HIRAC FUND の GP は MFVP で、これまでにファーストクローズで12.3億円を調達済。最終的には30.4億円を目指す。ファンド運用にあたってはジャフコ(東証:8595)が支援する。最終的に20社程度への投資を予定しており、ワンショットのチケットサイズは3,000万円〜1億円程度(ファンドの規定上は最大で3億円)。
マネーフォワードは2017年9月に上場を果たしたが、上場前段階で44億円、上場後も市場以外で143億円を調達するなど、事業成長に成長資金を常に調達し続けている。最初の資金調達となったのは、創業から7ヶ月後の2012年12月。代表取締役の辻庸介氏の古巣マネックス証券のベンチャー投資部門からだった(当時のマネックス・ビジネス・インキュベーション、現在のマネックスベンチャーズ)。マネーフォワードにとって初めての外部資金調達(2,000万円)だったが、同社ではこれをシリーズ A ラウンドと位置付けている。
投資家に伝えていくストーリー(業績見通しの計画)については、事業のステージによって違ってくる。2014年くらいまでは(シリーズ C あたり)売上はまだ1億円に届かない位の業績だったので、今後どういうプロダクトをローンチしていくのかを話していた。2015年(売上4億4,000万円)、2016年(売上15億4,000万円)くらいになると、トラックレコードで将来成長を見せられた。売上がまだ無いときは SAM(実際に提供可能な市場規模)や TAM(獲得可能な最大市場規模)で、売上が出てきたら実績の延長線で話せるようになる。
資金調達は CEO 中心でも CFO 中心でもできるが、どんな体制で臨むかはその会社次第。資金調達に表面的なスキルよりも、むしろ、投資家との信頼関係を築いたり、最後までやり切れる人だと見てもらえたりすることが大事。投資家も経営者を2〜3年見ていればそのあたりが分かってくるので、安心して投資ができるようになる。投資家に対しては、真摯かつ愚直に事業に取り組んでいる姿を見せ続けるというのが王道。ファイナンスが必要になってから、ある日投資家に出会い、「いきなり投資を決めてください」と申し出る選択肢は勧めない。
マネーフォワードでは、シリーズ E ラウンドを迎えた2016年前後から経営陣の間で上場に向けた話が出始め、「上場を最速で目指そう」という意見の一致から2017年夏にターゲットを定めた。マネーフォワードの初期投資家の代表者でもあり、辻氏の心の師でもある松本大氏が言う「上場はタイミングが難しいがゆえ、できるときにするのがいい」という以前からの進言も参考にしたそう。
安定株主という概念は信じていない。どんな株主にも、売りたい時に売る権利があるからだ。ただし、投資家とはコミュニケーションを密にとって、長期にわたって株式を保有してもらえるよう努力はしている。投資家とは立場が違うので、株式を売り出すタイミングについては交渉はできても無理は言えない。普段からしっかりした IR を心がけ、マネーフォワードの場合は大口の株式売却があっても、株価に影響を与えずに、それをいい投資家にまた買ってもらえている。
マネーフォワード(東証:3994)は7日、京都・三条河原町に新支社・開発拠点(以下、京都オフィス)を設立した。この日、京都オフィスで開かれた設立記念イベントには、マネーフォワード CEO の辻庸介氏、京都オフィスの代表に就任する村上勝俊氏(京都開発部部長)、エンジニアの谷口徹氏が出席。来賓として、京都市長の門川大作氏や京都大学教授の木谷哲夫氏らが招かれた。同社はこれまで京都・四条烏丸のコワーキング…
左から:京都大学教授 木谷哲夫氏、マネーフォワード CEO 辻庸介氏、京都市長 門川大作氏 Image credit: Money Forward
マネーフォワード(東証:3994)は7日、京都・三条河原町に新支社・開発拠点(以下、京都オフィス)を設立した。この日、京都オフィスで開かれた設立記念イベントには、マネーフォワード CEO の辻庸介氏、京都オフィスの代表に就任する村上勝俊氏(京都開発部部長)、エンジニアの谷口徹氏が出席。来賓として、京都市長の門川大作氏や京都大学教授の木谷哲夫氏らが招かれた。同社はこれまで京都・四条烏丸のコワーキングスペースに営業拠点を設置していたが、今回、独立オフィスとして新拠点を構えたことで、さまざまな試みを始める見通しだ。
SaaS の会社が開発拠点を設立することで、地元の大学生にとって有望ベンチャーのインターン先が近隣に生まれることも意義深い。京都オフィスの社員数は設立当初2名と小規模ながら、今日のイベントに市長が訪問したことに象徴されるように、地元コミュニティの期待は大きい。同社では、会社が大きく成長していく中で「東京本社ではできていないことを、京都オフィスで積極的に挑戦していってもらいたい(辻氏談)」としている(同社では、京都オフィスのコンセプトを「give it a try」と設定している)。