PayPalによる「Pinterest」買収動向から読み取る戦略/GB Tech Trend

Pinterestの買収へ動いていると報道された「PayPal」(Image Credit:Paypal)

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載

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デジタル決済プラットフォームのPayPalが、ビジュアル探索及びアイデア発見SNS「Pinterest」の買収へ動いていると報道されました。予想される買収額は450億ドルとされており、これはおおよそ1株当たり70ドル計算で、25%のプレミア価値を付けた額であると言われています。

全く関係のない2社の買収話がなぜ持ち上がったのでしょうか。その理由はPayPalによる「スーパーアプリ戦略」の考えが理由に挙げられるかもしれません。

PayPalは北米最大のEC企業「Amazon」上の決済として導入されていません。自社決済サービス「AmazonPay」が存在する中では競合に当たることが見送りの理由と言えるでしょう。また、2018年にはeBayとの決済プロセスに係るシステム契約解除が発表されたことから、完全に契約解除となる2020年以降は幅広い可能性を模索する必要があった、というわけです。

そこでPayPalが構築しようとしているのが「スーパーアプリ」です。ここでは文字通りのアプリを構築するというより、様々な2C向けサービスには必ずPayPal傘下の決済等が組み込まれているような広範なエコシステム戦略を指します。この戦略実現の最初の1歩と位置付けたのが2013年に買収した割り勘アプリ「Venmo」です。

Venmoを使うとたとえば友達の誕生日会や週末の飲み会などの立替金を友達にすぐに送金できるようになります。P2P送金プラットフォームとして当時から若者世代に日常的に使われたアプリで、今では多数の小売プラットフォームと連携し、割り勘だけでなくグループ購買にも使われるようにサービス設計されています。

こうした「ソーシャル決済」の切り口から、徐々にスーパーアプリの市場ポジション構築を目指しているのがPayPalです。AmazonやeBayのような巨大ECプラットフォームから距離を置かれた身としては、スタートアップ買収を通じて独自のサービス郡を作り出す必要があったのです。

その中で話が持ち上がったのが今回のPinterest、ということなのでしょう。

ではユーザー同士が好きな画像を集めて、画像コレクションを共有し合うSNSをもとにしたPinterestが、どのような点でPayPalの「ソーシャル決済・スーパーアプリ」とシナジーを生み出すのでしょうか。

元々Pinterestは、広告プラットフォームとして画像検索軸にしたサイト送客価値を生み出していますが、最近ではShopifyと連携をし、小売業者がPinterestを駆使してECストアーへ送客できるプロセスを作り出しました。さらにShopifyにはPayPal決済が実装されているため、売上が増えることは同時にPayPalの売上上昇にも繋がります。

さらに、2020年に買収した「Honey」活用がPinterestと相乗効果を生むかもしれません。HoneyはChromeエクステンションアプリで、入れておくと欲しい商品が値下げをした場合や、クーポンが発行された時に通知を送ってくれるサービスです。HoneyとPinterestの連携が実現した場合、たとえばPinterestで画像保存しておいた商品が値下げされた時に通知を送ったり、各商品の価格ヒストリーデータをHoneyが持つAI購買ビックデータ分析にかけて、より精度の高い形でPinterestユーザーのタイムラインで紹介するような使いかもできるかもしれません。

先述しているAmazonやeBayのようなマーケットプレイスではなく、VenmoやPinterestのようなP2P軸のプラットフォームを最大限活かすことでPayPalの総決済額を増やし、よりユーザーが身近に使うソーシャルアプリ軸での決済導入戦略を目指す意図が今回の買収話から伺えます。

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