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AmazonにとってのAWS同様「KDDIにとってのソラコム」でありたいーーKDDI 連結子会社化の道を選んだソラコム玉川氏インタビュー

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今朝お伝えした通り、KDDIはIoT通信プラットフォーム「ソラコム」の株式を取得して連結子会社化する。ソラコム広報部に確認したところ、譲渡する株式は全てではなく過半数をKDDIが取得して連結子会社化するというのが正しい。また、その取得金額について報道では200億円という金額が出ており、この金額が全株式取得時のものなのかどうかについてはノーコメントということだった。 国内でメルカリと並び、ユニコーン…

ソラコム代表取締役の玉川憲氏

今朝お伝えした通り、KDDIはIoT通信プラットフォーム「ソラコム」の株式を取得して連結子会社化する。ソラコム広報部に確認したところ、譲渡する株式は全てではなく過半数をKDDIが取得して連結子会社化するというのが正しい。また、その取得金額について報道では200億円という金額が出ており、この金額が全株式取得時のものなのかどうかについてはノーコメントということだった。

国内でメルカリと並び、ユニコーン(1000億円の企業評価)の可能性が高いとの呼び声高かったソラコムにどのような決断があったのか。ユーザーへの影響、今後のビジネス展開を含め、代表取締役の玉川憲氏に話を聞いた(太字の質問は筆者。回答は全て玉川氏)。

買収について

KDDIからも公式発表がありました。まずは経緯から。どのタイミングでお話が始まり、具体的な打診、その後の決定まで時間軸で話せる範囲を教えてください。

まず、今回の報道内容についてはKDDIから公式発表があったのが正しい情報です。一部報道では全株式をKDDIが取得としていましたが、実際のところは過半数を持ってもらい、連結子会社化するというのが正しい内容になります。また、この件については後日にKDDIと共同で発表会を開催しますので、今回は私たちソラコムとして回答できる範囲になります。

その上で、去年からKDDIとは独自の回線サービスでコアを提供していた経緯もあって付き合いは長く、一昨年のサービス開始以降、企業間の関係としては密だったんです。

私たちもグローバル展開の際に必要となる資金やさらなる成長について継続的に考えていたので「世界中の人とモノを繋げる」というビジョンを実現するためにはIPOがいいのかM&Aがいいのか常に検討していました。今回はそのタイミングがきた、ということです。

200億円という評価について、これまでの調達額(7.3億円と30億円の調達で現在の同社資本金は37億)から考えると妥当かなとも思うのですが、一方で想定している世界観(全てがつながる世界)や順調なクライアントワークをみるともう少し強気な評価があってもよかったのではと思うのですが?

この件についてはノーコメントとさせてください。

2014年11月設立、2015年3月の本格創業から数えて約2年半で、大資本の傘下に入る意味・メリットをどう考えて判断されたでしょうか

本当にここはエントランスと考えていて、今後の展開でひとつハードルがあったんです。それがこれから始まるであろう5Gへの取り組みでした。現在、セルラー網とLPWAでネットワークを提供していますが、新規格となるNB-IoTへの取り組みはまた新たにキャリアと交渉が必要だったんです。

なるほど。ソラコムのサービスインにMVNOの契約が必要だったように新たな規格でもまたその交渉が必要だったと

5Gは高速な通信を可能にするのと同時に、低消費電力を実現するNB-IoTという規格があります。自分たちがMNNOでいる限りいずれかのキャリアと契約しなければならず、これがボトルネックでした。さらにキャリアはこういった新しい規格をすぐにMVNOみたいに開放するとは限りません。

今回の座組みによってハードルが下がったと

LPWAがどう広がるかは想像できませんしLoRaWANやSigfoxなどのそれぞれの規格にメリット・デメリットがあります。NB-IoTの良いのは既存のセルラー基地局を使えるところでカバー率がやはり違います。

報道されている金額が事実であれば大型買収です。今後のKDDIグループでの役割が気になりますが何かそういうお話はありますか?

こちらも詳しい話は発表会で。ただ創業して短い期間で大企業がテクノロジー系のスタートアップを高く評価してくれたというのはあります。

私たちとしては「Amazonの中のAWS」と同様に「KDDIの中のソラコム」でありたいと思っています。ある時はビッグカスタマーであり、ある時はおしみない協力者でもある、そしてそこで得た力をプラットフォームとして他社に提供する。

これは完全に私見で何も調整していませんが、ソラコムは自分たちで開発し、自分たちで運用してきました。これはエンジニアにとって本当にいい環境だと考えています。今後、KDDIグループ入りしてもし機会があればエンジニアでやる気のある方々にそういう環境を提供したいですね。そういう意味でもグローバルベンダー(の傘下に入る選択肢)もあったんですが、やはり日本発グローバルと言うのはこの方法しかないと。

プラットフォームとしてのポジショニングについて

KDDIはAmazon Web Services(AWS)の導入支援などを手がけていたアイレットを買収するなど、クラウド・IoT方面にはオープンなイメージがあります。一方でソラコムはMVNOで初期にドコモ回線を活用していました。またグローバルでも特定キャリアへの依存などはなかったわけですが、今後、KDDIと一体化することで全方位プラットフォームとしての戦略にどのような影響があるでしょうか

まず、ドコモ回線のMVNOについてはそのまま継続します。これはビッグローブ買収で彼らが提供するMVNO回線が実はドコモだったりしていたので前例はあるんです。また、おっしゃられる通りKDDIさんはアイレットさんの買収などに見られるようにクラウドについてはオープンな考え方でここは私たちと近い部分があります。

より具体的にはKDDIとはコアを開放してOEM的なサービスを提供していました。今後、国内の他キャリアに同様のスキームは提供されないのでしょうか?

国内についてはドコモさんの回線を使ったMVNOとしてソラコムはサービス提供をしていますし、KDDIさんはソラコムのコアネットワーク「SORACOM vConnec Core」を用いた独自のサービスを展開中です。海外は手付かずですからより加速させていきます。

ユーザーに対しての影響

KDDIと一体化することで利用ユーザーに対してどういうメリット・デメリットが想定されるか教えてください。(価格、サービス、提携など)特に価格については特に今後のIoTサービス拡大に向けて重要なポイントになります。KDDIとの間で戦略的な価格設定など具体的な話などありますでしょうか。

これについても発表会をお待ちいただければ。

ソラコムはパートナー企業とエコシステムを構築していました。何か変化はありますか?

特に変わりはありません。ソラコムのユニークなモデルはクラウドからAPIを通じてモバイル通信をコントロールできるので、これを使えるデバイス、ソリューション、インテグレーションのパートナーのみなさんが必要になります。グループ入りしてもブランドや開発陣など全て今まで通り展開します。今後にこのエコシステムを海外展開していくのもこれまで通り同じです。

グローバル展開について

グローバル展開は当初から一件あたりの利幅が薄いビジネスモデルのソラコムにとって最重要課題であるとみていました。今回の一手でどのような未来が待っているのか、考えを教えてください

発表会での内容をお待ちいただきたいのですが、現時点で7000ある契約者数アカウントの内、800アカウントが海外なのですね。これをひっくり返したいですね。

今回のグループ入りでセルラー網も手に入れた。クラウドは全方位で連携している。「あらゆるものが繋がる」世界観に足りないピースは?

これで通信網とクラウドのありとあらゆる組み合わせを提供できるようになりました。しかし今もまだ顧客からのフィードバックは多く、私達はこれらのフィードバックをベースに、何をどう共通基盤に組み込むか、優先順位を付けてサービス開発しています。そういった観点では、データの交換やディープラーニングの提供などの技術要素についてはよく話題になるのですが、どういう形で共通基盤として提供するかが重要だと思っています。引き続きスピードを落とすことなく、SORACOMプラットフォームでの新サービスを提供開始し、お客様に喜んでいただきたいです。

ありがとうございました。

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月額基本料金45円ーーソラコムが新たな低額料金プランを公開、「モノのサービス化」を実現するインフラを提供へ

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ソラコムのニュースはいつも頭を悩ませる。広がる世界観をどうやって言葉にすればいいか分からなくなるからだ。ひとつ言えることは間違い彼らは世界を変えつつある、ということだ。 …ということでニュースから見ていくことにしよう。 Internet of Things(以下、IoT)向けの通信プラットフォーム「SORACOM」を展開するソラコムは5月10日、データ通信サービス「SORACOM Air for …

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資料提供:ソラコム

ソラコムのニュースはいつも頭を悩ませる。広がる世界観をどうやって言葉にすればいいか分からなくなるからだ。ひとつ言えることは間違い彼らは世界を変えつつある、ということだ。

…ということでニュースから見ていくことにしよう。

Internet of Things(以下、IoT)向けの通信プラットフォーム「SORACOM」を展開するソラコムは5月10日、データ通信サービス「SORACOM Air for セルラー」で少量のデータ送受信専用の料金プラン「Low Data Volume」を発表した。5月16日から日本および米国で提供開始される。国や地域によらず固定となっており、基本料金は月額0.4ドル、データ通信量は1MBあたり0.5ドル(共に米ドル)で利用可能。1KB単位で課金される。

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新料金プランの提供エリア

通常のSORACOM Air for セルラーは国によって料金は変動するが、例えば米国の場合、データ通信料は1MBあたり0.08ドルだったので割高となる。一方で通信開始後の月額の基本料金は1.8ドル(中断中はディスカウント)だったので今回の新プランの方が安くなる。

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資料提供:ソラコム

これは移動体の位置情報追跡やインフラ監視など月次におけるデータ利用量がごくごく少量の場合に適したプランとなっており、月に1MB程度の利用であれば従来プランでSIM1枚あたり1ドルを切るコストで運用が可能(SIMカード購入にかかる初期費用5ドルは別途必要)となる。ソラコム代表取締役の玉川憲氏によればこういった少量データでの利用は設置数量も多く、千や万といった単位になることから相応に負担コストも大きくなりがちで、対応するプランの提供が待ち望まれていたそうだ。

同社は今回のリリースに合わせ、SORACOM Funnelの機能拡張認定パートナー追加LoRaWANデバイスのオープン化などについても新たな動きを公表している。

あらゆる「モノがネットにつながる」本格的なIoT時代のインフラ

さて、ではこの新たなプランが指し示す意味、本格的なIoT時代についてほんの少しだけ考察してみたい。

ソラコムが提供しているのは、セルラー事業者が提供するモバイル通信網のMVNO(仮想移動体通信事業者)だ。このMVNOは格安SIMという言葉を生み出し、主要キャリアとの差別化を図ることに成功している。しかしソラコムはこのモバイル通信を人ではなく「モノ」が利用する用途に特化して展開した。いわば、主要キャリアが大動脈であれば、格安SIMを提供する一般的なMVNOはその他の血管、ソラコムはさらに細かい毛細血管のような存在、と言えばいいだろうか。ここでの同社の差別化ついては過去の記事を参照いただきたい。

人よりもモノの通信の方が当然数が多くなる。今回の利用用途として挙げられている死活監視はわかりやすい例になるかもしれない。

工場にあるロボットが動いているかどうかといったことから、最近の自動運転技術の躍進に伴って、今後は工場ではなく一般の生活フィールドで活躍する自動運転車や無人機(ドローン)も増加することが想像できる。農業耕作地で何台もの機械が刈り取りをしている状況を遠隔で監視するようなシーンだ。もしかしたら1台につき、トラッキングする情報が複数に分かれる場合もあるかもしれない。

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資料提供:ソラコム

1つのモノに対して数枚のSIMを刺して小さな通信を大量に管理する。当然、事業者として考えるのはコストの問題だ。ソラコムが今回提供したプランはほとんどデータが飛んでこないような場合、前述の通り、数十円での運用を可能にしている。これが可能にすること、それは本当にありとあらゆるモノに通信を埋め込める環境が現実的になった、ということなのだ。

自分の持っている衣服やペン。こういうものにモバイル通信が入る世界を想像できるだろうか?

モノがある程度揃って便利になった世界のその次、モノそのものがサービスになる世界観。インクがなくなったら自動的に補充されるペン、自分の健康管理をしてくれる衣服、これを実現してくれるのが彼らのインフラなのである。

もちろん通信だけでなくバッテリーの問題やデバイス、ビッグデータ収集や処理の課題もあるので、こういう世界が今すぐやってくるわけではない。

今回、同時のタイミングで発表されたLoRaWANデバイスのオープン化も実は大変興味深い動きなのだがそれも併せて考えると、このソラコムの深い森から帰ってこれない気がするので今回の考察はここまでとして、また次回、機会があればまたまとめてお伝えしたいと思う。

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「通信量込月額9980円」で15キロ圏内の広域ネットワーク構築を可能にーーSORACOM LoRaWAN がシェアリングの概念で安価な IoT 通信を実現

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ソラコムが昨年5月に発表したとあるプランが正式公開する。ーーしかも相当にパンチの効いた内容だ。詳しく説明しよう。 「モバイル通信のクラウド化」を推進する IoT 通信プラットフォーム「SORACOM」を提供するソラコムは2月7日、省電力広域(LowPowerWideArea、以下 LPWA)の通信方式のひとつ LoRaWAN 対応を正式に発表した。これに伴い、同社の提供する「SORACOMAir」…

ソラコムが昨年5月に発表したとあるプランが正式公開する。ーーしかも相当にパンチの効いた内容だ。詳しく説明しよう。

「モバイル通信のクラウド化」を推進する IoT 通信プラットフォーム「SORACOM」を提供するソラコムは2月7日、省電力広域(LowPowerWideArea、以下 LPWA)の通信方式のひとつ LoRaWAN 対応を正式に発表した。これに伴い、同社の提供する「SORACOMAir」にて既存のモバイル通信方式である「セルラー(3G / LTE)」に加えて「LoRaWAN」が扱えるようになる。

また、この LoRaWAN を利用するために必要な通信基地局に相当する LoRaゲートウェイと、この通信を受信するために必要な LoRaデバイスを本日より販売開始する。料金体系については占有モデルと共有モデルについて解説が必要なため後述する。

この LoRaWAN は昨年5月にソラコムが資本業務提携を発表した M2B コミュニケーションズと7月から実証実験(PoC)キットを販売しており、今回の正式サービス発表に繋がった。LPWA および LoRaWAN については前回記事を参照いただきたい。

大型調達のソラコムが出資側にーー誰もが15キロ圏内の広域ネットワーク事業者になれる新たな展開を発表

通信量込みで月額9980円からーーIoT サービス事業者が基地局を持てる時代に

ソラコムの LPWA 事業参入は昨年発表されたもので(これはこれでもちろん相当衝撃的なのだが)今回発表された新サービスも想定通りのものだった。だが、ひとつ想像をはるか斜め上に飛んでいく内容があった。

それが価格だ。

LoRaWAN は前回記事を参照いただけば分かる通り、ある狭小エリアに対して専用のゲートウェイ(ソラコム謹製 SIM 入り)を設置すれば、その約15キロ圏内でプライベートネットワークを構築することができる。雑に言えば、家庭に置いてある自分だけの無線LANが都内で使えるみたいなイメージのものだ。

家庭用の無線LANネットワークだったら家族の写真や、プライベートなデータを家族間でやりとりするようなこともできる。つまり、LoRaWAN はそういった特定用途のサービスをもうちょっと広いエリアで、しかも自分がサービス事業者として第三者に有償で提供することができるものになる。

例えば特定エリアの介護者の行動データや、道路などの生活インフラの破損状況などの情報、水道メーターやパーキングメーター情報の遠隔収集などなど「毎回の通信量は多くないが長期に渡って安定した通信が必要」なサービスに向いている。

つまりこれらは、私たちが普段使っているスマートフォンの通信とは全く異質なデータを扱うサービス、とも言える。ここをターゲットにしたのが LoRaWAN、ということなのだ。

前置きが長くなったが、ではこの通信を幾らで使えるのだろうか。

ソラコムの発表では二つのプランを用意している。基地局となるゲートウェイを占有(自由に設置、移動)できるプランは1台あたり6万9800円の初期費用と月額3万9800円(2台目以降は2万9800円/同一オペレーターの場合のみ)。他者とゲートウェイを共有、設置場所等の情報を公開する共有プランは2万4800円の初期費用と月額9980円が必要になる。

昨年の参入発表時にはゲートウェイの価格が数十万円と言われていただけに、共有プランの価格はサービス提供者の広がりを得られそうな内容ではないだろうか。

そしてさらに驚きなのが通信料金だ。なんと、この月額料金に通信料が含まれているのだ。

ソラコムが提供している月額費用例を見ると、例えば遠隔地でゴミの量が分かって廃棄タイミングを伝えるような「IoT ゴミ箱」を想定し、1日144回の少量通信を行った場合、エリアに設置するゲートウェイが4台で、2000台のゴミ箱の情報をカバーして月額3万9920円という試算を公表している。

1台にすれば月にかかる通信費用は基地局含めて19.9円しかかからない。サービス事業者がもしこの「ゴミの量が可視化できるインターネットゴミ箱」を月額1000円で貸し出せば、なかなか現実的な商売になるのではないだろうか。なお、通信には専用の発信側モジュール(LoRaデバイス)が必要で、こちらは7980円にて販売される。

ソラコム代表取締役の玉川憲氏の説明では、よりセキュリティなどの要件が高まる企業利用には占有プラン、モバイル通信の共有というチャレンジングな領域に興味ある事業者は共有プランを積極的に活用するのでは、という見立てだった。

共有プランでは事業者が設置したゲートウェイをウェブサイト「SORACOM LoRaSpace」にて情報共有する。既に誰かがゲートウェイを設置していれば、そのゲートウェイを間借りすることで広域ネットワークを活用することが可能になる。(この場合も月額費用等は必要)

共有プランでゲートウェイを設置する先行者メリットみたいなものは?という質問に玉川氏は、様々なキャンペーンを通じてアイデアを考えたいという意向だった。例えば設置に協力した事業者は更に月額費用が安くなるといったメリットも出てくるかもしれない。

最近、ソラコムを活用したエンドユーザー向けサービスを散見することが多くなった。これまで国や特定キャリアのコントロール配下であった通信インフラがソラコムによって「民主化」された時、どういうサービスが広がることになるのか。本当に興味深いサービスだと思う。

修正補足:記事初出時に共有モデルの月額費用を9800円と誤表記いたしました。正しくは9980円です。訂正してお知らせ致します。

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ソラコム SIM が米国 Amazon で一枚から買えるように、世界展開の本格開始と新たなデータ蓄積・可視化「Harvest」発表

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ソラコムは11月30日、Internet of Things(以下、IoT )向けのモバイル通信・管理プラットフォーム「SORACOM Air」の米国での本格的な展開開始を発表した。米国に拠点のある事業者はデータ通信 SIM カードを1枚単位で購入することが可能で、従来国内で提供されてきた SORACOM Air および提供される全サービスを米国内を始め世界で120の国と地域で利用できる。 米…

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ソラコムは11月30日、Internet of Things(以下、IoT )向けのモバイル通信・管理プラットフォーム「SORACOM Air」の米国での本格的な展開開始を発表した。米国に拠点のある事業者はデータ通信 SIM カードを1枚単位で購入することが可能で、従来国内で提供されてきた SORACOM Air および提供される全サービスを米国内を始め世界で120の国と地域で利用できる。

米国国内では AT&T と T-Mobile のネットワーク( 2Gと3G )が利用でき、初期費用は SIM カード1枚につき5ドル( Amazon では送料が別途必要)。データ通信料は 1MB あたり0.08ドルからとなっており、ボリュームディスカウントなどの設定がある。

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海外で展開する ioT デバイスを国内からコントロール可能

なお、従来通信開始前にかかっていた基本料金は1年間まで無料となり、データ通信開始後も0.06ドル(一カ月連続使用で1.8ドル)と日本国内で設定されていた料金よりも安価になっている。同社代表取締役の玉川憲氏によれば、データ通信開始前の基本料金を無料にすることで機器にSIMを挿したまま在庫するような時のリスクを軽減する狙いがあるという。

これらの料金設定は全て国内のものとグローバル対応のもので違っており並行運用されることになる。(米国で購入したグローバル版を国内で利用することも可能だが、その場合はグローバル料金体系が適用される)

同社では今後、グローバル対応 SIM を順次世界各国で販売する予定だという。

データ可視化サービス「Harvest」

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ソラコムは今日、もう一つの新サービス「Harvest」も公開している。収穫という意味の同サービスが提供するのは通信データの蓄積と可視化で、従来 SORACOM プラットフォーム上で利用される IoT 機器類のデータ通信状況は各社がサーバーやダッシュボードを構築して独自に作成する必要があった。

これを簡易な状態ですぐに可能にしたのが Harvest だ。(ちなみにソラコムは Air に始まり、Beam Canal とオプションサービス名をABC順に付けており、今回は「H」の出番となった)

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ユーザーコンソールから Harvest を利用設定して IoT デバイスから指定のエンドポイントに対してデータを送信することでデバイスに設置されている各種センサーから位置情報や温度といったそれぞれのデータを SORACOM 上に蓄積し、グラフとして可視化してくれる。

保存されたデータは受信時間や SIM の ID と一緒に記録されるため、どこのデバイスからいつデータが飛んできているかすぐに分かる。これらのデータは40日間保存され、データ送信プロトコルは HTTP、 TCP、UDP に対応している。

利用には SIM 1枚あたり1日5円の利用料金が必要で、1日2000回の書き込みを超える場合は1リクエストあたり0.004円が追加で従量課金されることになる。

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通信クラウドのソラコムがKDDIにコアシステム開放で「KDDI IoT コネクトAir」を提供開始へ、その他キャリアやMVNOへの展開は「未定」

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モバイル通信のクラウド化サービスを展開するソラコムとKDDIは10月19日、両社で共同開発したInternet of Things(以下、IoT)向けのモバイル通信回線サービス「KDDI IoT コネクトAir」を2016年12月以降に開始すると発表した。 「KDDI IoT コネクトAir」は通信用SIMカード単体での提供サービスで、IoT関連デバイス、M2M(機械通信)などへの利用を主目的とし…

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モバイル通信のクラウド化サービスを展開するソラコムとKDDIは10月19日、両社で共同開発したInternet of Things(以下、IoT)向けのモバイル通信回線サービス「KDDI IoT コネクトAir」を2016年12月以降に開始すると発表した。

「KDDI IoT コネクトAir」は通信用SIMカード単体での提供サービスで、IoT関連デバイス、M2M(機械通信)などへの利用を主目的として提供される。また、通信SIMの管理用サービスコントロールパネルも提供されるので、運用者が通信の速度変更や監視、SIMの開始や停止などの操作をすることができるようになる。これらのコントロールシステムはソラコムがこれまで提供してきたサービスのコアエンジン「SORACOM vConnec」をKDDIに対して提供することで実現した。

基本料金は1日あたり10円の基本料(SIM停止時は5円)がかかる他、データ通信速度に応じて1MBあたり0.2円から0.8円までの通信料が発生する。その他にも契約時に事務手数料としてSIM1枚あたり1500円(SIM込み)がかかる。なお、音声通話には対応していない。

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ソラコムが開始1年で整備したIoT向け通信プラットフォーム

ソラコムが驚きの展開を開始した。

元々、SORACOM Airが提供開始された際、彼らをMVNOとして契約(L2卸契約)したのがNTTドコモだった。なので、ソラコムの提供サービスを使う場合は国内ではドコモ回線がそのベースとなっている。ただ、ソラコムのシステムは全てAWS上で稼働しているということもあり、理論上は世界のどこでもサービス展開が可能な状態になっている。事実、海外展開についてはどのキャリアと契約しているのかは開示されていないものの、既に開始されている状況だ。

ただ、それをまさか国内の別キャリアで開始するとは。さすがソラコム。

同社代表取締役の玉川憲氏によれば、今回の展開はソラコムのコアエンジンである「SORACOM vConnec」をKDDIに提供することで実現したもので、ややユーザーからの見え方が変わるという。どういうことかというと、これまではNTTドコモ回線を「借りて」ソラコムがIoT向け回線サービスを提供してきたが、今回はKDDIがサービス提供者として前面に出てくることになる。

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こういったIoTデバイス提供事業者はサービスによってKDDIを選択可能になる

これにより、提供サービスの内容が変更になる可能性がでてくる。通信料についても独自の料金体系を設定することもできるし、KDDIのアセットを活用して各種サービスと連携させることも可能になる。例えば既に事例のある橋や道路といった公共設備の監視パッケージを作って、専業の事業者に対して特別な通信プランを組むことも考えられる。

ひとつ気になるのがソラコムとのバッティングだ。玉川氏の話では最終的にはソラコムのコアを使っていることには変わりがなく、サービス提供者としてのソラコムかKDDIかを選択するだけで、特に問題になるようなことはないと説明していた。

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ソラコムがKDDIに提供した虎の子の「vCoonec Core」

であれば、だ。ソラコムはもう一つのキャリア、いや、MVNO事業者にだってこのコアを提供できるはずである。そもそもモバイル通信のクラウド化、つまりモバイル回線をAWSのように偏在的に使えるようにしようというコンセプトが彼らなのである。全キャリア、MVNO事業者にこれを提供し、多種多様なサービスを独自に提供してもらった方が理念にあっている。

しかしこの件の回答は「現時点では携帯通信事業者様およびMVNO事業者への展開は未定」で、さらにKDDIとの契約が独占かどうかについても「個別契約内容については回答できない」ということだった。

もしかしたら両社には一定期間の協力体制があるのかもしれない(そもそもドコモとは卸契約があるのでそこについても複雑ではある)が、ここまでたった1年で一気に突っ走ってきたソラコムだから油断はできない。

 

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ソラコムが海外120の国と地域に拡大、利用事業者のシームレスな海外展開を可能に

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「モバイル通信のクラウド化」を推進するソラコムは7月13日、同社が提供するIoT通信プラットフォーム「SORACOM」のグローバル対応と実証実験キット「SORACOM Global PoC キット」の販売受付を開始すると発表した。1枚のSIMで利用可能な国と地域は120以上で、データ料金についてはそれぞれ設定されたゾーンによって1MBあたりの転送量が0.3ドルから5ドルとなっている。詳しい料金体系…

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ソラコムが発表した海外対応SIM。国内版の青色と違い「黒SIM」となる

「モバイル通信のクラウド化」を推進するソラコムは7月13日、同社が提供するIoT通信プラットフォーム「SORACOM」のグローバル対応と実証実験キット「SORACOM Global PoC キット」の販売受付を開始すると発表した。1枚のSIMで利用可能な国と地域は120以上で、データ料金についてはそれぞれ設定されたゾーンによって1MBあたりの転送量が0.3ドルから5ドルとなっている。詳しい料金体系はこちらを参照されたい。

PoC(Proof of Concep、実証実験)キットの料金は49800円で、これには「SORACOM Air」グローバル対応SIMカードが30枚、基本料金6カ月分に加えてデータ通信料300米ドル分が含まれる。なおPoCキットの購入は実証実験実施後のソラコムに対するフィードバック協力を前提としている。

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対応する120の国と地域(資料提供:ソラコムリリースより)

ソラコムはこれまでNTTドコモの仮想移動体通信事業者(以下、MVNO)として第三者にモバイル通信サービスを提供してきた。今回はこれと同様の方法で海外の複数キャリアと提携し実現したもの。同社代表取締役の玉川憲氏に確認したが、具体的なキャリア名については秘密保持等があるため明らかにはできない、ということだった。

海外利用時にもこれまで提供されてきたデータ通信管理の「SORACOM Air」やデータ転送サービス「Beam」など、国内で利用できていた各種サービスがそのまま使える。つまり、これまでSORACOMを使ってサービス展開してきた事業者、例えばSORACOM SIMを刺したスマートロックなどのサービス・ハードウェアはそのまま、シームレスに海外展開することができる。

 

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大型調達のソラコムが出資側にーー誰もが15キロ圏内の広域ネットワーク事業者になれる新たな展開を発表

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大型調達のソラコムが今度は出資側に回った。 「モバイル通信のクラウド化」を推進するソラコムは5月25日、省電力広域(LPWA)ネットワーク事業に参入することを明らかにした。これに伴い同社はLPWA事業を展開するM2Bに出資、戦略的業務提携を実施したことも明かしている。 M2Bは2015年10月に創業したLPWA事業者。LPWAのネットワーク方式のひとつ「LoRaWAN」の業界団体LoRa Alli…

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大型調達のソラコムが今度は出資側に回った。

「モバイル通信のクラウド化」を推進するソラコムは5月25日、省電力広域(LPWA)ネットワーク事業に参入することを明らかにした。これに伴い同社はLPWA事業を展開するM2Bに出資、戦略的業務提携を実施したことも明かしている。

M2Bは2015年10月に創業したLPWA事業者。LPWAのネットワーク方式のひとつ「LoRaWAN」の業界団体LoRa Allianceにおける日本初のコントリビュータとして日本規格の策定にも関わるなど、同方式の牽引を務めてきた。

ソラコム代表取締役の玉川憲氏によれば同社への出資比率については非公開ながら、戦略的事業展開に関して十分に意思疎通できる状況にあるとし、また、玉川氏を含め数名がM2Bの役員として参画することも教えてくれた。両社は今後、LoRaWANを活用したLPWAネットワークの実証実験を開始し、商用展開を進めるとしている。

誰でもLPWA事業者としてサービス提供できることの凄さ

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さて、ここまで読んで「これはすごいものだ」と理解した人は恐らく相当の通信技術ウォッチャーだと思う。私は正直言って、玉川氏の説明を聞いてもしばらくピンとこなかった。

そもそも今回ソラコムが開始するとしているLPWAネットワークというのは、データ転送量的には少ないものの、省電力かつ広域をカバーできる通信技術で、IoTやM2M通信では注目されているキーワードになっているそうだ。

さらに彼らが出資までして関わりを深めた「LoRaWAN」というのはそのLPWAの規格のひとつで、元はIBMと半導体ベンチャーのセムテックが開発した無線技術になる。これらの規格の比較は上記の表の通りだ。ちなみにこれらは利用者に特別な免許を必要としない。

で、何が凄いのか。

ーーそう、ソラコムが可能にしたこと、つまりモバイル通信のSIMを第三者である私たちがコントロールし、自分たちのビジネスとして利用できるようにしてくれたことーーこれと同じことを広域ネットワークでも可能にしてくれる点にある。

SORACOMの凄さは第三者が「SIM」を自由に発行・運用できることーーIoT向けモバイル通信PF、ソラコムが提供開始

乱暴に言えば、基地局を自分で設置して、誰でも簡易な通信事業者になれる環境を彼らは提供しようというのだ。ソラコムが出現した際、「1人MVNO事業者」が現れたのと同じ理屈だ。

玉川氏らの話を元に、資料を使ってもう少し具体的に説明しよう。

基地局ゲートウェイ5台で八王子全域をカバーする通信網を構築

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「LoRaWAN」で通信ネットワークを構築する場合、この試作イメージにあるゲートウェイとモジュールがあれば双方でデータ通信が可能になる。ソラコムのSIMはこのゲートウェイ側に入ることになる。玉川氏によれば近い将来、SORACOM Airと同様に「LoRaWAN」をウェブインターフェースで操作可能になるということだった。

驚くのはカバー範囲だ。このゲートウェイ5個あれば八王子全域をカバーできるのだという。

つまり、私がこいつをこの地図のように設置すれば、この範囲でモバイル通信(その裏はドコモネットワーク)を提供できる事業者になれるのだ。

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もちろん、キャリアと全く同じというわけにはいかない。そもそも通信速度は普段使ってるスマートフォンのものとは比べものにならないほど遅い。けれど、IoT関連デバイスであれば十分な記録を残すことができる。

「例えば地域のインフラですね。道路だったり電線。こういう場所に災害が発生した際、そこが正常なのかどうかは把握することができます」(玉川氏)。

こういったインフラに近い場所になると当然、大量にカバーしなければならないと同時にメンテナンス問題が出てくる。電源などないのが普通だ。ここも省電力設計が役立つ。玉川氏によれば今回ソラコムが試作する端末側のモジュールは、電池ひとつで数年は持つという省電力を実現しているという。

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電池問題を解決すればそれこそ様々な場所からデータが取れるようになる。

ではこのインフラを幾らで構築できるのだろうか?

玉川氏の説明ではこのルーターが数十万円程度、モジュールに至っては生産ロットによって数百円ぐらいまで落とせるということだった。ビジネスを考える上で十分可能な仕入範囲だ。

いかがだろうか。正直、文字では書ききれないほどビジネスチャンスに溢れた取り組みだと思う。もちろん、技術的な検証は私では難しいので、もしかしたら「絵に描いたモチ」で終わるのかもしれないが、それでも話を聞いていて夢が膨らむ話題だった。

さらに詳しい内容は7月13日のイベントで発表する予定なのだそうだ。さらにウォッチしたい人はこのページを追いかけるといいだろう。

 

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ソラコムが24億円を調達して全世界同時展開へーーその勝算と彼らが日本で生まれた理由とは

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「モバイル通信をクラウド化」するIoT通信プラットフォーム「ソラコム」は5月11日、World Innovation Lab(以下、WiL)、Infinity Venture Partners(以下、IVP)他を引受先とする第三者割当増資の実施を発表した。シリーズBとなるラウンドで調達した資金は総額で24億円。株式比率や払込日などの詳細は公開されていない。 2015年3月から創業メンバーと事業開始…

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「モバイル通信をクラウド化」するIoT通信プラットフォーム「ソラコム」は5月11日、World Innovation Lab(以下、WiL)、Infinity Venture Partners(以下、IVP)他を引受先とする第三者割当増資の実施を発表した。シリーズBとなるラウンドで調達した資金は総額で24億円。株式比率や払込日などの詳細は公開されていない。

2015年3月から創業メンバーと事業開始(設立は2014年11月)、同年6月にはIVPおよびWiLから総額7.3億円の資金を調達し、9月30日にサービス第一弾となる「SORACOM Air」を公開。サービスを拡張しつつ、2016年4月末時点で利用者数は2000件を超え、エコシステムパートナーは150社が登録するまでに拡大している。

今回調達した資金でソラコムは一気に世界展開へと突き進む。

必然的な世界展開と立ちはだかる「壁」

ソラコムが登場した際、MVNO(仮想移動体通信事業者)でありながら、そのモバイル通信のコントロールそのものをさらに第三者に対して開放するというアイデアと実行力は多くの開発者、事業者にとって賞賛の対象となった。

「モバイルのクラウド化」と呼ばれる所以は、創業メンバーの多くがAmazon Web Service(AWS)の日本事業立ち上げに関わったという理由と、本質的にそれを実現したサービスを提供しているからに他ならない。

その一方ですぐに気がつくことがある。それはかなりの量を取らなければビジネスとして成立しない、という点だ。それはAWSという事業がそうであることと重なる。彼らのサービスデビュー当初、私は代表取締役の玉川憲氏にそのことを尋ね、早期のグローバル化がキーになっている点を確認している。

SORACOMの凄さは第三者が「SIM」を自由に発行・運用できることーーIoT向けモバイル通信PF、ソラコムが提供開始

ではあの時と今とで何が変わり、グローバル化は現実的なものとなったのだろうか。

まず彼らが乗り越えなければならない「壁」は変わらない。システムそのものはクラウド上のソフトをコピーすれば各国の通信キャリアにサービスを展開できるが、交渉はそれぞれ実施しなければならない。ここは当初から相当にタフな仕事になるだろうと予想していた。

またこれに対応するチームも各国に作る必要がある。

「現在、国内のチームは20名弱です。この人数でバックオフィス関連からカスタマー・サポートまで含めてコンパクトにできました。このコピーチームを各国に作っていきます」(玉川氏)。

各国キャリアとの交渉とチームビルディング。おおよそこの2つが彼らにとって大きな次のチャレンジとなる。

では、その勝算はどこにあるだろうか。

交渉に得た新しい力と彼らが日本で生まれた理由

海外展開をどこから進めるかーー勝算を考える上で最初の一手というのは非常に重要だ。その答えとして玉川氏が用意した回答は「全部」だった。

「同時並行でやります。現在、自動車や製造など2000件以上の方々に使っていただいています。彼らの中には世界中に展開している方も多く、日本で使えるのと同じようにグローバルで利用したいという要望があるんです」(玉川氏)。

例えば海外でコネクテッド・カーのような通信サービスを含めた製造業を展開するとしよう。製造業社は通信のサービスを取り入れるためだけに、各国のキャリアと個別に交渉しなければならない。ここは大きな手間だ。

これをソラコムが代行するのである。こうすることでメーカー側もキャリア側も両方共にこの手間を解消できる可能性が出てくる。こうなると最初の壁だった通信キャリアとの交渉に少し光明が見えてくる。

「通信キャリアの反応は好意的なものが多いです。こういう大量のデバイスを管理するという新規の市場を取り込めるし既存の販売チャネルとは被らない」(玉川氏)。

そしてもう1つ、壁を乗り越えるにあたって重要な課題がある。それは競合の存在だ。

彼らが本当にオンリーワンの存在であれば魅力的な人材はより集まりやすくなる。結果として事業展開はよりスピーディーに進むだろう。

私も以前調べたことがあったのだが、やはり同様のサービスは(特にこのように大型調達などで目立ったもの)は見当たらない。IoTクラウド関連のサービスといえばこの記事でも書いたが、Xivelyのようなハード・通信とクラウドの間に挟まってサービスを提供するようなものはあるものの、これらを一体化したような仕組みはやはりない。

さくらインターネットに元創業メンバーの小笠原氏がフェローとして復帰、IoT関連クラウドサービス着手へ

この点は玉川氏らチームも調べていて、1つの仮説を教えてくれた。

日本とヨーロッパとアメリカを考えた際、キーとなるのはクラウドの開発者コミュニティがあるかという点と、MVNOの門戸が開かれているかという点にあるのだという。

アメリカはクラウドの開発者コミュニティはあるが、MVNOは一般的な事業者が取り組めない。一方でヨーロッパはその逆で開発者コミュニティがない。両方あるのは日本だけだ、と。

もしこの説が真であれば、ソラコムは他の追随を許さないポジションをいつの間にか手に入れていた、ということになる。

進むSORACOM利用事例

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「日本で時間をかけすぎるとものすごく日本にカスタマイズされた状態のものになってしまう恐れがあります。グローバル化はこのタイミングなんです」(玉川氏)。

創業から約1年、サービス開始からまだ半年という状況で勢いよく成長を続けるソラコム。サービスの利用事例も順調に積み上がっている。

  • 楽天Edy:野球の試合がある時だけ決済端末を使えるので通信費が効率化できる
  • 東海クラリオン:車の事故が起こった瞬間の情報を送信できるドライブレコーダー
  • カルミック:トイレの石鹸がどれぐらい使われているかわかるディスペンサー

その時、その場所で発生した小さな情報を把握できるのがSORACOMの具体的なよさだ。しかも費用はその時に使った分だけで済む。今まで知ることのなかった情報を得ることで本当に世界は変わる。これはインターネットが証明してくれた。

ソラコムの挑戦は私たちに次、どんな新しい風景を見せてくれるのだろうか。

 

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【11月27日開催】ソラコムがイベントを開催、あの有名IoTプロダクトも一度に見れる!

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国内IoT系スタートアップの中で個人的にも注目しているアプローチ、それがソラコムだ。 通常、ネット接続型のハードウェアや周辺サービスに目を奪われがちなIoT分野で、唯一、モバイル通信の改革を掲げた同サービスはリリース直後からも大きな話題となった。いわば「一人MVNO」を実現させてくれる非常に渋いサービスだ。 <参考記事> SORACOMの凄さは第三者が「SIM」を自由に発行・運用できる…

ソラコム開発者向けイベント風景

国内IoT系スタートアップの中で個人的にも注目しているアプローチ、それがソラコムだ。

通常、ネット接続型のハードウェアや周辺サービスに目を奪われがちなIoT分野で、唯一、モバイル通信の改革を掲げた同サービスはリリース直後からも大きな話題となった。いわば「一人MVNO」を実現させてくれる非常に渋いサービスだ。

<参考記事>

そのソラコムが来週金曜日にIoTに興味のあるエンジニアやプランナーを対象としたイベントを開催する。【詳しい開催概要はこちら】

本誌でも取り上げたIoT系スタートアップたちもピッチやデモなどで参加予定ということで有望株たちとまとめて会えるチャンスかもしれない。本誌もメディアパートナーとして参加予定だ。

私もプログラムの後半に用意されているセッションでアーキタイプの中嶋淳氏やWiLの松本真尚氏、弁護士の水島淳氏らと共にお話をさせていただくことになっている。こちらも大変楽しみだ。

イベント参加はまだ受け付けているようなのでご参加されたい方はこちらのフォームから登録をされたい。

参加スタートアップ/デモ(今日時点)

・ノバルス株式会社 単三乾電池型のIoT機器「MaBeee」

・株式会社Strobo スマートオフィスチェア「cuxino(クッシーノ)」

・株式会社チカク まごちゃんねる

・株式会社フォトシンス スマートロックロボット Akerun

・株式会社Z-works 自宅見守りIoTシステム「LiveConnect」

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期間限定SIMも作れる!モバイル通信を解放したソラコム、開発者向けカンファレンス開催【フォトレポ付】

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ソラコムがやっぱり熱かった。 筆者は先日、同社の開催したデベロッパーカンファレンスに参加してきたのだが、会場内は創業したてのサービスとは思えないユーザーたちの熱気(というか期待感みたいな雰囲気)に包まれていた。私が普段触れてる「スタートアップ経営者」なイメージはあまりなく、飛び交う言葉は全てにおいて「ギーク」だった。 夜中に18件という大量のLT(予想通り時間はオーバー)と、サプライズ発表もいくつ…

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渋谷のDots.あつまる開発者たち

ソラコムがやっぱり熱かった。

筆者は先日、同社の開催したデベロッパーカンファレンスに参加してきたのだが、会場内は創業したてのサービスとは思えないユーザーたちの熱気(というか期待感みたいな雰囲気)に包まれていた。私が普段触れてる「スタートアップ経営者」なイメージはあまりなく、飛び交う言葉は全てにおいて「ギーク」だった。

夜中に18件という大量のLT(予想通り時間はオーバー)と、サプライズ発表もいくつかあったので、写真と共に雰囲気をお伝えしたい。

SORACOMの新機能

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ソラコム代表取締役の玉川憲氏

まず、カンファレンス冒頭にSORACOM Airの新機能「カスタムDNS」とBeamの新機能「AWS IoT連携」が発表された。カスタムDNSはSORACOM Airから特定グループに所属するSIMのDNSを変更できるもので、AWS IoT 連携は、アマゾンウェブサービスが発表した同サービスとSORACOM Beamを連動させ、クライアント証明書の一括管理を実現するもの。共に16日から提供開始となっている。

さて、いつものウェブサービスとは説明するレイヤーが違うため、「?」が三つぐらいついてしまう方も多いだろう。(筆者もその一人だ)しかしこれは地味ながら実に可能性を広げる機能だった。

特にカスタムDNSについてはSIMのビジネス利用を更に拡張させることになるだろう。分かりやすいキャプティブポータルの利用例を同社CTOの安川健太氏が解説していたのでそちらを紹介しよう。

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例えばあるユーザーがスマートデバイスでソラコムのSIMを使って、セキュリティ要件の高いビジネス向けのサービス(社内イントラなど)を使うとしよう。この場合、その端末が認証を終えるまでサービスにはアクセスさせたくない。ここで使うのがキャプティブポータルという認証プロセスなのだが、それをこのカスタムDNS機能で実現しているのだ。

図にある通り、最初にアクセスした際はその接続先を認証用のサーバーに向けておき、端末の認証が完了した時点でそのSIMがアクセスする先を変更する。この利点はSIM単位で認証プロセスを提供することができるので、端末の自由度が高くなることが予想できる。

SORACOM BeamとAWS IoTとの連動サービスについては、AWS IoTで利用可能になるクライアント証明書の管理運用をBeam側で実施する、というものだ。詳しくはリリースを見て欲しい。

「期間限定、3GB使い切りSIM」も第三者が提供可能

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ソラコムSIM焼きの風景。L2卸契約しているドコモのロゴが確認できる。

ソラコムデビューの時、多くのメディアが「格安SIM」という点にフォーカスしていたが、私は敢えて第三者によるSIMのコントロール部分に注目をした。

確かにソラコムは見方によっては割安になることもある(アクティベートした後は月額300円程度で所有できる)。しかし主要3キャリアの提供する通信プランが定額の中、ソラコムの契約プランは基本的に従量課金。当たり前だがそのままでは料金は青天井だ。

つまり、このプラットフォームが一般コンシューマーに対して単に通信料金の安さをウリにしているものじゃない、というのはすぐに理解できると思う。(そのままでは音声通話もできないし)

それを端的に教えてくれる、そんな機能がこのカンファレンスのLTで発表されていた。SORACOM Airのイベントハンドラという機能を使えば、IoTなどの事業を展開する第三者はコントロール可能で、限定的な通信サービスを提供することができるという。

少しこの部分にフォーカスして紹介したい。

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ソラコムシニアソフトエンジニアの片山暁雄氏(@c9katayama #ヤマン)

「毎日やってる仕事はSIMの生産管理です」ーーLTトップバッターで会場を少し和やかにするスライドを示しながら、ソラコムの片山暁雄氏(@c9katayama #ヤマン)が説明したイベントハンドラは、簡単に言えばプログラムでSIMの動き方を制御できる、というもの。

SORACOM Airのイベントハンドラを使えば、例えば「1週間限定で3Gバイトまで利用可能なSIM」を設定し、第三者に提供することができる。海外でSIMを購入したことがある人であれば分かると思う。アレを自分で作って売ることもできるのだ。

「ある条件を作ってアクションを定義します。例えばデータが100MBを超えたら通信速度を下げて3GBを超えたら解約をコールさせて限定利用できるようなSIMも作ることも可能です」(片山氏)。

これまでSIM(というかモバイル通信)を自社のサービス内でコントロール配下に置けるという考えはほぼ(少なくとも小さなスタートアップでは)できなかった。しかし、ソラコムはそれを実現しているのだ。

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ジャストアイデアだが、これから増えるであろうインバウンド系の話題でも使えそうだ。

例えば訪日する海外客に対してナビを可能にしたスマートデバイスを用意したとしよう。初回はレンタル費用に通信費も含めて1日X円で提供するわけだ。しかし、このようにユーザーによって利用状況が変動する場合、使いすぎをコントロールしなくてはならない。

ここで先述のイベントハンドラを使えば、1日の容量を使い切った段階で速度低下、必要であれば追加を購入できるようにしておけばいい。ポイントはこの通信コントロールサービスを大量に一括で捌ける、というスケール感だ。

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SORACOM Airコンパネ

スマートロックのように安定した利用であれば、年間契約などにしておいてその期限がきた段階で更新を促すようなコントロールもできる。しかもプログラムしておけるワケだから、最初にその設定をしておけば事業者側の管理負担は少ない。

これぞ技術による効率化。

「IoTデバイスは、農業や環境のセンサー類など、数が多く、一度使いはじめると長く使うものも多く有ります。これらのIoTデバイスの「通信」における運用・管理も一括操作、自動化させることが「イベントハンドラー」の本来の目的です。SORACOM側に整備することで、現場で実際に利用される方々が、専門的な知識がなくても、少しのシステム設定(もしくはベンダーへの変更依頼)で、SORACOMが使われたソリューションを継続的に利用いただくことにつながるとも考えております」(同社広報)。

モバイル通信を制御することで、きめ細やかなサービス提供を実現することができるのだ。

ソラコムを活用したウェブ・サービスの可能性はやはり大きい

IoTというのは「モノのサービス化」であるという考え方を以前本誌にも掲載したことがあった。

参考記事

この際、サービスにアクセスする方法というのはあまり強調されていなかったが、厳然とこの部分を握っているのはやはり通信キャリアだったりするわけなのだ。通信料金と一緒にサービスの利用料金を回収するモデルは、ハードを「一回の売り切り」だったビジネスモデルから月額課金のサービスモデルへとシフトさせる可能性を大いにはらんでいる。

この日、片山氏以外にも17人の開発者たちが壇上でそのアイデアを語っていた。ほんの1カ月足らずでここまでのユーザー熱を感じさせるサービスも少ない。

彼らがやったのはモバイルデータ通信の自由化みたいなものなのだ。この熱狂がどこまで拡大するのか、本当に楽しみにしている。

おまけ:以下に当日LTした方々のフォトレポートを一部掲載させていただく。

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5分のLT枠でSIMの開封からTwilioによる音声コールまでを壇上で実現。恐るべし。
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福岡からSKYDRIVE社が参加。
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SKYDRIVE社が提供する汎用ピンで使い勝手の良い3Gモジュール。SORACOMの必需品。
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SIMの速度変更をスイッチでやりたいということで実際に作ったそう。
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これをひねるだけでモバイル通信の速度が変わる。モバイラーには大変怖いスイッチだ。
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赤ちゃんの体温計を自作。筐体はなぜか新幹線の駅弁の箱だった。
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自作にかかった費用はたったの1万円。この夜、何度も秋葉原イオシスの名前を耳にした。
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この夜、個人的に熱かったのがこのVoIPだ。SORACOMは音声通話を提供していない。それをVoIPで実現するという。
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自動車で1時間かけてようやくトンネル内で1秒切れる程度だったそう。ていうか実証がすごい。
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渋谷の高トラフィック帯で実際に奥さんに通話してテスト。見事に成功してつながる。3分2円だそう。
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