スタートアップのアクティビティ・チャート「BRIDGE HOT 100」はじめます:今週の話題はお悩み相談AI「Cotomo(コトモ)」

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みなさんこんにちは。BRIDGE編集部の平野です。BRIDGEでは今年の春から新たなチャートコンテンツを開始いたします。今日からそのお知らせを兼ねてコラムを再開し、不定期のテスト配信から開始いたします。

スタートアップのアクティビティ・チャート「BRIDGE HOT 100」

BRIDGE HOT 100はスタートアップの「事業活動」に着目したチャート・コンテンツです。これまでスタートアップの評価を示す基準として長らく(そして今でも)重要な指標として考えられてきたものに「時価総額」というものがありました。

もちろん株価は「株式公開を前提とする」スタートアップにとって重要なKPIのひとつであり、これを上げていくことで企業成長のステップをわかりやすく可視化する効果が見込めます。一方、公開株価と異なり「一度上げた株価は下げられない(固定化)」「ダウンラウンドを喜んで開示する起業家はいない(実態との乖離)」などの問題も抱えています。実際、最近ではインドEdTechのbyju’sが99%の株価を失ったり、国内でも公開時の公募割れが目立つといった話題もありました。

そこで、BRIDGEでは株価だけではなく、企業の活動状況を可視化するチャートを作ることにしました。それがBRIDGE HOT 100です。集計方法は「四半期でのプレスリリース数(※キャンペーン等は除く)」「過去の取材数」の二つを中心に、ソーシャルなどでの反響を加味して活動的なスタートアップを伝えることにいたします。対象となるのは「信頼できるVCが継続投資している企業」です。

現在、テスト中のチャートはこんな感じ(※)。対象企業としてサイバーエージェント・キャピタル、KDDI Open Innovation Fund、ジェネシア・ベンチャーズの3社のポートフォリオを参考にさせていただき、上記の掲載基準を元に最終的に編集部の方で集計した結果を掲載しています。

今回、チャートの集計対象になった企業は235社で、四半期での情報公開が1件以上かつ私たちが過去に取材・掲載したことがある企業は38社。四半期の情報公開を10件以上実施しているのはタイミー、RevComm、SHE、PoliPoli、Campfire、Fast Labelの6社でした。

それぞれを見てみるとタイミーでは新たな事業「タイミーキャリアプラス」や利用ユーザー調査を公表するなど、後続で追い上げを意識した積極的な事業活動を開示しています。AI銘柄として躍進しているRevCommでは「Sales Marker」と協業に向けた検討開始を伝えていたり、プロダクトのアップデートが頻繁に実施されている様子がわかります。生成AI関連で一気に注目を集めることになったFastLabelでは今年に入り、頻繁な機能リリースを実施されています。

このチャートでは投資ラウンドがシードからミドル・レイターまですべて一緒になっていますが、今後は「シード」「シリーズA前後」「ミドル・レイター」に分類し、それぞれで活動的な企業の話題をピックアップして毎週から隔週ぐらいでお届けする予定です。

また、すべてのチャートについては「BRIDGE Members」の有料会員のみなさんに配信いたします。VCおよびスタートアップ各社の広報PRのみなさんと連携し、チャートを充実させ、活発に活動するスタートアップとその活動をわかりやすく会員のみなさんにお伝えしていきたいと思います。

注目急上昇のピックアップ企業は

Image credit: Starley

また、チャートには入っていないけど、話題になったスタートアップは編集部独自の視点でピックアップいたします。例えば先週、ソーシャル中心に大きな話題を提供してくれたのが「Cotomo」です。

マネーフォワード(東証:3994)出身の丸橋得真氏や内波生一氏らが生成 AI スタートアップ Starley を創業し、プレシードラウンドで古巣であるマネーフォワードから1億円を調達したことは、昨年6月にお伝えした。あれから8ヶ月を経過した21日、同社は AI アプリの「Cotomo」をローンチした。iOS 向けに提供され、アプリストアからダウンロードできる

Xを中心にソーシャルでの反響が大きく「まるで人と会話してるみたい」などの投稿が多く見られました。Cotomo(コトモ)開発元でStarley(スターレイ)共同創業者、代表取締役の丸橋得真(まるはし・えるま)さんにこの反響についてお聞きしたところ次のようにコメントいただきました。

「たくさんの方がCotomoとお話してくださり、嬉しい限りです。Cotomoとの対話を通じて、ユーザーの皆さんと一緒に、人間とAIのコミュニケーションの未来を創っていきたいと考えています。AIとのおしゃべりには抵抗を感じる方も多いかと思いますが、ぜひお試しいただき感想をお聞かせいただけると嬉しいです!」。

同社にはマネーフォワードが本体投資しているのですが、同社代表取締役の辻庸介さんからも次のようなコメントが届いています。

「Starleyの『Cotomo』が早速多くの方に使っていただけているとのこと、嬉しく思います。AIとの会話というユニークな体験を通じて、ユーザーに寄り添い人生を豊かにするサービスになっていくよう、引き続き支援していきます」。

生成AIについてはNvidiaの躍進や、国内でもさくらインターネットが直近1年で株価を大きく押し上げるなど、次のパラダイムシフトとして大きな注目を集めています。こうした「モメンタム」を追い風に一気にスターダムへ上り詰めるのもスタートアップならではの話題です。このようなケースについては個別に当事者のコメントを交えながらピックアップしてお届けしていきます。

BRIDGE HOT 100を始めるワケ

最後に。本誌は2010年の活動開始以来、ずっと国内スタートアップの起業家の顔ぶれと、資金の流れ(増資)を中心に情報をお届けしていました。開始当時はスタートアップという成長モデル(種類株等を活用して企業価値にレバレッジをかけて急成長させる手法)も目新しく、何もかもが手探りでしたが、それから10年近くを経てエコシステムも成熟し、20件ほどだった年間のIPO件数も100件近い水準にまで回復するまでになりました。

メルカリを筆頭に、マネーフォワードやビジョナル、ANYCOLORといったテックカテゴリを代表するような企業も生まれ、スマホシフトからAIシフトへと新たなパラダイムも明確になる中、また次のスタートアップ・エコシステムが新たな扉を開こうとしています。

ここで気になるのが「次のスターは誰なのか」という話です。スタートアップは未公開企業ですから出てくる情報も限られていますし、さらにその数も増え続けているという話もあります。冒頭に書いた通り、時価総額だけでは偏った判断になりますし、独自に取材して開示されていない情報をほじくり返すのも本意ではありません。なにより時間がかかりすぎて「今、話題になっている」スタートアップの情報を取り逃すことになります。

プレスリリースはその点、企業が公式に発表する活動情報です。筆者自身、今回、このチャートを作ってみて「活動的な企業は正しく情報を開示し続けている」ことを実感しています。さらに公開企業になれば、四半期の開示はもちろん、日頃からのステークホルダー、消費者、顧客との会話はマストです。スタートアップがコミュニケーションから逃げることはできないのです。

正式なリリースは春頃を予定していて、既にいくつかのスタートアップファンドのみなさんとはお話を始めさせていただいています。現在はα版という形で不定期にチャートコンテンツを配信しつつ、参加企業の充実を図ってまいりたいと思います。

※集計期間は2月28日時点のスナップショット

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