米フェムテックの総資金調達額、今年8月までで昨年の2倍に

SHARE:
Image credit: Unsplash

<ピックアップ> Femtech startups nearly double funding dollars from last year, but still make up small percent of market

重要なポイント:Rock Health が9月27日に発表したレポートによると、女性+(シスジェンダーの女性および同様のケアを受ける可能性のあるトランスジェンダーや非バイナリーの人々)にサービスを提供するアメリカのデジタルヘルス企業の2021年の総資金調達額は8月時点で13億米ドルとなり、2020年(通年)の7億7,400万米ドルの約2倍となった。

詳細:2021年8月時点で13億米ドルという総資金調達額は、2011年に同社が追跡調査を開始して以降最大の数字となった。一方、2021年の全デジタルヘルス資金調達案件のうち、フェムテックが占める割合は7%にとどまり、過去最高だった2019年の11%を下回っている。

  • 過去5年間に設立されたフェムテック企業の主流分野は、妊娠・産後・子育て分野であったが「アメリカの女性人口のうち生殖年齢にあたるのは45%以下で、アメリカの出生率はこれまでで最も低い記録となっている」というレポート著者の指摘もあり、フェムテックの重点分野はシフトしつつある。
Image credit: Rock Health
  • 実際、2021年に最も資金提供された分野は予防医学・プライマリーケアで6億6,800万米ドル、次いで不妊治療に関わる分野が3億3,000万ドル、妊娠・産後・子育て分野は3億1,600万米ドルにとどまった。
  • またこれまで焦点が当たりづらかった更年期・閉経期の分野の資金調達は、2019年から2021年にかけて倍増した。
  • 2021年のフェムテックの大型資金調達案件には、今月初めに1億米ドルを調達した Tiaや、8月に1億1,000万米ドルを調達し調達総額が2億米ドルを超えた Maven Clinicなどが挙げられる。どちらも女性のプライマリーケア分野で事業を展開している。
  • さらに、診断・医薬品開発大手のLabcorpが、生理周期の把握や不妊治療、子育てなどのデジタルファミリーヘルスプラットフォーム「Ovia Health」の買収を発表する動きも見られた。
  • 本レポートの著者はコロナ禍以降のデジタルヘルスおよびフェムテックについて次のようにコメントしている。

デジタルヘルスのエコシステムは高速に変化し、パンデミック以降ほぼすべての分野への資金提供が増加しています。しかし、女性+に対応する公平で包括的なケアはまだ完全には設計されていません。複雑で進化する女性たちのニーズに応え続けるために、今後も議論の場や投資家からの資金提供を受けられることを期待しています。

  • 背景:米労働省の報告書によると、生殖医療や子どもの医療に関する決定を行うこともあり、女性は男性よりも頻繁に医療サービスを利用しているという。
  • 一方、Kaiser Family Foundation が2021年4月に発表したレポートによると、女性の4人に1人が過去1年間に医療費の支払に困ったと回答し、その理由の半数以上は新型コロナウイルスに関連するという。また同団体は、男性に比べて女性が感染拡大中に治療を遅らせる傾向にあることも明らかにしている。

執筆:平理沙子(Risako Taira)/編集:池田 将

via MobileHealthNews

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する