THE BRIDGE

ゲストライター

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「The Bridge」はアジア圏の起業家と投資家をつなぐプラットフォームです。スタートアップに関するニュースサイトとデータベースを融合して、Bridgeスコアによってスタートアップへの注目度を数値化します。

執筆記事

中国ソーシャルコマースの衝撃ーー「インスタ+Amazon」“RED”(小紅書)攻略法

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ここ数年、アジアのEC市場は目を見張る成長を遂げてきました。 特に大きな注目を集めるのが中国です。2019年11月11日、Alibaba Group(阿里巴巴集団)によって中国最大の買い物日となった独身の日(W11, ダブルイレブン)でAlibabaは、毎年のように売上記録を更新し、2018年に308億米ドル(約3.4兆円)だった売上は2019年には384億米ドル(約4.2兆円)を記録しました。 …

ここ数年、アジアのEC市場は目を見張る成長を遂げてきました。

特に大きな注目を集めるのが中国です。2019年11月11日、Alibaba Group(阿里巴巴集団)によって中国最大の買い物日となった独身の日(W11, ダブルイレブン)でAlibabaは、毎年のように売上記録を更新し、2018年に308億米ドル(約3.4兆円)だった売上は2019年には384億米ドル(約4.2兆円)を記録しました。

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2012-2019、独身の日取引額の推移(資料:バベル)

独身の日と比較される米国のブラックフライデーの2019年のEC売上は74億米ドル(約8,100億円)であることや、日本の楽天の2018年における国内EC流通総額が3兆4310億円であることを考えるとその勢いがよく分かります。

また、AlibabaのW11における化粧品・コスメカテゴリのGMVは、前年比で64%以上増加しており、彼らの成長を牽引しています。同時にこの中国のEC市場を考察する際、なくてはならない存在がKOL(Key Opinion Leader、日本におけるインフルエンサー、以下「KOL」)です。マーケティング戦略で欠かせない役割を担うようになっています。

そして今、この分野で彼・彼女たちが熱視線を送っているプラットフォームが「RED(小紅書、以下「RED」)」です。

私たちバベルは中国・東南アジアなどのグローバル市場で、日本企業のデジタルマーケティング・販売支援を手掛けており、中国のEC市場、特にソーシャルコマース市場の急成長を身を持って実感しています。一方、中国市場を攻めるためには独特のルールも知らなければなりません。

そこで本稿ではこのREDを通じた、日本から中国市場に挑戦するためのノウハウを共有したいと思います。

中国版“インスタ+Amazon”「RED(小紅書)」

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ソーシャルECのRED(小紅書)

RED は「世界中の良いモノが見つかる」をメインコンセプトにしている、中国最大規模のソーシャルコマースプラットフォームです。2019年7月時点で、REDは登録ユーザー数は3億人以上、月間アクティブユーザー数(MAU)は1億人以上に達しております。

Weibo(微博)やWeChatと肩を並べる、中国5大プラットフォームの内の1社として急成長しており、中国のデジタル広告宣伝費のほとんどがこれらのプラットフォームに投下されています。

衣食住すべての日常生活にまつわるレビュー(口コミ)投稿型のSNSであり、コスメ、ファッション、旅行、グルメなど、多様な体験が写真や動画を交えて投稿されています。中国の消費者、特に若い女性にとって必要不可欠なサービスとなっています。

一方で他のSNSと異なるのは、アプリ内で商品を購入できるソーシャルコマースに最初から取り組んでいる点です。いわば「Instagram」に「Amazon」のようなEコマースがプラスされた「コンテンツ型ソーシャルコマースプラットフォーム」といったところでしょうか。

FacebookやInstagramなどもショッピング機能の統合を計画しており、実際にInstagramからコマースへの導線は実現していますが、その遥か先を行っているのがREDです。ユーザーの属性は都市部在住で、iOSを使っている(=可処分所得が高く比較的裕福な)20代の女性が主体です。

中国では中産階級に属する人が4億人を超えて内需が拡大し続けています。その結果、品質の良い日本製品の需要が高まっており、ブランド企業にとっていかに中国のアウトバウンド及びインバウンドのマーケティングチャネルを確立していくかということが課題視されています。

日本の良いモノ、観光地に関する情報収集のニーズが日々高まっているため、日本在住の中国人や訪日中国人によって、RED内で日本に関する投稿が日々増加しています。

中国ECでも最も重視されているレビュー(口コミ)

これは中国に限ったことではありませんが、商品やサービスの購買においてレビュー(口コミ)の重要性は非常に高いです。一方、その信頼性については各メディアで評価が分かれています。

コンテンツ型ソーシャルコマースのREDと通常のECの違いは、ユーザー間の信頼関係の有無です。

REDはユーザー間のコミュニケーションを重視し、Instagramのように動画や画像といったフォーマットで、クオリティと共感性の高いコンテンツの投稿を促すことにより、ユーザー間の信頼関係を構築しています。

ユーザーが写真とともに商品やサービスのレビュー記事を投稿・シェアし、その記事を読んだユーザーがそのまま商品を購入できる、という導線を作り上げています。

RED攻略における4つの最重要ポイント

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かつては百貨店で売れたコスメも、スマホで新たに認知を獲得しなければ売れない時代、どのような点が重要になるのでしょうか?REDを参考に紐解いてみます。

  • コンテンツ・イズ・キング
  • アルゴリズムを理解する
  • KOL選定と最適なコンテンツ制作
  • 中国現地事情に精通したパートナー選定

(1)コンテンツ・イズ・キング

最も重要なことは、プラットフォームの特徴を理解することです。まず、REDのユーザーは、20代女性がほとんどであり、特に海外のコスメ・美容情報に特化していること。

ユーザーエンゲージメントが高い関連投稿を表示するという、アルゴリズミックフィードが実装されており、TikTokと同様にフォロワー数と関係なく、質の高いコンテンツがユーザーにインプレッションする、コンテンツ・イズ・キングのプラットフォームです。

この点は、フォローしているユーザーの投稿がフィードに多く表示される、InstagramやYoutube等のプラットフォームとREDの大きな違いになります。

(2)アルゴリズムを理解する

では、TikTokと全く同じ仕組みかというと大きく異なる点があります。

REDには投稿の累積効果があります。投稿数の多寡がブランド認知に直結しており、過去の投稿も検索結果への上位表示や検索時のレコメンド順位に影響しています。

アルゴリズミックフィード主体のプラットフォームは、一時的なインプレッションを大量に集め、コンテンツがフローで流れてくのが基本ですが、REDの投稿には長期的に何度も繰り返し読み返されるストック性があります。

また、Board機能によってユーザーは自分のお気に入りの投稿をまとめ上げ、何度も見直します。(PinterestでいうBoard・InstagramでいうSave機能が非常に良く使われているイメージです)

(3)KOL選定と最適なコンテンツ制作

KOLマーケティングにおいては、どの商品を、誰に、どのようなストーリーで投稿してもらうか、といった点が最も重要です。上記のような特徴およびアルゴリズムをしっかりと理解し、データ基づいた広告プランニング、投稿スケジュール策定、動画/画像クリエイティブ制作をすることでマーケティング効果を最大化できます。

(4)中国現地事情に精通したパートナー選定

最後に、中国現地事情に精通しており変化の激しい中国市場への適応能力が高いマーケティングパートナーと組む、もしくは自社内にチームを構築することです。中国マーケットは目まぐるしく変化しており、中国展開を初めて行う事業会社が自社で全て対応するのは非常に難しく、マーケティングパートナーを組むことが現実的な選択肢となっています。

いかがだったでしょうか。

資生堂などはいち早く中国市場に参入し、成功している会社の1つです。

1981 年に北京市からのオファーを受け、「グローバル SHISEIDO」という当時のブランドを輸入品として北京飯店などでの販売開始。資生堂の中国進出の始まりです。資生堂のように長く中国で挑戦している会社のいくつかは成功しております。

2019年、資生堂の売上全体における、中国の比率が18.7%となり前年比で+12.8%伸びております。日本国内は+3%で、アメリカは-1%、欧州は+1.1%だということを考えると非常に重要な拠点となっており、成果が出ていることが分かります。

中国市場が熱気を帯びている今、企業の成長戦略における重要性がさらに増すことは確実です。

<参考記事>

本稿は中国と日本で動画総合広告プランニングを提供するバベルの代表取締役、 杉山大幹氏によるもの。Twitterアカウントは@tamiki_。彼らの事業や採用に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい

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離婚で持ち家はどうなる?財産分与、3つの方法とは

昨年末に離婚を公表したお笑いコンビ「FUJIWARA」の藤本敏史さんとユッキーナこと木下優樹菜さんのニュースが世間を賑わせました。 芸能人の離婚がワイドショーで取りざたされていますが、現代において日本の夫婦は、3組に1組は離婚すると言われている時代です。これは、婚姻数の低下に加えて離婚数が増加していることにより、分母と分子の幅が狭くなってきているためです。厚生労働省のデータによれば、1970年代は…

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昨年末に離婚を公表したお笑いコンビ「FUJIWARA」の藤本敏史さんとユッキーナこと木下優樹菜さんのニュースが世間を賑わせました。

芸能人の離婚がワイドショーで取りざたされていますが、現代において日本の夫婦は、3組に1組は離婚すると言われている時代です。これは、婚姻数の低下に加えて離婚数が増加していることにより、分母と分子の幅が狭くなってきているためです。厚生労働省のデータによれば、1970年代は婚姻数が約100万件に対し、離婚数は約10万件、つまり10組に1組は離婚すると言われていました。しかし約40年の間に婚姻数が66万件に減少し、離婚数は約23万件に増加、つまり3組に1組が離婚するという数値になります。

また、余談ですが、離婚が圧倒的に多い月は「3月」、2位は12月となっており、お子さまの学校や、税金や健康保険など、区切りの良い月を選択されている傾向にあります。

厚生労働省「平成22年人口動態統計」より

 

結構な確立で発生する離婚ですが、気持ち的な問題以外にも重たい決断が待ち構えています。そのひとつが「お家」です。借家であれば次の住まいを探す程度で済みますが、「持ち家」だった場合はなかなか大変です。

実際、結婚後に住宅を購入していた場合その家をどうしていくのか、という点に頭を抱える人が多くいらっしゃいます。名義は夫婦の共有名義になっているがどうしたらいいのか、住宅ローンがまだ残っているがどうしたら・・・。結婚後に購入した住宅が、離婚によってどのような影響を与えていくのでしょうか。私たちは、中古住宅の買取マッチングサービス「インスペ買取」を運営しているのですが、こういった問題を抱える方々の声も定期的に届いています。

では具体的に何が起こるのか、みていきましょう。

まず、結婚後に住宅を購入した場合、住宅は「財産分与」の対象になります。離婚後に今の住宅をどうしていくのかを考える下準備として、住宅の名義人、住宅ローンの債務者を確認する必要があります。財産分与の方法はいくつかあります。

  • 住宅が単独名義の場合、奥様との共有名義にすることで住宅を1/2ずつ所有する
  • 夫婦の共有名義の場合、相手方に代償金を支払い、単独名義に変更する
  • 家がいらないという場合は、売却をして資金を1/2ずつに分ける

では、離婚に伴う住宅の問題点を解決できる方法を3つご紹介します。

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1:賃貸に出す

家を売却せずに共有名義、もしくは単独名義で家を残しておくケースです。賃借人がつけば家賃収入を見込めるため、住宅ローンを使用していたとしても月々の返済の相殺を期待できます。しかし、人口動態からみて、賃貸の需要が少ない地域ではあまり現実的ではない方法です。

2:仲介会社に依頼し「仲介」にて売却

こちらは双方が住宅を手放したいケースです。仲介会社は「仲介」にて個人の買主を探します。住宅ローンが残っている場合、売却をするにあたり抵当権の抹消、つまり、住宅ローンの完済が必須です。この場合、売却期間の長期化をリスクに背負いながらローンの返済を並行しますが、売却がうまくいけばローンの完済に加えて余剰金が発生する可能性もあります。

しかし、仲介では「個人の買主」を探す必要があるため、SUUMOなどの不動産情報サイトに掲載して近隣の方に見つかる可能性があったり、売却後に瑕疵が見つかるとどちらが責任を負うかなど、さまざまなリスクもあります。

3:買取会社に依頼し「直接業者買取」にて売却

上述の2つ目のケースと同様に住宅を手放すケースです。買取会社に依頼すると買取会社が直接買取るため、仲介の際に発生するようなデメリット(売却期間の長期化や売却後の瑕疵責任など)は避けられます。一方、買取の場合は市場の相場価格よりも低い金額で売却となることも多いため、万が一売却額が住宅ローンの返済額に届かない場合は差額分の資金を工面し返済に充てる必要があります。

ちなみに、仲介に出してから買取会社に依頼するのはオススメしません。というのも、仲介市場で「売れない」ということを証明してしまっては、買取側も手控えるからです。買取側は宅建業者のポータルサイト(レインズ)でまずそこを調べるのでご注意です。

日常のワイドショーでも取り上げられる芸能人の離婚問題をもう少し掘り下げて見ると、さまざまな住宅の問題が隠れていることがわかります。離婚以外にも人々のライフスタイルが多様性を帯びる中、現在、国内には846万戸の空き家が存在し、15年後には2,000万戸以上に膨れ上がるというシンクタンク予測もあります。

<参考記事>

こういった中古住宅の流通をスムーズにすることで、新しいビジネスチャンスも生まれてきます。社会的問題解決の一任を背負う立場として、中古住宅市場の活性化となれば幸いです。

本稿は「インスペ買取」を開発・提供するNonBrokers株式会社のカスタマーサクセス、佐々木大輔氏によるもの。彼らの事業や採用に興味がある方は、こちらからコンタクトされたい。

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創業期に「従業員」は採用しなくていい

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創業期の起業家のみなさん、組織戦略やチームづくりに頭を悩ませていませんか? 「組織戦略に絶対的な自信がある」「自分なら最強のチームがつくれる」という方はおそらく稀でしょうし、チームビルディングやマネジメント経験の少ない若手起業家のみなさんなどは特に先行き不安なこともあるのではないでしょうか? 創業すぐ、友人や知人など、継続的な関係性を経て、信頼できるからこそ選んだ初期メンバーだけの数人のチームなら…

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創業期の起業家のみなさん、組織戦略やチームづくりに頭を悩ませていませんか?

「組織戦略に絶対的な自信がある」「自分なら最強のチームがつくれる」という方はおそらく稀でしょうし、チームビルディングやマネジメント経験の少ない若手起業家のみなさんなどは特に先行き不安なこともあるのではないでしょうか?

創業すぐ、友人や知人など、継続的な関係性を経て、信頼できるからこそ選んだ初期メンバーだけの数人のチームなら、不安を感じることも少ないかもしれません。また、そうしたメンバーのリファラル(紹介)で採用がうまくいっていれば、もう少しチームが大きくなっても問題は起こりづらいかもしれません。

一般的にはリファラル採用は、属性の近いメンバーが集まり、コンフリクトの起こりづらい組織づくりに有効だと言われています。スタートアップはそうした関係性のあるメンバーで始まることが多いと思います。友人と共同創業、前職の同じ事業部の仲間が経営メンバー、といった感じです。

そのため、創業期には組織の課題というものにそれほどマインドシェアを割く必要がないケースもありますが、一方で、私たちが見ている限りでは、組織の課題というものは、3人でも5人でも、上記のようなリファラル採用が成立している組織でも起こり得ます。

例えば、重要なことから日々の細かなことまでどうも意思決定の軸がずれる、コミュニケーション量の不足でお互いの行動が見えづらくなり疑心暗鬼になる、そして情報共有の質が落ちてくる、ルールを制定したりツールを導入しようとしたときに反発が起こる、陰でネガティブな話題をまき散らされる、いったことです。

組織の課題というものは、顕在化してきて初めて対策をとるというケースがほとんどです。しかし、それでは手遅れということもありますし(数名の組織なんて簡単に壊れてしまいます)、必要以上に問題解決にマインドシェアを割くことになってしまうこともあります。なので、組織戦略とまではいかなくとも、まずは組織づくりの入り口を意識することから始めましょう。

創業期のスタートアップの採用や組織づくりの成功事例に関する情報はいろいろあるものの、その全てが必ずしも自分(あなた)にとって再現性のあるものとは限りません。一方で、回避すべきポイントを押さえておき、ある程度「同じ轍を踏まない」ということをするのは可能だと思います。

そのために、特に採用時に意識しておくべき“回避”のヒントを3つお伝えしたいと思います。

スキルフィットだけで採用しない

なぜ採用をするのか?と言われれば、企業価値向上のためでしょう。スタートアップにおける企業価値向上とは、PMF(プロダクトマーケットフィット)を早め、売上を立てること。そのためにはざっくりと、ビジネスサイドのメンバーと開発のメンバーが必要、といったことになります。

要するに、採用したい人に求める成果は比較的はっきりしているので、「成果を出せそう」というスキルや経験からの予測を判断基準に採用することになります。しかしながら、スキルだけを求めてしまうと、その人は成果だけに固執し、経営やチームづくりについては考えてくれなかったり、周りにも同じことを求めたりするかもしれません。

成果を出すために手段を選ばない人もいるでしょう。そうなると、重要な意思決定の局面で軸がずれることが起こり得ます。そういった人の見極めには、一緒に3カ月働いてみる、戦略について議論してみる、といった採用の前段階を踏むことをおすすめします。

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目的と手段を混同している人を採用しない

最近はミーハーな気持ちでスタートアップに目を向けている人も多く、目的と手段を混同している人を散見するようになりました。そういった人を見極めるためには、「未来の話」をたくさん聞き出しましょう。「人生を賭けてどんなことを成し遂げたいと思っていますか?」「あなたの“自己実現”とはどんなことですか?」などです。

その回答が「会社を上場させたい」「CFOになりたい」などだったとしたら、それは手段を目的化している可能性があります。「成長したい」という回答も同様です。自己実現やビジョンなど、抽象的な話に終始するとしても、お互いにそれに共感できるのかはとても重要です。まずは「見ている山のてっぺん=ビジョン」をすり合わせるのです。これをカルチャーフィットと表現することもできます。登り方=戦略は、ビジョンさえすり合っていれば、その後いくらでも議論することができます。

“従業員目線”の人を採用しない

カルチャーフィットしているメンバーだけを集めていれば、チームカルチャーという点で著しく差異が生まれたり、コンフリクトが起こったりするケースはあまりないかもしれませんが、個としての目線(立場)の違いによりそれが起こるケースはあり得ます。目線の違いとは何かといえば、「経営目線」か「従業員目線」かということです。

経営目線の人が見ているのは「会社やチームの未来」です。一方で、従業員目線の人が見ているのは「自分の未来」です。前者は主語が「自分たち」、後者は主語が「自分」という違いもあるかもしれません。なので、最初から「雇われる自分/雇われている自分」という目線が強い人は、採用しない方が賢明かもしれません。

「企業価値を上げるためにどうする?」という議論に、「自分はこうしたい/自分はこうしたくない」というコメントをしてくる可能性があるからです。そのマインドを変えるのは相当に難しいので、創業期は特に「自分たちはこうあるべきだ/チームとしてこうありたい」という目線の人を選ぶようにしましょう。見極めには、「チームで問題が起こりました。こんなときどうしますか?」といったケーススタディ的な質問や議論が役立ちます。

いかがでしょうか。

目の前の採用候補者が、あなたの目にとても魅力的に映ったとしても、上記3点について、ぜひ一度立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか。それらが問題ないと判断できるようであれば、目の前のその人は、あなたのチームを成功に導くキーマンになってくれるでしょう。

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、ジェネシア・ベンチャーズのアソシエイト、一戸将未氏によるもの。Twitterアカウントは@ichinohe_GV。特に、初めての起業や若手の起業家の方への具体的なアドバイスを実施している。1月28日には、同社GPで東南アジア投資責任者の鈴木隆宏氏によるメンタリングデーも開催予定。くわしくはこちらから。

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「チャレンジを楽しめる人で溢れる世界にしたい」ーーU25「起業・新基準」/b-monster代表、塚田さん

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本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会を定期的に開催中 20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のPlott代表取締役、奥野翔太さんに続いては、話題のボクシング・フィットネススタジオ「b-monster」創業者で代表取締役社長の塚田眞琴さんに登場いただきます…

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2020年1月から共同で代表取締役に就任した塚田眞琴さん

本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会を定期的に開催中

20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のPlott代表取締役、奥野翔太さんに続いては、話題のボクシング・フィットネススタジオ「b-monster」創業者で代表取締役社長の塚田眞琴さんに登場いただきます。

今回もUpstart Ventures、上杉修平さんにインタビュワーとして参加してもらい、お話をうかがってきました(太字の質問は全て上杉氏。執筆・編集:平野武士)。

塚田眞琴さん:1994年生まれ。駒澤大学在学中、ニューヨーク旅行で暗闇ボクシングに出会い帰りのフライトで事業計画を立て、帰国後に事業化。取締役副社長として姉の美樹さんと共にフィットネスジム「b-monster」を創業。2019年12月現在、海外含め13店舗を運営中

もう数多くのインタビュー記事でお話されてますが、改めて2016年2月にニューヨーク旅行でアイデア着想、3月に会社設立して6月に銀座店オープン。それから3年、今はどれぐらいに拡大したんですか?

塚田:13店舗あって、合計で180人程度の社員がおり、ほとんどが正社員です。本社はうち15人程度です。

爆速ですね(笑。

塚田:先に体が動いていました。ニューヨークに行ったのが2月で、3月には会社を設立して、それと同時に大学を辞めました。カッコ良くて、通うことがステータスになるようなジムを作りたいという認識が姉との間で共有されていたので、行動は早かったかなと思います。とにかく早く形にして多くの人に体験して欲しいというのと、フィットネスなので夏前には絶対オープンしたいという気持ちがありました。

にしても、ジムって3カ月でできるんですね。

塚田:色んな企業に断られました(笑。法人の登記には1カ月くらいかかっていたので、会社が設立される前から店舗オープンに向けて急ピッチで動いていました。それこそ、場所が決まっていない中で求人を出して、求人媒体には銀座になると思います、みたいに書いていました(笑。

2億円ほどの最初の資金は経営者のご両親が工面してくれた、というお話ですが

塚田:最初、いくらかかるのか分からない状態でこういう事業を作ろうと思っているので、応援してもらえるかという話を両親にしたところ、かなり乗り気で応援すると言ってもらったので、その後ちゃんとした事業計画書を作って出資してもらいました。両親は元々、私たちを経営者にしたいと考えていたので、待ってましたみたいな感じもあって。姉が元々大学生の時にやっていたマッチング系のビジネスには厳しい評価だったのですが、この事業に関しては両親も評価してくれていました。

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長く経営されており勘が働いたとかあったんでしょうね。ところで資金の使いどころで注目していたのが初期の踏み込みなんです。あれはどういう意図があったのですか

塚田:これは父の教えが大きいです。初期ゆっくり時間をかけてお金をかけずにプロモーションをしていくというやり方もあるが、初期にガッツリ会員を集めるというイメージを持てば、差分の資金は最初のプロモーションに使えるよね、ていう。それを聞いていたので、今回は特に月額会員制のモデルなので初動に成功すれば安定するだろうな、という考えで記者会見を打ったりしていました。

ジムというビジネスモデルや会員獲得までのリードタイムのことを考えると、確かに最初の踏み込みは理にかなってますね。けど、相当自信がないと怖そうです

塚田:基本的には自分たちの感覚を信じて実行しています。自分たちが良いと思ったところは反映させるし、良くないと思ったところは改善していきました。例えばニューヨークのジムはロッカーが少なく、シャワーも1つしかなかったのでそこは快適に使って頂けるよう改善しています 。その他のところでも、どれだけ気軽に通ってもらえるかは常に意識していますね。

それにしても、事業仮説がしっかりしていないと、そこまで自信を持てないと思います

塚田:創業する前から、日本でのボクシングでダイエットしたいという需要は高まっているように感じていました。ただ既存のボクシングジムは女性がダイエット目的で通うにはハードルが高い。例えば鏡に向かって型を練習する恥ずかしさや、衛生面にあまり気を使っていないなど、です。

こういった課題をNYにある暗闇ボクシングはクリアしていたんですね

塚田:加えて立てた仮説は「ジムに通う煩わしさ」です。日本はアメリカよりフィットネスに対する煩わしさのような感覚が強いため、シャワールームやアメニティに気を使い、レンタル用品を充実させ、運動靴も不要にするなどなるべく持ち物を減らす工夫をしたんです。

なるほど、確かにありますね

塚田:経緯は自分が実際にダイエットでボクシングを始めようと思い、近所のボクシングジムを体験して感じたことをベースに考えました。事業を始めてから感じたギャップは、ダイエット目的ではなくストレス発散で通われる方が思ったよりも多かったことです。

ところで事業運営の面で、ご両親の影響が大きいとは思いますが、それ以外に事業のメンター的な存在は

塚田:全体を通してのメンターのような人はおらず、やはり基本的に自分たちの感覚を信じています。ただ、各論の部分は外部の人を入れていました。例えばホームページとかは「ホームページ 制作 かっこいい」とGoogleで調べて出てきた人に連絡して作ってもらいました(笑。本当にカッコよく作って頂いたので感謝しています。

逆に新鮮です(笑。

塚田:私も姉も、経営のスタイルはほとんど両親を参考にしたものでした。ただ最近は、性格も経営スタイルも違うと感じてきており、もっと視野を広く持っていろいろな経営スタイルを吸収して、その上で自分に合ったものを取り入れていきたいと思うようになってきています。なので、最近はビジネス書を読んだり、セミナーに行ったり、経営者の会に足を運ぶようになったのはあるかもしれません。

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少し話を変えて。今後どういう会社にしたい、というイメージはありますか

塚田:b-monsterのvisionでもあるのですが、自分に自信を持って前向きに色んなチャレンジを楽しめる人で溢れる世界にしたいという思いがあります。フィットネスには身体だけじゃなくて心も変えることができる力があると思っているからです。

多くの方がダイエットに挫折して自分を卑下した経験があると思いますが、自分も何度もダイエットに失敗し同じような気持ちになったことがあります。失敗するとつい自分を責めてしまいますが、そもそもつらい運動は続かないので、b-monsterではつらいけど楽しいエンターテイメントを作り出すことに注力しています。そうすることで、ハードなワークアウトを乗り越えられ、身体が変わり精神面も変わることで、自己肯定感を高めてもらえたらと考えています。

具体的に目指したい企業像とかありますか

塚田:ブランディング面においては、Appleやスターバックスなど、多くの人が使っても、ブランドが確立されている会社に憧れを持っています。

なるほど。単なる暗闇ボクシング、というアイデアからSTREAM MONSTER、プロジェクションマッピング、スタジオ照明やPOLAR、EMSスーツの導入など、打ち手の数が半端ないですよね。塚田さん自身はどこに今注力しているのですか

塚田:組織の構築の部分と、新規企画の部分がほとんどです。なんでも新しいものをやっていきたいし、b-monsterにくると新しいものに触れられるよねっていう価値提供をしたいと考えているのが大きいかもしれません。飽きてしまう前に、どんどん新しいことを導入していきたいですし。

また、私も姉も新しいものを調べるのが好きで、探して面白いものを見つけたらまずはすぐに導入してみて、やってダメだったら止めれば良いので、トライアンドエラーでやってみようと考えています。

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じゃあ次の展開も考えてる

塚田:今後は、ライブ配信事業に力を入れていきたいと思っています。もう1つは、まだ具体化はしていないのですが、別のジムを作る構想はあります。

ただ、ここまで短期で事業自体も組織自体もグロースすると、組織のバランスは崩れたりしませんか

塚田:10人から200人までの成長があっという間だったので、10人の時と同じ経営を80人近くなった時も変わらずしてしまっていて、問題が多発したことはあります。当時は、全社員から私たち2人に細かい連絡がきてパンクしてしまうこともありました。

難しい問題ですね

塚田:はい、今後の組織について考えるために、外部の研修を導入したり、店長の教育を再構築したりしました。今では、ちゃんと店長を通して、マネージャーを通してから自分たちのところに意見が上がってくるようにコミュニケーションラインを整えています。

あと、パフォーマーの育成に関しては今も試行錯誤を繰り返しています。一定基準まで育成した後、そこからさらに伸びるのはどのようにすれば良いのかは結構考えてます。今だと、毎年順番にニューヨークなどの海外研修に行ってもらったり、指定映画を設定して、エンターテイメントに触れる機会を作っています。

最後に、最近はスタートアップ・コミュニティにも近い場所で活動されていますが、こういった起業のエコシステムで期待したいことってありますか

塚田:創業以来、横や上下のつながりを持たずにやってきたのですが、今年ForbesでU30の賞を頂いた時に同じく受賞された方々とお話をしてとても良い影響を受けましたし、モチベーションに繋がっています。

また、起業家や起業家志望を繋げるコミュニティはたくさんあるのですが、起業前にその他のCxOと繋がれる場所が少ないように感じます。自分は姉と一緒に起業したので、特に困らなかったのですが、起業家と同じくらい立ち上げメンバーは大事だと思うので、同じビジョンを持った人同士が繋がれる環境があったらいいかなと思います。

大変楽しい時間でした。ありがとうございます!

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在タイ日本大使館、日系企業と現地スタートアップの協業支援イベント「BLEND」のデモデイ開催——トラベルテック特化の第2期に16社が集結

本稿は、バンコクを拠点に活動するイノベーションコンサルタントの宮田直栄氏による寄稿。 宮田氏は、旅行者が残った釣り銭を匿名寄付できるサービス「Coin⇆Back」をバンコクで共同設立。ローカルオンデマンドサービス「ServisHero」のタイにおけるオペレーションや人材獲得を統括した。現在は、世界を目指すスタートアップを後押しするプログラム「JETRO Innovation Program(JIP…

宮田直栄氏

本稿は、バンコクを拠点に活動するイノベーションコンサルタントの宮田直栄氏による寄稿。

宮田氏は、旅行者が残った釣り銭を匿名寄付できるサービス「Coin⇆Back」をバンコクで共同設立。ローカルオンデマンドサービス「ServisHero」のタイにおけるオペレーションや人材獲得を統括した。現在は、世界を目指すスタートアップを後押しするプログラム「JETRO Innovation Program(JIP)」のタイにおけるメンターを務める。

チュラロンコン大学サシン経営大学院で MBA を取得。


在タイ日本大使館は23日、Digital Economy Promotion Agency(DEPA)とタイ国政府観光庁(TAT)の協力を得て、在タイ大手日系企業、タイ大手企業、タイのスタートアップ企業による協業を支援するためのイベント「BLEND」の第2期デモデイを開催した。

本イベントは、日本とタイの革新的スタートアップと両国の企業の戦略的提携を促す「Open Innovation Columbus(OIC)」という活動の一部であり、今年10月に開催された第1期の電子・機械製造部門(FactoryTech、LogiTech、HRTech)に続いて2回目の開催。今回は旅行産業(TravelTech) を対象にしている。

周知の通り、タイへの旅行客は年々右肩上がりに上昇しており、世界の人気観光地ランキングでは常に上位に位置し、海外旅行収入額ランキングでもアジアで1位だ。多くの企業がこのチャンスをビジネスに活かそうと集まっているが、近年では特に Airbnb や Grab などのシェアリングサービスの普及が消費者の購買行動を大きく変えたと言えるだろう。今後、日本の企業がインバウンドとアウトバウンド市場を制するには、現地市場への深い理解に基づくオープンイノベーションが必要不可欠となる。

こうした環境を背景に、現地の市場や消費者ニーズを熟知している現地トラベル系スタートアップと資金、人材、技術的蓄積、営業ネットワーク、顧客データなどの多大なるリソースを保有する観光系大手日系企業の戦略的提携を促すことで、オープンイノベーションを起こそうというのが OIC の狙いである。

今回のイベントには、観光系大手日系企業との協業に関心を持つタイのトラベル系スタートアップ16社が集まり、在タイ日系企業とタイ企業幹部関係者約140名を前に自社サービスの PR を目的としたピッチを行った。日本から JAL、ANA、JTB、HIS のほか、タイ航空やバンコクなどに拠点を置くAgoda(2003年にタイのプーケットで設立、2007年にアメリカの Booking.com が買収)が参加した。

開会挨拶では、着任後初の参加となる在タイ日本国大使館の梨田和也大使より OIC の目的や意図、タイと日本にとって今後オープンイノベーションがいかに重要となるかが語られた。

イベントには、DEPA の Executive Vice President である Chinawut Chinaprayoon 氏、GDS 大手である Amadeus の Community Manager であるStephanie Strunk 氏、TakeMeTour 創業者で COO とCMO を務めるNoppon Anukunwithaya 氏を招き、政府、旅行 IT ソリューション、スタートアップの3つの観点から、今後のトレンドや課題などついてのパネルディスカッションが行われた。

以下、参加したタイのスタートアップ企業と発表内容を紹介する(紹介順はピッチ登壇順)。タイのトラベル系スタートアップが現地観光系大手日系企業と出会える機会は限られており、今回のイベントが今後の協業につながることを期待したい。

<General / Specialized Booking & Search>

Deetrip

CEO Christophe Secher 氏

Deetrip は、タイ人向けホテルサービス1日利用券予約サイトである。4つ星や5つ星ホテルは設備が整っているのにもかかわらず、利用率の低い施設(ジム、スパ、プール、レッスンなど)が多数ある。これらの施設を1日利用券として販売し、ホテルに新たな収益源を提供している。タイ国内で既に250以上のホテルと提携しており、現在は資金調達中。競合の Resort Pass(アメリカ)は1,170万米ドルの資金調達に成功している

Socialgiver

共同創業者 Aliza Napartivaumnuay 氏

Socialgiver は、観光やライフスタイルを通じて社会貢献したい観光客と CSR(企業の社会的責任)活動に取り組む企業を繋ぐオンラインサービスである。タイでは毎年全体の約半数に上る約45%(約4兆円)ものサービスが利用されないままとなっている。これらのサービスには、ホテルの空き部屋や飲食店などの空席、売れ残りチケットなどが含まれ、当日売れなければ価値を失い、提供する企業にとっては機会損失となる。

そこで企業は CSR 活動の一環として、これらの商品を Socialgiver のプラットフォームで売り出すことにより新しい価値を生み出し、消費者は安い価格で購入できる。CSR 活動を目的として、企業は興味のある NGO にその売上を募金できる仕組みだ。消費者・企業・NGO 間の WIN-WIN-WIN を目指す。現在300を超える企業がパートナーとなっており、日系企業との協業でさらなる拡大に取り組む。

Golfdigg

CEO Thera Siricharoen 氏

Golfdigg は、ゴルフ場予約アプリである。150コース以上のゴルフ場から、条件にあったゴルフ場の検索や空き状況が確認でき、予約は6ヶ月前〜当日まで可能。タイには日本人駐在員3万人を含む、30万人もの日本人インバウンドゴルフ客がいる。予約時の言語問題解決のため、タイ、英、日、韓の4ヶ国語に対応言語を増やし、タイに加えベトナム、台湾、マレーシアにも進出する予定。

MuayThaiOK

CEO Thanont Manorotkul 氏

MuayThaiOK は、ムエタイ教室やムエタイ観戦チケットの販売サイトである。タイの国技であるムエタイは世界中でも人気があり、グローバルの市場規模は3,000億円に上るといわれている。しかし、言語サポートやマーケティング力が弱いため、タイへの観光需要を取り込めていない。そこで見込み顧客を獲得するため、ムエタイのマーケティング戦略と実行に注力する。

世界10都市のジムやタイの地方のジムとパートナーを組み、集客面のサポートを行っている。MuayThaiOK のサイトでは、ムエタイ観戦チケットやプロから指導を受けられるグループレッスン、パーソナルレッスンの購入を行うことができる。今後資金調達を経て、ムエタイグッズの販売やスポーツツーリズムの拡大に取り組む。

<Home Sharing & Rentals>

FlexStay

CEO Mario Peng 氏

FlexStay は、中期滞在民泊予約サイトである。タイ国内にも日本同様にホテル関連の法律が設備されており、許可を持たない者の30日以下の賃貸は違法になる。しかし、長期賃貸となると1年以上の契約となるのが一般的。そこで同社では、1ヶ月〜12ヶ月の中期滞在を目的とした旅行者、学生、インターン生、フリーランサー、高齢者に着目した。3D の間取り図と標準化された部屋の詳細情報が提供されているため、非常に分かりやすい。今後借家人のマネージメント・オペレーターとしても取り組む。

<Car & Ride Sharing / Transit Navigation>

Drivemate

CEO Silratth Sukwatthanasiri 氏

Drivemate は、ピアツーピア(P2P)のカーシェアリングサービスである。タイの新車はメーカー国価格と比べて1.5〜3倍と高額であり、その上多くの車は使用されていない時間が1日のうちの95%を占めるとのこと。Drivemateでは、アプリで自分の周辺にある最適な車の予約を数分で完了できる。このサービスには、保険やメンテナンスなども含まれている。今後資金調達を経て、空港乗捨てサービスやサブスクリプションサービスの導入をしていく予定。交通渋滞に苦しむ東南アジアにとってカーシェアリングは切り札となるか。

Tuk Tuk Hop

CEO Chayakarn Sukruay 氏

Tuk Tuk Hop は、オンデマンドのトゥクトゥク専用配車アプリである。トゥクトゥクは観光客に人気が高く、観光エリアでは主要交通機関のひとつになっている。アプリの利用で外国人利用者は目的地や値段交渉など通訳が必要な場面でのコミュニケーションの難しさも解消。アプリを使うことで目的地や値段交渉の必要がなくなる。既にホテルや旅行代理店と協業しており、今後1日乗り放題サービス(399バーツ〜、1,450円以上相当)や自社の電気トゥクトゥクを展開する予定。

Viabus

CEO Intouch Marsvongpragorn 氏

Viabus は、リアルタイム公共交通機関運行状況アプリである。発展途上国の公共交通機関は複雑な上、時間通りに運行されてない場合が多い。そこで同社は、リアルタイムでの交通機関状況や渋滞状況、路線情報、ルート案内などが一目でわかるアプリを開発。アプリには、電車、バス、商用車、ミニバス、ボート、バン、ローカルバスなどの公共交通機関の情報が全て掲載されている。既にユーザ数は100万人を突破しており、現在はタイ人だけでなく旅行客ユーザの獲得にも注力している。

<Personalized Travel>

SNEAK

CEO Thunyathorn Penbumrungvong 氏

SNEAK は、ビジュアル検索旅行計画サイトである。旅行の計画には時間や手間がかる。また最近では、Instagram や Pinterest 等の画像コンテンツを元に旅行プランを作成する若い層も増えてきている。同社では、画像をベースに自分の好み通りに目的地が選択でき、ルート案内や旅行計画、チケットの購入までモバイルサイト内で簡単に完結できるサービスを開発した。来年はアプリ開発、そして2020年東京オリンピックに向けて、パートナーシップ・顧客獲得に注力していく。

<Hotel Management>

Newlegacy Hospitality

CEO 松田励氏

Newlegacy Hospitality は、自社ブランド「Kokotel」を展開するホテルオペレータである。小規模ホテルのバックオフィス業務等を集約することで、質の高いサービスを安定した低いコストで提供している。コンセプトは「家族や友達と共に、安価で快適な宿泊」であり、広いロビースペースやカフェ、子ども向けのスペースを配置している。現在約15店舗のホテルを運営しており、さらなる拡大を目指す。

HandiGo

CEO Sakdidet Poolsawad 氏

HandiGo は、ホスピタリティ向けコンシェルジュアプリである。外国人観光客を受け入れる際に生じる言語の問題は多く、ホテル側の受け入れ体制は十分でないことがほとんどだ。同社では、そのようなホテル側のカスタマーエンゲージメントの課題解決をするため、ホテルの情報提供、ルームサービス、 広告、ライブチャットでのカスタマーサービスなどを多言語表示するサブスクリプションサービスを提供している。今後はホテルのみならず、アクティビティや体験ツアー領域にもサービス展開を予定している。

<Activities, Touring & Info>

TakeMeTour

COO & CMO Noppon Anukunwithaya 氏

TakeMeTour は、ピアーツーピア(P2P)のローカル体験サイトである。地元との共存共栄を目的とし、東南アジアのローカルアクティビティが体験できる。すでに世界65都市で25,000もの体験を提供している。地元ツアー提供者のバックグラウンド調査をしっかり行うことで、顧客満足度98%を獲得。現在タイ国政府観光庁と協業しており、今後「Local Table」として地元限定グルメサービスなどに事業領域を広げていく。

Local Alike

シニアマーケティングディレクター Jakrapol Baesuvan 氏

Localalike は、地域活性化に特化したローカル体験サイトである。同社では、貧困に悩む地域問題の解決を目的に、これまで7年間で培ったテクノロジーやマーケティング、ビジネス経験やノウハウを活かし、地域自らがローカル体験やアクティビティを生み出すサービスを提供している。その地域ならではの自然や歴史・文化、食育などを取り入れたユニークな体験プランが特徴。すでに5,400万バーツ(約1億9,600万円)の収益を上げており、タイ国内の42地域で貢献している。引き続き、サステイナブルなコミュニティビルダーとして政府や企業と協業しながら市場拡大に向け展開する。

Tourkrub

CEO Jakapan Leeathiwat 氏

TourKrub は、タイ発のアウトバウンド向けオンライントラベルエージェンシー(OTA)である。24時間いつでも膨大な数の商品(民泊、空港券、ツアーパッケージなど)を閲覧、購入できる。現在シリーズ B 資金調達中で、今後は東南アジア全域にサービス拡大を予定。

Infinite FREAK Lab

Active Principle Investigator の Sornchai Chatwiriyachai 氏

Infinite FREAK Lab は、最先端ARを活用した観光・歴史コンテンツプロバイダである。空間と CG などで作られたオリジナルキャラクターを融合させた新たなガイドサービスを提供している。ガイド不足や通訳不足の解決策として、地域活発化に貢献している。その他にも美術館やエンターテイメント分野に進出する予定で、現在ビジョンを共有できるパートナー募集中。

<Luggage Delivery>

AIRPORTELs

CEO Anan Prasertrungruang 氏

AIRPORTELs は、タイ発の荷物預かり、当日デリバリサービスである。荷物を託し、タイに到着後、初日から手ぶらで仕事や観光を楽しむことができる。ホテルや空港への配送サービスは荷物1個につき199バーツ〜(700円以上相当)、荷物預かりサービスは1日100バーツ(約360円)と非常に安価。どの荷物もリアルタイムで荷物の位置確認ができる上、10万バーツ(約36万4,000円)の保険が適用されているのも安心である。スワンナプーム国際空港とドンムアン空港はもちろんのこと、その他6ヶ所のショッピングモールでサービスを提供している。アジア展開のため、現在プレシリーズ A 調達に向けて準備中。

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月間1,000万人利用のグローバルサービス作りでやった、“たったひとつのこと”

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HiNativeのウェブMAUが1,000万人を超えました。 このサービスは、全世界のネイティブスピーカーが言語や文化に関する質問をして、お互いに教え合うQ&Aサービスです。一貫して本気でグローバルなサービスを目指しており、登録ユーザーの97%が日本以外からの登録です。結論から言うと、そこまで複雑なことはやっていません。 グローバルにスケールすることだけをやる。 本当にこれだけを追求した結…

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HiNativeのウェブMAUが1,000万人を超えました。

このサービスは、全世界のネイティブスピーカーが言語や文化に関する質問をして、お互いに教え合うQ&Aサービスです。一貫して本気でグローバルなサービスを目指しており、登録ユーザーの97%が日本以外からの登録です。結論から言うと、そこまで複雑なことはやっていません。

グローバルにスケールすることだけをやる。

本当にこれだけを追求した結果、2014年11月の公開から約5年で1,000万人の大台に到達しました。せっかくのタイミングでもあるので、本稿ではこれまでの振り返りも兼ねて、私たちが辿った道のりをみなさんに共有してみようと思います。

ここに至るまで

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Lang-8はソーシャル語学学習プラットフォームとしてスタートした

当社は創業が2007年でして、昨今増えてきた「スタートアップ」という方々の中でも古株になってきました。最初は社名でもあるLang-8というサービスを京都でやっていたのですが(2007年から2012年)その時は僕入れて2人でした。当時の課題は実行力で、やりたいことがあって実装しようにも前に進まない状態です。

さらに唯一のエンジニアが抜けて、やっぱり自分で実装できないと前に進まないなと感じ、自分でプログラミングを学びました。その間もサービスは動いているので、例えるなら飛行機の中で操縦席に誰もいないけど、墜落する前にマニュアルを読んで操縦できるようにならないといけない、という結構アレな状態でした。

このタイミングで勉強してなかったら、今はなかったなと思います。勉強の時間を取ることを後押しして下さった当時の(もちろん今もいますが)株主の方々に感謝です。

僕は23歳の起業です。5年ほど経った2012年の年末に一人で東京に拠点を移し、気付いたら20代が終わっていました。これは根本的にやり方変えないとあっという間に人生が終わってしまうなと思ったので、レバレッジかけてスピードを上げようとして、初めて、サイバーエージェント・キャピタル(※当時はサイバーエージェント・ベンチャーズ)さんから資金調達をすることになります。

ここからがいわゆる、本格的なスタートアップとしての事業開始です。

ただ、当時をご存知の方であれば分かると思いますが、2007年からの数年間、資金調達環境は今と全く異なっていて、3,000万円で大ニュース、1億円の調達など意味不明な感じです。そういう時代背景もあってか、事業投資の踏み込みも恐る恐るになってしまい、数千万を使い切るのに約3年かけてしまったのは今でも反省してます。

HiNativeが目指す未来

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それぞれの母国語を交えたQ&Aが特徴

HiNativeは当社が運営する2つ目のサービスです。

どういうサービスかというと、UberやAirbnbのようなプラットフォームだと思っています。Uberは乗客と運転手をマッチングし、Airbnbが宿泊客と部屋主をマッチングしているように、HiNativeは世界中のネイティブスピーカーをマッチングしています。もちろん、トランザクション毎に課金が発生するわけではないので、ビジネスモデルは全然違います。

質問を通して地球上のどこかの誰かがマッチングし、外国語や海外の文化等に関するあらゆる疑問を質問したり、検索したりすることで解決する場を目指しています。

将来的には例えば「法律に詳しいフランス語ネイティブスピーカー」など、ただ単にネイティブスピーカーに質問できるだけでなく、様々な専門知識やバックグラウンドの方に答えてもらえるようにすることで、より精度の高い回答が期待できると思います。こういったこともいうのもプラットフォームの大きな価値の一つです。

また、こうやって溜まったデータを活かして自動翻訳、発音の自動添削、音声の自動訂正などもやっていきたいと思っています。話者が英語ほど多くない言語でも沢山データを溜められるのは強みです。

どこまで拡大するのか

 

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グローバルで利用されるプログラミングQ&A「StackOverFlow」

プログラミングのQ&Aサービスに「StackOverFlow」があります。現在、このサービスは月間のアクティブユーザーベースで1億人が利用しているそうです。プログラミングと言語・文化はテーマが異なりますが、どちらの範囲が広いか、という視点で考えれば十分これを超える可能性があると考えてます。

これも日本語だけで考えれば無理です。

さらに言えば、英語だけではなく113言語の情報を全世界の方々に提供し、住んでいる場所や環境に関係なく世界中どこにいても異なる語学や文化を学習できる環境づくりに貢献しなければ達成はできないと考えています。

冒頭でもお伝えしたとおり、とにかく全てにおいて、グローバルにスケールすることだけを考えてやってきました。例えば売上が欲しいからといって、日本だけでしか通用しない営業などは「やらないリストに入れる」という具合です。

日本は沢山ある国のうちの1つ、というスタンスも意識しました。

例えば社内で来年の東京オリンピックを、マーケティング関係でことさら気にしている人はいません。理由は日本以外でも4年に1回あるからです。これらは会社のバリューにも書いてあることで、結構浸透しています。大変なことも多いですがこれを徹底したからこそ、スケールしつつあると感じています。

“世界中のネイティブスピーカーの知と経験の共有”

これが会社のビジョンです。

こうやって全世界の人たちに利用してもらえるようになると、さらにスケールさせたいという気持ちが湧いてきます。まだまだ社員数14人ほどの小さな会社ですが、やっとグローバルを作れそうな手応えが出てきました。

ちなみに昨年は大型調達したというプレッシャーから、かなり高速でPDCAを回した結果、数字の成長と引き換えに、組織がぐちゃぐちゃになってしまいました。今はメンバーの協力もあって、そこから回復し、創業以来もっともコンディションがよいです。本当に優秀且つ人柄の良いメンバーには心から感謝しています。

本当にグローバルで勝ち抜く。

貫くべきことはシンプルです。一方、それを支えるためにすべきことは本当に多いと思います。12年も経営をやっていますが、まだまだ学ぶべきことは多いです。私のこの振り返りがなにかの参考になれば幸いです。

本稿はネイティブスピーカーQ&A「HiNative」運営するLang-8の代表取締役、喜洋洋氏によるもの。Twitterアカウントは@yang8。彼らの事業や採用に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい

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意外にデジタル化が進む「倉庫事業」について語っておこう

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今年を振り返ると人手不足に端を発した効率化、デジタルトランスフォーメーション(DX)の話題が増えたなと思います。言わずもがな労働力不足の傾向はこれからも続き、2030年には約7000万人の労働力需要に対して650万人の不足が発生する、という調査報告も出ています。 私たちが事業を手掛ける物流業界もまさにその対象です。物流は大きく分けて「陸送」と「倉庫事業」に分かれるのですが、ECの成長で話題になった…

men going around a warehouse
Photo by Alexander Isreb on Pexels.com

今年を振り返ると人手不足に端を発した効率化、デジタルトランスフォーメーション(DX)の話題が増えたなと思います。言わずもがな労働力不足の傾向はこれからも続き、2030年には約7000万人の労働力需要に対して650万人の不足が発生する、という調査報告も出ています。

私たちが事業を手掛ける物流業界もまさにその対象です。物流は大きく分けて「陸送」と「倉庫事業」に分かれるのですが、ECの成長で話題になった「再配達問題」などは記憶に新しいかと思います。

同人に倉庫で発生している人手不足も顕著です。例えばフリマアプリなどの個人間売買が拡大したことで理解しやすいと思いますが、流通する荷物のサイズが小さくなっているのですね。結果、倉庫作業が煩雑化することで人手に対する負担が増えている、といった課題が発生しているのです。

ただ、このように書くと「倉庫ってなんだかアナログで非効率そう」と思われるかもしれませんが、実はこの人手不足の問題はかねてからの懸念材料で、Amazonによる「倉庫のロボット化」を筆頭に、効率化は着々と進んでいる分野でもあります。

私たちは個人事業主から中小企業を対象にしたクラウド型の在庫管理ソフト「ロジクラ」を通じてこれらの課題解決に取り組むスタートアップです。本稿では、どこにまだ非効率があるのか、少し分解して解説してみたいと思います。

実は着々とロボット化が進む倉庫

なかなかマニアックな図ですが、これが倉庫事業を俯瞰した業務フローになります。この中でデジタライゼーションが進んでいる領域とそうでない部分があります。

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例えば、倉庫に関わる仕事内容で「倉庫内の人が直接作業する領域」(ピッキング作業や検品作業など)に関しては、これまでにも人手不足が囁かれていたので改善が進んできています。分かりやすいのがAmazonの倉庫ロボです。今年春に、国内でもその全貌が報道陣に向けて公開されていました。

それに対して「倉庫内の人が直接作業しない領域」、例えば受注して倉庫に出荷の指示を送ったり、在庫を確認したりするといった事務作業に関しては、まだまだ改善が進んでいないかもしれません。

つまり、図で言うところの「倉庫内の人が直接作業する領域」を水平的改善とすれば、こちらはマテハン機器(運搬や荷役作業を助ける機器)によって改善が随分と進んだわけです。一方、「倉庫内の人が直接作業しない」垂直的改善はまだ余地が残っています。私自身、倉庫での実務を通じてこの点の課題を感じてきた一人でもあります(なので創業したわけですが)。

なぜ進まない倉庫のソフトウェア化

ではなぜ倉庫のソフトウェア化が進まないのでしょうか。

冒頭でも記述した通り、近年はECの成長が著しく、経済産業省の調査では2018年の国内ECは9.3兆円、小売全体の6.3%を占めるようになりました。注目すべきは成長率で、前年比8%強と勢いが止まりません。

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電子商取引に関する市場調査・経済産業省、平成30年調査より

当然ですが、この中には個人間売買や小規模な事業者も含まれます。フリマアプリやBASE・STORES.jpといったコマースプラットフォームの拡大は、データと取引情報の「細分化」生み出します。つまり、多種多様な事業者に倉庫側が対応しなければならなくなったのです。

さて、これら大量に持ち込まれる荷物のデータ、どのようにして管理していると思いますか?

人なんです。受発注データをアウトプットし変換、倉庫システムへインプットするのです。

というのも、これらECサイトや受注データをとりまとめるソフトウェアは、年々増加し機能も改善されていますが、やはり基幹システムや受発注システム同士の連携はハードルが高く、ここが一つの課題になっています。

さて、いかがだったでしょうか。

業界バーティカルでの効率化は今、まさにDXというキーワードで話題になっています。その一方、「人手不足」と一言で括っても、どこに非効率があるかによって必要な人材や解決方法は変わってきます。正しいポイントを見つけて取り組むことが肝要なのではないでしょうか。

<参考情報>

本稿は個人事業主から中小企業を対象にしたクラウド型の在庫管理ソフト「ロジクラ」を提供するニューレボ代表取締役、長浜佑樹氏(@yuki_nagahama)によるもの。彼らの事業や採用に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい

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新宿のたこ焼き屋がFAX発注をデジタル化できたワケ、344兆円市場の“商機”とは

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「俺だけど、いつものアレ、よろしくね」 これはとある都内の食品卸会社の留守番電話に録音されていた飲食店からの発注内容です。 その会社では、受注担当者が、声を聞けばどのお店からの注文で、その店の”アレ”は何の商品か分かるといいます。実はこのやり取り、特定の会社だけでなく多くの会社で起きている「受発注のよくある光景」なんです。 私たちはこういった飲食店を中心に、FAXをスマホやタブレットに置き換える受…

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FAX発注から脱却した新宿のたこ焼き屋さん(写真:ハイドアウトクラブ)

「俺だけど、いつものアレ、よろしくね」

これはとある都内の食品卸会社の留守番電話に録音されていた飲食店からの発注内容です。

その会社では、受注担当者が、声を聞けばどのお店からの注文で、その店の”アレ”は何の商品か分かるといいます。実はこのやり取り、特定の会社だけでなく多くの会社で起きている「受発注のよくある光景」なんです。

私たちはこういった飲食店を中心に、FAXをスマホやタブレットに置き換える受発注サービス「CONNECT」を運営していますが、急激に利用者の方の数が増えています。本稿では、アナログな現場で実際に目の当たりにした「小さなデジタルトランスフォーメーション」の実態について共有したいと思います。

B2B取引は、デジタル化が進んでいない

まず、前提としてスマートフォンの普及やテクノロジーの発展によりあらゆるものがデジタル化、効率化されている現代でも、B2B取引はいまだにアナログが主流です。

経済産業省が2019年5月に公開した「我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると、B2B取引で電子化された市場規模は約344兆(前年比8.1%増)だそうです。一方で、この市場規模は全体のおよそ3割にすぎず、いまだに国内B2B取引の大半の取引がアナログで行われていることになります。冒頭の発注シーンのように、口頭での発注や、手書きのFAX発注がまだまだ主流を占めているのです。

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引用元)『平成 30 年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備 (電子商取引に関する市場調査)』のBtoB-EC 市場規模の推移

ではなぜデジタル化が進まないのでしょうか?その一つの鍵に「受発注」というサプライチェーン独特の問題が挙げられます。

たこ焼き屋がストレスを抱えていたFAX発注の実情

当然ですが、現場の店主さんたちはFAX発注なんて早くやめたいのです。

新宿にある24時間営業のたこ焼き屋さんでは、複数の取引先に対してすべてFAXで発注をしていました。毎回、手書きでFAX送信をした後は、発注書をファイルで管理していたためファイル保管場所にも一苦労ですし、何よりFAX機を置くだけで物理的なスペースも割かれてしまいます。発注の際には相手が読み間違えないように字を綺麗に書く必要があったり、お店にしかFAXがないので残って発注する必要があったりと、地味だけど積み重なると辛いストレスポイントが多数です。

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FAX発注から脱却した新宿のたこ焼き屋さん(写真:ハイドアウトクラブ)

また間違いが起こると危ないので、発注業務は店長やベテランスタッフに集中してしまいます。一方、このたこ焼き屋の店長さんはたまたまインスタグラムに流れていた私たちのサービス情報を見て、FAX発注をスマートフォンに置き換えることができることを知って、すぐに切り替える決定をしたそうです。

よくある「こういった店舗ではデジタル機器を使えない」「リテラシーに問題がある」といったイメージは都市伝説で、実は問題はそれとは違う場所にあったのです。

進む受注担当者の職人化

では、インスタを普段からチェックしているような人たちがなぜ、デジタル化を進めないのでしょうか?

当然ですが、注文をするということは「受注側」も存在しています。

留守電やFAXなどのアナログな手段で注文を受ける、卸会社やメーカーなどの受注側にも苦悩はあります。毎日、何百通、何千通、何万通といったFAXによる受信をしており、この処理にコストをかけています。冒頭のように、受注を担当している方が職人化してきている会社も存在し、「いつものアレよろしく」といった留守番電話だけで、何をどの店に送れば良いかわかる担当者もいるため、どんどん属人化されている業務でもあります。

つまり、簡単にやめられないのです。

外から眺めると「早く効率化すればよいのに」と感じていても、急激な環境変化はハレーションの原因になります。しかし、職人的な方が退職されたりするとリスクですから、経営者としてはFAXや電話などでの受注を脱したいという気持ちも強いわけです。

まさにサプライチェーンの「あちら側とこちら側」でタイミングを図る必要性があり、それがデジタル化を阻む要因となっていたわけです。

アナログ業務をデジタル化するための鍵とは?

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FAX発注から脱却した新宿のたこ焼き屋さん(写真:ハイドアウトクラブ)

この裏で面白いお話があります。実は、こういった店舗さんの多くはデジタル化に取り組んだ形跡があるのです。昔ながらの受発注システムの存在です。しかし前述の通り取引は当然、相手がいることなので受発注のやり方は双方にとって良い仕組みであることが重要です。

いきなり「デジタルに完全に変更します」ではなく、アナログ業務で今、活躍している人たちに寄り添いながらデジタルシフトを推進していく必要があるのです。例えば私たちのCONNECTでは、発注側はスマートフォンで統一したとしても、受注側はオンラインシステムでも、従来のFAXでも両方併用できるようにしてあります。

定性的な表現ですが、世の中のアナログ前提の業務をデジタルトランスフォーメーションされていくためには、この「やさしさ」が何より重要な鍵だと考えています。ここでいうやさしさとは、使いやすさであったり、導入のしやすさ、取引先への案内のしやすさなどを含んでいます。この鍵こそ、344兆円の市場規模となったB2B-ECの市場の、更なる成長には欠かせない要素となっていくはずです。

<参考情報>

本稿はFAXをスマホやタブレットに置き換える受発注サービス「CONNECT」を提供するハイドアウトクラブ代表取締役の田口雄介氏によるもの。Twitterアカウントは@yutaguchi。彼らの事業や採用に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい

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3,000人の「お節介な先輩花嫁さん」が変えるブライダル市場、その実態とは

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ここ数年のライフスタイル変化で様変わりしているもののひとつに「結婚」があります。 例えば、Instagramのハッシュタグにあるプレ花嫁(#540万件/※11月17日時点)はタピオカ(#210万)やパンケーキ(#420万)よりも巨大で、ディズニーランド(#563万)とほぼ同数のコミュニティに成長しています。もともとは2016年ぐらいから始まった、これから花嫁になる方々の口コミ中心のコミュニティで「…

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実際の結婚式ムービーを試写会する花嫁候補のみなさん(提供:maricuru)

ここ数年のライフスタイル変化で様変わりしているもののひとつに「結婚」があります。

例えば、Instagramのハッシュタグにあるプレ花嫁(#540万件/※11月17日時点)はタピオカ(#210万)やパンケーキ(#420万)よりも巨大で、ディズニーランド(#563万)とほぼ同数のコミュニティに成長しています。もともとは2016年ぐらいから始まった、これから花嫁になる方々の口コミ中心のコミュニティで「結婚式に関する”リアルな”情報を渇望していた」ことがわかるトレンドです。

また、これは身近な数字にも出てきていて、結婚情報誌の「ゼクシィ」が実施した「結婚トレンド調査2019調べ」によると、披露宴・披露パーティ会場を検討する際に利用した情報源として、「結婚情報誌」を利用した人は68%から58%と10ポイント減、「結婚情報サイト」63.8%から52.0%と11.8ポイント減と、急激に減少している様子が伺えます。一方、結婚式相談カウンターを利用した人たちが11ポイント以上伸ばしている点も注目です。

このあたりでぼんやりと見えてくるのは、どうせ結婚するのであれば、人と同じじゃつまらない、もっとなにか情報がないかと探し求めるプレ花嫁さんたちの姿です。

私たちは先輩花嫁さんのおすすめから式場選び、結婚式に関わるお悩みなどの解決をする「maricuru(マリクル)」という事業を展開しているのですが、実はここに在籍する3,000名ほどの花嫁経験者にも濃密なコミュニティが出現しています。ソーシャルだけでない、オフラインでの繋がりもこのトレンドに対して新たなマーケティングノウハウを発見する大切な機会になると思いましたので、本稿で共有させていただきます。

花嫁会というオフ会カルチャー

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花嫁会の様子(お譲り会・写真提供:maricuru)

花嫁会とは、リア友じゃない花嫁友達を作りその仲間と開催する女子会のことです。maricuruでも実施される方々が多数いらっしゃいます。

背景にはまずリアルな友達だと、結婚式の話題がしづらいという点があります。年齢やお金周りの話題は聞きづらく、また、既存のメディアや口コミはどうしても信頼性に欠ける、という印象があるようです。そういう意味で目的のはっきりしている花嫁会では、お世話好きの先輩花嫁さんたちが悩みやリアルな見積の話を聞いてあげたりしているそうです。

中には結婚式で流したムービーを持ち寄って上映会をしているグループもあると聞いて、なかなか奥の深いコミュニティになっているなと感じた次第です。

「承認欲求」というフィードバックループ

このグラフはmaricuruに参加してくれている先輩花嫁さんたちの推移です。彼女たちが花嫁会などのオフラインカルチャーを通じて後輩の花嫁さんたちに「ブライダル」の生の経験を共有してくれています。

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もちろんなんですが、特に何か報酬をお支払いしているわけではありません。先輩花嫁さんたちは自主的にこのコミュニティに参加してくれています。

なぜか。まずは 結婚式のタイミングでのキラキラ感が忘れがたく、結婚式の思い出に浸っていたい、というストレートな理由があります。例えばインスタなどでこういった情報を共有すると共感してくれる人も多く、ある種の承認欲求が満たされやすい、ということも多いにあると思います。

それと、バトン的に自分たちも先輩花嫁さんに相談にのってもらった感謝を後輩の花嫁さんたちに繋ぎたい、という気持ちがあるようです。インスタがやはりその震源地ですが、善意のループがクルクルと先輩から後輩に伝わっているというのが実態ではないでしょうか。

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いかがだったでしょうか?

旧来的な「結婚像」はトーンダウンの様相を示しています。全体的な結婚の件数については、昭和45年の「第2次婚姻ブーム」直後での110万組をピークに、2016年には約62万組、さらに2018年の推計では59万件と縮小を続けており、婚姻率も下落の一途です。

結婚は絶対的なものから、人生における選択肢のひとつ、という意識の変化は確かにあると思います。その一方で、前述した通り、せっかく選択した一大イベントを個性的にしたい、というニーズはますます拡大していると言えるでしょう。

未来の花嫁さんたちに信頼できる情報や相談相手を提供することは、少子化などの社会課題にもつながる「ブライダル」という市場を、新たなステージに向かわせることになるのではないでしょうか。

<参考情報>

本稿は花嫁の不安に寄り添うサービス「maricuru」の代表取締役CEO、高木紀和氏(@nr_tkg)によるもの。彼らの事業や採用に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい

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「変化」を恐れないスマートな企業になる方法ーーオフィスから変える3つのポイント

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リーダーであってもメンバーであっても、チームで働いていると、「個人や組織戦略に合わせて、柔軟にワークスタイルを選びたい」と感じることはないでしょうか。 出産・育児・介護などによる時短勤務といった個人起因や、戦略的な組織再編やテレワーク導入といった制度変更のような会社起因など、ワークスタイルの変化はさまざまで、誰しも避けては通れません。だからこそ、チームがワークスタイルの変化に柔軟であることは、個人…

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Photo by Pixabay on Pexels.com

リーダーであってもメンバーであっても、チームで働いていると、「個人や組織戦略に合わせて、柔軟にワークスタイルを選びたい」と感じることはないでしょうか。

出産・育児・介護などによる時短勤務といった個人起因や、戦略的な組織再編やテレワーク導入といった制度変更のような会社起因など、ワークスタイルの変化はさまざまで、誰しも避けては通れません。だからこそ、チームがワークスタイルの変化に柔軟であることは、個人・チーム双方にとって、生産性を高めるためにとても重要です。

しかし、チームで働いている場合、個人の意識だけでワークスタイルを変えることはできません。そこで今回は、方法のひとつとして、「オフィス」に柔軟性と拡張性を持たせるアイデアをご紹介します。

私たちはACALL(アコール)というスタートアップで「スマートオフィス」を実現するクラウドサービスを提供しています。私たち自身、多様なワークスタイルを実現するためにフルリモート・フルフレックスを実践しているので、その立場からお話したいと思います。

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自社で多様なワークスタイルを検証中(ACALL BLOGより)

なぜ「オフィス」から変えるのか

チームで働く以上、ワークスタイルは「オフィス」と切り離すことができません。個人の意識や制度を変えることも重要ですが、これらは時間がかかる上に検証も難しいものです。ワークスタイルを見直すステップとしては、まず物理的な部分、特にオフィスから変えていく方が結果を得やすいはずです。

また、環境というのは不思議なもので、オフィスが変化に対して寛容だと、そこで働く人たちのマインドも同じように変化に寛容になり、変化を恐れないチームになっていきます。このような、変化に強く生産性が高いオフィスのことを私たちは「スマートオフィス」と呼んでいます。

私たちが提案する「スマートオフィス」の要素として今回ご紹介するのは、次の3つです。

  • 特定の場に縛られない仕組みを持つ
  • ツール連携で体系化
  • 社内・社外関係なく拡張するスペース
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スマートオフィスのイメージ図(ACALLウェブサイトより)

特定の場に縛られない仕組みを持つ

柔軟な働き方といえば、リモートワーク(テレワーク)が最初に浮かぶ方も多いと思います。一方で、リモートワークの導入企業は2018年時点で19.1%。リモートワークは国家戦略でも推進されていますが、8割の企業が導入に至っていません。

固定電話と固定席でガチガチの就業風土のなかで突然リモートワークを始めても、そう簡単に企業文化は変わりません。一歩ずつステップを踏むことが大切です。まずはオフィスの中で「どこにいてもコミュニケーションが取れる・働ける」環境整備から始めましょう。

オススメは、下記のような点から取り組むことです。

  • フリーアドレスにする
  • チャットによるコミュニケーションを当たり前にする
  • どこにいても使えるツールを使う
  • 固定回線や工事負担が少ない、設置変更が容易なツールを使う

例えばフリーアドレスにすると「この人は必ずこの席にいる」わけではなくなりますが、チャットがあればいつどこにいても話しかけられます。オープンに会話をすることで、他のメンバーにそのやり取りを共有できる点もメリットです。また、これらの取り組みでが進むと、リモートワークはもちろんですが、社内のフリーアドレスやレイアウト変更も容易になるメリットがあります。

ツール連携で体系化

チャットやツールなど、チームに合った便利なものを積極的に取り入れていくことで効率を上げることができます。しかし、ツールごとに運用がバラバラだと、逆に手間を増やしてしまって効率を下げてしまうケースもあります。

そこでポイントになるのは、各ツールを「繋ぐ」ことです。

例えば、チャット・クラウドカレンダー・人事管理システム・入退室システム・勤怠システム・認証ツールなど、相互連携が可能なツールはたくさんあるので、これらを連携して体系化していきましょう。いつでもどこでも使えるように、ツール活用のデバイスはスマホを中心にする点もポイントです。

社内・社外関係なく拡張するスペース

上記のような要素を取り入れると、オフィスは柔軟性や拡張性を持ちます。リモートワークなども、社内・外などの場所で分けるのではなく、あくまで全てのスペースが延長上にあると考え、オフィスを中心に拡張するイメージでメンバーのコミュニケーションを設計する。全体としてのコミュニケーション、全体としてのシステムとして考えることで、「一つのチーム」として機能するのです。

リモートワークもスペースの拡張だと捉えることで自然と取り入れやすくなり、個人の業務・生活に合わせたワークスタイルの選択肢が広がっていきます。

かつて「オフィス」と言えば、当然のように住所が決まっていました。しかし、今や「オフィス」の実態は、社外のワークスペースやメンバーの自宅にまで広がっています。「スマートオフィス」を取り入れることで、メンバーがいる場所をどこでも「オフィス」に切り替えられ、どこにいても快適に・生産的に働けるようになります。

私たちは将来的に、オフィスの解放を実現するプロダクトを作りたいと思っています。これからもまずは自分たちで実践し、そして他の企業もまた「どこにいても働ける」体制を構築できる、そんな研究を続けていきたいと思っています。

<参考情報>

本稿はワークスタイルOSによってスマートオフィスを実現する「ACALL」を開発・販売するACALL株式会社代表取締役、長沼斉寿氏(@balance_unique)によるもの。彼らの事業や採用に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい

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