東京都の女性起業家は2年連続で最多更新、都内で採択企業ら成果発表

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東京都が推進する女性起業家の事業促進事業「APT Women」は9日、第8期参加企業の成果報告会を都内で実施した。APT Womenは東京都が「東京都女性ベンチャー成長促進事業」として実施するもので、運営は企業向けの新規事業開発、投資事業を手掛けるゼロワンブースターが手掛ける。

昨年の7月に募集された8期には40名が選抜として残り、メンタリングやネットワーキングを通じて、経営知識や事業に必要な人的ネットワークの獲得を目指した。さらにそこから海外プログラムに選抜された20名にはシリコンバレーおよびシンガポールにて現地企業および投資家などへのピッチ機会が提供された。

成果発表会に登壇したのはCynthialy代表取締役の國本知里氏、Zenmetry代表取締役の長友好江氏、Clean next代表取締役の西山貴代氏、ウィメンズ漢方代表取締役の住吉忍氏、ビー・インフォマティカ代表取締役の稲田史子氏の計5名。22日には残りの採択企業によるデモブースやピッチを披露するイベントも開催される予定。

ゼロワンブースターでスペシャリストを務めるブランスクム文葉氏の説明によると、2023年の全国の女性社長数は61万2,224人で、前年比4.8%の増加を記録(※1)。女性開業者の割合も24.8%に上り(※2)、これまでで最高を更新しているそうだ。また、東京都は女性人口10万人あたりの社長数が2,200名とこちらも2年連続で国内最多を更新しており、これらの数値が国内における女性における経済・社会参加の拡大を示したものになると指摘した。

一方、スタートアップの世界では「ボーイズクラブ」と揶揄されるように、男性に偏った投資家や起業家のネットワークが力強く、これらのリソースへのアクセスに課題があった。女性起業家に対する支援環境を世界的な視点で採点する「Dell WE Cities Index」によると、世界トップはロンドン、NY、ベイエリアと続く。

ちなみにこのインデックスにおける日本は45位(2023年順位)で、文葉氏はこうした上位に位置付けている都市に備わる「政策の推進、資金調達の機会の豊富さ、充実したネットワーキング、そして起業家を教育するプログラムの充実」が欠かせないとしつつ、課題を解決することで、「日本も世界をリードする女性起業家支援のモデルを築くことが可能」と締め括った。

小池百合子都知事

このプログラムは女性起業家「育成」だけでなく、男性が多い起業家コミュニティにおける女性起業家の「横つながり」づくりにも力をいれているのが特徴。事業を推進する東京都の小池百合子都知事は「東京都・日本が持続的な成長を続けるためには、女性の力を活かさなければもったいない」とこれまで積み上げてきたコミュニティの需要生を語る。

「8期を重ねるAPT Womenはこれまでに240名の仲間がいます。グローバルに活躍する方、もう既に時価総額100億円に達しましたという方もいらっしゃいます。お互いに刺激し合って学び合って、そして良い仲間とそして、でも私が一番だぞという、そういう自信も持ちながら、これからも進んでいっていただきたいと思います」。

※1:東京商工リサーチの第12回全国女性社長調査

※2:日本政策金融公庫総合研究所、2023年度新規開業実態調査

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