マネーフォワードが新会社を設立、社員のSaaSアカウントを一元管理する〝情シス as a Service〟事業に参入

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左から:マネーフォワード i 代表取締役社長 今井義人氏、マネーフォワード 代表取締役社長 CEO 辻庸介氏
Image credit: Money Forward

マネーフォワード(東証:3994)は27日都内で記者会見を開き、新会社マネーフォワード i を設立し、企業向けの SaaS アカウント管理サービスのβローンチを発表した。マネーフォワードは、複数の金融機関へのログインや情報取得を代行するアカウントアグリゲーションをコアテクノロジーとし、また、各種 SaaS のサービス比較や送客などを主事業とするスマートキャンプを傘下に置いており、これらを通じて得た技術や治験をベースに、新たな法人向けサービスに育てることを目指す。

SaaS が業務に浸透するにつれ、企業は異なるプロバイダが提供する、さまざまな SaaS を利用するようになった。マネーフォワードが社内で調べたところ、200の SaaS が利用されていたそうだ。ここで課題となるのは、社員の入退社、異動、部門の再編成、権限の変更などに伴うアカウント管理だ。オンプレの社内システムが利用されていた時代から、各企業では情報システム管理部門が全社員の全システムアカウントを一元集中的に管理してきた経緯がある。

一方、SaaS によってアカウント管理は煩雑さを極めるようになった。SaaS の強みの一つは中小企業などが簡単に導入できる点であるが、そもそも中小企業には情報システム部門が存在しないこともある。解約していいはずのアカウントが生き残っていればムダなコストになるし、企業にとっては外部から不正なアクセスを許してしまうセキュリティ面での死角になり得る。最近では、辞めたはずの社員、プロジェクトを抜けたメンバーが外部からサービスを使い続ける「シャドー IT」という言葉も聞かれるようになった。

Image credit: Money Forward

これらの課題を解決すべく、複数の SaaS のアカウントを一元管理できるのが「マネフォーワード IT 管理クラウド」だ。βローンチ段階で67の SaaS に対応しており、年内には100以上の SaaS に対応させる予定。退職者の ID を自動検出できるため、入退社時の ID 発行・削除の管理が容易になる。今後、シャドー IT の検出や、このサービスからの各種 SaaS の ID 発行・削除、SaaS のコスト管理やコスト削減提案、退職時の ID 削除対応などの通知機能を提供していく。

この分野では、ユーザベース(東証:3966)出身の竹内秀行氏らが2018年9月に立ち上げた「YESOD(イエソド)」が先行している。同社は2020年8月にプレシリーズ A ラウンドで2億円を調達した。同社は今週、契約ライフサイクルマネジメントシステム(CLM)を提供する ContractS との業務提携を発表、「YESOD 棚卸し機能」を使って両サービス間の API 連携が可能になったことを明らかにしていた。

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