SAP、AIスタートアップのCohere、Anthropic、Aleph Alphaに出資

SHARE:
Image credit: SAP

ドイツの企業向けソフトウェア大手SAPは、AIゲームに本格参入する。

SAP は18日、3つのAIスタートアップに直接投資したと発表した。3社とは、Cohere、Anthropic(クロード2 LLM サービスのメーカー)、Aleph Alpha である。

同社は金額を明示していないが、広報担当者は VentureBeat に対し次のように述べた。

今回の投資は世界有数のブランドによって日々使用されているビジネスアプリケーションのポートフォリオに組み込まれた、価値あるジェネレーティブ AI シナリオを提供するという SAP のコミットメントを示すものです。イノベーションを継続する中で、我々は市場で最も優れた、責任ある AI テクノロジーとツールを使用することにコミットしています。

このニュースは、SAP が支援する Sapphire Ventures が先週発表した、AI スタートアップへの10億米ドルという驚異的なコミットメントに続くものだ。

SAP がエンタープライズ AI のリーダーになる必要がある理由

SAP は、年間売上高で Microsoft と Oracle に次ぐ世界第3位のソフトウェア会社であり、アメリカ以外では最大手である。同社の企業資源計画(ERP)ソフトウェア(企業のサプライチェーンと業務アプリケーションを連携するスタック)は、石油メジャー企業の ExxonMobil や医薬品メーカーの Novartis など有名ブランドで使用されている。より知名度の高いアプリのひとつに、出張・経費申請ソフトウェアの Concur がある。

SAP によると、今回の投資発表より前に発表された既存の「SAP Business AI」を利用している顧客はすでに世界中で2万6,000社にのぼり、この種のサービスへの意欲を示しているという。

そのため、ジェネレーティブ AI を適用すれば、世界中の企業とその顧客に多大な影響を与える可能性がある。実際、VentureBeat は投資アドバイスを行っていないが、Bank of America のアナリスト Frederic Boulan 氏は次のような事実を挙げ、ジェネレーティブ AI の利益のために投資すべき銘柄トップ10の1つに SAP を選んだ。

企業の業務に関する膨大なデータが企業のERPシステム内に保持されており、ジェネレーティブ AI の連携にはこのソフトウェアが不可欠です。

言い換えれば、SAP はすでに、世界中の多くの顧客から得たデータの宝庫を持っており、既存の SAP のサービスと組み合わせて、あるいは既存のサービスを通じて、これらの顧客に AI サービスを提供することを決定することで、 SAP は顧客側と自社の収益の両方に大きな影響を与えることができるということだ。

SAP の顧客は、直ちに AI の試験運用を開始

SAPの広報担当者は VentureBeat へのメールによる声明で、「パイロットと PoC は顧客とともに進行中です」と答えた。

SAP が他のどの企業よりもこれら3つの AI スタートアップを投資先に選んだ理由については、次のように述べている。

Aleph Alpha(ドイツ)、Anthropic(アメリカ)、Cohere(カナダ)の3社はいずれも、業界におけるリーダーシップ、イノベーション、AI を進化させる独自のビジョン、そして業界を変革する可能性が認められています。また、ビジネス AI のオープンなエコシステムを育成するという我々の包括的なアプローチにより、SAP は顧客に選択肢を与えるべきだと考えており、各社に投資できることを誇りに思います。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する