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共創プラットフォームに必要な「コミュニティとカルチャー」の存在 – ソラコム 玉川憲氏 Vol.3

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」に掲載された記事からの転載 SORACOMというプラットフォーム事業はどのようにして立ち上がったのか。日本を代表するクラウドサービスのエンジニア集団が感じた時代の変わり目、仮想のプレスリリースから生まれた創業へのきっかけ、そしてコミュニティと一緒に立ち上げた初期のソラコム。 前回のインタビューでは「スウィングバイ・IPO」宣言し…

ソラコム 代表取締役社長 兼 共同創業者 玉川 憲氏

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

SORACOMというプラットフォーム事業はどのようにして立ち上がったのか。日本を代表するクラウドサービスのエンジニア集団が感じた時代の変わり目、仮想のプレスリリースから生まれた創業へのきっかけ、そしてコミュニティと一緒に立ち上げた初期のソラコム。

前回のインタビューでは「スウィングバイ・IPO」宣言したソラコムがどのようにして創業期を駆け抜けたのかをお伺いしました。続きとなる今回は、プラットフォームの成長過程についてです。プラットフォームにはクライアントでありパートナーであり、ライバル関係となる利害関係者が複雑に存在することになります。

プラットフォーマーはそこを交通整理しながら、健全なエコシステムづくりをしなければなりません。ソラコムはどのようにしてそこを乗り切ったのでしょうか。(太字の質問は編集部、回答はソラコム代表取締役の玉川憲氏)

プラットフォーム・マネジメント

プラットフォームには多くのステークホルダーが参加していて、それぞれ利害関係が複雑になるじゃないですか。例えば全方位と言いながら、パワーバランスはどこかに働く。その辺りのマネジメントはどのように考えていますか

玉川:インフラストラクチャーのプラットフォームサービスですからおっしゃる通り、全方面で使っていただける必要があります。例えばお客さんのサイズ感にしても、スタートアップとか中小企業も使うし大企業さんも使うし、個人のエンジニアでも使える。ウェブから一枚単位で買えるのでそこの敷居はありません。B2BでありB2Cである。さらにお客様の規模感によって求めるものは全部違ってくるので、チームを分けて、それぞれのニーズに対応する。

エコシステムで対象となるコミュニティをクラスタのように分けて、チームで対応する、そういったイメージですね

玉川:そうですね、例えば個人や中小企業のお客さまで小口で買ってもらった時にいかにすぐ届けられるか、といった体験も重要です。ヤマト運輸さんにネコポスという仕組みがあるんですけど、これを使って必要なSIMやデバイスを小口ですぐに届ける仕組みにしてるんです。また、IoTをはじめようとすると、通信のみならず通信モジュールも必要なので、SIMや通信モジュールに加えて温湿度センサも含めたスターターキットを用意したり。

大企業さんは大企業さんでまた全然違います。ソースネクストさんのようなケースであれば、ポケトークを世界中の国で通信できるようにしたい、というお客さま固有の課題を抱えられてるので専任のチームがついて伴走します。さらに、パートナー様は僕らの製品を一緒に売っていくようなケースになるので、違った視点でサポートしています。

当然ながら全てのお客さんにソラコムが相対でフルサポートしていたら間に合わないわけです。このエコシステムを回す上で重要なポイントは

玉川:それぞれのお客様のご要望をお伺いした上で、ソラコムとしてはどの部分を共通機能としてプラットフォームとして提供できるか、その勘所が重要になると思っています。そこにおいては、エコシステムの中でも開発者を含むユーザーコミュニティはすごく重要なんです。

お客様が、パッションを持って何かに取り組まれたときに、そこにソラコムを役立てて頂いて、さらにこんな機能があったらもっといいのに、とフィードバックをもらえる。このフィードバックがあるのは非常に有り難いですね。そしてソラコムのチームとしては、改めて5年間やってきていても、ビジョンやミッション、リーダーシップをみんなで共有しているのは大事だなって思っています。「世界中のヒトとモノをつなげ共鳴する社会へ」 というものを掲げていて、それぞれが先ほどお話したライカビリティのようなリーダーシップを行動様式として持っています。

メンバーがリーダーシップを発揮して自律的にコミュニティを動かしていく

玉川:本当にその各方面のエコシステムに自律的に当たっていくんですね。例えば、極端な例でいうと、大企業担当とユーザーコミュニティ担当って全くやってること違うんですよ。売上っていう観点で見たらユーザーミュニティって短期的には全く貢献しないように見えるかもしれない。逆にユーザーコミュニティの視点で大企業担当を見ると、案件のクロージングのサイクルは時間がかかりすぎているように見えるわけです。

こうやってクラスタ毎に全然違うKPIを追いかけていて、それでいてもお互いにとって、それぞれのエコシステムが大事であるってことを理解できるかどうかは根本にビジョンやミッションがあるかどうかですよね。

振り返ってみるとみんな繋がってたって分かるわけですよ。例えばとある大企業でソラコムを使ってもらえたんですね。でもそもそものきっかけは実はそこの担当者が、ユーザーコミュニティに出てきて何かスゴイと知って自分でプロトタイプを動かしてみて。そしたら上司が喜んじゃって、すでにソラコムファンになっていたり。世の中面白いなと思うのはこういった複雑に絡み合うエコシステムなんですよね。

こういった設計はやはり思想的な部分が大きいですね

玉川:僕らは、最初からユーザーやディベロッパーに喜んでもらうため、という考え方があるんです。パッション持ってる人たちにこういった道具をお渡しして世の中をより良い方向に変えてもらう。そこが一貫していると、それぞれのエコシステム間での共感が生まれて、繋がり合っていく。ただこれを継続的に成長させていくのは本当に難しくて。

なんだかんだ言いながら、スタートアップってやっぱりリスクがあることをやっていますから、短期的な数字だったり結果にこだわりたくなる部分もあるわけです。でも変に結果にこだわり過ぎると中長期的な視点が曇ってくるんですよね。(次回につづく)

関連リンク

SORACOMはどうやって共創環境を立ち上げたのか – ソラコム 玉川憲氏 Vol.2

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」に掲載された記事からの転載 グループ入りを果たしたIoTプラットフォームのソラコムは、KDDIとの共創によって買収時に8万回線だった契約数を200万回線にまで押し上げることに成功します。前回のインタビューではグループ入りという選択肢を選んだスタートアップの成長に必要な「余白」の考え方と、そこからさらに視座を上げる「スウィングバイ…

ソラコム 代表取締役社長 兼 共同創業者 玉川 憲氏

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

グループ入りを果たしたIoTプラットフォームのソラコムは、KDDIとの共創によって買収時に8万回線だった契約数を200万回線にまで押し上げることに成功します。前回のインタビューではグループ入りという選択肢を選んだスタートアップの成長に必要な「余白」の考え方と、そこからさらに視座を上げる「スウィングバイ・IPO」の考え方がどのようにして生まれたかについてお伺いしました。

2回目となる今回は、ソラコムの立ち上がりについてです。SORACOMは独自のエコシステムをパートナー企業や開発者たちと構築しています。ゼロからプラットフォームを作るというのはどういうことか、引き続き玉川さんにお話を伺います。

ソラコムはどうやって共創環境を作ったのか

玉川さんたちがAWSの立役者であったことはその後のソラコムの信用に大きく寄与したのでは

玉川:この件についてのアンフェア・アドバンテージはあったと思います。そういう実績のあるチームだったので、なんかやってくれるだろう、という期待感や信頼関係というか、変なことはしない人たちだよね、というのは凄くあったと思いますね。

ただ、会社始めた時って100%の確信のようなものはありませんでした。10人ぐらいの頃ですか、初期のメンバーで話していたのは「正直できると思ってるんだけどできなかったらごめんなさい、でも僕ら食っていけるよね」と。AWSとかもやっていたし、むしろ自分たちで食べていける人だけだったので、リスクを取りに行きました。

2015年9月にイベントで一気にお披露目をしたわけなんですが、そのタイミングで既にパートナーが10社、お客さんもその時点で30社ぐらい利用いただいてたんですね。この辺りはアンフェア・アドバンテージの力だったと思います。

少し巻き戻して、そもそもソラコムというプラットフォーム自体を作る工程はどこから始まったのですか

玉川:一番最初はやっぱりプレスリリースですね。(前職のAmazonでは)伝統的に仮想のプレスリリースを書くんですが、僕は夜中に酔っ払って書いたんです(笑。で、これがなんだかもっともらしく凄そうに見える。やった方がいいんじゃないか、みたいな始まりですね。そこがやっぱり駆動力になってて、じゃあとりあえずとプロトタイプにして一番最初に投資家の方に見せたら絶賛されたんです。

ただ、その投資家に言われたのが「玉川さん、デザインは見直した方がいいよ」、と(笑。

ここから話が広がった

玉川:ソラコムを起ち上げ、お客さんや事業パートナーさん、通信キャリアのパートナーさんにプライベートベータとして持っていったんです。そしたら同じようになんか凄そうだぞと感じていただけたようで、ソラコムさん、まあちょっと一緒にやりましょうか、そんな雰囲気になっていきました。

順風満帆に見えて、でも実際は苦戦していたんですよね

玉川:やはり、ちょっと検討しますみたいなのは多かったですね。プライベートベータの時期は、やっても返事もくれないこともありましたし。ただ、やはりアーリーアダプター層、特に前職でコミュニケーションしていたAWSのコミュニティの方々は心強かったです。彼らは新しくても良いものであればサポートする精神に溢れてるんですよね。

例えばAWSを最初に使う人ってやっぱりセールスフォースも最初に使った人なんですよ。こういう方々の目利き能力はすごいものがあって、いいものはいい、むしろリスクを取って使うことの価値を知ってるんですよね。一般的に普及した後にフォロワーとして使っても別に競争力にはならないじゃないですか。リスクのある状態で使い始めるからこそ競争力になるっていうことを直感的に分かってるんですよね。

となると初期のコミュニティをどう作るか、これすごく重要なポイントになりますね

玉川:実際、ソラコムも最初からコミュニティーを立ち上げさせて貰ってました。大半のユーザーさんもパートナーさんもこういったコミュニティーから出てきてるんですよ。

また、本当に最初から単独ではやってないと言うか、僕らって通信のコアの部分をクラウドで作る会社じゃないですか。その時点でまずAWSに凄い依存しているんです。さらに事業をやろうと思った時に通信の基地局などをお借りしなきゃいけないので、通信キャリアさんにも最初からすごく依存してる。

お客さんでありパートナーである、でも一部では競合するかもしれない。難しい舵取りですね。しかも様々な局面でメンバーがその交通整理をしなければいけないわけですよね

玉川:ソラコムを立ち上げた時に、チームが尊ぶべき行動様式をまとめたリーダーシップステートメントっていうのを作ったんです。その中にライカビリティ(好きになってもらえる能力)というのがあって、我々はプラットフォームビジネスを指向しており、あらゆる企業や個人がお客様でありパートナー様でありえる、だから誰からも好かれるようなやり方を模索しようと。

Likability

一緒に働いて楽しい人に – どんなときもユーモアを忘れず、周囲を力づける。フェアでオープンなプラットフォーム事業を支える一員として、常にふさわしい行動をとる。引用元:ソラコムのリーダーシップ・ステートメントより

仮想のプレスリリースを現実のものとし、コミュニティを中心に垂直立ち上げに成功しました。問題はそこからですよね。どうやってこのエコシステムを回していくのか。そもそも玉川さんのプラットフォームに対する見方から少しお話いただけますか

玉川:プラットフォームの特徴ってネットワーク効果ですよね。多くのお客様やパートナーさんが集まってくると、このエコシステムがどんどん強くなる。僕らが最初にやろうとしていたことっていうのは、誰もが必要なIoTにおける通信のインフラストラクチャ部分を凄く使いやすい形にして提供することだったんです。これをみなさん自身がやろうと思ったらすごく大変なわけで、英語で言うところの「ヘビーリフティング・ワーク(泥臭い仕事)」を代行すればみんなハッピーなので、その泥臭いところをできるだけ巻き取ろうと。

大変というか、圧倒的な技術力やチームに対するアンフェア・アドバンテージのような要素もなければ、なかなか任せてもらえない部分です

玉川:さらに僕らはそこを民主化してみんなに使ってもらおう、と先に進んだんです。「SORACOM」というのはそういったインフラ自体のプラットフォーム事業なんです。

最近は「つなぐを簡単にする」っていう言い方をしているんですが、やっぱり時代が凄く移り変わってきていて、例えば2000年ぐらいからインターネットが面白くなってきたじゃないですか。それをさらに押し上げた契機ってやっぱりAWSのようなコンピューティングのインフラ自体のプラットフォームが出てきたあたりだと思うんですよね。

面白いことをできる人がより身軽に、能動的に行動できるようになった

玉川:パッションを持っていて、こんなサービスを作ってみたいな、という人がすぐそのサービスを試しに作れるようになったんです。それで世の中がどんどん良くなっていった。ただ、2012年とか13年頃でしょうか。ひと通りのサービス化されてきたみたいな感じで新しいウェブサービスの出現にも若干こう陰りが出てきて。

アプリ経済圏が出てきたり、スマートフォンシフトが発生して多様性が出てきた頃ですよね

玉川:そうすると、各業界のアーリーアダプターと言われる方々がWebサービスだけでは物足りず動き出した感があって、さらに当時は「IoT」っていう言葉が使われ始めた頃でした。例えば色んなものから取れるデータを集めて機械学習できれば、モノとモノが繋がるんじゃないか、でもそれってどうやるんだろうといった課題が出てきていたんです。IoTにおける皆にとって大変なヘビーリフティング・ワークのポイントが見えてきて、じゃあそれを僕らが肩代わりするようなサービスが作れるんじゃないかと。(次回につづく)

関連リンク:共創が生み出した「スウィングバイIPO」とはなにか – ソラコム 玉川憲氏 Vol.1

共創が生み出した「スウィングバイIPO」とはなにか – ソラコム 玉川憲氏 Vol.1

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」に掲載された記事からの転載 日本の共創・オープンイノベーションに関わるキーマンの言葉を紡ぐシリーズ、この回はInternet of Things(IoT)プラットフォームを展開するソラコム創業者で、代表取締役の玉川憲氏をお迎えします。 2015年3月に創業したソラコムの、たった5年のスタートアップ・ストーリーには濃密なものがあり…

ソラコム代表取締役社長 兼 共同創業者の玉川憲氏

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

日本の共創・オープンイノベーションに関わるキーマンの言葉を紡ぐシリーズ、この回はInternet of Things(IoT)プラットフォームを展開するソラコム創業者で、代表取締役の玉川憲氏をお迎えします。

2015年3月に創業したソラコムの、たった5年のスタートアップ・ストーリーには濃密なものがあります。テック巨人出身者たちによる創業、鮮烈なデビューと垂直立ち上げ、瞬く間の大型買収。発行済み株式の過半数を取得したKDDIは、創業わずか2年の企業に数百億円という評価を付けた一方、その当時のソラコムの契約実績はわずかに8万回線のみ(買収当時は非公開)でした。

そこから3年。

ソラコムはKDDIとの絶妙なコラボレーションを成功させ、契約回線数を一気に200万回線にまで押し上げることに成功しています。大型契約となった日本瓦斯(ニチガス)ではLPガスのスマートメーター化の共同開発に成功し、もうひとつのヒットとなったソースネクストの翻訳機「ポケトーク」は今年2月時点で70万台を記録しました。共にソラコムが提供するIoT SIMの回線管理技術が組み込まれたものです。

2010年代の国内スタートアップシーンを代表する共創事例の裏側には、どのような意思決定があったのでしょうか。玉川さんにまず、先日公表された「スウィングバイ・IPO」の背景からお伺いすることにしました。

買収を成功に導いた「余白」部分

2017年の買収時、評価額は大型ながら過半数の取得に留めることで「余白」を残しました。成長期待の手法としてはアーンアウトなど他の手法もありますが、この余白の設計が後々の成長に寄与した部分は大きかったのではないでしょうか

玉川:アーリーステージのテックスタートアップにおいては、買収されたチームがモチベーションを失うことなくビジョンに邁進することをどう担保できるかっていうのがやはり重要だと思うのです。結果論ですが、この余白の設計がやはり上手でした。

あと信頼関係も大きいですね。髙橋(誠氏・KDDI代表取締役社長)さんはもちろんですが、前田(大輔氏・KDDI技術企画本部副本部長)さんや新居(眞吾氏・ロイヤリティマーケティング代表取締役副社長)さん、松野(茂樹氏・KDDI経営戦略本部副本部長)さんなどの担当いただいたみなさんとの信頼関係があって、チームとしてはやっぱりこう責任を果たしたい、成功させたいっていう思いが凄く、そういったものが集結した感じですかね。

買収後にある程度の成長が見えた。このタイミングでの「スウィングバイ・IPO」宣言はなぜ必要でしたか

玉川:まず「スウィングバイ・IPO」宣言の背景をお話しますね。ソラコムとしてKDDIに買収された時に5年分ぐらいの成長ラインを描いていたんですが、それが見えてきた結果、その後どうなるかっていうとやっぱり利益に走るんですね。しっかり投資してきた結果の成長ですから、それが見えたのであればそこそこ投資は絞って、つまり人もそこまで無理やり突っ込まないで利益を上げていこうってなります。

そこで髙橋さんやみなさんに相談したんです。これはもっと突っ込んだらもっといけるんじゃないですか、と。ソラコムが本当に世界でも使われたらもう一桁違うレンジまでいけるじゃないですか、ソレをやってみませんかっていう話をしたんですね。

視座をここで上げる

玉川:確かに私自身、まだ面白そうだなってやっぱり分かって。(ここからIPOをマイルストーンに置くと)投資に対する考え方とか事業計画の作り方、何人採用するのか・・などなど、その一歩先の未来を考えるようになるじゃないですか。グローバルなプラットフォームで、日本企業を含むグローバルなお客さんにも使っていただきたいですし。

そう考えるとあくまで成長のひとつの手段としてですが、IPOという手段が浮かんでくるんです。

特に海外での展開を考えると、各インダストリーのトップ・プレイヤーと一緒に中長期の取り組みができれば、3〜4年後に全然違う世界観が見えてくる。だったら資本政策も含めて、事業会社とも密にやれる仕組みが作りたいよねという話になったんです。もっとニュートラルでオープンなプラットフォームとして色々な会社に頼ってもらえる。

わざわざストラクチャを変えることの意味がしっかり理解されないと誤解を生むケースもありますよね

玉川:そうですね、髙橋さんやKDDIのチームのみなさんに仰っていただいたのが、これをポジティブにマーケットに捉えて欲しいねと。実際、KDDIに入ったことでソラコムは8万回線から200万回線まで伸びて「じゃあIPOを検討します」だと、あれ?何か悪くなったのかな、と詮索を生む可能性もありますからね。だから、さらに成長していくために、スウィングバイ・IPOというメッセージを考えて、積極的に出そうとなったんです。

実はこの「スウィングバイ(注: 宇宙用語で、惑星探査機が遠くまで行く時に惑星の重力を使って加速する方法)」という言葉、元々は2017年にKDDIに買収された時にチームの中で決めた標語なんです。KDDIに入るけど、KDDIの力をお借りして、もっと飛んで行こうよと。

で今回、何か良い考えある?って髙橋さんに言われて。2017年の標語にIPOをつけると良いんじゃないかと思いました。ただ、スウィングした後、これ戻ってくるんだよねと釘を刺されましたけどね(笑。

少し話を変えて当時、相当に話題となった買収時の企業評価について。結果的に当時の契約数が8万回線で、当然ながら相当な「期待値分」が純資産に乗っかったわけです。ここにはどういう意思決定がありましたか

玉川:ソラコムを発表したのは5年前のイベント(日経BP主催 ITproEXPO 2015)ですが、大きく注目されたものの、実際には売れたSIMの枚数はたったの223枚だったんです。

確か賞レース関連総ナメしてましたよね

玉川:はい(笑。確かに外向きには垂直立ち上げに成功したようにお話していたんですが、実態はそんな感じでした。ただ、時間をかければ絶対うまくいくと、確信がありました。でも、IoTの機器の中にSIMを埋め込んでもらうって凄い時間軸ですからね。時間は掛かるというのもあって一緒にお付き合いいただけるパートナーを探さなければいけませんから、その当時からKDDIさんにもお話させていただいていました。

最終的になぜKDDIと共創すると決めたのですか

玉川:何人かキーマンがいらっしゃるんですが、やっぱり髙橋さんはインパクトがありました。髙橋さんと初めてお会いしたときに一言目が「面白いですね」だったんですね。で、髙橋さん天才ですから、もしかしたらぱっと話をした瞬間に全部理解されたのかもしれないんですが、まあ、普通に考えると難しいですよね。

でも、この一瞬だけでソラコムが本当にやってることを「面白い」と言っていただけた。

それとソラコムの買収はKDDIにとってもユニークなケースだったと思うんです。色々な買収をやられていた中で、アーリーステージかつテックスタートアップを買収するっていうのは多分、ほとんどやっていなかったんじゃないでしょうか。(こういう前例が少ないケースで)買収した会社をどうやって利するかではなく、どうやって成長させるかを考えようという明確な方針を打ち出していただいたんですね。

で、僕らは「その船だったら乗れる」と強く思いました。ただ髙橋さんにはもう一つ、KDDIが後ろから押すと凄い圧力だからそこは自分たちで制御してね、とも言われました(笑。

スタートアップによっては押されて前に倒れて潰れちゃうケースもありますからね

玉川:KDDIにはここに至るまでの(共創)活動で、ベストプラクティスなノウハウが溜まっていたんじゃないかなと思うんですよね。集大成的にやるべきじゃないことはやらないし。結局は自分で考えて自分で走ってねと。助けてと言えばヘルプするし、ヘルプって言わなかったらしないよ、っていう方針だったと思ってます。一方、スタートアップを買収するっていうのは例えば「減損リスク」みたいなのもあるわけで、一緒にこういうハードルを超えていかなきゃいけない。

我々としては信頼関係があって託された思いというか、責任をしっかり果たさなきゃと思ってました。「スウィングバイ・IPO」というのは、この3年でクリアできたという意味での次のステップなんでしょうね。(次回につづく)

KDDI「200億円買収」のソラコムが急成長、IPOも視野にーーグローバル展開の秘策を語る #discovery2020

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買収から3年、創業5年のソラコムが新たな成長への歩みを始めるようだ。 今日、オンライン開催となったソラコムの年次カンファレンス「SORACOM Discovery 2020」の壇上で発表された成長戦略の中には明確に「IPO」の文字が刻まれていた。創業から2年、200億円という高評価でKDDIグループ入りしたIoTプラットフォームのソラコムが3年という時間でどのように成長し、そして次にどこに向かおう…

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ソラコム共同創業者、玉川憲氏と安川健太氏(写真提供:ソラコム)

買収から3年、創業5年のソラコムが新たな成長への歩みを始めるようだ。

今日、オンライン開催となったソラコムの年次カンファレンス「SORACOM Discovery 2020」の壇上で発表された成長戦略の中には明確に「IPO」の文字が刻まれていた。創業から2年、200億円という高評価でKDDIグループ入りしたIoTプラットフォームのソラコムが3年という時間でどのように成長し、そして次にどこに向かおうとしているのか。

イベントに先立って、ソラコム創業者で代表取締役の玉川憲氏に話を伺った。彼らが創業から目指し続けた「グローバル・プラットフォーム」への一つの「解」と共にご紹介したい。

200万回線

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買収時に8万回線だったSORACOM、3年で200万回線へ(資料提供:ソラコム)

Internet of Things、モノのインターネット化に必要不可欠な通信環境をクラウドでコントロール可能にし、あらゆる機器のサービス化を実現したのがソラコムの提供する「SORACOM Air」だった。衝撃的なデビューから約5年、今年の6月末には200万回線の契約を公表している。

この数字、実は3年前にKDDIが高評価で買収した際には8万回線と多くなかった。契約しているアカウント数(※法人と個人を含む契約者数で回線数とは別)は7000アカウント(現在は1万5000アカウント)とある程度のボリューム感があるものの、ビジネスとしてまだ各社が手探りの状態だったからだ。ユースケースとしても自動販売機のメンテナンスやスタートアップのIoT機器(まごチャンネルやWHILLは良い事例)への利用などバラエティに富むものの、数字という面ではインパクトに欠ける。

これを大きく変えたのが日本瓦斯(ニチガス)とソースネクストの事例だ。ニチガスではLPガスのスマートメーター化を進め、2020年度中の85万回線を見込む。一方、ソースネクストは翻訳機「ポケトーク」が大ヒットし、こちらも2020年2月時点で70万台を記録している。ここにはソラコムの「eSIM」技術が採用され、ユーザーはわざわざモバイル通信契約を意識することなく翻訳サービスを利用することができるようになっている。

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ニチガスのスマートメーター事例(資料提供:ソラコム)

結果、KDDIグループ入りしてから1年後の2019年6月には100万回線、そしてその1年後に200万回線をマークするようになった。KDDIもまた別口で法人向けIoT回線契約を2000年頃から提供しており、グラフの通り綺麗な成長曲線を描き始めている。

もちろん、ソラコムについてはその数字の大半は大口2社の契約であることは確かだが、それでもその可能性のある企業が彼らのネットワークに1万5000アカウント以上が存在している。具体的な事例は明かせないとしつつも、決済関連は非常に有望だそうで次のヒットの可能性は充分すぎるぐらいにあるだろう。

グローバル化への壁:ローミング問題を超える

今日の発表で最も(関係者にとっては)インパクトのある内容が「サブスクリプションコンテナ」だったのではないだろうか。国境を超えた通信価格がエリアによって7割以上も安くなる、IoT関連サービスを世界展開する際のローミング問題を解決する技術だ。

簡単に説明しよう。通常、モバイル通信(私たちが普段使ってるスマホも含め)を海外で利用する場合、現地のSIMを買うか、ローミングして日本のキャリアから海外キャリアへ再接続して利用することになる。

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サブスクリプションコンテナを使えば現地価格の通信がSORACOMの体験を通じて利用可能に(資料提供:ソラコム)

現地SIMは現地キャリアの価格で利用できるものの、購入したり、プリペイドの契約、追加チャージなどがめんどくさい。ローミングはそのまま国内キャリアが使えて便利な反面、価格に反映されてしまう。

IoT機器でも同じことが発生していた。ソラコムのIoT回線サービスを海外で使う場合、提携する海外キャリアにローミングして使う以外に方法がなく、例えば可愛らしいロボットにSIMを入れて日本から海外販売する場合、ローミングした通信費がサービスに乗っかってしまう。一方、現地の回線をロボット事業者が独自に入れようとすれば、各国でキャリアと交渉・契約し、さらにSORACOMのような管理ツールなしにユーザーとの契約を管理する必要が発生する。

もちろんほぼ不可能な話だ。

これを仮想的に実現したのが今回発表されたサブリプションコンテナの考え方だ。イメージとしてはeSIMに近く、SORACOMのプラットフォーム上で事業者サイドが各国の回線契約自体を切り替えることができるので、ローミングと異なり契約そのものが現地キャリアのものになる。結果、前述したような7割〜最大9割という大きな値下げが期待できるようになる、というわけだ。

実はこれまでもSORACOMはカバレッジとしてグローバル(ローミング)と特定地域を分けて提供していたのだが、今回発表されたサブスクリプションコンテナの機能を使えば利用できるエリアの範囲はGSM/3Gで148カ国・296キャリア、LTEで76カ国・148キャリアに拡大する。

実際に国を切り替えるデモを見せてもらったがワンクリックで終了とあまりにもあっけない。これで事業者は出荷する先の国を世界主要都市から選ぶことができるようになるのだ。

取材時、玉川氏が「これでようやく真のグローバル化が見えてきた」と感慨深そうに呟いていたのが印象的だった。

IPOも視野「スウィング・バイ」オープンイノベーション

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ソラコムとKDDIの取り組み(資料提供:ソラコム)

ソラコムの創業は2014年11月。翌年3月から玉川氏が前職(Amazon Web Service)を離れて本格的に事業を開始し、2015年6月にはInfinity Venture PartnersおよびWorld Innovation Lab(WiL)から7.3億円を調達。第一弾となるサービス「SORACOM Air」を公開した。

サービスインから約半年の翌年2016年5月には シリーズBラウンドでやはりIVPとWiLから24億円を調達。そして2017年8月にKDDIが過半数を200億円で取得するという「ザ・スタートアップ」の物語だった。

ただこの買収劇の時、なぜ全株ではなく過半数だったのかやや不思議な気持ちがあったのも事実だ。しかしこうやって振り返ると、当時の回線契約はたった8万回線。玉川氏がよく話していた「グローバル」の規模感からはほと遠い位置だったことがよくわかる。まだ何も成し遂げていない状態だったのだ。

連結の営業利益1兆円を超えるメガ企業にスタートアップがどこまでインパクトを残せるのか。

ここまでの3年間は両社合わせて1400万回線というIoT市場の拡大・牽引が分かりやすい結果として残った。この市場をグローバルサイズにするために、両社が取った決断はソラコムの株式上場も含めた独立的な成長路線になる。

今後、グローバル展開を本格化させようとすると、場合によって各国のキャリアやキープレーヤーとの資本を含めたパートナーシップ戦略が必要になってくる。また、優秀な人材も集めなければならない。こういった機動力のある、資本も含めた経営戦略は独立も視野に入れた方がやりやすいと考えたのだろう。

具体的な計画は(上場するかも含めて)まだこれからの話だが、これだけの成長株が公開されることになれば話題になるのは間違いない。ちなみにKDDIはもうひとつのオープンイノベーション施策として「非通信業」のスタートアップを買収したマーケティング・グループ「Supershipホールディングス」を形成し、こちらも上場を目指すとしている。

玉川氏は今回の成長に向けた戦略を「スウィングバイ」と表現していた。巨大な惑星の引力を活用してより遠くに飛ぼうとする飛行方法だ。大企業が新たな成長を目指す上で新しい概念や技術をいち早く取り入れ、市場を開拓するオープンイノベーションの新たな展開としてもソラコムの事例は引き続き注目に値するのではないだろうか。

AmazonにとってのAWS同様「KDDIにとってのソラコム」でありたいーーKDDI 連結子会社化の道を選んだソラコム玉川氏インタビュー

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今朝お伝えした通り、KDDIはIoT通信プラットフォーム「ソラコム」の株式を取得して連結子会社化する。ソラコム広報部に確認したところ、譲渡する株式は全てではなく過半数をKDDIが取得して連結子会社化するというのが正しい。また、その取得金額について報道では200億円という金額が出ており、この金額が全株式取得時のものなのかどうかについてはノーコメントということだった。 国内でメルカリと並び、ユニコーン…

ソラコム代表取締役の玉川憲氏

今朝お伝えした通り、KDDIはIoT通信プラットフォーム「ソラコム」の株式を取得して連結子会社化する。ソラコム広報部に確認したところ、譲渡する株式は全てではなく過半数をKDDIが取得して連結子会社化するというのが正しい。また、その取得金額について報道では200億円という金額が出ており、この金額が全株式取得時のものなのかどうかについてはノーコメントということだった。

国内でメルカリと並び、ユニコーン(1000億円の企業評価)の可能性が高いとの呼び声高かったソラコムにどのような決断があったのか。ユーザーへの影響、今後のビジネス展開を含め、代表取締役の玉川憲氏に話を聞いた(太字の質問は筆者。回答は全て玉川氏)。

買収について

KDDIからも公式発表がありました。まずは経緯から。どのタイミングでお話が始まり、具体的な打診、その後の決定まで時間軸で話せる範囲を教えてください。

まず、今回の報道内容についてはKDDIから公式発表があったのが正しい情報です。一部報道では全株式をKDDIが取得としていましたが、実際のところは過半数を持ってもらい、連結子会社化するというのが正しい内容になります。また、この件については後日にKDDIと共同で発表会を開催しますので、今回は私たちソラコムとして回答できる範囲になります。

その上で、去年からKDDIとは独自の回線サービスでコアを提供していた経緯もあって付き合いは長く、一昨年のサービス開始以降、企業間の関係としては密だったんです。

私たちもグローバル展開の際に必要となる資金やさらなる成長について継続的に考えていたので「世界中の人とモノを繋げる」というビジョンを実現するためにはIPOがいいのかM&Aがいいのか常に検討していました。今回はそのタイミングがきた、ということです。

200億円という評価について、これまでの調達額(7.3億円と30億円の調達で現在の同社資本金は37億)から考えると妥当かなとも思うのですが、一方で想定している世界観(全てがつながる世界)や順調なクライアントワークをみるともう少し強気な評価があってもよかったのではと思うのですが?

この件についてはノーコメントとさせてください。

2014年11月設立、2015年3月の本格創業から数えて約2年半で、大資本の傘下に入る意味・メリットをどう考えて判断されたでしょうか

本当にここはエントランスと考えていて、今後の展開でひとつハードルがあったんです。それがこれから始まるであろう5Gへの取り組みでした。現在、セルラー網とLPWAでネットワークを提供していますが、新規格となるNB-IoTへの取り組みはまた新たにキャリアと交渉が必要だったんです。

なるほど。ソラコムのサービスインにMVNOの契約が必要だったように新たな規格でもまたその交渉が必要だったと

5Gは高速な通信を可能にするのと同時に、低消費電力を実現するNB-IoTという規格があります。自分たちがMNNOでいる限りいずれかのキャリアと契約しなければならず、これがボトルネックでした。さらにキャリアはこういった新しい規格をすぐにMVNOみたいに開放するとは限りません。

今回の座組みによってハードルが下がったと

LPWAがどう広がるかは想像できませんしLoRaWANやSigfoxなどのそれぞれの規格にメリット・デメリットがあります。NB-IoTの良いのは既存のセルラー基地局を使えるところでカバー率がやはり違います。

報道されている金額が事実であれば大型買収です。今後のKDDIグループでの役割が気になりますが何かそういうお話はありますか?

こちらも詳しい話は発表会で。ただ創業して短い期間で大企業がテクノロジー系のスタートアップを高く評価してくれたというのはあります。

私たちとしては「Amazonの中のAWS」と同様に「KDDIの中のソラコム」でありたいと思っています。ある時はビッグカスタマーであり、ある時はおしみない協力者でもある、そしてそこで得た力をプラットフォームとして他社に提供する。

これは完全に私見で何も調整していませんが、ソラコムは自分たちで開発し、自分たちで運用してきました。これはエンジニアにとって本当にいい環境だと考えています。今後、KDDIグループ入りしてもし機会があればエンジニアでやる気のある方々にそういう環境を提供したいですね。そういう意味でもグローバルベンダー(の傘下に入る選択肢)もあったんですが、やはり日本発グローバルと言うのはこの方法しかないと。

プラットフォームとしてのポジショニングについて

KDDIはAmazon Web Services(AWS)の導入支援などを手がけていたアイレットを買収するなど、クラウド・IoT方面にはオープンなイメージがあります。一方でソラコムはMVNOで初期にドコモ回線を活用していました。またグローバルでも特定キャリアへの依存などはなかったわけですが、今後、KDDIと一体化することで全方位プラットフォームとしての戦略にどのような影響があるでしょうか

まず、ドコモ回線のMVNOについてはそのまま継続します。これはビッグローブ買収で彼らが提供するMVNO回線が実はドコモだったりしていたので前例はあるんです。また、おっしゃられる通りKDDIさんはアイレットさんの買収などに見られるようにクラウドについてはオープンな考え方でここは私たちと近い部分があります。

より具体的にはKDDIとはコアを開放してOEM的なサービスを提供していました。今後、国内の他キャリアに同様のスキームは提供されないのでしょうか?

国内についてはドコモさんの回線を使ったMVNOとしてソラコムはサービス提供をしていますし、KDDIさんはソラコムのコアネットワーク「SORACOM vConnec Core」を用いた独自のサービスを展開中です。海外は手付かずですからより加速させていきます。

ユーザーに対しての影響

KDDIと一体化することで利用ユーザーに対してどういうメリット・デメリットが想定されるか教えてください。(価格、サービス、提携など)特に価格については特に今後のIoTサービス拡大に向けて重要なポイントになります。KDDIとの間で戦略的な価格設定など具体的な話などありますでしょうか。

これについても発表会をお待ちいただければ。

ソラコムはパートナー企業とエコシステムを構築していました。何か変化はありますか?

特に変わりはありません。ソラコムのユニークなモデルはクラウドからAPIを通じてモバイル通信をコントロールできるので、これを使えるデバイス、ソリューション、インテグレーションのパートナーのみなさんが必要になります。グループ入りしてもブランドや開発陣など全て今まで通り展開します。今後にこのエコシステムを海外展開していくのもこれまで通り同じです。

グローバル展開について

グローバル展開は当初から一件あたりの利幅が薄いビジネスモデルのソラコムにとって最重要課題であるとみていました。今回の一手でどのような未来が待っているのか、考えを教えてください

発表会での内容をお待ちいただきたいのですが、現時点で7000ある契約者数アカウントの内、800アカウントが海外なのですね。これをひっくり返したいですね。

今回のグループ入りでセルラー網も手に入れた。クラウドは全方位で連携している。「あらゆるものが繋がる」世界観に足りないピースは?

これで通信網とクラウドのありとあらゆる組み合わせを提供できるようになりました。しかし今もまだ顧客からのフィードバックは多く、私達はこれらのフィードバックをベースに、何をどう共通基盤に組み込むか、優先順位を付けてサービス開発しています。そういった観点では、データの交換やディープラーニングの提供などの技術要素についてはよく話題になるのですが、どういう形で共通基盤として提供するかが重要だと思っています。引き続きスピードを落とすことなく、SORACOMプラットフォームでの新サービスを提供開始し、お客様に喜んでいただきたいです。

ありがとうございました。

月額基本料金45円ーーソラコムが新たな低額料金プランを公開、「モノのサービス化」を実現するインフラを提供へ

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ソラコムのニュースはいつも頭を悩ませる。広がる世界観をどうやって言葉にすればいいか分からなくなるからだ。ひとつ言えることは間違い彼らは世界を変えつつある、ということだ。 …ということでニュースから見ていくことにしよう。 Internet of Things(以下、IoT)向けの通信プラットフォーム「SORACOM」を展開するソラコムは5月10日、データ通信サービス「SORACOM Air for …

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資料提供:ソラコム

ソラコムのニュースはいつも頭を悩ませる。広がる世界観をどうやって言葉にすればいいか分からなくなるからだ。ひとつ言えることは間違い彼らは世界を変えつつある、ということだ。

…ということでニュースから見ていくことにしよう。

Internet of Things(以下、IoT)向けの通信プラットフォーム「SORACOM」を展開するソラコムは5月10日、データ通信サービス「SORACOM Air for セルラー」で少量のデータ送受信専用の料金プラン「Low Data Volume」を発表した。5月16日から日本および米国で提供開始される。国や地域によらず固定となっており、基本料金は月額0.4ドル、データ通信量は1MBあたり0.5ドル(共に米ドル)で利用可能。1KB単位で課金される。

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新料金プランの提供エリア

通常のSORACOM Air for セルラーは国によって料金は変動するが、例えば米国の場合、データ通信料は1MBあたり0.08ドルだったので割高となる。一方で通信開始後の月額の基本料金は1.8ドル(中断中はディスカウント)だったので今回の新プランの方が安くなる。

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資料提供:ソラコム

これは移動体の位置情報追跡やインフラ監視など月次におけるデータ利用量がごくごく少量の場合に適したプランとなっており、月に1MB程度の利用であれば従来プランでSIM1枚あたり1ドルを切るコストで運用が可能(SIMカード購入にかかる初期費用5ドルは別途必要)となる。ソラコム代表取締役の玉川憲氏によればこういった少量データでの利用は設置数量も多く、千や万といった単位になることから相応に負担コストも大きくなりがちで、対応するプランの提供が待ち望まれていたそうだ。

同社は今回のリリースに合わせ、SORACOM Funnelの機能拡張認定パートナー追加LoRaWANデバイスのオープン化などについても新たな動きを公表している。

あらゆる「モノがネットにつながる」本格的なIoT時代のインフラ

さて、ではこの新たなプランが指し示す意味、本格的なIoT時代についてほんの少しだけ考察してみたい。

ソラコムが提供しているのは、セルラー事業者が提供するモバイル通信網のMVNO(仮想移動体通信事業者)だ。このMVNOは格安SIMという言葉を生み出し、主要キャリアとの差別化を図ることに成功している。しかしソラコムはこのモバイル通信を人ではなく「モノ」が利用する用途に特化して展開した。いわば、主要キャリアが大動脈であれば、格安SIMを提供する一般的なMVNOはその他の血管、ソラコムはさらに細かい毛細血管のような存在、と言えばいいだろうか。ここでの同社の差別化ついては過去の記事を参照いただきたい。

人よりもモノの通信の方が当然数が多くなる。今回の利用用途として挙げられている死活監視はわかりやすい例になるかもしれない。

工場にあるロボットが動いているかどうかといったことから、最近の自動運転技術の躍進に伴って、今後は工場ではなく一般の生活フィールドで活躍する自動運転車や無人機(ドローン)も増加することが想像できる。農業耕作地で何台もの機械が刈り取りをしている状況を遠隔で監視するようなシーンだ。もしかしたら1台につき、トラッキングする情報が複数に分かれる場合もあるかもしれない。

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資料提供:ソラコム

1つのモノに対して数枚のSIMを刺して小さな通信を大量に管理する。当然、事業者として考えるのはコストの問題だ。ソラコムが今回提供したプランはほとんどデータが飛んでこないような場合、前述の通り、数十円での運用を可能にしている。これが可能にすること、それは本当にありとあらゆるモノに通信を埋め込める環境が現実的になった、ということなのだ。

自分の持っている衣服やペン。こういうものにモバイル通信が入る世界を想像できるだろうか?

モノがある程度揃って便利になった世界のその次、モノそのものがサービスになる世界観。インクがなくなったら自動的に補充されるペン、自分の健康管理をしてくれる衣服、これを実現してくれるのが彼らのインフラなのである。

もちろん通信だけでなくバッテリーの問題やデバイス、ビッグデータ収集や処理の課題もあるので、こういう世界が今すぐやってくるわけではない。

今回、同時のタイミングで発表されたLoRaWANデバイスのオープン化も実は大変興味深い動きなのだがそれも併せて考えると、このソラコムの深い森から帰ってこれない気がするので今回の考察はここまでとして、また次回、機会があればまたまとめてお伝えしたいと思う。

「通信量込月額9980円」で15キロ圏内の広域ネットワーク構築を可能にーーSORACOM LoRaWAN がシェアリングの概念で安価な IoT 通信を実現

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ソラコムが昨年5月に発表したとあるプランが正式公開する。ーーしかも相当にパンチの効いた内容だ。詳しく説明しよう。 「モバイル通信のクラウド化」を推進する IoT 通信プラットフォーム「SORACOM」を提供するソラコムは2月7日、省電力広域(LowPowerWideArea、以下 LPWA)の通信方式のひとつ LoRaWAN 対応を正式に発表した。これに伴い、同社の提供する「SORACOMAir」…

ソラコムが昨年5月に発表したとあるプランが正式公開する。ーーしかも相当にパンチの効いた内容だ。詳しく説明しよう。

「モバイル通信のクラウド化」を推進する IoT 通信プラットフォーム「SORACOM」を提供するソラコムは2月7日、省電力広域(LowPowerWideArea、以下 LPWA)の通信方式のひとつ LoRaWAN 対応を正式に発表した。これに伴い、同社の提供する「SORACOMAir」にて既存のモバイル通信方式である「セルラー(3G / LTE)」に加えて「LoRaWAN」が扱えるようになる。

また、この LoRaWAN を利用するために必要な通信基地局に相当する LoRaゲートウェイと、この通信を受信するために必要な LoRaデバイスを本日より販売開始する。料金体系については占有モデルと共有モデルについて解説が必要なため後述する。

この LoRaWAN は昨年5月にソラコムが資本業務提携を発表した M2B コミュニケーションズと7月から実証実験(PoC)キットを販売しており、今回の正式サービス発表に繋がった。LPWA および LoRaWAN については前回記事を参照いただきたい。

大型調達のソラコムが出資側にーー誰もが15キロ圏内の広域ネットワーク事業者になれる新たな展開を発表

通信量込みで月額9980円からーーIoT サービス事業者が基地局を持てる時代に

ソラコムの LPWA 事業参入は昨年発表されたもので(これはこれでもちろん相当衝撃的なのだが)今回発表された新サービスも想定通りのものだった。だが、ひとつ想像をはるか斜め上に飛んでいく内容があった。

それが価格だ。

LoRaWAN は前回記事を参照いただけば分かる通り、ある狭小エリアに対して専用のゲートウェイ(ソラコム謹製 SIM 入り)を設置すれば、その約15キロ圏内でプライベートネットワークを構築することができる。雑に言えば、家庭に置いてある自分だけの無線LANが都内で使えるみたいなイメージのものだ。

家庭用の無線LANネットワークだったら家族の写真や、プライベートなデータを家族間でやりとりするようなこともできる。つまり、LoRaWAN はそういった特定用途のサービスをもうちょっと広いエリアで、しかも自分がサービス事業者として第三者に有償で提供することができるものになる。

例えば特定エリアの介護者の行動データや、道路などの生活インフラの破損状況などの情報、水道メーターやパーキングメーター情報の遠隔収集などなど「毎回の通信量は多くないが長期に渡って安定した通信が必要」なサービスに向いている。

つまりこれらは、私たちが普段使っているスマートフォンの通信とは全く異質なデータを扱うサービス、とも言える。ここをターゲットにしたのが LoRaWAN、ということなのだ。

前置きが長くなったが、ではこの通信を幾らで使えるのだろうか。

ソラコムの発表では二つのプランを用意している。基地局となるゲートウェイを占有(自由に設置、移動)できるプランは1台あたり6万9800円の初期費用と月額3万9800円(2台目以降は2万9800円/同一オペレーターの場合のみ)。他者とゲートウェイを共有、設置場所等の情報を公開する共有プランは2万4800円の初期費用と月額9980円が必要になる。

昨年の参入発表時にはゲートウェイの価格が数十万円と言われていただけに、共有プランの価格はサービス提供者の広がりを得られそうな内容ではないだろうか。

そしてさらに驚きなのが通信料金だ。なんと、この月額料金に通信料が含まれているのだ。

ソラコムが提供している月額費用例を見ると、例えば遠隔地でゴミの量が分かって廃棄タイミングを伝えるような「IoT ゴミ箱」を想定し、1日144回の少量通信を行った場合、エリアに設置するゲートウェイが4台で、2000台のゴミ箱の情報をカバーして月額3万9920円という試算を公表している。

1台にすれば月にかかる通信費用は基地局含めて19.9円しかかからない。サービス事業者がもしこの「ゴミの量が可視化できるインターネットゴミ箱」を月額1000円で貸し出せば、なかなか現実的な商売になるのではないだろうか。なお、通信には専用の発信側モジュール(LoRaデバイス)が必要で、こちらは7980円にて販売される。

ソラコム代表取締役の玉川憲氏の説明では、よりセキュリティなどの要件が高まる企業利用には占有プラン、モバイル通信の共有というチャレンジングな領域に興味ある事業者は共有プランを積極的に活用するのでは、という見立てだった。

共有プランでは事業者が設置したゲートウェイをウェブサイト「SORACOM LoRaSpace」にて情報共有する。既に誰かがゲートウェイを設置していれば、そのゲートウェイを間借りすることで広域ネットワークを活用することが可能になる。(この場合も月額費用等は必要)

共有プランでゲートウェイを設置する先行者メリットみたいなものは?という質問に玉川氏は、様々なキャンペーンを通じてアイデアを考えたいという意向だった。例えば設置に協力した事業者は更に月額費用が安くなるといったメリットも出てくるかもしれない。

最近、ソラコムを活用したエンドユーザー向けサービスを散見することが多くなった。これまで国や特定キャリアのコントロール配下であった通信インフラがソラコムによって「民主化」された時、どういうサービスが広がることになるのか。本当に興味深いサービスだと思う。

修正補足:記事初出時に共有モデルの月額費用を9800円と誤表記いたしました。正しくは9980円です。訂正してお知らせ致します。

ソラコム SIM が米国 Amazon で一枚から買えるように、世界展開の本格開始と新たなデータ蓄積・可視化「Harvest」発表

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ソラコムは11月30日、Internet of Things(以下、IoT )向けのモバイル通信・管理プラットフォーム「SORACOM Air」の米国での本格的な展開開始を発表した。米国に拠点のある事業者はデータ通信 SIM カードを1枚単位で購入することが可能で、従来国内で提供されてきた SORACOM Air および提供される全サービスを米国内を始め世界で120の国と地域で利用できる。 米…

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ソラコムは11月30日、Internet of Things(以下、IoT )向けのモバイル通信・管理プラットフォーム「SORACOM Air」の米国での本格的な展開開始を発表した。米国に拠点のある事業者はデータ通信 SIM カードを1枚単位で購入することが可能で、従来国内で提供されてきた SORACOM Air および提供される全サービスを米国内を始め世界で120の国と地域で利用できる。

米国国内では AT&T と T-Mobile のネットワーク( 2Gと3G )が利用でき、初期費用は SIM カード1枚につき5ドル( Amazon では送料が別途必要)。データ通信料は 1MB あたり0.08ドルからとなっており、ボリュームディスカウントなどの設定がある。

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海外で展開する ioT デバイスを国内からコントロール可能

なお、従来通信開始前にかかっていた基本料金は1年間まで無料となり、データ通信開始後も0.06ドル(一カ月連続使用で1.8ドル)と日本国内で設定されていた料金よりも安価になっている。同社代表取締役の玉川憲氏によれば、データ通信開始前の基本料金を無料にすることで機器にSIMを挿したまま在庫するような時のリスクを軽減する狙いがあるという。

これらの料金設定は全て国内のものとグローバル対応のもので違っており並行運用されることになる。(米国で購入したグローバル版を国内で利用することも可能だが、その場合はグローバル料金体系が適用される)

同社では今後、グローバル対応 SIM を順次世界各国で販売する予定だという。

データ可視化サービス「Harvest」

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ソラコムは今日、もう一つの新サービス「Harvest」も公開している。収穫という意味の同サービスが提供するのは通信データの蓄積と可視化で、従来 SORACOM プラットフォーム上で利用される IoT 機器類のデータ通信状況は各社がサーバーやダッシュボードを構築して独自に作成する必要があった。

これを簡易な状態ですぐに可能にしたのが Harvest だ。(ちなみにソラコムは Air に始まり、Beam Canal とオプションサービス名をABC順に付けており、今回は「H」の出番となった)

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ユーザーコンソールから Harvest を利用設定して IoT デバイスから指定のエンドポイントに対してデータを送信することでデバイスに設置されている各種センサーから位置情報や温度といったそれぞれのデータを SORACOM 上に蓄積し、グラフとして可視化してくれる。

保存されたデータは受信時間や SIM の ID と一緒に記録されるため、どこのデバイスからいつデータが飛んできているかすぐに分かる。これらのデータは40日間保存され、データ送信プロトコルは HTTP、 TCP、UDP に対応している。

利用には SIM 1枚あたり1日5円の利用料金が必要で、1日2000回の書き込みを超える場合は1リクエストあたり0.004円が追加で従量課金されることになる。

通信クラウドのソラコムがKDDIにコアシステム開放で「KDDI IoT コネクトAir」を提供開始へ、その他キャリアやMVNOへの展開は「未定」

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モバイル通信のクラウド化サービスを展開するソラコムとKDDIは10月19日、両社で共同開発したInternet of Things(以下、IoT)向けのモバイル通信回線サービス「KDDI IoT コネクトAir」を2016年12月以降に開始すると発表した。 「KDDI IoT コネクトAir」は通信用SIMカード単体での提供サービスで、IoT関連デバイス、M2M(機械通信)などへの利用を主目的とし…

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モバイル通信のクラウド化サービスを展開するソラコムとKDDIは10月19日、両社で共同開発したInternet of Things(以下、IoT)向けのモバイル通信回線サービス「KDDI IoT コネクトAir」を2016年12月以降に開始すると発表した。

「KDDI IoT コネクトAir」は通信用SIMカード単体での提供サービスで、IoT関連デバイス、M2M(機械通信)などへの利用を主目的として提供される。また、通信SIMの管理用サービスコントロールパネルも提供されるので、運用者が通信の速度変更や監視、SIMの開始や停止などの操作をすることができるようになる。これらのコントロールシステムはソラコムがこれまで提供してきたサービスのコアエンジン「SORACOM vConnec」をKDDIに対して提供することで実現した。

基本料金は1日あたり10円の基本料(SIM停止時は5円)がかかる他、データ通信速度に応じて1MBあたり0.2円から0.8円までの通信料が発生する。その他にも契約時に事務手数料としてSIM1枚あたり1500円(SIM込み)がかかる。なお、音声通話には対応していない。

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ソラコムが開始1年で整備したIoT向け通信プラットフォーム

ソラコムが驚きの展開を開始した。

元々、SORACOM Airが提供開始された際、彼らをMVNOとして契約(L2卸契約)したのがNTTドコモだった。なので、ソラコムの提供サービスを使う場合は国内ではドコモ回線がそのベースとなっている。ただ、ソラコムのシステムは全てAWS上で稼働しているということもあり、理論上は世界のどこでもサービス展開が可能な状態になっている。事実、海外展開についてはどのキャリアと契約しているのかは開示されていないものの、既に開始されている状況だ。

ただ、それをまさか国内の別キャリアで開始するとは。さすがソラコム。

同社代表取締役の玉川憲氏によれば、今回の展開はソラコムのコアエンジンである「SORACOM vConnec」をKDDIに提供することで実現したもので、ややユーザーからの見え方が変わるという。どういうことかというと、これまではNTTドコモ回線を「借りて」ソラコムがIoT向け回線サービスを提供してきたが、今回はKDDIがサービス提供者として前面に出てくることになる。

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こういったIoTデバイス提供事業者はサービスによってKDDIを選択可能になる

これにより、提供サービスの内容が変更になる可能性がでてくる。通信料についても独自の料金体系を設定することもできるし、KDDIのアセットを活用して各種サービスと連携させることも可能になる。例えば既に事例のある橋や道路といった公共設備の監視パッケージを作って、専業の事業者に対して特別な通信プランを組むことも考えられる。

ひとつ気になるのがソラコムとのバッティングだ。玉川氏の話では最終的にはソラコムのコアを使っていることには変わりがなく、サービス提供者としてのソラコムかKDDIかを選択するだけで、特に問題になるようなことはないと説明していた。

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ソラコムがKDDIに提供した虎の子の「vCoonec Core」

であれば、だ。ソラコムはもう一つのキャリア、いや、MVNO事業者にだってこのコアを提供できるはずである。そもそもモバイル通信のクラウド化、つまりモバイル回線をAWSのように偏在的に使えるようにしようというコンセプトが彼らなのである。全キャリア、MVNO事業者にこれを提供し、多種多様なサービスを独自に提供してもらった方が理念にあっている。

しかしこの件の回答は「現時点では携帯通信事業者様およびMVNO事業者への展開は未定」で、さらにKDDIとの契約が独占かどうかについても「個別契約内容については回答できない」ということだった。

もしかしたら両社には一定期間の協力体制があるのかもしれない(そもそもドコモとは卸契約があるのでそこについても複雑ではある)が、ここまでたった1年で一気に突っ走ってきたソラコムだから油断はできない。

 

ソラコムが海外120の国と地域に拡大、利用事業者のシームレスな海外展開を可能に

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「モバイル通信のクラウド化」を推進するソラコムは7月13日、同社が提供するIoT通信プラットフォーム「SORACOM」のグローバル対応と実証実験キット「SORACOM Global PoC キット」の販売受付を開始すると発表した。1枚のSIMで利用可能な国と地域は120以上で、データ料金についてはそれぞれ設定されたゾーンによって1MBあたりの転送量が0.3ドルから5ドルとなっている。詳しい料金体系…

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ソラコムが発表した海外対応SIM。国内版の青色と違い「黒SIM」となる

「モバイル通信のクラウド化」を推進するソラコムは7月13日、同社が提供するIoT通信プラットフォーム「SORACOM」のグローバル対応と実証実験キット「SORACOM Global PoC キット」の販売受付を開始すると発表した。1枚のSIMで利用可能な国と地域は120以上で、データ料金についてはそれぞれ設定されたゾーンによって1MBあたりの転送量が0.3ドルから5ドルとなっている。詳しい料金体系はこちらを参照されたい。

PoC(Proof of Concep、実証実験)キットの料金は49800円で、これには「SORACOM Air」グローバル対応SIMカードが30枚、基本料金6カ月分に加えてデータ通信料300米ドル分が含まれる。なおPoCキットの購入は実証実験実施後のソラコムに対するフィードバック協力を前提としている。

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対応する120の国と地域(資料提供:ソラコムリリースより)

ソラコムはこれまでNTTドコモの仮想移動体通信事業者(以下、MVNO)として第三者にモバイル通信サービスを提供してきた。今回はこれと同様の方法で海外の複数キャリアと提携し実現したもの。同社代表取締役の玉川憲氏に確認したが、具体的なキャリア名については秘密保持等があるため明らかにはできない、ということだった。

海外利用時にもこれまで提供されてきたデータ通信管理の「SORACOM Air」やデータ転送サービス「Beam」など、国内で利用できていた各種サービスがそのまま使える。つまり、これまでSORACOMを使ってサービス展開してきた事業者、例えばSORACOM SIMを刺したスマートロックなどのサービス・ハードウェアはそのまま、シームレスに海外展開することができる。