コロナ禍ピボットで息を吹き返すスタートアップの強さ【Canvas 10月号(10月23日〜10月29日)】

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ロールアップ型ビジネスは、あらゆるD2Cに波及するかも

今週の話題(10月23日〜10月29日):ブランド買収モデル「ロールアップ型EC」のThrasio、IPOを延期するもシリーズDで10億米ドル超を調達

ロールアップ型 e コマースを展開する Thrasio が10億米ドルを調達しました。時価総額は最大で100億米ドル(=デカコーン)に達したと見られています。昨年7月時点での時価総額は10億米ドルだったことが確認されているので、この1年間で時価総額は最大で10倍に成長したことになります。

Thrasio は主に Amazon 上でレビューが良く成長が見込まれる収益性の高いブランドを買収することで成り立っており、現在までに200以上のブランドを所有。今年の売上は10億米ドルに達すると見込まれています。このモデルは世界各地で注目を集めており、今月初めには、インドの GlobalBees が、時価総額5億米ドルでソフトバンクらから資金調達すると報じられました。

Image credit: Thrasio
  • 日本では、サイバーエージェント・キャピタルや East Ventures が出資する ACROVE がこの分野を代表するプレーヤーと言っていいでしょう。主に Amazon や楽天上のブランドの買収に力を入れており、事業開始から2年間経過した今年4月の段階で、買収ブランドが30を超えたことを明らかにしています。今年8月には、M&A で JIX CAPITAL と業務提携したことを発表しました。
  • ロールアップ型 EC のようなモデルは、最近のものでもありません。韓国で2012年に創業した Yello(옐로)は、数々のモバイルアプリスタートアップを買収し、最終的に90社以上に収める企業に成長しましたが、他社を買収する際の投資契約に不履行が生じ、複数の投資家から訴訟を受けて、結果的に IPO の夢も半ばに消え、一線から姿を消していきました。
  • 成長性あるブランドの買収には資金力がモノを言うため、ACROVE が JIX CAPITAL と提携したのも、そんな理由からでしょう。D2C はスケールメリットが働きやすく、ロールアップ型により短期間でユニコーンになる事例が増えているため、ファッション系以外の分野などでもロールアップ型は波及するでしょう。ゴーストキッチンブランドの買収なども増えてくるのではないでしょうか。

今週の調達ニュース

今月の国内スタートアップの主要な資金調達ニュースをお届けします。

インフキュリオンが22億円調達を発表。左から:Minerva Growth Partners 長澤啓氏、インフキュリオン 代表取締役社長 丸山弘毅氏、Minerva Growth Partners 村島健介氏
Image credit: Infcurion

アート管理サブスク「美術倉庫」運営、オークション大手ShinwaやGazelle Capitalらから1億8,900万円を調達(10月28日)

  • between the arts は、プレシリーズ A ラウンドで1億8,900万円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、Shinwa Wise Holdings、Gazelle Capital、名前非開示のエンジェル投資家複数。同社にとっては、今年1月のビジョナル(東証:4194)に続くものだ。累計調達額は2億8,400万円に達した。

建設・土木の生産支援クラウド「Photoruction」、HIRAC FUNDらから3億円を調達し累積調達額は21億円に(10月27日)

  • フォトラクションが新たに3億円を資金調達したことを明らかにした。これは同社が今年8月に明らかにしていた7.6億円の調達(シリーズ B ラウンドと推定)のエクステンションラウンドで、今回がセカンドクローズとなる。調達額にはデットが含まれる。
  • 出資したのは、マネーフォワードベンチャーパートナーズが運営する HIRAC FUND、ウイング・キャピタル・パートナーズ、ジェネシア・ベンチャーズ、みずほキャピタル、名前非開示の一般投資会社。ジェネシア・ベンチャーズとみずほキャピタルは、2019年3月のラウンドに参加していた。累積調達額は21億円に達した。

インフキュリオン、Minerva GPやGMO-VPらから22億円を調達——BaaSプラットフォーム開発に注力(10月27日)

  • インフキュリオンは、直近のラウンドで合計22億円を調達したことを明らかにした。子会社であるネストエッグなどの資金調達を除くと、インフキュリオン本体としては、今年3月の調達に続く4回目の調達となる。
  • リードインベスターは、Minerva Growth Partners で、GMO VenturePartners が参加した。新規発行株式の第三者割当により約17億円、発行済み株式の一部を、マネーフォワード(東証:3994)、SBI グループ、SMBC ベンチャーキャピタル、みずほキャピタルなど既存株主に割り当てることで約5億円を調達した。

「M&Aクラウド」運営、STRIVEらから10億円を調達——買い手から売り手へ、熱意が伝わる仕組みを開発(10月27日)

  • M&A クラウドは27日、直近のラウンドで約10億円を調達したと発表した。同社にとっては、2020年6月に実施したシリーズ B ラウンドに続くものだ。
  • リードインベスターは STRIVE が務め、Skyland Ventures、インキュベイトファンド、SMBC ベンチャーキャピタル、日本郵政キャピタル、博報堂 DY ベンチャーズ、MS-Japan(東証:6539)、名前非開示の個人投資家が参加した。累積調達額は約13億円。

オンライン薬局「ミナカラ」、ドコモとメドレーが共同で買収(10月23日)

  • ミナカラは、NTT ドコモとメドレー(東証:4480)により共同買収されることを明らかにした。ミナカラは昨年8月に3億円を調達しており、INITIAL によれば、この時点での時価総額は約14億円。
  • 今回、NTT ドコモとメドレーは合計で約44億円でミナカラを買収することが明らかになっており、この約1年で時価総額は3倍強に成長したと見られる。NTT ドコモとメドレーの出資比率は、 NTT ドコモが85.1%(37.96億円)、メドレーが14.9%(6.64億円)。

音声配信アプリ「stand.fm」、ZVCから10億円を調達——UUUMから同業「REC.」を事業譲受(10月23日)

  • stand.fm は、Z Venture Capital(ZVC)から10億円を調達したことを明らかにした。これは同社にとって、2020年8月に実施したシードラウンドに続くものだ。ラウンドステージは公表されていないが、シリーズ A ラウンド相当と推定される。今回出資した ZVC(当時 YJ キャピタル)は、シードラウンドに続く出資となる。

アジアのニュース

今月のアジアのニュースをお届けします。

Animoca Brands が Kikitrade に追加出資。左から:Kikitrade 共同創業者兼 CEO Sean Tao 氏、Animoca Brands 会長兼共同創業者 Yat Siu 氏。
Photo credit: Kikitrade

Ant(螞蟻)とTencent(騰訊)、NFTの呼称使用を中止など——中国ブロックチェーン界週間振り返り(10月27日)

  • Ant Group(螞蟻集団)と Tencent(騰訊)は、自社の NFT プラットフォームや製品を指したり説明したりするのに、「NFT(非代替トークン)」という言葉を使うのをやめたと、中国のニュースサイト「界面」が10月23日に報じた。
  • その代わりに、両社は NFT を「Digital Collectibles(数字藏品)」と表現している。中国当局は NFT の使用を禁止していないが、国営メディアは NFTの「巨大なバブル」として警告している。

ハイブランドEC「Balaan」が31億円調達しBNPLサービス準備など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(10月25日)

  • Balaan(발란)」がシリーズ B ラウンドで325億ウォン(約31億円)を調達。広告を開始した10月の月間アクティブ利用者数が増加し、週間取引額が100億ウォン(約9.7億円)増加した。
  • 毎月ユニークユーザが15%成長。今回調達した資金は、ヨーロッパのブティック、国内小売間の需要予測に基づいた B2B2C プラットフォーム強化商品カテゴリの拡張、フルフィルメントシステムの強化に活用する予定。新韓金融と BNPL(Buy Now, Pay Later=後払い)サービスもローンチするする計画。

レアジョブ、ベトナムのエドテックスタートアップDVEに戦略的出資(10月25日)

  • レアジョブ(東証:6096)は、ベトナムのオンライン英語家庭教師サービス「Kynaforkids」を運営する DVE(Dream Viet Education)と資本提携契約を締結した。プレスリリースによれば、DVE は、レアジョブにとってベトナムのエドテック市場への初の投資となる。この提携関係は、両社の既存の資産を活用することを目的としている。

Binance(幣安)、音楽NFTプラットフォーム「Melos Studio」に出資(10月24日)

  • 仮想通貨取引所 Binance(幣安)の VC 部門である Binance Labs(幣安実験室)は、音楽の非代替トークン(NFT)プラットフォーム「Melos Studio」に出資した。出資額は非開示。
  • 今回の契約を受けて、Binance Labs は Melos Studio に技術、コンサルテーション、インキュベーションのサービスを提供する。一方、Melos Studio は、Binance がチームを拡大し、グローバルアーティストやインディーズアーティストとコラボレーションすることを通じて、Binance Smart Chain の音楽 NFT カテゴリを多様化することを支援する。

ブロックチェーン・ユニコーンのAnimoca Brands、仮想通貨によるソーシャル投資アプリ「Kikitrade」に追加出資(10月24日)

  • Animoca Brands は、Kikitrade の第2位の株主となった。今回の提携により、Kikitrade と Animoca Brands は、プレイヤーに金融インフラを提供することで、新たに立ち上げられた GameFi プロジェクトや今後予定されている GameFi プロジェクトを推進していく。また、Kikitrade は GameFi Studio を設立し、仮想通貨ベースの市場開発を加速させる。

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