本稿は招待制のイベント「Infinity Ventures Summit 2014 Spring」の取材の一部である。
私たちのお金に関する環境はここ数年で突如として変化した感がある。
例えば決済関連であればSquareの登場に刺激を受けたCoineyの登場やインフラ的なアプローチのWebPay、手数料無料を標榜したSPIKE、クレジットカード利用からレコメンドを提供するCLOのカンム、iPadなどのタブレット文脈でレジスタのユビレジ、クラウド会計ではfreeeのようなプレーヤーも生まれてきた。
一般消費者に向けては家計管理だ。アプリとしてはZaimが2013年10月時点で100万人が利用するなど、スマートデバイスの変化がここにも影響を与えていることがよくわかる。
中でもカバー範囲が広く、プラットフォームとしての展開をしているのがマネーフォワードだ。2月にはBASEやクラウドワークスなどのサービスと連携したかと思えば、5月にはクレディセゾンと業務提携、1000万人というユーザーベースへのアクセスを手にしている。
また、サービスをみてもZaimのような一般消費者向けの資産管理サービスも提供しつつ、事業者向けにはfreeeのような会計サービスも提供を開始している。
彼らの考えるお金のプラットフォームとはどういうものなのか?
IVSの会場で代表取締役の辻庸介氏を見つけたので、ここ数カ月リリースを続けている同社のサービスの状況と、お金のプラットフォームとは一体なんなのか、ショートインタビューを実施した。(質問はすべて筆者)
クラウド請求書サービス(MFクラウド請求書)が好調と聞きました。
辻:おかげさまで開始3日間で大きな反響を貰っています。今のペースでいけば1カ月で数万件の勢いになります。
ちょっと前にはクレディセゾンとの提携、アプリのリニューアルも実施とめまぐるしいですね。
辻:こちらもリリースして1週間ほどですが、月間のペースでいうと数万件ぐらいの状況でユーザー数が拡大中ですね。
マネーフォワードを眺めていると個人、法人問わず幅広く手がける一方で、その未来というか展望がどこにあるのか実は興味があるんです。確かに金融機関と連結されていて家計簿や法人会計の入力の手間は省けました。けど、そのお金の情報を管理してもらうと、自分の生活がどう変わるのかイマイチ分かってないんです。
今日はこういう機会ですので辻さんの考える未来をちょっとお聞きしたいなと。
辻:そうですね未来ですか(笑。ポイントはレコメンデーションにあると思っています。個人の場合ですが、お金の問題を解決するためには三つのアプローチがあるんです。収入上げるか、支出を減らすか、運用して資産を増やすか。
なるほど。
辻:究極的にはこの3つの領域のレコメンデーションをしたいと考えているんです。
マネーフォワードを使うと確かにユーザーの経済状態というのは判断できるかもしれません。その情報を使う、ということですか?
辻:まず、大前提としてシステム上は物理的にも別々な仕組みを導入しているので、安全性というのは確保されています。また、パーミッションなども考慮して、あくまでユーザーの立場に立って、知識などの進化と会わせて慎重にやっていくべきでしょうね。
収入を増やすということについてはランサーズやクラウドワークスと連携してお金の稼ぎ方を提案したりすることもありえますよね。また、クレジットカードと組むことでお得なポイントやカードの提案ができるようになります。
なるほど、経済状況から副収入の機会を提供すると。
辻:次に支出を下げるアプローチはやはり固定費ですよね。例えば保険や携帯と家賃など、そういう固定費の情報からより得な見直しの提案はできると考えてます。
住宅ローンの金利とかってじわじわきますからね。
辻:ユーザーが面倒だと思っていることをこちらから情報提供することが大切かなと。資産運用は証券出身なのでやりたいんだけど、まだもう少し先ですね。
お金のことって正解、法則ってあると思うんです。勉強すればセオリーのようなものは分かってきます。さらに現金ってauウォレットのようにどんどん概念になっていってるんですね。つまり全てはデータ化されて「見える化」される。
今はお金については個人によって知識の差があるけど、それがなくなっていくということですか。
辻:今ってFP(ファイナンシャルプランナー)が間に入ったりしてますが、どんどんそういう壁がなくなっていくでしょうね。完全に人がなくなることはないですが。
ユーザーがマネーフォワードを使うことで、お金の流れが可視化される。それによってお金が足りない、使い過ぎている、そういう課題を解決できる情報を提供していく。マネーフォワードが大きくなったら銀行みたいなことになるんですかね?
辻:いや、金融機関にはならないし、ビットコインのような貨幣も作りませんね。
何なんでしょうね。お金に関するエージェントというかアドバイザというか。結局そういう表現になるんですよね。
辻:そうですねぇ。ユーザーの側に立ったお金のサービスは確かになかったかもしれませんね。
突然お時間ありがとうございました。
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