エンプラ向け生成AI開発のCohere、5億米ドルをシリーズD調達——評価額は55億米ドルに

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Cohere 共同創業者兼 CEO の Aidan Gomez 氏、社長の Martin Kon 氏

エンタープライズ向け生成 AI ツールの投資対効果に疑問や批判が渦巻く中、特にエンタープライズに特化した AI スタートアップの1つであるカナダ・トロントの Cohere は23日、新たに5億米ドルのシリーズ D ラウンドを発表した。

同社の評価額は55億米ドルに達し、OpenAI の900億米ドルには遠く及ばないが、この分野への投資家の熱意がまだ衰えていないことを示す重要な金額である。

Bloomberg が最初に報じCohere が確認した同社の新たな資金調達は、カナダの年金投資会社 PSP Investments と、Cisco Systems、富士通、AMD のベンチャー部門 AMD Ventures、Magnetar、Export Development Canada を含む新たな投資家グループによってリードされた。

Cohere のコミュニケーション責任者 Josh Gartner 氏は VentureBeat に、シリーズ D ラウンドに復帰投資家として Oracle、Salesforce Ventures、Nvidiaも参加したと語った。

Anthropic は今年、シリーズ C ラウンドで4億5,000万米ドルを調達し、フランスの AI 企業 Mistral は6月に6億4,000万米ドルの投資を受け、検索チャットボットの Perplexity6,500万米ドル(訳注:6,300万米ドルの誤り?)の投資を受けてユニコーンになった。

データプライバシーとセキュリティに焦点を当てた企業向けAIモデルの継続的開発

Gartner 氏によると、今回の追加資本は、データプライバシーとセキュリティ、多言語精度、そして今月初めにサンフランシスコで開催されたイベント「VB Transform」から生まれた主要テーマの1つである「検索拡張世代(RAG)」のような機能に重点を置いたCohere のモデルの継続的な開発をサポートするという。

Cohere は、「Command R」と「Command R+」という2つのエンタープライズ向け大規模言語モデル(LLM)をリリースした。

今年初めに Command R+ をリリースした時点では、Anthropic の「Claude 3」、OpenAI の「GPT-4 Turbo」、Mistral の「Mistral-Large」など、よりコンシューマ向けの他の LLM に匹敵するメトリクスを誇っていた。

しかし、それ以来、商用プロバイダはすべて、より強力な新しい LLM をリリースしており、OpenAI の場合は、より強力な GPT-4o と、強力ではないがはるかに安価な GPT-4o mini モデルをリリースしている。

Cohere はまた、富士通と提携し、日本語を理解できる言語モデルを構築した

エンタープライズ市場に集中

OpenAI のような企業は、個人消費者向けの無料版(ChatGPT)を維持しながら、「ChatGPT Enterprise」のようなチャットボットのエンタープライズ向けプランをリリースしているが、Cohere はエンタープライズ向けを好み、コンシューマ市場を完全に避けている。

同社は昨年夏、エンタープライズ向け AI アシスタント「Coral」をローンチした。これは幻覚を軽減し、データセキュリティを提供しながら内部データを訓練することを目的としている。

Coral のプレビュー版は Cohere の Web サイトで消費者向けに提供されており、サードパーティ開発者が独自のアプリを構築するための「Chat API」も提供されている。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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