレックスに関係しているからこそ、顧客体験は単に医療品購入では終わらない。専門医によるアドバイスと処方箋を通じたフォローアップまで提供することで顧客満足度を高め、成長してきた。7月には上場を目指しているという報道も出ている注目株だ

つまり、遠隔医療はコスト削減だけでなく顧客満足度を最大化させる、カスタマージャーニー上でも重要な要素なのである。今後、ヘルスケア用品を扱う小売ブランドは医療業界のオンライン化に伴い、Himsのような総合的なケアサービスを開発するまでに至るだろう。

遠隔医療におけるAI活用法

Accentureの別レポートではAIを医療トレンドの引き合いに出している。AIも遠隔医療分野には欠かせない要素だ。特定の疾患関連情報の内、適切なものをフィードバックしてくれる「キュレーター」であり、医師に寄り添って最善の治療法を患者に提案してくれる「アドバイザー」にもなり得ると指摘する。

例えばAIを活用したプライマリーケアコンサルタント「K Health」では、膨大な医療論文データが組み込まれており、簡単なQ&Aの回答から患者にとって適切な治療法を提案してくれる。月額9ドルのVIPプランでは、実際に医師による診察が入るが、事前にAIによる診察を経ているため基礎情報が揃っている形で通される。AIがスムーズに人力の遠隔医療チームへとバトンを引き継ぐ体制を構築している。

日本における遠隔医療の動きと課題

MEDLEYのオンライン診療システム「CLINICS」

ここまで米国における遠隔医療分野における最近の動きを紹介してきた。それでは国内ではどうなのであろうか。まず大きな動きとしては、日本政府は4月から初診対面診療の緩和を実施し、時限的ではあるものの、オンライン診療や服薬指導の幅を広げる動きを示している。

例えばグローバル・ブレインの出資先「MEDLEY」(2019年12月・東証マザーズ上場)は、2016年よりオンライン診療システム「CLINICS」を提供していたが、9月から調剤薬局向けオンライン服薬指導支援システム提供を開始する。スタートアップにも早速市場の動きが反映されている格好だ。

ただ、先行する米国とは大きく異なる部分がある。それが皆保険制度にまつわる「インセンティブ構造」の違いだ。米国では基本、医療費は自己負担が前提になるのでコストカットなどの課題が立てやすい。また、保険会社や政府、医療機関などステークホルダーが複数に渡ることで、医療ビジネスのバラエティが豊富になっている。

一方、医療費が皆保険によって安価に設定されている日本では、例えば予防医療などのテーマを立てても「医療機関に行けばよい」という力学が働き、成立しにくくなる。これは国内の医療系スタートアップを考える上で重要なポイントになる。

どこにペインがあるのか

では、そういった前提を踏まえた上で、どこにチャンスがあるのだろうか。「Bain & Company」ではアジアに住む患者のヘルスケアに対するニーズを紹介している。特徴的な意見を大きく3つ挙げる。

  1. パーソナライズ化した予防医療
  2. 病院での短い待ち時間
  3. 健康的なライフスタイルを送るためのインセンティブ付き保険

まず予防医療だ。医療費が高いから予防する、という課題設定が成立しにくいからこそ、違ったアプローチが必要になる。

例えばグローバル・ブレインの支援するPREVENTは、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の再発防止・重症化予防を、ライフログのモニタリングおよび電話面談で実施している。特徴的なのは、彼らが健康保険組合と積極的に取り組みをしている、という点だ。従業員の健康維持、医療費の軽減を目的としている保険組合だからこその動機付けが発生するケースだろう。

次に遠隔医療の可能性だ。そもそもオンライン診療だけだと差別化がしづらいという課題がある。ただ医師と話せる場だけを用意するのであれば、先行優位のプラットフォームが勝つ可能性が高い。ということはやはり「Hims」のように、患者にとって対面通院に課題感のある領域で活躍するスタートアップが成長するのではないだろうか。

また、オンライン化が図られることで取得できるデータ量は確実に増える。これらのモニタリングデータは保険料適正化に繋がるはずだ。

地方の問題も大きい。患者が疾患を認識(Awareness)、通院・診断して、後日モニタリングする。ここまでの流れは基本的に全てオンラインで完結すると考えている。地方の病院が減ってくる中で、オンライン診療との組み合わせは大きな可能性を秘めていると言えよう。

ということで、考察してきたように日本の医療ビジネス環境には特有の課題もありつつも、投資目線で言えば今は大いに好機とみている。この領域に取り組むスタートアップと共に課題解決を目指したい。

急速にキャッシュレス化の進むフィリピン、そのキープレーヤーたち

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ピックアップ:The Philippines is going cashless – finally ニュースサマリー:フィリピン中央銀行が2016年に開示したデータによれば、同国内におけるクレジットカードを利用した決済の割合はわずか2.2%であると報告している。しかし、新型コロナウイルスの影響でキャッシュレス決済の普及が一気に進んでいる。 詳細情報:2020年に入り新型コロナウィルスの感染者数が…

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PayMayaウェブサイト

ピックアップ:The Philippines is going cashless – finally

ニュースサマリー:フィリピン中央銀行が2016年に開示したデータによれば、同国内におけるクレジットカードを利用した決済の割合はわずか2.2%であると報告している。しかし、新型コロナウイルスの影響でキャッシュレス決済の普及が一気に進んでいる。

詳細情報:2020年に入り新型コロナウィルスの感染者数が国内でも増加し始めると、フィリピン政府は同国全土で長期間に及ぶ厳格なロックダウン政策を実施した(※フィリピンで行われたロックダウンは世界最長かつ最も厳しいとされていた)。買い物や銀行へ行くことを制限された多くの人がキャッシュレス決済の利用を開始し、ユーザー数が急速に増加した。

現在同国内で最も利用されているキャッシュレス決済はGCashとPayMayaの2つだが、両サービスには異なる特徴がある。

  • GCashフィリピンの通信会社Globeの運営するモバイル決済サービス。
    フィリピン最大の電子決済プラットフォームで約6万3,000件の実店舗とオンラインストアで利用可能。登録ユーザー数は2,000万人を超え(※フィリピンの人口は1億人強)、2020年5月のトランザクションは前年同月と比較して8倍、1月~7月末までの総取引額は前年同時期と比べ280%増となり1,000億ペソ(約20.7億米ドル)を超えた。
  • PayMaya…フィリピンの通信会社Smartの運営するモバイル決済サービス。
    様々な事業体と提携し、あらゆるシーンでの電子決済の利用促進に取り組んでいる。マクドナルドやKFCなどの店舗決済に利用されるエンタープライズ向けデジタル決済ソリューション「One by PayMaya POS」や、金融サービスへのアクセスができない人へ融資を実行する「Smart Padala by PayMaya」ネットワークの構築、タクシーの支払いへのQRコード決済の導入などがそれだ。
  • 新型コロナウイルスにより利用者が急増したと話題に上がるのは主にGCashの方だが、一方のPayMayaはこれまでとは異なるシーンでのキャッシュレス決済を支援することとなった。
  • 例えばフィリピンの教育機関は現在、オンライン学習とオフライン学習を組み合わせた「ハイブリッド型」教育に取り組んでいるが、全国の40を超える学校では学費に関してもオンライン・オフラインでのキャッシュレス決済に対応する「ハイブリッド型」とし、PayMayaの決済サービスを採用した。
  • 具体的には、オフラインでの支払いであればPayMayaアプリのe-Walletによる支払いが一般的だ。その一方、オフライン(対面)での支払いは、「One by PayMaya POS」を使用し、QRコードによる支払いとクレジットカードやデビッドカード、プリペイドカードによる非接触決済での支払いが主流となりつつある。
  • 競合する部分も多々ある2社だが強みとする部分が異なるため、フィリピンのキャッシュレス決済の普及自体が2社による「ハイブリッド型」で進んでいく可能性が高い。

背景:新型コロナウィルスの流行により、現金のやり取りを介した感染リスクを抑えるためにキャッシュレス決済の利用者が世界的に増加している。また、ロックダウンなどの政策で行動規制が長期間続く国や地域では買い物や銀行に行く機会が限られるため、これまで現金や対面でのサービスを好んでいた層も、好むと好まざるとに関わらずECやキャッシュレス決済の利用を開始している。

現金による支払いを好む人の多かったフィリピンだが、VISAの行った調査によると70%以上の人が新型コロナウイルスの脅威が去った後でも、キャッシュレス決済を継続して利用すると回答している。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志

多様化するクラウドファンディング、日本的寄付として根付くか

  本稿はPR TIMES STORYからの転載記事。一部、執筆者の許諾を得て要約・編集をしております 新型コロナウイルス蔓延の影響で危機的状況に置かれる事業者が増加するなか、寄付などの支援の輪が広がっているようです。コロナ給付金寄付実行委員会、パブリックリソース財団によると、約4割の方が新型コロナウイルスにより経済的影響を受けた個人や団体等に10万円給付金の一部を活用したいと回答したそ…

 

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Photo by Dio Hasbi Saniskoro from Pexels

本稿はPR TIMES STORYからの転載記事。一部、執筆者の許諾を得て要約・編集をしております

新型コロナウイルス蔓延の影響で危機的状況に置かれる事業者が増加するなか、寄付などの支援の輪が広がっているようです。コロナ給付金寄付実行委員会、パブリックリソース財団によると、約4割の方が新型コロナウイルスにより経済的影響を受けた個人や団体等に10万円給付金の一部を活用したいと回答したそうです。

こうした回答の背景には、オンラインで手軽にできる「ふるさと納税」や「クラウドファンディング」の普及により、寄付がより身近な存在へと変化したことがあると考えられます。

ふるさと納税とは応援したい自治体に寄付をすると、住民税の還付や地方の名産品などの返礼品を受け取ることができる仕組みです。また、インターネット上でお金が必要な事業や個人と、お金を支払う余裕のある人を結びつけるクラウドファンディングも市民権を得てきました。仕組みの違いにより「購入型」「寄付型」「投資型」「貸付型」などに分類されます。

日経BPマーケティング社の「デジタル金融未来レポート」によると、2019年の購入型の決済総額は約135億円、貸付型の貸付残高は約976億円で、今後5年間で購入型は約14倍、貸付型は約5倍に成長すると予想されています。コロナ禍では特に購入型に注目が集まっており、中でもCAMPFIREの提供する「新型コロナウイルスサポートプログラム」は、2020年2月末から2020年7月時点までで63億円超の金額を集め、支援者数は延べ56万人にも拡大したそうです。

日本でなかなか進まない寄付文化

実は欧米諸国などに比べると、日本における寄付金総額は大きいとは言えません。日本ファンドレイジング協会の「寄付白書2017」によると、日本の個人寄付総額は2016年で7,756億円、東日本大震災で寄付が活発になった2011年でも1兆182億円です。人口や経済規模が異なるため単純な比較はできませんが、アメリカの2016年の個人寄付総額は30兆6,664億円、イギリスの個人寄付総額は1兆5,035億円です。

では一体なぜ、他先進国に比べて日本ではあまり寄付が活発ではないのでしょうか?その一因には「文化」や「税制」の違いがあります。

例えばアメリカの場合は日本よりもNPO法人の数が多く、中には一流大学の卒業生が就職先に選ぶほど人気や影響力のある団体もあるようです。また、アメリカには税制優遇措置の対象となっているNPO法人が120万件以上あるのに対し、日本には同様の税制優遇措置の認定NPO法人は全国で1,200件程度(※)しかありません。※2020年07月30日時点

また、寄付をした際に所得控除または税額控除を選択し確定申告することになりますが、アメリカの場合は所得控除だけでなく、控除範囲を超えた金額の繰り越しができたり、イギリスにおいては、「ペイロールギビング」という、給与天引きで寄付をした場合に寄附金額が税引き前の給与から天引きされる仕組みなどがあります。

日本でも始まる新しい「応援」の仕組み

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社会的インパクト投資例(画像:クラウドクレジットウェブサイト)

従来の仕組みではなかなか根付かなかった「寄付文化」ですが、これがクラウドファンディングなどで大きく転機を迎えることになります。ふるさと納税やクラウドファンディングは、従来の寄付と比較すると手続きが簡易でメリットも分かりやすい形態となっています。欧米の寄付により近く、日本的寄付の新しい形と言えるでしょう。

支援するメリットについても広がりがあります。寄付やふるさと納税は控除や返礼品などが支援の「お返し」としてありました。ここにもう少し投資的な観点を加えたのが「社会的インパクト投資」と呼ばれる方法です。

社会的インパクト投資とは「社会面・環境面での課題解決を図ると共に、経済的な利益を追求する投資行動のこと(※)」です。社会的インパクト投資は経済的なリターンに加えて、社会課題の解決による公共善も追求する点が特徴です。

※GSG国内諮問委員会「社会的インパクト投資拡大に向けた提言書2019」

例えば、私たちが提供する「中東地域ソーラー事業者支援ファンド2号」の場合、砂漠地帯のソーラー化を進めることで、CO2の排出量を削減できることに加え、1万円あたり565円の経済的リターンが得られます。2019年の世界の社会的インパクト投資の市場規模は推計で約50兆円(1ドル100円換算)、日本における市場規模は2018年で約3,400億円とのことです。

現在、日本を含む世界全体でSDGs達成に向けた取り組みが活性化しています。こうした潮流を背景に、ふるさと納税やクラウドファンディング、社会的インパクト投資などの個人と社会のメリットを両立する取り組みは益々普及するのではないでしょうか。

本稿はクラウドクレジット株式会社編集室によるもの。Twitterアカウントは @crowdcredit_jp。お問い合わせはこちらから

「Revolut」は5.8億ドルの評価を獲得、チャレンジャーバンクとは何者か

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本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載。Universe編集部と同社のFounder兼CEOでGeneral Partnerの百合本安彦氏が共同執筆した。 2015年、英国発のフィンテック企業「Revolut」はシリーズDラウンドのエクステンションを公表した。2月に実施した調達と合わせて5億8000万ドルの評価で8…

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本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載。Universe編集部と同社のFounder兼CEOでGeneral Partnerの百合本安彦氏が共同執筆した。

2015年、英国発のフィンテック企業「Revolut」はシリーズDラウンドのエクステンションを公表した。2月に実施した調達と合わせて5億8000万ドルの評価で8000万ドルの資金を獲得したことになる。今回出資したのはTSGコンシューマー・パートナーズで、評価額は変わらないそうだ。2月に実施した内容はTCVがリードしたもので、これにより同社の累計調達額は9億1700万ドルにものぼる。紛れもないユニコーン(10億ドル評価)企業だ

グローバル・ブレインでは2018年にソニーフィナンシャルベンチャーズと共同でSFV・GB投資事業有限責任組合を立ち上げ、フィンテック企業への投資を実行している。本稿では、私たちのフィンテック領域に関する知見と共に、現在、世界中で大きなうねりとなっている「チャレンジャー(ネオ)バンク」について整理してみたいと思う。

4つの視点から見る未来の銀行

その前にまず、現在の銀行のあるべき未来像から考えてみたい。

調査会社のForresterは「未来の銀行に関するレポート」にて、4つの価値観をベースに次の10年の銀行の形を考察している。

  • Invisible(目に見えない形で動く)
  • Connected(サービス連携)
  • Insights-driven(顧客へのインサイト提供)
  • Purposeful(目的意識)

そしてこれらの価値は「顧客」「銀行」「コラボレーター(外部企業・ブランド)」の3者が密に連携することによって市場開拓が進むとしている。

具体的に何が起こるのか。大きく二つの方向性が考えられる。

最適化した金融体験の提供

今後、金融サービスはあらゆるプラットフォームと連携するようになる。例えば米VCのAndreessen Horowitz(a16z)は「Why Every Company Will Be a Fintech Company」と題したオピニオン記事であらゆる企業がフィンテック化していく世界を論じた。

従来、金融サービスを提供する際、各コラボレーターとは独立したものとなっており、顧客体験が全くの別物となっていた。例えば住宅販売企業はローン支払いサービスをシームレスに提供する必要があるが、別々のインターフェースになると顧客満足度は大きく下がる可能性がある。こうした非接続性はブランド毀損に繋がってしまう。

これらの体験は本来、1つのフローの中で完結するものである。そこで生まれた概念がBanking as a Service(BaaS)だ。金融サービスをモジュール的に扱い、顧客体験を最優先に「組み合わせて」提供する。銀行サイドは汎用性のあるAPIを用意するだけでOKだ。

例えば私たちが支援するsolarisBankはまさに、その上で動くサービスレイヤーを提供する企業になる。ベルリン発BaaS企業で、銀行サービスをオンデマンドで機能別に提供するビジネスモデルを展開している。欧州圏のフィンテック企業を中心に、決済や送金、KYC、カード、レンディングなどの銀行機能をモジュール化して提供している。

これが未来の銀行にあるべき「Invisible(目に見えない形で動く)」と「Connected(サービス連携)」の現在進行形と言えよう。

預けるだけが目的ではない

ではもう一つ、Forresterが提示する「Insights-driven(インサイト提供)」と「Purposeful(目的意識)」とは何を示すのか。

銀行はかつてのように金融資産を預けるだけの存在ではなくなりつつある。つまり、顧客の金融生活を銀行側がしっかりと理解し、どのような利用をすれば「心地よい生活を送れるのか」。そのインサイトを提供する需要が高まっているというのだ。

例えばWealthNavi(ウェルスナビ)は国内でトップクラスのロボアドバイザー・サービスなのだが、ソニー銀行と提携をし「WealthNavi for ソニー銀行」を提供している。

このように、金融資産の状況、保険の加入、住宅ローンの借り換え、こういった情報を預かるデータから導き出し、顧客に的確に伝える。顧客は金融資産の保全だけではない、より幅広いサービスの提供を求めているようになっている。

チャレンジャーバンクとは何か

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Image Credit: Revolutウェブサイト

では、こういった新たな金融に関わる体験を実現するにはどうしたらよいか。ここで生まれた概念がチャレンジャー(ネオ)バンクだ。

チャレンジャーバンクには2つの種類が存在する。銀行業免許を持つ「チャレンジャーバンク」と呼ばれる業態と、免許を自社では持たずに提携銀行を介して事業運営する「ネオバンク」だ。どちらの種類であっても、通常は専用のモバイルアプリとデビット/クレジットカードを提供するサービス形態が一般的である。主要なサービスは次のようなものがある。

Revolt、Monzo、N26:欧州で産声をあげたこの3社(RevolutとMonzoは英国、N26は独)が特に注目されることが多い。EU圏内の移住などでやってきたユーザーが手軽に銀行口座を開設し、複数の通貨をまたいで送金ができることからユーザーを伸ばしている。参考までに、Sensor Twoerのデータを元にしたこちらのインフォグラフィックによると、2019年末のそれぞれのダウンロード数はトップがRevolutで、Monzo、N26にダブルスコアをつけている状況だ。

Square、Venmo:やや議論があるのがこの「ウォレット」サービスだ。通常、これらはチャンレンジャーバンクのカテゴリではなかったのだが、特に米国でSquareとVenmoの獲得口座の数が非常に大きく、実は全ての銀行と比べてもウォレットの数の方が多いという調査結果もあって本命視する向きもあるぐらいだ。また、アカウント数が大量にあるだけでなく顧客獲得コスト(CAC)が安いのも特徴で、機能面での差別化が難しくなる中、金融商品におけるCACを下げる目的で注目が集まっている。

参考情報:Ark Investmentレポート

Varo Money:チャレンジャーバンクから免許を取得して正式な銀行に「鞍替え」した例がVaro Moneyだ。チャレンジャーバンクは通常、認可を受けている銀行と提携してサービスを提供する。しかし彼らは今年7月末にOCC(米通貨監督庁)から米国全土で銀行業務を実施できる認可を取得し、正式な国法銀行となった。オール・モバイルの正式な銀行の誕生で、これにより送金や家計簿管理だけでなく、貸付やクレジットカードなどのサービスを提供できるようになった。

日本におけるチャレンジャーバンクの可能性

Revolutの大型調達やウォレットの躍進、Varo Moneyの国法銀行化などを通じてチャレンジャーバンクの可能性について考察してきた。最後に日本における未来像も少し触れておきたい。

日本ではよく、チャレンジャーバンクの得意とする「送金」バリューが発揮できないのでは、などの指摘をされるケースがある。特に日本は一世代前の金融機関が発達しすぎてイノベーションが起こし辛い現象「Overbank」が起きている。街を歩けばコンビニで現金が下ろせる。すごく便利な国だ。

ただ、ここのブレイクスルーは必ず起こると考えている。その転機と考えられるのが、現在厚生労働省内で検討されている「デジタルマネーよる賃金払いの解禁」である。この解禁によって資金移動業者が発行するプリペードカードの利用が劇的に増える可能性がある。

つまり今まで銀行が独占的に給与受取口座を取り扱うことにより個人のお財布を握ってきたわけだが、今後は銀行口座を持たなくても給料を受けとることができるようになるのだ。

個人は銀行の支店に行くことなくeKYC1でデジタルマネーの口座を開設し、給料の受取口座として指定してしまえばプリペイドカードで各種支払いをし、生活資金が足りなければ借り入れもできるし、送金や運用も家計簿としても活用することができる。

しかもすべてスマートフォン1台あれば完結。たとえ銀行の給与受取口座をすぐに変えることができなくても、生活資金分をデジタルマネーに資金を移せば快適なマネーライフを享受することができる。

日本版チャレンジャーバンクは、非接触型経済社会の目玉となり個人の生活は一変する。そういう世界が日本でも間近に迫っているのだ。

確かに商習慣では現金がまだまだ強いが、経済合理性の面ではデジタル通貨の方が管理コストも安く、いつかはシフトしていくことになるだろう。資産管理の面でも老後2000万円問題が指摘されたのは記憶に新しいが、では、どうやってその資産形成をする?という点で明確な答えはまだない。暗号資産や投資を促すソリューションには十分なチャンスがあるだろう。

1:eKYC: electronic Know Your Customer…電子的に本人確認を実施すること

ソーシャルインパクトを掲げるスタートアップたち【TechStars選出(3/3)】

TechStarsによるSGDsをテーマとしたアクセラレーションプログラム「Cox Enterprises Social Impact Accelerator Powered by Techstars」に選抜されたスタートアップを解説する。第3回は、ダイバーシティー・起業家支援のスタートアップを紹介する。第1回(教育関係)はこちら、第2回(ヘルスケア、エネルギー)はこちらを参照されたい。 Civi…

TechStarsによるSGDsをテーマとしたアクセラレーションプログラム「Cox Enterprises Social Impact Accelerator Powered by Techstars」に選抜されたスタートアップを解説する。第3回は、ダイバーシティー・起業家支援のスタートアップを紹介する。第1回(教育関係)はこちら、第2回(ヘルスケア、エネルギー)はこちらを参照されたい。

Civic Dinners

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Civic Dinnersウェブサイト

概要:人々が安心して真剣な対話を行うことのできるプラットフォームを提供

社会課題:アメリカ社会は、ますます二極化している。人々は意見の合わない人とは関わらない、会話をしない、意見が合わない人をSNSで「アンフレンド」する、こんなことが当たり前のように起こっているのが実情だ。

市場背景:COVID 19や気候変動など様々な問題に世界は直面しており、その解決のためには今まで以上によりいっそうお互いの声を聞き合うことが求められている。しかし、建設的な意見交換の場を見つけることは難しい。同社のCEOであるJenn Graham氏は数々の大きなイベントの企画運営を通じて、新しいアイデアは少人数の行動を起こしたいメンバーで形成される、フランクな会話から生まれることに気づく。それがサービス立ち上げの契機になった。

提供しているサービス:人々が一堂に会して、各人の関心のあるテーマについて議論をするためのプラットフォームを提供。同社独自のシンプルなフレームワークを提供することで、誰でも、どこでもツールとして利用することができる。

6~10 人が集まってお酒や食事をしながら、特定のテーマについて話し合うという構成。ホストは3つの大きな質問を予め設定し、それに沿って、全員が平等に一度に1つの声を共有できるように工夫する。この形式は、議論や支配的な声を避けるために設計されており、その代わりに異なる視点からの意見に耳を傾け、理解を促すようになっている。

例えば、テネシー州チャトヌンガ市では、ある参加者がEconomic Mobility (個人や家族が経済的地位を向上させる能力)をテーマに掲げ、ディナーをホストした。市役所職員からギャングのメンバーなど様々なバックグランドの人たちを招き、Civic Dinnersが提供するフォーマットに沿って行った。その結果、お互いが安心して悩みを共有できる場所となった。回数を重ねることで、300人の声が集められ、それが政策立案に生かされる形になった。デイナーの80%もの人たちが地元でのアドボカシー活動のボランティアに参加した。

ビジネスモデル等:同社はアメリカの各自治体やAspen Instituteなどの非営利法人やHOME DEPOTなどの企業に対してサービスを提供することにより、新しい対話の形を実現させている。

最近では、コカコーラより依頼を受け、ダイバーシティーやインクルージョンをテーマとした対話の場を設計した。Facebookは、当初はあるアメリカの都市で、女性創業者の支援をテーマとした対話のリクエストから始まったが、その後は中小企業支援などのテーマを拡大し、全米にスケールした。この提携が、18か国で10言語(日本語は非対応)対応できるようになった。

イギリスでパイロットプログラムを企画していたところ、COVID-19に直面したが、10日以内にインターネット上でも実施できる設計を開発し、対面で会話ができない現在でも、同社の利用率は伸びている。2020年第1四半期の売上高は前年の同時期に比べると十倍に伸び、44万ドルを実現。2020年は1,600万ドルの目標を掲げており、すでに半分までは実現しているという。

ACT House

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ACT  Houseウェブサイト

概要:共同生活を前提にしたインキュベーター

課題:アメリカで、大学に入学した学生2,000万人のうち、76%は起業したいとしているが、なかなか起業がうまく行かないのは、良いチームに出会えないためである。そこでACT Houseはスキルを高め、起業家精神を養い、新しい製品やサービスを創造したいと願う若いイノベーターのための取組みとして、共同生活をベースとしたプログラムと住環境を提供している。

提供しているサービス:全米で学生をリクルートし、各人のスキルを測るためにハッカソンで競わせる。審査に合格をすれば、ACT Houseのコミュニティに招待をされる。目標は、1年で1社を起業することである。コミュニティーに入ると、定額のシェアハウス、リーダーシップなどのスキル研修、起業経験者へのコミュニティのアクセスを手に入れることができる。

ビジネスモデル等:2019年には席数の十倍の申し込みがあり、卒業生の83%は創業者かプロダクト開発者になっている。COVID-19の影響により、今秋54人が新規参加予定であったプログラムを大幅に組み替え、オンラインでのハッカソン を実施したり、必要なリソースに簡単にアクセスできるアプリを開発。現在の収益モデルは、共同生活方式には月額600ドル、メンターなどからコンサルテインングサービスは月額10〜20ドル。

執筆:NeKomaru/編集:岩切絹代・増渕大志

米従業員の8割が精神課題抱えるーーコロナ禍で拡大、遠隔メンタルヘルスケア「Lyra Health」

ピックアップ:Lyra Health Hits $1.1 Billion Valuation, As Coronavirus Boosts Need For Teletherapy 重要なポイント:COVID-19を背景にLyra HealthとNational Alliance of Healthcare Purchaser Coalitionsが2020年7月に発表した最新の調査によると、米国…

画像出典:Lyra Health 公式ホームページ

ピックアップ:Lyra Health Hits $1.1 Billion Valuation, As Coronavirus Boosts Need For Teletherapy

重要なポイント:COVID-19を背景にLyra HealthとNational Alliance of Healthcare Purchaser Coalitionsが2020年7月に発表した最新の調査によると、米国の従業員の83%がメンタルヘルスの問題を抱えていることが明らかとなっている。

ニュースサマリ:従業員向けの遠隔メンタルヘルスケアサービスを提供するLyra Healthは、1億1,000万米ドルのシリーズDラウンドの調達を完了したことを2020年8月25日に発表した。今回の調達はAdditionが主導し、Adams Street Partners、Starbucksの元CEO、Howard Schultz氏、Casdin Capital、Glynn Capital、Greylock Partners、IVP、Meritech Capital Partners、Providence Ventures、Tenaya Capitalなどの既存の投資家が参加した。3月に完了した7,500万米ドルのシリーズCラウンドに続く調達となり、同社はこれまでに約2億7,500万米ドルを調達している。

詳細情報:Lyra Healthは2015年にカリフォルニア州にて設立。Facebookの元CFOであったDavid Ebersman氏が「人々が質の高いヘルスケアを迅速に見つけられるよう支援する」ことを目的に、共同設立者兼CEOとして創業した。

  • Lyraは企業の従業員と、セラピストやメンタルヘルスコーチなどをつなぐデジタルプラットフォームを提供している。契約企業の従業員は、1対1のビデオセッションや、認知行動療法(CBT)をベースとしたチャットエクササイズ、進捗状況の定期的なモニタリング等を遠隔で受けることができる。
画像出典:Lyra Health 公式ホームページ
  • 同社の臨床製品担当ディレクターであるAnita Lungu氏が率いたJournal of Medical Internet Researchで発表された研究によると、385人の患者を対象に5回のセッションを行った後、不安や抑うつ症状が減少したことが記録されている。さらに同研究においては、Lyraの遠隔療法モデルが標準的な治療より12~16週間早く結果を出す可能性があることも示唆しているという。
  • 8月25日発表の同社プレスリリースによると、これまでに約150万人の会員がいる同社ではCOVID-19以降80万人以上の新規会員が増加し、さらに2020年8月末までに累計100万回のセッション提供を突破する予定だという。
  • Forbesの記事によると、Adams Street Partnersのパートナー・Thomas Bremner氏は同社サービスについて、以下のようにコメントしている。

2,800億米ドル規模の行動医学市場における最大の課題の一つはアクセシビリティです。テクノロジーを活用し、メンタルヘルスケアのスケーラビリティを促進する必要がある一方、個別化や人間的なケアを失ってもいけません。Lyraの優位性の1つがその”Blend Care”です。

背景:NAMI(National Alliance on Mental Illness)によると、米国では5人に1人が精神的不調を抱えており、中でも不安障害とうつ病が最も一般的な2つの症状となっている。

執筆:平理沙子(Risako Taira)/編集:岩切絹代